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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する G06F 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G06F |
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管理番号 | 1296353 |
審判番号 | 訂正2014-390150 |
総通号数 | 183 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-03-27 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2014-10-16 |
確定日 | 2014-12-12 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5539974号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5539974号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1.手続の経緯 特許5539974号は、2009年(平成21年)6月18日(優先権主張外国受理、2008年(平成20年)6月18日 仏国)を国際出願日とする特許出願であって、平成26年5月9日に設定登録がなされたものであって、平成26年10月16日に本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2.請求の趣旨 本件訂正審判の請求は、特許第5539974号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり請求項1?5からなる一群の請求項ごとに訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線部は訂正箇所を意味する。)。 1.訂正事項1(請求項1?5からなる一群の請求項に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項1に 「前記モバイルデバイスにより前記デジタル文書を受信した時に、前記デジタル文章を先行解釈するステップであって、」とあるのを、 「前記モバイルデバイスにより前記デジタル文書を受信した時に、前記デジタル文書を先行解釈するステップであって、」に訂正する。 同請求項1を引用する請求項2?5からなる一群の請求項についても同様に訂正する。 2.訂正事項2(請求項1?5からなる一群の請求項に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項1に 「前記デジタル文書の次のオブジェクトを渡し、該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行する」とあるのを、 「その後前記デジタル文書の次のオブジェクトに移動し、該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行する」に訂正する。 同請求項1を引用する請求項2?5からなる一群の請求項についても同様に訂正する。 3.訂正事項3(請求項1?5からなる一群の請求項に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項1に 「該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行するステップ、又は前記処理されたオブジェクトがページの最後のオブジェクトである場合、前記先行解釈するステップを終了するサブステップ」とあるのを、 「該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行するサブステップ、又は前記処理されたオブジェクトがページの最後のオブジェクトである場合、前記先行解釈するステップを終了するサブステップ」に訂正する。 同請求項1を引用する請求項2?5からなる一群の請求項についても同様に訂正する。 4.訂正事項4(請求項1?5からなる一群の請求項に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項1に 「前記デジタル文書を先行解釈するサブステップと、」とあるのを、 「前記デジタル文書を先行解釈する、前記ステップと、」に訂正する。 同請求項1を引用する請求項2?5からなる一群の請求項についても同様に訂正する。 5.訂正事項5(請求項1?5からなる一群の請求項に係る訂正) 特許請求の範囲の請求項1に 「前記デジタル文書のページの表示コマンドを受信した時に、 前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトとして決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記タスクに対応する前記オブジェクトを直接に指し示す前記タスクの参照テーブルを作成するサブステップと、 前記コンピュータプログラムを使用して前記モバイルデバイスが表示できる要素に対応すると決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示するサブステップであって、前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトの強調表示および/または前記ページのスクロールを含む、サブステップと、」とあるのを、 「前記デジタル文書のページの表示コマンドを受信した時に、 前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトとして決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記タスクに対応する前記オブジェクトを直接に指し示す前記タスクの参照テーブルを作成するステップと、 前記コンピュータプログラムを使用して前記モバイルデバイスが表示できる要素に対応すると決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示するステップであって、前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトの強調表示および/または前記ページのスクロールを含む、前記ステップと、」に訂正する。 同請求項1を引用する請求項2?5からなる一群の請求項についても同様に訂正する。 6.訂正事項6(請求項1?5からなる一群の請求項に係る訂正) 本件特許明細書の段落【0043】に 「アクティブ化および/またはページスクロールができるオブジェクトの強調表示」とあるのを、 「アクティブ化できるオブジェクトの強調表示および/またはページスクロール」に訂正する。 第3.当審の判断 1.