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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  F16L
管理番号 1303493
審判番号 無効2014-800095  
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-06-09 
確定日 2015-06-22 
事件の表示 上記当事者間の特許第5399595号発明「伸縮式ホース」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件の特許第5399595号についての手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

特願2013-542266号出願 平成24年 4月 3日
(パリ条約による優先権主張 平成23年11月4日)
特許第5399595号の設定登録 平成25年11月 1日
審判請求書提出(請求人) 平成26年 6月 9日
審判事件答弁書提出(被請求人) 平成26年 9月30日
審理事項通知 平成26年12月 8日
口頭審理陳述要領書提出(被請求人) 平成27年 1月30日
口頭審理陳述要領書提出(請求人) 平成27年 2月 2日
口頭審理 平成27年 2月13日
上申書提出(請求人) 平成27年 2月18日
上申書提出(被請求人) 平成27年 2月24日


第2 本件特許発明
特許第5399595号の請求項1?27に係る発明のうち、請求項1及び26に係る発明(以下、各請求項の番号に対応させて、「本件特許発明1」及び「本件特許発明26」という。)は、本件の特許明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び26に記載された次のとおりのものである。

「 【請求項1】
第1の端部および第2の端部を有しており、布地材料によって構成された内部が実質的に中空である可撓で細長い外側チューブと、
第1の端部および第2の端部を有しており、内部が実質的に中空であり、弾性材料で形成されている可撓で細長い内側チューブと、
前記内側および前記外側チューブの前記第1の端部に固定された第1のカプラと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間で前記内側および前記外側チューブがお互いに固定されることなく前記内側および前記外側チューブの前記第2の端部に固定された第2のカプラとを備え、
前記第1のカプラが、ホースを流体を通すことができるように加圧流体の供給源に結合させ、前記第2のカプラが、前記ホースを流量制限装置に結合させ、
前記流量制限装置が前記ホース内の前記第1のカプラと前記第2のカプラとの間の流体の圧力の上昇を生じさせ、該流体の圧力の上昇によって前記細長い内側チューブが前記内側チューブの長さに亘って長手方向に膨張するとともに前記内側チューブの幅を横切って横方向にも膨張することで当該ホースの長さが伸長状態に実質的に増加し、さらに、当該ホースが、前記第1のカプラと前記第2のカプラとの間の流体の圧力が低下するときに実質的に短い若しくは弛緩した長さに収縮するホース。

【請求項26】
前記外側チューブが、収縮状態において、平滑ではなく、むしろ無作為に蛇腹状に折り畳まれ、圧縮され、収縮状態の前記内側チューブの外周の周囲にぴったりと集められている請求項1に記載のホース。」


第3 請求人の主張
1.請求人が主張する請求の趣旨及び理由
請求人は、「特許第5399595号の請求項1および26記載の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、」との審決を求め、その請求の理由は、それらの請求項に係る特許発明の進歩性の欠如であるところ、具体的には次のとおりである。
本件特許の請求項1及び26に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第5号証(枝番号を含む)に記載された発明ないし技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

2.請求人の証拠方法
請求人は、証拠方法として、審判請求書に添付して以下の甲第1号証?甲第5号証(枝番号を含む)を提出し、さらに口頭審理陳述要領書に添付して甲第3号証の3を提出している。

甲第1号証 米国特許第6948527号明細書
甲第2号証 次のインターネットのアドレスに示されるinstructables
のWater-Weenieに関する投稿記事の写し
http://www.instructables.com/id/Water-Weenie/?lang
=ja
甲第3号証の1 特開2006-294号公報
甲第3号証の2 次のインターネットのアドレスに示される岡山大学工学部 機械システム工学科知能機械制御学研究室ホームページの 「シート状空気圧ゴム人工筋を用いた上肘支援装置の開発」 に関する記事の写し
http://mcrlab.sys.okayama-u.ac.jp/study_sheet.htm
甲第3号証の3 日本ロボット学会誌,Vol.26,No.6,pp.674-682 2008
「シート状湾曲型空気圧ゴム人工筋の開発と
肘部パワーアシストウェアへの応用」
甲第4号証 実願昭47-54921号(実開昭49-14510号) のマイクロフィルム
甲第5号証 実願昭63-115758号(実開平2-36687号) のマイクロフィルム


第4 被請求人の主張
被請求人の主張の趣旨は、「本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、本件の請求項1及び26に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第5号証(枝番号を含む)に記載された発明ないし技術事項に基づいて、当業者が容易に想到するということはない、請求人が主張する無効理由は存在しない、というものである。


