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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02K
管理番号 1300495
審判番号 不服2014-5050  
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-03-17 
確定日 2015-05-07 
事件の表示 特願2011-271964「排気ノズルの可変出口面積のための方法と装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 7月 5日出願公開、特開2012-127349〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成23年12月13日(パリ条約による優先権主張、2010年12月14日 アメリカ合衆国)の出願であって、平成24年2月6日に特許法第36条の2第2項に規定する翻訳文が提出され、平成25年3月12日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成25年6月17日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成25年11月13日付けで拒絶査定がされ、これに対し平成26年3月17日に拒絶査定に対する審判請求がされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成25年6月17日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲並びに平成24年2月6日に提出された明細書及び図面の翻訳文の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。

「 【請求項1】
ノズルの出口面積の制御方法であって、
少なくとも12度の発散角を有する中細ノズルを供給するステップと、
一対のじょう乱発生器を、ノズルの末広がり部分のほぼ対称に向かい合う所定の位置に配置するステップと、
じょう乱発生器によって生じたじょう乱の大きさを制御することにより、衝撃を生成することなく末広がり部分から流れの剥離を生じさせるステップと
を含み、
一対のじょう乱発生器を配置するステップが、末広がり部分の向かい合う壁に噴射流スロットを設けることを含み、
噴射流スロットを、ノズルの喉部からノズルの先端までの末広がり部分の長さの25%?75%の間に、好ましくは少なくとも50%の位置に配置する、
方法。」

3.引用文献
(1)引用文献の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2002-98002号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに次の記載がある。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般的に航空機ガスタービンエンジン用の排出装置に関し、具体的には、航空機エンジンの排出ノズルの有効流路面積を選択的に調節し、ノズルの作動特性を変化させるための制御装置に関する。」(段落【0001】)

(イ)「【0012】ここで図面、特に図1を参照すると、航空機のガスタービンエンジン排出ノズルの有効流路面積を選択的に調節し、ノズルの作動特性を変化させるための制御装置が、全体として11で示される。制御装置11は、調節可能な導入口13、中空内部を有するチャンバ15及び複数の出口通路17を含む。加圧空気の流れが、導入口13からチャンバ15中に、次いで1つ又はそれ以上の出口通路17に順次に流れる。
【0013】導入口13は、空気のようなガスの流れを加圧空気源19から制御装置に供給する流路を含む。源19は、ガスタービンエンジンあるいは圧縮機抽気吐出ポート(図示せず)のようなエンジンの適当な空気出口であることが好ましい。圧縮機吐出空気は、エンジン圧縮機の少なくとも1部分を通過して、正圧勾配でもって排出ノズル中のいかなる位置にもその空気を送給することができるほど十分に圧力を高められる。しかしながら、中間圧縮機段の抽気あるいは取出し、エンジンのファン吐出ポート、入口バイパスダクト、または独立した空気回路のような加圧空気のいかなる適当な1つのまたは複数の源でも、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、用いることが可能である。
【0014】導入口13には、導入口を通る流量を選択的に変化させるための制御バルブ21を備えるのが好ましい。バルブ21は、図1にT字形のハンドル23により概略的に示される適当な制御装置により選択的に調節することができる。選択された流量は、ゼロから導入口の大きさ及び空気圧力により制限される最大流量までの範囲とすることができる。バルブ21は、空気源19及びチャンバ15の間の導入口13に沿ういかなる位置にも設置可能である。しかしながら、調節バルブを備えない導入口も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0015】チャンバ15は、導入口13より大きい断面寸法を有するプレナムであり、導入口から供給される空気流にとっては実質的に過大である。従って、空気流は、チャンバ15を満たすほど十分には膨張しない。逆に、空気は、チャンバ中に流れ込みチャンバ中を流れるとき、チャンバの周辺部壁面から剥離する。従って、空気流は、チャンバ15中に流れ込むときに空気の自由噴流を形成する。噴流は、下記のように、チャンバの下流端25上の1つ又はそれ以上の出口通路17に向けて指向または操向されることができる。従って、出口通路17は噴流のターゲットを構成する。噴流は、チャンバ15の1つの側面に沿って操向されることができ、あるいはより中央寄りの位置へ操向されることができる。チャンバ15は、図1及び図2の好ましい実施形態に示されるように、円筒形の形状にすることができ、あるいは本発明の技術的範囲から逸脱することなく別の適当な形状にすることができる。
【0016】出口通路17は、チャンバ15の下流端25の周りに配置されて、空気の噴流が1つ又はそれ以上の出口通路に向けて操向されることを可能にする。図1に見られるように、好ましい実施形態では、8つの出口通路17を有する。図2に見られるように、通路は、チャンバの下流端25を全体的に覆う、円形の隣接するセクタ27及び環帯のセクタ29を形成するように形づくられる。下流端25は、球状、凹状、凸状、平面状または他の適当な形状にすることができる。本発明の技術的範囲から逸脱することなく、チャンバ15の周りの出口通路17の数、出口通路の形状、構成及び位置はどのようにすることも可能である。
【0017】ここで図3から図6までを参照して、流体式に制御される排出ノズルが、全体を31で示される。ノズル31は、円形、矩形、楕円形またはひし形のようないかなる適当な断面の形状にすることもできる。ノズル31は、先細ダクト33、最小面積セクション又は喉状部35、及び末広ダクト37を含む。
【0018】各出口通路17は、排出ノズル31の内側表面に沿った個所または領域に接続されて、チャンバ15及びノズルの間に流体連通をもたらす。チャンバ15を通過して出口通路17のうちの1つの中に流れ込む空気は、排出ノズル31の対応する個所に導かれる。その個所は、空気が必要とされる排出ノズルのいかなる領域をも含むことができる。例えば、好ましい実施形態の8つの個所は、喉状部35の上部側面、下部側面、左側面、及び右側面並びにその喉状部から出口までの距離の約80%の位置の末広ダクト37の上部側面、下部側面、左側面、及び右側面を含む。空気は、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、別の位置の個所及び/または異なる数の個所に導かれることができる。
【0019】各出口通路17は、流れガイド、出口プレート、または分配マニホルドのような適当な流れディスペンサーを有する流出端36(図3から図6まで)を有する。流出端36は、空気を、望み通りにその個所全体に給配し、ノズル表面を貫通して主排出流中に噴射する。流出端は、ノズルダクトライナ(図示せず)に沿って供給される冷却空気とは干渉しないように形成されるので、冷却空気は実質的に影響を受けない。
【0020】流体噴射がなければ、喉状部35は、喉状部におけるダクト壁面の物理的境界により定めれる。当業者には知られているように、流体噴射は、噴射された空気で物理的な流路面積の1部分を閉塞をすることによって、有効流路面積を縮小する。喉状部35の面積は、上部個所及び下部個所の間に対称的に分割された空気を噴射することにより、図4の再熱非ベクタード形態にまで縮小されることができる。この形態を達成するために、空気の噴流は、チャンバ15中の中心軸線38に平行に操向される。噴流は、図2に示すようにチャンバ15の下流端25の中心に向けられ、そこで、噴流は、円形の隣接するセクタ27の間でほぼ同等の部分に分割されることになる。それらの出口セクタ27は、ノズルの喉状部35をほぼ囲繞する個所に通じる。喉状部面積は、より大量の空気を噴射することによって図3のドライパワー非ベクタード形態にまでさらに減少させることができる。この形態を達成するために、噴流は中心軸線38に平行に操向され続けるが、同時に、導入口13中のバルブ21が調節されて、増量された加圧空気を供給し、それによって喉状部35の有効寸法を縮小させる。」(段落【0012】ないし【0020】)

