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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1296604
審判番号 不服2013-11419  
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-18 
確定日 2015-01-23 
事件の表示 特願2008- 90424「コンピュータ装置、コンピュータ装置の拡張カード、負荷分散方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月22日出願公開、特開2009-245131〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成20年3月31日の出願であって、平成23年1月21日付けで手続補正がなされ、同年2月2日付けで審査請求がなされ、平成24年7月17日付けで拒絶理由通知(同年7月19日発送)がなされ、同年9月18日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、平成25年3月14日付けで拒絶査定(同年3月18日謄本送達)がなされたものである。
これに対して、「原査定を取り消す。本願は特許をすべきものであるとの審決を求める。」ことを請求の趣旨として、平成25年6月18日付けで本件審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。
そして、平成25年9月27日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、同年11月28日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋(同年12月3日発送)がなされ、平成26年1月29日付けで回答書の提出がなされたが、同年7月9日付けで当審により前記平成25年6月18日付け手続補正を却下する旨の補正の却下の決定(同年7月22日発送)がなされるとともに、同日付けで拒絶理由通知(同年7月15日発送)がなされ、同年9月12日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明

本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記平成26年9月12日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲及び明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「PCIバス規格に準拠したPCIバスを備えるコンピュータ装置のI/Oインタフェースに装着され、前記I/Oインタフェースを介して前記PCIバスと接続された拡張カードであって、
ネットワークを介してクライアント、サーバ間でフレームの送受信を行うネットワークインタフェース部と、
前記コンピュータ装置のプロセッサに負荷をかけることなく、前記サーバの負荷分散を行うプロセス処理部とを備え、
前記プロセス処理部が、
アドレスのフィルタリングを行い、自分宛のアドレスのフレームを受信するアドレスフィルタ部と、
受信したフレームのデータフローと前記受信したフレームから抽出されたセッション毎のポート番号の識別子に基づいて、前記セッションの識別情報と前記ポート番号とを組み合わせてポート番号テーブルに登録するフレーム抽出部と、
負荷分散の対象となるサーバのサービス中のセッション数に基づいて、前記対象となるサーバから、前記フレームの宛先となるサーバを選択する宛先判定処理部と、
前記宛先判定処理部で選択したサーバのアドレスを、受信したフレームの宛先に付与して、ネットワークインタフェース部を介して接続先へ転送するアドレス付与部とを備える
ことを特徴とする拡張カード。」

3.平成26年7月9日付け拒絶理由の概要

平成26年7月9日付けで通知した拒絶の理由は、

本願請求項1ないし15に係る発明は、本願の出願前に頒布された、特開2003-174473号公報、特開2002-351760号公報、特開2004-295656号公報、及び特開2008-40718号公報に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、

というものを含むものである。

4.引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

(1)引用文献1

本願の出願前に頒布され、当審による上記平成26年7月9日付け拒絶理由通知において引用された刊行物である、特開2003-174473号公報(平成15年6月20日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0026】〔サーバ負荷分散システムの構成〕図3及び図4は、本発明の一実施の形態におけるサーバ負荷分散システム1の構成を行きパケット及び帰り(戻り)パケットの流れとともに示している。
【0027】図3及び図4を併せ参照すると、このサーバ負荷分散システム1は、インターネットまたはイントラネットなどのIPネットワーク2に接続されたパーソナルコンピータなどの複数のクライアント端末3(ここでは、代表で1つを示す)と、IPネットワーク2に接続されたルータ4と、ルータ4に接続された複数のサーバロードバランサ(SLB#1,#2?#N)5と、ルータ4にLAN(Local Area Network)6を通して接続された負荷分散対象サーバ群としての複数のサーバ(#1,#2,#3)7とを備えている。」

