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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01Q 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01Q |
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管理番号 | 1299752 |
審判番号 | 不服2014-1339 |
総通号数 | 186 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-01-24 |
確定日 | 2015-04-08 |
事件の表示 | 特願2010-520589「アンテナ」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 2月26日国際公開,WO2009/024539,平成22年12月 2日国内公表,特表2010-537461〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,2008年(平成20年)8月14日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2007年8月17日,英国)を国際出願日とする出願であって,平成22年3月16日に特許法184条の4第1項の規定による翻訳文が提出され,平成25年2月7日付けの拒絶理由通知に対し,同年8月12日に手続補正がされ,同年9月18日付けで拒絶査定がされ,これに対して平成26年1月24日に審判請求がされるとともに,同日に手続補正がされ,その後,同年3月3日付けで前置報告されたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成26年1月24日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は,特許請求の範囲及び明細書を補正するものであって,特許請求の範囲の請求項1については,本件補正の前後で以下のとおりである。 ・補正前 「【請求項1】 複数の送信/受信モジュールの等価物を具備するフェイズドアレイアンテナ100であって, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,少なくとも,低電力/制御部と,高電力部と,サーキュレータとを組み込んでおり, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物は,単一の印刷回路板上に構成され, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,単一の通信ユニットを形成するために,少なくとも,電力制御部と,RF相互接続部と,複数の放射素子と,制御及び電力供給回路とを組み込んでおり, 予め定められた数の前記通信ユニットを組み立てて,必要とされる特性のフェイズドアレイアンテナを形成し, 組み立てられる前記通信ユニットの数は,前記フェイズドアレイアンテナの必要とされる特性により決定される,フェイズドアレイアンテナ100。」 ・補正後 「【請求項1】 複数の送信/受信モジュールの等価物を具備するフェイズドアレイアンテナ(100)であって, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,少なくとも,低電力/制御部と,高電力部と,サーキュレータとを組み込んでおり, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物は,単一の印刷回路板上に構成され, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,単一の通信ユニットを形成するために,少なくとも,電力制御部と,RF相互接続部と,複数の放射素子と,制御及び電力供給回路とを組み込んでおり, 予め定められた数の前記通信ユニットを組み立てて,必要とされる特性のフェイズドアレイアンテナを形成し, 組み立てられる前記通信ユニットの数は,前記フェイズドアレイアンテナの必要とされる特性により決定される, ここで,前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,前記必要とされる特性の前記フェイズドアレイアンテナを形成するために予め定められた数で組み合わせることができる複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネント(500a,b,c,500’a,b,c,500’’a,b,c,)を単一の印刷回路板上に具備しており, また,前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々における複数の放射素子は,複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネントに接続される, フェイズドアレイアンテナ(100)。」 2 補正事項の整理 本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正を整理すると次のとおりとなる。(当審注.下線は補正箇所を示し,当審で付加したもの。) ・補正事項1 補正前の請求項1の「フェイズドアレイアンテナ100」を,「フェイズドアレイアンテナ(100)」と補正すること。 ・補正事項2 補正前の請求項1に,「ここで,前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,前記必要とされる特性の前記フェイズドアレイアンテナを形成するために予め定められた数で組み合わせることができる複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネント(500a,b,c,500’a,b,c,500’’a,b,c,)を単一の印刷回路板上に具備しており,また,前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々における複数の放射素子は,複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネントに接続される,」を付加する補正をすること。 