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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1299367
審判番号 不服2013-1286  
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-01-24 
確定日 2015-03-31 
事件の表示 特願2008-519475「コンピュータ環境における式の変換」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 1月 4日国際公開、WO2007/002652,平成20年12月25日国内公表,特表2008-547133〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,2006年6月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年6月27日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって,
平成20年2月25日付けで特許法第184条の4第1項の規定による明細書,請求の範囲,及び,図面(図面の中の説明に限る)の日本語による翻訳文が提出され,平成21年6月4日付けで審査請求がなされ,平成23年12月21日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成24年5月28日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成24年9月20日付けで審査官により拒絶査定がなされ(発送;平成24年9月24日),これに対して平成25年1月24日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,平成25年4月15日付けで審査官により特許法第164条第3項の規定に基づく報告がなされ,平成25年5月16日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋がなされ,平成25年10月17日付けで回答書の提出があったものである。

第2.平成25年1月24日付けの手続補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成25年1月24日付け手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容
平成25年1月24日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,平成24年5月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,
「 【請求項1】
コンピュータを用いて式を変換するための方法であって,
前記コンピュータのプロセッサが,
第1シンタックスに従う,引用符で囲まれた文字列の値を表す第1文字シーケンスを含む第1式を受け取るステップと,
前記第1式を表すために用いられる第2シンタックスを特定するステップと,
前記第2シンタックスに従う,前記第1式を表す第2式を生成するステップと,
を実行し,
前記生成するステップが,第2文字シーケンスが前記第2シンタックスに従う前記引用符で囲まれた文字列の値を表すように,前記第1文字シーケンスを用いて前記第2文字シーケンスを生成するステップを含む,
方法。
【請求項2】
前記第1式は,複数の実行可能ステートメントを含む,請求項1の方法。
【請求項3】
前記第1式は,コマンドライン入力を含む,請求項1の方法。
【請求項4】
前記第1文字シーケンスは,第1参照値へバインドされる第1パラメータを含む,請求項1の方法。
【請求項5】
前記第1文字シーケンスを用いて第2文字シーケンスを生成するステップは,
前記第1パラメータを前記第1参照値へバインドするステップと,
前記第2シンタックスの引用符シンタックスに基づいて前記第1参照値を含めるように前記第2文字シーケンスを生成するステップと,を含む,
請求項4の方法。
【請求項6】
前記第1文字シーケンスは,前記第1パラメータを囲む区切り文字を含む,請求項4の方法。
【請求項7】
前記区切り文字は,引用符シンボルがそのあとに続くドルシンボルを含む所定のプレフィックスを含む,請求項6の方法。
【請求項8】
前記区切り文字は,引用符シンボルを含む所定のサフィックスを含む,請求項6の方法。
【請求項9】
前記第1文字シーケンスは,前記引用符で囲まれた文字列の値の表現を囲む区切り文字を含む,請求項1の方法。
【請求項10】
前記引用符で囲まれた文字列の値は,パラメータ参照を示す,前記第1シンタックスで用いられる文字を含む,請求項9の方法。
【請求項11】
前記第1文字シーケンスを用いて第2文字シーケンスを生成するステップは,前記引用符で囲まれた文字列の値内のパラメータのバインドを無効にするステップを含む,請求項10の方法。
【請求項12】
前記第2シンタックスは,計算機言語と互換性をもつよう選定される,請求項1の方法。
【請求項13】
前記計算機言語は,ksh,Java(登録商標),DML,C,およびSQLから成るグループのメンバーである,請求項12の方法。
【請求項14】
前記第2シンタックスは,文字シーケンスを解釈するための規則を含む,請求項1の方法。
【請求項15】
前記第2シンタックスを特定するステップは,前記第1文字シーケンスに先行するトークンに基づいてシンタックスを特定するステップを含む,請求項1の方法。
【請求項16】
式を変換するためのコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるプログラムであって,
コンピュータシステムに,
第1シンタックスに従う,引用符で囲まれた文字列の値を表す第1文字シーケンスを含む第1式を受け取るステップと,
前記第1式を表すための第2シンタックスを特定するステップと,
前記第2シンタックスに従う,前記第1式を表す第2式を生成するステップと,
を実行させるための命令を含み,
前記生成するステップが,第2文字シーケンスが前記第2シンタックスに従う前記引用符で囲まれた文字列の値を表すように,前記第1文字シーケンスを用いて前記第2文字シーケンスを生成するステップを含む,
プログラム。
【請求項17】
式を変換するためのシステムであって,
第1シンタックスに従う,引用符で囲まれた文字列の値を表す第1文字シーケンスを含む第1式を受け取るための手段と,
