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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1292005
審判番号 不服2011-26295  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-05 
確定日 2014-09-18 
事件の表示 特願2001-518089「身体への虫寄生の治療法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年3月1日国際公開、WO01/13954、平成15年 2月25日国内公表、特表2003-507436〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1 手続の経緯
本願は、平成12年8月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1999年8月19日、米国)を国際出願日とする出願であって、以降の手続の経緯は以下のとおりのものである。

平成22年 7月30日付け 拒絶理由通知書
平成23年 2月 7日 意見書・手続補正書
平成23年 7月29日付け 拒絶査定
平成23年12月 5日 審判請求書・手続補正書
平成24年 2月13日 手続補正書(請求の理由)
平成25年 7月 5日付け 審尋
平成26年 1月10日 回答書

2 平成23年12月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年12月5日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の請求項1に記載された発明
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1の
「【請求項1】身体への虫寄生を治療するための組成物を製造するためのシリコーンの使用であって、組成物はシリコーンを50容量%より多く含み、組成物は25ダイン/センチメートル(20℃)未満の表面張力を有し、かつ、組成物は虫寄生におけるすべての虫を5分から10分以内に完全に殺生する該使用。」を、
「【請求項1】身体への虫寄生を治療するためのシャンプーを製造するためのシリコーンの使用であって、シャンプーはシリコーンを50容量%より多く含み、シリコーンは25ダイン/センチメートル(20℃)未満の表面張力及び200センチストークス(20℃)より高い粘度を有し、かつ、シャンプーは虫寄生におけるすべての虫を5分から10分の適用によって完全に殺生する該使用。」
(下線は補正箇所を示す。)とする補正を含むものである。

上記補正は、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「身体への虫寄生を治療するための組成物」を「身体への虫寄生を治療するためのシャンプー」に限定し、また「シリコーン」を粘度が「200センチストークス(20℃)より高い粘度」のものに限定するものであって、その補正の前後において、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であると認められるから、特許法第17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、さらに「すべての虫を5分から10分以内に完全に殺生する」を「すべての虫を5分から10分の適用によって完全に殺生する」とする補正は同法17条の2第4項4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当するものと認められる。
そこで、本件補正後の請求項1に記載した発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用例の主な記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布されたことが明らかな特開昭54-5027号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。

