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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1300902
審判番号 不服2014-9704  
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-26 
確定日 2015-05-14 
事件の表示 特願2009-291133「基板の熱処理装置及び熱処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 7月 7日出願公開、特開2011-134793〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年12月22日の出願であって、平成25年8月20日付けで拒絶理由が起案され、同年10月22日に意見書及び特許請求の範囲並びに明細書の記載に係る手続補正書の提出がなされ、平成26年2月18日付けで拒絶査定が起案され、同年5月26日に拒絶査定不服の審判請求がなされ、同日に特許請求の範囲並びに明細書の記載に係る手続補正書が提出されたものである。

第2 平成26年5月26日付けの手続補正について
[補正却下の決定の結論]
平成26年5月26日付けの手続補正(以下、必要に応じて「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)本件補正により、平成25年10月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲
「【請求項1】
底部に設けられた炉口を通してプロセスチューブ内に搬入された基板をウェット処理する熱処理炉と、
前記炉口を開放可能に閉塞する開閉扉と、
前記熱処理炉の下方に設けられたロード空間と、
前記基板をボートで保持して前記炉口を通してロード空間側からプロセスチューブ内に搬入するとともに、当該プロセスチューブからロード空間に搬出する昇降リフトと、
前記プロセスチューブ内にパージ用のガスを供給するパージガス供給手段と、
前記プロセスチューブ内を真空状態にしてウェット処理で生じた液分の沸点を下げる真空手段と
を備え、
前記パージガスの供給及びプロセスチューブ内の排気を制御する制御部をさらに備えており、
前記制御部は、パージガスの供給を遮断した第1真空状態と、パージガスを供給する第2真空状態を繰り返すように構成され、
前記第1真空状態の真空度をA(Pa)としたときに、前記第2真空状態の真空度が、当該第1真空状態の真空度よりも大気圧に近いA+α(Pa)であって、
前記第1真空状態は、350℃付近の温度において、ウェット処理で生成した炉内の液分の蒸発を促進させる真空度とされ、
前記第2真空状態は、炉内の液分及び前記第1真空状態において蒸発した成分をパージ用ガスとともに排気管に送り込むことが可能な真空度とされること
を特徴とする基板の熱処理装置。
【請求項2】
前記昇降リフトに昇降テーブルが設けられ、当該昇降テーブルの上方にはヒートバリアが設けられており、加熱ヒータが、プロセスチューブを囲むように、かつプロセスチューブの上端の位置から、少なくとも前記ヒートバリアの上端の位置まで延びるように設けられている請求項1に記載の基板の熱処理装置。
【請求項3】
底部に設けられた炉口が開閉扉で閉塞されたプロセスチューブ内に配設された基板をウェット処理する熱処理方法であって、
ウェット処理により生じた液分を除去するためのパージ用ガスをプロセスチューブ内に供給する工程、及び
プロセスチューブ内を真空にして前記液分の沸点を下げる工程
を含み、
パージ用ガスの供給を遮断した状態でプロセスチューブ内を真空にする第1真空工程と、パージ用ガスを供給しつつプロセスチューブ内を真空にする第2真空工程とを繰り返し、
前記第1真空工程の真空度をA(Pa)としたときに、前記第2真空工程の真空度が、当該第1真空工程の真空度よりも大気圧に近いA+α(Pa)であって、
前記第1真空状態は、350℃付近の温度において、ウェット処理で生成した炉内の液分の蒸発を促進させる真空度とし、
前記第2真空状態は、炉内の液分及び前記第1真空状態において蒸発した成分をパージ用ガスとともに排気管に送り込むことが可能な真空度とすることを特徴とする基板の熱処理方法。
【請求項4】
前記真空度Aが、0.1Pa?90kPaである請求項3に記載の基板の熱処理方法。
【請求項5】
前記第1真空工程の処理時間が0.1?1440分であり、前記第2真空工程の処理時間が0.1?60分である請求項3または4に記載の基板の熱処理方法。
【請求項6】
前記熱処理が、低温のウェット酸化処理である請求項3?5のいずれかに記載の基板熱処理方法。」が、次のように補正された。
「【請求項1】
底部に設けられた炉口を通してプロセスチューブ内に搬入された基板をウェット処理する熱処理炉と、
前記炉口を開放可能に閉塞する開閉扉と、
前記熱処理炉の下方に設けられたロード空間と、
前記基板をボートで保持して前記炉口を通してロード空間側からプロセスチューブ内に搬入するとともに、当該プロセスチューブからロード空間に搬出する昇降リフトと、
前記プロセスチューブ内にパージ用のガスを供給するパージガス供給手段と、