3 補正の適否について (1)補正事項1について 本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0008】の記載から,補正事項1は本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであることは明らかであるので,補正事項1は,特許法第17条の2第3項の規定に適合する。 そして,補正事項1は,補正前の請求項1における「フェイズドアレイアンテナ100」を「フェイズドアレイアンテナ(100)」とするもので,「フェイズドアレイアンテナ」を示す図面中の番号の記載形式を改めるものであるから,特許法第17条の2第4項の規定に適合することは明らかであり,また,同法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。 (2)補正事項2について 本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0010】及び【0016】の記載から,補正事項2は本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであることは明らかであるので,補正事項2は,特許法第17条の2第3項の規定に適合する。 そして,補正事項2は,補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「複数の送信/受信モジュールの等価物」及び「複数の放射素子」を,「前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,前記必要とされる特性の前記フェイズドアレイアンテナを形成するために予め定められた数で組み合わせることができる複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネント(500a,b,c,500’a,b,c,500’’a,b,c,)を単一の印刷回路板上に具備しており,また,前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々における複数の放射素子は,複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネントに接続される,」と技術的に限定するもので,補正前の請求項1に記載された発明特定事項を限定的に減縮するから,特許法第17条の2第4項の規定に適合することは明らかであり,また,同法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 4 独立特許要件についての検討 (1)検討の前提 上記3(2)で検討したとおり,本件補正による請求項1についての補正事項2は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから,本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かにつき,更に検討する。 (2)本願補正発明 本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は,次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 複数の送信/受信モジュールの等価物を具備するフェイズドアレイアンテナ(100)であって, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,少なくとも,低電力/制御部と,高電力部と,サーキュレータとを組み込んでおり, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物は,単一の印刷回路板上に構成され, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,単一の通信ユニットを形成するために,少なくとも,電力制御部と,RF相互接続部と,複数の放射素子と,制御及び電力供給回路とを組み込んでおり, 予め定められた数の前記通信ユニットを組み立てて,必要とされる特性のフェイズドアレイアンテナを形成し, 組み立てられる前記通信ユニットの数は,前記フェイズドアレイアンテナの必要とされる特性により決定される, ここで,前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,前記必要とされる特性の前記フェイズドアレイアンテナを形成するために予め定められた数で組み合わせることができる複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネント(500a,b,c,500’a,b,c,500’’a,b,c,)を単一の印刷回路板上に具備しており, また,前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々における複数の放射素子は,複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネントに接続される, フェイズドアレイアンテナ(100)。」 (3)引用文献の記載と引用発明 ア 引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された,本願の優先権主張日(以下「本願優先日」という。)前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2004-120325号公報(以下「引用文献1」という。)には,図1ないし3とともに,次の記載がある。(当審注.下線は当審において付加した。