訂正事項1について (1)一群の請求項について 訂正事項1に係る訂正後の請求項1ないし5は、請求項1の記載を請求項2ないし5が引用して記載され、請求項1を引用する請求項2の記載を請求項3ないし5が引用して記載され、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3の記載を請求項4ないし5が引用して記載され、さらに請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4の記載を請求項5が引用して記載されるものであるから、訂正事項1にかかる、請求項1ないし5は、特許法施行規則第46条の2第1号及び第2号に規定する関係を有する一群の請求項である。 よって訂正事項1は、当該一群の請求項についてなされていると認められるから、特許法第126条第3項の規定に適合するものである。 (2)訂正の目的について 訂正前の請求項1には「前記モバイルデバイスにより前記デジタル文書を受信した時に、前記デジタル文章を先行解釈するステップであって、」と記載されているが、「デジタル文章」なる記載はそれ以前に記載されていないために、対応する「デジタル文章」がなく、不明瞭な記載であった。 請求項1には「デジタル文書」という記載があるとともに、上記以外に「デジタル文章」という記載はなく、さらに、特許明細書および図面に「デジタル文書」という記載があるとともに、特許明細書又は図面には「デジタル文章」という記載はないから、「前記デジタル文章」という記載が「前記デジタル文書」であることは明らかである。 したがって、訂正事項1は、訂正前の請求項1の不明瞭な「前記デジタル文章」という記載を、「前記デジタル文書」と訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものである。 (3)新規事項の有無について 訂正事項1に係る訂正は、上記(2)で指摘したとおり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1に係る訂正は、上記(2)で指摘したとおり、「デジタル文章」という不明瞭な記載を、「デジタル文書」という本来の記載に正したものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 したがって、訂正事項に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 2.訂正事項2について (1)一群の請求項について 訂正事項2に係る訂正後の請求項1ないし5は、請求項1の記載を請求項2ないし5が引用して記載され、請求項1を引用する請求項2の記載を請求項3ないし5が引用して記載され、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3の記載を請求項4ないし5が引用して記載され、さらに請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4の記載を請求項5が引用して記載されるものであるから、訂正事項2にかかる、請求項1ないし5は、特許法施行規則第46条の2第1号及び第2号に規定する関係を有する一群の請求項である。 よって訂正事項2は、当該一群の請求項についてなされていると認められるから、特許法第126条第3項の規定に適合するものである。 (2)訂正の目的について 訂正前の請求項1の「前記デジタル文書の次のオブジェクトを渡し、該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行する」との記載では、「次のオブジェクト」についても、「a)前記文書内に含まれる複数のオブジェクトのうちのひとつを先行解釈の対象とするサブステップ」から始まる一連のサブステップが実行されることが明らかであるなところ、訂正前の請求項1の「前記デジタル文書の次のオブジェクトを渡し」という記載では、「次のオブジェクト」について、上記一連のサブステップをどのように実行するのかが明らかでなく、不明瞭な記載であった。 特許明細書の段落【0036】の「次いで、当該デジタル文書の次のオブジェクトに移動し、同じ処理操作が次のオブジェクトに対して実行されること」になるとの記載にあるとおり、「その後前記デジタル文書の次のオブジェクトに移動し、」という記載により、「次のオブジェクト」について、上記一連のサブステップが、次のオブジェクトに移動することにより実行されることが明らかとなる。 したがって、訂正事項2は、訂正前の請求項1の不明瞭な「前記デジタル文書の次のオブジェクトを渡し、該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行する」という記載を、「その後前記デジタル文書の次のオブジェクトに移動し、該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行する」と訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものである。 (3)新規事項の有無について 訂正事項2に係る訂正は、上記(2)で指摘したとおり、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項2に係る訂正は、上記(2)で指摘したとおり、「前記デジタル文書の次のオブジェクトを渡し、」という不明瞭な記載を、「その後前記デジタル文書の次のオブジェクトに移動し、」という記載に正したものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 したがって、訂正事項に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 3.訂正事項3について (1)一群の請求項について 訂正事項3に係る訂正後の請求項1ないし5は、請求項1の記載を請求項2ないし5が引用して記載され、請求項1を引用する請求項2の記載を請求項3ないし5が引用して記載され、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3の記載を請求項4ないし5が引用して記載され、さらに請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4の記載を請求項5が引用して記載されるものであるから、訂正事項3にかかる、請求項1ないし5は、特許法施行規則第46条の2第1号及び第2号に規定する関係を有する一群の請求項である。 よって訂正事項3は、当該一群の請求項についてなされていると認められるから、特許法第126条第3項の規定に適合するものである。 (2)訂正の目的について 訂正前の請求項1の「該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行するステップ、又は前記処理されたオブジェクトがページの最後のオブジェクトである場合、前記先行解釈するステップを終了するサブステップ」との記載では、「ステップ」と「サブステップ」とを「又は」で結合して選択的に記載されており、「ステップ」と「サブステップ」との関係が不明瞭であった。 