第5 補正の可否の決定
請求人が審判請求書により主張する無効理由とは、甲第1号証に実質的にスプリングコイル36を備えた発明が記載されているという事実を前提として本件各特許発明が進歩性を欠くと言うものである。
しかるに、請求人は、平成27年2月18日提出の上申書により、新たに、甲第1号証においてスプリングコイル36に替えて弾性材料からなるホース被覆材料又はゴムバンド類を使用する発明が記載されているとの前提の下に本件特許発明1及び26が進歩性を欠く旨主張するものである。
この上申書による請求人の新たな主張は、すでに提出されていた甲第1号証の記載に基づくものとはいえ、審判請求書で主張していなかった新たな事実を基礎とした無効理由を提示するものである。
そうすると、この上申書による請求人の新たな主張は、審判請求の要旨を変更するものに当たるというべきである。
そして、特許法第131条の2第2項の各号いずれかに該当する事由があるとは認められない。
したがって、特許法第131条の2第2項の規定に基づき、請求人の平成27年2月18日提出の上申書による主張は、許可しないと決定する。


第6 無効理由(進歩性の欠如)についての当審の判断
1.甲第1号証?甲第5号証について
(1)甲第1号証の記載事項及び甲第1号証記載の発明
甲第1号証には、Fig.1A、Fig.1B、Fig.3A、Fig.3B、Fig.3C、Fig.9A及びFig.9Bと共に、次の事項が記載されている。

ア.「FIGS. 1A and 1B show a preferred self-extending and self-retracting Linearly Retractable Pressure Hose 30 designed to be a garden hose with a flexible elongated body. Note that hose body 30 in FIGS. 1A and 1B are much shorter than an actual garden hose would be manufactured, but limited space on the page requires the shorter length of hose in order to be able to contrast the hose’s retracted and fully extended states. Hose body 30 may be made with a thin-walled flexible material. A source connector 20 can be attached to one end of hose 30 and a nozzle connector 22 may be attached to the other end. Both ends 20 and 22 can be made to match standard garden hose connectors. This allows water to be transported from the source end of the hose to the nozzle connector end. Nozzle connector 22 can be designed to except standard water hose nozzles and sprinklers for standard garden hoses, such as, lawn sprinkler 24. Almost all water nozzles and sprinklers provide significant restrictions in the flow of water through them to increase the pressure within hose 30 sufficiently to cause it to extend as shown in FIG. 1B . The construction of hose 30 will be discussed in more detail during the discussion of FIGS. 3 A-B. 」(第4欄第12?33行)
(翻訳)
「図1Aと1Bは、フレキシブルな細長い本体を備える庭用散水ホースとして設計されている、好ましい自己伸長及び自己収縮を行う直線的に収縮可能な圧カホース30を示している。図1A及び1Bのホース本体30は製造されるだろう実際の庭用散水ホースより十分短くなっているが、限られた頁スペースによりホースの収縮及び十分な伸長状態を対比することができるように、ホースの長さは比較的短い長さになっている。ホース本体30は薄い壁のフレキシブル材料により製造されてよい。供給源コネクタ20はホース30の一端に取り付けることができ、ノズルコネクタ22は他端に取り付けられてよい。双方の端部20及び22は標準の庭用散水ホースのコネクタに適合するように製造される。これによって水はホースの供給端からノズルコネクタ端に送られる。ノズルコネクタ22は標準散水ホース及び標準庭用ホース、例えば芝用スプリンクラー24を除外するように設計することができる。ほとんど全ての散水ノズルおよびスプリンクラーは、図1Bに示すように、伸長させるに充分な圧力をホース30内で増加させるために、これらを通しての水の流れに重要な制限を与える。ホース30の構造は図3A-Bの議論の中に詳細に説明されることになる。」

イ.「FIG. 3B shows hose 30 from FIG. 3A in a partially retracted state. Cover material 34 provides most of the pressure support and may have a mesh of fibers within a more flexible material to help withstand higher pressures. Cover material 32 can be molded on top of spring coils 36 (compression biased spring) and cover material 34 to hold the entire system together.
(中略)
Spring 36 acts as a support structure for hose cover material 34 to keep it from expanding radially too far. Cover material 32 basically provides a cover for the spring and also helps hold cover 34 in place on the spring coils.」(第5欄第43行?第6欄第1行)
(翻訳)
「図3Bは図3Aから部分的に収縮した状態のホース30を示す。被覆材料34は圧力サポートのほとんどを提供し、より高い圧力に耐えるように、よりフレキシブルな材料内に繊維メッシュを有するようにしてもよい。被覆材料32は、システム全体を一緒に保持するために、スプリングコイル36(圧縮バイアススプリング)と被覆材料34の上部にモールドされる(型どられる)ことができる。
(中略)
スプリング36は、半径方向に膨張しすぎないように保持するために、ホース被覆材料34の支持構造として作用する。被覆材料32は、基本的にスプリングのカバ-を提供し、被覆34をスプリングコイル上に保持することを助ける。」