(2)引用文献記載の事項
上記(1)(ア)及び(イ)並びに図1ないし図4の記載から、以下の事項が分かる。

(ウ)上記(1)(ア)の記載から、引用文献には、排出ノズル31の有効流路面積を選択的に調節する方法が記載されていることが分かる。

(エ)上記(1)(イ)及び図1ないし4の記載から、引用文献に記載された排出ノズル31の有効流路面積を選択的に調節する方法は、一定の角度によって拡大する末広ダクト37を設けることを含むものであることが分かる。

(オ)上記(1)(イ)及び図1ないし4の記載から、引用文献に記載された排出ノズル31の有効流路面積を選択的に調節する方法は、流出端36を、喉状部35の上部側面、下部側面、左側面及び右側面並びにその喉状部35から出口までの距離の約80%の位置の末広ダクト37の上部側面、下部側面、左側面及び右側面を含む個所に設けることを含むものであることが分かる。

(カ)上記(1)(イ)及び図1ないし4の記載から、引用文献に記載された排出ノズル31の有効流路面積を選択的に調節する方法は、1つまたはそれ以上の出口通路17を介して、流出端36から噴射する加圧空気の量を制御することにより、噴射された空気で物理的な流路面積の1部分を閉塞することによって有効流路断面積を縮小するものであることが分かる。

(3)引用発明
上記(1)、(2)及び図1ないし4から、引用文献には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「排出ノズル31の有効流路面積を選択的に調節する方法であって、
一定の角度によって拡大する末広ダクト37を設け、
流出端36を、喉状部35の上部側面、下部側面、左側面及び右側面並びにその喉状部35から出口までの距離の約80%の位置の末広ダクト37の上部側面、下部側面、左側面及び右側面を含む個所に設け、
1つまたはそれ以上の出口通路17を介して、流出端36から噴射する加圧空気の量を制御することにより、噴射された空気で物理的な流路面積の1部分を閉塞することで有効流路断面積を縮小する方法。」