前記第1式を表すための第2シンタックスを特定するための手段と,
前記第2シンタックスに従う,前記第1式を表す第2式を生成するための手段と,を含み,
前記生成するための手段は,第2文字シーケンスが前記第2シンタックスに従う前記引用符で囲まれた文字列の値を表すように,前記第1文字シーケンスを用いて前記第2文字シーケンスを生成するための手段を含む,
システム。
【請求項18】
前記第1参照値は,第2参照値へバインドされる第2パラメータを含む,請求項4の方法。
【請求項19】
前記第1パラメータを前記第1参照値へバインドするステップは,
パラメータ参照のリスト,ならびに前記第1パラメータ,および前記第2パラメータを含む前記第1参照値を含む対応する値を受け取るステップと,
前記第2パラメータを特定するための前記第1参照値を解析することを含む,前記パラメータ参照を評価するステップと,
前記第2参照値へ前記第2パラメータをバインドするステップと,を含む,
請求項18の方法。
【請求項20】
前記第1パラメータを前記第1参照値へバインドすることは,前記第2シンタックスに従って,前記第1参照値から引用符で囲まれたリテラルを生成すること,を含む,請求項4の方法。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は,
「 【請求項1】
コンピュータを用いて式を変換するための方法であって,
前記コンピュータのプロセッサが,
第1シンタックスに従う,引用符で囲まれた文字列の値を表す第1文字シーケンスを含む第1式を受け取るステップと,
前記第1式を表すために用いられる第2シンタックスを特定するステップと,
前記第2シンタックスに従う,前記第1式を表す第2式を生成するステップと,
を実行し,
前記生成するステップが,前記第1文字シーケンスを用いて,該第1文字シーケンスと異なる第2文字シーケンスを生成するステップを含み,
前記第2文字シーケンスは前記第2シンタックスに従う前記引用符で囲まれた文字列の値を表すように生成されてなる,
方法。
【請求項2】
前記第1式は,複数の実行可能ステートメントを含む,請求項1の方法。
【請求項3】
前記第1式は,コマンドライン入力を含む,請求項1の方法。
【請求項4】
前記第1文字シーケンスは,第1参照値へバインドされる第1パラメータを含む,請求項1の方法。
【請求項5】
前記第1文字シーケンスを用いて第2文字シーケンスを生成するステップは,
前記第1パラメータを前記第1参照値へバインドするステップと,
前記第2シンタックスの引用符シンタックスに基づいて前記第1参照値を含めるように前記第2文字シーケンスを生成するステップと,を含む,
請求項4の方法。
【請求項6】
前記第1文字シーケンスは,前記第1パラメータを囲む区切り文字を含む,請求項4の方法。
【請求項7】
前記区切り文字は,引用符シンボルがそのあとに続くドルシンボルを含む所定のプレフィックスを含む,請求項6の方法。
【請求項8】
前記区切り文字は,引用符シンボルを含む所定のサフィックスを含む,請求項6の方法。
【請求項9】
前記第1文字シーケンスは,前記引用符で囲まれた文字列の値の表現を囲む区切り文字を含む,請求項1の方法。
【請求項10】
前記引用符で囲まれた文字列の値は,パラメータ参照を示す,前記第1シンタックスで用いられる文字を含む,請求項9の方法。
【請求項11】
前記第1文字シーケンスを用いて第2文字シーケンスを生成するステップは,前記引用符で囲まれた文字列の値内のパラメータのバインドを無効にするステップを含む,請求項10の方法。
【請求項12】
前記第2シンタックスは,計算機言語と互換性をもつよう選定される,請求項1の方法。
【請求項13】
前記計算機言語は,ksh,Java(登録商標),DML,C,およびSQLから成るグループのメンバーである,請求項12の方法。
【請求項14】
前記第2シンタックスは,文字シーケンスを解釈するための規則を含む,請求項1の方法。
【請求項15】
前記第2シンタックスを特定するステップは,前記第1文字シーケンスに先行するトークンに基づいてシンタックスを特定するステップを含む,請求項1の方法。
【請求項16】
式を変換するためのコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるプログラムであって,
コンピュータシステムに,
第1シンタックスに従う,引用符で囲まれた文字列の値を表す第1文字シーケンスを含む第1式を受け取るステップと,
前記第1式を表すための第2シンタックスを特定するステップと,
前記第2シンタックスに従う,前記第1式を表す第2式を生成するステップと,
を実行させるための命令を含み,
前記生成するステップが,前記第1文字シーケンスを用いて,該第1文字シーケンスと異なる第2文字シーケンスを生成するステップを含み,
前記第2文字シーケンスは前記第2シンタックスに従う前記引用符で囲まれた文字列の値を表すように生成されてなる,
プログラム。
【請求項17】
式を変換するためのシステムであって,
第1シンタックスに従う,引用符で囲まれた文字列の値を表す第1文字シーケンスを含む第1式を受け取るための手段と,
前記第1式を表すための第2シンタックスを特定するための手段と,
前記第2シンタックスに従う,前記第1式を表す第2式を生成するための手段と,を含み,
前記生成するための手段は,前記第1文字シーケンスを用いて,該第1文字シーケンスと異なる第2文字シーケンスを生成するための手段を含み,
前記第2文字シーケンスは前記第2シンタックスに従う前記引用符で囲まれた文字列の値を表すように生成されてなる,
システム。
【請求項18】
前記第1参照値は,第2参照値へバインドされる第2パラメータを含む,請求項4の方法。
【請求項19】
前記第1パラメータを前記第1参照値へバインドするステップは,
パラメータ参照のリスト,ならびに前記第1パラメータ,および前記第2パラメータを含む前記第1参照値を含む対応する値を受け取るステップと,
前記第2パラメータを特定するための前記第1参照値を解析することを含む,前記パラメータ参照を評価するステップと,
前記第2参照値へ前記第2パラメータをバインドするステップと,を含む,
請求項18の方法。
【請求項20】
前記第1パラメータを前記第1参照値へバインドすることは,前記第2シンタックスに従って,前記第1参照値から引用符で囲まれたリテラルを生成すること,を含む,請求項4の方法。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。