以下同じ。) (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は,小型化及び軽量化を目的とした空中線の回路構成に関する。 ・・・ 【0004】 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 このように,金属ケース等の機械構造を具備したユニット構造及びコネクタによる接続方法は,多数のユニットから構成されるレーダ用空中線等では全体の寸法や質量を決定する大きな要因となっており,空中線を小型化,軽量化する上では,この部位の小型化,軽量化が大きな障害となっていた。 本発明は上記の問題を解決するために,アンテナ素子及び高周波モジュール部を多層基板で一体化することにより,小型化・軽量化できるレーダ用空中線を提供することを目的とする。」 (イ)「【0005】 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するため,本発明は複数配列されたアンテナ素子,前記アンテナ素子に接続された高周波モジュール部を多層基板により一体化した複合ユニットと,複数配列した前記複合ユニットの各高周波モジュール部に高周波信号を供給する第1の給電回路とを具備したことを特徴とする。 ・・・ 【0006】 【発明の実施の形態】 以下本発明の実施の形態について,図面を参照しながら詳細に説明する。 図1に本発明の一実施例によるレーダ用空中線装置の斜視図,図2にユニット毎に分断した分断図,図3(a)に高周波モジュール部の拡大図,図3(b)に高周波モジュール部A-A’の断面図を示す。 図において11はアンテナ素子,12は複合ユニット,13は高周波モジュール部,14は横給電回路,15は高周波信号用コネクタ,16は冷却プレート,17は縦給電回路,18は配線回路,31は高周波回路部品,32は高周波半導体回路部品,33は制御回路部品,34は電源回路部品を示す。 本実施例のレーダ用空中線装置は,縦方向1列分(ここではアンテナ素子8個)のアンテナ素子配列と,アンテナ素子の縦方向1列分の高周波モジュール部13とを多層基板で一体化した複合ユニット12で形成され,この複合ユニット12を冷却プレート16に密着させ,各複合ユニット12が横方向(ここでは複合ユニット16個)に横給電回路14で高周波信号用コネクタ15と接続された構成である。複合ユニット12にある各高周波モジュール部13はサーキュレータ等の高周波回路部品31,高周波信号を増幅させる増幅器及び位相制御を行う移相器等を有する高周波半導体部品32,高周波の移相及び増幅を制御する制御回路部品33,及び各回路部品に電源を供給する電源回路部品34の実装部品からなり,高周波回路部品31,高周波半導体部品32,及びアンテナ素子11に横給電回路14からの高周波信号(以下RF信号とする)を供給する縦給電回路17と,制御回路部品33,電源回路部品34から高周波回路部品31,高周波半導体部品への制御信号及び電源を供給する配線回路18が多層基板で一体化した複合ユニット12に形成されている。 【0007】 複合ユニット12を形成する多層基板の一短部方向に8個のアンテナ素子11を配置し,この8個のアンテナ素子11に接続される8個の高周波モジュール部13は,高周波回路部品31,高周波半導体回路部品32,制御回路部品33及び電源回路部品34に分割化し,高周波信号入出力端子と,制御信号入出力端子と,電源供給端子は,それぞれ半田付けによって基板表面層のパッドと呼ばれる配線パターンに接続されている。パッドに接続 された回路は表面層に設けられた配線パターンもしくは,パッドに設けられたスルーホールを介して接続される内層パターンによって他の回路と接続される。 このため,上記構成を用いることで,縦方向1列分の回路はコネクタによる電気的接続が一切用いておらず,一体化する際に金属ケース等の機械構造によるモジュールを用いていないために,構造的にも簡素化され且つ質量も大幅に軽減することが可能となっている。・・・」 イ 引用発明 (ア)上記ア(イ)より,引用文献1には,16個の複合ユニット12で形成され,各複合ユニット12において,縦方向1列分(ここではアンテナ素子8個)のアンテナ素子配列と,アンテナ素子11の縦方向1列分の高周波モジュール部13とが接続された,レーダ用空中線装置が記載されていると認められ,また,当該レーダ用空中線装置がアレイアンテナであることは,上記ア(イ)及び図1から明らかである。 そうすると,引用文献1には,複数の高周波モジュール部13を具備するアレイアンテナが記載されているということができる。 (イ)上記ア(イ)より,引用文献1記載のレーダ用空中線装置において,複数の高周波モジュール部13の各々は,少なくとも,サーキュレータ等の高周波回路部品31と高周波信号を増幅させる増幅器及び位相制御を行う移相器等を有する高周波半導体回路部品32とを組み込んでいるということができる。 そして,上記ア(イ),並びに図1及び図3より,引用文献1記載のレーダ用空中線装置において,アンテナ素子の縦方向1列分の高周波モジュール部13は,アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成されると認められる。 そうすると,引用文献1には,複数の高周波モジュール部13の各々は,少なくとも,サーキュレータ等の高周波回路部品31と高周波信号を増幅させる増幅器及び位相制御を行う移相器等を有する高周波半導体回路部品32とを組み込んでおり,上記複数の高周波モジュール部13は,アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成されることが記載されているということができる。 (ウ)上記ア(イ)より,引用文献1には,レーダ用空中線装置における複数の高周波モジュール部13の各々について,高周波の移相及び増幅を制御する制御回路部品33,及び各回路部品に電源を供給する電源回路部品34を具備することが記載されていると認められる。 