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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1302679
審判番号 不服2014-6213  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-04 
確定日 2015-07-02 
事件の表示 特願2012-264220「写真シール機、写真シール機の処理方法、並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月 7日出願公開、特開2013-229848〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年4月25日を出願日とする特願2012-99867号の特許出願の一部を、平成24年12月3日に分割出願した特願2012-264220号であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成25年10月10日(起案日)
手続補正 :平成25年12月13日
拒絶査定 :平成26年 1月 7日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成26年 4月 4日
手続補正 :平成26年 4月 4日
拒絶理由(当審・最初) :平成27年 2月17日(起案日)
手続補正 :平成27年 4月14日

第2 本願発明
本願の請求項6に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年4月14日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

【請求項6】
利用者を撮影する撮影部を備える写真シール機の処理方法において、
前記撮影部による撮影の結果、得られる複数の撮影画像を表示する第1の領域と、2つ以上の複数の種類の画像処理を施す指示を出すための領域であり、かつ、少なくとも2つ以上の選択をさせるための領域であり、前記画像処理毎に複数のボタンを表示する第2の領域を含む画面を前記利用者に提示し、
前記第2の領域内のボタンが操作される毎に、指示された変更に係わる画像処理を、前記第1の領域に表示されている複数の撮影画像のうち、画像処理を施すとして選択されている1枚の撮影画像のみに施し、
前記第1の領域内の前記選択されている1枚の撮影画像を、前記変更処理部により変更が施された変更後の撮影画像に切り換える表示を制御し、
変更が施された前記撮影画像を所定のシール紙に印刷し、印刷された前記シール紙を排出し、写真シールとして前記利用者に提供する
ステップを含む写真シール機の処理方法。

第3 刊行物の記載事項
(1)刊行物1の記載
当審における拒絶の理由の通知において引用された特許4919131号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

【0001】
本発明は、画像提供装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、利用者にとってより満足度の高い画像を提供することができるようにする画像提供装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者を撮影し、撮影画像に対して利用者に編集を行わせ、編集後の画像をシール紙に印刷して提供する写真シール機が知られている。このような写真シール機は娯楽(遊戯)施設等に設置される。
【0003】
写真シール機によって提供される1ゲームの流れは、通常、撮影空間内にいる利用者を被写体として撮影し、利用者を編集空間に移動させ、編集空間内で行われる操作に従って画像を編集し、編集後の画像である編集済み画像をシール紙に印刷して排出するという流れになる。

【0113】
[写真シール作成装置の動作]
次に、図12のフローチャートを参照して、写真シール作成ゲームを提供する写真シール作成装置1の処理について説明する。
【0114】
ステップS1において、写真シール作成装置1の制御部201の撮影処理部302は、所定の金額分の硬貨が投入されたか否かを硬貨処理部221から供給される信号に基づいて判定し、投入されたと判定するまで待機する。
【0115】
硬貨が投入されたとステップS1において判定した場合、ステップS2において、撮影処理部302は、撮影部208を制御し、カメラ91に取り込まれた被写体の動画像をタッチパネルモニタ93にライブビュー表示させ、撮影空間A1にいる利用者を被写体として撮影する撮影処理を行う。なお、撮影処理については、図13乃至図15のフローチャートを参照して後述する。
【0116】
ステップS3において、撮影処理部302は、撮影空間A1にいる利用者に対して、編集空間A2-1または編集空間A2-2への移動を案内する。編集空間A2-1または編集空間A2-2への移動の案内は、撮影部208のタッチパネルモニタ93に画面を表示させることによって、または音声をスピーカ224から出力させることによって行われる。
【0117】
ステップS4において、編集処理部303は、編集空間A2-1と編集空間A2-2のうち、撮影処理を終えた利用者の移動先とした方の編集空間に対応する編集部209を制御し、編集処理を行う。具体的には、編集処理部303は、編集対象画像として選択された撮影画像に合成する合成用画像を利用者に選択させ、選択された合成用画像を撮影画像に合成させ、得られた合成画像に対して、利用者による編集操作に従って編集を行う。なお、編集処理については、図30のフローチャートを参照して後述する。
【0118】
ステップS5において、編集処理部303は、編集空間A2-1または編集空間A2-2で編集処理を終えた利用者に対して事後接客空間A3への移動を案内する。事後接客空間A3への移動の案内は、タブレット内蔵モニタ131に画面を表示させることによって、または音声をスピーカ231から出力させることによって行われる。
【0119】
ステップS6において、印刷処理部304は、利用者により選択された画像をプリンタ241に出力してシール紙に印刷させる印刷処理を行う。
【0120】
ステップS7において、事後接客処理部305は、事後接客部210を制御し、印刷終了待機中の利用者に対する事後接客処理を行う。具体的には、事後接客処理部305は、撮影画像や編集済みの画像を携帯端末に送信する携帯送信ゲーム処理を事後接客処理として行い、携帯端末の電子メールアドレスの入力画面や、送信する画像の選択画面をタブレット内蔵モニタ161に表示させ、利用者による操作に応じて画像を送信する。
【0121】
印刷が終了すると、ステップS8において、事後接客処理部305は、印刷が終了した旨をタブレット内蔵モニタ161に表示させ、プリンタ241は、画像が印刷されたシール紙をシール紙排出口164に排出し、処理を終了させる。
【0122】
[撮影処理の例]
次に、図13乃至図15のフローチャートを参照して、上述した写真シール作成ゲームの一連の処理におけるステップS2の撮影処理の流れの例を説明する。

