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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A44C
審判 訂正 判示事項別分類コード:857 訂正する A44C
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A44C
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する A44C
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する A44C
管理番号 1301814
審判番号 訂正2015-390027  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2015-03-28 
確定日 2015-05-12 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4044598号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4044598号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1.手続の経緯

本件訂正審判の請求に係る特許第4044598号(以下、「本件特許」という。)は、平成17年6月30日(優先権主張平成16年7月14日)を国際出願日として出願され、平成19年11月22日に特許権の設定登録がなされたものであって、平成27年3月28日に本件訂正審判が請求されたものである。

第2.請求の趣旨

本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4044598号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3.本件訂正の内容

本件訂正審判の請求に係る訂正の内容は次のとおりである。(審決注:下線部分が訂正箇所である。)

1.請求項1、3及び4からなる一群の請求項に係る訂正

(1)訂正事項1

本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「前記ホルダーが1対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップであり、」とあるのを、「前記ホルダーが、ホルダー受け嵌入用の開口部を構成すると共に先端部に噛合い形状を形成した1対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップであり、」に訂正する。

2.請求項2に係る訂正

(1)訂正事項2

本件特許の特許請求の範囲の請求項2に「前記鰐口クリップの内部に設けた吸着部材が前記1対の顎部材のいずれか一方に固定され、あるいはこの吸着部材を支持する支持部材が前記1対の顎部材を軸支する支軸によって支持されている請求項1に記載の装飾品鎖状端部の留め具。」とあるのを、「装飾品の片方の鎖状部の端部に設けたホルダーと他方の鎖状部の端部に設けたホルダー受けとを噛合わせて係止する方式の留め具であって、前記ホルダーとホルダー受けには、これらを正しい噛合い位置に誘導できる部位に、互いに吸着する磁石の各一方を、あるいは磁石とこれに吸着される金属材を、それぞれ吸着部材として設けた装飾品鎖状端部の留め具において、前記ホルダーが1対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップであり、前記ホルダー受けが1対の開口状態の顎部材間に嵌入して係止される係止部材であり、かつ、前記鰐口クリップの内部における1対の顎部材間に一方の吸着部材を設け、前記係止部材の先端に他方の吸着部材を設け、前記鰐口クリップの内部に設けた吸着部材が前記1対の顎部材のいずれか一方に固定され、あるいはこの吸着部材を支持する支持部材が前記1対の顎部材を軸支する支軸によって支持されている装飾品鎖状端部の留め具。」に訂正する。

第4.当審の判断

1.請求項1、3及び4からなる一群の請求項に係る訂正について

(1)特許法施行規則に基づく一群の請求項について

本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1は独立請求項であり、請求項3は、その請求項1を引用するとともに、請求項4は、その請求項3を引用するものであるから、当該請求項1、3及び4は、特許法施行規則第46条の2第1号に規定する関係を有する一群の請求項である。

したがって、訂正事項1は、一群の請求項である請求項1、3及び4に係る請求であり、特許法第126条第3項の規定に適合するものである。

(2)訂正の目的の適否について

訂正事項1による訂正は、訂正前の「1対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップ」の前に「ホルダー受け嵌入用の開口部を構成すると共に先端部に噛合い形状を形成した」という記載を挿入するものであるところ、かかる訂正は、「1対の顎部材」を「ホルダー受け嵌入用の開口部を構成すると共に先端部に噛合い形状を形成した」ものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。

したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。

(3)新規事項の追加の有無について

本件特許の特許掲載公報(以下、「本件特許明細書」という。)の第5頁第13?14行には、「噛合いの確実性を期するために、顎部材の先端部にも一定の適宜な噛合い形状を形成することができる。」と記載されている。

また、本件特許明細書の第7頁第42?43行には、「上記した1対の顎部材6における半円状の先端部に沿って、それぞれ図示する上下端の部位に内向きのフランジ状に止め部14が形成されている。」と記載されている。

更に、本件特許明細書の第7頁第44?50行には、「鰐口クリップ3の開口部を構成する部分において、第1図における上側の顎部材6の上端部と下側の顎部材6の下端部には、それぞれ円形開口部の内周側へ少し張り出した止め部14を形成している。一方、ホルダー受けである前記の係止部材4は、鰐口クリップ3と略同径の円柱形状又は円筒形状を持っている。そして、係止部材4の先端側(鰐口クリップ3との対向面側)には、細径であるネック部15を介して前記N極磁石10と同形状のS極磁石16を固定している。第5図に示すように、鰐口クリップ3が閉じて係止部材4と噛み合ったときには、1対の顎部材6の上記止め部14が、ネック部15に食い込む」と記載されている。

本件特許明細書の上記記載事項、及び本件特許の特許掲載公報の第10?11頁の図1?3、及び5の記載に照らせば、本件特許明細書には、「1対の顎部材」を「ホルダー受け嵌入用の開口部を構成すると共に先端部に噛合い形状を形成した」ものとすることが記載されているといえる。

したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(4)特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について

上記(2)において示したとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(5)独立特許要件について

訂正後の特許請求の範囲の請求項1、3及び4に係る発明は、拒絶すべき理由を有しないとして特許された訂正前の特許発明を減縮したものであり、かかる訂正後の特許発明の「1対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップ」に係る発明特定事項が本件審判請求書で提示されたいずれの文献(本件特許の出願の審査で引用された文献)にも開示されていないものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