また,上記ア(イ)より,引用文献1には,複数の高周波モジュール部13の各々は,アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成されることで,当該高周波モジュール部13がアンテナ素子11に接続されること,縦給電回路17により当該高周波モジュール部13の高周波回路部品31及び高周波半導体部品32とアンテナ素子11とにRF信号が供給されること,並びに配線回路18により上記制御回路部品33及び上記電源回路部品34から上記高周波回路部品31及び上記高周波半導体部品32へ制御信号及び電源が供給されることが,それぞれ記載されていると認められる。 そうすると,引用文献1には,複数の高周波モジュール部13の各々は,アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成されることで,少なくとも,高周波の移相及び増幅を制御する制御回路部品33と,各回路部品に電源を供給する電源回路部品34と,アンテナ素子11と,当該高周波モジュール部13の高周波回路部品31及び高周波半導体部品32と,上記アンテナ素子11とにRF信号を供給する縦給電回路17と,上記制御回路部品33及び上記電源回路部品34から上記高周波回路部品31及び上記高周波半導体部品32へ制御信号及び電源を供給する配線回路18とを組み込んでいることが記載されているということができる。 (エ)上記ア(イ),並びに図1及び図3より,引用文献1記載のレーダ用空中線装置は,16個の複合ユニット12で形成され,各複合ユニット12は,アンテナ素子の縦方向1列分(ここではアンテナ素子8個)の高周波モジュール部13が,アンテナ素子が一短部方向に配置された多層基板上に構成されて形成されると認められる。 そして,上記(ア)のとおり,引用文献1記載のレーダ用空中線装置がアレイアンテナであることは,上記ア(イ)及び図1から明らかである。 そうすると,引用文献1には,予め定められた数の高周波モジュール部13をアンテナ素子が一短部方向に配置された多層基板上に構成して,アレイアンテナを形成することが記載されているということができる。 (オ)上記(イ)のとおり,引用文献1には,複数の高周波モジュール部13の各々は,少なくとも,高周波回路部品31と高周波半導体回路部品32とを組み込んでおり,上記複数の高周波モジュール部13は,アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成されることが記載されていると認められる。 また,上記(エ)のとおり,引用文献1には,予め定められた数の高周波モジュール部13をアンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成して,アレイアンテナを形成することが記載されていると認められる。 そして,上記ア(イ),並びに図1及び図3より,上記高周波回路部品31と上記高周波半導体回路部品32は,複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネントを具備すると認められる。 そうすると,引用文献1には,複数の高周波モジュール部13の各々は,アレイアンテナを形成するために予め定められた数で組み合わせることができる複数のディスクリートな個別にパッケージされたコンポーネントを,アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に具備することが記載されているということができる。 (カ)上記(ウ)のとおり,引用文献1には,複数の高周波モジュール部13の各々は,アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成されることで,当該高周波モジュール部13がアンテナ素子11に接続されること,並びに縦給電回路17により当該高周波モジュール部13の高周波回路部品31及び高周波半導体部品32と,アンテナ素子11とにRF信号が供給されることが記載されていると認められる。 そして,上記(ウ)のとおり,引用文献1には,複数の高周波モジュール部13の各々は,アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成されることで,アンテナ素子11を組み込んでいることが記載されていると認められる。 そうすると,引用文献1には,複数の高周波モジュール部13の各々におけるアンテナ素子11が,複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネントに接続されることが記載されているということができる。 (キ)上記(ア)ないし(カ)より,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「複数の高周波モジュール部13を具備するアレイアンテナであって, 複数の高周波モジュール部13の各々は,少なくとも,サーキュレータ等の高周波回路部品31と高周波信号を増幅させる増幅器及び位相制御を行う移相器等を有する高周波半導体回路部品32とを組み込んでおり, 上記複数の高周波モジュール部13は,アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成され, 上記複数の高周波モジュール部13の各々は,上記アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成されることで,少なくとも,高周波の移相及び増幅を制御する制御回路部品33と,各回路部品に電源を供給する電源回路部品34と,上記アンテナ素子11と,当該高周波モジュール部13の高周波回路部品31及び高周波半導体部品32と上記アンテナ素子11とにRF信号を供給する縦給電回路17と,上記制御回路部品33及び上記電源回路部品34から上記高周波回路部品31及び上記高周波半導体部品32へ制御信号及び電源を供給する配線回路18とを組み込んでおり, 予め定められた数の上記高周波モジュール部13を上記アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成して,アレイアンテナを形成し, 上記複数の高周波モジュール部13の各々は,アレイアンテナを形成するために予め定められた数で組み合わせることができる複数のディスクリートな個別にパッケージされたコンポーネントを上記アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に具備しており, また,上記複数の高周波モジュール部13の各々におけるアンテナ素子11が,上記複数のディスクリートな個別にパッケージされたコンポーネントに接続される, アレイアンテナ。」 (4)本願補正発明と引用発明との対比 ア 引用発明における「高周波モジュール部13」は,本願補正発明の「複数の送信/受信モジュールの等価物」に相当するといえる。 そして,本願補正発明の「フェイズドアレイアンテナ(100)」と引用発明の「アレイアンテナ」は,「アレイアンテナ」である点で共通するといえる。 そうすると,後述する相違点に係る構成を除き,本願補正発明と引用発明とは,「複数の送信/受信モジュールの等価物を具備するアレイアンテナ」である点で共通するということができる。 イ 本願補正発明における「低電力/制御部」及び「高電力部」との用語について,その意味内容を一義的に理解することは困難であるので,本願明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌して,それぞれの意味内容を理解すると,本願補正発明における上記の用語について,本願明細書の発明の詳細な説明には,「コンポーネント500a,b,cおよび500’a,b,c,500’’a,b,cは,パッケージに2つのチップを組み込んでいる低電力モジュール(この低電力モジュールの目的は送信および受信における利得/位相シフト,全体的な制御,送信のための低レベルの駆動信号の発生である)と,マルチチップパッケージである高電力モジュール(高電力モジュールの目的は低レベルの送信信号を増幅することである)と,低雑音増幅器/保護スイッチモジュール(これは2つの形態のいずれか一方であることができ,その一方は別のユニットであり,他方は高電力モジュール内である)と,」(段落【0011】)と記載されている。 そして,上記の記載を参酌すれば,本願補正発明における「低電力/制御部」は「位相シフト」するものを含むこと,及び「高電力部」は「低レベルの送信信号を増幅する」ものを含むことが,それぞれ理解できる。 そうすると,引用発明における「増幅器及び位相制御を行う移相器等を有する高周波半導体回路部品32」は,本願補正発明の「低電力/制御部」及び「高電力部」に相当するといえる。 また,引用発明における「サーキュレータ等の高周波回路部品31」は,本願補正発明の「サーキュレータ」に相当するといえる。 以上から,引用発明は,本願補正発明の「前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,少なくとも,低電力/制御部と,高電力部と,サーキュレータとを組み込んでおり,」に相当する構成を備えているということができる。 ウ 引用発明において,複数の高周波モジュール部13は,アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成されるものと認められ,また,上記(3)ア(イ)より,アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板により,「縦方向1列分(ここではアンテナ素子8個)のアンテナ素子配列」が構成されると認められる。 そうすると,上記多層基板は一体化されて,縦方向に延伸する単一の基板ということができるから,引用発明において,複数の高周波モジュール部13は,単一の基板上に構成されたものということができる。 以上から,後述する相違点に係る構成を除き,本願補正発明と引用発明とは,「前記複数の送信/受信モジュールの等価物は,単一の基板上に構成され」る点で共通するということができる。 エ 引用発明における「高周波の移相及び増幅を制御する制御回路部品33」,「各回路部品に電源を供給する電源回路部品34」及び「上記制御回路部品33及び上記電源回路部品34から上記高周波回路部品31及び上記高周波半導体部品32へ制御信号及び電源を供給する配線回路18」は,本願補正発明の「電力制御部」及び「制御及び電力供給回路」に相当するといえる。 また,引用発明における「当該高周波モジュール部13の高周波回路部品31及び高周波半導体部品32と上記アンテナ素子11とにRF信号を供給する縦給電回路17」及び「アンテナ素子11」は,それぞれ,本願補正発明の「RF相互接続部」及び「放射素子」に相当するといえる。 そして,引用発明において,複数の「高周波モジュール部13」の各々が「アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板」上に構成されることにより形成されるものを,「通信ユニット」と称することは任意であり,その場合,「複数の高周波モジュール部13」の各々を「アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板」上に構成することは,単一の「通信ユニット」を形成するためにされるものということができる。 そうすると,後述する相違点に係る構成を除き,本願補正発明と引用発明とは,「前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,単一の通信ユニットを形成するために,少なくとも,電力制御部と,RF相互接続部と,放射素子と,制御及び電力供給回路とを組み込んで」いる点で共通するということができる。 オ 上記エより,引用発明における「予め定められた数の上記高周波モジュール部13を上記アンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成」することから,引用発明は,予め定められた数の「通信ユニット」を組み立てるものということができる。 そうすると,後述する相違点に係る構成を除き,本願補正発明と引用発明とは,「予め定められた数の前記通信ユニットを組み立てて,アレイアンテナを形成」する点で共通するということができる。 