そして、「a)前記文書内に含まれる複数のオブジェクトのうちのひとつを先行解釈の対処とするサブステップ」から始まる一連のサブステップは、「前記デジタル文書を先行解釈するステップ」の中で行われるから、「上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行する」こともまた「前記デジタル文書を先行解釈するステップ」に含まれた「サブステップ」であることは明らかである。 訂正後の請求項1は、「該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行する」ことが、「前記処理されたオブジェクトがページの最後のオブジェクトである場合、前記先行解釈するステップを終了する」ことと同様に「サブステップ」であることが明瞭になっている。 したがって、訂正事項3は、訂正前の請求項1の不明瞭な「該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行するステップ、又は前記処理されたオブジェクトがページの最後のオブジェクトである場合、前記先行解釈するステップを終了するサブステップ」という記載を、「該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行するサブステップ、又は前記処理されたオブジェクトがページの最後のオブジェクトである場合、前記先行解釈するステップを終了するサブステップ」と訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものである。 (3)新規事項の有無について 訂正事項3に係る訂正は、上記(2)で指摘したとおり、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項3に係る訂正は、上記(2)で指摘したとおり、「該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行するステップ、」という不明瞭な記載を、「該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行するサブステップ、」という記載に正したものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 4.訂正事項4について (1)一群の請求項について 訂正事項4に係る訂正後の請求項1ないし5は、請求項1の記載を請求項2ないし5が引用して記載され、請求項1を引用する請求項2の記載を請求項3ないし5が引用して記載され、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3の記載を請求項4ないし5が引用して記載され、さらに請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4の記載を請求項5が引用して記載されるものであるから、訂正事項4にかかる、請求項1ないし5は、特許法施行規則第46条の2第1号及び第2号に規定する関係を有する一群の請求項である。 よって訂正事項4は、当該一群の請求項についてなされていると認められるから、特許法第126条第3項の規定に適合するものである。 (2)訂正の目的について 訂正前の請求項1の「前記デジタル文書を先行解釈するサブステップと、」という記載は「前記デジタル文書を先行解釈するステップであって、」という記載と一致しておらず、不明瞭であった。 「前記デジタル文書を先行解釈する」ことは、「上記a)乃至f)」に記載のサブステップおよび「前記処理されたオブジェクトがページの最後のオブジェクトである場合、前記先行解釈するステップを終了するサブステップ」という一連の「サブステップ」を含む一つの「ステップ」であることは、請求項1の記載から明らかである。 また、特許明細書等の段落【0028】の「この先行解釈または「事前解析」のステップは、文書の受信時に1回実行される。」という記載からも、「前記デジタル文書を先行解釈する」ことは「ステップ」であることは、明らかである。 そして、訂正後の請求項1は、「前記デジタル文書を先行解釈する」ことが、「ステップ」であることが明瞭になっている。 したがって、訂正事項4は、訂正前の請求項1の不明瞭な「前記デジタル文書を先行解釈するサブステップと、」という記載を、「前記デジタル文書を先行解釈する、前記ステップと、」と訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものである。 (3)新規事項の有無について 訂正事項4に係る訂正は、上記(2)で指摘したとおり、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項4に係る訂正は、上記(2)で指摘したとおり、「前記デジタル文書を先行解釈するサブステップと、」という不明瞭な記載を、「前記デジタル文書を先行解釈する、前記ステップと、」という記載に正したものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 5.訂正事項5について (1)一群の請求項について 訂正事項5に係る訂正後の請求項1ないし5は、請求項1の記載を請求項2ないし5が引用して記載され、請求項1を引用する請求項2の記載を請求項3ないし5が引用して記載され、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3の記載を請求項4ないし5が引用して記載され、さらに請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4の記載を請求項5が引用して記載されるものであるから、訂正事項5にかかる、請求項1ないし5は、特許法施行規則第46条の2第1号及び第2号に規定する関係を有する一群の請求項である。 よって訂正事項5は、当該一群の請求項についてなされていると認められるから、特許法第126条第3項の規定に適合するものである。 (2)訂正の目的について 訂正前の請求項1の「前記タスクの参照テーブルを作成する」こと、および「前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示する」ことは、いずれも「サブステップ」として記載されている。これらが「サブステップ」であるとすれば、「サブステップ」を包含する「ステップ」が請求項1に存在することとなるが、請求項1には、「前記タスクの参照テーブルを作成する」こと、および「前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示する」ことを包含する「ステップ」は存在しない。 したがって、「前記タスクの参照テーブルを作成する」こと、および「前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示する」ことを「サブステップ」と表現すると、「サブステップ」および「ステップ」間の関係が不明瞭となる。 そして、明細書等の段落【0023】の「 図2は、本発明による方法のさまざまなステップを示す。