【0153】
図15のステップS55において、明るさ決定処理部318は、撮影画像に写る被写体の明るさの選択に用いられる明るさ選択画面をタッチパネルモニタ93に表示させる。
【0154】
図21は、利用者自身が写されている撮影画像を使用して、被写体の明るさを選択するのに用いられる明るさ選択画面の例を示す図である。
【0155】
明るさ選択画面には、本撮影処理によって得られた撮影画像471が表示される。例えば、撮影を6回行ったときには、6枚の撮影画像が得られており、明るさ選択画面では、6枚の撮影画像471-1乃至471-6が、画面の中央から左側に表示される。なお、明るさ選択画面に表示される撮影画像471-1乃至471-6は、撮影されたままの画像である。
【0156】
明るさ選択画面の右側には、5つの明るさ選択ボタン472-1乃至472-5が上から順に表示される。明るさ選択ボタン472-1乃至472-5には、「1」から「5」までの数値がそれぞれ表示されているとともに、明るさの異なるモデルがそれぞれ表示されている。
【0157】
明るさ選択ボタン472-1乃至472-5の「1」から「5」までの数値は、明るさの程度を示しており、数値が大きくなるほど被写体が暗い色合いとなる。
【0158】
また、明るさ選択ボタン472-1乃至472-5の右方には、上から下に向かって順に、「美白」、「おすすめ」、および「美黒」という文字が表示されている。つまり、明るさ選択ボタン472-1乃至472-5の並びにおいて、上側が被写体を明るくし、下側が被写体を暗くすることを示唆している。
【0159】
また、明るさ選択画面の右下側には、被写体の明るさを決定するときに操作される決定ボタン473が表示されており、決定ボタン473には、「決定」という文字が表示されている。
【0160】
このような明るさ選択画面がタッチパネルモニタ93に表示され、利用者が、明るさ選択ボタン472-1乃至472-5のいずれかを選択すると、明るさ決定処理部318は、利用者による選択を受け付ける。そして、明るさ決定処理部318は、利用者により選択された明るさで被写体が写されている画像になるように、撮影画像471-1乃至471-6の被写体の明るさを一括して変更する画像処理を行う。
【0161】
そして、利用者が、被写体の明るさの選択を行った後に決定ボタン473を選択すると、その時点で撮影画像471-1乃至471-6に反映されていた明るさで、被写体の明るさの選択が決定される。
【0162】
図15のフローチャートに戻り、ステップS56において、利用者が、明るさ選択画面の明るさ選択ボタン472-1乃至472-5のいずれかに対する操作(タッチ)を行って被写体の明るさを選択すると、明るさ決定処理部318は、タッチパネルモニタ93から供給された情報に基づいて、利用者による選択を受け付ける。
【0163】
ステップS57において、明るさ決定処理部318は、利用者により選択された明るさの被写体になるように、全ての撮影画像471-1乃至471-6の被写体の明るさを一括して変更する。
【0164】
ステップS58において、明るさ決定処理部318は、被写体の明るさを変更した撮影画像471-1乃至471-6をタッチパネルモニタ93に表示し、明るさの変更結果を利用者に確認させる。
【0165】
ステップS59において、明るさ決定処理部318は、決定ボタン473が押されたか否かをタッチパネルモニタ93から供給された情報に基づいて判定し、押されていないと判定した場合、ステップS56に戻り、以上の処理を繰り返す。
【0166】
一方、決定ボタンが押されたとステップS59において判定した場合、ステップS60において、明るさ決定処理部318は、被写体の明るさを決定し、決定した明るさを表す情報を記憶部202などに記憶させて保存する。
【0167】
ステップS61において、目サイズ決定処理部319は、撮影画像に写る利用者の目のサイズの選択に用いられる目サイズ選択画面を、タッチパネルモニタ93に表示させる。
【0168】