4.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「排出ノズル31」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本願発明における「ノズル」に相当し、同様に、「末広ダクト37」は「発散角を有する中細ノズル」に相当する
また、本願発明における「ノズルの出口面積」は、本願の明細書の段落【0014】の「ノズル出口における排気流の有効面積」という記載からみて、「排気流の有効面積」であると認められるから、引用発明における「排出ノズル31の有効流路面積」及び「排出ノズル31の有効流路面積を選択的に調節する方法」は、その技術的意義からみて、本願発明における「ノズルの出口面積」及び「ノズルの出口面積の制御方法」に、それぞれ相当する。
そして、「一定の角度によって拡大する中細ノズルを供給するステップ」という限りにおいて、引用発明において「一定の角度によって拡大する末広ダクト37を設ける」ことは、本願発明における「少なくとも12度の発散角を有する中細ノズルを供給するステップ」に相当する。
さらに、本願の明細書の段落【0008】に「一実施例によるじょう乱発生器は噴射流スロットであり」と記載されていること、及び引用発明において流出端から噴射された空気がじょう乱を発生させるものであることは明らかであることから、引用発明における「流出端36」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本願発明における「じょう乱発生装置」及び「噴射流スロット」に相当する。
また、引用発明において、流出端36を「喉状部35から出口までの距離の約80%の位置の末広ダクト37の上部側面、下部側面、左側面及び右側面」に設けることは、本願発明において「じょう乱発生器を、ノズルの末広がり部分のほぼ対称に向かい合う所定の位置に配置する」ことに相当するから、「複数のじょう乱発生器を、ノズルの末広がり部分のほぼ対称に向かい合う所定の位置に配置するステップ」において「末広がり部分の向かい合う壁に噴射流スロットを設けることを含む」という限りにおいて、引用発明において「1つまたはそれ以上の出口通路17を介して、流出端36を、喉状部35の上部側面、下部側面、左側面及び右側面並びにその喉状部35から出口までの距離の約80%の位置の末広ダクト37の上部側面、下部側面、左側面及び右側面を含む個所に設け」ることは、本願発明における「一対のじょう乱発生器を、ノズルの末広がり部分のほぼ対称に向かい合う所定の位置に配置するステップ」において、「末広がり部分の向かい合う壁に噴射流スロットを設けることを含み」、「噴射流スロットを、ノズルの喉部からノズルの先端までの末広がり部分の長さの25%?75%の間に、好ましくは少なくとも50%の位置に配置する」ことに相当する。
そして、「じょう乱発生器によって生じたじょう乱の大きさを制御することによって、ノズルの出口面積を制御するステップ」という限りにおいて、引用発明において「1つまたはそれ以上の出口通路17を介して、流出端36から噴射する加圧空気の量を制御することにより、噴射された空気で物理的な流路面積の1部分を閉塞することで有効流路断面積を縮小する」ことは、本願発明における「じょう乱発生器によって生じたじょう乱の大きさを制御することにより、衝撃を生成することなく末広がり部分から流れの剥離を生じさせるステップ」に相当する。

よって、本願発明と引用発明とは、
「 ノズルの出口面積の制御方法であって、
一定の角度によって拡大する中細ノズルを供給するステップと、
複数のじょう乱発生器を、ノズルの末広がり部分のほぼ対称に向かい合う所定の位置に配置するステップと、
じょう乱発生器によって生じたじょう乱の大きさを制御することによって、ノズルの出口面積を制御するステップと
を含み、
じょう乱発生器を配置するステップが、末広がり部分の向かい合う壁に噴射流スロットを設けることを含む方法。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点>
(a)「一定の角度によって拡大する中細ノズルを供給するステップ」に関し、本願発明においては、中細ノズルは少なくとも12度の発散角を有するのに対し、引用発明においては、末広ダクト37は一定の角度によって拡大する点(以下、「相違点1」という。)。
(b)「複数のじょう乱発生器を、ノズルの末広がり部分のほぼ対称に向かい合う所定の位置に配置するステップ」が「末広がり部分の向かい合う壁に噴射流スロットを設けることを含む」ことに関し、本願発明においては、「一対のじょう乱発生器を、ノズルの末広がり部分のほぼ対称に向かい合う所定の位置に配置するステップ」が「噴射流スロットを、ノズルの喉部からノズルの先端までの末広がり部分の長さの25%?75%の間に、好ましくは少なくとも50%の位置に配置する」ものであるのに対し、引用発明においては、「1つまたはそれ以上の出口通路17を介して、流出端36を、喉状部35の上部側面、下部側面、左側面及び右側面並びにその喉状部35から出口までの距離の約80%の位置の末広ダクト37の上部側面、下部側面、左側面及び右側面を含む個所に設け」るものである点(以下、「相違点2」という。)。
(c)「じょう乱発生器によって生じたじょう乱の大きさを制御することによって、ノズルの出口面積を制御するステップ」に関し、本願発明においては、「じょう乱発生器によって生じたじょう乱の大きさを制御することにより、衝撃を生成することなく末広がり部分から流れの剥離を生じさせるステップ」であるのに対し、引用発明においては、「1つまたはそれ以上の出口通路17を介して、流出端36から噴射する加圧空気の量を制御することにより、噴射された空気で物理的な流路面積の1部分を閉塞することで有効流路断面積を縮小する」ものである点。

