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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1290227
審判番号 不服2011-22618  
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-20 
確定日 2014-07-29 
事件の表示 特願2004-505329「眼圧降下剤としての8-アザプロスタグランジン類似体」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月27日国際公開、WO03/97596、平成17年10月13日国内公表、特表2005-530796〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2003(平成15)年4月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2002年5月14日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成21年11月4日付け拒絶理由通知に応答して平成22年5月10日付けで手続補正書と意見書が提出され、次いで、同年8月18日付けの最後の拒絶理由通知に応答し、平成23年2月28日付けで手続補正書と意見書が提出されたが、その平成23年2月28日付け手続補正は、平成23年6月10日に、補正の却下の決定がなされ、同日付けで拒絶査定がなされたものである。これに対し、平成23年10月20日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正書が提出され、同年12月7日付けで審判請求書の手続補正書が提出されたものであり、その後、前置報告書を用いた審尋に応答し平成26年1月22日付けの回答書が提出されたものである。

第2 平成23年10月20日付けの手続補正についての補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
平成23年10月20日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕
1.補正後の本願発明
平成23年10月20日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)のうち、特許請求の範囲の請求項1についての補正事項は、補正前(平成22年5月10日付け手続補正書参照)に
「【請求項1】
処置有効量の下記式Iで示される化合物の、高眼圧または緑内障を処置するための組成物の製造における使用:


[式中、
ハッチングした線は、α配置を表し;
三角形の線は、β配置を表し;
波線は、α配置またはβ配置を表し;
破線は、二重結合の存在または不存在を表し;
Dは、共有結合またはCH_(2)、O、SもしくはNHを表し;
Xは、CO_(2)R、CONR_(2)、CH_(2)OR、P(O)(OR)_(2)、CONRSO_(2)R、SONR_(2)、または



であり、
Yは、

であり;
Zは、CH_(2)または共有結合であり;
Rは、HまたはR^(2)であり;
R^(1)は、H、R^(2)、フェニル、またはCOR^(2)であり;
R^(2)は、C_(1)-C_(5)低級アルキルまたはアルケニルであり;
R^(3)は、R^(2)、フェニル、チエニル、フラニル、ピリジル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ナフチルまたはそれらの置換誘導体(ここで、置換基は、C_(1)-C_(5)アルキル、ハロゲン、CF_(3)、CN、NO_(2)、NR_(2)、CO_(2)RおよびORから成る群から選択しうる。)から成る群から選択する。]」
とあったのを、
「【請求項1】
処置有効量の下記式Iで示される化合物の、高眼圧または緑内障を処置するための組成物の製造における使用:


[式中、
ハッチングした線は、α配置を表し;
三角形の線は、β配置を表し;
波線は、α配置またはβ配置を表し;
破線は、二重結合の存在または不存在を表し;
Dは、共有結合を表し;
Xは、CO_(2)Rであり、
Yは、

であり;
Zは、共有結合であり;
Rは、Hであり;
R^(1)は、Hであり;
R^(3)は、フェニルの置換誘導体(ここで、置換基は、ハロゲン、およびCF_(3)から成る群から選択しうる。)から成る群から選択する。]
ただし、上記化合物から7-[2S-[3R-ヒドロキシ-4-(3-クロロフェニル)-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル]-ヘプタン酸および7-[2S-[3R-ヒドロキシ-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル]-ヘプタン酸を除く。」
とする補正を含むものである。 (以下、補正後の請求項1に係る発明を「本願補正発明」と言う場合がある。)

2.補正の目的の適否
本件補正に含まれる上記補正は、高眼圧または緑内障を処置するための組成物の製造において使用される上記式Iで表される化合物を、補正前の、置換基D,X,Y,Z,R,R^(1)-R^(3)が、補正前の請求項1に記載されていた選択肢から成る群から選択されていた化合物群から、それぞれの置換基がより限定されたものである、Dが共有結合、XがCO_(2)R、Yが

Zが共有結合、RがH、R^(1)がH、R^(3)が、フェニルの置換誘導体(ここで、置換基は、ハロゲン、およびCF_(3)から成る群から選択しうる。)から成る群から選択される化合物群に限定し、更に、7-[2S-[3R-ヒドロキシ-4-(3-クロロフェニル)-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル]-ヘプタン酸および7-[2S-[3R-ヒドロキシ-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル]-ヘプタン酸を除いたものである。
すなわち、本件補正は、高眼圧または緑内障を処置するための組成物の製造において使用される上記式Iで表される化合物を、翻訳文に記載されていた、より限定された範囲の化合物群に限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
よって、上記補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか。)について、以下に検討する。