図22は、利用者自身が写されている撮影画像を使用して、被写体の目のサイズを選択するのに用いられる目サイズ選択画面の例を示す図である。
【0169】
目サイズ選択画面には、撮影処理によって得られた撮影画像481が表示される。例えば、撮影を6回繰り返し行ったときには、6枚の撮影画像が得られており、目サイズ選択画面では、6枚の撮影画像481-1乃至481-6が、画面の中央から左側に表示される。
【0170】
目サイズ選択画面の右側には、3つの目サイズ選択ボタン482-1乃至482-3が上から順に表示される。目サイズ選択ボタン482-1には、「ナチュラルeye」という文字と、目のサイズが自然な大きさのモデルの目の画像とが表示されている。目サイズ選択ボタン482-2には、「パッチリeye」という文字と、目のサイズが若干大きな(例えば、自然な大きさよりも1割程度大きな)モデルの目の画像とが表示されている。また、目サイズ選択ボタン482-2には、この大きさの目サイズを選択することが推奨されることを示唆する「おすすめ」の文字がハート形の図形とともに表示されている。
【0171】
目サイズ選択ボタン482-3には、「ボリュームeye」という文字と、目のサイズが比較的大きな(例えば、自然な大きさよりも2割程度大きな)モデルの目の画像とが表示されている。また、目サイズ選択ボタン482-1乃至482-3の右方には、上から下に向かう矢印が表示されるとともに、その矢印の上方に「natural」という文字が表示され、その矢印の下方に「big」という文字が表示されている。つまり、目サイズ選択ボタン482-1、目サイズ選択ボタン482-2、および目サイズ選択ボタン482-3の順に下に向かうにしたがって、目サイズが大きくなることを示唆している。
【0172】
また、目サイズ選択画面の右下側には、目のサイズの選択を決定するときに操作される決定ボタン483が表示されており、決定ボタン483には、「決定」という文字が表示されている。
【0173】
このような目サイズ選択画面がタッチパネルモニタ93に表示され、利用者が、目サイ
ズ選択ボタン482-1乃至482-3のいずれかを選択すると、目サイズ決定処理部319は、利用者による選択を受け付ける。そして、目サイズ決定処理部319は、利用者により選択されたサイズの目が写されている画像になるように、撮影画像481-1乃至481-6の被写体の目のサイズを一括して変更する。
【0174】
そして、利用者が、目のサイズの選択を行った後に決定ボタン483を選択すると、その時点で撮影画像481-1乃至481-6に反映されていた大きさで、被写体の目のサイズの選択が決定される。
【0175】
図15のフローチャートに戻り、ステップS62において、利用者が、目サイズ選択画面の目サイズ選択ボタン482-1乃至482-3のいずれかに対する操作(タッチ)を行って目のサイズを選択すると、目サイズ決定処理部319は、タッチパネルモニタ93から供給された情報に基づいて、利用者による選択を受け付ける。
【0176】
ステップS63において、目サイズ決定処理部319は、利用者により選択されたサイズの目が写っている画像になるように、全ての撮影画像481-1乃至481-6に写る利用者の目のサイズを一括して変更する。
【0177】
ステップS64において、目サイズ決定処理部319は、目のサイズを変更した撮影画像481-1乃至481-6をタッチパネルモニタ93に表示し、目のサイズの変更結果を利用者に確認させる。
【0178】
ステップS65において、目サイズ決定処理部319は、決定ボタン483が押されたか否かをタッチパネルモニタ93から供給された情報に基づいて判定し、押されていないと判定した場合、ステップS62に戻り、以上の処理を繰り返す。
【0179】
一方、決定ボタン483が押されたとステップS65において判定した場合、ステップS66において、目サイズ決定処理部319は、目のサイズを決定し、決定した目のサイズを表す情報を記憶部202などに記憶させて保存する。