5.判断
上記相違点について検討する。
上記相違点1に関し、引用発明において、末広ダクト37の拡大する角度を具体的に何度とするかは、エンジンの仕様や流出端36から噴射する加圧空気の圧力等を考慮して定めるべき、設計上の事項である。
本願の明細書の段落【0015】においても、ノズルの発散角に関し、「正確な角度は、設計者が、ノズルに最小限必要な面積の変化と、所望の開口比及びマスフロー比とを考慮することにより選択される。発散角が大きくなる程、通常はノズル壁からの噴流の開きが大きくなり、AE9が大きく減少する。多くの実施形態では、収束角は発散角より勾配が大きい。概ね12度未満の発散角は、噴射が実行されて、それが現行の実施形態に適切でないとき、典型的には衝撃波を生成する結果を招く。衝撃の始まりの正確な角度は、開口比及び圧力といった多数の要因によって変化し、本明細書に開示される実施形態に使用される値は典型的なものである。」との記載され、ノズルの発散角が設計上定められるものであることを示している。
したがって、引用発明において末広ダクト37が拡大する一定の角度を、エンジンの仕様や流出端36から噴射する加圧空気の圧力等を考慮して設計上適宜定めることにより、上記相違点1に係る本願発明の特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

次に、上記相違点2に関し、本願の明細書の段落【0016】には、噴射流スロットの位置に関し、「噴射の位置は、特定のノズル構造に基づいて決定される。多くの実施形態では、噴射位置は、末広がりの出口部分の中間点38と先端40との間に位置する。幾つかの用途については噴射位置が更に上流に位置していると有利であり、最適な動作には、末広がり部分の長さの25%?75%という公称範囲が予測される。しかしながら、必要な配管系を収容するための構造的深さがノズル内に存在する場合、末広がり部分の長さの100%の位置で噴射を行うことができる。」と記載されている。
この記載から分かるように、本願発明において、噴射流スロットの位置は、ノズル構造に基づいて決定されるものであり、末広がり部分の長さの25%?75%という範囲もノズル構造によっては変わり得るものであって、なんら臨界的な意義を有するものではない。
したがって、引用発明において、喉状部35から出口までの距離の約80%の位置の末広ダクトの上部側面、下部側面、左側面及び右側面に設けた流出端36を、喉状部35から出口までの距離の25%?75%の間に、好ましくは少なくとも50%の位置に設けることにより、上記相違点2に係る本願発明の特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。

最後に、上記相違点3に関し、引用発明は、排出ノズル31の有効流路面積を選択的に調節する方法において、1つまたはそれ以上の出口通路17を介して、流出端36から噴射する加圧空気の量を制御するものであるから、喉状部35から出口までの距離の約80%の位置の末広ダクト37の上部側面、下部側面、左側面及び右側面の流出端36を選択して加圧空気を噴射したときには、その加圧空気の量を制御することで、生じたじょう乱の大きさを制御することにより、末広ダクト37から有効流路に係る流れの剥離を生じさせることができることは明らかである。
そして、引用発明において、排出ノズル31の有効流路面積を選択的に調節するにあたり、有効流路に係る流れをできるだけ阻害しないようにすることは、当然考慮される事項であるから、引用発明を実施する際に、流出端36から噴射する加圧空気により生じるじょう乱によって衝撃が生成されないようにして有効流路に係る流れの阻害を防ぐことは、設計上当然に検討する事項である。
したがって、引用発明において、加圧空気の量を制御することで、生じたじょう乱の大きさを制御することにより、衝撃を生成することなく末広ダクト37から有効流路に係る流れの剥離を生じさせることにより、上記相違点3に係る本願発明の特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明は、全体構成でみても、引用発明から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものでもない。

6.まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

7.むすび
上記6.のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-11-26 
結審通知日 2014-12-02 
審決日 2014-12-15 
出願番号 特願2011-271964(P2011-271964)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤原 弘  
特許庁審判長 林 茂樹
特許庁審判官 中村 達之
藤原 直欣
発明の名称 排気ノズルの可変出口面積のための方法と装置  
代理人 小林 義教  
代理人 園田 吉隆  

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