(6)小括

以上のとおり、請求項1、3及び4からなる一群の請求項に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第3項及び同条5項ないし7号の規定に適合する。

2.請求項2に係る訂正について

(1)訂正の対象の請求項について

本件訂正後の特許請求の範囲の請求項2は独立請求項であり、またその請求項2を引用する請求項はない。

したがって、訂正事項2は、請求項2に係る請求であり、特許法第126条第3項の規定に適合するものである。

(2)訂正の目的の適否について

訂正前の請求項2が請求項1を引用するものであったところ、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しない形式に改めるための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正に該当する。

(3)新規事項の追加の有無について

訂正事項2は、上記(2)において示したとおり、請求項2を、請求項1を引用しない形式に改めるための訂正である。

したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(4)特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について

訂正事項2は、上記(2)において示したとおり、請求項2を、請求項1を引用しない形式に改めるための訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(5)小括

以上のとおり、請求項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第3項、第5項及び第6号の規定に適合する。

第5.むすび

以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第3項及び同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
装飾品鎖状端部の留め具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は装飾品鎖状端部の留め具に関する。更に詳しくは、本発明は、鎖状の形態からなり又は鎖状の形態部分を有する装飾品、例えばネックレス、ブレスレット、アンクレット等の、鎖状部の端部間を止着する留め具に関する。
【背景技術】
従来のこの種の留め具として、スプリングを使用した引輪方式と呼ばれるものや、板バネを使用した差込方式と呼ばれるもの等があった。
〔文献1〕 特開平08-126506号公報
例えば上記の文献1は、引輪方式の一例であって、貫通孔を有する止め輪と、切欠部のある挿通孔が形成された固定円盤と、切欠部のある挿通孔が形成された回転円盤とを嵌着させたネックレス等の留め具を開示している。
〔文献2〕 特開平09-289911号公報
上記の文献2は、先端が膨出した突起を有する雄部材と、前記突起を嵌合できるチャンネル部を有する雌部材とからなるネックレス等の留め具を開示している。そして、チャンネル部の一端を雌部材の外周に開放すると共に、チャンネル部の奥側にはバネ線条を形成することにより、雄部材の突起をチャンネル部にスナップ係合できるようにしている。
しかし、文献1に記載の留め具は、1対の係止用部材を目視により係止させる方式である。実際にはこれらの係止用部材が非常に小さいため、1対の係止用部材を相互に正しい係止位置にロケーションさせて係止することが簡単ではない。又、ネックレスのように装着者の首の後ろで留め具を係止させる装飾品の場合、係止操作を目視できないため、上記の係止操作が特に難しい。更に、係止用部材が正確に係止されたことの確認が難しい。
一方、文献2に記載の留め具は、その留め具の係止を容易にすることを目的としている。しかし、文献中に「目視しなくても手探りで(雄部材と雌部材を)着脱できる」との説明があることから分かるように、手探りで雄部材と雌部材を相互に正しい係止位置にロケーションさせる必要がある。そのため、操作の難しさ、及び、係止用部材が正確に係止されたことの確認の難しさにおいて、本質的に文献1に記載の従来技術と大差がない。
以上の理由から、文献1や文献2に記載の留め具は、正確な係止が面倒であることに加えて、係止用部材が正確に係止されたことの確認が難しい。又、その結果、係止用部材が正確に係止されていない状態でネックレス等を装着してしまい、知らない間にネックレス等を紛失する場合も多かった。
【発明の開示】
本発明の目的は、鎖状の形態からなり、又は鎖状の形態部分を有する装飾品において、その鎖状部の端部の留め具を構成する1対の係止用部材が、目視や手探りに頼らずに相互に正しい係止位置にロケーションされるようにすることである。更に本発明の目的は、1対の係止用部材の正しい係止位置へのロケーションが信号音の発生により確認できるようにすることである
本願の第1発明は、装飾品の片方の鎖状部の端部に設けたホルダーと他方の鎖状部の端部に設けたホルダー受けとを噛合わせて係止する方式の留め具であって、前記ホルダーとホルダー受けには、これらを正しい噛合い位置に誘導できる部位に、互いに吸着する磁石の各一方を、あるいは磁石とこれに吸着される金属材とを吸着部材として設けた装飾品鎖状端部の留め具である。