2.補正の適否
本件手続補正は,補正前の請求項1,請求項15,及び,請求項17における発明特定事項である「第2文字シーケンス」に対して,
「該第1文字シーケンスと異なる」,
及び,
「前記第2文字シーケンスは前記第2シンタックスに従う前記引用符で囲まれた文字列の値を表すように生成されてなる」,
という事項を附加するものであって,当該限定事項は,平成20年2月25日付けで特許法第184条の4第1項の規定による明細書,請求の範囲の日本語による翻訳文,及び,国際出願の願書に添付された図面の範囲内でなされたものであるから,
本件手続補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第184条の12第2項により読み替える同法第17条の2第3項の規定を満たすものである。
そして,上記引用の附加される事項は,上記「第2文字シーケンス」に対する限定事項であるから,
本件手続補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第184条の12第2項により読み替える同法第17条の2第4項の規定を満たすものである。
そこで,本件手続補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定を満たすものであるか否か,即ち,補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か,以下に検討する。

(1)補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下,これを「本件補正発明」という)は,上記「1.補正の内容」において,補正後の請求項1として引用した,次のとおりものである。

「コンピュータを用いて式を変換するための方法であって,
前記コンピュータのプロセッサが,
第1シンタックスに従う,引用符で囲まれた文字列の値を表す第1文字シーケンスを含む第1式を受け取るステップと,
前記第1式を表すために用いられる第2シンタックスを特定するステップと,
前記第2シンタックスに従う,前記第1式を表す第2式を生成するステップと,
を実行し,
前記生成するステップが,前記第1文字シーケンスを用いて,該第1文字シーケンスと異なる第2文字シーケンスを生成するステップを含み,
前記第2文字シーケンスは前記第2シンタックスに従う前記引用符で囲まれた文字列の値を表すように生成されてなる,
方法。」

(2)引用刊行物に記載の発明
原審の平成23年12月21日付け拒絶理由に引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開平10-063511号公報(1998年3月6日公開,以下,これを「引用刊行物」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

A.「【0053】(第3の実施形態)
第3の実施形態の第1の例
第3の実施形態の第1の例(実施例)は,ジョブスクリプト実行装置自体は既存のものを利用しながら,複数のジョブスクリプト言語に対応できるようにしたものである。これは,第2の実施形態の図11に示す基本構成と同じ基本構成を有するので,以下においては図11を参照して説明する。異なるのは,ジョブスクリプト実行装置1102を図29に示す構成とした点である。ジョブスクリプト実行装置は,図29に示す様にジョブスクリプトファイルを読み込み,どの種類のジョブスクリプト記述言語であるかを判定するジョブスクリプト記述言語判定装置2901と,判定された各ジョブスクリプト記述言語に対応したジョブスクリプト言語解釈装置2902a?2902nと,解釈されたジョブスクリプトを,特定のジョブスクリプト実行装置で動作させることができるように,特定のジョブスクリプト記述言語に翻訳するジョブスクリプト翻訳装置2903とを備え,それが,既存のジョブスクリプト実行部2904に入力され実行される構成のものである。
【0054】今,図4のジョブスクリプト1がデータ格納装置1101に格納された図30のようなジョブスクリプトAであるとする。利用者からのスクリプト実行要求が,キーボード/ディスプレイ装置1103とマウス1104を介して行われると,データ格納装置1101内のジョブスクリプトAが,ジョブスクリプト実行装置1102に渡され実行を促される。
【0055】するとジョブスクリプト実行装置1102内のジョブスクリプト記述言語判定装置は,この図30のジョブスクリプトAをスキャンし,特徴的な構文「tell application」という記述を読み読み取ると,図31の構文/スクリプト言語対応表を参照して,このスクリプトがAppleScriptで書かれているものであると判定し,ジョブスクリプト実行装置1102内の複数のジョブスクリプト言語解釈装置2902a?2902nから,AppleScript用ジョブスクリプト言語解釈装置(2)2902bを選択する。選択されたAppleScript用ジョブスクリプト言語解釈装置(2)2902bは読み込まれたジョブスクリプトAを解釈していく。ここでのジョブスクリプト言語の解釈は,一般のコンパイラが備えるパーザに用いられる技術で実現可能であり,Aho著の”Compilers Principles, Techniques, and Tools”等に記載されているもので,ここでは詳細については述べない。
【0056】次に,このジョブスクリプトAを実行すべきマシン上には,Visual Basicの実行環境しかなかったとすれば,このジョブスクリプト実行装置1102内のジョブスクリプト翻訳装置2903は,前記解釈されたスクリプトをVisual Basicの構文に逐次翻訳していく。ここでは,例えば図32のように,入力されたジョブスクリプト記述言語の解釈結果と,対応するVisual Basicでの命令文の対応表を用いて考えるが,もう少し複雑な文法を持ったジョブスクリプト記述言語でも良く,その場合には目的とするジョブスクリプト実行装置に対応したジョブスクリプト記述言語に翻訳するために,評価順序の入れ替え,ループの展開などいろいろな目的ジョブスクリプト生成技術が必要になってくるが,本発明の実施に必ずしも必要であるものではないため,ここでは最も単純に対応表で変換する例のみを記述した。
【0057】ここでは, MicroSoft Excelを扱ったAppleScriptの例になっているが,変換されたジョブスクリプトはMicroSoft ExcelのVBAとして表現されるため,MicroSoft Excelを起動する部分の記述はなく,代わりにサブルーチン名としてdummy1を与えている。図33は,この様にして図30のジョブスクリプトAを変換して得られたVisualBasicのジョブスクリプトBを示すものである。」(下線は,当審にて,説明の都合上附加したものである。以下,同じ。)