(2-1)「(1)外部寄生体またはその卵を駆除する必要があると信ぜられる動物または人間に対して、約20,000センチストークス以下の粘度を有する少なくとも1種の直鎖状シロキサン重合体を毒物効果をあらわす量適用することを特徴とする外部寄生体またはその卵を駆除する方法。」(特許請求の範囲の請求項1)
(2-2)「(8)活性毒物として、約20,000センチストークス以下の粘度を有する少なくとも1種の直鎖状シロキサン重合体を使用することを特徴とする活性毒物と、その毒物用の不活性素材と認められる担持体とからなる外部寄生体あるいは卵の撲滅毒組成物。」(特許請求の範囲の請求項8)
(2-3)「(4)さらに、前記重合体はジメチコンまたはフェニルジメチコンであることを特徴とする特許請求の範囲請求項1に記載する方法。」(特許請求の範囲の請求項4)
(2-4)「3.発明の詳細な説明
現在商業的に利用できるしらみ撲滅剤は、ただ比較的少ない。・・・。公知の外部寄生体の毒物の幾つかについて、全体の安全性に関する関心がたかまったので、新しい安全かつ効果のあるしらみ撲滅剤研究が最近強化された。」(公報2頁左下欄下から4行?右下欄10行)
(2-5)「直鎖状シロキサン重合体がしらみおよび/または卵撲滅作用を示すことが、今回発見された。」(公報2頁右下欄下から3行?下から2行)
(2-6)「本発明の毒物は約20,000センチストークス以下の粘度を有する直鎖シロキサン重合体であり、粘度は好ましくは約1,000センチストークスであり、もっとも好ましくは約1,000センチストークス、またはそれ以下である。この重合体では、Rは各々独立したアルキルまたはアリルであるR_(2)・SiO_(2)単位の繰返しであることを特徴としている。最も商業的に利用されるポリシロキサン中では、R基は通常メチルまたはメチルとフェニルとの組合せ、すなわちジメチコン(ジメチルポリシロキサンのCTFA公式名称)またはフェニルジメチコンである。」(公報3頁左上欄12行?同頁右上欄3行)
(2-7)「本発明の毒物重合体の1種またはそれ以上を、活性毒素生物中に配合し、公知技術の手順より不活性として認められる担持体によって、液状、粉体、ローション、クリーム、ゲルまたはエアロゾルスプレイの形にできる。液状であってもなくても、活性配合剤に対して不活性な薬剤とみとめられる担持体はどれでも使用できる。不活性という意味は、担持体が活性配合剤のしらみまたは卵撲滅毒物作用に対して実質的に不利な影響を与えないということである。」(公報3頁右上欄10行?下から2行)
(2-8)「活性重合体は毒物組成物中に配合され、このような処理を必要とする基質(人間または動物)を処理するに用いられ、このような処置は必要と信ぜられまた効果のあがる毒物量で予防的に防護されることが望まれている。その量とは、この外部寄生体を後に述べる2分間浸漬試験に曝すとその少なくとも50%が、しらみの場合、24時間以内に、卵の場合、2週間以内に死亡する量という意味である。効果のある毒物量を供給するに必要な重合体の極少濃度は、特定重合体、特定不活性薬剤とにみとめられる使用担持体ならびに現存する他のどの配合剤によつても著しく変化する。だから効果的毒物投与をえるためには、ある場合には10%濃度で十分である一方、他の場合では25%程度の濃度が必要である。通常、この重合体は約5?100%の濃度で使用され、もっとも好ましくは約10?100%である。」(公報3頁右上欄最下行?左下欄下から5行)
(2-9)「上記の二分間浸漬試験は次のように行われる:
しらみ撲滅作用:50mlのビーカーを水道水で満たし、室温(約24℃)にさせる。同一年令、同一コロニイからの10匹の若い雄しらみ成虫と10匹の若い雌しらみ成虫(ペジキュラス、ヒュマナス、コルポリス、Pediculus humanus corporis)を2x2cmの粗い網片上に置く。・・・。網片は、試料を注いだ後、直ちに浸透させ、2分間後、取除きかつ直ちに水道水を含むビーカー中に投入する。・・・。
卵撲滅作用:5?10日の年令の15匹の雌しらみ(ペジキュラス、ヒュマナス、コルポリス)を磁製皿中に置かれた2x2cmナイロン網片上に置き、蔽をして30℃のふ卵器中に24時間保持する。・・・。注入後、直ちに網片をビーカー中に入れて浸漬し、2分間後取除き、直ちに、室温(約24℃)で水道水を含む50mlのビーカーに投入する。・・・。
本発明の種々の毒物のしらみ撲滅または卵撲滅作用は上述の2分間浸漬試験にて試験された。」(公報3頁右下欄3行?4頁右上欄1行)
(2-10)「この重合体は、うすめない形(UD)、または15%の重合体、25%のイソプロパノールおよび60%水性保持体を含む組合わせ物(C)として評価された。




(公報4頁右上欄2行?下から5行)
(2-11)「種々のポリシロキサンのしらみ撲滅作用を、25%イソプロパノール、7%ポリソルベート80、乳化剤および残部が水の組成物中で濃度の関数として研究し、下に示す結果を得た。」(公報4頁右上欄下から4行?最下行)
(2-12)「



(公報4頁右下欄の上半分の表)
(2-13)「上記から明白のように、試験したジメチコンに対する粘度範囲100-1000センチストークスは、15%重量%以下にて最高のしらみ撲滅作用を示す。」(公報5頁左上欄最下行?右上欄2行)

(3)対比
上記(2-1)、(2-2)及び(2-6)の記載からみて、引用例には、約20,000センチストークス以下の粘度を有するジメチコン(=ジメチルポリシロキサン)を包含する直鎖状シロキサン重合体を含有する外部寄生体あるいは卵の撲滅毒組成物が記載され、また(2-7)には、この組成物の形態として液状のものが例示されていることから、引用例には、「約20,000センチストークス以下の粘度を有するジメチルポリシロキサンを含有する外部寄生体あるいは卵の撲滅用の液状組成物」の発明が記載されていると認められる。
これを、本願補正発明の記載に倣って書き換えると、
「外部寄生体あるいは卵の撲滅用の液状組成物を製造するためのジメチルポリシロキサンの使用であって、ジメチルポリシロキサンは約20,000センチストークス以下の粘度を有し、かつ、液状組成物は外部寄生体あるいは卵を撲滅する該使用」(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

