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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1300976
審判番号 不服2014-1500  
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-01-28 
確定日 2015-05-13 
事件の表示 特願2008-263991「携帯型電子装置,文字入力画面表示方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月22日出願公開,特開2010- 93707〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成20年10月10日の出願であって,平成23年9月12日に審査請求がされるとともに,同日に手続補正がされ,平成25年4月15日付けの拒絶理由通知に対し,同年6月24日に手続補正がされ,同年10月18日付けで拒絶査定がされ,これに対して平成26年1月28日に審判請求がされるとともに,同日に手続補正がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年1月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は,特許請求の範囲及び明細書を補正するものであって,特許請求の範囲の請求項4については,本件補正の前後で以下のとおりである。
・補正前
「【請求項4】
複数の入力手段と,前記入力手段により指定された文字を表示するための編集画面を表示する表示手段と,文字種ごとに分類された文字を記憶する記憶手段とを有する携帯型電子装置による文字入力画面表示方法であって,
前記文字種を選択するための選択手段を呼び出すモード切替処理と,
前記選択手段によって文字種が選択されると,該選択手段によって選択された文字種に対応する文字を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる制御処理とを有し,
前記制御処理は,前記モード切替処理によって前記選択手段が呼び出された場合,前記編集画面の一部領域上に,複数の前記選択手段と,該複数の選択手段のうち1つの選択手段の特定の文字種に対応する文字とを表示させ,前記1つの選択手段を,前記特定の文字種に対応する文字種を選択している状態として他の選択手段とは異なるように表示させる処理を含むことを特徴とする文字入力画面表示方法。」
・補正後
「【請求項4】
複数の入力手段と,前記入力手段により指定された文字を表示するための編集画面を表示する表示手段と,文字種ごとに分類された文字,および,複数の定型文を記憶する記憶手段とを有する携帯型電子装置による文字入力画面表示方法であって,
入力する文字種,または,定型文の入力を選択するための選択手段を呼び出すモード切替処理と,
特定の文字種の入力を示す選択手段が選択されると,該特定の文字種に対応する文字を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させ,前記定型文の入力を示す選択手段が選択されると,前記複数の定型文を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる制御処理とを有し,
前記制御処理は,前記モード切替処理によって前記選択手段が呼び出された場合,前記編集画面の一部領域上に,複数の前記選択手段を表示させ,該複数の選択手段のうち1つの選択手段が選択されると,該1つの選択手段が特定の文字種の入力を示す場合には,該特定の文字種に対応する文字を表示させ,該1つの選択手段が定型文の入力を示す場合には,複数の定型文を表示させ,該1つの選択手段を,入力する該特定の文字種,または,定型文の入力を選択している状態として他の選択手段とは異なるように表示させる処理を含むことを特徴とする文字入力画面表示方法。」

2 補正事項の整理
本件補正による特許請求の範囲の請求項4についての補正を整理すると次のとおりとなる。(当審注.下線は補正箇所を示し,当審で付加したもの。)
・補正事項1
補正前の請求項4の「文字種ごとに分類された文字を記憶する記憶手段」を,「文字種ごとに分類された文字,および,複数の定型文を記憶する記憶手段」と補正すること。
・補正事項2
補正前の請求項4の「前記文字種を選択するための選択手段を呼び出すモード切替処理」を,「入力する文字種,または,定型文の入力を選択するための選択手段を呼び出すモード切替処理」と補正すること。
・補正事項3
補正前の請求項4の「前記選択手段によって文字種が選択されると,該選択手段によって選択された文字種に対応する文字を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる制御処理」を,「特定の文字種の入力を示す選択手段が選択されると,該特定の文字種に対応する文字を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させ,前記定型文の入力を示す選択手段が選択されると,前記複数の定型文を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる制御処理」と補正すること。
・補正事項4
補正前の請求項4の「前記制御処理は,前記モード切替処理によって前記選択手段が呼び出された場合,前記編集画面の一部領域上に,複数の前記選択手段と,該複数の選択手段のうち1つの選択手段の特定の文字種に対応する文字とを表示させ,前記1つの選択手段を,前記特定の文字種に対応する文字種を選択している状態として他の選択手段とは異なるように表示させる処理を含む」を,「前記制御処理は,前記モード切替処理によって前記選択手段が呼び出された場合,前記編集画面の一部領域上に,複数の前記選択手段を表示させ,該複数の選択手段のうち1つの選択手段が選択されると,該1つの選択手段が特定の文字種の入力を示す場合には,該特定の文字種に対応する文字を表示させ,該1つの選択手段が定型文の入力を示す場合には,複数の定型文を表示させ,該1つの選択手段を,入力する該特定の文字種,または,定型文の入力を選択している状態として他の選択手段とは異なるように表示させる処理を含む」と補正すること。

3 補正の適否について
(1)補正事項1について
本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0062】及び【0091】ないし【0098】の記載から,補正事項1は本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであることは明らかであるので,補正事項1は,特許法第17条の2第3項の規定に適合する。
そして,補正事項1は,補正前の請求項4に記載された発明特定事項である「記憶手段」を限定的に減縮するから,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,同法第17条の2第4項の規定に適合することは明らかである。

(2)補正事項2について
本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0039】,【0040】,【0048】ないし【0066】,及び【0123】ないし【0131】の記載から,補正事項2は本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであることは明らかであるので,補正事項2は,特許法第17条の2第3項の規定に適合する。
そして,補正事項2は,補正前の請求項4に記載された発明特定事項である「選択手段」及び「モード切替処理」を限定的に減縮するから,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,同法第17条の2第4項の規定に適合することは明らかである。

(3)補正事項3及び4について
本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0039】,【0040】,【0048】ないし【0066】,及び【0123】ないし【0131】の記載,並びに図5から,補正事項3及び4は,いずれも,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであることは明らかであるので,補正事項3及び4は,いずれも,特許法第17条の2第3項の規定に適合する。
そして,補正事項3及び4は,いずれも,補正前の請求項4に記載された発明特定事項である「制御処理」を補正事項2の上記限定に伴って限定的に減縮するから,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,同法第17条の2第4項の規定に適合することは明らかである。

4 独立特許要件についての検討
(1)検討の前提
上記3(2)で検討したとおり,本件補正による請求項4についての補正事項1ないし4は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから,本件補正後の請求項4に記載された事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かにつき,更に検討する。