B 「【0049】〔サーバロードバランサ〕図3及び図4に示すサーバ負荷分散システム1において、各サーバロードバランサ5は、図8及び図9に示す詳細構成を採る。
【0050】サーバロードバランサ5は、図8及び図9に示すように、サーバロードバランシング処理部51、パケット受信部55、パケット送信部56、及び障害・復旧通知処理部57から構成されている。サーバロードバランシング処理部51は、宛先サーバ選択処理部52及びアドレス書換え部53を有する。アドレス書換え部53はセッション・テーブル54を有する。
【0051】サーバロードバランシング処理部51は、パケット受信部55が対応のリンクを通して受信したパケットを渡された場合(図8中の符号a,b)、宛先サーバ選択処理部52により宛先サーバ7を決定させ、アドレス書換え部53により転送対象パケットの宛先IPアドレスを書き換えさせる(c)。」

C 「【0052】宛先サーバ選択処理部52による宛先サーバ7の決定方法には、(1)OSI参照モデルのトランスポート層以上のプロトコル(POP,SMTP,FTP,HTTPなど)の種別による負荷分散(L4ロードバランス)と、(2)OSI参照モデルのアプリケーション層の情報(レスポンスタイムまたはURLなどのL7情報)による負荷分散(L7ロードバランス)とが基本的にある。
【0053】また、宛先サーバ選択処理部52は、宛先サーバ7の決定方法として、複数のサーバ7の負荷を計測し、負荷の少ない1つを選択する方法及びクライアント端末3のIPアドレスに応じて複数のサーバ7の1つを選択する方法の他に、ラウンドロビン、最小コネクション数、静的重み付けなどの手法を採用することが可能である。」

D 「【0058】行きのパケットに対するサーバロードバランシング処理には、(1)宛先サーバ選択処理部52により、そのパケットの宛先、つまり負荷分散対象サーバ7のIPアドレス及び負荷分散対象サーバ7のポート番号を決定する処理(S102)と、(2)アドレス書換え部53により、転送対象パケットの宛先IPアドレスを決定済サーバ7のIPアドレスに書き換えるとともにポート番号を決定値に書き換える処理(S103)と、(3)アドレス書換え部53により、転送対象パケットの送信元IPアドレスをそのパケットを転送するサーバロードバランサ5のIPアドレスに書き換える処理(S103)などがある。」

E 「【0120】〔変形例〕上述した一実施の形態のサーバ負荷分散システム1においては、各々が図8に示す構成を採る複数のサーバロードバランサ(#1?#N)5を個別に設けた。しかし、実際にサーバロードバランサ5を構成する場合、例えば各サーバロードバランサ5の機能を複数枚のNIC(Network Interface Card)の個々に実装し、同一の装置筐体内に複数枚のNICを収容することが可能である。また、ルータ4の機能を個別のカードに実装し、サーバロードバランサ5の機能を実装した複数枚のNICとともに同一の装置筐体内に収容することが可能である。」

ここで、上記引用文献1に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Aの「図3及び図4は、本発明の一実施の形態におけるサーバ負荷分散システム1の構成・・・このサーバ負荷分散システム1は、インターネットまたはイントラネットなどのIPネットワーク2に接続されたパーソナルコンピータなどの複数のクライアント端末3・・・ルータ4に接続された複数のサーバロードバランサ・・・ルータ4にLAN(Local Area Network)6を通して接続された負荷分散対象サーバ群としての複数のサーバ・・・とを備えている」との記載、上記Bの「サーバロードバランサ5は・・・サーバロードバランシング処理部51、パケット受信部55、パケット送信部56・・・から構成されている。サーバロードバランシング処理部51は・・・アドレス書換え部53を有する。アドレス書換え部53はセッション・テーブル54を有する」との記載からすると、引用文献1の「サーバロードバランサ」が、
“ネットワークを介してクライアント装置、サーバ間でパケットの送受信を行うパケット受信部とパケット送信部と、
セッション・テーブルを有するサーバロードバランシング処理部”
を備える態様が記載されている。