第1発明の装飾品鎖状端部の留め具においては、留め具を構成するホルダーとホルダー受けとを大まかに近接位置させるだけで、吸着部材のガイド作用によって、これらが正しい噛合い位置にロケーションされる。吸着部材は、上記ガイド作用に加え、互いに吸着した際に「カチッ」と言う接合音を発する。従って、この接合音を信号音として、ホルダーとホルダー受けとが正しい係止位置にロケーションされたことを確認できる。
その結果、小さな部材であるホルダーとホルダー受けとを目視により正しい噛合い位置にロケーションさせ係止させる必要がない。従って、例えばネックレスのように装着者の首の後ろで留め具を係止させる装飾品の場合も含めて、装飾品の留め具の係止が簡単かつ容易で、しかも確実である。
装飾品がネックレスである場合における第1発明の留め具と前記特許文献2の係止具との比較においても、後者が、雄部材と雌部材を「手探りで正しい係止位置にロケーションさせる」必要があるのに対して、前者は、ホルダーとホルダー受けとを「手探りで大まかに近接位置させる」だけで良い。これに加えて前者は「係止OK」を意味する信号音を発するので、両者の使い勝手の良さには大きな差がある。
本願の第2発明においては、第1発明に係るホルダーが1対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップであり、ホルダー受けが前記1対の開口状態の顎部材間に嵌入して係止される係止部材である。
一般的に、第2発明のような鰐口クリップ形式のホルダーは留め具の操作が容易である。例えばネックレスのように装着者の首の後ろで留め具を係止させる装飾品の場合にも、第1発明の効果に加え、ホルダーが鰐口クリップ形式であることに起因して、留め具の係止及び係止解除の操作を一層簡単かつ確実に行うことができる。
本願の第3発明においては、第2発明に係る鰐口クリップの内部に一方の吸着部材を設け、係止部材の先端に他方の吸着部材を設けている。
前記した第2発明の鰐口クリップ形式のホルダーにおいては、鰐口クリップを開口させ、そこにホルダー受けである係止部材を嵌入して係止させる。従って、鰐口クリップの内部に一方の吸着部材を設け、かつ係止部材の先端に他方の吸着部材を設ければ、吸着部材のガイド作用とホルダーの係止操作が緊密に一体化するため、特に使い勝手が良好である。
本願の第4発明においては、第3発明に係る鰐口クリップの内部に設けた吸着部材が、前記1対の顎部材のいずれか一方に固定され、あるいはこの吸着部材を支持する支持部材が1対の顎部材を軸支する支軸によって支持されている。
鰐口クリップの内部に設けた吸着部材を、係止部材の先端に設けた他方の吸着部材と吸着させるための適正な位置に固定し又は安定的に支持する方法は限定されないが、例えば第4発明のように、吸着部材を1対の顎部材のいずれか一方に固定したり、この吸着部材を支持する支持部材を1対の顎部材を軸支する支軸によって支持する、と言う形態を好ましく例示することができる。
本願の第5発明においては、第3発明に係る鰐口クリップの内部に設けた吸着部材又はこの吸着部材を支持する支持部材を1対の顎部材に対してリンクアームで連結することにより、1対の顎部材の開口時に吸着部材が開口部から突出動作するリンク機構を構成した。
前記した第3発明の鰐口クリップは、1対の顎部材をバネ閉じ式に開口/閉口させる機構であり、しかも鰐口クリップの内部(1対の顎部材間)に吸着部材を設ける構成である。従って、1対の顎部材の開口時に吸着部材が開口部から突出動作するようにリンク機構を構成すると、突出した吸着部材は係止部材側の吸着部材との吸着が一層容易になる。そして、係止操作時における吸着部材のガイド作用が特に有効に発現される。
本願の第6発明においては、第5発明に係るリンク機構のリンクアームを鰐口クリップ閉口用のバネとした。
前記した第5発明のようなリンク機構を鰐口クリップの内部に構成する場合、鰐口クリップ自体が元々バネ閉じ式として構成されるので、リンク機構のリンクアームを鰐口クリップ閉口用のバネとしても利用することができる。但し、リンク機構のリンクアームと鰐口クリップ閉口用のバネとを別個に構成することも、もち論可能である。
設計上の配慮から言えば、第6発明のようにリンク機構のリンクアームを鰐口クリップ閉口用のバネとする場合にも、リンク機構のリンクアームと鰐口クリップ閉口用のバネとを別個に構成する場合にも、作用・効果において、それぞれ一長一短がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1に係る分離状態の留め具を示す正面図である。第2図は第1図の斜視図である。第3図は実施例1に係る鰐口クリップの開口状態を示す。第4図は実施例1に係る支持部材の斜視図である。第5図は実施例1に係る止着状態の留め具を示す正面図である。第6図は実施例2に係る止着状態の留め具を示す正面図である。第7図は実施例3に係る止着状態の留め具を示す正面図である。第8図は実施例3に係る鰐口クリップの開口状態を示す。第9図は実施例4に係る止着状態の留め具を示す正面図である。第10図は実施例4に係る鰐口クリップの開口状態を示す。第11図は実施例4に係る鰐口クリップの斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