ウ.「In FIGS. 9 A-B we see a Linearly Retractable Water Hose 100. This hose is designed to carry water and is attached to water faucet 102 with source connector 106. The hose is in its retracted position in FIG. 9A because the water pressure is turned off at faucet 102. A nozzle 104 is placed on nozzle connector 108 at the end of retractable hose 100. When faucet 102 is turned on, water rushes into hose 100 and pressure builds up inside the hose. Nozzle 104 restricts the rate at which water can escape from the hose and thus causes water pressure to increase within the hose. In FIG. 9b, as this pressure builds, the restoring force (spring bias) within hose 100 is overcome by the internal water pressure and the hose expands linearly to its full length. The hose is designed with a biasing that will allow it to expand to its full length even when nozzle 104 allows large quantities of water to exit. In general, only about one-quarter (one-forth) of a typical household water pressure of 40 to 80 psi should be required to fully extend the hose. Conversely, if too little pressure is needed to extend the hose, the hose will not retract forcefully when pressure is released. If too much pressure is needed to extend the hose, nozzle 104 may need to restrict too much water flow for proper use of the hose. However, for specific applications, the spring biasing can be made significantly different than this one-quarter water pressure value. When the water pressure is turned off, the hose slowly retracts to its compressed state as water is slowly forced out through the open nozzle by the contracting force of the hose. If nozzle 104 is closed before turning off the water, the hose will remain pressurized and will remain extended. Opening the nozzle in this condition will again cause the hose to retract.」(第17欄第17?47行)
(翻訳)
「図9A-Bには、直線的に収縮可能な散水ホース100が示されている。このホースは水を搬送するように設計されており、供給源コネクタ106で水道蛇口102に取り付けられている。蛇口102で水圧が停止されている場合には、このホースは図9Aの収縮位置にある。ノズル104は、収縮可能なホース100の端部でノズルコネクタ108に位置している。蛇口102が開けられると、水がホース100内に流入し、ホース内に圧力が形成される。ノズル104は水がホースから放水される速度を制限するので、このようにしてホース内の水圧を増加させる。図9Bでは、この水圧が形成され、ホース100内の保持力(スプリングバイアス)に内部水圧が勝ると、ホースは直線的に全長まで伸長する。このホースはノズル104が大量の水を放水させる時でも全長まで伸長するようにバイアスするように設計されている。一般に、家庭水圧40から80psiの約四分の1がホースを充分に伸長させるには必要である。反対に、もし、ホースを伸長させるに必要な圧力が余りにも小さいと、圧力を解放した時にホースが力強く収縮しない。もし、ホースを伸張するのにより大きな圧力が必要とされるならば、ノズル104は、ホースの適切な使用のために多くの水流を制限する必要がある。しかしながら、特別な適用には、スプリングのバイアス(付勢)は、水圧の四分の一の値よりも、かなりの違いとされることができる。水圧が停止されると、水はホースの収縮力によって開放ノズルを介してゆっくりと排出されるので、ホースは圧縮状態まで収縮する。水を止める前にノズル104を閉鎖すると、ホースは圧力状態を保持し、伸びた状態を維持する。この状態でノズルを開放すると、再びホースは収縮する。」

請求人が提出した甲1号証部分訳文には、「retract」の訳(「収縮」と「取り込む」とが混在)など用語の統一がなされていない部分等が存在するため、当審が原文の意に沿って翻訳した。
上記記載事項ウは、Fig.9A及びFig.9Bに対応しているが、Fig.1A、Fig.1B、Fig.3A、Fig.3B及びFig.3Cのホースの使用状態を説明する記載でもあると認められ、上記記載事項ア?ウにおいて、「ホース30」「ホース100」及び「ホース」は、それぞれの実施例に対応して番号が付されているが、ホースという意味では同じものであるので、「ホース」に統一する。
上記記載事項イにおいて、「スプリング36」は、「スプリングコイル36」と同じものを示していると認められる。
そうすると、上記記載事項ア、イ及びウ並びにFig.1A、Fig.1B、Fig.3A、Fig.3B、Fig.3C、Fig.9A及びFig.9Bから、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「被覆材料34は圧力サポートのほとんどを提供し、より高い圧力に耐えるように、よりフレキシブルな材料内に繊維メッシュを有し、被覆材料32は、システム全体を一緒に保持するために、スプリングコイル36と被覆材料34の上部にモールドされ、スプリングコイル36は、半径方向に膨張しすぎないように保持するために、ホース被覆材料34の支持構造として作用する、フレキシブルな細長い本体を備えるホースであって、
供給源コネクタ20はホースの一端に取り付けられ、
ノズルコネクタ22は他端に取り付けられ、
水はホースの供給端からノズルコネクタ端に送られ、ホースは、供給源コネクタで水道蛇口に取り付けられ、ノズルは、ホースの端部でノズルコネクタに位置し、
蛇口が開けられると、水がホース内に流入し、ホース内に圧力が形成され、ノズルは、水がホースから放水される速度を制限するので、ホース内の水圧を増加させ、ホース内の保持力(スプリングバイアス)に内部水圧が勝ると、ホースは直線的に全長まで伸長し、
水圧が停止されると、水はホースの収縮力によって開放ノズルを介してゆっくりと排出されるので、ホースは圧縮状態まで収縮する、
ホース。」