この方法は、次の3つのステップを備える。 1) 先行解釈(Pre-interpretation)(または「事前解析(Preparsing)」) 2) ナビゲータ初期化(または「ブラウザ初期化(Browser init)」) 3) 表示およびナビゲーション(「表示およびブラウズ(Display and browse)」)」という記載から、「前記タスクの参照テーブルを作成する」こと、および「前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示する」ことは「ステップ」として記載されており、また、訂正前の請求項1の「前記デジタル文章を先行解釈するステップ」という記載から、「前記タスクの参照テーブルを作成する」こと、および「前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示する」ことは、いずれも「ステップ」であることは明らかである。 訂正後の請求項1は、「前記タスクの参照テーブルを作成する」こと、および「前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示する」ことが、「前記デジタル文章を先行解釈するステップ」と同様に、いずれも「ステップ」であることが明瞭になっている。 したがって、訂正事項5は、訂正前の請求項1の不明瞭な「前記デジタル文書のページの表示コマンドを受信した時に、 前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトとして決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記タスクに対応する前記オブジェクトを直接に指し示す前記タスクの参照テーブルを作成するサブステップと、 前記コンピュータプログラムを使用して前記モバイルデバイスが表示できる要素に対応すると決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示するサブステップであって、前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトの強調表示および/または前記ページのスクロールを含む、サブステップと、」という記載を、「前記デジタル文書のページの表示コマンドを受信した時に、 前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトとして決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記タスクに対応する前記オブジェクトを直接に指し示す前記タスクの参照テーブルを作成するステップと、 前記コンピュータプログラムを使用して前記モバイルデバイスが表示できる要素に対応すると決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示するステップであって、前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトの強調表示および/または前記ページのスクロールを含む、前記ステップと、」と訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものである。 (3)新規事項の有無について 訂正事項5に係る訂正は、上記(2)で指摘したとおり、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項5に係る訂正は、上記(2)で指摘したとおり、「前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトとして決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記タスクに対応する前記オブジェクトを直接に指し示す前記タスクの参照テーブルを作成するサブステップと、 前記コンピュータプログラムを使用して前記モバイルデバイスが表示できる要素に対応すると決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示するサブステップであって、前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトの強調表示および/または前記ページのスクロールを含む、サブステップと、」という不明瞭な記載を、「前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトとして決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記タスクに対応する前記オブジェクトを直接に指し示す前記タスクの参照テーブルを作成するステップと、 前記コンピュータプログラムを使用して前記モバイルデバイスが表示できる要素に対応すると決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示するステップであって、前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトの強調表示および/または前記ページのスクロールを含む、前記ステップと、」という記載に正したものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 6.訂正事項6について (1)一群の請求項について 訂正事項6に係る、願書に添付した明細書の段落【0043】の訂正は、当該明細書の訂正に係る1ないし5からなる一群の請求項の全てについて行うものであって、願書に添付した明細書の訂正に係る一群の請求項の全てについて行うものである。 よって訂正事項6は、当該一群の請求項についてなされていると認められるから、特許法第126条第4項の規定に適合するものである。 (2)訂正の目的について 請求人は、訂正の目的を「誤訳の訂正」としていることから、まず、訂正事項6の訂正前の明細書の記載(以下、「該当箇所」という。)が誤訳であるのか否かを検討する。 本件特許法第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「外国語書面」という。)における訂正事項6の該当箇所に対応する箇所(外国語書面の第9頁25乃至26行)には、「Highlighting of objects that can be activated and/or page scrolling」と記載されている。 そして、この記載中の「and/or」が「Highlighting of objects that can be activated」と「page scrolling」とを結合していることは明らかであり、この記載は本来、「アクティブ化できるオブジェクトの強調表示および/またはページスクロール」と翻訳されるべきものであると判断される。 これに対して、外国語書面についての特許法第184条の4第1項所定の翻訳文は、「アクティブ化および/またはページスクロールができるオブジェクトの強調表示」と記載されている。 