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審決分類 審判 判定 請求書の表示、請求 属する(申立て不成立) C07D
管理番号 1297184
判定請求番号 判定2014-600020  
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2015-03-27 
種別 判定 
判定請求日 2014-05-15 
確定日 2015-01-29 
事件の表示 上記当事者間の特許第2709225号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号物品は、特許第2709225号発明の技術的範囲に属する。 
理由 1 請求の趣旨
請求人が求める請求の趣旨は、判定請求書の記載によれば、「イ号物品(原料テルミサルタン)は、特許第2709225号に係る特許権存続期間延長登録出願2002-700137号により延長された当該特許発明の技術的範囲に属さない、との判定を求める」というものである。

判定について、特許法71条1項には「特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。」と規定されている。そして、この規定に基づき判定を求めることができる対象である「特許発明の技術的範囲」については、平成14年改正前の特許法70条1項に「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」と規定され、同2項には「前項の場合においては、願書に添付した明細書の特許請求の範囲以外の部分の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。」と規定されている。
これに対して、本件特許第2709225号の特許請求の範囲及び明細書の特許請求の範囲以外の部分(図面の添付はない)の記載は、特許権存続期間延長登録出願2002-700137号に基づく存続期間の延長(登録日:平成15年6月25日)の前後において変わらないのであるから、「特許権存続期間延長登録出願2002-700137号により延長された」という事実は、特許法70条の規定に基づいてなされるものである、本件特許発明の技術的範囲の判断には影響を及ぼさない。
よって、本件判定の請求の趣旨は、「イ号物品が、特許第2709225号発明の技術的範囲に属さない、との判定を求める」ものであると解し、以下判断を行う。

なお、判定請求書において、請求人は、「現在本件特許権の効力は特許法68条の2,70条に基づいて、その技術的範囲が解釈される。」との前提の下、イ号物品には本件特許権の効力が及ばない旨の判定を求めているようであるが、特許法68条の2の規定による特許権の効力が及ぶ範囲について、特許庁に判定を求めることができる旨の規定は特許法に存在しないから、特許法68条の2の規定による本件特許権の効力が及ぶ範囲について、請求人は、特許庁に対して判定を求めることはできない。

2 本件発明
特許第2709225号発明は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1?8に記載されたとおりのものであり、請求項1?8の記載は以下のとおりである。