(2)甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、自転車内部チューブを利用した水ウインナ(Water-Weenie)に関して、画像及び略図並びにステップ1?ステップ6を示す画像と共に、次の事項が記載されている。

エ.「略図には自転車の内側チューブの一端を結び、他端にスイッチの付いた雌雄ホース接続具が取り付けられることが図示されている。」(第1頁)

オ.「ステップ1には、その部品群が示されている。ステップ2には、ゴムチューブの一端を結ぶことが示されている。ステップ3には、他端に雌雄の接続具を取り付けることが示されている。ステップ4には、スイッチを開いて、注水してゴムチューブを膨脹・伸張させてその内部に貯水することが示されている。ステップ5には、注水ホースを外し、スイッチで放水することが示されている。ステップ6は、使用状態を示していると認められる。」(第1?4頁のステップ1?6)

カ.「このinstructableについて・・・投稿日:6月8,2006」(第1頁右欄中段)

(3)甲第3号証の1の記載事項
甲第3号証の1には、図1及び図2と共に、次の事項が記載されている。

キ.「【0016】
アクチュエータA_(1)は、単層構造のものであってもよいが、内部圧力が増加すると膨張する内側チューブと、該内側チューブを覆う筒状被覆材とからなり、前記内側チューブの径方向の膨張が、前記筒状被覆材によって制限されてなるものであることが好ましい。これにより、アクチュエータA_(1)をさらに変位の大きなものとしたり、アクチュエータA_(1)の動作の応答速度を速めることも可能になる。筒状被覆材は、蛇腹状に形成されたものであると好ましい。これにより、筒状被覆材を、径方向には膨張しにくく、長手方向には容易に伸長できるものとすることが可能になる。」(段落【0016】)

ク.「【0027】
(略) 糸や布は、拘束手段16の素材として好適である。図1と図2に示すアクチュエータA_(1)の拘束手段16には、合成繊維からなる織布を用いている。」(段落【0027】)

ケ.「【0028】
(略) 図1と図2に示すアクチュエータA_(1)の内側チューブ10には、シリコーンゴムを用いている。」 (段落【0028】)

コ.「【0029】
(略) 筒状被覆材11は、長手方向には伸縮可能で径方向には膨張しない構造のものとなっており、図1と図2に示すアクチュエータA_(1)においては、非伸縮性の素材を蛇腹状に形成したものとなっている。」(段落【0029】)

サ.「【0030】
アクチュエータA_(1)の動作原理について説明する。図1の状態から、アクチュエータA_(1)の流体受容部14に流体を供給すると、流体受容部14の内部圧力が増加して区間I_(2)の内側チューブ10は膨張を始める。しかし、内側チューブ10は、筒状被覆材11によって径方向の膨張が制限されているために、内側チューブ10の外周部が筒状被覆材11の内周部に当接した後は、長手方向に伸長することでしか膨張できなくなる。ところが、内側チューブ10の区間I_(2)は、拘束手段16によって一側面の長手方向に沿った伸長が拘束されているために、拘束手段16が設けられていない他側面側で長手方向に伸長することしか膨張できない。このため、アクチュエータA_(1)は、図2に示すように、拘束手段16が設けられた一側面を内側にして連続的に湾曲するようになる。このアクチュエータA_(1)は、関節の屈曲を支援するものとして好適なものである。」(段落【0030】)

(4)甲第4号証の記載事項
甲第4号証には、第1図及び第2図と共に、次の事項が記載されている。

シ.「本案は、柔軟な素材を使用しそれに十分な強度を付与するものである。これを第1図に示した第1実施例について説明をすれば、(1)はゴム引布、合成樹脂製のシートその他の気密性を有する資材でチューブ状に形成した外壁、(2)は外壁(1)内に間隔をおいて挿入した外壁(1)の径よりも大径のリングで、これにより外壁(1)のその部分を伸張させて径を大きくし、あたかもじやばら状にしている。(3)は外壁(1)と同じようにゴム引布、合成樹脂製のシートなどの気密性と柔軟性とを有する資材でチューブ状に形成し外壁(1)内に挿入した内壁で、その両端は外壁(1)に固着し、内、外壁(3)、(1)間には空気を封入する。 内壁(3)の径は外壁(1)と同じまたはそれよりも小径にする。」(明細書第2頁第4?17行)