(2)本願補正発明
ア 本件補正後の請求項4の記載は,次のとおりである。(再掲)
「【請求項4】
複数の入力手段と,前記入力手段により指定された文字を表示するための編集画面を表示する表示手段と,文字種ごとに分類された文字,および,複数の定型文を記憶する記憶手段とを有する携帯型電子装置による文字入力画面表示方法であって,
入力する文字種,または,定型文の入力を選択するための選択手段を呼び出すモード切替処理と,
特定の文字種の入力を示す選択手段が選択されると,該特定の文字種に対応する文字を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させ,前記定型文の入力を示す選択手段が選択されると,前記複数の定型文を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる制御処理とを有し,
前記制御処理は,前記モード切替処理によって前記選択手段が呼び出された場合,前記編集画面の一部領域上に,複数の前記選択手段を表示させ,該複数の選択手段のうち1つの選択手段が選択されると,該1つの選択手段が特定の文字種の入力を示す場合には,該特定の文字種に対応する文字を表示させ,該1つの選択手段が定型文の入力を示す場合には,複数の定型文を表示させ,該1つの選択手段を,入力する該特定の文字種,または,定型文の入力を選択している状態として他の選択手段とは異なるように表示させる処理を含むことを特徴とする文字入力画面表示方法。」
イ 本件補正後の請求項4に記載の「選択手段」との用語について,その意味内容を一義的に理解することは困難であるので,本願明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌して,その意味内容を理解すると,本件補正後の請求項4に記載の「前記制御処理は,前記モード切替処理によって前記選択手段が呼び出された場合,前記編集画面の一部領域上に,複数の前記選択手段を表示させ,該複数の選択手段のうち1つの選択手段が選択されると,該1つの選択手段が特定の文字種の入力を示す場合には,該特定の文字種に対応する文字を表示させ」ることについて,本願明細書の発明の詳細な説明には,以下の記載がある。(当審注.下線は当審において付加した。以下同じ。)
「【0053】
なお,ここでいう「一覧画面ICH」とは,絵文字・記号入力モードMOD(特定文字入力モード)において入力可能な文字の種類の一覧(例えば,絵文字の一覧や記号の一覧)それぞれを,当該種類に応じたタブごとに分別して示した画面である。
・・・
【0062】
また,タブTB6(「URL」)は,携帯電話機1を用いてインターネットへ接続する際に指定されるURL(Uniform Resource Locator)において使用頻度が高い定型文(例えば,「http://」や「co.jp」など)の一覧に対応するタブである。・・・
・・・
【0064】
また,一覧表示制御部114は,一覧画面ICHを表示部16が表示している間,タブ選択部115から通知されたタブに対応する絵文字や記号の一覧のデータをROM12から読出し,該一覧のデータを表示部16へ出力する。すると,表示部16は,一覧画面ICHのなかに,一覧表示制御部114から出力されてきた一覧を表示する。
【0065】
より具体的には,表示部16が図5に示した文字入力画面WNDを表示している間,タブ選択部115からタブTB2(デコメ)が通知された場合,一覧表示制御部114は,当該タブTB2に対応する「デコレーションメールの絵文字」の一覧のデータをROM12から読出して,該データを表示部16へ出力する。すると,表示部16は,図6に示すように,デコレーションメールの絵文字の一覧を含む一覧画面ICHを文字入力画面WNDのなかに表示する。」
そして,本願明細書の発明の詳細な説明における上記の記載より,本願に係る発明は,絵文字・記号入力モードMOD(特定文字入力モード)において入力可能な文字の種類の一覧(例えば,絵文字の一覧や記号の一覧),又は定型文の一覧をタブごとに分別して示した一覧画面ICHを,表示部16が表示している間,タブ選択部115から通知されたタブ(例えばタブTB2(デコメ)又はタブTB6(「URL」))に対応する絵文字や記号(例えば「デコレーションメールの絵文字」)の一覧のデータ,又は定型文(例えば「http://」や「co.jp」)の一覧のデータを表示部16へ出力して表示すると認められる。
そうすると,本願明細書の記載を参酌すれば,本件補正後の請求項4に記載の「選択手段」は,入力可能な文字の種類の一覧のデータ,又は定型文の一覧のデータを,分別して画面に表示するタブを含むと理解できる。
ウ 以上から,本件補正後の請求項4に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は,その発明特定事項の「選択手段」が,入力可能な文字の種類の一覧のデータ,又は定型文の一覧のデータを,分別して画面に表示するタブを含むと解したうえで,本件補正後の請求項4に記載されたとおりのものと認める。