以上のことから、訂正事項6に係る訂正前の明細書の「アクティブ化および/またはページスクロールができるオブジェクトの強調表示」は、「アクティブ化できるオブジェクトの強調表示および/またはページスクロール」の誤訳であると認められる。 したがって、訂正事項6は、訂正前の明細書の誤訳である「アクティブ化および/またはページスクロールができるオブジェクトの強調表示」という記載を、「アクティブ化できるオブジェクトの強調表示および/またはページスクロール」と訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる、誤訳の訂正を目的とする訂正に該当するものである。 (3)新規事項の有無について 訂正事項6に係る訂正は、上記(2)で指摘したとおり、外国語書面の記載に基づくものであって、外国語書面のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、外国語書面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項6に係る訂正は、特許請求の範囲の請求項1に係る「前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトの強調表示および/または前記ページのスクロールを含む、サブステップ」の記載に対応し、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (5)独立特許要件について 訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし5からなる一群の請求項に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるか検討するに、当該発明を特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 第4.むすび 以上のとおり、本件訂正審判の請求は、特許法第126条ただし書第2号および第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項ないし第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 デジタル文書の表示およびその文書内のナビゲーションのためにその文書を前処理する方法 【技術分野】 【0001】 本発明は、情報技術の分野に関する。 【0002】 本発明は、さらに詳細には、ソフトウェア環境の領域、および特にナビゲータ、すなわちデジタル文書の表示およびそのようなデジタル文書内のナビゲーションを目的とするコンピュータプログラムに関する。 【背景技術】 【0003】 限定的ではなく一例として、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications:欧州で規格化されたデジタルコードレス電話システム)規格に適合する端末のような、一部の公知の携帯通信デバイスには、リソースが限られており、以下の技術的および使用上の制約がある。 - 低レベルの使用可能な計算能力 - 縮減されたRAM(Random Access Memory;ランダムアクセスメモリ)メモリ - たとえばWML(Wireless Markup Language;無線用マークアップ言語)のような、標準コンテンツ言語のサポート - 迅速なナビゲーション 高い計算容量を保有し、端末に取り込まれたネイティブナビゲータを備える端末とは対照的に、上記のタイプのデバイスは、限定された小規模のリソースを備え、多くの場合接続先のサーバまたはゲートウェイの計算能力を使用する必要がある。 【0004】 当技術分野において周知の上記のタイプのデバイスは、限定された小規模のリソースを有し、一般にデジタル文書の表示およびそのようなデジタル文書内のナビゲーションを適切にはサポートしていない。 【0005】 WML言語に適合する既知のタイプの文書は、「デック(Deck)」と呼ばれる要素内に一緒にグループ化されたページのセット(「カード(Card)」)であることに留意されたい。 【0006】 従来技術として、特許文献1による、コンテンツの供給および表示のためのシステムおよび方法が知られている。この特許文献1は、サーバとプラットフォーム間に分散されたナビゲータにおけるソリューション(問題解決手法)について記述している。 【0007】 従来技術としてまた、特許文献2による、WML言語のある特定の固有の機能を加えることでXHTML言語の可能性を拡張することをめざす方法が知られている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0008】 【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0133848号(Novarra) 【特許文献2】国際公開第2003/054733号パンフレット(Nokia) 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 デジタルページにおけるナビゲーションは、1つの部分は、ページ内のナビゲーション、およびもう1つの部分は、ページ間のジャンプで構成される。デジタルページ内のナビゲーションは、それ自体、スクロール操作と、ページオブジェクトにリンクされたアクションおよびタスクとの間で分解される。 【0010】 本発明の1つの目的は、特に計算能力に関して限定された小規模のリソースを備えるデバイス内のネイティブナビゲータの統合を可能にすることである。 【0011】 本発明のもう1つの目的は、ナビゲータのCPU(プロセッサ)負荷を可能な限り最小化して、メモリ消費を抑えることである。演算の頻度に従って負荷を分散させることで、ナビゲータの反応性を最大限に最適化することができる。実際に、ナビゲータは、負荷が低いので、なお一層反応が早い。 【課題を解決するための手段】 【0012】 この目的のために、本発明は、その最も一般に認められている意味において、デジタル文書の表示、およびその文書内のナビゲーションのためにその文書を前処理(preparation)する方法に関し、ここでその表示とナビゲーションの操作(オペレーション)は、コンピュータプログラムによって実現され、その文書は複数の要素および少なくとも1つのページを備え、本発明は、以下のステップを備えることを特徴としている。 - 文書を受信した時に、デジタル文書を先行解釈(pre-interpretation)して、上記コンピュータプログラムによって上記デジタル文書の要素の少なくとも一部を直接利用できるオブジェクトに符号化するステップ、 - デジタル文書のページの表示コマンドを受信した時に、そのページに関連付けられているタスクを識別し、そのページのそのタスクを記述しているオブジェクトを直接に指し示す参照テーブルを作成するステップ、 - アクティブ化することができるオブジェクトの起りうる強調表示および/またはページの起りうるスクロールを包含する上記ページの表示、続いてのユーザの要求に応じてのタスクの実行のステップ。 