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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1303535
審判番号 不服2014-6719  
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-10 
確定日 2015-07-22 
事件の表示 特願2010-543562「量子鍵配送のための光送信機および光受信機」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 8月 6日国際公開、WO2009/095644、平成23年 4月 7日国内公表、特表2011-511523〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、2009年1月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、2008年1月28日、英国及び2008年1月28日、米国)を国際出願日とする出願であって、
平成22年7月27日付けで特許法第184条の5第1項の規定による書面が提出され、同年9月24日付けで特許法第184条の4第1項の規定による翻訳文が提出され、
平成24年1月11日付けで審査請求がなされ、
平成25年5月9日付けで拒絶理由通知(平成25年5月14日発送)がなされ、
これに対して平成25年11月14日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされ、
平成25年12月6日付けで上記平成25年5月9日付けの拒絶理由通知書に記載した理由C(特許法第29条第2項)によって拒絶査定(平成25年12月10日謄本発送・送達)がなされたものである。

これに対して、「原査定を取り消す、この出願の発明は特許をすべきものである、との審決を求める。」との請求の趣旨で平成26年4月10日付けで審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされ、
平成26年6月30日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告がなされた。


第2 平成26年4月10日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成26年4月10日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
平成26年4月10日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容は、平成25年11月14日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項47の記載

「 【請求項1】
量子鍵配送システムのための光受信機であって、基板内に搭載または形成され、基板内に形成された1つ以上の中空コア導波路により光学的に結合された複数の光学構成要素を含む、光受信機。
【請求項2】
前記光学構成要素のうちの少なくとも1つが、アライメントスロット内に保持される搭載された構成要素であり、アライメントスロットが、基板内に形成され、前記中空コア導波路のうちの1つを横切り、アライメントスロット内に保持される光学構成要素のアライメントをその中空コア導波路に対して画定する、請求項1に記載の光受信機。
【請求項3】
第1の受信機チャネルと第2の受信機チャネルとを含み、各受信機チャネルが、個々の1対の直交偏光状態のうちの一方に偏光した光子を検出し、かつその光子の偏光状態を識別するように構成され、個々の対の偏光状態が相互に傾けられる、請求項1または2に記載の光受信機。
【請求項4】
入力光子を受信機チャネルのうちの一方にランダムに向けるための手段を含む、請求項3に記載の光受信機。
【請求項5】
前記手段が、基板に形成または搭載されたマルチモード干渉(MMI)デバイスである、請求項4に記載の光受信機。
【請求項6】
前記手段が、ビームスプリッタと、入力光子を受信し、かつ入力光子をビームスプリッタに導くための入力導波路とを含み、ビームスプリッタの各出力が、個々の接続ガイドにより個々の受信機チャネルに光学的に結合され、入力導波路および接続導波路が、基板内に形成された中空コア導波路である、請求項4に記載の光受信機。
【請求項7】
ビームスプリッタが、基板内に形成されたアライメントスロット内に保持され、アライメントスロットが、その中に保持されたビームスプリッタのアライメントを入力導波路および接続導波路に対して画定する、請求項6に記載の光受信機。
【請求項8】
偏光変調器をさらに含み、偏光変調器が、入力導波路を横断するアライメントスロット内部に保持される、請求項6または7に記載の光受信機。
【請求項9】