3.独立特許要件について
(1)引用出願の優先権主張の有効性について
原査定の拒絶理由に引用された出願である、特願2003-575961号(2003年3月6日を国際出願日とする外国語特許出願PCT/IB2003/000955号である。;以下、「先願」という。)であって、本願の出願後に国際公開(国際公開第03/77908号:平成15年9月25日公開)がされた出願である先願には、2002年3月18日に米国において出願された米国特許出願第60/365654号(以下、「先願の優先権主張基礎書類」という。)に基づくパリ条約の優先権が主張されている。
そして、先願の優先権主張基礎書類の記載と、先願の国際出願日における明細書又は請求の範囲の記載(以下、「先願明細書」という。先願明細書が国際公開された国際公開第03/77908号参照。)、並びに先願明細書の特許法第184条の4第4項の翻訳文(以下、「先願明細書翻訳文」という。)の記載を検討すると、先願の優先権主張基礎書類において請求項15,16に分けて記載されていた技術事項が、先願明細書においては請求項15に択一的形式で記載されている点を除いて、両者には同じ内容が記載されている。
そうすると、先願明細書に記載された事項全体に関して、2002年3月18日を優先日とする優先権が有効である。

(2)先願明細書の記載と先願明細書に記載された発明
(i)先願明細書の記載
上記の先願明細書には、次の技術事項が記載されている。なお、先願明細書の記載として、国際公開第03/77908号の記載箇所を摘示する。また、先願明細書は英文であるため、先願の翻訳文に相当する特表2005-526080号公報(以下、「参照公報」ともいう。)の記載を参考に当審において和訳したものを記載する。括弧書きの摘示箇所の記載に続き、参照公報の対応箇所の段落番号を記載した。下線は当審で付した。

(a)「【請求項1】
肝不全、動脈管閉鎖、緑内障または高眼圧の治療法であって、その必要のある患者に、式I:

[式中、
Qは、COOR^(3)、CONHR_(4)又はテトラゾール-5-イルであり;
Aは、単結合又はシス二重結合であり;
Bは、単結合又はトランス二重結合であり;
=Uは、=O、

であり;
R_(2)は、α-チエニル、フェニル、フェノキシ、モノ置換フェニル又はモノ置換フェノキシであり、前記置換基は、クロロ、フルオロ、フェニル、メトキシ、トリフルオロメチル及び(C_(1)-C_(3))アルキルからなる群から選ばれ;
R^(3)は、水素、(C_(1)-C_(5))アルキル、フェニル又はp-ビフェニルであり;
R^(4)は、COR^(5)又はSO_(2)R^(5)であり;そして
R^(5)は、フェニル又は(C_(1)-C_(5))アルキルである]の化合物、そのプロドラッグ、又は該化合物もしくはプロドラッグの製薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法。
【請求項2】
Qが5-テトラゾリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式Iの化合物が、
5-(3-ヒドロキシ-4-フェニル-ブト-1-エニル)-1-[6-(1H-テトラゾール-5-イル)-ヘキシル]-ピロリジン-2-オン、
・・・
5S-[4-(3-クロロ-フェニル)-3R-ヒドロキシ-ブチル]-1-[6-(2H-テトラゾール-5-イル)-ヘキシル]-ピロリジン-2-オン、
5S-[3R-ヒドロキシ-4-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-ブチル]-1-[6-(2H-テトラゾール-5-イル)-ヘキシル]-ピロリジン-2-オン、
5-[4-(4-フルオロ-フェニル)-3-ヒドロキシ-ブチル]-1-[6-(2H-テトラゾール-5-イル)-ヘキシル]-ピロリジン-2-オン、
・・・又は
5-[4-(3-フルオロ-フェニル)-3-ヒドロキシ-ブチル]-1-[6-(2H-テトラゾール-5-イル)-ヘキシル]-ピロリジン-2-オン
である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
QがCOOHである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式Iの化合物が、
7-(2-(3-ヒドロキシ-4-フェニル-ブチル)-5-オキソ-ピロリジン-1-イル)-ヘプタン酸、
7-[2-(3-ヒドロキシ-4-フェニル-ブト-1-エニル)-5-オキソ-ピロリジン-1-イル]-ヘプタン酸、
7-{2S-[4-(3-クロロ-フェニル)-3R-ヒドロキシ-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル}-ヘプタン酸、
7-{2S-[3R-ヒドロキシ-4-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル}-ヘプタン酸、又は
7-{2S-[3-ヒドロキシ-4-(3-フェノキシ-フェニル)-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル}-ヘプタン酸
である、請求項4に記載の方法。
・・・
【請求項13】
前記方法が緑内障または高眼圧の治療である、請求項1に記載の方法。」(25頁?27頁のクレーム1?6,13;参照公報の【特許請求の範囲】の【請求項1】?【請求項6】及び【請求項13】参照)