(2)刊行物2の記載
当審における拒絶の理由の通知において引用された特開2010-264266号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

【0064】
その後、いずれの方式の場合も、画像処理条件を調整したり、画像を出力することができるが、ここでは、上記画像確認/出力画面21を用いて処理を行う場合について説明する。例えば、画像表示欄23に表示された画像がオペレータにとって所望の画像でない場合には、オペレータは、画像処理条件調整欄24にて画像処理条件を微調整する(ステップS126)。ここで、従来は、表示された画像に対する画像処理条件を調整する場合には一旦画像処理条件調整用の画面に遷移し、この画像処理条件調整画面で画像処理の条件を調整する必要があったが、ここでは画像確認/出力画面21に画像処理条件調整欄23を設け、画面を遷移させることなく、画像の濃度やコントラストなどをボタンやスライドバーなどによって調整できるようにしている。なお、ここでは階調処理をとりあげ、調整可能な画像処理の例として濃度(最高濃度)とコントラスト(γカーブ)のパラメータ変更例を示しているが、これらに代えて又はこれらと共に、他の処理に係わるパラメータ調整、例えば、周波数処理における強調度等を調整可能としてもよい。また、図では画像確認/出力画面21の右上に画像処理条件調整欄24を設けているが、画像処理条件調整欄24の構成や配置は任意であり、例えば、画像表示欄23に画像が表示された後は画像処理条件調整欄24と撮影部位選択欄22の位置を変えるなど、使用状況に合わせて各々の欄のレイアウトを変更してもよい。
【0065】
このように調整後の画像処理条件に従って画像処理された画像データが即座に画像表示欄23に表示されるため、オペレータは画像処理条件調整欄24での調整操作を繰り返すことによって画像を確認しながら所望の画像を得ることができる(ステップS127)。
【0066】
なお、この画像処理条件の調整は、複数の画像に対して同時に調整を行うことが可能である。この場合、複数の画像を選択状態とし、前記画像処理条件調整部にて調整操作を行うことで、選択状態に設定された画像の画像処理条件には全て同じ変動量が加算され、変更後の画像処理条件で画像処理した画像が、画像表示欄23に表示される。また、ある一つの画像が選択された状態で、処理パラメータ設定ボタンが押下されると、該選択された画像の画像処理時に使用された画像処理パラメータに更新(上書き)される。
【0067】
より具体的には、画像毎に直近の画像処理で使用した画像処理条件が記憶部に保持されており、処理パラメータ設定ボタン24aが押下されると、まず、記憶部14に保持された画像処理条件を読み出し、該画像処理条件基づいて、該画像処理条件を決定するような画像処理パラメータの値を逆算する。次に、当該画像の画像処理時に参照された画像処理パラメータの識別番号を、記憶部から取得する。そして記憶部に記憶された該識別番号を持つ画像処理パラメータを、該画像処理条件から逆算される画像処理パラメータ値にて、上書きし、記憶する。

第4 刊行物に記載された発明
以上の記載によれば、刊行物1には次の発明(以下、刊行物1発明という。)が記載されている。

4a.刊行物1の【0002】、【0003】記載によれば、刊行物1に記載された発明は、「利用者を撮影し、撮影画像に対して利用者に編集を行わせ、編集後の画像をシール紙に印刷して提供する写真シール機」に関する発明であるといえ、【0113】の記載によれば、上記写真シール機は、図12のフローチャートを参照して説明されるものであって、上記フローチャートで説明される処理のステップを有する方法が開示されているといえるから、処理方法に関する発明であるといえる。
したがって、刊行物1に記載された発明は「写真シール機の処理方法」に関する発明であるといえる。
また、刊行物1の【0114】、【0115】の記載によれば、刊行物1に記載された写真シール機の処理方法は、撮影処理部を有し、撮影処理部は、撮影部を制御し、撮影空間にいる利用者を被写体として撮影する撮影処理を行う構成を有している。
いいかえると、上記写真シール機の処理方法は、「利用者を被写体として撮影する撮影部を備えた写真シール機の処理方法」といえる。

4b.刊行物1の【0114】、【0115】の記載によれば、刊行物1の写真シール機の処理方法は、撮影処理を行うステップを有しているといえる。

4c.刊行物1の【0116】、【0117】の記載によれば、刊行物1の写真シール機の処理方法は、撮影処理を行った後、編集処理を行うステップを有している。

4d.刊行物1の【0118】-【0121】の記載によれば、刊行物1の写真シール機の処理方法は、編集処理が終了した後、利用者により選択された画像をプリンタに出力してシール紙に印刷させ画像が印刷されたシール紙をシール紙排出口に排出し、処理を終了させるステップを有している。

4e.刊行物1の【0122】、【0153】-【0179】の記載によれば、刊行物1の写真シール機の処理方法における撮影処理を行うステップは、具体的な構成として【0153】ないし【0179】にあるステップを有しているといえる。