【0013】 好ましくは、デジタル文書を先行解釈し、上記デジタル文書の要素の少なくとも一部を符号化するステップは、1つは表示のフォーマッティング、もう1つはタスクのフォーマッティングという、2つのサブステップを含む。 【0014】 好都合には、表示のフォーマッティングのサブステップは、上記の文書のすべての部分が、ページの再フォーマッティングを必要とすることなしに、そのまま表示することができるように、文書セットをページフォーマッティングすることにある。 【0015】 特定の実施形態によれば、デジタル文書を先行解釈し、上記のデジタル文書の要素の少なくとも一部を符号化するステップは、オブジェクトがメモリ内の多くとも同等のスペースを占有している別のオブジェクトによって置き換えられる場合に基づく規則を適用することによって実行される。 【0016】 変形によれば、表示可能なオブジェクトと表示できないオブジェクトの重複は、表示機能およびタスク識別機能に影響を及ぼすことなく保存される。 【発明の効果】 【0017】 1つの実施形態によれば、上記の方法は、タスクとして表示可能でもなく識別可能でもない上記の文書の要素を抑制(表示しない)するステップと、対応するメモリスペース(記憶空間)をゼロに再設定するステップとを備える。それにより、上記の文書におけるナビゲーションを促進(加速)することができる。 【0018】 特定の変形によれば、上記の方法は、未使用のメモリゾーン(記憶域)をフレーミング(framing:組み立て)する要素を連結するステップを備える。それにより、他のアプリケーションにメモリを解放することが可能になる。 【0019】 本発明による方法は、特に、メモリへの影響を増大させることなくプロセッサレベルにおいて負荷のバランスをとり、その間ナビゲーションの点から見ると極めて良好なパフォーマンスを保証することを可能にする。 【0020】 本発明は、添付の図面を参照して、例示として提供されている本発明の実施形態の以下の説明から、より深く理解されるであろう。 【図面の簡単な説明】 【0021】 【図1】携帯機器の品目を表す図である。 【図2】本発明による方法を図解する図である。 【図3】文書の先行解釈に関連する方法のステップを示す図である。 【図4】ナビゲータの初期化に関連する方法のステップを示す図である。 【図5】文書内のナビゲーションに関連する方法のステップを示す図である。 【発明を実施するための形態】 【0022】 図1に示すEP携帯機器は、以下の要素および機能を備える。 - ディスプレイ、キーボード、イヤホン、および/またはラウドスピーカ(拡声器)を含む入力/出力周辺デバイスのセット - プロセッサ(図示せず) - 機器の操作(オペレーション)を保証するコードおよびソフトウェアデータを含む不揮発性メモリ - 時には「変数」であるデータを含む揮発性メモリ(RAM) - (電話の場合に音声サポートとしての機能を果たすことができる)無線データリンク - 機器の電源供給を保証するバッテリ 例示的な実施形態において、この携帯機器は、DECT規格に準ずる電話端末器、または任意の種類のモバイル機器である。 【0023】 図2は、本発明による方法のさまざまなステップを示す。この方法は、次の3つのステップを備える。 1)先行解釈(Pre-interpretation)(または「事前解析(Preparsing)」) 2)ナビゲータ初期化(または「ブラウザ初期化(Browser init)」) 3)表示およびナビゲーション(「表示およびブラウズ(Display and browse)」) プロセッサレベルにおける負荷は減少し、処理操作(processing operations)の頻度はこの方法のステップが実行されるにつれて増大することが、図2から分かる。 【0024】 図3に示される先行解釈または「事前解析」は、文書の受信時に1回実行される。このステップは、CPUリソースのヘビーユーザ(大量需要家)であるが、文書の初期ストレージ(記憶)以外は、メモリレベルにおいて影響を与えることはない。 【0025】 図4に示される、ナビゲータの初期化(「ブラウザ初期化」)に関連する処理は、ページが表示される必要のあるときに実行される。したがって、これはページ変更ごとに実行されるが、実施形態によれば、ページ内のナビゲーション中には行われない。その目的は、実行を加速するために、(イベントの発生時にページに関して完全に構文解析を実行する必要はない)、ページにリンクされたタスク(タイマー、キーにリンクされたタスク、アクションにリンクされたオブジェクト)を分離することである。 【0026】 図5に示される、表示およびナビゲーション(または「表示およびブラウズ」)に関連する処理は、ページ内のナビゲーションの処理である。ページング(ページ付け)およびタスクの識別はすでに実行されているので、その最高使用頻度は、CPUの負荷に最小限の影響を及ぼし、ユーザに対して非常に反応性が高い。 【0027】 このソリューション(問題解決手法)を、既存のソリューションから区別して特徴づけていることは、CPUの負荷を再配分し、その間に、ナビゲータのメモリへの影響を全体として準ゼロにするために、この3つのステップに分割されていることである。 【0028】 1) 先行解釈(または「事前解析」) この先行解釈または「事前解析」のステップは、文書の受信時に1回実行される。これは、図3に示される。 【0029】 このステップは、以下の原則を実施する。 【0030】 各要素は、先行解釈され、最大で同等のメモリスペースを占有するオブジェクトによって置き換えられる。この原則は、「非オーバーフローの規則(non-overflow rule)」と呼ばれ、この名前は、各オブジェクトが最悪の場合に同等のメモリに影響を与える別のオブジェクトによって置き換えられることに言及している。 【0031】 この操作(オペレーション)の利点は、必要とされるメモリスペースの削減ではなく、文書の先行解釈と、携帯機器によって直接利用することができ、かつメモリ消費を伴わないオブジェクトへの符号化である。 【0032】 このステップは、2つのサブステップで構成される。 a) 表示のフォーマッティング(または「表示フォーマッティング(Display formatting)」) この処理は、既存のソリューション(解決手法)とは反対に、上記の文書の各部分が、ページ再フォーマッティングされる必要なく直接表示されるように、文書全体をページフォーマッティングすることにある。 【0033】 したがって、文書は、全体を表示することができる行に、非オーバーフローの規則に従って割り込む。表示することができる要素だけが、ページフォーマッティングにおいて考慮される。 