前記プロセスチューブ内を真空状態にしてウェット処理で生じた液分の沸点を下げる真空手段と
を備え、
前記パージガスの供給及びプロセスチューブ内の排気を制御する制御部をさらに備えており、
前記制御部は、パージガスの供給を遮断した第1真空状態と、パージガスを供給する第2真空状態を繰り返すように構成され、
前記第1真空状態の真空度をA(Pa)としたときに、前記第2真空状態の真空度が、当該第1真空状態の真空度よりも大気圧に近いA+α(Pa)であって、
前記第1真空状態は、350℃付近の温度において、ウェット処理で生成した炉内の液分の蒸発を促進させる真空度とされ、
前記第2真空状態は、炉内の液分及び前記第1真空状態において蒸発した成分をパージ用ガスとともに排気管に送り込むことが可能な真空度とされ、
前記昇降リフトに昇降テーブルが設けられ、当該昇降テーブルの上方にはヒートバリアが設けられており、加熱ヒータが、前記プロセスチューブを囲むように、かつプロセスチューブの上端の位置から、前記ヒートバリアの上端と高さ位置において少なくとも重なるように延びて設けられていることを特徴とする基板の熱処理装置。
【請求項2】
底部に設けられた炉口が開閉扉で閉塞されたプロセスチューブ内に配設された基板をウェット処理する熱処理方法であって、
ウェット処理により生じた液分を除去するためのパージ用ガスをプロセスチューブ内に供給する工程、及び
プロセスチューブ内を真空にして前記液分の沸点を下げる工程
を含み、
パージ用ガスの供給を遮断した状態でプロセスチューブ内を真空にする第1真空工程と、パージ用ガスを供給しつつプロセスチューブ内を真空にする第2真空工程とを繰り返し、
前記第1真空工程の真空度をA(Pa)としたときに、前記第2真空工程の真空度が、当該第1真空工程の真空度よりも大気圧に近いA+α(Pa)であって、
前記第1真空状態は、350℃付近の温度において、ウェット処理で生成した炉内の液分の蒸発を促進させる真空度とし、
前記第2真空状態は、炉内の液分及び前記第1真空状態において蒸発した成分をパージ用ガスとともに排気管に送り込むことが可能な真空度とされ、
前記昇降リフトに昇降テーブルが設けられ、当該昇降テーブルの上方にはヒートバリアが設けられており、加熱ヒータが、前記プロセスチューブを囲むように、かつプロセスチューブの上端の位置から、前記ヒートバリアの上端と高さ位置において少なくとも重なるように延びて設けられ前記加熱ヒータによって基板を加熱することを特徴とする基板の熱処理方法。
【請求項3】
前記真空度Aが、0.1Pa?90kPaである請求項2に記載の基板の熱処理方法。
【請求項4】
前記第1真空工程の処理時間が0.1?1440分であり、前記第2真空工程の処理時間が0.1?60分である請求項2または3に記載の基板の熱処理方法。
【請求項5】
前記熱処理が、低温のウェット酸化処理である請求項2?4のいずれかに記載の基板の熱処理方法。」
(2)そして、本件補正は、平成25年10月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1を削除するとともに、同請求項3に「前記昇降リフトに昇降テーブルが設けられ、当該昇降テーブルの上方にはヒートバリアが設けられており、加熱ヒータが、前記プロセスチューブを囲むように、かつプロセスチューブの上端の位置から、前記ヒートバリアの上端と高さ位置において少なくとも重なるように延びて設けられ前記加熱ヒータによって基板を加熱」を加えたものである(以下、「請求項3補正事項」という)。しかし、この請求項3補正事項が、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」に該当するとするためには、特許請求の範囲を減縮するだけでなく、発明を特定するために必要な事項を限定するものでなければならない[必要ならば、知財高裁 平成19年(行ケ)10055号 審決取消請求事件 平成20年2月27日判決参照]ところ、本件補正前の請求項3には、「昇降リフト」、「昇降テーブル」、「加熱ヒータ」及び「ヒートバリア」という発明特定事項が記載されておらず、請求項3補正事項は、発明特定事項を限定するものとすることができないので、同法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当するものではなく、請求項3補正事項が請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明にも該当せず、同法第17条の2第5項第1号、第3号、および第4号のいずれにも該当しない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

『知財高裁 平成19年(行ケ)10055号 審決取消請求事件 平成20年2月27日判決
特許法17条の2第4項2号は,「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」と定めているから,同号の事項を目的とする補正とは、特許請求の範囲を減縮するだけでなく、発明を特定するために必要な事項を限定するものでなければならないと解される。また、「発明を特定するために必要な事項」とは、特許法「第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項」とあることから、特許請求の範囲中の事項であって特許を受けようとする発明を特定している事項であると解される。』