(イ)上記Bの「サーバロードバランシング処理部51は・・・宛先サーバ選択処理部52により宛先サーバ7を決定させ、アドレス書換え部53により転送対象パケットの宛先IPアドレスを書き換えさせる」との記載、上記Cの「宛先サーバ選択処理部52は、宛先サーバ7の決定方法として、複数のサーバ7の負荷を計測し、負荷の少ない1つを選択する方法」との記載、上記Dの「アドレス書換え部53により、転送対象パケットの宛先IPアドレスを決定済サーバ7のIPアドレスに書き換えるとともにポート番号を決定値に書き換える処理」との記載からすると、引用文献1の「サーバロードバランシング処理部」が、
“複数の宛先サーバの負荷を計測し、負荷の少ない宛先サーバを選択する宛先サーバ選択処理部と、
転送対象パケットの宛先IPアドレスを選択した宛先サーバのIPアドレスに書き換えるアドレス書換え部”
を備える態様が記載されている。

以上、(ア)及び(イ)で指摘した事項を踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「サーバロードバランサであって、
ネットワークを介してクライアント装置、サーバ間でパケットの送受信を行うパケット受信部とパケット送信部と、
セッション・テーブルを有するサーバロードバランシング処理部とを備え、
前記サーバロードバランシング処理部が、
複数の宛先サーバの負荷を計測し、負荷の少ない宛先サーバを選択する宛先サーバ選択処理部と、
転送対象パケットの宛先IPアドレスを選択した宛先サーバのIPアドレスに書き換えるアドレス書換え部とを備える
ことを特徴とするサーバロードバランサ。」

(2)引用文献2

本願の出願前に頒布され、当審による上記平成26年7月9日付け拒絶理由通知において引用された刊行物である、特開2002-351760号公報(平成14年12月6日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

F 「【0036】セッション管理テーブル3は、セッションに関する情報をセッションごとに管理するためのデータファイルであり、1セッションに対するセッション管理テーブルを1レコードとしたデータベース形式のセッション管理ファイルとしてハードディスク等の記憶媒体に格納されている。図2は、実施の形態1のサーバ負荷分散装置におけるセッション管理テーブル3に登録される内容を示すデータ構造図である。図2に示すように、セッション管理テーブル3に登録される項目は、セッションID、セッション識別情報、セッション属性に大別され、セッション識別情報はさらにセッションタイプ、発信元IPアドレス(Source_address)、送信先IPアドレス(Destination_address)、発信元ポート番号(Source_port)、あて先ポート番号(Destination_port)、ICMPキュエリ番号(ICMP_query)、プロトコル識別番号(Protocol_ID)などから構成され、またセッション属性はさらに開始時間、パケット数、応答時間、ポートIDなどから構成される.」

5.参考文献に記載されている技術的事項

(1)参考文献1

本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2008-21006号公報(平成20年1月31日出願公開、以下、「参考文献1」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

G 「【0023】
デバイス状態変化検知部56は、プリンタエンジン部55の状態を監視する。そして、デバイス状態変化検知部56は、プリンタエンジン部55の状態に応じて、システムバス54、PCIバス57を介して、ネットワーク・インタフェース・カード(NIC)58に、プリンタエンジン部55の状態に関する情報を通知する。」

(2)参考文献2

本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2007-76334号公報(平成19年3月29日出願公開、以下、「参考文献2」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

H 「【0026】
NB105のPCIバス9aに、周辺デバイス等との接続を行うブリッジであるSB108と、ネットワーク通信を制御するNIC109と、USBディスクとして扱うことでデータを取り込むことができるUSB(Universal Serial Bus)ターゲット110と、IEEE802.11bインタフェースを提供するIEEE802.11b 111aと、IEEE1394インタフェースを提供するIEEE1394 111bと、他のUSBターゲット(例えば、USBメモリ)と接続し大容量の画像データの送受信を可能とするUSBホスト114と、SD(Secure Digital memory card)カード等のメモリカード116との間でプログラムおよびデータの入出力を行うメモリカードインタフェース115とが接続される。」

(3)参考文献3

本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2007-96909号公報(平成19年4月12日出願公開、以下、「参考文献3」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