(b)「発明の分野
本発明は、動物、特に哺乳動物における肝不全、動脈管閉鎖、緑内障または高眼圧の治療のための受容体選択的プロスタグランジン(PGE_(2))アゴニストの使用法に関する。更に詳しくは、本発明は、4型(EP_(4))受容体選択的プロスタグランジン(PGE_(2))アゴニストを用いるそのような方法に関する。
発明の背景
・・・プロスタグランジンE2(本明細書ではPGE_(2)と略す)は、アラキドン酸カスケードでシクロオキシゲナーゼによって誘導される酸化的代謝産物として知られ、PGE_(2)を含むプロスタグランジン類は身体の多くの器官及び系に作用することが十分に立証されている。例えば、PGE_(2)は、細胞保護活性、・・・血圧降下活性及び利尿活性を有することが知られている。以前の研究で、PGE_(2)受容体には各種のサブタイプがあり、それぞれが異なる生理的役割を有していることが見出されている。現時点で、PGE_(2)受容体は、それぞれEP_(1)、EP_(2)、EP_(3)及びEP_(4)と表示される4種類の主要サブタイプを有し、それぞれ様々な組織及び細胞で異なる作用を媒介していることが知られている(Coleman,R.A.ら、Pharm.Rev.1994,46(2),205-229)。
・・・
前眼房の過剰房水は眼内圧の上昇または高眼圧をもたらしうる。高眼圧は、視神経を損傷し、失明をもたらしかねない疾患である緑内障の症状及び/またはリスク因子である。EP_(4)受容体は、房水の産生に関与する眼組織、例えばヒト毛様体上皮細胞及びヒト毛様体筋細胞に見出されている(Mukhopadhyayら、Biochem.Pharmacol.1997,53,1249-1255)。小柱網細胞は眼内圧の調節に関与していることが知られている(Clarkら、Investigative Ophthalmology & Visual Science 1994,35,281-294;及びLutjen-Drescoll,Progress in Retinal and Eye Research 1998,18,91-119)。EP_(4)受容体は、ヒト小柱網細胞にも見出されており、小柱網細胞のEP_(4)受容体の活性化がこれらの細胞の弛緩をもたらし、眼内圧を低下させうることが提唱されている(PCT国際特許出願WO00/38667、2000年7月6日公開)。」(1頁7行?3頁10行;参照公報段落【0001】?【0005】)

(c)「発明の要旨
本発明は、哺乳動物における肝不全、動脈管閉鎖、緑内障または高眼圧の治療法を提供し、該方法は、前記哺乳動物に、選択的EP4受容体アゴニスト、その異性体、前記アゴニストもしくは異性体のプロドラッグ、又は前記アゴニスト、異性体もしくはプロドラッグの製薬学的に許容しうる塩を投与することを含む。本発明の方法に有用な選択的EP4受容体アゴニストは、式Iの1,5-ジ置換-2-ピロリドン類又は・・・である。式Iの1,5-ジ置換-2-ピロリドン化合物は、米国特許第4,177,346号及び米国特許出願公開US2001/0047105(2001年11月29日公開)に開示の通りに製造できる。・・・
本発明の方法に使用する好適な選択的EP4受容体アゴニスト群は、式I:・・・(当審注;式I及び式Iの置換基定義の記載は(a)で摘記したとおりであるので、省略する)・・・の化合物、そのプロドラッグ、または前記化合物もしくは前記プロドラッグの製薬学的に許容しうる塩である。」(6頁20行?7頁15行;参照公報段落【0032】?【0037】)

(d)「一般的に、本発明の方法において、選択的EP_(4)受容体アゴニスト(式I及びIIの化合物)の量は、肝不全、動脈管閉鎖、緑内障又は高眼圧の治療に十分であるように使用される。・・・
本発明の方法で使用される選択的EP4受容体アゴニスト化合物は、一般的に、少なくとも一つの本発明の化合物を製薬学的に許容しうるビヒクル又は希釈剤とともに含む医薬組成物の形態で投与される。従って、選択的EP_(4)受容体アゴニスト化合物は、経口、鼻腔内、非経口、直腸または経皮剤形といった任意の従来型形態で個別に投与できる。 」(12頁31行?13頁8行;参照公報段落【0063】,【0064】)