そして、本件補正が特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものであり、同法第17条の2第5項に規定する補正の要件を満たしているとしても、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)は、「第6 独立特許要件について」に後記するとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなく、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
平成26年5月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年10月22日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】
底部に設けられた炉口を通してプロセスチューブ内に搬入された基板をウェット処理する熱処理炉と、
前記炉口を開放可能に閉塞する開閉扉と、
前記熱処理炉の下方に設けられたロード空間と、
前記基板をボートで保持して前記炉口を通してロード空間側からプロセスチューブ内に搬入するとともに、当該プロセスチューブからロード空間に搬出する昇降リフトと、
前記プロセスチューブ内にパージ用のガスを供給するパージガス供給手段と、
前記プロセスチューブ内を真空状態にしてウェット処理で生じた液分の沸点を下げる真空手段と
を備え、
前記パージガスの供給及びプロセスチューブ内の排気を制御する制御部をさらに備えており、
前記制御部は、パージガスの供給を遮断した第1真空状態と、パージガスを供給する第2真空状態を繰り返すように構成され、
前記第1真空状態の真空度をA(Pa)としたときに、前記第2真空状態の真空度が、当該第1真空状態の真空度よりも大気圧に近いA+α(Pa)であって、
前記第1真空状態は、350℃付近の温度において、ウェット処理で生成した炉内の液分の蒸発を促進させる真空度とされ、
前記第2真空状態は、炉内の液分及び前記第1真空状態において蒸発した成分をパージ用ガスとともに排気管に送り込むことが可能な真空度とされること
を特徴とする基板の熱処理装置。」

第4 引用発明の認定
(i)原査定の拒絶の理由において引用文献1として引用された本願出願前日本国内において頒布された刊行物である特開2000-58543号公報には次の事項が記載されている。(下線は、参考のために合議体が付した。)
(ア)「【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基いて詳述する。本発明の第1実施の形態である酸化処理装置の全体構成を示す図1において、1は被処理体である半導体ウエハWを収容し、処理ガスとして水蒸気を供給して例えば850℃程度の高温下で酸化処理する縦型でバッチ式の処理炉で、この処理炉1は上端が閉塞され下端が開放した縦長円筒状の耐熱性を有する例えば石英製の反応管2からなっている。
【0016】この反応管2は、炉口として開放した下端開口部が蓋体3で気密に閉塞されることにより、気密性の高い処理炉1を構成するようになっている。前記蓋体3上には、多数枚例えば150枚程度の半導体ウエハWを水平状態で上下方向に間隔をおいて多段に支持する基板支持具である例えば石英製のウエハボート4が保温筒5を介して載置されている。
【0017】蓋体3は、図示しない昇降機構により、処理炉1内へのウエハボート4のロード(搬入)ならびにアンロード(搬出)および炉口の開閉を行うように構成されている。また、前記反応管2の周囲には、炉内を所定の温度例えば300?1000℃に加熱制御可能なヒーター6が設けられている。反応管2の下側部には、ガス導入管部7が適宜個数設けられており、その一つには、処理ガス供給手段(水蒸気供給手段)として、水素ガスH_(2)と酸素ガスO_(2)の燃焼反応により水蒸気を発生させて供給する燃焼装置8が接続されている。
【0018】この燃焼装置8は、例えば燃焼ノズルの口径を小さくしたり、燃焼ノズルの形状を改善する等により、水蒸気を微少流量例えば従来毎分6リットル(下限)であったものが毎分0.6?0.3リットル程度で供給することが可能に構成されていることが好ましい。また、燃焼装置8には、水蒸気を希釈化等するために不活性ガス例えば窒素ガスN_(2)を供給する不活性ガス供給部9が設けられている。なお、他のガス導入管部には、その他の処理ガス例えば一酸化窒素ガスNOや一酸化二窒素ガスN_(2)O、あるいは不活性ガス例えばN_(2)等を供給するガス供給源が接続されている(図示省略)。
【0019】また、前記反応管2の下側壁には、反応管2内を排気するための排気管部10が設けられており、この排気管部10には、排気中の水蒸気が凝縮して生じたドレン水を排水するために、第1ダクト11が石英製の排気管12を介して接続されている。排気管12と第1ダクト11との間には、ボール弁13が設けられていてもよい。第1ダクト11には、これより立上がった水冷式の凝縮用配管14を介して第2ダクト15が接続されていると共に、第1ダクト11に溜まったドレン水を排水するための手動弁16が接続されている。第1ダクト11と手動弁16との間には、空気圧制御式の弁17およびトラップ18が設けられていることが好ましい。