B.【図30】には,次の事項が開示されている。
「tell application ”Microsoft Exel”
Activeate ”テストファイル1”
Select Range(”R1B1:R2B2”)
Set Font of Selection to”明朝”
Set Size of Selection to 12
rnd tell
図30:実行すべきジョブスクリプトA 」

C.【図31】には,次の事項が示されている。
「Syntax Script Language
tell application Apple Script
Sub Visual basic
open program structured script
・ ・
・ ・
図31:構文/スクリプト言語対応表 」

D.【図33】には,次の事項が示されている。
「Sub dummy1()
Sheets(”テストファイル1”).Select
Range(”A1:B2”).Select
Selection.Font.Name=”明朝”
Selection.Font.Size=”12”
End Sub
図33:変換後のVisualBasicのジョブスクリプトB 」

ア.上記Aの「このジョブスクリプトAを実行すべきマシン上には,Visual Basicの実行環境しかなかったとすれば,このジョブスクリプト実行装置1102内のジョブスクリプト翻訳装置2903は,前記解釈されたスクリプトをVisual Basicの構文に逐次翻訳していく」という記載から,引用刊行物には,
“マシン上で,異なるジョブスクリプトへの変換方法”
が記載されていることが読み取れる。

イ.上記Aの「ジョブスクリプト実行装置は,図29に示す様にジョブスクリプトファイルを読み込み,どの種類のジョブスクリプト記述言語であるかを判定するジョブスクリプト記述言語判定装置2901と,判定された各ジョブスクリプト記述言語に対応したジョブスクリプト言語解釈装置2902a?2902nと,解釈されたジョブスクリプトを,特定のジョブスクリプト実行装置で動作させることができるように,特定のジョブスクリプト記述言語に翻訳するジョブスクリプト翻訳装置2903とを備え」という記載から,引用刊行物に記載された「ジョブスクリプト実行装置」は,“どの種類のジョブスクリプト記述言語であるかを判定するジョブスクリプト記述言語判定装置と,判定された各ジョブスクリプト記述言語に対応したジョブスクリプト言語解釈装置と,解釈されたジョブスクリプトを,特定のジョブスクリプト実行装置で動作させることができるように,特定のジョブスクリプト記述言語に翻訳するジョブスクリプト翻訳装置とを備えている”ことが読み取れるので,
このことから,前記「ジョブスクリプト実行装置」は,その内部で,“どの種類のジョブスクリプト記述言語であるかを判定し判定された各ジョブスクリプト記述言語を解釈し,解釈されたジョブスクリプトを,特定のジョブスクリプト実行装置で動作させることができるように,特定のジョブスクリプト記述言語に翻訳することを行っている”ものであると解されるから,引用刊行物において,
“ジョブスクリプト実行装置は,ジョブスクリプトファイルを読み込み,
前記ジョブスクリプトファイルが,どの種類のジョブスクリプト記述言語であるかを判定し,
判定された各ジョブスクリプト記述言語を解釈し,
解釈されたジョブスクリプトを,特定のジョブスクリプト実行装置で動作させることができるように,特定のジョブスクリプト記述言語に翻訳する”ものであることが読み取れる。