(5)甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、次の事項が記載されている。

ス.「 (1) ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ゴムのそれぞれの組成物又は混合物のいずれかによって形成される円筒状の波付管の内壁にポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ゴムのそれぞれの組成物又は混合物のいずれかによって形成される円筒状の平滑管を摺動自在に嵌合せしめた合成樹脂製波付管。」(明細書第1頁第5?11行)

セ.「(3) 上記平滑管の外径は、上記波付管の内径と等しいか又は小さいものである請求項1又は2記載の合成樹脂製波付管。」 (明細書第1頁第15?17行)

2.本件特許発明1と甲1発明との対比・判断
以下、本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「フレキシブルな細長い本体を備えるホース」は、「ホース」であるから、第1の端部および第2の端部を有しており内部が実質的に中空であるチューブと認められ、また「フレキシブル」とは可撓を意味しており、「フレキシブルな材料内に繊維メッシュを有し」ていることから、布地材料によって構成されているといえるので、本件特許発明1の「第1の端部および第2の端部を有しており、布地材料によって構成された内部が実質的に中空である可撓で細長い外側チューブ」とは、「第1の端部および第2の端部を有しており、布地材料によって構成された内部が実質的に中空である可撓で細長いチューブ」である限りにおいて一致する。
甲1発明の「一端」、「他端」及び「取り付けられ」は、それぞれ、本件特許発明1の「第1の端部」、「第2の端部」及び「固定され」に相当し、甲1発明の「供給源コネクタ20」は、「ホース(チューブ)の一端(第1の端部)に取り付けられ(固定され)」るから、本件特許発明1の「チューブの第1の端部に固定された第1のカプラ」に相当する。
同様に、甲1発明の「ノズルコネクタ22」は、「他端(第2の端部)に取り付けられ(固定され)」るものなので、「チューブの第2の端部に固定された第2のカプラ」に相当する。
ノズルは、一般に流路を絞って流量を制限する装置であるから、甲1発明の「ノズル」は、本件特許発明1の「流量制限装置」に相当する。
甲1発明の「水道蛇口」は、 本件特許発明1の「加圧流体の供給源」に相当する。
甲1発明の「ホースは、供給源コネクタで水道蛇口に取り付けられ」る態様は、「供給源コネクタ(第1のカプラ)」が、「ホース」を「水道蛇口(加圧流体の供給源)」に取り付ける態様のことであるので、本件特許発明1の「第1のカプラが、ホースを流体を通すことができるように加圧流体の供給源に結合させ」に相当する。
甲1発明の「ノズルは、ホースの端部でノズルコネクタに位置し、」は、「ノズルコネクタ(第2のカプラ)」が、ホースの端部で「ノズル(流量制限装置)」を結合しているものと認められるので、本件特許発明1の「第2のカプラが、ホースを流量制限装置に結合させ、」に相当する。
甲1発明の「ホース内の水圧を増加させ」ることは、ホース内の「供給源コネクタ(第1のカプラ)」と「ノズルコネクタ(第2のカプラ)」との間の流体の圧力の上昇を生じさせることであるので、甲1発明の「ノズルは、水がホースから放水される速度を制限するので、ホース内の水圧を増加させ、」は、本件特許発明1の「流量制限装置がホース内の第1のカプラと第2のカプラとの間の流体の圧力の上昇を生じさせ、」に相当する。
甲1発明の「ホース内の保持力(スプリングバイアス)に内部水圧が勝ると、ホースは直線的に全長まで伸長し、」は、 本件特許発明1の「該流体の圧力の上昇によって」、「当該ホースの長さが伸長状態に実質的に増加し、」に相当する。
甲1発明において、「水圧が停止され」て「水は排出される」ことによって、ホース内の圧力が低下して、「供給源コネクタ(第1のカプラ)」と「ノズルコネクタ(第2のカプラ)」との間の流体の圧力が低下するものと認められるから、甲1発明の「水圧が停止されると、水はホースの収縮力によって開放ノズルを介してゆっくりと排出されるので、ホースは圧縮状態まで収縮する、」は、本件特許発明1の「当該ホースが、前記第1のカプラと前記第2のカプラとの間の流体の圧力が低下するときに実質的に短い若しくは弛緩した長さに収縮する」に相当する。