J 「【0033】
また、ノードN1-N2間で交換される制御フレームのフォーマットを図2に示す。このフレームの名フィールドの内容は次のとおりである。
【0034】
(a) UDP/IPヘッダ:既存のいわゆるTCP/IPのヘッダ
(b) フレーム種別(接続要求/接続回答):フレームが、『接続要求』か、『接続回答』か、を示すフィールド
(c) 接続OK/NGフラグ:通信先のノードが、通信元との通信を行うか、拒否するかを示すフラグ
【0035】
(d) NAPT装置のIPアドレス:NAPT装置のグローバルIPアドレス
(e) NAPT装置のポート番号:NAPT装置のポート番号(WANポート番号)
(f) 通信元ノードID:接続要求を発生した通信元ノードのノードID
【0036】
(g) 通信元LAN(ローカル)ポート番号:接続要求を発生した通信元ノードが通信先ノードとの通信時に利用するポート番号
(h) 通信先ノードID:接続要求の通信先ノードのID
(i) 通信先LANポート番号:通信元ノードが、通信先ノードに接続を要求するポート番号」

K 「【0045】
ステップS6:
ノードN2は、上記のステップS3の処理終了後、受信した『接続要求』フレーム中のNAPT装置AC1のグローバルIPアドレス網NW2側のIPアドレスとポート番号(100.101.102.10:7800)を抽出し、そのアドレスへ向けて、データ用セッションDS2を介してUDPのデータフレームを送信する。これによりNAPT装置AC2は、ノードN2のIPアドレス及びポート番号(192.168.20.2:300)と、NAPT装置AC1のグローバルIPアドレス網NW2側のIPアドレス及びポート番号とをバインド(関連付け)する。」

(4)参考文献4

本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2000-132524号公報(平成12年5月12日出願公開、以下、「参考文献4」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

L 「【0058】図5(A)のクライアントから受信したクライアントパケット64は、ヘッダ66とデータ68で構成される。ヘッダ66には送信元情報と宛先情報が格納されている。この送信元情報及び宛先情報は、それぞれのアドレスと割り当てられたポート番号で構成される。
・・・(中略)・・・
【0066】図6(A)は、図4の接続情報テーブル40の説明図である。接続情報テーブル40は、クライアント領域40-1、転送元領域40-2及びサーバ領域40-3を備えており、それぞれアドレスとポート番号を格納する。」

6.対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「拡張カード」と本願発明の「サーバロードバランサ」とは、“サーバ負荷分散装置”である点で共通する。

(2)引用発明の「パケット」と本願発明の「フレーム」とは、“プロトコル・データ・ユニット”と呼ばれるデータの単位である点で共通することは、当業者にとって自明の事項である。

(3)引用発明の「パケット受信部とパケット送信部」は、本願発明の「ネットワークインタフェース部」に相当する。

(4)引用発明の「サーバロードバランシング処理部」は、サーバの負荷分散を行うものであることから、本願発明の「プロセス処理部」に相当する。

(5)引用発明の「宛先サーバ選択処理部」は、本願発明の「宛先判定処理部」に対応する。
そうすると、引用発明の「複数の宛先サーバの負荷を計測し、負荷の少ない宛先サーバを選択する宛先サーバ選択処理部」と、本願発明の「負荷分散の対象となるサーバのサービス中のセッション数に基づいて、前記対象となるサーバから、前記フレームの宛先となるサーバを選択する宛先判定処理部」とは、“前記対象となるサーバから、前記プロトコル・データ・ユニットの宛先となるサーバを選択する宛先判定処理部”である点で共通する。

(6)引用発明の「アドレス書換え部」は、本願発明の「アドレス付与部」に対応する。
また、引用発明の「アドレス書換え部」は、宛先サーバ選択処理部で選択したサーバのアドレスを、受信したパケットの宛先に付与して、パケット送信部を介して接続先へ転送しているといえるものである。
してみると、引用発明の「転送対象パケットの宛先IPアドレスを選択した宛先サーバのIPアドレスに書き換えるアドレス書換え部」は、本願発明の「前記宛先判定処理部で選択したサーバのアドレスを、受信したフレームの宛先に付与して、ネットワークインタフェース部を介して接続先へ転送するアドレス付与部」に相当するといえる。