(e)「実験の部
インビトロアッセイ
本発明の方法に有用な式I又はIIの化合物は、プロスタグランジンE_(2)の4型受容体(EP_(4)受容体)に結合する。・・・ラットEP_(4)受容体の完全長コード配列は、Sandoら、Biochem.Biophys.Res.Comm.1994,200,1329-1333に記載の手順に従って製造される。これらの完全長受容体は、ヒトEP_(1)、ラットEP_(2)、ヒトEP_(3)又はラットEP_(4)受容体を発現する293S細胞の調製に使用される。
ヒトEP_(1)、ラットEP_(2)、ヒトEP_(3)又はラットEP_(4)受容体結合アッセイ
前述の完全長受容体を使用して、EP_(1)、EP_(2)、EP_(3)及びEP_(4)受容体を発現する293S細胞を調製する。
ヒトEP_(1)、ラットEP_(2)、ヒトEP_(3)又はラットEP_(4)4プロスタグランジンE_(2)受容体のいずれかを発現する293S細胞は、当業者に公知の方法に従って製造される。・・・
・・・293S細胞に、pcDNA3にクローニングされたラットEP4受容体を脂質媒介トランスフェクションによってトランスフェクトする。トランスフェクト細胞を・・・選別して、ラットEP_(4)受容体を発現する安定細胞株を確立する。
非標識PGE_(2)を競合体として用いる全細胞^(3)H-PGE_(2)結合アッセイを行い、最大数の受容体を発現しているクローン細胞株を選ぶ。
膜の調製:
・・・プロスタグランジンE2の1型、2型、3型、又は4型(それぞれEP_(1)、EP_(2)、EP_(3)又はEP_(4))受容体を発現しているトランスフェクト細胞を採取し、緩衝液A[・・・]中に・・・懸濁させる。該細胞を、・・・超音波処理によって・・・溶解する。溶解しなかった細胞と残屑は・・・除去する。次に、膜を・・・遠心分離して採取する。ペレット状の膜を・・・再懸濁させる。・・・次に再懸濁させた膜は使用するまで-80℃で凍結保存する。
結合アッセイ:
・・100μlの細胞膜調製物を、5μlの式I又はIIの試験化合物溶液(・・・)及び95μlの緩衝液A中3nMの^(3)H-プロスタグランジンE_(2)(・・・)と合わせる。該混合物(総体積200μL)を25℃で1時間インキュベートする。次いで、膜を・・・回収する。・・・次に、各サンプルを・・・3回洗浄する。次に、フィルタを・・・乾燥させる。膜に結合した^(3)H-プロスタグランジンの量を測定するために、乾燥フィルタをシンチレーション液入りのプラスチックバッグに入れ、LKB 1205 Betaplateリーダー(・・・)でカウントする。IC_(50)は、50%の特異的結合^(3)H-プロスタグランジンE_(2)を置換するのに要した試験化合物の濃度から決定される。
組換えラットEP_(4)受容体を安定的に過剰発現している293S細胞におけるサイクリックAMP上昇の測定アッセイ
ラットEP_(4)受容体の完全オープンリーディングフレームを表すcDNAは、公開配列に基づきオリゴヌクレオチドプライマーを用いる逆転写ポリメラーゼ連鎖反応によって得られる。ラットEP_(4)受容体の完全長コード配列は、Sandoら、Biochem.Biophys.Res.Comm.1994,200,1329-1333に記載の手順、及び鋳型としてラット腎臓(EP_(4))由来のRNAに従って製造される。293S細胞に、pcDNA3にクローニングされたラットEP_(4)受容体を脂質媒介トランスフェクションによってトランスフェクトする。トランスフェクト細胞を・・・選別して、ラットEP4受容体を発現する安定細胞株を確立する。
非標識PGE_(2)を競合体として用いる全細胞^(3)H-PGE_(2)結合アッセイを行い、最大数の受容体を発現しているクローン細胞株を選ぶ。高レベルの特異的[^(3)H]PGE_(2)結合を示しているトランスフェクタントは、さらにスキャッチャード分析でPGE_(2)に対するBmax及びKdsを求め、特徴付けを行う。化合物スクリーニングのために選ばれた系は、1細胞あたり約256,400個の受容体とPGE_(2)(EP_(4))に対するKd=2.9nMを有する。親293-S細胞における受容体の構成的発現は無視できる。ラットEP4受容体を含有する安定な細胞株を・・・成長させる。
293-S/EP4株におけるcAMPの応答は、・・・測定される。該細胞を、MEM(最少必須培地)、1%のBSA(ウシ血清アルブミン)、50mMのHEPES(N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N’-[2-エタンスルホン酸])中に37℃で再懸濁させる。該細胞懸濁液を・・・カウントし、MEM(最少必須培地)を加えて・・・希釈し、3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)を加えて最終濃度1mMにする。200μlの細胞懸濁液を直ちに個別のチューブに分取し、蓋をせずに・・・インキュベートする。次に、ジメチルスルホキシド(DMSO)又はエタノールのいずれかに入れた試験される式I又はIIの化合物を、最終のDMSO又はエタノール濃度が1%になるように1:100の希釈で細胞に加える。・・・試験化合物の添加後直ちに・・・混合し、・・・インキュベートする。次にサンプルを・・・溶解し、直ちに・・・冷却し約4℃にする。細胞残屑は・・・遠心分離によってペレット化し、透明溶解液を新しいチューブに移す。cAMP濃度は、市販の125I-cAMPラジオイムノアッセイ(RIA)キット(・・・)を用いて測定する。透明溶解液をcAMP RIAアッセイ緩衝液(キットに含まれる)中で1:100に希釈し、再度遠心分離する。得られた上清50μlを12×75mmのガラスチューブに移し、Wallac Cobra II Gammma Counter(・・・)を用いるシンチレーションカウントによってデータを収集する。EC_(50)の計算は、用量反応曲線の線状部分で線型回帰分析を用いて、又はData Fitterを用いて計算器で実施する。」(17頁21行?21頁13参照;参照公報段落【0032】?【0037】)