【0034】 例えば、表示することができないオブジェクトを含まないページの範囲において、 前処理:「Master crow,on a tree perched」 後処理:「Master crow,on」 Return「a tree perched」 例えば、表示することができないオブジェクトを含むページの範囲において、 前処理:「Master crow,<表示することができないオブジェクト> on a tree perched」 後処理:「Master crow,<表示することができないオブジェクト> on」 Return「a tree perched」 【0035】 b) フォーマッティングタスク(または「タスクフォーマッティング(Task formatting)」) この処理は、イベント(キーボードのショートカット、タイマー、選択することができるオブジェクトなど)に反応するオブジェクトを識別することと、かつ、おそらくハンドセット(携帯電話機、子機)のような携帯機器に組み込まれて、コンピュータプログラムによって直接解釈され得るように、オブジェクトをトランスコーディング(変換)することとにある。この処理は、ページをロード(取り込み)するとき(ナビゲータの初期化または「ブラウザ初期化」)、イベントの迅速な抽出が監視されるようにすることができる。 例:キーAに関連付けられているジャンプの定義付け 前処理:<do type=”A” label=”options”><go href=”weather_card”/></do> 後処理:shortcut_opcode(1B) key_opcode(1B) A label_opcode options jump_opcode weather_card end short_cut_opcode (1B) これらの2つの操作のセットは、表示することができるオブジェクトと表示することができないオブジェクトの重複(タスクの定義付け)が、表示機能およびタスクの識別になんらの影響を及ぼすことなく保持されることによって特徴付けられると、気が付くことができる。 【0036】 この先行解釈のステップは、図3に示されるが、たとえば、WMLタイプの文書が先行解釈され、第1のオブジェクト上に位置合わせし、次いでこのオブジェクトがタスクに該当するかどうかが判断される。オブジェクトが実際にタスクに該当する場合、変換するサブステップが実行される。次いで、このオブジェクトを表示することができるかどうかが判断される。オブジェクトを表示することができる場合、ページフォーマッティングするサブステップが実行される。オブジェクトを表示することができない場合、およびタスクに該当しない場合、このオブジェクトは抑制(suppress:差し止める、発表しない、削除する)される。次いで、当該デジタル文書の次のオブジェクトに移動し、同じ処理操作が次のオブジェクトに対して実行されることなるか、または処理されるオブジェクトがページの最後のオブジェクトである場合には、この先行解釈のステップは終了する。 【0037】 2) ナビゲータ初期化(または「ブラウザ初期化(Browser init)」) 図4に示されるこの処理操作は、特定のページに関連付けられているタスクを識別することにある。この処理操作は、ページの最初のロード中に実行されるが、ページのナビゲーション中にはもはや実行されない。 【0038】 この処理に関連するメモリ消費は、ごくわずかであり(ほぼ数バイト程度)、その出力は、対応するページのタスクを記述するオブジェクトを直接に指し示す参照のテーブルである。 【0039】 このナビゲータ初期化のステップは、図4に示される。先行のステップの結果として、先行解釈された文書が得られた。この文書がページモデルを保有するかどうかが判断される。肯定応答の場合には、上記のモデルの第1のオブジェクト上に位置合わせされるが、否定応答の場合には、表示されるべきページの第1のオブジェクト上に位置合わせされる。2つの上述の場合において、次に、上記のオブジェクトが「キーボードショートカット」に該当するかどうかを判断される必要がある。このオブジェクトが実際に「キーボードショートカット」に該当する場合には、このオブジェクトの位置は保存されることなり、「キーボードショートカット」に関連付けられているタスク参照テーブルにリンクされる。 【0040】 上記のオブジェクトが「キーボードショートカット」に一致しない場合には、このオブジェクトが変数であるかどうかが判断される。このオブジェクトが、変数である場合には、格納される。このオブジェクトが変数でない場合には、カウンタであるかどうかが判断される。このオブジェクトがカウンタである場合には、このオブジェクトの位置が保存され、カウンタに関連付けられているタスクの参照テーブルにリンクされる。次いで、カウンタが起動される。 【0041】 次のサブステップは、当該オブジェクトがモデルあるいはページの最後のオブジェクトであるかどうかを判断することにある。次いで、当該デジタル文書の次のオブジェクトが獲得され、同じ処理操作がその次のオブジェクトに対して実行されるか、またはその処理されるオブジェクトがページの最後のオブジェクトである場合は、このオブジェクトがモデル内の最後のオブジェクトでない限り、そのナビゲータ初期化のステップは終了するが、このオブジェクトがモデル内の最後のオブジェクトである場合には、表示されるべきページの第1のオブジェクト上に位置合わせされて、上記で説明されているような適切な処理操作が実行される。 【0042】 上記の段落において与えられた指摘は、図4の図面の記述を読めばさらに明確となるであろう。 3) 表示およびナビゲーション(「表示およびブラウズ(Display and browse)」) 図5に示されるこの処理操作は、最も頻繁に呼び出される処理操作である。CPUリソースへの最大のヘビーユーザ(一番ひどい消費者)である操作がすでに前もって実行済みであるので、ユーザに対するその応答性(感応性)は最良である。この処理操作は以下にある。 【0043】 - 画面に表示することができるN行の表示(すでに前もってページフォーマット済み)、 - ナビゲーションの管理:アクティブ化できるオブジェクトの強調表示および/またはページスクロール、 - それらが呼び出された時のタスクの実行:上記の1-bで挙げられた事例を再度取り上げると、ユーザがAキーを押すと、ナビゲータ初期化プロセス(または「ブラウザ初期化」)が呼び出されて、ページ「weather card」を初期化し、次いで処理操作「表示およびブラウズ」が呼び出されて、新しいページ内のナビゲーションを再開する。 【0044】 表示およびナビゲーションの処理操作は、図5に示される。ページの表示後、この処理操作の第1のサブステップは、イベントの検出に相当する。イベントが検出されると、上記のイベントが「検証(validation)」キー(または「検証」タイプキーのグループ)に該当するかどうかが判断される。肯定応答の場合、オブジェクトが選択されているかどうかが調査され、実際にオブジェクトが選択されている場合には、このオブジェクトに関連付けられているタスク(ジャンプ、テキスト変更、オプションのアクティブ化など)が、選択されたオブジェクトに関連付けられているタスクの参照テーブルに関連して実行される。上記のイベントが上記の「検証」キーに一致しないが、「方向(direction)」タイプキーに一致している場合には、現在のオブジェクトが選択解除され、選択されたオブジェクトに関連付けられているタスクの参照テーブルに関連して、近傍のオブジェクトが指示された方向に従って選択される。