• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1292061
審判番号 不服2012-23346  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-11-26 
確定日 2014-09-17 
事件の表示 特願2009-276518「コード解析による応用プログラムの自動駆動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 6月17日出願公開、特開2010-134932〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成21年12月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年12月5日、大韓民国)を出願日とする出願であって、平成21年12月4日付けで審査請求がなされ、平成24年4月2日付けで拒絶理由通知(同年4月6日発送)がなされ、同年7月4日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされ、同年7月25日付けで拒絶査定(同年7月27日謄本送達)がなされたものである。
これに対して、『「原査定を取り消す。本願の発明は特許すべきものとする。」、との審決を求める。』ことを請求の趣旨として、平成24年11月26日付けで本件審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。
そして、平成25年1月16日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、同年4月15日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋(同年4月16日発送)がなされたが、請求人からの応答がなかったものである。

2.本願発明

本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成24年11月26日付け手続補正書により補正された明細書及び特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「識別手段からのコード認識のための応用プログラムを駆動するステップと、
認識されたコードの解析要請に対するコード解析応答をコード解析サーバから受信するステップと、
前記コード解析応答に含まれた情報に基づいて特定サービスの当該応用プログラムを駆動するステップと、を含み、
前記コード解析サーバは、特定コードに対応するサービス接続情報及び応用プログラム識別情報がマッチングされたコード情報を管理し、
前記コード解析応答に含まれた特定サービスの接続情報に基づいて、当該サービス提供サーバに接続を要請して利用するステップをさらに含むことを特徴とする応用プログラムの自動駆動方法。」

3.引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

(1)引用文献1

本願の優先日前に頒布され、上記平成24年4月2日付けの拒絶理由通知において引用された文献である、国際公開2006/090460号(2006年8月31日国際公開、以下、「引用文献1」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

A 「[0006]
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、無線ICタグを用いることで、ユーザが意識することなく簡単な操作で、その場で使用するアプリケーションS/Wを自動的に起動できる携帯情報端末を得ることを目的とする。」

B 「[0020]
次に動作について説明する。
図5はこの発明の実施の形態1による携帯情報端末の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップST101において、ユーザ操作部15のキー押下等のユーザ操作を受けた制御部11の指示により、アプリケーションS/W選択部111は処理を開始する。ここでは、ユーザ操作なしに、ある一定時間間隔で、これ以降の処理が自動的に行われるとしても良い。
[0021]
ステップST102において、無線ICタグリーダ部12は、アプリケーションS/W選択部111の指示に基づき、無線ICタグ21に制御信号を送信し、無線ICタグ21の個体識別コード211を取得してアプリケーションS/W選択部111に通知する。・・・(後略)」

C 「[0040]
次に動作について説明する。
図13はこの発明の実施の形態2による携帯情報端末の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップST201及びステップST202の処理は、上記実施の形態1の図5に示すステップST101及びステップST102の処理と同じである。」

D 「[0042]
ステップST205において、アプリケーションS/W選択部111は、アプリケーションS/W情報記憶部131に格納されているアプリケーションS/W情報テーブルより、個体識別コード211に含まれている属性コードをキーとして、機器種別、アプリケーションS/WのS/W名、ファイル名を取得してアプリケーションS/W実行部112に通知し、アプリケーションS/W実行部112は、ファイル名に基づき、アプリケーションS/Wファイル記憶部132に格納されている各種アプリケーションS/Wの実行形式のファイルを読み込んで起動する。」

E 「[0061]
次に動作について説明する。
図16はこの発明の実施の形態3による携帯情報端末の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップST301及びステップST302の処理は、上記実施の形態2の図13に示すステップST201及びステップST202の処理と同じである。」

F 「[0062]
ステップST303において、アプリケーションS/W選択部111は、アプリケーションS/W情報記憶部131に格納されている図10に示すアプリケーションS/W情報テーブルに、個体識別コード 211に含まれる属性コードが登録されているか否かを調ベる。属性コードが登録されていない場合にはステップST304に進み、属性コードが登録されている場合にはステップST308に進む。