(3)引用文献の記載と引用発明
ア 引用文献の記載
原査定の拒絶の理由に引用された,本願出願日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2008-171127号公報(以下「引用文献1」という。)には,図1ないし6,図9,及び図11とともに,次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は,携帯情報端末および文字入力処理の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
・・・携帯電話機などの携帯情報端末では操作できるキーが少ないため,1つのキーに複数の文字を割り当てて,文字種を切り替えて文字を入力したり,文字の配列表を用いて選択指示した文字を入力したりする方法がある。
【0003】
・・・また,特許文献2では,文字の配列表を画面に表示させ,その配列表の中から入力する文字を選択させる方法が提案されている。また,特許文献3では,よく用いる絵文字や記号を配列表に登録し,より早く文字等を入力する方法が提案されている。
・・・
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0005】
また,特許文献2や特許文献3の方法では,配列表にして一画面に表示できる文字数は限られているため,配列表は複数のページから構成されることとなる。このため,所望の文字を入力させるには,その文字を含む配列表のページを画面に表示させる操作が必要であり,操作性が悪くなる。たとえば,かな文字を入力中に,数字や英字を入力したい場合などは,配列表のページを何度も切り替える必要がある。
【0006】
本発明は,上記のような問題を解決するためになされたものであって,その目的は,複数の文字種を効率的に入力することができる携帯情報端末を提供することである。
・・・
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば,複数の文字種を効率的に入力することができる。」
(イ)「【0031】
[実施の形態1]
・・・
【0032】
・・・
図1および図2を参照して,携帯情報端末1について説明する。この携帯情報端末1は,いわゆる折り畳み式の携帯電話機であり,第1の筐体2および第2の筐体3が図示しないヒンジ部を介して連結され,第1の筐体2および第2の筐体3の筐体面を対向させた状態で折り畳むことができるようになっている。
【0033】
第1の筐体2は,ディスプレイ4およびスピーカ60を備える。
第2の筐体3は,アンテナ7を備える。さらに,第2の筐体3の内面側には,各種の操作キーおよび操作ボタンを含む操作部17が設けられる。また,第2の筐体3の下端部内面側表面にはマイクロフォン53が備えられる。操作部17は,ソフトキー10a,10b,10c,10dと,テンキー11と,方向キー12と,確定キー13と,オンフックキー14と,クリアキー15と,オフフックキー16とを含む。
・・・
【0035】
図3を参照して,携帯情報端末1の機能的構成について説明する。
携帯情報端末1の上記構成は,ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などから構成される記憶部32と,携帯情報端末1全体の制御を行なう制御部30と,ユーザの操作により制御部30へ動作の指示を行なう操作部17と,アンテナ7および変調/復調機能を備える無線部65を介して無線通信制御を行なう通信制御部35と,マイクロフォン53からの音声に対して信号処理を実行する音声信号処理部39と,スピーカ60へ音声などを出力するための信号再生処理を行なう再生回路36と,ディスプレイ4に表示する画像の表示制御を行なう表示ドライバ部34とから構成される。
【0036】
記憶部32は,制御部30が実行するプログラム,文字等の各種データが予め格納されている。また,記憶部32は,絵文字・記号パレット情報32aおよび英数パレット情報32bを含む。
【0037】
絵文字・記号パレット情報32aは,絵で事象や意味等を表現した複数のアイコンデータから構成される絵文字パレット,句読点,カンマ,ピリオドなどの記号のデータから構成される記号パレットおよび,文字や記号を組み合わせて顔の表情を表現した,記号の組み合わせのデータから構成される顔文字パレットを含む。なお,以下の説明では,絵文字パレット,記号パレットおよび顔文字パレットを総称して「絵記号パレット」と呼ぶ。
・・・
【0039】
制御部30は,これらのパレット情報を記憶部32から読み込むとともに,表示ドライバ部34にパレット表示の切り替え等を指示する。また,キー操作によって選択指示される文字を入力文字として受け付ける。
【0040】
表示ドライバ部34は,制御部30からの指示に従い,絵文字・記号パレット情報32aおよび英数パレット情報32bに格納されたパレットのデータをディスプレイ4に表示させる。また,制御部30の指示に従って,キー操作により選択指示された文字をディスプレイ4に表示させる。」
(ウ)「【0042】
図4を参照して,ディスプレイ4の表示と操作部17のキー操作について説明する。
まず,図4(a)を参照して,操作部17の各キーについて説明する。
【0043】
図4(a)に示すように,操作部17は,携帯情報端末1を操作するためのキーとして,ソフトキー10a,10b,10c,10dと,テンキー11と,方向キー12と,確定キー13と,オンフックキー14と,クリアキー15と,オフフックキー16とを含む(図1参照)。なお,方向キー12および確定キー13はカーソルキーとして機能する。
【0044】
各ソフトキーに対しては,ディスプレイ上にそのキーに割り当てられた少なくとも1つの機能が表示される。このため,アプリケーションごとに異なる機能を割り当てることができる。
・・・
【0049】
次に,図4(b)を参照して,文字入力画面において操作部17と入力画面との対応関係について説明する。
【0050】
図4(b)に示す文字入力画面では,ユーザが操作部17のいずれかのキーを押下することによって,カーソル114の示す箇所に文字が入力される。
・・・
【0054】
・・・ソフトキー10dを押下すると,符号112で示す機能が実行され,一般的によく使用される文章(定型文)が示された定型文選択画面が表示される。
【0055】
ディスプレイ4の行101には,現在ディスプレイ4の行101に表示されている機能において,ソフトキー10a,確定キー13,ソフトキー10bを押下すると実行される機能(それぞれ符号102,104,106で示される)の簡単な説明が示されている。
【0056】
具体的には,ソフトキー10aを押下すると,符号102で示す機能が実行され,絵記号パレットのいずれか一つのパレットが表示される。たとえば,図4(c)に示すような,絵文字パレットP1が示される。
・・・
【0059】
次に,図4(c)を参照して,絵記号パレットが表示された画面において操作部17と入力画面との対応関係について説明する。
【0060】
図4(c)に示すように,絵文字パレットP1が表示されている場合,ユーザは指示カーソル128を,方向キー12を上下左右に押下することによりパレット内を移動させることができる。・・・
【0061】
上述したように,ディスプレイ4の行100および行101には,所定のキーを押下したときに実行される機能の簡単な説明が示されている。
【0062】
ソフトキー10aを押下すると,符号102で示す機能が実行され,絵記号パレットの表示が切り替わる。」
(エ)「【0074】
・・・
図5を参照して,入力状態の遷移について説明する。なお,以下の説明では,特に言及がない限り,ソフトキー10aをソフトキーA,ソフトキー10bをソフトキーB,クリアキー15をクリアキー,テンキー11をテンキー,確定キー13を確定キー,ディスプレイ4をディスプレイと呼ぶ。
【0075】
本実施の形態に係る携帯情報端末1において,文字を入力する状態は,テンキー11を押下することにより文字を入力するテンキー入力状態M1と,絵記号パレットのいずれかにより文字を入力する絵記号パレット入力状態M2と,英数パレットのいずれかにより文字を入力する英数パレット入力状態M3とがある。
【0076】
テンキー入力状態M1では,任意の入力モードで文字を入力することができる。ここで,ソフトキーAを押下すると,絵記号パレット入力状態M2に遷移する。また,ソフトキーAを所定時間以上押下する(以下,「長押しする」と呼ぶ)と,英数パレット入力状態M3に遷移する。なお,以下の説明および図中では,ソフトキーAを短く押下する場合は,単に「ソフトキーAの押下」という。
・・・
【0085】
図6を参照して,絵記号パレット入力状態M2におけるディスプレイの表示について説明する。
【0086】
画面S1は,テンキー入力状態M1におけるディスプレイの画面を示す。ここで,ソフトキーAを押下すると,絵記号パレット入力状態M2に遷移し,ディスプレイは,たとえば,画面S3のような表示になる。
【0087】
画面S3は,絵文字パレットP1が表示された画面を示す。ここで,ソフトキーAを押下すると,ディスプレイは画面S5に切り替わる。
【0088】
画面S5は,記号パレットP3が表示された画面を示す。ここで,ソフトキーAを押下するとディスプレイは画面S7に切り替わる。
【0089】
画面S7は,顔文字パレットP5が表示された画面を示す。ここで,ソフトキーAを押下するとディスプレイは画面S3に切り替わる。
【0090】
このように,絵記号パレット入力状態M2では,キーの押下回数により巡回的にパレットの表示が切り替わる。
・・・
【0107】
・・・
図9を参照して,ソフトキーAの押下を判断する処理について説明する。
・・・
【0111】
また,ソフトキーAが短く押下されたと判断すれば(ステップS106において,短押し),ステップS112において,制御部30は,後述する絵記号パレット入力処理を実行し,ステップS106の処理に戻る。
・・・
【0122】
図11を参照して,図9のステップS112における絵記号パレット入力処理について説明する。
【0123】
ステップS152において,制御部30は,いずれのキーが押下されたかを確認する。
キーが押下されていないと判断すれば(ステップS152において,NO),制御部30はステップS152の処理に戻る。
【0124】
押下されたキーがソフトキーAであると判断すれば(ステップS152において,ソフトキーA),ステップS156において,制御部30は,表示ドライバ部34に対し,絵記号パレットの表示を切り替えるよう指示し,ステップS152の処理に戻る。」
イ 引用発明
(ア)上記ア(イ)より,引用文献1記載の携帯情報端末は,ソフトキー10a,10b,10c,10d,テンキー11,方向キー12,及び確定キー13を含む操作部17を有するといえる。
そして,上記ア(イ)によれば,引用文献1記載の携帯情報端末は,ディスプレイ4を備え,また,上記ア(ウ)によれば,上記携帯情報端末におけるディスプレイ4の表示と操作部17のキー操作について,文字入力画面では,ユーザが操作部17のいずれかのキーを押下することによって,カーソル114の示す箇所に文字が入力される。
してみれば,引用文献1記載の発明における携帯情報端末は,操作部17のいずれかのキーを押下することによって文字が入力される文字入力画面を表示するディスプレイ4を有するということができる。
そして,上記ア(イ)より,引用文献1記載の携帯情報端末は,絵で事象や意味等を表現した複数のアイコンデータから構成される絵文字パレット,句読点,カンマ,ピリオドなどの記号のデータから構成される記号パレット,及び文字や記号を組み合わせて顔の表情を表現した,記号の組み合わせのデータから構成される顔文字パレットを含む絵文字・記号パレット情報32aを記憶する記憶部32を有するといえる。
(イ)上記ア(イ)によれば,引用文献1記載の携帯情報端末では,制御部30は,絵文字・記号パレット情報32aを記憶部32から読み込むとともに,表示ドライバ部34にパレット表示の切り替え等を指示し,表示ドライバ部34は,制御部30からの指示に従い,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットのデータをディスプレイ4に表示させる。
そして,上記ア(ウ)によれば,引用文献1記載の携帯情報端末は,ソフトキー10aを押下すると,絵記号パレットのいずれか一つのパレットが表示され,さらにソフトキー10aを押下すると,絵記号パレットの表示が切り替わる。
また,上記ア(エ)によれば,ソフトキー10aを押下すると,文字を入力する状態は絵記号パレット入力状態M2に遷移し,絵記号パレット入力状態M2では,キーの押下回数により巡回的にパレットの表示が切り替わる。
そうすると,引用文献1記載の携帯情報端末では,ソフトキー10aを押下すると,文字を入力する状態が絵記号パレット入力状態M2に遷移し,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットのいずれか一つのパレットのデータをディスプレイ4に表示させる処理と,絵記号パレット入力状態M2でソフトキー10aを押下すると,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットのデータをディスプレイ4に表示させ,ソフトキー10aの押下回数により巡回的にパレットの表示が切り替わる処理とが行われるということができる。
(ウ)上記(ア)及び(イ)より,引用文献1には,ソフトキー10a,10b,10c,10d,テンキー11,方向キー12,及び確定キー13を含む操作部17と,操作部17のいずれかのキーを押下することによって文字が入力される文字入力画面を表示するディスプレイ4と,絵で事象や意味等を表現した複数のアイコンデータから構成される絵文字パレット,句読点,カンマ,ピリオドなどの記号のデータから構成される記号パレット,及び文字や記号を組み合わせて顔の表情を表現した,記号の組み合わせのデータから構成される顔文字パレットを含む絵文字・記号パレット情報32aを記憶する記憶部32とを有する携帯情報端末において,操作部17のソフトキー10aを押下すると,文字を入力する状態が絵記号パレット入力状態M2に遷移し,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットのいずれか一つのパレットのデータをディスプレイ4に表示させる処理と,絵記号パレット入力状態M2でソフトキー10aを押下すると,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットのデータをディスプレイ4に表示させ,ソフトキー10aの押下回数により巡回的にパレットの表示が切り替わる処理とが行われることが記載されていると認められるから,引用文献1には,上記の構成を有する携帯情報端末による,文字入力画面を表示するための方法が記載されているということができる。
そうすると,引用文献1には,携帯情報端末による文字入力画面表示方法の発明が記載されていると認められる。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)より,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ソフトキー10a,10b,10c,10d,テンキー11,方向キー12,及び確定キー13を含む操作部17と,操作部17のいずれかのキーを押下することによって文字が入力される文字入力画面を表示するディスプレイ4と,絵で事象や意味等を表現した複数のアイコンデータから構成される絵文字パレット,句読点,カンマ,ピリオドなどの記号のデータから構成される記号パレット,及び文字や記号を組み合わせて顔の表情を表現した,記号の組み合わせのデータから構成される顔文字パレットを含む絵文字・記号パレット情報32aを記憶する記憶部32とを有する携帯情報端末による文字入力画面表示方法であって,
操作部17のソフトキー10aを押下すると,文字を入力する状態が絵記号パレット入力状態M2に遷移し,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットのいずれか一つのパレットのデータをディスプレイ4に表示させる処理と,
絵記号パレット入力状態M2でソフトキー10aを押下すると,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットのデータをディスプレイ4に表示させ,ソフトキー10aの押下回数により巡回的にパレットの表示が切り替わる処理とを有する文字入力画面表示方法。」