ここで、引用例における「外部寄生体」は、しらみを主として意図していることは上記(2-4)、(2-5)、(2-9)?(2-13)の記載から明らかであるから、本願補正発明の「身体への虫寄生」に相当し、また「撲滅」とは完全に殺生することを包含することは上記(2-8)、(2-12)及び(2-13)から明らかであり、さらにジメチルポリシロキサンがシリコーンの代表的なものの一つであることを考慮すると、本願補正発明と引用発明とは、
「身体への虫寄生を治療するための液状組成物を製造するためのシリコーンの使用であって、液状組成物はシリコーンを有効量含み、シリコーンは一定の粘度を有し、かつ、液状組成物は虫寄生におけるすべての虫を完全に殺生する該使用」に関する点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
前者においては、液状組成物の形態がシャンプーであるのに対して、後者においては特にシャンプーについて言及していない点。

(相違点2)
前者においては、シリコーンの配合量を50容量%より多く含むのに対して、後者においてはシリコーンの配合量について記載のない点。

(相違点3)
前者においては、シリコーンの粘度を200センチストークス(20℃)より高い粘度と規定しているのに対して、後者においては約20,000センチストークス以下と規定している点。

(相違点4)
前者においては、シリコーンの表面張力を25ダイン/センチメートル(20℃)未満と規定しているのに対して、後者においては表面張力を特に規定していない点。

(相違点5)
前者においては、虫寄生におけるすべての虫を5分から10分の適用によって完全に殺生するのに対して、後者においては適用時間と虫の殺生の程度について規定のない点。

(4)当審の判断
そこで、上記各相違点について以下に検討する。

(相違点1について)
シラミ(引用例では「しらみ」と記載しているが、単にカタカナとひらがなという、表記上の差違にすぎないので、以降はいずれについても「シラミ」と記載する)等の頭部における寄生を除去するための液状組成物の形態として、シャンプーは従来から慣用されてきた形態(必要であれば、例えば、特開平10-81616号公報、特開平4-211005号公報、及び特表平6-501699号公報等参照)であり、また本願補正発明においてシャンプーとするに際して格別の創意工夫を凝らしたわけではない。
わずかに本願明細書の段落【0007】にシャンプーの「他の成分は、シリコーンの有効性を妨げるかもしれず、従って、高濃度又は純粋状態でシリコーンを用いることが好ましいと考えられる。」と記載するのみであり、「他の成分」が妨げる可能性にふれるものの、どのように妨げるかについては何も解明しておらず、その解決手段としても単にシリコーンの濃度を高濃度又は純粋状態にするというだけであるから、液状組成物の形態としてシャンプーを選定することに格別の困難性は認められない。

(相違点2について)
引用例においては、シリコーンの配合量について、「2分間浸漬試験」を行いその少なくとも50%が、シラミの場合24時間以内に死亡する場合を効果のある毒物量と記載されている(上記(2-8))が、同時に「効果のある毒物量を供給するに必要な重合体の極少濃度は、特定重合体、特定不活性薬剤とにみとめられる使用担持体ならびに現存する他のどの配合剤によっても著しく変化する。だから効果的毒物投与をえるためには、ある場合には10%濃度で十分である一方、他の場合では25%程度の濃度が必要である。通常、この重合体は約5?100%の濃度で使用され、もっとも好ましくは約10?100%である。」(上記(2-8))とも記載されており、シリコーンの配合量は担持体の種類などにより著しく変化し得ることが記載され、その範囲として50%を超える範囲を包含する10?100%を推奨しているものである。
請求人は、平成26年1月10日付け回答書の3.(iv)において、引用例には15重量%のシリコーン濃度によって高いシラミ撲滅作用(死亡率100%)を示すことなどから、引用例に関連してシリコーンの濃度をさらに増加させる動機付けは何ら存在しない旨、主張している。しかしながら、シラミを100%死亡させうる配合量は、上記のように多くの要因により変化するうえに、さらに対象となるシラミの種類によっても変化しうるものである。
引用例で使用されているシラミがPediculus humanus corporis、すなわちコロモジラミ(上記(2-9))であるのに対して、本願明細書で具体的に記載されているのはコロモジラミではなくアタマジラミ(Pediculus humanus humanus)である(本願明細書段落【0009】?【0011】、なお、対応する米国特許6,683,065号はそのクレームはすべてアタマジラミを対象とするものである。)ことも引用例で実際の配合量が少なくて済む要因の可能性があり、そのようなことから、引用例も10?100%という幅のある配合量を推奨している。
してみると、対象となるシラミの種類、担持体の種類などを総合的に考慮して、50%より多くの配合量を選定することは、当業者であれば適宜可能なことでありそこに格別の困難性は認められない。