【0020】第2ダクト15には、前記酸化処理の工程で処理炉1内を排気する工場排気系19と、前記酸化処理工程の前後に処理炉1内を真空引きしながら不活性ガス例えばN_(2)で置換可能な真空排気系20とが切換手段である空気圧制御式の切換弁21,22を介して接続されている。工場排気系19には、排気圧力を所定の圧力例えば大気圧(760Torr)に対して-5mmH_(2)O?-10mmH_(2)O程度に制御するための排気圧力制御弁23が設けられている。この排気圧力制御弁23の下流には、ボール弁24が設けられていてもよい。第1および第2ダクト11,15は、耐食性を有する材料例えばテフロン(商品名)製であることが好ましい。また、第2ダクト15には、常圧(大気圧)もしくは常圧以上の加圧状態になったときに、これを検知して警報を発するための圧力スイッチ25が設けられていることが好ましい。
【0021】前記真空排気系20には、開閉および圧力調節の可能なコンビネーションバルブ26と、処理炉1内を例えば最大10^(-3)Torr程度に減圧可能な真空ポンプ27とが設けられている。真空ポンプ27としては、例えばドライポンプが好ましい。第2ダクト15の切換弁22とコンビネーションバルブ26とは第1配管28で接続され、コンビネーションバルブ26と真空ポンプ27とは第2配管29で接続されている。第1および第2配管28,29は、耐食性を有する材料例えばステンレス鋼製であることが好ましく、また、水分を除去するために例えば150℃程度に加熱可能なヒーターが設けられていることが好ましい。これは、水分が残っていると、拡散処理で使用する一酸化窒素ガスNOもしくは一酸化二窒素ガスN_(2)Oと反応して強い腐食性を呈する硝酸NO_(3)が生じるからである。
【0022】第1配管28には、真空排気系20内に水分除去および一酸化窒素ガス等の希釈化のために不活性ガス例えばN2を流して置換するための不活性ガス供給管30が接続され、この不活性ガス供給管30には空気圧制御式の弁31が設けられている。また、第1配管28には、圧力センサ32,33が設けられ、圧力センサ32は例えば0?1000Torrのレンジで検知が可能であり、圧力センサ33は例えば0?10Torrのレンジで検知が可能で空気圧制御式の弁34を介して設けられている。
【0023】第2配管29には、真空ポンプ27の直上の圧力を検知するための圧力センサ35が手動弁36を介して設けられている。前記真空ポンプ27の下流には、ドレン水を除去するトラップ37および排気を一酸化窒素ガス等の拡散処理系のものと水分ならびにHCl等の酸性系のものとに切換える切換弁38,39が設けられており、これらの排気は除害装置で処理されるようになっている。なお、以上の構成からなる酸化処理装置は、処理炉1の排気系の各接続部にシール手段である例えばOリングを設けるなど、高減圧排気が可能なリークタイトな構造とされている。また、酸化処理装置は、予め所望の酸化処理方法のプログラムレシピがインプットされた制御装置40により燃焼装置8、ヒーター6、切換弁21,22、コンビネーションバルブ26等が制御されて所望の酸化処理方法を自動で実施するように構成されている。
【0024】次に、前記酸化処理装置の作用および酸化処理方法について図2を参照して述べる。まず、処理炉1内は、大気に開放されていると共にヒーター6により予め所定の温度例えば300℃に加熱制御されており、この状態で多数枚の半導体ウエハWが保持されたウエハボート4を処理炉1内にロードして処理炉1の炉口を蓋体3で密閉し、処理炉1内を真空排気系20による真空引きにより減圧する。この減圧ないし真空引きは、サイクルパージを含むことが好ましい。前記ロードおよびサイクルパージの際には、半導体ウエハWの表面に自然酸化膜が形成されないように処理炉内に不活性ガス例えばN_(2)が供給されており、また、N_(2)が100%であると、半導体ウエハWの表面が窒化してしまい、この後の酸化工程にて半導体ウエハWの表面が酸化されにくくなるため、これを防止すべくO_(2)が少量例えば1%程度供給されている。
【0025】前記サイクルパージは、処理炉1内を真空引きしながら不活性ガス例えばN_(2)の供給と停止を交互に繰り返すことにより行われる。この場合、排気系を切換弁21,22により真空排気系20に切換え、真空ポンプ27の作動状態で圧力センサ32,33により圧力を検知しつつコンビネーションバルブ26の制御により処理炉1内を所定の圧力例えば10^(-3)Torr程度に減圧排気する。この減圧排気状態で、所定流量に制御された不活性ガス例えばN_(2)を不活性ガス供給弁の開閉の繰り返しにより間欠的に供給することにより、サイクルパージが行われ、処理炉1内を迅速に減圧して不活性ガスで十分に置換することができる。すなわち、このサイクルパージによって急速な減圧(真空到達時間の短縮)と置換が可能となる。
【0026】次に、前記減圧排気状態でヒーター6の制御により処理炉1内を所定の処理温度例えば850℃まで昇温させ、排気系を切換弁21,22にて工場排気系19に切換えることにより処理炉1内を微減圧例えば大気圧(760Torr)に対して-5mmH_(2)O?-10mmH_(2)O程度に制御し、この状態でリカバリー(半導体ウエハの温度を安定させる)をしてから、所望の酸化処理例えばHCl酸化を行う。この酸化処理は、酸素ガスO_(2)と水素ガスH_(2)を燃焼装置8に供給して燃焼させ、発生する水蒸気を塩化水素ガスHClおよび不活性ガス例えばN_(2)と共に処理炉1内に供給することにより、微減圧状態で行われる。