(f)「実施例1?10
上記のインビトロヒトEP1、ラットEP2、ヒトEP3、ラットEP4受容体結合アッセイ及び組換えラットEP4受容体を安定的に過剰発現している293S細胞株におけるサイクリックAMP上昇測定アッセイを用いて、以下の化合物を評価した。実施例1?8及び10で使用された化合物は、2001年11月29日公開の米国特許出願公開US2001/0047105に記載のように調製した。

実施例1
米国特許出願公開US2001/0047105の実施例1の手順に従って調製した7-{2S-[4-(3-クロロ-フェニル)-3R-ヒドロキシ-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル}-ヘプタン酸は、結合アッセイでIC_(50)が22nM(ラットEP_(4))及び>3200nM(ラットEP_(2)、ヒトEP_(1)、EP_(3))、そしてcAMP(ラットEP_(4))上昇アッセイでEC_(50)が8.8nMであることが分かった。

実施例2
米国特許出願公開US2001/0047105の実施例2の手順に従って調製した7-{2S-[3R-ヒドロキシ-4-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル}-ヘプタン酸は、結合アッセイでIC_(50)が21nM(ラットEP4)、2760nM(ラットEP_(2))、及び>3200nM(ヒトEP_(1)、EP_(3))、そしてcAMP(ラットEP_(4))上昇アッセイでEC_(50)が13.2nMであることが分かった。

実施例3
米国特許出願公開US2001/0047105の実施例3の手順に従って調製した5S-[4-(3-クロロ-フェニル)-3-ヒドロキシ-ブチル]-1-[6-(2H-テトラゾール-5-イル)-ヘキシル]-ピロリジン-2-オンは、結合アッセイでIC_(50)が38nM(ラットEP_(4))、2370nM(ラットEP_(2))、及び>3200nM(ヒトEP_(1)、EP_(3))、そしてcAMP(ラットEP_(4))上昇アッセイでEC_(50)が33.1nMであることが分かった。

実施例4
米国特許出願公開US2001/0047105の実施例4の手順に従って調製した5S-[3R-ヒドロキシ-4-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-ブチル]-1-[6-(2H-テトラゾール-5-イル)-ヘキシル]-ピロリジン-2-オンは、結合アッセイでIC_(50)が33nM(ラットEP_(4))、及び>3200nM(ラットEP_(2)、ヒトEP_(1)、EP_(3))、そしてcAMP(ラットEP_(4))上昇アッセイでEC_(50)が70.2nMであることが分かった。