次に、本願の第1発明?第6発明の実施形態を、その最良の実施形態を含めて説明する。以下において、単に「本発明」と言う時は、第1発明?第6発明の内の該当する発明群を一括して指している。
〔装飾品鎖状端部の留め具〕
本発明に係る装飾品鎖状端部の留め具は、装飾品の片方の鎖状部の端部に設けたホルダーと、他方の鎖状部の端部に設けたホルダー受けとから構成される。ホルダーとホルダー受けとは互いに噛合わせて係止することが可能である。
ここにおいて「装飾品」とは、鎖状の形態からなり、又は鎖状の形態部分を有する装飾品である限りにおいて限定されないが、例えばネックレス、ブレスレット、アンクレット等を好ましく例示することができる。
又、本発明において、「鎖状部」とは、全体として自由に屈曲できる細長い部材であることを意味し、通常の鎖状の部材に限定されるものではない。即ち、本発明において「鎖状部」とは、通常の鎖状の部材の他、鎖状以外の形態で固体材料そ自由に屈曲できる細長い部材に構成したもの、繊維材料等からなる紐状、帯状又は糸状の部材、又は比較的少数の棒状体を非固定的に連結した部材等も含む。部材の構成材料についても、金属製の他に、宝石類を含む各種のシリカ系材料製、その他の無機質材料製、植物系材料製、プラスチックス製等を限定なく含む。
〔ホルダーとホルダー受け〕
ホルダー及びホルダー受けとしては、任意の形態の噛合わせにより留め具の係止を行うと共に、その噛合わせの解除により留め具の係止状態を開放する機構である限りにおいて、その種類及び構造を限定されない。ホルダー及びホルダー受けは、所定の正しい噛合い位置(又は噛合い状態)において留め具の確実な係止が可能なものである。ホルダー及びホルダー受けには、後述する吸着部材の各一方が設けられる。前記のような各種の従来技術に係る留め具も、上記の意味でのホルダー及びホルダー受けに該当するならば、本発明の適用対象たるホルダー及びホルダー受けであり得る。
本発明に係る装飾品鎖状端部の留め具において、特に好ましいホルダー及びホルダー受けとしては、ホルダーが1対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップであり、ホルダー受けが前記1対の開口状態の顎部材間に嵌入して係止される係止部材である場合が例示される。
〔鰐口クリップ及び係止部材〕
バネ閉じ式の鰐口クリップ及び係止部材とは、少なくとも以下のような構成を備えるものを言う。
即ち、上記のバネ閉じ式の鰐口クリップには、1対の顎部材が基本的に平行に軸支される非交差式(通常の洗濯バサミのような基本構成)のものと、1対の顎部材が交差状に軸支される交差式(例えば、洋バサミのような基本構成)のものとが考えられるが、そのいずれもが本発明の鰐口クリップに包含される。
バネ閉じ式の鰐口クリップは、係止部材の係止用部分を挟着するための1対の顎部材を備える。1対の顎部材は支軸(通常は同一の支軸)によって回動可能に拘束され、これらの顎部材間に設けたバネ手段により顎部材の先端部(係止部材に対する挟着部)同士が開いた状態から閉じた状態へ移行するように付勢されている。
1対の顎部材の先端部同士が閉じている状態、即ち鰐口クリップが閉口状態にあるとき、基本的に、前記の非交差式の鰐口クリップでは、バネ手段の付勢力に抗して1対の顎部材の後端部を閉じる動作を行わせることにより、鰐口クリップが開口状態となる。一方、前記の交差式の鰐口クリップでは、バネ手段の付勢力に抗して1対の顎部材の後端部を開く動作を行わせることにより、鰐口クリップが開口状態となる。
バネ閉じ式の鰐口クリップは、非交差式の鰐口クリップの例で言うと、顎部材のハンドル部分を手指で摘んで閉じる方向へ回動させることにより、鰐口クリップを開口状態にすることができる。この開口状態において、鰐口クリップを係止部材に対する噛合い位置にロケーションさせた後、手指で摘んでいたハンドル部分を開放すると、鰐口クリップがバネ手段の付勢力によって係止部材に噛合い、留め具の止着がなされる。
係止部材は、開口状態にある鰐口クリップの顎部材間に嵌入可能である適宜な形状と、鰐口クリップの顎部材が確実に噛合うことができる形状の噛合い部分を備えていれば良い。噛合いの確実性を期するために、顎部材の先端部にも一定の適宜な噛合い形状を形成することができる。なお、係止部材は、後述のように鰐口クリップ側の吸着部材に対応する吸着部材も備える必要があるので、係止部材における上記の噛合い形状部分と吸着部材の設定との関連では、種々の設計上の工夫があり得る。
〔吸着部材と支持部材〕
吸着部材は、装飾品の片方の鎖状部の端部に設けたホルダー(例えば上記の鰐口クリップ)と、他方の鎖状部の端部に設けたホルダー受け(例えば上記の係止部材)の双方に設けられる。これらの吸着部材は、互いに吸着するN極磁石とS極磁石との組み合わせであっても良いし、磁石とこれに吸着される一定の金属材(例えば鉄材)との組み合わせであっても良い
ホルダーとホルダー受けとにおける吸着部材の設定部位としては、これらのホルダーとホルダー受けとを正しい噛合い位置に誘導することができる適正な部位が選ばれる。このような部位は、ホルダーとホルダー受けとの形状や噛合い形態等によって種々に変わるので、一律に規定することは困難である。
装飾品鎖状端部の留め具が上記の鰐口クリップと係止部材からなる場合には、鰐口クリップの内部に一方の吸着部材を設け、係止部材の先端に他方の吸着部材を設けることが、第3発明に関して前記した理由から、特に好ましい。
