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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C08J 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C08J |
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管理番号 | 1303249 |
審判番号 | 不服2013-24956 |
総通号数 | 189 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-12-19 |
確定日 | 2015-07-17 |
事件の表示 | 特願2009-553755「非多孔質熱可塑性材料の衝撃強度の変更方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 9月18日国際公開、WO2008/112815、平成22年 6月24日国内公表、特表2010-521560〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 本願は,国際出願日である平成20年3月12日(パリ条約による優先権主張 平成19年3月12日,アメリカ合衆国)にされたとみなされる特許出願であって,平成25年4月5日に特許請求の範囲及び明細書が補正され,同年8月19日付けで拒絶査定がされ,これに対して,同年12月19日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲が補正(以下「前置補正」という。)され,平成26年10月28日付けの決定で前置補正が却下されるとともに同日付けで拒絶理由(以下「本件拒絶理由」という。)が通知されたものである。 第2 本願発明及び本件拒絶理由について 本願の請求項1?22に係る発明は,平成25年4月5日に補正された特許請求の範囲の請求項1?22に記載されている事項により特定されるとおりのものである。 また,本件拒絶理由の内容は,本審決末尾に掲記のとおりである。 第3 むすび 請求人は,本件拒絶理由に対して,指定期間内に特許法159条2項で準用する同法50条所定の意見書を提出するなどの反論を何らしていない。そして,本件拒絶理由は妥当なものであって,これを覆すに足りる根拠が見いだせないから,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 本件拒絶理由の内容を以下掲記する。 本願の下記の請求項に係る発明は,その優先日前日本国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから,特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができないか,あるいは,同刊行物に記載された発明に基いてその優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・ 請求項1?8,10?19,21及び22 ・ 特開2001-55464号公報(却下の決定の理由で引用された刊行物と同じである。以下「引用文献3」という。) ・ 特開2006-111708号公報(以下「引用文献4」という。) [備考] 1 本願発明の要旨 平成25年12月19日付け手続補正は,この拒絶理由の通知と同日付けでされた補正の却下の決定により却下されたので(なお,却下の決定の理由を,この拒絶理由通知書の末尾にも記す。),本願の請求項1?8,10?19,21及び22に係る発明は,同年4月5日に補正された特許請求の範囲及び明細書の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1?8,10?19,21及び22に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。(以下,順に「本願発明1」?「本願発明22」という。) 2 引用文献に記載された発明 (1) 引用文献3に記載された発明 補正の却下の決定書に記載のとおりである(末尾参照)。すなわち,引用文献3には次のとおりの発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認める。 「ポリエーテルイミドに二酸化炭素を加圧下で含浸させた後,圧力を減少させ,次いで120℃を超える温度で加熱することにより発泡させるポリエーテルイミド発泡体の製造法。」 (2) 引用文献4に記載された発明 【特許請求の範囲】(特に請求項6,7,11及び16),【0036】,【0041】,【0049】,【0050】などの記載からみて,引用文献4には次のとおりの発明(以下「引用発明4」という。)が記載されていると認める。 「ポリエーテルイミドを容器内に保ち,二酸化炭素を用いて前記容器内を所定の圧力に昇圧し,その後容器内部を所定温度まで加熱し所定時間保持する工程,前記所定時間経過後に容器内を大気圧まで降圧する工程,を含む発泡ポリエーテルイミドの製造方法であって,前記発泡ポリエーテルイミドを加圧および加熱して成形する工程をさらに含む発泡ポリエーテルイミドの製造方法。」 3 対比,判断 (1) 本願発明4について ア 本願発明4は,補正の却下の決定書で説示するところの本願補正発明と同一のものであるところ,当該本願補正発明が特許法29条1項3号に該当するため,又は,同法29条2項の規定により特許を受けることができないものである以上,本願発明4も同様の理由により特許を受けることができないものであるといえる。 イ また,本願発明4と引用発明4とを対比すると,両者の相違する点(相違点1’)は次のとおりであると一応認めることができる。 ・ 相違点1’ 本願発明4は,「中実非晶質ポリエーテルイミド熱可塑性材料の…初期衝撃強度から増加させた衝撃強度を有する中実材料を作り出す」との工程を有すること,すなわち,「中実非晶質ポリエーテルイミド熱可塑性材料の衝撃強度を増加させるための方法」の発明であるのに対し,引用発明4は,そのような特定事項を有しておらず,「発泡ポリエーテルイミド」が二酸化炭素の含浸前のポリエーテルイミドに比し衝撃強度を増加されたものとなっているか不明な点。 ウ そして,上記相違点1’については,補正の却下の決定書における相違点1についての説示と同様の理由により,実質的な相違点であるとまではいえないか,あるいは,当業者が容易に想到しうる程度のものであると判断される。 エ よって,本願発明4は,引用文献4に対しても,いわゆる新規性又は進歩性を有しないものである。 (2) 本願発明15について 引用発明3並びに引用発明4の方法はポリエーテルイミドの密度を変化させるものでないと認められる。であれば,本願発明15は,本願発明4についての検討(上記(1))と同様の理由により,いわゆる新規性又は進歩性を有しないものである。 (3) 本願発明1?3及び12?14について いわゆる従属項である請求項4及び15に係る発明が新規性又は進歩性を有しないのは上述のとおりであるから(上記(1)及び(2)),その独立項に係る本願発明1及び12についても同様の拒絶理由がある。 また,引用発明3並びに4において,圧力を本願発明2,3,13及び14で特定する範囲のものとすることは,当業者であれば想到容易である。 (4) 本願発明5?8及び16?19について 引用発明4の「成形する工程」について,この成形をより低い圧力で処理する間に行うか,当該処理の後に行うかは,単なる設計事項にすぎない。(また,引用発明4において,成形の間には気体は吸収ないしは脱着されると思われる。) (5) 本願発明10及び21について 引用発明3並びに4において,物品に組み立てることをさらに含むことを想到するのは,格別困難なくなし得るといえる。 (6) 本願発明11及び22について それぞれ本願発明4及び15についての検討(上記(1)及び(2))と同様の拒絶理由がある。 4 まとめ したがって,本願発明1?8,10?19,21及び22は,特許法29条1項3号に該当する発明であるので,又は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 5 付言 請求項9及び20に係る発明については,現時点では拒絶の理由を発見しないが,発見された場合,拒絶の理由を通知する。 (以下略) |
審理終結日 | 2015-02-23 |
結審通知日 | 2015-02-24 |
審決日 | 2015-03-09 |
出願番号 | 特願2009-553755(P2009-553755) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(C08J)
P 1 8・ 121- Z (C08J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮崎 大輔 |
特許庁審判長 |
小野寺 務 |
特許庁審判官 |
田口 昌浩 須藤 康洋 |
発明の名称 | 非多孔質熱可塑性材料の衝撃強度の変更方法 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 森下 夏樹 |