ウ.上記イ.において検討した,上記Aの記載内容について,上記Aには,更に,「ジョブスクリプトAが,ジョブスクリプト実行装置・・・に渡され実行を促される」という記載,「ジョブスクリプト記述言語判定装置は,この図30のジョブスクリプトAをスキャンし,特徴的な構文「tell application」という記述を読み読み取ると,・・・このスクリプトがAppleScriptで書かれているものであると判定」という記載,「複数のジョブスクリプト言語解釈装置・・・から,AppleScript用ジョブスクリプト言語解釈装置・・・を選択する」という記載,「AppleScript用ジョブスクリプト言語解釈装置・・・は読み込まれたジョブスクリプトAを解釈していく」という記載,及び,「ジョブスクリプトAを実行すべきマシン上には,Visual Basicの実行環境しかなかったとすれば,・・・ジョブスクリプト翻訳装置・・・は,前記解釈されたスクリプトをVisual Basicの構文に逐次翻訳していく」という記載が存在し,上記イ.において検討したとおり,「ジョブスクリプト記述言語判定装置」,「ジョブスクリプト言語解釈装置」,「ジョブスクリプト翻訳装置」は,共に,「ジョブスクリプト実行装置」に内包されるものであることを踏まえると,上記Aの記載内容から,引用刊行物においては,
“ジョブスクリプト実行装置は,AppleScriptで記述されているスクリプトAを受け取ると,前記スクリプトAをスキャンして,前記スクリプトA内の特徴的な構文から,前記スクリプトAが,AppleScriptで記述されていることを判定し,前記スクリプトAを解釈し,実行環境が,Visual Basicの実行環境しか存在しない場合,前記解釈されたスクリプトAを,Visual Basicの構文で記述されたスクリプトBに逐次翻訳していく”ものであることが読み取れる。

エ.上記ウ.において検討した“ジョブスクリプト実行装置は,スクリプトAをスキャンして,AppleScriptで記述されていることを判定”することに関して,上記Aに,「特徴的な構文「tell application」という記述を読み読み取ると,図31の構文/スクリプト言語対応表を参照して,このスクリプトがAppleScriptで書かれているものであると判定」と記載されているので,引用刊行物の【図31】を参照すると,上記Cに引用したとおり,「特徴的な構文「tell application」」は,「Syntax」の項目に記載されているから,引用刊行物中において,「構文」と記載されていることが,「Syntax」と同義であることは,明らかである。
そして,上記ウ.において検討した,「スクリプトA」から,「スクリプトB」への「逐次翻訳」に関して,上記Aの記載中において言及されている,引用刊行物の【図30】,及び,【図33】を参照すると,【図30】に記載された,「Apple Script」で記述された「ジョブスクリプトA」における各行が,【図33】に記載された,「Visual Basic」で記述された「ジョブスクリプトスクリプトB」の各行に「翻訳」されていることが読み取れ,そのうち,【図30】に記載された,Apple Script」で記述された「ジョブスクリプトA」の1行である「Select Range(”R1B1:R2B2”)」が,【図33】に記載された,「VisualBasic」で記述された「ジョブスクリプトスクリプトB」の1行である「 Range(”A1:B2”).Select」に翻訳されていることが読み取れるので,上記エ.おいて検討した事項から,引用刊行物においては,
“「Apple Script」で記述された「ジョブスクリプトA」における各行が,「Visual Basic」で記述された「ジョブスクリプトスクリプトB」の各行に翻訳され,前記翻訳は,ジョブスクリプトAの1行である,“Select Range(”R1B1:R2B2”)”が,ジョブスクリプトBの1行である,“ Range(”A1:B2”).Select”に翻訳されることを含む”ものであることが読み取れる。

以上,ア.?エ.において検討した事項から,引用刊行物には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。

マシン上で,異なるジョブスクリプトへの変換方法であって,
ジョブスクリプト実行装置は,Apple Scriptで記述された複数行からなるジョブスクリプトAを読み込み,
前記ジョブスクリプトAに含まれる特徴的なSyntaxから,前記ジョブスクリプトAが,Apple Scriptで記述されたものであることを判定し,
前記判定されたジョブスクリプトAの各行を解釈し,
実行環境が,Visual Basicの実行環境しか存在しない場合,
解釈されたジョブスクリプトAの各行を,Visual Basicで記述されたジョブスクリプトBの各行に翻訳することを含み,
前記翻訳は,前記ジョブスクリプトAの1行である,“Select Range(”R1B1:R2B2”)”を,前記ジョブスクリプトBの1行である“ Range(”A1:B2”).Select”に翻訳することを含む,方法。

(3)本件補正発明と引用発明との対比
ア.引用発明において,「Apple Scriptで記述された複数行からなるジョブスクリプトAを読み込」むことは,「ジョブスクリプトA」を受け取ることであり,
該「ジョブスクリプトA」は,「Apple Scriptで記述され」ているのであるから,その“各行”は,「Apple Script」の「Syntax」に従うものであることは明らかである。
よって,引用発明における“Apple ScriptのSyntax”が,本件補正発明における「第1のシンタックス」に相当する。