4f1.刊行物1の【0153】、【0154】の記載によれば、上記撮影処理を行うステップは、「撮影画像に写る被写体の明るさの選択に用いられる明るさ選択画面をタッチパネルモニタに表示させる」構成を有している。
刊行物1の【0155】の記載によれば、上記明るさ選択画面は、撮影処理によって得られた撮影画像が、例としては6枚、画面の中央から左側に表示される。
刊行物1の【0156】の記載によれば、上記明るさ選択画面の右側には、5つの明るさ選択ボタンが上から順に表示され明るさの異なるモデルがそれぞれ表示される。
以上まとめると、上記撮影処理を行うステップは、「撮影処理によって得られた撮影画像が複数(例としては6枚)画面の中央から左側に表示され、画面の右側には、5つの明るさ選択ボタンが上から順に表示され明るさの異なるモデルがそれぞれ表示される、撮影画像に写る被写体の明るさの選択に用いられる明るさ選択画面をタッチパネルモニタに表示させるステップ」を有している。

4f2.刊行物1の【0162】-【0166】の記載によれば、上記撮影処理を行うステップは、利用者が、明るさ選択画面の明るさ選択ボタンのいずれかに対する操作(タッチ)を行って被写体の明るさを選択すると、タッチパネルモニタ93から供給された情報に基づいて、利用者による選択を受け付け、利用者により選択された明るさの被写体になるように、全ての撮影画像の被写体の明るさを一括して変更し、被写体の明るさを変更した撮影画像をタッチパネルモニタに表示し、明るさの変更結果を利用者に確認させ、決定ボタンが押された場合、被写体の明るさを決定し、決定した明るさを表す情報を記憶部などに記憶させて保存する、構成を有している。
以上まとめると、上記撮影処理を行うステップは、
利用者が、明るさ選択画面の明るさ選択ボタンのいずれかに対する操作(タッチ)を行って被写体の明るさを選択すると、タッチパネルモニタから供給された情報に基づいて、利用者による選択を受け付け、利用者により選択された明るさの被写体になるように、全ての撮影画像の被写体の明るさを一括して変更し、
被写体の明るさを変更した撮影画像をタッチパネルモニタに表示するステップを有しているといえる。

4f3.刊行物1の【0167】-【0172】の記載によれば、上記撮影処理を行うステップは、(4f1.4f2.の構成に加えて)「撮影画像に写る利用者の目のサイズの選択に用いられる目サイズ選択画面を、タッチパネルモニタに表示させる」構成を有している。
刊行物1の【0169】の記載によれば、上記目サイズ選択画面は、撮影処理によって得られた撮影画像が、例としては6枚、画面の中央から左側に表示される。
刊行物1の【0170】の記載によれば、上記目サイズ選択画面の右側には、3つの目サイズ選択ボタンが上から順に表示され、目サイズの大きさが異なるモデルの目がそれぞれ表示される。
以上まとめると、上記撮影処理を行うステップは、「撮影処理によって得られた撮影画像が複数(例としては6枚)画面の中央から左側に表示され、画面の右側には、3つの目サイズ選択ボタンが上から順に表示され、目サイズの大きさが異なるモデルの目がそれぞれ表示される、撮影画像に写る被写体の目のサイズの選択に用いられる目サイズ選択画面をタッチパネルモニタに表示させるステップ」を有している。

4f4.刊行物1の【0175】-【0179】の記載によれば、上記撮影処理を行うステップは、利用者が、目サイズ選択画面の目サイズ選択ボタンのいずれかに対する操作(タッチ)を行って目のサイズを選択すると、目サイズ決定処理部は、タッチパネルモニタから供給された情報に基づいて、利用者による選択を受け付け、利用者により選択されたサイズの目が写っている画像になるように、全ての撮影画像に写る利用者の目のサイズを一括して変更し、目のサイズを変更した撮影画像をタッチパネルモニタに表示し、目のサイズの変更結果を利用者に確認させ、決定ボタンが押された場合、目のサイズを決定し、決定した目のサイズを表す情報を記憶部などに記憶させて保存する、構成を有している。
以上まとめると、上記撮影処理を行うステップは、
利用者が、目サイズ選択画面の目サイズ選択ボタンのいずれかに対する操作(タッチ)を行って目のサイズを選択すると、タッチパネルモニタから供給された情報に基づいて、利用者による選択を受け付け、利用者により選択されたサイズの目が写っている画像になるように、全ての撮影画像に写る利用者の目のサイズを一括して変更し、
目のサイズを変更した撮影画像をタッチパネルモニタに表示するステップを有しているといえる。