この場合において、鰐口クリップの内部に設ける吸着部材の設置位置は限定されない。例えば、1対の顎部材の一方又は双方における内部側の部分に吸着部材を設置することができる。鰐口クリップにおける顎部材の一方の内部側の部分に吸着部材を固定した例を、後述の実施例4に示す。この場合、次に述べる支持部材を設ける必要がなく、鰐口クリップの構成を簡易化できる。又、1対の顎部材間に位置する適宜な支持部材を設定し、これを吸着部材とすることもでき、更に好ましくは、後述の実施例1?実施例3に共通に示すように、この支持部材における鰐口クリップ先端側の端部に吸着部材を設けることもできる。このような支持部材は、顎部材によって直接に保持させることが可能である。又、このような支持部材を設ける場合、1対の顎部材を回動可能に拘束している前記の支軸を支持部材中に通過させる場合が多いので、この支軸によって支持部材を軸支することも可能である。
本発明の装飾品鎖状端部の留め具において、例えば鰐口クリップのようなホルダーは、前記のように、装飾品の片方の鎖状部の端部に設けられる。より具体的には、鎖状部の端部を、ホルダー側の任意の部材の任意の部位に連結させることができる。例えば、装飾品の鎖状部の端部は、鰐口クリップの一方又は双方の顎部材(より好ましくは、その後端部)に連結させることができる。又、上記のような支持部材を設ける構成においては、鎖状部の端部を支持部材(より好ましくは、その後端部)に連結させることもできる。
更に、バネ閉じ式の鰐口クリップを構成するに当たり、鰐口クリップを閉じるためのバネは、1対の顎部材に直接に(即ち、他の部材を介在させずに)取り付けることができる。更に、前記のような支持部材を設ける場合は、1対の顎部材を付勢するバネを、支持部材を支点として設けることもできる。支持部材を支点とするバネを設ける場合、例えば、1対の顎部材を回動可能に軸支している支軸をバネの支点とすることができる。1対の顎部材に直接に取り付けるバネは、通常は顎部材に対して連結させる必要がある。支持部材を支点として設けるバネは、少なくとも端部が顎部材に当接しておれば良く、必ずしも顎部材に対して連結させる必要はない。
〔リンク機構〕
前記したように、鰐口クリップを構成する1対の顎部材とは別に、鰐口クリップの内部に、それ自体が吸着部材である支持部材を設置する場合がある。又、鰐口クリップの内部に、吸着部材を先端側に設けた支持部材を設置する場合がある。これらの場合、支持部材を1対の顎部材に対してリンクアームで連結することにより、鰐口クリップの開口時に支持部材先端の吸着部材が開口部から突出動作するようなリンク機構を構成することも好ましい。
このようなリンク機構では、鰐口クリップの開閉時に、支持部材が1対の顎部材に対して特定方向(先端-後端方向)へ相対移動することになる。そのため、顎部材の支軸が支持部材中を通過している場合には、この支軸が支持部材に対して先端-後端方向へスライド可能であるように構成する必要がある。このようなスライドを可能とする構成は、例えば、支持部材に先端-後端方向への幅を有するガイド溝を設けて、このガイド溝に顎部材の支軸を通し、支軸がガイド溝に沿って移動可能とする構成を例示することができる。
又、上記のリンク機構を構成する場合において、更に、リンクアームを鰐口クリップ閉口用のバネとして利用することも可能である。リンクアームと鰐口クリップ閉口用のバネを兼用させる構成により、部品点数の低減及び構成の簡素化を図ることができる。なお、1対の顎部材の支軸をバネの支点として利用する構成を既に説明したが、リンクアームと鰐口クリップ閉口用のバネを兼用させる場合には、顎部材の支軸をバネの支点として利用することは困難である。なぜなら、リンクアームの回転軸は支持部材に対してスライドしてはならないと言う要求がある一方で、顎部材の支軸は支持部材に対してスライドさせる必要があるからである。
〔支持部材の安定性〕
以上に述べた支持部材を設ける場合、この支持部材は、ホルダー側の吸着部材そのものを構成し、又はホルダー側の吸着部材を支持するものである。従って、ホルダーとホルダー受けとを正しい噛合い位置に誘導すると言う吸着部材のガイド作用を安定的に確保させるためには、ホルダー(鰐口クリップ)の内部において支持部材の空間的位置が不安定であることは好ましくない。
支持部材の空間的位置の安定性に関し、前記の多様な実施形態において、第1に、支持部材は、1対の顎部材の支軸を通過させることにより、その支軸による支持作用を受ける場合がある。第2に、鰐口クリップ閉口用のバネの支点として支持部材を利用することにより、支持部材がバネによって支持作用を受ける場合がある。第3に、上記のリンク機構を構成することにより、支持部材がリンクアームによって支持作用を受ける場合がある。
但し、これらの顎部材の支軸、鰐口クリップ閉口用のバネの支点、リンクアームの回転軸は、前記のような種々の組合わせで兼用され得る関係にある。そのため、支持部材が上記第1?第3の支持作用を全て受けるとは限らない。しかし、通常はその内の少なくとも2種類の支持作用を受ける。従って、支持部材は、少なくとも2点支持により、その空間的位置が安定している。