G 「[0063]
ステップST304において、アプリケーションS/W取得部181は、アプリケーションS/W選択部111の指示に基づき、端末識別情報記憶部135に格納されている携帯情報端末1の端末識別情報を取得して、属性コードと共に、アプリケーションS/W配信サーバ3のアプリケーションS/W配信部31へ送信し、属性コードと端末識別情報に対応するアプリケーションS/Wが登録されているか否かの問い合わせを行う。
[0064]
ステップST305において、アプリケーションS/W配信部31は、アプリケーションS/W配信サーバ3に、受信した属性コードと端末識別情報に対応するアプリケーションS/Wが登録されているか否かを調べる。アプリケーションS/Wが登録されていない場合にはステップST306に進み、アプリケーションS/Wが登録されている場合にはステップST307に進む。
・・・(中略)・・・
[0065]
ステップST307において、アプリケーションS/W取得部181は、アプリケーションS/W配信部31より、登録されているアプリケーションS/W情報、アプリケーションS/Wファイル、関連する属性別情報及び個体別情報を、アプリケーションS/W取得部181を介して取得し、制御部11が記憶部13内のアプリケーションS/W情報記憶部131、アプリケーションS/Wファイル記憶部132、属性別情報記憶部133及び個体別情報記憶部134に格納して、ステップST308に進む。
[0066]
ステップST308からステップST315の各処理は、上記実施の形態2の図13におけるステップ ST205からステップST212の各処理と同じである。」

H 「請求の範囲
[1]
外部の無線ICタグから所定のアプリケーションS/Wに関連付けられた個体識別コードを受信する無線ICタグリーダ部と、
記憶されている複数のアプリケーションS/Wの中から、上記無線ICタグリーダ部により受信された個体識別コードに関連付けられたアプリケーションS/Wを選択するアプリケーションS/W選択部と、
該アプリケーションS/W選択部により選択されたアプリケーションS/Wを実行するアプリケーションS/W実行部とを備えた携帯情報端末。」

J 「アプリケーションS/W情報テーブルの一例を示す図」である図10において、“属性コードに対応させて、機種種別、アプリケーションS/W名、アプリケーションS/Wファイル名が格納されている”態様がよみとれる。

ここで、上記引用文献1に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Aの「この発明は・・・無線ICタグを用いることで、ユーザが意識することなく簡単な操作で、その場で使用するアプリケーションS/Wを自動的に起動できる・・・ことを目的とする」との記載からすると、引用文献1には、
“アプリケーションS/Wの自動起動方法”
が記載されていると解される。

(イ)上記Eの「図16はこの発明の実施の形態3による携帯情報端末の処理の流れを示すフローチャート・・・ステップST301及びステップST302の処理は、上記実施の形態2の図13に示すステップST201及びステップST202の処理と同じ」との記載、上記Cの「図13はこの発明の実施の形態2による携帯情報端末の処理の流れを示すフローチャート・・・ステップST201及びステップST202の処理は、上記実施の形態1の図5に示すステップST101及びステップST102の処理と同じ」との記載、上記Bの「図5はこの発明の実施の形態1による携帯情報端末の処理の流れを示すフローチャート・・・ステップST101において・・・アプリケーションS/W選択部111は処理を開始する・・・ステップST102において、無線ICタグリーダ部12は、アプリケーションS/W選択部111の指示に基づき・・・無線ICタグ21の個体識別コード211を取得してアプリケーションS/W選択部111に通知する」との記載、上記Hの「外部の無線ICタグから所定のアプリケーションS/Wに関連付けられた個体識別コードを受信する無線ICタグリーダ部」との記載からすると、引用文献1に記載されている方法が、
“無線ICタグリーダ部により受信された個体識別コードを取得するアプリケーションS/W選択部を開始するステップ”を含む
態様が記載されていると解される。