以上から、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、また、相違する。

<一致点>
「第1の端部および第2の端部を有しており、布地材料によって構成された内部が実質的に中空である可撓で細長いチューブと、
前記チューブの前記第1の端部に固定された第1のカプラと、
前記チューブの前記第2の端部に固定された第2のカプラとを備え、
前記第1のカプラが、ホースを流体を通すことができるように加圧流体の供給源に結合させ、前記第2のカプラが、前記ホースを流量制限装置に結合させ、
前記流量制限装置が前記ホース内の前記第1のカプラと前記第2のカプラとの間の流体の圧力の上昇を生じさせ、該流体の圧力の上昇によって当該ホースの長さが伸長状態に実質的に増加し、さらに、当該ホースが、前記第1のカプラと前記第2のカプラとの間の流体の圧力が低下するときに実質的に短い若しくは弛緩した長さに収縮するホース。」

<相違点1>
本件特許発明1は、「第1の端部および第2の端部を有しており、布地材料によって構成された内部が実質的に中空である可撓で細長い外側チューブと、
第1の端部および第2の端部を有しており、内部が実質的に中空であり、弾性材料で形成されている可撓で細長い内側チューブと、
前記内側および前記外側チューブの前記第1の端部に固定された第1のカプラと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間で前記内側および前記外側チューブがお互いに固定されることなく前記内側および前記外側チューブの前記第2の端部に固定された第2のカプラとを備え、」ているのに対して、
甲1発明は、「被覆材料34は圧力サポートのほとんどを提供し、より高い圧力に耐えるように、よりフレキシブルな材料内に繊維メッシュを有し、被覆材料32は、システム全体を一緒に保持するために、スプリングコイル36と被覆材料34の上部にモールドされ、スプリングコイル36は、半径方向に膨張しすぎないように保持するために、ホース被覆材料34の支持構造として作用する、第1の端部および第2の端部を有しており、繊維メッシュ(布地材料)によって構成された内部が実質的に中空であるフレキシブルな細長い本体を備えるホース(可撓で細長いチューブ)と、
前記ホース(チューブ)の前記第1の端部に固定された供給源コネクタ20(第1のカプラ)と、
前記ホース(チューブ)の前記第2の端部に固定されたノズルコネクタ22(第2のカプラ)とを備え、」ている点。

<相違点2>
本件特許発明1は、「該流体の圧力の上昇によって前記細長い内側チューブが前記内側チューブの長さに亘って長手方向に膨張するとともに前記内側チューブの幅を横切って横方向にも膨張することで当該ホースの長さが伸長状態に実質的に増加し」ているのに対して、甲1発明は、「ホース内の保持力に内部水圧が勝ると、ホースは直線的に全長まで伸長し」ている点。

上記相違点について検討する。

<相違点1について>
(1)甲1発明のホース
甲1発明の「ホース」は、被覆材料34、スプリングコイル36及び被覆材料32を備えたものである。
甲1発明の「被覆材料34」は、「圧力サポートのほとんどを提供し、高い圧力に耐える」から、ホース内の水、すなわち流体の圧力を受ける部材であると理解できる。
また、甲1発明において、「スプリングコイル36」は、被覆材料34が「半径方向に膨張しすぎないように保持するために、ホース被覆材料34の支持構造として作用し」ており、さらに、「被覆材料32」は、「システム全体を一緒に保持するために、スプリングコイル36と被覆材料34の上部にモールドされ」ている。
そして、甲第1号証のFig.3B及びFig.3Cを見ても、これらの被覆材料34、スプリングコイル36及び被覆材料32が一体として挙動するものと理解できる。
そうすると、これらの被覆材料34、スプリングコイル36及び被覆材料32は、一体不可分でホース(チューブ)を構成しているものと把握するのが合理的である。

(2)甲1発明において、内側チューブ及び外側チューブを備えること
被覆材料34及び被覆材料32と異なりスプリングコイル36は、チューブ様の部材ではないのだが、甲1発明において、一体不可分な「ホース(チューブ)」の内の、このスプリングコイル36のみを取り出して他のチューブ様の部材に置き換えることは、当業者が直ちに想起することとは言えない。
また、一体不可分として構成されて全体が1つのホース(チューブ)として機能している甲1発明を、機能がそれぞれ異なる内側チューブと外側チューブとを備えるようにすることも、当業者が直ちに想起することとは言えない。