なお、上記のリンク機構を構成しない場合であって、かつ支持部材を通過している顎部材の支軸を鰐口クリップ閉口用のバネの支点として利用する場合においては、支持部材はこの支軸による1点支持となる。その場合には、支持部材の空間的位置の安定性が懸念される。しかし、支持部材の空間的位置の安定性は、鰐口クリップが開口した時点(吸着部材のガイド作用が要求される時点)において要求されることを考慮すれば、例えば後述の実施例3のように、設計上の一定の有効な対策を講ずることが可能である。
【実施例】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。以下の実施例はいずれも前記したバネ閉じ式で非交差式の鰐口クリップを利用するものである。本発明の技術的範囲が以下の実施例によって限定されないことは、もち論である。
〔実施例1〕
(実施例1の構成)
本実施例に係る装飾品(ネックレス)鎖状端部の留め具1の正面図を第1図に、斜視図を第2図にそれぞれ示す。装飾品の鎖状部2の各端部に、留め具1を構成するホルダーである鰐口クリップ3と、ホルダー受けである係止部材4とを形成している。
鰐口クリップ3においては、支軸5によって1対の顎部材6を非交差式に軸支している。そして1対の顎部材6は第2図に示すような半円筒体に近い外形を持っているため、これらが同一の支軸5で軸支されることにより、全体として略円筒形の鰐口クリップ3を構成している。1対の顎部材6は、支軸5を中心として回動することにより、鰐口クリップ3の先端部(図の左側端部)を開口/閉口動作することができる。第1図及び第2図は鰐口クリップ3の閉口状態であり、第3図は鰐口クリップ3の開口状態である。
支軸5には更に、各先端が1対の顎部材6に当接する一体的線状のバネ7を、支軸5に巻き付ける形態で取り付けている。バネ7は、鰐口クリップ3の閉口状態においては無負荷であるが、第3図に示すように、1対の顎部材6の後端部(ハンドル部分)を閉じる方向へ回動させて鰐口クリップ3を開口させようとする動作に対しては、第3図の矢印X方向への付勢力を示して抵抗する。従って、第1図及び第2図に示す閉口状態が留め具1の自然状態である。
1対の顎部材6により構成された略円筒形の鰐口クリップ3の中心部には、支持部材8を設けている。支持部材8は、第4図に詳しく示すように中央に切欠部9を設けた細長い板状の部材であり、その後端部には前記装飾品の鎖状部2の端部を連結すると共に、先端部には円板状のN極磁石10を固定している。N極磁石10は、鰐口クリップ3の閉口状態においては、その先端部よりもいくらか内部側(後端部側)へ後退した位置にある。
支持部材8の鰐口クリップ3に対する取り付け構造は次のようになっている。即ち、まず支持部材8にはガイド溝11を設け、このガイド溝11に前記の支軸5を通過させている。ガイド溝11は支持部材8の先端-後端方向沿いに一定の幅を持っているため、支軸5はガイド溝11中を先端-後端方向沿いにスライド動作することが可能である。次に、支持部材8において、ガイド溝11よりも少し後端方向の部分には、支軸5と平行にアーム軸12を挿通させている。アーム軸12は、前記した支持部材8中央の切欠部において、1対のリンクアーム13の一端を軸支しており、これらのリンクアーム13の他端は、それぞれ1対の顎部材6の後端部(ハンドル部分)において軸支されている。
支持部材8は、上記のように、支軸5と、アーム軸12及びリンクアーム13とによって、鰐口クリップ3に対して2点支持の状態で取り付けられている。そのため、後述のように鰐口クリップ3の開口/閉口動作を行わせる際にも、支持部材8と鰐口クリップ3との相対的な空間位置関係は、先端-後端方向沿いの予定されたスライド動作を除き、不規則に変動又は揺動しない。
第1図及び第2図に示す鰐口クリップ3の閉口状態において、アーム軸12を中心とする1対のリンクアーム13の開き角度は、鰐口クリップ3の開口部からの支持部材8の突出幅を規定する。従って、この突出幅が比較的大きくなるように、リンクアーム13の開き角度を設計している。一方、支軸5を中心とする線状のバネ7の開き角度は、鰐口クリップ3の開口動作に対する抵抗力を過大としないために、比較的小さく設定している。又、上記した1対の顎部材6における半円状の先端部に沿って、それぞれ図示する上下端の部位に内向きのフランジ状に止め部14が形成されている。
鰐口クリップ3の開口部を構成する部分において、第1図における上側の顎部材6の上端部と下側の顎部材6の下端部には、それぞれ円形開口部の内周側へ少し張り出した止め部14を形成している。一方、ホルダー受けである前記の係止部材4は、鰐口クリップ3と略同径の円柱形状又は円筒形状を持っている。そして、係止部材4の先端側(鰐口クリップ3との対向面側)には、細径であるネック部15を介して前記N極磁石10と同形状のS極磁石16を固定している。第5図に示すように、鰐口クリップ3が閉じて係止部材4と噛み合ったときには、1対の顎部材6の上記止め部14が、ネック部15に食い込む。
なお、N極磁石10とS極磁石16に関しては、支持部材8側の磁石をS極磁石とし、係止部材4側の磁石をN極磁石としても構わない。更に、これらのいずれか一方を磁石に吸着される金属材とし、他方を磁石としても構わない。
(実施例1の作用)
以上のように構成された実施例1のネックレスの留め具1は、次のように使用される。
即ち、ネックレスの装着時において、片手には鰐口クリップ3を、他の片手には係止部材4をそれぞれ把持して首の後ろへ回し、その位置で両者を大まかに近接位置させる。