【0027】酸化処理工程を終了したなら、排気系を真空排気系20に切換えて、処理炉1内を再度真空引きにより減圧してから、ヒーター6の制御により処理炉1内の温度を所定の温度例えば300℃程度に降温させ、これと並行して処理炉1内を常圧に戻し、処理炉1内からウエハボート4をアンロードし、クーリング(半導体ウエハを搬送可能な温度に冷却すること)を行えばよい。前記酸化処理工程終了後の減圧ないし真空引きも、サイクルパージを含むことが好ましい。
【0028】このように予め所定の温度に加熱された処理炉1内に半導体ウエハWを収容し、処理炉1内を所定の処理温度まで昇温させ、処理ガスである水蒸気を供給して半導体ウエハWを酸化処理する方法において、前記昇温の工程を減圧下で行うようにしたので、酸化種を排除した状態で半導体ウエハWを所定の処理温度まで昇温させることができ、昇温工程での自然酸化膜の形成を抑制することができ、品質の優れた極薄酸化膜を形成することができる。また、所望の酸化処理の工程前だけでなく工程後にも処理炉1内を真空引きにより減圧するようにしたので、所望の酸化処理工程以外の部分での余計な酸化種を十分に排除して自然酸化膜の形成を十分に抑制することができ、膜質および膜厚が均一で品質の優れた極薄酸化膜を形成することができる。因みに、膜厚が2nm程度のSiO_(2)膜を形成することが可能である。
【0029】前記処理炉1を減圧ないし真空引きする工程では、いわゆるサイクルパージを含んでいるため、迅速な減圧と置換が可能となり、スループットの向上が図れる。また、前記酸化処理装置においては、処理炉1内に水蒸気を供給する水蒸気供給手段である燃焼装置8と、酸化処理の工程で処理炉1内を微減圧で排気する工場排気系19と、酸化処理工程の前後に処理炉1内を真空引きする真空排気系20と、前記工場排気系19と真空排気系20を切換える切換弁21,22とを備えているため、前述した酸化処理方法を確実かつ容易に実施することできる。
【0030】この場合、前記燃焼装置8は、水蒸気を微少流量で供給可能に構成されているため、膜形成時間を十分にとることにより、更に品質の優れた極薄酸化膜を形成することができる。また、前記真空排気系20には、コンビネーションバルブ26と真空ポンプ27が設けられており、このコンビネーションバルブ26は一つで二つの機能すなわち開閉機能と圧力調節機能を備えているため、バルブの数を減らすことができて真空排気系20の構成を簡素化することができ、コストの低減が図れる。
【0031】なお、酸化処理方法としては、例えば図3に示すように、所望の酸化処理工程の後、処理炉1内を所定の圧力例えば100Torr程度に減圧制御した状態で一酸化窒素ガスNOまたは一酸化二窒素ガスN_(2)Oを供給して拡散処理を行うようにしてもよい。この拡散処理工程の前後には、処理炉1内を真空引きにより減圧することが好ましく、その際には、サイクルパージを伴うことが好ましい。ウエット酸化後、サイクルパージにより処理炉内の水分を十分に取り除いてから一酸化窒素ガスNOまたは一酸化二窒素ガスN_(2)Oを供給するため、腐食性の強い硝酸NH_(3)の発生を十分に抑制することができると共に、絶縁性の高いSiON膜を形成することができ、信頼性の高い膜質への改善が容易に図れる。」
(イ)





(ウ)


引用文献1の記載事項(ア)には「半導体ウエハWを収容し、処理ガスとして水蒸気を供給して例えば850℃程度の高温下で酸化処理する縦型でバッチ式の処理炉で、この処理炉1は上端が閉塞され下端が開放した縦長円筒状の耐熱性を有する例えば石英製の反応管2からなっている」こと、「この反応管2は、炉口として開放した下端開口部が蓋体3で気密に閉塞されることにより、気密性の高い処理炉1を構成するようになっている」こと、「蓋体3は、図示しない昇降機構により、処理炉1内へのウエハボート4のロード(搬入)ならびにアンロード(搬出)および炉口の開閉を行うように構成されている」、「他のガス導入管部には、その他の処理ガス例えば一酸化窒素ガスNOや一酸化二窒素ガスN_(2)O、あるいは・・・不活性ガス例えばN_(2)等を供給するガス供給源が接続されている」こと、「反応管2の下側壁には、反応管2内を排気するための排気管部10が設けられており、この排気管部10には、排気中の水蒸気が凝縮して生じたドレン水を排水するために、第1ダクト11が石英製の排気管12を介して接続されている」こと、「予め所望の酸化処理方法のプログラムレシピがインプットされた制御装置40により燃焼装置8、ヒーター6、切換弁21,22、コンビネーションバルブ26等が制御されて所望の酸化処理方法を自動で実施するように構成されている」こと、「排気系を切換弁21,22により真空排気系20に切換え、真空ポンプ27の作動状態で圧力センサ32,33により圧力を検知しつつコンビネーションバルブ26の制御により処理炉1内を所定の圧力例えば10^(-3)Torr程度に減圧排気する。この減圧排気状態で、所定流量に制御された不活性ガス例えばN_(2)を不活性ガス供給弁の開閉の繰り返しにより間欠的に供給することにより、サイクルパージが行われ、処理炉1内を迅速に減圧して不活性ガスで十分に置換することができる」及び「酸化処理工程終了後の減圧ないし真空引きも、サイクルパージを含むこと」が記載される。