(ウ)上記Hの「外部の無線ICタグから所定のアプリケーションS/Wに関連付けられた個体識別コードを受信する」との記載、上記Fの「個体識別コード 211に含まれる属性コード」との記載、上記Gの「ステップST304において・・・アプリケーションS/W選択部111の指示に基づき・・・属性コードと共に、アプリケーションS/W配信サーバ3・・・へ送信し、属性コード・・・に対応するアプリケーションS/Wが登録されているか否かの問い合わせを行う・・・アプリケーションS/Wが登録されている場合には・・・ステップST307において・・・アプリケーションS/W配信部31より、登録されているアプリケーションS/W情報、・・・、関連する属性別情報・・・を、アプリケーションS/W取得部181を介して取得」との記載からすると、引用文献1に記載されている方法が、
“受信した個体識別コードに含まれる属性コードをアプリケーションS/W配信サーバへ送信し、当該属性コードに対応するアプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報を、前記アプリケーションS/W配信サーバから取得するステップ”を含む
態様が記載されていると解される。

(エ)上記(ウ)における検討内容、上記Jの“アプリケーションS/W情報テーブル・・・属性コードに対応させて・・・アプリケーションS/Wファイル名が格納されている”態様、上記Eの「図16はこの発明の実施の形態3による携帯情報端末の処理の流れを示すフローチャート」との記載、上記Gの「ステップST308・・・の・・・処理は、上記実施の形態2の図13におけるステップ ST205・・・の・・・処理と同じ」との記載、上記Dの「ステップST205において、アプリケーションS/W選択部111は・・・個体識別コード211に含まれている属性コードをキーとして・・・アプリケーションS/Wの・・・ファイル名を取得してアプリケーションS/W実行部112に通知し、アプリケーションS/W実行部112は・・・アプリケーションS/Wの実行形式のファイルを読み込んで起動する」との記載からすると、引用文献1に記載されている方法が、
“アプリケーションS/W配信サーバから受信したアプリケーションS/W情報に含まれるアプリケーションS/Wのファイル名を取得して当該アプリケーションS/Wの実行形式のファイルを読み込んで起動するステップ”を含む
態様が記載されていると解される。

(オ)上記Gの「ステップST304において・・・アプリケーションS/W選択部111の指示に基づき・・・属性コードと共に、アプリケーションS/W配信サーバ3・・・へ送信し、属性コード・・・に対応するアプリケーションS/Wが登録されているか否かの問い合わせを行う・・・アプリケーションS/Wが登録されている場合には・・・ステップST307において・・・アプリケーションS/W配信部31より、登録されているアプリケーションS/W情報、・・・、関連する属性別情報・・・を、アプリケーションS/W取得部181を介して取得」との記載から、属性コードをアプリケーションS/W配信サーバへ送信し、当該属性コードに対応するアプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報を取得している態様が読み取れる。そして、アプリケーションS/W配信サーバが、受信した属性コードに対応するアプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報を送信できるということは、属性コードに対応するアプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報を、当該属性コードに対応付けられた情報として管理していることに他ならない。してみると、引用文献1には、
“アプリケーションS/W配信サーバは、属性コードに対応するアプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報を、属性コードに対応付けられた情報として管理”する
態様が記載されていると解される。

以上、(ア)ないし(オ)で指摘した事項を踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「無線ICタグリーダ部により受信された個体識別コードを取得するアプリケーションS/W選択部を開始するステップと、
受信した前記個体識別コードに含まれる属性コードをアプリケーションS/W配信サーバへ送信し、当該属性コードに対応するアプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報を、前記アプリケーションS/W配信サーバから取得するステップと、
前記アプリケーションS/W配信サーバから受信した前記アプリケーションS/W情報に含まれるアプリケーションS/Wのファイル名を取得して当該アプリケーションS/Wの実行形式のファイルを読み込んで起動するステップと、を含み、
前記アプリケーションS/W配信サーバは、前記属性コードに対応するアプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報を、属性コードに対応付けられた情報として管理することを特徴とするアプリケーションS/Wの自動起動方法。」