カ 上記ウで検討したとおり,本願補正発明と引用発明とは,「前記複数の送信/受信モジュールの等価物は,単一の基板上に構成され」る点で共通するといえるから,後述する相違点に係る構成を除き,本願補正発明と引用発明とは,「前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は」,「アレイアンテナを形成するために予め定められた数で組み合わせることができる複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネント」を単一の基板上に具備している点で共通するということができる。 キ 後述する相違点に係る構成を除き,本願補正発明と引用発明とは,「前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々における」「放射素子は,複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネントに接続される」点で共通するということができる。 ク 以上から,本願補正発明と引用発明との一致点と相違点は,次のとおりである。 (ア)一致点 「複数の送信/受信モジュールの等価物を具備するアレイアンテナであって, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,少なくとも,低電力/制御部と,高電力部と,サーキュレータとを組み込んでおり, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物は,単一の基板上に構成され, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,単一の通信ユニットを形成するために,少なくとも,電力制御部と,RF相互接続部と,放射素子と,制御及び電力供給回路とを組み込んでおり, 予め定められた数の前記通信ユニットを組み立てて,アレイアンテナを形成し, ここで,前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,アレイアンテナを形成するために予め定められた数で組み合わせることができる複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネントを単一の基板上に具備しており, また,前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々における放射素子は,複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネントに接続される, アレイアンテナ。」 (イ)相違点 ・相違点1 本願補正発明は「フェイズドアレイアンテナ」であるのに対し,引用発明は「アレイアンテナ」であることは認められるものの,「フェイズドアレイアンテナ」であることは特定されていない点。 ・相違点2 一致点の「複数の送信/受信モジュールの等価物は,単一の基板上に構成され」るとの構成における「基板」について,本願補正発明は「印刷回路板」であるのに対し,引用発明は「多層基板」である点。 ・相違点3 「前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,単一の通信ユニットを形成するために」,本願補正発明では複数の「放射素子」を組み込むのに対し,引用発明では「放射素子」を組み込むことは認められるものの,複数の「放射素子」を組み込むことは特定されていない点。 ・相違点4 一致点の「予め定められた数の前記通信ユニットを組み立てて,アレイアンテナを形成」するとの構成について,本願補正発明は「必要とされる特性のフェイズドアレイアンテナを形成し,組み立てられる前記通信ユニットの数は,前記フェイズドアレイアンテナの必要とされる特性により決定される」と特定されているのに対し,引用発明では上記の特定はされていない点。 ・相違点5 一致点の「前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,アレイアンテナを形成するために予め定められた数で組み合わせることができる複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネントを単一の基板上に具備」するとの構成における「アレイアンテナを形成するために予め定められた数」について,本願補正発明は「前記必要とされる特性の前記フェイズドアレイアンテナを形成するために予め定められた数」と特定されているのに対し,引用発明では上記の特定はされていない点。 ・相違点6 本願補正発明では「複数の送信/受信モジュールの等価物」の各々における複数の「放射素子」が「複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネント」に接続されるのに対し,引用発明では「複数の送信/受信モジュールの等価物」の各々における「放射素子」が「複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネント」に接続されることは認められるものの,複数の「放射素子」が接続されることは特定されていない点。 (5)相違点についての検討 ア 相違点1について フェイズドアレイアンテナは,本願優先日前,当該技術分野では周知のものであり,引用発明のようなレーダ用空中線装置に用いることも,本願優先日前,当業者により普通に行われていたものである。 以上から,引用発明において,相違点1に係る構成とすることは,当業者が普通に行い得るものである。 イ 相違点2について 電子機器の組み立てにおいて,電子部品を印刷回路板上に配置して接続することは,本願優先日前,当業者により普通に行われていたものである。 また,電子部品を配置する基板を単層構造とするか多層構造とするかは,必要に応じて当業者が適宜選択し得るものである。 以上から,引用発明において,相違点2に係る構成とすることは,当業者が適宜行い得るものである。 ウ 相違点3及び相違点6について 相違点3及び相違点6について,以下,まとめて検討する。 (ア)引用発明において,複数の「高周波モジュール部13」(本願補正発明の「送信/受信モジュールの等価物」に相当。)