入力導波路と一体化された偏光変調器をさらに含む、請求項6または7に記載の光受信機。
【請求項10】
第1の受信機チャネルが、第1の偏光ビームスプリッタと、2つの単一光子検出器とを含み、偏光ビームスプリッタが、それぞれが基板内に形成された個々の中空コア導波路により個々の単一光子検出器に光学的に結合される2つの出力を有する、請求項3から9のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項11】
第2の受信機チャネルが、第2の偏光ビームスプリッタと、2つの単一光子検出器とを含み、第2の偏光ビームスプリッタが、それぞれが基板内に形成された個々の中空コア導波路により個々の単一光子検出器に光学的に結合される2つの出力を有し、第2の受信機チャネルが、基板内に形成された中空コア導波路により第2の偏光ビームスプリッタの入力に光学的に結合される半波長板をさらに含み、第1の偏光ビームスプリッタおよび第2の偏光ビームスプリッタが、平行な光軸を有し、半波長板の光軸が、第2の偏光ビームスプリッタの光軸に対して22.5°傾けられる、請求項10に記載の光受信機。
【請求項12】
基板内に形成された中空コア導波路のうちの少なくとも一方が、正方形の断面からなる、請求項1から11のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項13】
光ファイバを収容するように適合された入力を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項14】
量子鍵配送システムのための光送信機であって、基板内に搭載または形成され、基板内に形成された1つ以上の中空コア導波路により光学的に結合された複数の光学構成要素を含む、光送信機。
【請求項15】
前記光学構成要素のうちの少なくとも1つが、アライメントスロット内に保持される搭載された構成要素であり、アライメントスロットが、基板内に形成され、前記中空コア導波路のうちの1つを横切り、アライメントスロット内に保持される光学構成要素のアライメントをその中空コア導波路に対して画定する、請求項14に記載の光送信機。
【請求項16】
光源と、偏光変調器とを含み、光源および偏光変調器が、基板内に搭載または形成され、基板内に形成された1つ以上の中空コア導波路により光学的に結合される、請求項14または15に記載の光送信機。
【請求項17】
基板内に形成され、偏光変調器の出力を光送信機の出力に光学的に結合するように構成される1つ以上の中空コア導波路をさらに含む、請求項16に記載の光送信機。
【請求項18】
動作中のときに、光送信機内部を伝播する光エネルギーの一部を取り出すための手段を
さらに含む、請求項17に記載の光送信機。
【請求項19】
前記手段が、基板内に搭載または形成され、かつ基板内に形成された個々の中空コア導波路により、光源に光学的に結合された入力、および偏光変調器に光学的に結合された出力を有するマルチモード干渉(MMI)対称スプリッタまたはMMI非対称スプリッタを含む、請求項18に記載の光送信機。
【請求項20】
前記手段が、基板内に搭載または形成され、かつ基板内に形成された個々の中空コア導波路により、偏光変調器の出力に光学的に結合された入力、および光送信機の出力に光学的に結合された出力を有するマルチモード干渉(MMI)対称スプリッタまたはMMI非対称スプリッタを含む、請求項18に記載の光送信機。
【請求項21】
基板内に搭載または形成され、かつ光送信機の出力強度を制御するように構成される強度変調器をさらに含む、請求項14から20のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項22】
強度変調器が、MMIスプリッタおよびMMI再結合器を含むマッハツェンダ干渉計デバイスである、請求項21に記載の光送信機。
【請求項23】
中空コア導波路のうちの1つ以上が、正方形の断面からなる、請求項14から22のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項24】
光ファイバを収容するように適合された出力を有する、請求項14から23のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項25】
基板が半導体材料を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項26】
基板がSOIウェーハを含む、請求項25に記載の光受信機。
【請求項27】
基板が、その中に形成された1つ以上の正方形断面チャネルを有する基底部を含み、蓋部分が、前記1つ以上の中空コア導波路を形成するために追加で提供される、請求項1から13、25および26のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項28】
1つ以上の前記光学構成要素が、蓋部分に取り付けられる、請求項27に記載の光受信機。