【請求項1】 下記の一般式(I)のベンズイミダゾール類、またはその無機または有機の酸または塩基との付加塩。
【化1】


〔式中、R_(1)は塩素原子、またはC_(1) ?C_(3 )アルキルまたはトリフルオロメチル基を示し、
R_(2 )はプロパンスルタム-1-イルあるいはブタンスルタム-1-イル、
アルキルまたはフェニル基でモノまたはジ置換されていてもよいマレイン酸イミド基(置換基は同一または異なっていてもよい)、
1位置でC_(1 )?C_(6) アルキルまたはシクロアルキル基で置換されていてもよいベンズイミダゾール-2-イル基(これらベンズイミダゾール基のフェニル核はフッ素原子であるいはメチルまたはトリフルオロメチル基でさらに置換されていてもよい)、
イミダゾ〔2,1-b〕チアゾール-6-イル、イミダゾ〔1,2-a〕ピリジン-2-イル、5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾ〔1,2-a〕ピリジン-2-イル、イミダゾ〔1,2-a〕ピリミジン-2-イル、イミダゾ〔4,5-b〕ピリジン-2-イル、イミダゾ〔4,5-c〕ピリジン-2-イル、イミダゾ〔1,2-c〕ピリミジン-2-イル、イミダゾ〔1,2-a〕ピラジン-2-イル、イミダゾ〔1,2-b〕-ピリダジン-2-イル、イミダゾ〔4,5-c〕ピリジン-2-イル、プリン-8-イル、イミダゾ〔4,5-b〕ピラジン-2-イル、イミダゾ〔4,5-c〕ピリダジン-2-イルまたはイミダゾ〔4,5-d〕ピリダジン-2-イル基、
ピリジン環(但し、その環を構成する炭素原子で結合する)または1位置でC_(1 )?C_(3 )アルキル基またはベンジル基で置換されているイミダゾール-4-イル基(イミダゾール環を構成する炭素原子上でC_(1) ?C_(3 )アルキル基で置換されていてもよい)を示し;
R_(3) はC_(2) ?C_(5) アルキル基またはC_(3 )?C_(5 )シクロアルキル基を示し;及び
R_(4 )はカルボキシまたは1H-テトラゾリル基を示す。〕
【請求項2】 R_(1) はメチル基または塩素原子を示し、
R_(2 )はプロパンスルタム-1-イルあるいはブタンスルタム-1-イル、
アルキルまたはフェニル基でモノまたはジ置換されていてもよいマレイン酸イミド基(置換基は同一または異なるものであってもよい)、
1位置でC1 ?C3 アルキル基で置換されていてもよいベンズイミダゾール-2-イル基(これらベンズイミダゾール基のフェニル核はフッ素原子で置換されていてもよい)、
イミダゾ〔1,2-a〕ピリジン-2-イル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾ〔1,2-a〕ピリジン-2-イル、イミダゾ〔1,2-a〕ピリミジン-2-イルまたはイミダゾ〔2,1-b〕チアゾール-6-イル基、または1位置でC_(1) ?C_(3 )アルキル基で置換されたイミダゾール-4-イル基を示し;
R_(3 )はC_(2) ?C_(5) アルキル基またはC_(3) ?C_(5 )シクロアルキル基を示し;及び
R_(4 )はカルボキシまたは1H-テトラゾリル基を示す、請求項1記載の一般式(I)のベンズイミダゾール類、またはその無機または有機の酸または塩基との付加塩。
【請求項3】 下記の請求項1記載のベンズイミダゾール類、またはその無機または有機の酸または塩基との付加塩:
(a) 4′-〔〔2-n-プロピル-4-メチル-6-(1-メチルベンズイミダゾール-2-イル)-ベンズイミダゾール-1-イル〕-メチル〕-ビフェニル-2-カルボン酸、
((b) ?(r) 略)
【請求項4】 4′-〔〔2-n-プロピル-4-メチル-6-(1-メチルベンズイミダゾール-2-イル)-ベンズイミダゾール-1-イル〕-メチル〕-ビフェニル-2-カルボン酸である請求項1記載のベンズイミダゾール類、またはその無機または有機の酸または塩基との付加塩。
【請求項5】 4′-〔〔2-エチル-4-メチル-6-(5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾ〔1,2-a〕ピリジン-2-イル)-ベンズイミダゾール-1-イル〕-メチル〕-ビフェニル-2-カルボン酸である請求項1記載のベンズイミダゾール類、またはその無機または有機の酸または塩基との付加塩。
【請求項6】 請求項1?5のいずれか1項に記載の化合物の無機または有機の酸または塩基との生理学上許容し得る付加塩。
【請求項7】 請求項1?6のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、高血圧、心不全、虚血性末梢循環不整または心筋性虚血病(アンギナ)の治療、心筋梗塞後の心不全の予防、あるいは糖尿性腎臓病、緑内障、胃腸疾患または膀胱疾患の治療のための薬剤組成物。 【請求項8】 請求項1?6のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、アンギオテンシンアンタゴニスト活性を有する薬剤組成物。