これら記載事項を本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には
「半導体ウエハWを収容し、処理ガスとして水蒸気を供給して例えば850℃程度の高温下で酸化処理する縦型でバッチ式の処理炉で、この処理炉1は上端が閉塞され下端が開放した縦長円筒状の耐熱性を有する例えば石英製の反応管2からなり、
反応管2は、炉口として開放した下端開口部が蓋体3で気密に閉塞され、
蓋体3は、昇降機構により、処理炉1内へのウエハボート4のロード(搬入)ならびにアンロード(搬出)および炉口の開閉を行うように構成され、
他のガス導入管部には、不活性ガス例えばN_(2)等を供給するガス供給源が接続され、
反応管2の下側壁には、反応管2内を排気するための排気管部10が設けられており、この排気管部10には、排気中の水蒸気が凝縮して生じたドレン水を排水するために、第1ダクト11が石英製の排気管12を介して接続され、
予め所望の酸化処理方法のプログラムレシピがインプットされた制御装置40により燃焼装置8、ヒーター6、切換弁21,22、コンビネーションバルブ26等が制御されて所望の酸化処理方法を自動で実施するように構成され、
真空ポンプ27の作動状態で圧力センサ32,33により圧力を検知しつつコンビネーションバルブ26の制御により処理炉1内を所定の圧力例えば10^(-3)Torr程度に減圧排気し、この減圧排気状態で、所定流量に制御された不活性ガス例えばN_(2)を不活性ガス供給弁の開閉の繰り返しにより間欠的に供給することにより、酸化処理工程終了後の減圧ないし真空引きも、サイクルパージが行われ、処理炉1内を迅速に減圧して不活性ガスで十分に置換することができる、
処理炉。」の発明(以下、「引用1発明」という。)が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
本願発明と引用1発明を対比すると、引用1発明の「半導体ウエハW」、「処理ガスとして水蒸気を供給して例えば850℃程度の高温下で酸化処理」、「縦型でバッチ式の処理炉」、「上端が閉塞され下端が開放した縦長円筒状の耐熱性を有する例えば石英製の反応管2」、「蓋体3」、「昇降機構」、「真空ポンプ27」、「制御装置40」、「不活性ガス例えばN_(2)」及び「不活性ガス供給弁」は、それぞれ、本願発明の「基板」、「ウェット処理」、「熱処理炉」又は「熱処理装置」、「プロセスチューブ」、「開閉扉」、「昇降リフト」、「真空手段」、「制御部」、「パージ用のガス」及び「パージガス供給手段」に相当することは明らかである。
次に、引用1発明の「半導体ウエハWを収容し、処理ガスとして水蒸気を供給して例えば850℃程度の高温下で酸化処理する縦型でバッチ式の処理炉で、この処理炉1は上端が閉塞され下端が開放した縦長円筒状の耐熱性を有する例えば石英製の反応管2からなり、
反応管2は、炉口として開放した下端開口部が蓋体3で気密に閉塞され」ることは、本願発明の「底部に設けられた炉口を通してプロセスチューブ内に搬入された基板をウェット処理する熱処理炉と、
前記炉口を開放可能に閉塞する開閉扉と、」に相当するものといえる。
また、引用1発明の「反応管2は、炉口として開放した下端開口部が蓋体3で気密に閉塞され、
蓋体3は、昇降機構により、処理炉1内へのウエハボート4のロード(搬入)ならびにアンロード(搬出)および炉口の開閉を行うように構成され、」は、処理炉1の下方の空間は被処理物の搬出入のために設けられていることは当然であるから(【図1】参照)、本願発明の「前記炉口を開放可能に閉塞する開閉扉と、
前記熱処理炉の下方に設けられたロード空間と」に相当する。
そして、引用1発明の「他のガス導入管部には、不活性ガス例えばN_(2)等を供給するガス供給源が接続され、
反応管2の下側壁には、反応管2内を排気するための排気管部10が設けられており、この排気管部10には、排気中の水蒸気が凝縮して生じたドレン水を排水するために、第1ダクト11が石英製の排気管12を介して接続され、
予め所望の酸化処理方法のプログラムレシピがインプットされた制御装置40により燃焼装置8、ヒーター6、切換弁21,22、コンビネーションバルブ26等が制御されて所望の酸化処理方法を自動で実施するように構成され」は、本願発明の「前記プロセスチューブ内にパージ用のガスを供給するパージガス供給手段と、
前記プロセスチューブ内を真空状態にしてウェット処理で生じた液分の沸点を下げる真空手段と
を備え、
前記パージガスの供給及びプロセスチューブ内の排気を制御する制御部をさらに備えており、」は、本願発明の「前記プロセスチューブ内にパージ用のガスを供給するパージガス供給手段と、
前記プロセスチューブ内を真空状態にしてウェット処理で生じた液分の沸点を下げる真空手段と
を備え、
前記パージガスの供給及びプロセスチューブ内の排気を制御する制御部をさらに備えており、」と「前記プロセスチューブ内にパージ用のガスを供給するパージガス供給手段と、
前記プロセスチューブ内を真空状態にする真空手段と
を備え、