(4)周知例の記載と周知技術
ア 周知例1
原査定の拒絶の理由に引用された,本願出願日前に日本国内において頒布された刊行物である,「FOMA SO906i 取扱説明書」(株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ,2008年 5月,以下「周知例1」という。)には,図とともに次の記載がある。
「かな入力方式で文字を入力する
予測変換を使って入力する
例:「健闘」と入力する場合
1 文字入力画面で文字モードを確認する
・・・
2 □2(当審注.審決起案システム上の制限により,文字を四角形で囲んだものを,このように記す。以下同じ。)を4回押す
・・・
3 □0を3回,□4を5回押す
・・・
語句候補リストを切り替える場合
□i(タブ >)を押します。□i(タブ >)を押すたびに,英数カナ→絵顔記→直変換→予測の順に語句変換候補リストが切り替わります。」(401頁)



イ 周知例2
原査定の拒絶の理由に引用された,本願出願日前に日本国内において頒布された刊行物である,「A5302CA 取扱説明書」(au,2002年12月,以下「周知例2」という。)には,図とともに次の記載がある。
「2 ・・・
アドレス帳詳細画面が表示されます。
○← →(当審注.審決起案システム上の制限により,それぞれ左方向及び右方向を示す二つの三角形を丸で囲んだものを,このように記す。):タブを切り替える。」(120頁)