(2)引用文献2

本願の優先日前に頒布され、上記平成24年4月2日付けの拒絶理由通知において引用された刊行物である、特開2005-92469号公報(平成17年4月7日公開、以下、「引用文献2」という。)には、関連する図面(特に、図1)とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

K 「【技術分野】
【0001】
本発明はアプリケーション取得/起動システム、携帯端末装置及びそれらに用いるアプリケーション取得/起動方法に関し、特に端末装置がアプリケーションプログラムを取込んで起動する方法に関する。」

L 「【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態によるアプリケーション取得/起動システムの構成を示すブロック図である。図1において、本発明の実施の形態によるアプリケーション取得/起動システムは端末1と、データベースサーバ2と、アプリケーション取得先に対応するサーバ4-1?4-Mとから構成されており、端末1はデータベースサーバ2とサーバ4-1?4-Mとにそれぞれ無線接続されている。
【0019】
データベースサーバ2はデータベース3を備えており、データベース3には位置情報、アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションとする)識別子、アプリケーション取得先の組(位置情報1、アプリケーション識別子1、アプリケーション取得先1)?(位置情報N、アプリケーション識別子N、アプリケーション取得先N)が蓄積されている。
・・・(中略)・・・
【0021】
端末1は位置情報取得装置11によって位置情報P(1≦P≦N)を取得した場合、通信手段13を用いてデータベースサーバ2にアクセスし、データベースサーバ2を介して位置情報Pをキーとするデータベース3の検索を行う。端末1はこのデータベース3の検索の結果を基に、アプリケーション識別子Pとアプリケーション取得先Pとをデータベース3から取得する。
・・・(中略)・・・
【0023】
アプリケーションAQがアプリケーション格納領域12に存在しない場合、端末1はアプリケーション取得先Pと通信手段13とを用いてアプリケーション取得先Pに対応するサーバP’(1≦P’≦M)からアプリケーションPをダウンロードしてアプリケーション格納領域12に保存する。
【0024】
アプリケーションPを保存する際、端末1はアプリケーションPに関連付けてアプリケーション識別子P及びアプリケーション取得先Pをアプリケーション格納領域12に保存する。その後、端末1はアプリケーションPを起動する。
【0025】
このように、本発明の実施の形態は、端末1の位置情報に応じたアプリケーションを、データベース3と端末1のアプリケーション格納領域とに保存されているアプリケーションとその関連属性とから導き出し、導き出したアプリケーションを端末1内で起動することによって、ユーザの位置に応じて適切なアプリケーションを自動的に起動することができる。」

上記K及びLの記載からすると、引用文献2には、次の技術が記載されているものと認められる。

“取得した情報をキーとして、サーバからアプリケーション取得先に関する情報を取得し、当該取得したアプリケーション取得先からアプリケーションをダウンロードして自動的に起動する”技術

(3)引用文献3

本願の優先日前に頒布され、上記平成24年4月2日付けの拒絶理由通知において引用された刊行物である、特開2002-354561号公報(平成14年12月6日公開、以下、「引用文献3」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

M 「【0030】また、環境データ36bとして、パソコン3の起動に必要なユーザー名やパスワードと、OSの動作環境の設定に使用される環境情報とが設定されたものを説明したが、環境データ36bとして、特定のアプリケーションプログラムの動作環境を示す環境情報、例えばメールソフトで使用可能なアドレス帳や接続先の登録情報が、別途または追加して設定されていてもよい。その場合には、図3と同様の動作が行われ、前述したステップSA5の起動処理でメールソフトが立ち上げられた時点で、使用するアドレス帳や接続先を自動的な切り替えることができる。したがって、メールソフトを使用する際にユーザーにかかる操作上の負担が軽減できる。」