以上から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

(一致点)

「サーバ負荷分散装置であって、
ネットワークを介してクライアント装置、サーバ間でプロトコル・データ・ユニットの送受信を行うネットワークインタフェース部と、
前記サーバの負荷分散を行うプロセス処理部とを備え、
前記プロセス処理部が、
前記対象となるサーバから、前記プロトコル・データ・ユニットの宛先となるサーバを選択する宛先判定処理部と、
前記宛先判定処理部で選択したサーバのアドレスを、受信したプロトコル・データ・ユニットの宛先に付与して、ネットワークインタフェース部を介して接続先へ転送するアドレス付与部とを備える
ことを特徴とするサーバ負荷分散装置。」

(相違点1)

サーバ負荷分散装置に関して、本願発明が、「PCIバス規格に準拠したPCIバスを備えるコンピュータ装置のI/Oインタフェースに装着され、前記I/Oインタフェースを介して前記PCIバスと接続された拡張カード」であるのに対して、引用発明は、「サーバロードバランサ」である点。

(相違点2)

ネットワークを流れるデータの単位であるプロトコル・データ・ユニットに関して、本願発明が、「フレーム」であるのに対して、引用発明は、「パケット」である点。

(相違点3)

プロセス処理部に関して、本願発明が、「コンピュータ装置のプロセッサに負荷をかけることなく、前記サーバの負荷分散を行う」ものであるのに対して、引用発明は、サーバの負荷分散を行うものの、そのようなものであるか不明である点。

(相違点4)

プロセス処理部において、本願発明が、「アドレスのフィルタリングを行い、自分宛のアドレスのフレームを受信するアドレスフィルタ部」と「受信したフレームのデータフローと前記受信したフレームから抽出されたセッション毎のポート番号の識別子に基づいて、前記セッションの識別情報と前記ポート番号とを組み合わせてポート番号テーブルに登録するフレーム抽出部」を備えているのに対して、引用発明は、これらを備えているか不明である点。

(相違点5)

サーバの選択に関して、本願発明が、「負荷分散の対象となるサーバのサービス中のセッション数に基づいて」サーバを選択するのに対して、引用発明は、複数の宛先サーバの負荷を計測し、負荷の少ない宛先サーバを選択するものである点。

7.当審の判断

上記相違点1ないし相違点5について検討する。

(1)相違点1及び相違点3について

(1-1)引用文献1の上記Eに「〔変形例〕・・・実際にサーバロードバランサ5を構成する場合、例えば各サーバロードバランサ5の機能を複数枚のNIC(Network Interface Card)の個々に実装し、同一の装置筐体内に複数枚のNICを収容することが可能である」と記載されるように、引用文献1においても、サーバ負荷分散装置である「サーバロードバランサ」の機能を、「NIC」(ネットワーク・インタフェース・カード)上に実装する態様も提示されている。
また、参考文献1(上記G参照)及び参考文献2(上記H参照)に記載されるように、コンピュータ装置が備えるPCIバスにNICを接続する構成は、当該技術分野において、当業者が普通に採用している周知慣用技術に他ならない。
してみると、引用発明においても、「サーバロードバランサ」を、PCIバス規格に準拠したPCIバスを備えるコンピュータ装置のI/Oインタフェースに装着され、当該I/Oインタフェースを介して前記PCIバスと接続される拡張カードとして構成すること、すなわち、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点1は格別なものではない。

(1-2)そして、引用発明において、拡張カードを用いて負荷分散機能を実現した場合、当該拡張カードを備えたコンピュータ装置のプロセッサに負荷をかけずに負荷分散が実現できることは、当業者にとって自明の事項である。
してみると、引用発明において、拡張カードを用いて「サーバロードバランサ」を構成した場合には、相違点3は、必然的に採用される事項にすぎない。