ウ 周知例3
本願出願日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2006-163499号公報(以下「周知例3」という。)には,図7とともに次の記載がある。
「【背景技術】
【0002】
近年,例えば,特許文献1に示すように,複数のウィンドウを表示できる機能,いわゆるマルチウィンドウ機能を搭載した携帯情報端末が知られている。
【0003】
マルチウィンドウ機能の代表的な方式としてタブ方式を挙げることができる。タブ方式は,図7に示すように,ウィンドウ表示領域A内に内容表示1とタブ表示2とからなるウィンドウ3(a)?3(c)を表示する際,内容表示1部分を重ね合わせて表示するとともに,タブ表示2部分を各ウィンドウ3(a)?3(c)間で重ならないように表示させるものである。
【0004】
このタブ方式は,図7から諒解されるように,見たいウィンドウ3(a)を画面最前に表示するとともに,開いている全てのウィンドウ3(a)?3(c)のタブ表示2を常に一覧表示する。このため,利用者は,ウィンドウの状態(すなわち,何枚のウィンドウが開き,何番目のウィンドウが表示されているか等の状態)を一目で把握することができる。すなわち,前記タブ方式は,ウィンドウ状態の視認性に優れている。さらに,表示させたいウィンドウを変更する場合,キーやポインティングデバイスの操作によりカーソルを移動させ,所望のタブ表示2をクリックするといった簡単な作業で済むなど,操作性にも優れている。」
エ 周知例4
本願出願日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2002-261918号公報(以下「周知例4」という。)には,図16とともに次の記載がある。
「【0133】〔タブメニュー〕先に,図6でメインメニュー画面40を説明したが,かかるメインメニュー画面を,オプションで,タブメニューとして設定することができる。かかるメインメニュー画面をオプションで設定した場合,図5に示す待ち受け画面30の表示状態でジョイスティック7によってエンター押下すると,このオプションのメインメニュー画面が表示されることになる。以下,かかるオプションのメインメニュー画面を,メインメニュー画面の他の具体例として説明する。
【0134】図16はかかるメインメニュー画面の他の具体例を示す図である。
【0135】同図(a)において,メインメニュー画面60の上部には,選択項目のアイコン62が横方向に配列された選択項目表示欄61が設けられており,この選択項目表示欄61の一部に窓部61aが形成されて,その窓部61a内に1つのアイコン62が必ず存在している。この窓部61a内のアイコン62が,図6に示したメインメニュー画面40でのフォーカスが当てられたアイコン41に相当するものである。この窓部61a内のアイコン62以外のアイコン62は,この窓部61a内のアイコン62から離れるにつれて重なり部分が大きくなるようにして,一列に表示されている。従って,窓部61a内のアイコン62に近いアイコン62ほど,そのアイコン62の表示内容がよく見えることになる。
【0136】また,メインメニュー画面60には,機能項目欄64が設けられ,選択項目表示欄61の窓部61a内の選択項目62に対する図8に示したような機能選択画面65が表示される。この機能選択画面65は,この画面の標題が表示される項目表示領域63と選択機能項目が配列されて表わされた機能項目欄64とからなっている。
【0137】選択項目表示欄61の窓部61aは,ジョイスティック7の左右倒し操作により,選択項目表示欄61内を左右方向に移動する。これにより,この窓部61a内に入るアイコン62を変更することができ,つまりは,フォーカスを当てるアイコン62を変更することができる。図16(b)は,このように窓部61aを移動させることにより,そこに「伝言メモ機能」のアイコン62が収まるように,即ち,フォーカスが当たるアイコンをこのアイコン62に変更したものである。このアイコン62がこの選択項目「伝言メモ機能」しか割り当てられていないとすると,フォーカスが当てられた状態では,項目表示領域63には,この「伝言メモ機能」のみが表示されることになる。そして,機能項目欄64にこの選択項目「伝言メモ機能」に対する選択機能項目が,図示するように,表示されるようになる。
【0138】このようにして,この具体例では,メインメニュー画面とこれから選択した機能選択画面65とが表示画面1(図1)に同時に表示されることになる。
・・・
【0151】さらに,本発明によると,メインメニュー画面とこれで選択された機能選択画面とを同時に表示させることができるので,この機能選択画面から直接他の機能選択画面の選択を行なうことができ,操作性が向上する。」
オ 周知例5
本願出願日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2003-283635号公報(以下「周知例5」という。)には,図1とともに次の記載がある。
「【0020】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態による携帯端末装置の一例である携帯電話の構成を示す概略図である。・・・
【0021】・・・さらに,着信音,着信画面および電話番号登録等の通話に関する設定,メール着信音,メール着信画面およびメールアドレス登録等のメールに関する設定,並びにカメラの機能の設定を行う際には設定に必要な設定リストが液晶モニタ3に表示される。また,通話操作時,メール操作時およびカメラ操作時においては,各操作において必要な操作リストが液晶モニタ3に表示される。・・・
【0022】ここで本実施形態においては,各種機能の設定時および各種機能の操作時には,各種機能設定画面および各種機能操作画面が図1に示すようにマルチウィンドウ表示される。なお,図1においては通話,メールおよびカメラの設定画面をマルチウィンドウ表示した状態を示す。さらに,本実施形態においては,各設定画面および各操作画面のウィンドウの枠の色およびタブの色が設定内容および操作内容に応じてそれぞれ異なるものとなるように,液晶モニタ3の表示が制御される。」
カ 周知例6
本願出願日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2007-94836号公報(以下「周知例6」という。)には,図3(b)とともに次の記載がある。
「【0016】
以下,本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態では電子機器の一例として携帯電話端末100を挙げて説明する。但し,本発明は携帯電話端末に限るものではなく,キーを有する任意の電子機器に利用することが可能である。
・・・
【0036】
例2)一覧表示のフォーカス移動のためのキー操作
例えば,図3(b)に示すように,電話帳等の登録内容の一覧表示において,矢印キー112の左右方向の指示により文字の行を表すタブの切替表示が行われ,矢印キー112の上下方向の指示により選択候補に当てられるフォーカス42が上下方向に順次移動していく。・・・」
キ 周知技術
上記アないしカより,画面に内容表示部分とタブ表示部分とからなるウィンドウを複数表示させる,タブ方式のマルチウィンドウ機能を,携帯電話機などの携帯情報端末に搭載することは,周知例1ないし6にみられるように,本願出願日前,当該技術分野では周知の技術であったと認められる。
そして,上記タブ方式のマルチウィンドウ機能において,上記内容表示部分を重ね合わせて表示するとともに,上記タブ表示部分を各ウィンドウ間で重ならないように表示させることにより,見たいウィンドウを画面最前に表示するとともに,全てのウィンドウのタブ表示部分を常に一覧表示すること,キーやポインティングデバイスの操作によりカーソルを移動させ,所望のタブ表示部分をクリックすることにより表示させたいウィンドウを変更すること,及び表示させたいウィンドウのタブ表示部分を異なるように表示させることは,周知例1ないし6にみられるように,本願出願日前,普通に行われていたものといえる。
また,タブ方式のマルチウィンドウ機能が操作性に優れていることは,周知例3及び4にみられるように,本願出願日前,当業者にはよく知られた事項であったといえる。