4g.まとめ
以上まとめると、刊行物1発明として、以下のとおりのものを認定することができる。

利用者を被写体として撮影する撮影部を備えた写真シール機の処理方法において
撮影処理を行い、
上記撮影処理は、以下のi)ないしvi)の処理を含み、
i)撮影処理によって得られた撮影画像が複数(例としては6枚)画面の中央から左側に表示され、画面の右側には、5つの明るさ選択ボタンが上から順に表示され明るさの異なるモデルがそれぞれ表示される、撮影画像に写る被写体の明るさの選択に用いられる明るさ選択画面をタッチパネルモニタに表示させ、
ii)利用者が、明るさ選択画面の明るさ選択ボタンのいずれかに対する操作(タッチ)を行って被写体の明るさを選択すると、タッチパネルモニタから供給された情報に基づいて、利用者による選択を受け付け、利用者により選択された明るさの被写体になるように、全ての撮影画像の被写体の明るさを一括して変更し、
iii)被写体の明るさを変更した撮影画像をタッチパネルモニタに表示し、
iv)撮影処理によって得られた撮影画像が複数(例としては6枚)画面の中央から左側に表示され、画面の右側には、3つの目サイズ選択ボタンが上から順に表示され、目サイズの大きさが異なるモデルの目がそれぞれ表示される、撮影画像に写る被写体の目のサイズの選択に用いられる目サイズ選択画面をタッチパネルモニタに表示させ、
v)利用者が、目サイズ選択画面の目サイズ選択ボタンのいずれかに対する操作(タッチ)を行って目のサイズを選択すると、タッチパネルモニタから供給された情報に基づいて、利用者による選択を受け付け、利用者により選択されたサイズの目が写っている画像になるように、全ての撮影画像に写る利用者の目のサイズを一括して変更し、
vi)目のサイズを変更した撮影画像をタッチパネルモニタに表示し、
撮影処理を行った後、編集処理を行い、
編集処理が終了した後、利用者により選択された画像をプリンタに出力してシール紙に印刷させ画像が印刷されたシール紙をシール紙排出口に排出し、処理を終了させる
ステップを含む写真シール機の処理方法。

第5 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比する。

5a.刊行物1発明の「利用者を被写体として撮影する撮影部を備えた写真シール機の処理方法」は、本願発明の「利用者を撮影する撮影部を備える写真シール機の処理方法」と相違がない。

5b.刊行物1発明の撮影処理に含まれる「i)撮影処理によって得られた撮影画像が複数(例としては6枚)画面の中央から左側に表示され、画面の右側には、5つの明るさ選択ボタンが上から順に表示され明るさの異なるモデルがそれぞれ表示される、撮影画像に写る被写体の明るさの選択に用いられる明るさ選択画面をタッチパネルモニタに表示させ」るステップのタッチパネルモニタには、撮影画像が複数(例としては6枚)画面の中央から左側に表示される領域(第1の領域と称してもよいことは明らかである。)と、5つの明るさ選択ボタンが上から順に表示される領域(第2の領域と称してもよいことは明らかである。)とが表示(利用者に提示)されている。
上記撮影画像は、上記5a.の撮影部が撮影した画像であることは明らかであり、上記明るさ選択ボタンは、「利用者が、明るさ選択画面の明るさ選択ボタンのいずれかに対する操作(タッチ)を行って被写体の明るさを選択すると、タッチパネルモニタから供給された情報に基づいて、利用者による選択を受け付け、利用者により選択された明るさの被写体になるように、全ての撮影画像の被写体の明るさを一括して変更」するためのものであるから、撮影画像の明るさを変更、すなわち、撮影した画像に対して画像処理を施す指示を出すためのボタンといえ、一つの明るさを選択させるための領域であり、明るさを選択させる(という画像処理の)ために複数のボタンを表示する領域を含む画面を利用者に提示しているといえる。
したがって、刊行物1の撮影処理に含まれる上記ステップは、「前記撮影部による撮影の結果、得られる複数の撮影画像を表示する第1の領域と、画像処理を施す指示を出すための領域であり、かつ、選択をさせるための領域であり、前記画像処理のために複数のボタンを表示する第2の領域を含む画面を前記利用者に提示し」ている点で、本願発明と相違がない。
もっとも、本願発明では、上記「画像処理」は、「2つ以上の複数の種類の画像処理」であり、「選択をさせるための領域」は、「少なくとも2つ以上の選択をさせるための領域」であり、「前記画像処理のために複数のボタンを表示する」は、「前記画像処理毎に複数のボタンを表示する」構成であるのに対し、
刊行物1発明では、上記「画像処理」は、「(明るさ処理という)1つの種類の画像処理」であり、「選択をさせるための領域」は、「(明るさ処理という)1つの選択をさせるための領域」であり、「前記画像処理のために複数のボタンを表示する」は、「前記画像処理のために複数のボタンを表示する」構成である点で相違する。