この時、鰐口クリップ3を把持した方の片手を用いて1対の顎部材6のハンドル部分(後端部)を閉じる方向へ回動させると、バネ7の付勢力に抗して鰐口クリップ3が第3図に示す開口状態となる。同時に、リンクアーム13の作用により支持部材8が鰐口クリップ3の開口部側へ押し出される結果、支持部材8の先端に固定したN極磁石10が鰐口クリップ3の開口部から突出する。従って、支持部材8先端のN極磁石10と係止部材4先端のS極磁石16とが互いに吸着されて結合する。
この結合動作により、鰐口クリップ3と係止部材4とは第5図に示す正しい噛合い位置に自動的にガイドされ、ロケーションされる。しかも、N極磁石10とS極磁石16が同じ円板形状であるため、上記のロケーションは極めて正確に行われる。鰐口クリップ3と係止部材4とが正しい噛合い位置にロケーションされたことは、N極磁石10とS極磁石16との吸着時に発生する「カチッ」と言う信号音(磁石同志の衝突音)により、容易に確認することができる。
信号音を確認した後に、鰐口クリップ3のハンドル部分を回動させていた手の力を緩める。すると、第5図に示すように、バネ7の付勢力によって鰐口クリップ3が閉口状態に戻り、その際に係止部材4の先端部分が支持部材8と共に鰐口クリップ3の内部に引き込まれる。その結果、係止部材4のネック部15に対して1対の顎部材6の止め部14が噛合う。これによって、目視しなくても、ネックレスの鎖状部の端部間が簡単かつ確実に係止される。
ネックレスを外す時は、係止状態にある鰐口クリップ3と係止部材4を各一方の手で把持し、上記と同様に鰐口クリップ3を把持した方の片手を用いて鰐口クリップ3を開口状態とした上で、N極磁石10とS極磁石16との吸着力に抗して、鰐口クリップ3と係止部材4とを引き離せば良い。換言すれば、バネ7の付勢力に抗して鰐口クリップ3を開口させる操作を行わない限り、留め具1の係止状態は解除されない。
〔実施例2〕
実施例2に係る装飾品鎖状端部の留め具21を第6図に示す。第6図は、留め具21の鰐口クリップ3と係止部材4とが係止された状態を示す。
本実施例においては、1対の顎部材6を軸支している支軸5に実施例1のようなバネを取り付けていない。アーム軸12に対しては、リンクアームに代えて、先端が1対の顎部材6に軸着された一体的なバネ22を取り付けている。このバネ22は、実施例1のバネ7と同様に、鰐口クリップ3を閉口状態に保つための付勢力を示す。同時にバネ22は、その先端が顎部材6に軸着されているため、実施例1のリンクアーム13と類似したリンク機構をも構成する。
バネ22の開き角度は、実施例1における1対のリンクアーム13の場合と同様に比較的大きい。そのため、図示はしないが、鰐口クリップ3の開口状態における支持部材8(N極磁石10)の突出量は大きい。又、実施例1に比較して部品点数が低減化されている。但し、バネ22の開き角度が大きいため、1対の顎部材6のハンドル部分を閉じる方向へ回動させる操作に対して、バネ22の抵抗力がやや大きい。
本実施例において、上記の点以外の構成及び作用・効果は、実施例1の場合と同様である。
〔実施例3〕
実施例3に係る装飾品鎖状端部の留め具31を、第7図及び第8図に示す。第7図においては、留め具31の鰐口クリップ3と係止部材4との係止状態を示す。第8図においては、鰐口クリップ3と係止部材4との分離状態を示し、かつ、開口状態の鰐口クリップ3を示す。
本実施例においては、実施例1のようなアーム軸12とリンクアーム13が存在しない。その代わりに、支持部材8のハンドル部分(後端部)が、より長く形成されている。その結果、実施例1との対比において、第8図に示すように、以下の2点の作用上の相違がある。
第1に、鰐口クリップ3の開口状態において、支持部材8に固定したN極磁石10は鰐口クリップ3の開口部から突出しない。しかし、開口した鰐口クリップ3に対して係止部材4を大まかに近接位置させた際の、N極磁石10とS極磁石16とのガイド作用の確実性は、実施例1の場合と余り見劣りしない。
第2に、支持部材8は鰐口クリップ3に対して、構造上は支軸5による1点支持となる。しかし、鰐口クリップ3の開口状態においては、相対的に長く形成された支持部材8の後端部が1対の顎部材6のハンドル部分(後端部)間に挟着され、実質的に2点支持となる。従って、N極磁石10とS極磁石16とのガイド作用が必要な時点においては、支持部材8が不規則に変動又は揺動してガイド作用を障害する恐れがない。
本実施例において、上記の点以外の構成及び作用・効果は、実施例1の場合と同様である。
〔実施例4〕
実施例4に係る装飾品鎖状端部の留め具41を、第9図?第11図に示す。第9図においては、留め具41の鰐口クリップ3と係止部材4との係止状態を示す。第10図においては、鰐口クリップ3と係止部材4との分離状態を示し、かつ、開口状態の鰐口クリップ3を示す。第11図においては、閉口状態の鰐口クリップ3の斜視図を示す。
本実施例においては、係止部材4の構成は実施例1?実施例3と同様であるが、鰐口クリップ3の構成が実施例1?実施例3のいずれとも異なる。即ち、本実施例においては実施例1や実施例2のようなリンク機構が存在しないし、かつ、実施例1?実施例3のような支持部材8も存在しない。従って、本実施例においては、留め具41の構成が大幅に簡素化される。