(相違点3について)
前者がシリコーンの粘度について「200センチストークス(20℃)より高い」として粘度の下限を規定しているのに対して、後者においては、「約20,000センチストークス以下」と上限を規定しているが、前者においては350センチストークスのシリコーンを実施例において使用しているのに対して、後者においてもシリコーン(ジメチコン)としてその粘度が100センチストークスのものから12,000のものまで記載しており、両者における粘度は、後者における100センチストークスのジメチコンを除き、いずれも上記上限と上記下限の間に位置するものであるから、この点に実質的な相違は存在しない。
ここで、後者において100センチストークスのジメチコンでも効果が得られたというのは、後者における試験方法が2分間浸漬試験という試験方法を採用しているため、付着力の影響がそれほど生じないためと考えられる。
(なお、引用例においては粘度の測定温度が記載されていないが、一般に常温で測定されるものと考えられるので、20℃で測定されたものと同程度の数値と判断される。)

(相違点4について)
引用例において、「約20,000センチストークス以下」のシリコーン(直鎖状シロキサン重合体)の具体例として、100、350、1000センチストークス等の粘度を有するジメチコンが用いられているが、本願明細書で用いられたダウコーニング社のジメチコンのシリコーンである「SH200オイル」の技術資料によると、100、350、1000センチストークスの粘度を有するジメチコンの表面張力は、それぞれ20.9、21.1、21.2ダイン/センチメートル(mN/m)であるから、引用例で用いられたシリコーン(直鎖状シロキサン重合体)も、本願明細書に記載のシリコーン(ダウコーニング200流体、350CST)とほぼ同一の表面張力を有するものと判断される。
実際、ジメチコン、すなわちジメチルポリシロキサンの表面張力は、粘性にかかわりなく、一般に25ダイン/センチメートル以下であるから、表面張力について、両者で使用されるシリコーンに差違は認められない。
(なお、引用例においては表面張力の測定温度が記載されていないが、一般に常温で測定されるものと考えられるので、20℃で測定されたものと同程度の数値と判断される。)

(相違点5について)
シャンプーとして使用する場合、その適用時間を5?10分とすることは、シャンプーを行う通常の時間を考慮しつつ、適宜選択しうることであり、その適用により虫寄生におけるすべての虫を完全に殺生することは、上記シリコーンの配合量を選択することで容易に達成し得るものであるから、この点にも格別の困難性は認められない。

(本願補正発明の効果について)
本願補正発明の構成を採用することで達成される効果についても、液状組成物の形態としてとくにシャンプーを選定することで格別顕著な効果が奏されているというわけではなく、単に液状組成物の一態様として従来から慣用されている形態を採用した以上の効果を奏しているものではない。
また、本願の明細書中には、特定の物性を有するシリコーンを50容量%を超えて配合してシャンプーとする実施例は存在しないので、その効果が格別顕著なものであるとはいえない。
(なお、実施例1は「コンパウンド」であって、シャンプーではない。)

(まとめ)
よって、本願補正発明は、引用例に記載された発明および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3 本願発明について
平成23年12月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成23年2月7日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「【請求項1】身体への虫寄生を治療するための組成物を製造するためのシリコーンの使用であって、組成物はシリコーンを50容量%より多く含み、組成物は25ダイン/センチメートル(20℃)未満の表面張力を有し、かつ、組成物は虫寄生におけるすべての虫を5分から10分以内に完全に殺生する該使用。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその主な記載事項は、上記「2(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記「2」で検討した本願補正発明における「シャンプー」を包含する「組成物」に係るものであって、シリコーンの粘度の限定がないものであるから、本願補正発明を包含するものである。
なお、本願発明の「虫寄生におけるすべての虫を5分から10分以内に完全に殺生する」との記載は、「実施例に示される態様に正確に対応するように記載を改める」(平成24年2月13日付けの手続補正書(請求の理由))と、本願補正発明の「虫寄生におけるすべての虫を5分から10分の適用によって完全に殺生する」となることから、本願発明が本願明細書に記載された事項の範囲内のものであることを前提とすれば、本願発明と本願補正発明の間の相違点とはならない。
そうすると、本願発明に含まれる本願補正発明が、前記「2(4)」に記載したとおり、引用例に記載された発明および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様にして、引用例に記載された発明および周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-22 
結審通知日 2014-04-23 
審決日 2014-05-08 
出願番号 特願2001-518089(P2001-518089)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 光本 美奈子▲高▼岡 裕美  
特許庁審判長 田村 明照
特許庁審判官 川口 裕美子
齋藤 恵
発明の名称 身体への虫寄生の治療法  
代理人 大塚 文昭  
代理人 箱田 篤  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 西島 孝喜  
代理人 中村 稔  

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