の各々に組み込まれる「アンテナ素子11」(本願補正発明の「放射素子」に相当。)の数は,引用発明において構成するアンテナの性能に応じて,当業者が適宜選択し得るものである。 そうすると,引用発明において,複数の「高周波モジュール部13」の各々に複数の「アンテナ素子11」を組み込みこと,及び複数の「高周波モジュール部13」の各々における複数の「アンテナ素子11」が,複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネントに接続されるようにすることは,いずれも,当業者が適宜なし得たものである。 以上から,引用発明において,相違点3に係る構成とすること,及び相違点6に係る構成とすることは,いずれも,当業者が適宜なし得たものである。 (イ)ところで,本願明細書では,「放射素子」の組み込みに関する記載として,「複数の送信/受信モジュールの等価物は単一の印刷回路板上に構成され,この印刷回路板は単一の通信ユニットを形成するために全ての電力,制御およびRF相互接続,放射素子,付加的な制御および電力供給回路を組み込むことができる。複数のこのような通信ユニットはその後完全なフェイズドアレイアンテナを形成するために簡単に組み立てられる。」(段落【0016】)との記載,及び「装置は単一の回路板上で30以上の放射素子で適切であることが証明されているが任意の数の放射素子が想定される。」(段落【0016】)との記載が認められるだけである。 そして,上記の記載より,本願明細書には,複数の「送信/受信モジュールの等価物」が単一の印刷回路板上に構成され,この印刷回路板は単一の通信ユニットを形成するために全ての電力,制御およびRF相互接続,放射素子,付加的な制御および電力供給回路を組み込むことができるので,複数のこのような通信ユニットが組み立てられる上記単一の印刷回路板には,複数の「放射素子」を組み込むことができるということは記載されていると認められる。 しかし,本願明細書の上記の記載から,本件補正後の請求項1における「前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,単一の通信ユニットを形成するために,少なくとも,・・・複数の放射素子と,・・・を組み込んで」いることが記載されているとは認められない。 してみれば,本願明細書の記載より,本件補正後の請求項1における上記の記載は,「前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,単一の通信ユニットを形成するために,少なくとも,・・・放射素子と,・・・を組み込んで」の誤記,又は「前記単一の印刷回路板は,少なくとも,・・・複数の放射素子と,・・・を組み込んで」の誤記と解することもできる。 そこで,本件補正後の請求項1に上記の誤記があるとした場合に,「放射素子」の組み込みに関する相違点3に係る構成,及び当該構成に関係する相違点6に係る構成が,進歩性を有するか否かについても,一応検討する。 本件補正後の請求項1における上記の記載が,「前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,単一の通信ユニットを形成するために,少なくとも,・・・放射素子と,・・・を組み込んで」の誤記である場合には,引用発明において,複数の「高周波モジュール部13」の各々は「アンテナ素子11」を組み込むから,相違点3は実質的な相違点とは認められない。また,同様に,相違点6も実質的な相違点とは認められない。 他方,本件補正後の請求項1における上記の記載が,「前記単一の印刷回路板は,少なくとも,・・・複数の放射素子と,・・・を組み込んで」の誤記である場合には,上記(3)ア(イ)より,引用文献1には,引用発明における多層基板(本願補正発明の「単一の印刷回路板」と,相違点2に係る構成を除き,「単一の基板」である点で共通。)の一短部方向に,縦方向1列分(ここではアンテナ素子8個)の「アンテナ素子11」が配置されていることが記載されていると認められるから,相違点3は実質的な相違点とは認められない。また,同様に,相違点6も実質的な相違点とは認められない。 そうすると,本件補正後の請求項1に上記の誤記があったとしても,相違点3及び相違点6それぞれに係る構成が進歩性を有するということはできない。 (ウ)以上から,上記(ア)又は(イ)の理由により,引用発明において,相違点3に係る構成とすること,及び相違点6に係る構成とすることに進歩性があるとはいえない。 エ 相違点4及び相違点5について 相違点4及び相違点5について,以下,まとめて検討する。 引用発明において,予め定められた数の「高周波モジュール部13」(本願補正発明の「送信/受信モジュールの等価物」に相当。)をアンテナ素子11が一短部方向に配置された多層基板上に構成して,アレイアンテナを形成する際に,アレイアンテナとしてフェイズドアレイアンテナを形成することは,上記アで検討したとおり,当業者が普通に行い得るものである。 そして,その際に,必要とされる特性のフェイズドアレイアンテナを形成することは,当業者が当然に行い得るものである。 また,上記ア(イ)より,引用文献1には,各複合ユニット12において,縦方向1列分(ここではアンテナ素子8個)のアンテナ素子配列と,アンテナ素子11の縦方向1列分の高周波モジュール部13とが接続されることが記載されていると認められるから,上記「高周波モジュール部13」の予め定められた数が,上記アンテナ素子11の個数によって決まることは明らかである。 そうすると,上記「高周波モジュール部13」の予め定められた数を,上記フェイズドアレイアンテナに必要とされる特性により決定することは,当業者が普通に行い得るものである。 そして,その結果,上記「複数の高周波モジュール部13」の各々は,上記必要とされる特性の上記フェイズドアレイアンテナを形成するために予め定められた数で組み合わせることができる複数のディスクリートな,個別にパッケージされたコンポーネントを具備することは明らかである。 