(3)甲1発明への甲第2号証に記載の技術の適用
(ア)甲1発明の「ホース(チューブ)」におけるスプリングコイル36は、上記したように、被覆材料34が「半径方向に膨張しすぎないように保持するために、ホース被覆材料34の支持構造として作用し」ており、このことは、甲第1号証の図面、特にFig.7A及びFig.7Bもみても明らかである。また、このスプリングコイル36には、当然のことながら、内部の流体の圧力を受けて径方向に膨張する働きは想定されていない。
そうすると、この甲1発明の「ホース(チューブ)」におけるスプリングコイル36を甲第2号証に記載のチューブに置き換えることは、その動機付けの有無の議論を置いても、機能の面だけからして、当業者にとって容易に想到し得るとは言い得ない。
(イ)また、甲第2号証に記載のものは、チューブの一端に設けた流量制限装置に流体の供給源を選択的に結合させることで注水と放水とを行うものであり、請求人が主張するゴム風船のように、チューブの他端は結ばれて閉鎖されているものと認められるので、甲第2号証に記載の技術を甲1発明に適用できたとしても、弾性材料で形成されている可撓で細長い内側チューブは、他端が閉鎖されているものとなり、一端から他端に流体を通すことができないから、一端側を加圧流体の供給源に結合させ他端側を流量制限装置に結合させることで流体の圧力を上昇させるホースとはなり得ず、甲1発明に甲第2号証に記載の技術を適用することは、阻害要因があるともいえる。
(ウ)さらに、仮にスプリングコイル36に替えて両端が開口している弾性チューブを設け得たとしても、甲1発明において、「被覆34をスプリングコイル上に保持する」(記載事項イ.参照。)ように、内側の被覆材料34をその外側に設けられる弾性チューブ上に全長に渡って一体的に保持するものが得られるだけであり、被覆材料34が弾性チューブの外側に設けられる構成とはならない。

(4)甲第3号証、甲第4号証及び甲第5号証等について
請求人は、甲第3号証の1乃至3を提出して、伸縮性二重構造の機能は技術分野が違えども広く周知慣用されている旨主張する(口頭審理陳述要領書第3頁第21?25行等。)。
甲第3号証の1からは、内側チューブ10とそれの径方向の膨張を制限する筒状被覆材11を組み合わせた構成が見て取れる。しかし、この甲第3号証の1及びその動作原理を示す目的で提出された甲第3号証の2及び3が開示するものは、いずれも、アクチュエータに関するものであって、甲第3号証の1の段落【0030】(第8頁第14?19行)及び図1及び図2を参酌すると、拘束手段16が設けられた一側面を内側にして湾曲するから、筒状被覆材11は、内側チューブ10が伸長する際に湾曲させるために設けられているものである。
請求人の主張は、甲第3号証の1乃至3に開示される伸縮性二重構造は、甲1発明が属する散水ホースの分野においても適用できるという趣旨のものと理解するが、全体を湾曲させるために二重構造とすることは、甲1発明において、ホース(チューブ)を内側チューブと外側チューブとからなる二重構造とすることの契機とはならず、かかる主張を採用することはできない。
また、請求人が提出した甲第4号証及び甲第5号証を見ても、甲1発明においてスプリングコイル36をチューブに置き換えることが示唆されるものではない。
さらに、本件特許発明1における、「内側および外側チューブの第1の端部に固定された第1のカプラと、第1の端部と第2の端部との間で前記内側および前記外側チューブがお互いに固定されることなく前記内側および前記外側チューブの前記第2の端部に固定された第2のカプラとを備え、」という技術は、甲第4号証及び甲第5号証にも、他のいずれの甲号証にも示されておらず、その技術が公知ないし周知であるという証拠も存在しない。

(5)以上からすると,甲1発明において、相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは、請求人が主張する理由及び請求人が提出した証拠方法の限りでは、当業者にとって容易であったと言うことはできない。

<相違点2について>
そして、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項は、相違点1に挙げた、「・・・布地材料によって構成された・・・外側チューブと、・・・弾性材料で形成されている・・・内側チューブと、・・・前記内側および前記外側チューブの前記第1の端部に固定された第1のカプラと、前記第1の端部と前記第2の端部との間で前記内側および前記外側チューブがお互いに固定されることなく前記内側および前記外側チューブの前記第2の端部に固定された第2のカプラとを備え、」た構成が前提となると言えるから,上記<相違点1について>で述べたとおり、その前提となる構成が容易になし得たものでないので、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項も,当業者にとって容易になし得たものでないと言うべきである。

したがって、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第5号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。

3.本件特許発明26と甲1発明との対比・判断
本件特許発明1に他の発明特定事項を直列的に付加している本件特許発明26は、上記2.に示したと同様に、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第5号証に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。