5c.刊行物1発明では、「ii)利用者が、明るさ選択画面の明るさ選択ボタンのいずれかに対する操作(タッチ)を行って被写体の明るさを選択すると、タッチパネルモニタから供給された情報に基づいて、利用者による選択を受け付け、利用者により選択された明るさの被写体になるように、全ての撮影画像の被写体の明るさを一括して変更し」ている。
上記刊行物1発明の「撮影画像の被写体の明るさを一括して変更」は、上記5b.の「撮影処理によって得られた撮影画像が複数(例としては6枚)画面の中央から左側に表示され」の表示された複数の撮影画像であるから、撮影画像の全てに対して明るさを変更する画像処理を行っているといえる。
上記5b.で検討したように、刊行物1発明の「撮影画像が複数(例としては6枚)画面の中央から左側に表示される領域」、「明るさ選択画面の明るさ選択ボタン」は、本願発明の「第1の領域」、「前記第2の領域内のボタン」といえるものであるから、刊行物1発明は、「前記第2の領域内のボタンが操作される毎に、指示された変更に係わる画像処理を、前記第1の領域に表示されている撮影画像に施し」ている点で本願発明と相違がない。
もっとも、本願発明では、画像処理に関して、「前記第1の領域に表示されている複数の撮影画像のうち、画像処理を施すとして選択されている1枚の撮影画像のみに施し」ているのに対し、刊行物1発明では、「前記第1の領域に表示されている複数の撮影画像の全ての撮影画像に施し」ている点で相違する。

5d.刊行物1発明では「iii)被写体の明るさを変更した撮影画像をタッチパネルモニタに表示し」ている。
刊行物1発明の「撮影画像が複数(例としては6枚)画面の中央から左側に表示される領域」が、本願発明の「第1の領域」に相当することは、上記b.のとおりであり、刊行物1発明において「被写体の明るさを変更した撮影画像」は、本願発明の、第1の領域内の画像であって、上記5c.で変更処理を施した画像であるといえるから、刊行物1発明は、「前記第1の領域内の撮影画像を、前記変更処理部により変更が施された変更後の撮影画像に切り換える表示を制御し」ている点で本願発明と相違がない。
もっとも、本願発明では「前記第1の領域内の前記選択されている1枚の撮影画像を」変更後の撮影画像に切り換えるのに対し、刊行物1発明では、「前記第1の領域内のすべての撮影画像を」変更後の撮影画像に切り換える点で相違する。

5e.刊行物1発明は、「撮影処理を行った後、編集処理を行い、
編集処理が終了した後、利用者により選択された画像をプリンタに出力してシール紙に印刷させ画像が印刷されたシール紙をシール紙排出口に排出し、処理を終了させる」構成を有している。
刊行物1発明の「撮影処理を行った後、編集処理を行い、編集処理が終了した」画像は、撮影処理における明るさ処理が、本願発明の変更を施すことに対応するから、変更が施された画像といえる。
刊行物1発明の「シール紙をシール紙排出口に排出」すれば、上記排出されたシールは写真シールとして、利用者に提供されることは明らかである。
したがって、刊行物1発明は、本願発明の「変更が施された前記撮影画像を所定のシール紙に印刷し、印刷された前記シール紙を排出し、写真シールとして前記利用者に提供する」ステップを有している。

5f.まとめ(一致点・相違点)
以上まとめると、補正後発明と刊行物1発明とは以下の一致点で一致し相違点で相違する。
(一致点)
利用者を撮影する撮影部を備える写真シール機の処理方法において、
前記撮影部による撮影の結果、得られる複数の撮影画像を表示する第1の領域と、画像処理を施す指示を出すための領域であり、かつ、選択をさせるための領域であり、前記画像処理のために複数のボタンを表示する第2の領域を含む画面を前記利用者に提示し、
前記第2の領域内のボタンが操作される毎に、指示された変更に係わる画像処理を、前記第1の領域に表示されている撮影画像に施し、
前記第1の領域内の撮影画像を、前記変更処理部により変更が施された変更後の撮影画像に切り換える表示を制御し、
変更が施された前記撮影画像を所定のシール紙に印刷し、印刷された前記シール紙を排出し、写真シールとして前記利用者に提供する
ステップを含む写真シール機の処理方法。