(4)引用文献4

本願の優先日前に頒布され、上記平成24年4月2日付けの拒絶理由通知において引用された刊行物である、特開2007-141091号公報(平成19年6月7日公開、以下、「引用文献4」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

N 「【0043】
なお、上記サービス特定情報としては、例えば設定対象のアプリケーション・プログラムを表す情報と接続先アドレスとの組み合わせが考えられるが、遠隔操作支援サービスの識別IDを通信ネットワークNW上の機器でサービス接続先に変換させる仕組み等も考えられる。ここでは、利用アプリケーション・プログラムと接続先アドレスを想定し、利用アプリケーション・プログラムを「ブラウザ」とすると共に、接続先アドレスを「http://www.Service.○○/Service1」とし、これらを併せて送信するものとする。
また、操作許可トークンとしてはその都度生成されるランダムな文字列のようなものでもよいが、セキュリティをより強化するために公開鍵暗号化方式を用いて上記ランダム文字列を暗号化するようにしてもよい。」

5.対比

ここで、引用発明と本願発明を対比する。

(1)引用発明の「無線ICタグリーダ部」及び「個体識別コード」は、それぞれ、本願発明の「識別手段」及び「コード」に相当する。また、引用発明の「アプリケーションS/W選択部」は、本願発明の「応用プログラム」に対応している。そして、引用発明の「無線ICタグリーダ部により受信された個体識別コードを取得するアプリケーションS/W選択部を開始する」こととは、アプリケーションS/W選択部を駆動して無線ICタグリーダ部から取得した個体識別コードを認識することといえるものである。
そうすると、引用発明の「無線ICタグリーダ部により受信された個体識別コードを取得するアプリケーションS/W選択部を開始するステップ」は、本願発明の「識別手段からのコード認識のための応用プログラムを駆動するステップ」に相当するといえる。

(2)引用発明の「アプリケーションS/W配信サーバ」は、本願発明の「コード解析サーバ」に対応する。また、引用発明の「個体識別コードに含まれる属性コード」は、無線ICタグリーダ部から受信したコード(個体識別コード)に基づきアプリケーションS/W選択部によって“認識されたコード”といえるものである。
そして、引用発明の「受信した前記個体識別コードに含まれる属性コードをアプリケーションS/W配信サーバへ送信し、当該属性コードに対応するアプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報を、前記アプリケーションS/W配信サーバから取得する」とは、受信した個体識別コードに含まれる属性コードをアプリケーションS/W配信サーバへ送信(本願発明の「解析要請」に相当)し、当該属性コードに対応する情報(本願発明の「コード解析応答」に相当)を受信していることに他ならない。
そうすると、引用発明の「受信した前記個体識別コードに含まれる属性コードをアプリケーションS/W配信サーバへ送信し、当該属性コードに対応するアプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報を、前記アプリケーションS/W配信サーバから取得するステップ」は、本願発明の「認識されたコードの解析要請に対するコード解析応答をコード解析サーバから受信するステップ」に相当するといえる。

(3)引用発明の「前記アプリケーションS/W配信サーバから受信した前記アプリケーションS/W情報」は、本願発明の「前記コード解析応答に含まれた情報」に相当する。
また、引用発明の「当該アプリケーションS/Wの実行形式のファイル」が、本願発明の「特定サービスの当該応用プログラム」に対応する。そして、引用発明の「アプリケーションS/W情報に含まれるアプリケーションS/Wのファイル名を取得して当該アプリケーションS/Wの実行形式のファイルを読み込んで起動する」とは、アプリケーションS/W情報に基づいて当該アプリケーションS/Wの実行形式のファイルを起動することに他ならない。
そうすると、引用発明の「前記アプリケーションS/W配信サーバから受信した前記アプリケーションS/W情報に含まれるアプリケーションS/Wのファイル名を取得して当該アプリケーションS/Wの実行形式のファイルを読み込んで起動するステップ」は、本願発明の「前記コード解析応答に含まれた情報に基づいて特定サービスの当該応用プログラムを駆動するステップ」に相当するといえる。