(2)相違点2について

「フレーム」や「パケット」は、ネットワーク上のデータの単位として、どちらも広く用いられているものであり、プロトコル・データ・ユニットとして、「フレーム」と「パケット」のどちらを採用するかについては、当業者が必要に応じて、適宜選択可能な設計的事項にすぎない。
してみると、引用発明においても、ネットワークを流れるデータの単位であるプロトコル・データ・ユニットとして、「パケット」に替えて「フレーム」を採用するように構成すること、すなわち、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点2は格別なものではない。

(3)相違点4について

(3-1)ネットワークに接続されている装置において、受信したデータが自分宛かどうかを、アドレスのフィルタリングを行って確認することは、当該技術分野において、通常行われていることである。
してみると、引用発明においても、アドレスのフィルタリングを行い、自分宛のアドレスのパケットを受信するように構成することは、必要に応じて適宜なし得たことである。

(3-2)引用文献2の上記Fに「図2は、実施の形態1のサーバ負荷分散装置におけるセッション管理テーブル3に登録される内容を示すデータ構造図・・・セッション管理テーブル3に登録される項目は、セッションID、セッション識別情報、セッション属性に大別され・・・セッション属性は・・・ポートIDなどから構成される」と記載されるように、サーバ負荷分散装置が、テーブルを用いて、「セッション識別情報」や「ポートID」を管理する技術についても、本願出願前に周知技術であった。
また、参考文献3(上記J参照)に記載されるように、フレームのフォーマットとして、「IPアドレス」や「ポート番号」を含む構成は、当該技術分野において、普通に用いられていた周知慣用技術にすぎず、同じく参考文献3(上記K及び図1等参照)に記載されるように、受信したフレームに含まれている「IPアドレス」と「ポート番号」を抽出して、当該抽出した「IPアドレス」と「ポート番号」を関連付けして管理テーブルに登録して管理することも、本願出願前に周知技術であった。さらに、参考文献4(上記L及び図6等参照)においても、クライアントから受信したパケットに含まれる「アドレス」と「ポート番号」を関連付けてテーブルに格納する技術が開示されている。
そして、引用発明のサーバロードバランシング処理部も、セッション・テーブルを有していることから、当該セッション・テーブルを用いて接続情報を管理するものであることは、当業者にとって自明の事項である。
してみると、引用発明においても、受信したパケットに含まれる「IPアドレス」(本願発明の「セッションの識別情報」に相当)と「ポート番号」を抽出し、当該抽出した「IPアドレス」と「ポート番号」を組み合わせてセッション・テーブルに登録するように構成することは、必要に応じて適宜なし得たことである。

(3-3)以上、引用発明においても、サーバロードバランシング処理部において、アドレスのフィルタリングを行い、自分宛のアドレスのパケットを受信するように構成し、そして、前記受信したパケットに含まれる「IPアドレス」と「ポート番号」を抽出し、当該抽出した「IPアドレス」と「ポート番号」を組み合わせてセッション・テーブルに登録するように構成すること、すなわち、上記相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点4は格別なものではない。

(4)相違点5について

引用文献1の上記Cに「複数のサーバ7の1つを選択する方法・・・最小コネクション数」と記載されるように、引用文献1においても、コネクション数(本願発明の「セッション数」に対応)に基づいてサーバを選択する技術が開示されている。
してみると、引用発明においても、サーバの選択に際して、サーバのサービス中のセッション数に基づいて選択するように構成すること、すなわち、上記相違点5に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点5は格別なものではない。

(5)小括

上記で検討したごとく、相違点1ないし相違点5は格別のものではなく、そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、上記引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明は、上記引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

8.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-11-19 
結審通知日 2014-11-25 
審決日 2014-12-09 
出願番号 特願2008-90424(P2008-90424)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 宏一  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 木村 貴俊
田中 秀人
発明の名称 コンピュータ装置、コンピュータ装置の拡張カード、負荷分散方法及びプログラム  
代理人 下坂 直樹  
代理人 机 昌彦  
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