(5)本願補正発明と引用発明との対比
ア 引用発明における「ソフトキー10a,10b,10c,10d,テンキー11,方向キー12,及び確定キー13を含む操作部17」,「操作部17のいずれかのキーを押下することによって文字が入力される文字入力画面」,及び「ディスプレイ4」は,それぞれ,本願補正発明の「複数の入力手段」,「前記入力手段により指定された文字を表示するための編集画面」,及び「表示手段」に相当するといえる。
そして,引用発明における「絵で事象や意味等を表現した」「絵文字」,「句読点,カンマ,ピリオドなどの」「記号」,及び「文字や記号を組み合わせて顔の表情を表現した」「顔文字」は,いずれも,本願補正発明の「文字種」に相当するといえる。
また,「絵で事象や意味等を表現した複数のアイコンデータから構成される絵文字パレット,句読点,カンマ,ピリオドなどの記号のデータから構成される記号パレット,及び文字や記号を組み合わせて顔の表情を表現した,記号の組み合わせのデータから構成される顔文字パレットを含む「絵文字・記号パレット情報32a」は,本願補正発明の「文字種ごとに分類された文字」に相当するといえる。
そうすると,後述する相違点に係る構成を除き,本願補正発明の「記憶手段」と引用発明における「記憶部32」とは,「文字種ごとに分類された文字を記憶する記憶手段」である点で共通する。
そして,引用発明における「携帯情報端末」は,本願補正発明の「携帯型電子装置」に相当するといえる。
以上から,後述する相違点に係る構成を除き,本願補正発明と引用発明とは,「複数の入力手段と,前記入力手段により指定された文字を表示するための編集画面を表示する表示手段と,文字種ごとに分類された文字を記憶する記憶手段とを有する携帯型電子装置による文字入力画面表示方法」である点で共通するといえる。
イ 引用発明における「操作部17のソフトキー10aを押下すると,文字を入力する状態が絵記号パレット入力状態M2に遷移し,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットのいずれか一つのパレットのデータをディスプレイ4に表示させる処理」により,文字を入力する状態が絵記号パレット入力状態M2に切り替わり,絵文字・記号パレット情報32aに含まれる,絵文字パレット,記号パレット,及び顔文字パレットのいずれかの情報が選択できるようになるということができる。
そして,上記の文字を入力する状態,及び絵記号パレット入力状態M2は,それぞれ,文字を入力するモード,及び絵記号パレット入力モードM2ともいえる。
そうすると,引用発明における上記の処理は,入力する文字種を選択できるようにするモード切替処理ということができる。
以上から,後述する相違点に係る構成を除き,本願補正発明と引用発明とは,「入力する文字種を選択できるようにするモード切替処理」を有する点で共通するといえる。
ウ 引用発明における「絵記号パレット入力状態M2でソフトキー10aを押下すると,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットのデータをディスプレイ4に表示させ,ソフトキー10aの押下回数により巡回的にパレットの表示が切り替わる処理」により,「絵記号パレット入力状態M2でソフトキー10aを押下する」ことで特定の文字種の入力が選択され,該特定の文字種に対応する文字を,記憶部32の絵文字・記号パレット情報32aから読み出してディスプレイ4に表示させるように制御しているといえる。
そうすると,引用発明における上記の処理は,特定の文字種の入力が選択され,該特定の文字種に対応する文字を,記憶部32の絵文字・記号パレット情報32aから読み出してディスプレイ4に表示させるようにする制御処理ということができる。
以上から,後述する相違点に係る構成を除き,本願補正発明と引用発明とは,「特定の文字種の入力が選択され,該特定の文字種に対応する文字を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる制御処理」を有する点で共通するといえる。
エ 上記アないしウより,本願補正発明と引用発明との一致点と相違点は,次のとおりであると認められる。
(ア)一致点
「複数の入力手段と,前記入力手段により指定された文字を表示するための編集画面を表示する表示手段と,文字種ごとに分類された文字を記憶する記憶手段とを有する携帯型電子装置による文字入力画面表示方法であって,
入力する文字種を選択できるようにするモード切替処理と,
特定の文字種の入力が選択され,該特定の文字種に対応する文字を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる制御処理とを有する文字入力画面表示方法。」
(イ)相違点
・相違点1
一致点に係る構成の「文字種ごとに分類された文字を記憶する記憶手段」について,本願補正発明は「複数の定型文を記憶する」ことを含むのに対し,引用発明は「複数の定型文を記憶する」ものではない点。
・相違点2
一致点に係る構成の「入力する文字種を選択できるようにするモード切替処理」について,本願補正発明は「入力する文字種」「を選択するための選択手段を呼び出す」ものであるのに対し,引用発明では「入力する文字種」を選択できるようにする点について,「選択手段を呼び出す」ことは特定されていない点。
・相違点3
一致点に係る構成の「入力する文字種を選択できるようにするモード切替処理」について,本願補正発明は「定型文の入力を選択する」ことを含むのに対し,引用発明は「定型文の入力を選択する」ものではない点。
・相違点4
一致点に係る構成の「特定の文字種の入力が選択され,該特定の文字種に対応する文字を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる制御処理」について,本願補正発明は「特定の文字種の入力を示す選択手段が選択される」のに対し,引用発明では「特定の文字種の入力が選択され」る点について,「選択手段が選択される」ことは特定されていない点。
・相違点5
一致点に係る構成の「特定の文字種の入力が選択され,該特定の文字種に対応する文字を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる制御処理」について,本願補正発明は「前記定型文の入力を示す選択手段が選択されると,前記複数の定型文を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる」ことを含むのに対し,引用発明は上記の処理を行うものではない点。
・相違点6
一致点に係る構成の「特定の文字種の入力が選択され,該特定の文字種に対応する文字を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる制御処理」について,本願補正発明は,「前記モード切替処理によって前記選択手段が呼び出された場合,前記編集画面の一部領域上に,複数の前記選択手段を表示させ,該複数の選択手段のうち1つの選択手段が選択されると,該1つの選択手段が特定の文字種の入力を示す場合には,該特定の文字種に対応する文字を表示させ」,「該1つの選択手段を,入力する該特定の文字種」「を選択している状態として他の選択手段とは異なるように表示させる処理を含む」ものであるのに対し,引用発明は上記の処理を行うものではない点。
・相違点7
一致点に係る構成の「特定の文字種の入力が選択され,該特定の文字種に対応する文字を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる制御処理」について,本願補正発明は,「前記モード切替処理によって前記選択手段が呼び出された場合,前記編集画面の一部領域上に,複数の前記選択手段を表示させ,該複数の選択手段のうち1つの選択手段が選択されると」,「該1つの選択手段が定型文の入力を示す場合には,複数の定型文を表示させ,該1つの選択手段を」,「定型文の入力を選択している状態として他の選択手段とは異なるように表示させる処理を含む」ものであるのに対し,引用発明は上記の処理を行うものではない点。