(4)引用発明の「属性コード」は、アプリケーションS/W配信サーバ上でデータを管理する際に、キーとなるコードであることから、本願発明の「特定コード」に相当する。また、引用発明の「アプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報」は、本願発明の「応用プログラム識別情報」に相当する。
そして、引用発明の「属性コードに対応するアプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報を、属性コードに対応付けられた情報として管理する」とは、属性コードに対応するアプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報を属性コードにマッチングさせて管理していることに他ならない。
そうすると、引用発明の「前記アプリケーションS/W配信サーバは、前記属性コードに対応する前記アプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報を管理する」ことと、本願発明の「前記コード解析サーバは、特定コードに対応するサービス接続情報及び応用プログラム識別情報がマッチングされたコード情報を管理」することとは、“前記コード解析サーバは、特定コードに対応する応用プログラム識別情報がマッチングされたコード情報を管理”することである点で共通する。

以上から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

(一致点)

「識別手段からのコード認識のための応用プログラムを駆動するステップと、
認識されたコードの解析要請に対するコード解析応答をコード解析サーバから受信するステップと、
前記コード解析応答に含まれた情報に基づいて特定サービスの当該応用プログラムを駆動するステップと、を含み、
前記コード解析サーバは、特定コードに対応する応用プログラム識別情報がマッチングされたコード情報を管理することを特徴とする応用プログラムの自動駆動方法。」

(相違点1)

コード解析応答に含まれるコード情報に関して、本願発明が、「特定コードに対応するサービス接続情報及び応用プログラム識別情報」であるのに対して、引用発明は、本願発明の「応用プログラム識別情報」に相当するコード情報(属性コードに対応するアプリケーションS/W情報及び関連する属性別情報)は含んでいるが、本願発明の「サービス接続情報」に相当するコード情報を含んでいない点。

(相違点2)

本願発明が、「前記コード解析応答に含まれた特定サービスの接続情報に基づいて、当該サービス提供サーバに接続を要請して利用するステップ」を含んでいるのに対して、引用発明は、当該ステップを含んでいない点。

6.当審の判断

上記相違点1及び相違点2について検討する。

上記引用文献2(特に、上記K及びL等参照)に記載されるように、取得した情報をキーとして、サーバからアプリケーション取得先に関する情報を取得し、当該取得したアプリケーション取得先からアプリケーションをダウンロードして自動的に起動する技術は、周知技術にすぎない。
また、上記引用文献3(特に、上記M等参照)及び引用文献4(特に、上記N等参照)にも記載されているように、サーバでアプリケーションの接続先情報(例えば、上記引用文献3の「接続先の登録情報」、上記引用文献4の「接続先アドレス」)を管理しておき、当該接続先情報に基づいてアプリケーションを自動的に起動する技術は、当該技術分野において、普通に採用されている周知技術に他ならない。

してみると、引用発明においても、これら周知技術を適用し、アプリケーションS/W配信サーバにおいて、属性コードに対応付けて、アプリケーションS/Wの接続先情報についても管理しておき、当該接続情報に基づいて、アプリケーションS/Wをダウンロードして自動的に実行するように構成すること、すなわち、上記相違点1及び相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点1及び相違点2は格別なものではない。

そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、上記引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものである。

7.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-17 
結審通知日 2014-04-22 
審決日 2014-05-07 
出願番号 特願2009-276518(P2009-276518)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石川 亮塚田 肇  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 小林 大介
田中 秀人
発明の名称 コード解析による応用プログラムの自動駆動方法  
復代理人 濱中 淳宏  
復代理人 藤田 英治  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