3 イ号物品
判定請求書には、イ号物品について、以下のとおり記載されている。

「イ号物品は、「テルミサルタンおよびアムロジピンベシル酸塩の配合剤(以下、「本件配合剤」と云う)にのみ用いる原料としてのテルミサルタン」である。
「テルミサルタン」は、本件特許請求項1に記載された一般式(I)のイミダゾール類化合物、またはその無機または有機の酸または塩基との付加塩、請求項3及び4に記載された、4’-[[2-n-プロピル-4-メチル-6-(1-メチルベンズイミダゾール-2-イル)-ベンズイミダゾール-1-イル]-メチル]-ビフェニル-2-カルボン酸、またはその無機または有機の酸または塩基との付加塩である。
また、「アムロジピンベシル酸塩」は、長時間作用型ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル拮抗薬のひとつである。世界中で高血圧治療薬および狭心症治療薬として用いられている。他のカルシウム拮抗薬同様に、動脈血管の平滑筋の収縮に必要なCaイオンの流入を抑制し末梢血管(動脈)を拡張させる。末梢血管抵抗の低下により血圧を下げ、また心臓に血液を送る冠動脈を拡張させ心筋への血流を増加させることにより多くのカルシウムチャネル拮抗薬同様に狭心症発作に有効である。化学式は以下参照:(化学式略)
本件配合剤は、1錠中テルミサルタン40mgまたは80mgと、アムロジピンベシル酸塩6.93mgの配合剤である。アンジオテンシン受容体遮断薬とカルシウム拮抗薬の配合剤で、前者は血管平滑筋のアンジオテンシンIIの血管収縮作用を抑えて血圧を下げ、後者は細胞内へのCaイオンの流入を減少させ、血管平滑筋を弛緩させることにより、血圧を降圧する。通常、高血圧症の治療に用いられる。
具体的には、本件配合剤とは、下記表にある延長登録出願番号2010-700173の「ミカムロ配合錠AP」相当品であり、イ号物品は、本件配合剤の製造等のためにのみ用いるテルミサルタンである。」

以上のことから、イ号物品は、「テルミサルタンおよびアムロジピンベシル酸塩の配合剤にのみ用いる原料としてのテルミサルタン」であると認められる。

4 対比・判断
判定請求書からみて、請求人は、本件請求項1、3、4及び7に係る発明を、判定の対象として判定請求しているものと解されるので、以下検討する。

(1)本件請求項1,3及び4に係る発明について
本件請求項1、3及び4に係る発明とイ号物品を対比する。

イ号物品における「テルミサルタン」が、本件特許請求項1に記載された一般式(I)のイミダゾール類化合物、またはその無機または有機の酸または塩基との付加塩、請求項3及び4に記載された、4’-[[2-n-プロピル-4-メチル-6-(1-メチルベンズイミダゾール-2-イル)-ベンズイミダゾール-1-イル]-メチル]-ビフェニル-2-カルボン酸、またはその無機または有機の酸または塩基との付加塩であることは、請求人も認めるところである。

よって、イ号物品は、本件請求項1、3及び4に係る発明の構成要件を充足する。

(2)本件請求項7に係る発明について
本件請求項7に係る発明は、以下の構成要件(A)?(C)に分けられる。
(A)請求項1?6のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、
(B)高血圧、心不全、虚血性末梢循環不整または心筋性虚血病(アンギナ)の治療、心筋梗塞後の心不全の予防、あるいは糖尿性腎臓病、緑内障、胃腸疾患または膀胱疾患の治療のための
(C)薬剤組成物

本件請求項7に係る発明とイ号物品を対比すると、イ号物品における「テルミサルタン」は、構成要件(A)の一部である「請求項1?6のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物」に相当するものであるが、それを有効成分として含有する点の構成は充足しておらず、構成要件(A)を充足するとはいえない。また、構成要件(B)及び(C)も充足しない。

5 むすび
以上のとおり、イ号物品は、本件請求項1、3及び4に係る発明の構成要件を充足することから、特許第2709225号発明の技術的範囲に属する。

よって、結論のとおり判定する。
 
判定日 2015-01-21 
出願番号 特願平4-19852
審決分類 P 1 2・ 01- YB (C07D)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 内田 淳子
特許庁審判官 内藤 伸一
今村 玲英子
登録日 1997-10-17 
登録番号 特許第2709225号(P2709225)
発明の名称 ベンズイミダゾール類及びこれらの化合物を含有する薬剤組成物  
代理人 市川 さつき  
復代理人 北原 潤一  
代理人 山崎 一夫  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 屋代 順治郎  
代理人 松田 七重  
代理人 吉澤 大輔  
代理人 日野 真美  
代理人 秋元 輝雄  
復代理人 西澤 恵美子  
代理人 小林 浩  
代理人 片山 英二  
代理人 中村 閑  
代理人 箱田 篤  
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