(5)相違点についての検討
上記(5)エ(イ)より,本願補正発明と引用発明との相違点は,入力する文字種の選択及び選択した文字種に対応する文字の表示に関する相違点(相違点2,相違点4及び相違点6)と,定型文の入力の選択及び選択した定型文の表示に関する相違点(相違点1,相違点3,相違点5及び相違点7)とに大別されると認められる。
以下,はじめに前者の相違点についてまとめて検討し,続いて後者の相違点についてまとめて検討する。
ア 相違点2,相違点4及び相違点6について
(ア)上記(3)イで検討したとおり,引用発明は,携帯情報端末による文字入力画面表示方法であって,操作部17のソフトキー10aを押下すると,文字を入力する状態が絵記号パレット入力状態M2に遷移し,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットのいずれか一つのパレットのデータをディスプレイ4に表示させる処理と,絵記号パレット入力状態M2でソフトキー10aを押下すると,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットのデータをディスプレイ4に表示させ,ソフトキー10aの押下回数により巡回的にパレットの表示が切り替わる処理とを有するといえる。
そして,上記(3)ア(ア)より,引用発明は,所望の文字を入力させるには操作性が悪くなるとの従来技術の問題を解決するため,複数の文字種を効率的に入力することができる携帯情報端末を提供することを目的とし,これを達成したものと認められる。
他方,上記(4)キより,画面に内容表示部分とタブ表示部分とからなるウィンドウを複数表示させる,タブ方式のマルチウィンドウ機能を,携帯電話機などの携帯情報端末に搭載することは,本願出願日前,当該技術分野では周知の技術と認められる。
そして,上記(4)キより,上記タブ方式のマルチウィンドウ機能において,上記内容表示部分を重ね合わせて表示するとともに,上記タブ表示部分を各ウィンドウ間で重ならないように表示させることにより,見たいウィンドウを画面最前に表示するとともに,全てのウィンドウのタブ表示部分を常に一覧表示すること,キーやポインティングデバイスの操作によりカーソルを移動させ,所望のタブ表示部分をクリックすることにより表示させたいウィンドウを変更すること,及び表示させたいウィンドウのタブ表示部分を異なるように表示させることは,本願出願日前,普通に行われていたものといえる。
また,タブ方式のマルチウィンドウ機能が操作性に優れていることは,本願出願日前,当業者にはよく知られた事項であったといえる。
そうすると,複数の文字種の効率的な入力を目的とする引用発明において,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレット(絵文字パレット,記号パレット及び顔文字パレット)のデータをディスプレイ4に表示させる際に,タブ方式のマルチウィンドウ機能を用いて,上記絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットについて,画面に内容表示部分とタブ表示部分とからなるウィンドウを複数表示させ,上記内容表示部分を重ね合わせて表示するとともに,上記タブ表示部分を各ウィンドウ間で重ならないように表示させることにより,見たいパレットのウィンドウを画面最前に表示するようにするとともに,全てのパレットのウィンドウのタブ表示部分を常に一覧表示すること,キーやポインティングデバイスの操作によりカーソルを移動させ,所望のタブ表示部分をクリックすることにより表示させたいパレットのウィンドウを変更すること,及び表示させたいパレットのウィンドウのタブ表示部分を異なるように表示させることは,携帯情報端末の操作性の向上のために,上記周知技術を適用することにより,当業者が容易に想到し得たものと認められる。
(イ)上記(ア)で検討したとおり,引用発明において,絵文字・記号パレット情報32aに格納されたパレットのデータをディスプレイ4に表示させる際に,タブ方式のマルチウィンドウ機能を用いるようにすることは,上記周知技術を適用することにより当業者が容易に想到し得たものであり,その際に,各ウィンドウ間で重ならないように表示されるタブ表示部分に,ウィンドウが絵文字,記号及び顔文字(本願補正発明の「文字種」に相当。)のいずれのパレットに対応するかを示す表示をして,キーやポインティングデバイスの操作で所望のタブ表示部分をクリックすることにより,表示させたいパレットのウィンドウを選択できるようにすることは,当然に行われるものである。
そして,上記(2)より,本願補正発明における「選択手段」は,入力可能な文字の種類の一覧それぞれを,当該種類に応じて分別して画面に表示するタブを含むと解されるから,引用発明に上記周知技術を適用して得られた上記タブ表示部分は,本願補正発明における「選択手段」ということができる。
そうすると,引用発明に上記周知技術を適用することにより,操作部17のソフトキー10aを押下して,文字を入力する状態が絵記号パレット入力状態M2に遷移することで,文字種(絵文字,記号及び顔文字)を選択する選択手段(タブ表示部分)を呼び出し(相違点2に係る構成),特定の文字種の入力を示す選択手段が選択される(相違点4に係る構成)ようになるものと認められる。
さらに,引用発明において,上記周知技術を適用して,タブ方式のマルチウィンドウ機能を用いて,画面に内容表示部分とタブ表示部分とからなるウィンドウを複数表示させる際に,文字入力画面(本願補正発明の「編集画面」に相当。)の一部領域上に表示させることは,周知例1にみられるように,当業者が普通に行い得るものである。
したがって,引用発明において,モード切替処理によって選択手段が呼び出された場合,編集画面の一部領域上に,複数の上記選択手段を表示させ,該複数の選択手段のうち1つの選択手段が選択されると,該1つの選択手段が特定の文字種の入力を示す場合には,該特定の文字種に対応する文字を表示させ,該1つの選択手段を,入力する該特定の文字種を選択している状態として他の選択手段とは異なるように表示させる処理を含むようにすること(相違点6に係る構成)は,上記周知技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものと認められる。
(ウ)以上から,引用発明において,相違点2,相違点4,及び相違点6に係る構成とすることは,上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
イ 相違点1,相違点3,相違点5及び相違点7について
(ア)上記(3)ア(ウ)によれば,引用文献1には,ソフトキー10dを押下すると,一般的によく使用される文章(定型文)が示された定型文選択画面が表示されること(段落【0054】)が記載されている。
そうすると,引用発明において,記憶部32が複数の定型文を記憶することは,引用文献1に明示されていなくても,定型文選択画面を表示するうえで当然のことといえるから,相違点1に係る構成は,引用発明も備えるものと認められ,本願補正発明と引用発明との実質的な相違点ということはできない。
仮にそうでないとしても,引用発明において,記憶部32が複数の定型文を記憶する構成とすることは,引用文献1の上記の記載に基づき,定型文選択画面を表示するために,当業者が普通に行い得るものである。
以上から,相違点1に係る構成は,引用発明が実質的に備えているか,又は引用発明において当業者が普通に行い得るものである。
(イ)上記アで検討したとおり,引用発明において,上記周知技術を適用し,タブ方式のマルチウィンドウ機能を用いて,画面に内容表示部分とタブ表示部分とからなるウィンドウを複数表示させることは,当業者が容易に想到し得るものであり,その結果,操作部17のソフトキー10aを押下して,文字を入力する状態が絵記号パレット入力状態M2に遷移することで,文字種(絵文字,記号及び顔文字)を選択する選択手段(タブ表示部分)を呼び出し(相違点2に係る構成),特定の文字種の入力を示す選択手段が選択される(相違点4に係る構成)ようになるものと認められる。
そして,上記(ア)で検討したとおり,引用発明において,記憶部32が複数の定型文を記憶する構成とすることは,引用発明が実質的に備えているか,又は引用発明において当業者が普通に行い得るものである。
そうすると,引用発明において,上記周知技術を適用する際に,操作部17のソフトキー10aを押下して,文字を入力する状態が絵記号パレット入力状態M2に遷移することで,上記記憶部32に記憶された文字種(絵文字,記号及び顔文字)と同様,定型文の入力を選択するための選択手段を呼び出し(相違点3に係る構成),定型文の入力を示す選択手段が選択されると,複数の定型文を上記記憶部32から読み出してディスプレイ4(本願補正発明の「表示手段」に相当。)に表示させる(相違点5に係る構成)ようにすることは,当業者が適宜行い得るものということができる。
さらに,上記アで検討したとおり,引用発明において,モード切替処理によって選択手段が呼び出された場合,編集画面の一部領域上に,複数の上記選択手段を表示させ,該複数の選択手段のうち1つの選択手段が選択されると,該1つの選択手段が特定の文字種の入力を示す場合には,該特定の文字種に対応する文字を表示させ,該1つの選択手段を,入力する該特定の文字種を選択している状態として他の選択手段とは異なるように表示させる処理を含むようにすること(相違点6に係る構成)は,上記周知技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものと認められる。
したがって,引用発明において,モード切替処理によって選択手段が呼び出された場合,編集画面の一部領域上に,複数の上記選択手段を表示させ,該複数の選択手段のうち1つの選択手段が選択されると,該1つの選択手段が定型文の入力を示す場合には,複数の定型文を表示させ,該1つの選択手段を,定型文の入力を選択している状態として他の選択手段とは異なるように表示させる処理を含むようにすること(相違点7に係る構成)も,相違点6に係る構成と同様,上記周知技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものと認められる。
(ウ)以上から,引用発明において,相違点1,相違点3,相違点5及び相違点7に係る構成とすることは,上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