【請求項29】
前記中空コア導波路のうちの少なくとも1つの内面が、反射被覆を有する、請求項1から13および25から28のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項30】
反射被覆が、光受信機の動作波長帯内で導波路コアの実効屈折率よりも低い実効屈折率を有する表面を提供する1つ以上の材料層を含む、請求項29に記載の光受信機。
【請求項31】
反射被覆が、金、銀、および銅のうちのいずれか1つからなる少なくとも1つの層を含む、請求項30に記載の光受信機。
【請求項32】
反射被覆が、誘電体材料からなる少なくとも1つの層を含む、請求項30に記載の光受信機。
【請求項33】
反射被覆が、炭化ケイ素からなる少なくとも1つの層を含む、請求項32に記載の光受信機。
【請求項34】
0.1μmから20μmまでの波長範囲内の放射で動作するための、請求項1から13および25から33のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項35】
1.4μmから1.6μmまでの波長範囲内の放射で動作するための、請求項34に記載の光受信機。
【請求項36】
基板が半導体材料を含む、請求項14から24のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項37】
基板がSOIウェーハを含む、請求項36に記載の光送信機。
【請求項38】
基板が、その中に形成された1つ以上の正方形断面チャネルを有する基底部を含み、蓋部分が、前記1つ以上の中空コア導波路を形成するために追加で提供される、請求項14から24、36および37のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項39】
前記中空コア導波路のうちの少なくとも1つの内面が、反射被覆を有する、請求項14から24および36から38のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項40】
反射被覆が、光受信機の動作波長帯内で導波路コアの実効屈折率よりも低い実効屈折率を有する表面を提供する1つ以上の材料層を含む、請求項39に記載の光送信機。
【請求項41】
反射被覆が、金、銀、および銅のうちのいずれか1つからなる少なくとも1つの層を含む、請求項40に記載の光送信機。
【請求項42】
反射被覆が、誘電体材料からなる少なくとも1つの層を含む、請求項40に記載の光送信機。
【請求項43】
反射被覆が、炭化ケイ素からなる少なくとも1つの層を含む、請求項42に記載の光送信機。
【請求項44】
0.1μmから20μmまでの波長範囲内の放射で動作するための、請求項14から24および36から43のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項45】
1.4μmから1.6μmまでの波長範囲内の放射で動作するための、請求項44に記載の光送信機。
【請求項46】
請求項1から13および25から35のいずれか一項に記載の光受信機のための基底部であって、基板内に形成された複数のアライメントスロットと接続中空チャネルとを含み、各アライメントスロットが、光学構成要素をアライメントして収容するように適合される基底部。
【請求項47】
請求項14から24および36から45のいずれか一項に記載の光送信機のための基底部であって、基板内に形成された複数のアライメントスロットと接続中空チャネルとを含み、各アライメントスロットが、光学構成要素をアライメントして収容するように適合される基底部。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)

を、

「 【請求項1】
量子鍵配送システムのための光受信機であって、基板内に搭載または形成され、基板内に形成された1つ以上の中空コア導波路により光学的に結合された複数の光学構成要素を含み、さらに、第1の受信機チャネルと第2の受信機チャネルとを含み、各受信機チャネルが、個々の1対の直交偏光状態のうちの一方に偏光した光子を検出し、かつその光子の偏光状態を識別するように構成され、個々の対の偏光状態が相互に傾けられている、光受信機。
【請求項2】
前記光学構成要素のうちの少なくとも1つが、アライメントスロット内に保持される搭載された構成要素であり、アライメントスロットが、基板内に形成され、前記中空コア導波路のうちの1つを横切り、アライメントスロット内に保持される光学構成要素のアライメントをその中空コア導波路に対して画定する、請求項1に記載の光受信機。
【請求項3】
入力光子を受信機チャネルのうちの一方にランダムに向けるための手段を含む、請求項1または2に記載の光受信機。
【請求項4】
前記手段が、基板に形成または搭載されたマルチモード干渉(MMI)デバイスである、請求項3に記載の光受信機。
【請求項5】