上記のイベントが上記の「検証」キーまたは「方向」タイプキーのいずれにも一致しないが、タスクショートカットに該当するキーに一致する場合には、上記のタスクの実行は、キーボードショートカットに関連付けられているタスクの参照テーブルに関連して続行される(ジャンプ、テキスト変更、オプションのアクティブ化など)。最後に、上記のイベントは以前に引用されたキーの1つにはリンクされないが、カウンタの満了に該当する場合がありえる。この場合、上記のカウンタの満了にリンクされたタスクの実行(ジャンプ、テキスト変更、オプションのアクティブ化など)は、カウンタに関連付けられているタスクの参照テーブルに関連して進められる。あらゆる場合において、それは表示を更新すること、および新しいイベントが検出されるのを待機することで終了する。 【0045】 上記の段落において与えられた指摘は、図5の図面の記述を読めばさらに明確となるであろう。 【0046】 本発明は、例示として上記の本文において説明されている。当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明の変形を作り出すことができることを理解されたい。 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 モバイルデバイスにおけるデジタル文書の表示、および該文書内のナビゲーションのために該文書を前処理する方法であって、前記表示の操作および前記ナビゲーションの操作は前記モバイルデバイス内に統合されるコンピュータプログラムによって実現され、該文書は表示されるべき要素又は実行されるべきタスクに対応するオブジェクトを含み、該文書は少なくとも1つのページを含み、前記コンピュータプログラムは、前記モバイルデバイスによりタスクの実行及び要素の表示を可能にする、方法において、 前記モバイルデバイスにより前記デジタル文書を受信した時に、前記デジタル文書を先行解釈するステップであって、 a)前記文書内に含まれる複数のオブジェクトのうちのひとつを先行解釈の対象とするサブステップと、 b)前記オブジェクトが、前記コンピュータプログラムにより実行することができるタスクに対応するかどうかを決定するサブステップと、 c)前記オブジェクトが、前記コンピュータプログラムにより実行することができるタスクに対応すると決定した場合、前記オブジェクトを符号化して、前記タスクの実行のために前記コンピュータプログラムにより直接解釈可能にフォーマッティングするサブステップと、 d)前記オブジェクトが、前記コンピュータプログラムにより実行することができるタスクに対応しないと決定した場合、前記コンピュータプログラムを使用して、前記モバイルデバイスが表示することができる要素に、前記オブジェクトが対応するかどうかを決定するサブステップと、 e)前記コンピュータプログラムを使用することにより、前記モバイルデバイスが表示することができる要素に、前記オブジェクトが対応すると決定した場合、前記オブジェクトを符号化して、前記コンピュータプログラムにより前記要素を直接表示できるように前記オブジェクトをフォーマティングするサブステップと、 f)前記オブジェクトが、前記コンピュータプログラムにより実行することができるタスクに対応しない場合、及び前記コンピュータプログラムを使用することにより、前記モバイルデバイスが表示することができる要素に対応しないと決定した場合、前記オブジェクトを抑制するサブステップと、 その後前記デジタル文書の次のオブジェクトに移動し、該次のオブジェクトにおいて上記a)乃至f)に記載のサブステップを実行するサブステップ、又は前記処理されたオブジェクトがページの最後のオブジェクトである場合、前記先行解釈するステップを終了するサブステップと、 により前記デジタル文書を先行解釈する、前記ステップと、 前記デジタル文書のページの表示コマンドを受信した時に、 前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトとして決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記タスクに対応する前記オブジェクトを直接に指し示す前記タスクの参照テーブルを作成するステップと、 前記コンピュータプログラムを使用して前記モバイルデバイスが表示できる要素に対応すると決定された前記ページに含まれる前記オブジェクトを識別し、前記ページの前記識別されたオブジェクトを表示するステップであって、前記コンピュータプログラムにより実行できるタスクに対応するオブジェクトの強調表示および/または前記ページのスクロールを含む、前記ステップと、 次いで、タスクに対応する前記ページの表示されたオブジェクトをユーザが選択するとき、タスクの前記参照テーブルを参照して、前記選択された表示されたオブジェクトに関連する前記タスクを実行するステップと、 を含む、前記方法。 【請求項2】 前記オブジェクトを符号化して、前記コンピュータプログラムにより前記要素を直接表示できるように前記オブジェクトをフォーマッティングする前記サブステップは、前記文書の各部分がフォーマッティングを必要とせずに直接表示することができるように、前記文書全体をページフォーマッティングすることにある、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記オブジェクトを符号化して、前記コンピュータプログラムにより前記要素を直接表示できるように前記オブジェクトをフォーマッティングする前記サブステップは、オブジェクトが多くともメモリ内の同等のスペースを占有している別のオブジェクトによって置き換えられることによって実行される、請求項1又は2に記載の方法。 【請求項4】 前記抑制されたオブジェクトに対応するメモリスペースをゼロに再設定する、請求項1から3の少なくともいずれか一項に記載の方法。 【請求項5】 未使用のメモリ域に要素をフレーム割り当てするステップを含む、請求項1から4の少なくともいずれか一項に記載の方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2014-12-04 |
出願番号 | 特願2011-514047(P2011-514047) |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(G06F)
P 1 41・ 852- Y (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 成瀬 博之 |
特許庁審判長 |
金子 幸一 |
特許庁審判官 |
小田 浩 星野 昌幸 |
登録日 | 2014-05-09 |
登録番号 | 特許第5539974号(P5539974) |
発明の名称 | デジタル文書の表示およびその文書内のナビゲーションのためにその文書を前処理する方法 |
代理人 | 窪田 郁大 |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人谷・阿部特許事務所 |
復代理人 | 窪田 郁大 |