以上から,引用発明において,相違点4に係る構成とすること,及び相違点5に係る構成とすることは,いずれも,当業者が普通に行い得るものである。 (6)本願補正発明の作用効果について 本願明細書の記載によれば,従来技術では,「フェイズドアレイアンテナを構成する非常に価格が効率的な方法ではなく,このような送信/受信モジュールは通常,非常に高価であり完全なアンテナに容易に組み立てられない」(段落【0002】)という問題があったので,本願に係る発明は,上記の課題を解決し,「伝統的なパケットよりも価格が効率的で,小さく,簡単で廉価である」(段落【0015】)との作用効果を奏するものである。 しかし,上記(3)アより,引用発明は,金属ケース等の機械構造を具備したユニット構造及びコネクタによる接続方法は,多数のユニットから構成されるレーダ用空中線等では全体の寸法や質量を決定する大きな要因となっており,空中線を小型化,軽量化する上では,この部位の小型化,軽量化が大きな障害となっていたとの従来技術の問題を解決して,小型化・軽量化できるレーダ用空中線を提供すること(段落【0001】及び【0004】)を目的とし,構造的にも簡素化され且つ質量も大幅に軽減することが可能になる(段落【0007】)との作用効果を奏すると認められるから,本願補正発明と引用発明との間に,作用効果上,格別の相違があるとは認められない。 そうすると,本願補正発明が奏する作用効果は,格別のものとはいえない。 (7)まとめ 本件補正後の請求項1に係る発明(本願補正発明)は,引用文献1記載の発明(引用発明)に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5 むすび したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明の容易想到性について 1 本願発明について 平成26年1月24日に提出された手続補正書による手続補正は前記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成25年8月12日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 複数の送信/受信モジュールの等価物を具備するフェイズドアレイアンテナ100であって, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,少なくとも,低電力/制御部と,高電力部と,サーキュレータとを組み込んでおり, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物は,単一の印刷回路板上に構成され, 前記複数の送信/受信モジュールの等価物の各々は,単一の通信ユニットを形成するために,少なくとも,電力制御部と,RF相互接続部と,複数の放射素子と,制御及び電力供給回路とを組み込んでおり, 予め定められた数の前記通信ユニットを組み立てて,必要とされる特性のフェイズドアレイアンテナを形成し, 組み立てられる前記通信ユニットの数は,前記フェイズドアレイアンテナの必要とされる特性により決定される,フェイズドアレイアンテナ100。」 2 引用文献の記載と引用発明 引用文献1の記載は,前記第2の4(3)アのとおりであり,引用発明は,前記第2の4(3)イで認定したとおりである。 3 本願発明と引用発明との対比 前記第2の1及び2から明らかなように,本願発明は,本願補正発明から,平成26年1月24日に提出された手続補正書による補正事項1に係る誤記の訂正と,補正事項2に係る技術的限定(前記第2の2参照。)を取り除いたものである。 ここで,上記補正事項1は,「フェイズドアレイアンテナ」を示す図面中の番号の記載形式を改める軽微なものであるから,当該補正事項を取り除くことで発明の構成は実質的に変更されない。 そして,上記補正事項2に係る技術的限定は,本願補正発明と引用発明との相違点5に係る構成,及び相違点6に係る構成を含むものである。 そうすると,本願発明と引用発明とを対比すると,前記第2の4(4)より,両者は,本願補正発明と引用発明との相違点1ないし4の点で相違し,その余の点で一致すると認められる。 4 相違点についての検討 前記第2の4(5)で検討したとおり,本願補正発明と引用発明との相違点1ないし4は,いずれも,引用発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものであるから,本願発明と引用発明との相違点も,引用発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。 また,前記第2の4(6)の理由により,本願発明と引用発明との間に,作用効果上,格別の相違があるとは認められないから,本願発明が奏する作用効果は,格別のものとはいえない。 5 まとめ 以上のとおり,本願の請求項1に係る発明(本願発明)は,引用文献1記載の発明(引用発明)に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないものである。 第4 結言 したがって,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その余の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-11-07 |
結審通知日 | 2014-11-11 |
審決日 | 2014-11-25 |
出願番号 | 特願2010-520589(P2010-520589) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01Q)
P 1 8・ 575- Z (H01Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 米倉 秀明 |
特許庁審判長 |
田中 庸介 |
特許庁審判官 |
河口 雅英 萩原 義則 |
発明の名称 | アンテナ |
代理人 | 野河 信久 |
代理人 | 砂川 克 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 峰 隆司 |