即ち、鰐口クリップ3においては、支軸5によって1対の顎部材6を非交差式に軸支している。支軸5には更に、各先端が1対の顎部材6に当接する一体的線状のバネ7を、支軸5に巻き付ける形態で取り付けている。実施例1の場合と同様に、バネ7は鰐口クリップ3の閉口状態(第9図)においては無負荷であるが、1対の顎部材6の後端部を閉じる方向へ回動させる動作(第10図参照)に対しては抵抗する。従って、第9図及び第11図に示す閉口状態が、留め具41の自然状態である。
一方の顎部材6の内部側には円板状のN極磁石10が固定されている。このN極磁石10は、顎部材6の内周面に沿って平行に形成された1対のフランジ42によって、顎部材6との接合部を固定されている。N極磁石10の固定位置は、第9図に示すように、鰐口クリップ3の閉口状態において、その先端部よりもいくらか内部側(後端部側)へ後退した位置である。
従って、鰐口クリップ3の開口状態において、N極磁石10は鰐口クリップ3の開口部から突出しない。しかし、開口した鰐口クリップ3に対して係止部材4を大まかに近接位置させた際の、N極磁石10とS極磁石16とのガイド作用の確実性は、実施例1の場合と余り見劣りしない。
なお本実施例においては、実施例1の場合と同様な止め部14は、1対の顎部材6のうち、N極磁石10を固定していない方の顎部材6にのみ設けている。従って、第9図に示すように鰐口クリップ3が閉じて係止部材4と噛み合った時、S極磁石16とN極磁石10との吸着動作が、N極磁石10を固定した方の顎部材6の止め部によって邪魔される恐れがない。同時に、N極磁石10を固定していない方の顎部材6に設けた止め部14が、係止部材4のネック部15に食い込むので、鰐口クリップ3と係止部材4との噛み合い状態は確保される。
本実施例において、上記の点以外の構成及び作用・効果は、実施例1の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
本発明によって、1対の係止用部材が目視によらなくても相互に正しい係止位置にガイドされロケーションされる鎖状装飾品の留め具が提供される。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾品の片方の鎖状部の端部に設けたホルダーと他方の鎖状部の端部に設けたホルダー受けとを噛合わせて係止する方式の留め具であって、
前記ホルダーとホルダー受けには、これらを正しい噛合い位置に誘導できる部位に、互いに吸着する磁石の各一方を、あるいは磁石とこれに吸着される金属材を、それぞれ吸着部材として設けた装飾品鎖状端部の留め具において、
前記ホルダーが、ホルダー受け嵌入用の開口部を構成すると共に先端部に噛合い形状を形成した1対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップであり、前記ホルダー受けが1対の開口状態の顎部材間に嵌入して係止される係止部材であり、かつ、
前記鰐口クリップの内部における1対の顎部材間に一方の吸着部材を設け、前記係止部材の先端に他方の吸着部材を設けた装飾品鎖状端部の留め具。
【請求項2】
装飾品の片方の鎖状部の端部に設けたホルダーと他方の鎖状部の端部に設けたホルダー受けとを噛合わせて係止する方式の留め具であって、前記ホルダーとホルダー受けには、これらを正しい噛合い位置に誘導できる部位に、互いに吸着する磁石の各一方を、あるいは磁石とこれに吸着される金属材を、それぞれ吸着部材として設けた装飾品鎖状端部の留め具において、前記ホルダーが1対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップであり、前記ホルダー受けが1対の開口状態の顎部材間に嵌入して係止される係止部材であり、かつ、前記鰐口クリップの内部における1対の顎部材間に一方の吸着部材を設け、前記係止部材の先端に他方の吸着部材を設け、前記鰐口クリップの内部に設けた吸着部材が前記1対の顎部材のいずれか一方に固定され、あるいはこの吸着部材を支持する支持部材が前記1対の顎部材を軸支する支軸によって支持されている装飾品鎖状端部の留め具。
【請求項3】
前記鰐口クリップの内部に設けた吸着部材又はこの吸着部材を支持する支持部材を1対の顎部材に対してリンクアームで連結することにより、1対の顎部材の開口時に吸着部材が開口部から突出動作するリンク機構を構成した請求項1に記載の装飾品鎖状端部の留め具。
【請求項4】
前記リンク機構のリンクアームを鰐口クリップ閉口用のバネとした請求項3に記載の装飾品鎖状端部の留め具。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2015-04-23 
出願番号 特願2006-528955(P2006-528955)
審決分類 P 1 41・ 857- Y (A44C)
P 1 41・ 841- Y (A44C)
P 1 41・ 851- Y (A44C)
P 1 41・ 854- Y (A44C)
P 1 41・ 856- Y (A44C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 誠  
特許庁審判長 内藤 真徳
特許庁審判官 平瀬 知明
山口 直
登録日 2007-11-22 
登録番号 特許第4044598号(P4044598)
発明の名称 装飾品鎖状端部の留め具  
代理人 北川 治  
代理人 北川 治  

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