前記パージガスの供給及びプロセスチューブ内の排気を制御する制御部をさらに備えており、」で共通する。
さらに、引用文献1の【図2】から引用1発明の「所定の圧力例えば10^(-3)Torr程度」及び「この減圧排気状態で、所定流量に制御された不活性ガス例えばN_(2)を不活性ガス供給弁の開閉の繰り返しにより間欠的に供給する」状態は、それぞれ本願発明の「パージガスの供給を遮断した第1真空状態」及び「パージガスを供給する第2真空状態」に相当することは明らかであるから、引用1発明の「真空ポンプ27の作動状態で圧力センサ32,33により圧力を検知しつつコンビネーションバルブ26の制御により処理炉1内を所定の圧力例えば10^(-3)Torr程度に減圧排気し、この減圧排気状態で、所定流量に制御された不活性ガス例えばN_(2)を不活性ガス供給弁の開閉の繰り返しにより間欠的に供給することにより、酸化処理工程終了後の減圧ないし真空引きも、サイクルパージが行われ、処理炉1内を迅速に減圧して不活性ガスで十分に置換することができる、」は、本願発明の「前記制御部は、パージガスの供給を遮断した第1真空状態と、パージガスを供給する第2真空状態を繰り返すように構成され、
前記第1真空状態の真空度をA(Pa)としたときに、前記第2真空状態の真空度が、当該第1真空状態の真空度よりも大気圧に近いA+α(Pa)であって、
前記第1真空状態は、350℃付近の温度において、ウェット処理で生成した炉内の液分の蒸発を促進させる真空度とされ、
前記第2真空状態は、炉内の液分及び前記第1真空状態において蒸発した成分をパージ用ガスとともに排気管に送り込むことが可能な真空度とされること」と「前記制御部は、パージガスの供給を遮断した第1真空状態と、パージガスを供給する第2真空状態を繰り返すように構成され、
前記第1真空状態の真空度をA(Pa)としたときに、前記第2真空状態の真空度が、当該第1真空状態の真空度よりも大気圧に近いA+α(Pa)であって、
前記第2真空状態は、炉内の液分及び前記第1真空状態において蒸発した成分をパージ用ガスとともに排気管に送り込むことが可能な真空度とされること」で共通する。

そうすると、本願発明と引用1発明とは、「底部に設けられた炉口を通してプロセスチューブ内に搬入された基板をウェット処理する熱処理炉と、
前記炉口を開放可能に閉塞する開閉扉と、
前記熱処理炉の下方に設けられたロード空間と、
前記基板をボートで保持して前記炉口を通してロード空間側からプロセスチューブ内に搬入するとともに、当該プロセスチューブからロード空間に搬出する昇降リフトと、
前記プロセスチューブ内にパージ用のガスを供給するパージガス供給手段と、
前記プロセスチューブ内を真空状態にする真空手段と
を備え、
前記パージガスの供給及びプロセスチューブ内の排気を制御する制御部をさらに備えており、
前記制御部は、パージガスの供給を遮断した第1真空状態と、パージガスを供給する第2真空状態を繰り返すように構成され、
前記第1真空状態の真空度をA(Pa)としたときに、前記第2真空状態の真空度が、当該第1真空状態の真空度よりも大気圧に近いA+α(Pa)であって、
前記第2真空状態は、炉内の液分及び前記第1真空状態において蒸発した成分をパージ用ガスとともに排気管に送り込むことが可能な真空度とされること
を特徴とする基板の熱処理装置。」である点で一致すると認められる。

そして以下の点で相違するものと認められる。
本願発明では、真空手段が「ウェット処理で生じた液分の沸点を下げ」るのに対して、引用1発明では、「サイクルパージが行われ、処理炉1内を迅速に減圧して不活性ガスで十分に置換することができる」ものの「ウェット処理で生じた液分の沸点を下げ」ることを特定事項としていない点(以下、「相違点(a)」という。)。
本願発明では「前記第1真空状態は、350℃付近の温度において、ウェット処理で生成した炉内の液分の蒸発を促進させる真空度とされ」るのに対して、引用1発明では、「例えば850℃程度の高温下で酸化処理」し、この温度でサイクルパージを行う点(以下、「相違点(b)」という。)。

そこで、上記相違点(a)について検討する。
引用文献1には、記載事項(ア)に「【0031】・・・ウエット酸化後、サイクルパージにより処理炉内の水分を十分に取り除」くと記載されているように、引用1発明の「サイクルパージ」の目的は「不活性ガスで十分に置換」することにより水分を追い出すことにある。その際に水分は気体でパージされることは炉内の温度・圧力からも自明であり、パージを効率化するために気体化を促進すべく、真空手段により水分の沸点を下げることも当業者であれば当然想到する手段にすぎないものである。
さらに、相違点(b)については、本願発明の「350℃付近の温度において、ウェット処理」することの技術的意義が「本実施の形態では、半導体ウェハWを低温(例えば、350℃付近)でウェット酸化した際に炉口23に溜まる水分を、プロセスチューブ22内を真空状態にすることで蒸発しやすくし、これにより前記水分を短時間で除去している。」(当初明細書段落【0027】)であって、低温でのウェット酸化温度を例示的に挙げたもので、臨界的意義を有するものとすることができず、しかも、例えば、原査定の拒絶の理由において引用文献3として引用された本願出願前日本国内において頒布された刊行物である国際公開第2004/027849号では「【背景技術】