イ.引用発明においては,「ジョブスクリプト実行装置」が受け取る「ジョブスクリプトA」には,「Select Range(”R1B1:R2B2”)」が含まれており,前記「Select Range(”R1B1:R2B2”)」中の「” ”」が,「引用符」であることは,当業者に周知の技術事項であるから,
引用発明における,前記「Select Range(”R1B1:R2B2”)」中の,「R1B1:R2B2」と,
本件補正発明における「第1シンタックスに従う,引用符に囲まれた文字列の値を表す第1文字シーケンス」とは,
“第1のシンタックスに従う,引用符に囲まれた文字列を表す第1の文字シーケンス”
である点で共通し,
引用発明において,「R1B1:R2B2」を含む,前記「Select Range(”R1B1:R2B2”)」が,
本件補正発明における「第1式」に相当する。
そして,引用発明における「マシン」は,「コンピュータ」と言い得るものであることは,明らかであるから,
以上ア.及び,イ.において検討した事項から,
引用発明における「マシン上で,異なるジョブスクリプトへの変換方法」が,
本件補正発明における「コンピュータを用いて式を変換するための方法」に相当し,
引用発明における「ジョブスクリプト実行装置」は,引用発明の「マシン」を構成するものであって,「ジョブスクリプト」の「翻訳」を行うものであるから,
引用発明において,“ジョブスクリプト実行装置は,Apple Scriptで記述されたジョブスクリプトAの1行である,“Select Range(”R1B1:R2B2”)”を読み込”むことと,
本件補正発明における「前記コンピュータのプロセッサが,第1のシンタックスに従う,引用符で囲まれた文字列の値を表す第1文字シーケンスを含む第1式を受け取るステップ」とは,
“コンピュータの変換手段が,第1シンタックスに従う,引用符で囲まれた文字列を表す第1の文字シーケンスを含む第1式を受け取るステップ”である点で共通する。

ウ.引用発明において,「実行環境が,Visual Basicの実行環境しか存在しない場合」とは,「Apple Scriptで記述された複数行からなるジョブスクリプトA」を翻訳すべき「Syntax」を特定することに他ならず,
引用発明における「Visual Basic」の「Syntax」が,
本件補正発明における「第2シンタックス」に相当するので,
引用発明において,「実行環境が,Visual Basicの実行環境しか存在しない場合」を判定することが,
本件補正発明における「第1式を表すために用いられる第2シンタックスを特定するステップ」に相当する。

エ.引用発明においては,“Apple Scriptで記述されたジョブスクリプトAの1行である,“Select Range(”R1B1:R2B2”)””を,“Visual Basicで記述されたジョブスクリプトBの1行である,“ Range(”A1:B2”).Select””に翻訳しており,
引用発明における「 Range(”A1:B2”).Select」が,
本件補正発明における「第2式」に相当するので,
引用発明において,“Apple Scriptで記述されたジョブスクリプトAの1行である,“Select Range(”R1B1:R2B2”)””を,“Visual Basicで記述されたジョブスクリプトBの1行である,“ Range(”A1:B2”).Select””に翻訳することが,
本件補正発明における「第2シンタックスに従う,前記第1式を表す第2式を生成するステップ」に相当する。

オ.引用発明における“Visual Basicで記述されたジョブスクリプトBの1行である,“ Range(”A1:B2”).Select””中の,「A1:B2」が,同じく,引用発明における“Apple Scriptで記述されたたジョブスクリプトAの1行である,“Select Range(”R1B1:R2B2”)””中の「R1B1:R2B2」を,「Apple Script」の表現から,「Visual Basic」の表現に翻訳したものであることは,明らかであり,該「A1:B2」が,「 Range(”A1:B2”).Select」中において,引用符「” ”」に囲まれていることも明らかであって,
引用発明において,「Apple Script」における「R1B1:R2B2」と,「Visual Basic」における「A1:B2」とが,異なる文字列であることも明らかであるから,
引用発明における「A1:B2」が,
本件補正発明における「第2文字シーケンス」に相当し,
よって,引用発明において,“Select Range(”R1B1:R2B2”)中の「R1B1:R2B2」を, Range(”A1:B2”).Select中の,「A1:B2」に翻訳する”ことと,
本件補正発明における「前記生成するステップが,前記第1文字シーケンスを用いて,該第1文字シーケンスと異なる第2文字シーケンスを生成するステップを含み,
前記第2文字シーケンスは前記第2シンタックスに従う前記引用符で囲まれた文字列の値を表すように生成されてなる」とは,
“前記生成するステップが,前記第1の文字シーケンスを用いて,該第1の文字シーケンスと異なる第2の文字シーケンスを生成するステップを含み,
前記第2の文字シーケンスは前記第2シンタックスに従う前記引用符で囲まれた文字列の値を表すように生成されてなる”点で共通する。