実施例5
米国特許出願公開US2001/0047105の実施例5の手順に従って調製した5-[4-(4-フルオロ-フェニル)-3-ヒドロキシ-ブチル]-1-[6-(2H-テトラゾール-5-イル)-ヘキシル]-ピロリジン-2-オンは、結合アッセイでIC_(50)が508nM(ラットEP_(4))、及び>3200nM(ラットEP_(2)、ヒトEP_(1)、EP_(3))であることが分かった。
・・・
実施例7
米国特許出願公開US2001/0047105の実施例7の手順に従って調製した5-[4-(3-フルオロ-フェニル)-3-ヒドロキシ-ブチル]-1-[6-(2H-テトラゾール-5-イル)-ヘキシル]-ピロリジン-2-オンは、結合アッセイでIC_(50)が96nM(ラットEP_(4))、及び>3200nM(ラットEP_(2))、そしてcAMP(ラットEP_(4))上昇アッセイでEC_(50)が200nMであることが分かった。

実施例8
米国特許出願公開US2001/0047105の実施例8の手順に従って調製した5S-[4-(3-クロロ-フェニル)-3R-ヒドロキシ-ブチル]-1-[6-(2H-テトラゾール-5-イル)-ヘキシル]-ピロリジン-2-オンは、結合アッセイでIC_(50)が28nM(ラットEP_(4))、及び>3200nM(ラットEP_(2))、そしてcAMP(ラットEP_(4))上昇アッセイでEC_(50)が24.6nMであることが分かった。

実施例9
7-(2-(3-ヒドロキシ-4-フェニル-ブチル)-5-オキソ-ピロリジン-1-イル)-ヘプタン酸は、結合アッセイでIC_(50)が54nM(ラットEP_(4))、及び>3200nM(ラットEP_(2)、ヒトEP_(1)、EP_(3))、そしてcAMP(ラットEP_(4))上昇アッセイでEC_(50)が32.5nMであることが分かった。

実施例10
米国特許出願公開US2001/0047105の実施例10の手順に従って調製した7-{2S-[3-ヒドロキシ-4-(3-フェノキシ-フェニル)-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル}-ヘプタン酸は、結合アッセイでIC_(50)が536nM(ラットEP_(4))、及び>3200nM(ラットEP_(2))であることが分かった。」(22頁9行?24頁5行を参照;参照公報段落【0086】?【0096】)

(ii)先願明細書に記載された発明
上記記載事項(a)の請求項1,4,及び13の記載によれば、先願明細書には、
緑内障又は高眼圧の治療法であって、その必要のある患者に、式I:(式Iの記載は省略する。)
[式中、
Qは、COOHであり;
Aは、単結合又はシス二重結合であり;
Bは、単結合又はトランス二重結合であり;
=Uは、=O、

であり;
R^(2)は、α-チエニル、フェニル、フェノキシ、モノ置換フェニル又はモノ置換フェノキシであり、前記置換基は、クロロ、フルオロ、フェニル、メトキシ、トリフルオロメチル及び(C_(1)-C_(3))アルキルからなる群から選ばれる]の化合物、そのプロドラッグ、又は該化合物もしくはプロドラッグの製薬学的に許容しうる塩を投与することを含む方法
が記載されており、
該化合物が4型(EP_(4))受容体選択的プロスタグランジン(PGE_(2))アゴニスト作用に基づき、緑内障または高眼圧の治療に有用であること(記載事項(b),(c),(e)及び(f))、選択的EP_(4)受容体アゴニスト化合物は、一般的に、製薬学的に許容しうるビヒクル又は希釈剤とともに含む医薬組成物の形態で投与されること、及び、一般的に、選択的EP_(4)受容体アゴニスト(式Iの化合物)は、緑内障または高眼圧の治療に十分である量で使用されること(記載事項(d))も記載されている。
すなわち、先願明細書には、QがCOOHである式Iの選択的EP_(4)受容体アゴニスト化合物を、緑内障または高眼圧の治療のために十分な量で含む緑内障又は高眼圧の治療のための医薬組成物を製造するために使用することが記載されていると言えるから、先願明細書には、
「式I:(式Iの記載は省略する。)
[式中、
Qは、COOHであり;
Aは、単結合又はシス二重結合であり;
Bは、単結合又はトランス二重結合であり;
=Uは、=O、

であり;
R^(2)は、α-チエニル、フェニル、フェノキシ、モノ置換フェニル又はモノ置換フェノキシであり、前記置換基は、クロロ、フルオロ、フェニル、メトキシ、トリフルオロメチル及び(C_(1)-C_(3))アルキルからなる群から選ばれる]の化合物を、該化合物を緑内障又は高眼圧の治療のために十分な量で含む緑内障又は高眼圧の治療のための医薬組成物を製造するために使用すること」(以下、「先願発明」ともいう。)
が、記載されていると言える。