(6)本願補正発明の作用効果について
本願明細書の記載によれば,従来技術である特定のキーを押下する入力ごとに入力可能な文字の種類を切替える方法においては,入力可能な文字の種類の数が多い場合には,利用者が入力を所望する文字の種類を選択する際の操作が煩雑となってしまうという問題点があった(段落【0007】及び【0008】)ので,本願に係る発明は,上記の課題を解決する文字入力画面表示方法を提供することを目的とし(段落【0012】),「携帯型電子装置が具備する画面に表示されている文書データの編集を行う利用者の利便性を損なうことなく,当該特定の種類の文字の入力を受付けるための画面へ容易に切替えることができる」(段落【0017】)との作用効果を奏するものである。
しかし,上記(5)で検討したとおり,本願補正発明と引用発明との相違点1ないし7は,いずれも,引用発明において,携帯情報端末の操作性の向上のために,上記周知技術を適用することにより,当業者が容易に想到し得たものと認められ,また,特定の種類の文字の入力を受付けるための画面へ容易に切替えることができるという,本願補正発明が奏する作用効果も,上記(4)キより,上記周知技術におけるタブ方式のマルチウィンドウ機能の作用効果から,当業者が容易に予測し得るものと認められる。
そうすると,本願補正発明が奏する作用効果は,格別のものとはいえない。

(7)まとめ
本件補正後の請求項4に係る発明(本願補正発明)は,引用文献1記載の発明(引用発明)及び上記周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 むすび
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明の容易想到性について

1 本願発明について
平成26年1月28日に提出された手続補正書による手続補正は前記のとおり却下された。そして,平成25年6月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項4の記載は,次のとおりである。(再掲)
「【請求項4】
複数の入力手段と,前記入力手段により指定された文字を表示するための編集画面を表示する表示手段と,文字種ごとに分類された文字を記憶する記憶手段とを有する携帯型電子装置による文字入力画面表示方法であって,
前記文字種を選択するための選択手段を呼び出すモード切替処理と,
前記選択手段によって文字種が選択されると,該選択手段によって選択された文字種に対応する文字を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に表示させる制御処理とを有し,
前記制御処理は,前記モード切替処理によって前記選択手段が呼び出された場合,前記編集画面の一部領域上に,複数の前記選択手段と,該複数の選択手段のうち1つの選択手段の特定の文字種に対応する文字とを表示させ,前記1つの選択手段を,前記特定の文字種に対応する文字種を選択している状態として他の選択手段とは異なるように表示させる処理を含むことを特徴とする文字入力画面表示方法。」
そうすると,前記第2の4(2)より,本願の請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)は,その発明特定事項の「選択手段」が,入力可能な文字の種類の一覧のデータ,又は定型文の一覧のデータを,分別して画面に表示するタブを含むと解したうえで,平成25年6月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項4に記載されたとおりのものと認める。

2 引用文献の記載と引用発明
引用文献1の記載は,前記第2の4(3)アのとおりであり,引用発明は,前記第2の4(3)イで認定したとおりである。

3 本願発明と引用発明との対比及び判断
前記第2の1及び2より,本願発明は,本願補正発明において,補正事項1ないし4による発明特定事項の発明特定事項(「記憶手段」,「選択手段」及び「モード切替処理」,「制御処理」)に対する限定(限定的減縮)を取り除いたものであるから,本願発明は,本願補正発明を包含する。
そして,前記第2の4(5)で検討したとおり,本願補正発明は,引用文献1記載の発明(引用発明)及び上記周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうすると,本願補正発明を包含する本願発明も,前記第2の4(5)で検討した理由により,引用文献1記載の発明(引用発明),並びに原査定の拒絶の理由に引用された周知例1及び2にみられるような上記周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
また,前記第2の4(6)の理由により,本願発明が奏する作用効果は,格別のものとはいえない。

4 まとめ
以上のとおり,本願の請求項4に係る発明(本願発明)は,引用文献1記載の発明(引用発明),並びに原査定の拒絶の理由に引用された周知例1及び2にみられるような上記周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないものである。

第4 結言

したがって,本願の請求項4に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その余の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-11-27 
結審通知日 2014-12-02 
審決日 2014-12-25 
出願番号 特願2008-263991(P2008-263991)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
P 1 8・ 575- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永田 義仁  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 河口 雅英
山中 実
発明の名称 携帯型電子装置、文字入力画面表示方法およびプログラム  
代理人 丸山 隆夫  

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