以上,ア.?オ.において検討した事項から,本件補正発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
コンピュータを用いて式を変換するための方法であって,
コンピュータの変換手段が,第1シンタックスに従う,引用符で囲まれた文字列を表す第1の文字シーケンスを含む第1式を受け取るステップと,
第1式を表すために用いられる第2シンタックスを特定するステップと,
第2シンタックスに従う,前記第1式を表す第2式を生成するステップと,
を実行し,
前記生成するステップが,前記第1の文字シーケンスを用いて,該第1の文字シーケンスと異なる第2の文字シーケンスを生成するステップを含み,
前記第2の文字シーケンスは前記第2シンタックスに従う前記引用符で囲まれた文字列の値を表すように生成されてなる,
方法。

[相違点1]
“コンピュータの変換手段”に関して,
本件補正発明においては,「コンピュータのプロセッサ」であるのに対して,
引用発明においては,「ジョブスクリプト実行装置」であって,「プロセッサ」であるか明確でない点。

[相違点2]
“引用符で囲まれた文字列を表す第1の文字シーケンス”に関して,
本件補正発明においては,「引用符で囲まれた文字列の値を表す」ものであるのに対して,
引用発明においては,“所定の領域を表すもの”ではあるが,それを“値”というかについては明確ではない点。

[相違点3]
“第1の文字シーケンスと異なる第2の文字シーケンス”に関して,
本件補正発明においては,「第2文字シーケンス」は,「引用符で囲まれた値を表す第1文字シーケンス」を用いて生成されたものであるから,“「第1文字シーケンス」が表す「値」を変換したもの”と言い得るものであるが,
引用発明において,「Visual Basic」における「A1:B2」が,“Apple Scriptにおける値から生成されたもの”と言い得るか明確でない点。

(4)相違点についての当審の判断
ア.[相違点1]について
引用発明においても,「ジョブスクリプト実行装置」が,「スクリプト」を処理しており,“CPU”,或いは,「プロセッサ」が,「スクリプト」を処理することは,例えば,本願の第1国出願前に既に公知である,特開平11-312081号公報(1999年11月9日公開,以下,これを「周知技術文献1」という)に,

E.「【0032】なお,この領域に添付されるプログラムがどのような形態のものであるかは特定しないが,どのようなCPUを積んだ装置で書籍データが再生表示されるか分からないため,どのCPUでも処理可能なプログラムであることが望ましい。例えば,スクリプト言語で書かれたプログラムとか,米国Sun Microsystems社の開発したJAVA言語で書かれたプログラムなどをこの領域に記録すればよい。このとき,装置側には,スクリプト言語やJAVA言語で書かれたプログラムを解釈して実行する手段が必要となり,この手段として外部プログラム実行手段107が設けられている。」

と記載されてもいるように,本願の第1国出願前に,当業者には周知の技術事項であって,引用刊行物中には,明文の記載はないものの,引用発明における「ジョブスクリプト実行装置」自体が,「CPU」,或いは,「プロセッサ」であるか,または,「ジョブスクリプト実行装置」が,「CPU」,或いは,「プロセッサ」を内包していることは明らかである。
よって,本件補正発明における「コンピュータのプロセッサ」と,
引用発明における「ジョブスクリプト実行装置」とは,
表現上の差異は存在するものの,実質的には同一のものである。
仮に,引用発明における「ジョブスクリプト実行装置」が,「CPU」,或いは,「プロセッサ」とは異なる“専用装置”であったとしても,当該“専用装置”を,汎用の「CPU」,或いは,「プロセッサ」に置き換えて,「ジョブスクリプト」を処理するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,相違点1は,格別のものではない。

イ.[相違点2],及び,[相違点3]について
引用発明における「R1B1:R2B2」が,“「Apple Script」に従う,引用符に囲まれた文字列を表す”ものと言い得るものであり,引用発明における「A1:B2」が,“引用符に囲まれた文字列を表す「R1B1:R2B2」”を,“「Visual Basic」に従う,「文字列を表す値」に変換したもの”と言い得るものであれば,この点においても,本件補正発明と,引用発明とは実質的に相違しない。
仮に,引用発明における「R1B1:R2B2」,及び,「A1:B2」が,上記のように言い得るものでないとしても,
“文字列で表現された変数に,「値」を代入する形式の表現において,スクリプト生成に際して,変数を具体的な「値」に変換する”ようなことは,例えば,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2005-141393号公報(2005年6月2日公開,以下,これを「周知技術文献2」という)に,