(3)対比、判断
本願補正発明と先願発明を対比する。
先願発明の式Iの化合物は、本願補正発明の式IにおいてDとZが共有結合である場合に相当するものであるところ、先願発明の式Iの化合物(前者)の置換基Qは、本願補正発明の式Iの化合物(後者)の置換基RがHである場合のXに相当し、また、同様に、前者のA及びBの結合部位は、後者の破線のある結合部位にそれぞれ相当するし、前者の=U及び後者のYは、同じ部位の含酸素置換基であり、前者のR^(2)及び後者のR^(3)は、それぞれ、同じ部位の置換基である。
また、先願発明の医薬組成物中の式Iの化合物についての、「緑内障又は高眼圧の治療のために十分な量」は、本願補正発明の「処置有効量」とは同義であり、先願発明における「式Iの化合物を、・・・緑内障又は高眼圧の治療のための医薬組成物とすること」と、本願補正発明の「式Iで示される化合物の、高眼圧または緑内障を処置するための組成物の製造における使用」も同義である。
したがって、本願補正発明と先願発明とは、本願補正発明の一般式の形式にあわせて記載すると、
「処置有効量の下記式Iで示される化合物の、高眼圧または緑内障を処置するための組成物の製造における使用:

[式中、
ハッチングした線は、α配置を表し;
三角形の線は、β配置を表し;
波線は、α配置またはβ配置を表し;
破線は、二重結合の存在または不存在を表し;
Dは、共有結合を表し;
Xは、CO_(2)Rであり、
Yは、含酸素置換基であり;
Zは、共有結合であり;
Rは、Hであり;
R^(1)は、Hであり;
R^(3)は、置換基である。]」
で一致している。

そして、本願補正発明と先願発明とは、本願補正発明においては、上記式Iで表される化合物において、含酸素置換基Yが、R^(1)がHである、

であり、R^(3) が、フェニルの置換誘導体(ここで、置換基は、ハロゲン、およびCF_(3)から成る群から選択しうる。)から成る群から選択される置換基の組み合わせである化合物に特定されているのに対し、
先願発明においては、本願補正発明における式IにおけるYが、=O、

であり、R^(3) が、α-チエニル、フェニル、フェノキシ、モノ置換フェニル又はモノ置換フェノキシであり、前記置換基は、クロロ、フルオロ、フェニル、メトキシ、トリフルオロメチル及び(C_(1)-C_(3))アルキルからなる群から選ばれる置換基である化合物と特定されている点、および、
本願補正発明では、さらに、式Iの化合物から7-[2S-[3R-ヒドロキシ-4-(3-クロロフェニル)-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル]-ヘプタン酸および7-[2S-[3R-ヒドロキシ-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル]-ヘプタン酸を除く点で、両者は、定義の記載上、一応相違している。(以下、これらを、「一応の相違点」という。)

そこで、検討すると、先願明細書には、本願補正発明の置換基Yに相当する先願発明における式Iの=Uが、本願補正発明と同様のOH基を含む化学構造である場合の化合物に関し、7-{2S-[4-(3-クロロ-フェニル)-3R-ヒドロキシ-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル}-ヘプタン酸及び7-{2S-[3R-ヒドロキシ-4-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-ブチル]-5-オキソ-ピロリジン-1-イル}-ヘプタン酸が具体的に記載されており(記載事項(a)の請求項5及び同(f)の実施例1,2)、これは、本願補正発明におけるR^(3) に相当する基が、フェニルの置換誘導体であり、置換基が、ハロゲン(クロロ)、あるいは、トリフルオロメチルである化合物に相当する。
また、先願明細書には、本願補正発明とは置換基Xが異なる非光学活性化合物ではあるが、YとR^(3) が、本願補正発明の条件を満たす置換基の組み合わせからなる化合物として、本願補正発明のR^(3)に相当する基が4-フルオロ-フェニルあるいは3-フルオロ-フェニルである化合物も記載されている(記載事項(f)の実施例5,7)。
さらに、先願明細書には、先願発明における式Iの化合物が、2001年11月29日公開の米国特許出願公開US2001/0047105(これは、原審における引用文献2のファミリー文献に相当する。)に記載のように調製されることおよび、実施例化合物についての具体的な薬理活性データ(IC_(50),EC_(50)値)も記載されているのであるから、先願明細書には、本願補正発明において使用される化合物が、R^(3)がフェニルの(モノ)置換誘導体であって、置換基がハロゲン(クロロあるいはフルオロ)であり、かつ、Y置換基が本願請求項1に規定されるものである組み合わせからなる化合物が、高眼圧または緑内障を処置するための組成物の製造において使用できるものとして記載されているに等しい。
そして、本願補正発明では、前記一応の相違点(後者)にあるとおり、式Iの化合物から先願明細書に具体的に記載されていた上記実施例1,2の化合物が除外されているが、先願明細書の記載によれば、例えば、本願補正発明のR^(3)に相当するフェニルの置換誘導体の置換基がフルオロである化合物や、クロロ等の置換基の置換位置が異なる化合物についても記載されているに等しいと言え、先願発明を、式Iの化合物の一部の態様にすぎない実施例1,2に記載の2種の化合物のみに限定して解釈するべき根拠も見いだせないから、本願補正発明において、高眼圧または緑内障を処置するための組成物の製造において使用される式Iの化合物が、本願請求項1に記載された特定の置換基の組み合わせである場合の本願補正発明は、依然として先願明細書に記載されているに等しいと言える。