[補足]
平成27年2月18日提出の上申書による請求人の新たな主張は、すでに述べたように、請求の要旨を変更するものであるのだが、参考までに、甲1発明をこの請求人の新たな主張に沿ったものと考えた場合についての、特許発明1の進歩性について、審判合議体の見解を簡単に述べておく。
(a)甲1発明の「ホース本体」は、フレキシブルな細長い本体(a flexible elongated body)と付勢手段が組み合わされたものである。
ここで、流体の圧力を直接受けるのは、フレキシブルな細長い本体であって、当該フレキシブルな細長い本体は、流体の圧力を受けて膨張するようになっており、それにより、ホース本体が全体として伸長し得るように構成されている。
付勢手段は、甲第1号証の開示にしたがえば、(A)スプリング(バネ)を用いる態様、(B)ホースの一定の復元力を付与する弾性材料で製造された被覆材料を用いる態様、(C)ゴムバンド類を用いる態様が想定されているものである。
付勢手段は、そのいずれの態様であっても、弾性を備えていて、それによりホース本体に収縮力を与えるものと理解される。
したがって、ホース本体は、流体の圧力がないあるいは低い場合には、付勢手段の収縮力によって圧縮された収縮した形態を呈するが、流体の圧力が高くなる程、フレキシブルな細長い本体に膨張しようとする力が生じ、それが付勢手段により与えられる収縮力よりも大きくなれば、フレキシブルな細長い本体は、その収縮力に抗して膨張していき伸長した形態を呈するものである。
このことは、甲第1号証において図面と共に開示された態様、すなわち、付勢手段として上記(A)を採用した場合(この場合において、フレキシブルな細長い本体は、被覆材料34として構成されている。)のみならず、付勢手段として上記(B)、(C)いずれの態様を採用した場合でも同じである。
(b)甲第2号証には、内部が実質的に中空であって弾性材料で形成されている可撓で細長いチューブに係る発明が示されている(以下、これを「甲2発明」という。)。
この甲2発明は、単純に内部の流体の圧力の上昇によって全体を膨張させるものではなく、基本的には、注水量、つまり内部の流体の量を増大させることによって全体が膨張するものである。そして、このことは、請求人が「いわゆる水風船の原理」として主張するものでも同様である。
また、甲2発明に係るチューブ自体が膨張しすぎないように保持する機能を有しないことは、当業者にとって自明である。
(c)ところで、甲1発明の被覆材料34は、それが果たす機能から見て、本件特許発明1の「内側チューブ」に対応すると言うこともできる。
しかし、甲1発明で被覆材料34と組み合わされてホース本体30を構成する「付勢手段」は、本件特許発明1の「外側チューブ」とはその機能において明らかに異なっている。
すなわち、甲1発明の「付勢手段」は、弾性を備えており、それによりホース本体に収縮力を与えるものであるが、本件特許発明1の「外側チューブ」は、結果的にホース全体の伸長動作に制限を与えるものと見ることはできるものの、布地材料で形成されたものであるから、収縮力をもたらすものとは考えられない。
そうすると、甲1発明の「付勢手段」は、上記(a)に示したいかなる態様であっても、本件特許発明1の布地材料によって構成された「外側チューブ」には、なり得ない。
(d)ここで、先に示した甲2発明に戻ると、甲2発明に係るチューブ自体は、内部の流体の量を増大させることによって全体が膨張するものである。
これに対して、本件特許発明1も甲1発明も、その内部を流体が通過していく際の流体の圧力によって膨張、つまり伸長するものである。
そうすると、甲2発明を甲1発明に適用するための動機付けの有無の議論を置いて、甲1発明に甲2発明を適用し、甲1発明の付勢手段として弾性チューブを採用し得たとしても、本論の第6 2.<相違点1について>(3)(ウ)で述べたとおり、本件特許発明1の「内側チューブ」に対応する構成が得られるだけであり、本件特許発明1における布地材料で形成された「外側チューブ」が容易に導かれないことは明らかである。
(e)甲第3号証?甲第5号証についても、本論の第6 2.<相違点1について>(4)で述べたとおり、甲1発明において本件特許発明1のように内側チューブと外側チューブとの二重構造とすることの契機とはならない。
請求人は、甲第3号証の「二重構造」を参酌して甲第1号証と甲第2号証を組み合わせること、又は甲第1号証に記載の付勢手段として甲第3号証の付勢手段を用いて本件特許発明1を構成することには当業者にとっての困難性がない旨主張するが(平成27年2月18日提出の上申書第4頁第24?27行。)、いずれの主張も採用することはできない。


第7 むすび
以上のとおり、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件特許発明1及び26に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
 
審理終結日 2015-04-15 
結審通知日 2015-04-20 
審決日 2015-05-12 
出願番号 特願2013-542266(P2013-542266)
審決分類 P 1 123・ 121- Y (F16L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 黒石 孝志  
特許庁審判長 新海 岳
特許庁審判官 出口 昌哉
平田 信勝
登録日 2013-11-01 
登録番号 特許第5399595号(P5399595)
発明の名称 伸縮式ホース  
代理人 深井 俊至  
代理人 神田 雄  
代理人 佐久間 滋  
代理人 石井 久夫  

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