従来のICの製造工程における熱酸化による酸化膜形成工程においては、酸化膜は酸素が使用された高温の熱処理によりウエハに形成されている(例えば、特開平7-176498号公報参照)。 ところが、ICの高集積化に伴って半導体素子や回路パターンの寸法の微細化が進み、ウエハに対する高温の熱処理がウエハに先に形成された半導体素子の特性や材質を変化させることが懸念されるために、熱処理温度は低下させることが望まれている。 このような傾向の中で、酸化膜を形成する際の熱処理温度を低下させることのできる酸化剤として、オゾン(O_(3) )が有望視されている。例えば、酸素を使用した酸化膜形成工程における熱処理温度は、700?1000℃の高温度になるが、オゾンを使用した酸化膜形成工程においては、熱処理温度を500℃以下とすることが試みられている。
また、従来のICの製造工程における酸化膜形成工程を500℃以下の低温下で実施する酸化膜形成方法としては、プラズマを利用して反応種や酸素を活性化させ、ウエハを酸化させる方法がある。
・・・
発明の開示
本願において開示される発明のうち代表的なものは、次の通りである。
1.・・・
2.被処理物を処理室内に搬入するステップと、原料ガスと、オゾンを少な くとも水素原子を含む液体中でバブリングして生成した酸化剤とを前記処 理室内に交互に供給することで被処理物の上に膜を形成するステップと、 膜形成後の被処理物を処理室から搬出するステップとを有し、前記被処理 物を処理するステップにおける処理温度を100?500℃とすることを 特徴とする半導体装置の製造方法。」と開示されているように、350℃が含まれる「100?500℃」は、従来から用いられてきた酸化膜形成工程における通常の熱処理温度にすぎないということができる。
したがって、引用1発明の熱処理温度として「350℃」を採用することは、当業者であれば容易に想到し得る操業事項の採用にすぎないものである。

そして、本願明細書の記載を検討しても、本願発明により当業者が予測し得ない格別顕著な効果を奏することができたものとすることはできない。

したがって、本願発明は、引用1発明及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第6 独立特許要件について
平成26年5月26日付けの手続補正書により、補正後の請求項1についてなされた補正が特許法第17条の2第6項に規定する要件を満たしているかについて、予備的に検討する。
平成26年5月26日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)は、補正前の請求項2に係る発明の限定的減縮に該当するものであるが、その内容は、本願発明に「前記昇降リフトに昇降テーブルが設けられ、当該昇降テーブルの上方にはヒートバリアが設けられており、加熱ヒータが、前記プロセスチューブを囲むように、かつプロセスチューブの上端の位置から、前記ヒートバリアの上端と高さ位置において少なくとも重なるように延びて設けられてい」ることを特定事項として付加するものである。
付加された特定事項について検討する。
まず、「前記昇降リフトに昇降テーブルが設けられ」ることについては、引用文献1には、記載事項(ア)に「蓋体3は、図示しない昇降機構により、処理炉1内へのウエハボート4のロード(搬入)ならびにアンロード(搬出)および炉口の開閉を行うように構成されている」ことが記載されるのであるから、当然「蓋体3」は、何らかの支持体により昇降させられていると認められる。そして、その支持体を「昇降テーブル」と称することは当業者において任意の事項にすぎないものである。
そして、「当該昇降テーブルの上方にはヒートバリアが設けられて」いる点については、引用文献1の「保温筒5」が「ヒートバリア」に該当するものと認められるから相違点ではない。
さらに、「加熱ヒータが、前記プロセスチューブを囲むように、かつプロセスチューブの上端の位置から、前記ヒートバリアの上端と高さ位置において少なくとも重なるように延びて設けられてい」ることについては、酸化処理装置の全体構成を示す図1においては、「反応管2の周囲には、炉内を所定の温度例えば300?1000℃に加熱制御可能なヒーター6が設けられている」ことが開示されているので、このヒータをどのように配置するかは、当業者であれば適宜設定し得る設計事項にすぎないものである。
したがって、本願補正発明は、引用1発明及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものでない。

第7 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-11 
結審通知日 2015-03-17 
審決日 2015-03-27 
出願番号 特願2009-291133(P2009-291133)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 淳一  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 松本 貢
飯田 清司
発明の名称 基板の熱処理装置及び熱処理方法  
代理人 特許業務法人サンクレスト国際特許事務所  
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