さらに、請求人は、本願補正発明の効果に関連して、回答書において、
「本願明細書の表1および2から明らかなとおり、本願明細書の「実施例1」(本願請求項1から除外した化合物でかつ引用文献9(当審注;本審決において引用された出願に相当する。)の実施例1の化合物に相当)と「実施例1a」の化合物、「実施例5」(本願請求項1から除外した化合物でかつ引用文献9の実施例2の化合物に相当)と「実施例5a」の化合物とを比較するとそれぞれ以下のとおりとなり、本願発明の化合物が顕著に高い効果を奏するものであることが明らかです。 ・・・
以上のとおり、本願発明(当審注;審決における「本願補正発明」に相当する。)の化合物は引用文献9および11に記載の化合物とは同一ではなく、本願発明は新規性を有します。」(回答書の理由[B]について)
と、主張する。
そして、この請求人の主張は、本願補正発明が選択発明を構成するとの趣旨であると解されるが、そもそも、本願補正発明において使用される化合物は上記2種に限定されるものではないし、先願発明の式Iの化合物は、本願補正発明と同様に高眼圧症又は緑内障の治療のための組成物の製造に使用されるものであるところ、本願明細書の記載を検討しても、本願補正発明が、使用する化合物群として、先願発明の化合物群に比べて顕著に効果が優れるもののみを選択したものに相当するとも認められない。
したがって、請求人の主張は採用できない。

また、本件出願の発明者(ディビッド・ダブリュー・オールド、ダニー・タン・ディン及びロバート・エム・バーク)は、その出願前の上記引用特許出願に係る発明をした者(キャメロン,キンバリー・オキーフェ及びレフカー,ブルース・アレン)と同一ではなく、また本件の出願時において、出願人(アラーガン インコーポレイテッド)が上記引用特許出願の出願人(ファイザー・プロダクツ・インク)と同一でもない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、先願明細書に記載された発明と同一であると言えるので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない(同法第184条の13参照)。
よって、本願補正発明は、出願の際独立して特許を受けることができるものとはいえない。

4.補正却下についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、第2[理由]2.」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2.引用出願の明細書に記載される事項
原査定の拒絶の理由に引用された特許出願(先願)及び先願の国際出願日における明細書又は請求の範囲の記載(先願明細書)の記載事項は、前記「第2[理由]3.(2)」に記載したとおりであり、また、先願の優先権主張が有効であることは、同3.(1)に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2[理由]2.」に記載した本願補正発明における、高眼圧または緑内障を処置するための組成物の製造に使用される式Iの化合物において、置換基D,X,Y,Z,R,R^(1)-R^(3)を、本願補正発明における式Iの置換基定義を包含する、より広範囲の選択肢を含むように定義し、また、本願補正発明において特定の化合物を除くと規定する発明特定事項を省いたものであるから、本願発明が、本願補正発明を包含するものであることは明らかである。
そうすると、本願補正発明が、前記「第2[理由]3.(3)及び(4)」に記載したとおり、先願明細書に記載された発明と同一なのであるし、本件出願の発明者及び出願人が、その出願前の引用出願に係る発明者及び出願人と同一でもないこともすでに記載したとおりであるから、本願発明も同様に、先願明細書に記載された発明と同一である。

4.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、先願明細書に記載された発明であると言えるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-02-26 
結審通知日 2014-03-03 
審決日 2014-03-19 
出願番号 特願2004-505329(P2004-505329)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61K)
P 1 8・ 161- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 智雄  
特許庁審判長 内田 淳子
特許庁審判官 渕野 留香
増山 淳子
発明の名称 眼圧降下剤としての8-アザプロスタグランジン類似体  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 市川 さつき  
代理人 浅井 賢治  
代理人 箱田 篤  
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