(相違点1)
本願発明では、上記「画像処理」は、「2つ以上の複数の種類の画像処理」であり、「選択をさせるための領域」は、「少なくとも2つ以上の選択をさせるための領域」であり、「前記画像処理のために複数のボタンを表示する」は、「前記画像処理毎に複数のボタンを表示する」構成であるのに対し、
刊行物1発明では、上記「画像処理」は、「(明るさ処理という)1つの種類の画像処理」であり、「選択をさせるための領域」は、「(明るさ処理という)1つの選択をさせるための領域」であり、「前記画像処理のために複数のボタンを表示する」は、「前記画像処理のために複数のボタンを表示する」構成である点。

(相違点2)
本願発明では、画像処理に関して、「前記第1の領域に表示されている複数の撮影画像のうち、画像処理を施すとして選択されている1枚の撮影画像のみに施し」ているのに対し、刊行物1発明では、「前記第1の領域に表示されている複数の撮影画像の全ての撮影画像に施し」ている点。

(相違点3)
本願発明では「前記第1の領域内の前記選択されている1枚の撮影画像を」変更後の撮影画像に切り換えるのに対し、刊行物1発明では、「前記第1の領域内のすべての撮影画像を」変更後の撮影画像に切り換える点。

第6 判断
6a.相違点1について
刊行物1発明は、上記第5で対比した以外に、目サイズ変更に関する処理も有している。
上記目サイズ変更処理は、上記第5で対比した明るさ変更に関する処理と対比して、その画像処理の内容が、明るさ変更に関する処理と目サイズ変更に関する処理とで異なるのみで、表示手段に表示する態様(複数の変更のためのボタンを表示すること)、変更内容の選択の態様(上記複数表示されたボタンから一つを選択すること)、変更後の処理の態様(選択されたボタンに対応する処理を撮影画像全てに対して行い、変更後の画像を表示すること)は共通であり、これらの処理を一括して行っても、支障がなことは当業者であれば当然予測し得たことである。
そして、一般的な画像処理において、複数の画像処理を同時に行おうとすることは、上記刊行物2(【0064】等)に「濃度(最高濃度)とコントラスト(γカーブ)のパラメータ変更」を同時に行う構成が開示され、さらに、「濃度(最高濃度)とコントラスト(γカーブ)のパラメータ変更例を示しているが、これらに代えて又はこれらと共に、他の処理に係わるパラメータ調整、例えば、周波数処理における強調度等を調整可能としてもよい。」との記載があるように、当業者が普通に考慮することであるから、刊行物1発明において、明るさ変更処理に加えて目サイズ変更も同時に行えるように、上記相違点1の構成を採用することは、当業者が容易になしえたことであるといえる。

6b.相違点2、相違点3について
上記相違点は、結局、選択された画像処理を、第1の領域に表示されている撮影画像のうち選択された1枚の画像に対して行うか、(上記選択を行わず)全ての画像に対して行うか、で異なるというものである。
この点上記刊行物2の【0066】に「この画像処理条件の調整は、複数の画像に対して同時に調整を行うことが可能である。この場合、複数の画像を選択状態とし、前記画像処理条件調整部にて調整操作を行うことで、選択状態に設定された画像の画像処理条件には全て同じ変動量が加算され、変更後の画像処理条件で画像処理した画像が、画像表示欄23に表示される。また、ある一つの画像が選択された状態で、処理パラメータ設定ボタンが押下されると、該選択された画像の画像処理時に使用された画像処理パラメータに更新(上書き)される。」とあるように、複数表示された撮影画像に対して画像処理を行う際、上記複数表示された撮影画像から、1枚の画像を選択して画像処理を行うか、(上記選択を行わず)全ての画像に対して行うかは当業者が適宜採用し得たことであるといえ、刊行物1発明に、上記相違点2、相違点3の構成を採用することは当業者が適宜なしえたことである。

以上のように、上記各相違点は、当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記各相違点に係る構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1、刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項1ないし請求項5、請求項7に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-04-30 
結審通知日 2015-05-07 
審決日 2015-05-19 
出願番号 特願2012-264220(P2012-264220)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊島 洋介竹中 辰利  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 小池 正彦
渡邊 聡
発明の名称 写真シール機、写真シール機の処理方法、並びにプログラム  
代理人 稲本 義雄  
代理人 西川 孝  

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