F.「【0030】
ここで「width="$WID$"」および「height="$HEI$"」と記述されている部分には,それぞれコンテンツの横幅と高さを指定する。どちらも「$」で囲まれた置換用の変数で指定されているため,提供コンテンツ管理装置2内のスクリプト生成部24で,例えば,「widht="640" height="480"」のように具体的な値が埋め込まれることになる。ここで埋め込まれる具体的な値は,システム側であらかじめ決まっている値を採用することが望ましい。しかし,個人属性情報に記述されている値を採用することも可能で,任意の構成が可能である。
【0031】
一方,図4に示す例の真中から下の部分には,「$REPEAT_START(meta="www.xyz.com/meta/text/")$」および「$REPEAT_LEND$」というコマンド用の変数による指定があり,さらに「$TEXTS$」という置換用の変数記述がある。スクリプト生成時には,コマンド用の変数の括弧内で指定された場所("www.xyz.com/meta/text/")にあるコンテンツ属性情報に記述されているコンテンツを指し示すように,置換用の変数($TEXTS$)を置換していく。」

と記載されてもいるように,本願の第1国出願前に,既に周知の技術事項であるから,引用発明においても,第2文字シーケンスを生成する際に,上記周知技術を採用することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,相違点2,及び,相違点3は,格別のものではない。
そして,本件補正発明の構成によってもたらされる効果も,引用発明から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって,格別のものとは言えない。

以上に検討したとおりであるから,本件補正発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.補正却下むすび
したがって,本件手続補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
平成25年1月24日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,平成24年5月28日付けの手続補正により補正された,上記「第2.平成25年1月24日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正前の請求項1として引用した,次のとおりものである。
「コンピュータを用いて式を変換するための方法であって,
前記コンピュータのプロセッサが,
第1シンタックスに従う,引用符で囲まれた文字列の値を表す第1文字シーケンスを含む第1式を受け取るステップと,
前記第1式を表すために用いられる第2シンタックスを特定するステップと,
前記第2シンタックスに従う,前記第1式を表す第2式を生成するステップと,
を実行し,
前記生成するステップが,第2文字シーケンスが前記第2シンタックスに従う前記引用符で囲まれた文字列の値を表すように,前記第1文字シーケンスを用いて前記第2文字シーケンスを生成するステップを含む,
方法。」

第4.引用刊行物に記載の発明
一方,原審拒絶理由に引用された,上記「第2.平成25年1月24日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(2)引用刊行物に記載の発明」において,「引用刊行物」とした,特開平10-063511号公報(1998年3月6日公開)には,上記「(2)引用刊行物に記載の発明」において認定したとおりの発明が記載されている。

第5.本願発明と引用発明との対比
本願発明は,上記「第2.平成25年1月24日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」において検討した本件補正発明から,「第2文字シーケンス」に対する限定事項である,「該第1文字シーケンスと異なる」という構成と,「第2文字シーケンスは前記第2シンタックスに従う前記引用符に囲まれた文字列の値を表すよう生成されてなる」という構成を取り除いたものであるから,
本願発明と,引用発明との一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
コンピュータを用いて式を変換するための方法であって,
コンピュータの変換手段が,第1シンタックスに従う,引用符で囲まれた文字列を表す第1の文字シーケンスを含む第1式を受け取るステップと,
第1式を表すために用いられる第2シンタックスを特定するステップと,
第2シンタックスに従う,前記第1式を表す第2式を生成するステップと,
を実行し,
前記生成するステップが,前記第1の文字シーケンスを用いて,該第1の文字シーケンスと異なる第2の文字シーケンスを生成するステップを含む,
方法。

[相違点a]
“コンピュータの変換手段”に関して,
本願発明においては,「コンピュータのプロセッサ」であるのに対して,
引用発明においては,「ジョブスクリプト実行装置」であって,「プロセッサ」であるか明確でない点。

[相違点b]
“引用符で囲まれた文字列を表す第1の文字シーケンス”に関して,
本願発明においては,「引用符で囲まれた文字列の値を表す」ものであるのに対して,
引用発明においては,“所定の領域を表すもの”ではあるが,それを“値”というかについては明確ではない点。

[相違点c]
“第1の文字シーケンスと異なる第2の文字シーケンス”に関して,
本願発明においては,「第2文字シーケンス」は,「引用符で囲まれた値を表す第1文字シーケンス」を用いて生成されたものであるから,“「第1文字シーケンス」が表す「値」を変換したもの”と言い得るものであるが,
引用発明において,「Visual Basic」における「A1:B2」が,“Apple Scriptにおける値から生成されたもの”と言い得るか明確でない点。

第6.相違点についての当審の判断
本願発明と,引用発明との相違点a?相違点cは,本件補正発明と,引用発明との相違点1?相違点3と同一のものであるから,上記「第2.平成25年1月24日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(4)相違点についての当審の判断」において,検討したとおりであるから,
本願発明は,引用発明,及び,周知技術文献1,及び,周知技術文献2に示された周知技術に基づいて,当業者が容易になし得るものであり,
そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,引用発明から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって,格別のものとは言えない。

第7.むすび
本願発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-11-04 
結審通知日 2014-11-05 
審決日 2014-11-19 
出願番号 特願2008-519475(P2008-519475)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保 光宏  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 石井 茂和
田中 秀人
発明の名称 コンピュータ環境における式の変換  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  

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