前記手段が、ビームスプリッタと、入力光子を受信し、かつ入力光子をビームスプリッタに導くための入力導波路とを含み、ビームスプリッタの各出力が、個々の接続ガイドにより個々の受信機チャネルに光学的に結合され、入力導波路および接続導波路が、基板内に形成された中空コア導波路である、請求項3に記載の光受信機。
【請求項6】
ビームスプリッタが、基板内に形成されたアライメントスロット内に保持され、アライメントスロットが、その中に保持されたビームスプリッタのアライメントを入力導波路および接続導波路に対して画定する、請求項5に記載の光受信機。
【請求項7】
偏光変調器をさらに含み、偏光変調器が、入力導波路を横断するアライメントスロット内部に保持される、請求項5または6に記載の光受信機。
【請求項8】
入力導波路と一体化された偏光変調器をさらに含む、請求項5または6に記載の光受信機。
【請求項9】
第1の受信機チャネルが、第1の偏光ビームスプリッタと、2つの単一光子検出器とを含み、偏光ビームスプリッタが、それぞれが基板内に形成された個々の中空コア導波路により個々の単一光子検出器に光学的に結合される2つの出力を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項10】
第2の受信機チャネルが、第2の偏光ビームスプリッタと、2つの単一光子検出器とを含み、第2の偏光ビームスプリッタが、それぞれが基板内に形成された個々の中空コア導波路により個々の単一光子検出器に光学的に結合される2つの出力を有し、第2の受信機チャネルが、基板内に形成された中空コア導波路により第2の偏光ビームスプリッタの入力に光学的に結合される半波長板をさらに含み、第1の偏光ビームスプリッタおよび第2の偏光ビームスプリッタが、平行な光軸を有し、半波長板の光軸が、第2の偏光ビームスプリッタの光軸に対して22.5°傾けられる、請求項9に記載の光受信機。
【請求項11】
基板内に形成された中空コア導波路のうちの少なくとも一方が、正方形の断面からなる、請求項1から10のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項12】
光ファイバを収容するように適合された入力を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項13】
量子鍵配送システムのための光送信機であって、基板内に搭載または形成され、基板内に形成された1つ以上の中空コア導波路により光学的に結合された複数の光学構成要素を含み、さらに、複数の送信機チャネルを有し、各送信機チャネルが、個々の1対の直交偏光状態のうちの一方に偏光した光子を生成し、かつその偏光状態の光子が当該光送信機の出力に中空コア導波路を介して導かれるように構成され、個々の対の偏光状態が相互に傾けられている、光送信機。
【請求項14】
前記光学構成要素のうちの少なくとも1つが、アライメントスロット内に保持される搭載された構成要素であり、アライメントスロットが、基板内に形成され、前記中空コア導波路のうちの1つを横切り、アライメントスロット内に保持される光学構成要素のアライメントをその中空コア導波路に対して画定する、請求項13に記載の光送信機。
【請求項15】
光源と、偏光変調器とを含み、光源および偏光変調器が、基板内に搭載または形成され、基板内に形成された1つ以上の中空コア導波路により光学的に結合される、請求項13または14に記載の光送信機。
【請求項16】
基板内に形成され、偏光変調器の出力を光送信機の出力に光学的に結合するように構成される1つ以上の中空コア導波路をさらに含む、請求項15に記載の光送信機。
【請求項17】
動作中のときに、光送信機内部を伝播する光エネルギーの一部を取り出すための手段をさらに含む、請求項16に記載の光送信機。
【請求項18】
前記手段が、基板内に搭載または形成され、かつ基板内に形成された個々の中空コア導波路により、光源に光学的に結合された入力、および偏光変調器に光学的に結合された出力を有するマルチモード干渉(MMI)対称スプリッタまたはMMI非対称スプリッタを含む、請求項17に記載の光送信機。
【請求項19】
前記手段が、基板内に搭載または形成され、かつ基板内に形成された個々の中空コア導波路により、偏光変調器の出力に光学的に結合された入力、および光送信機の出力に光学的に結合された出力を有するマルチモード干渉(MMI)対称スプリッタまたはMMI非対称スプリッタを含む、請求項17に記載の光送信機。
【請求項20】
基板内に搭載または形成され、かつ光送信機の出力強度を制御するように構成される強度変調器をさらに含む、請求項13から19のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項21】
強度変調器が、MMIスプリッタおよびMMI再結合器を含むマッハツェンダ干渉計デバイスである、請求項20に記載の光送信機。
【請求項22】
中空コア導波路のうちの1つ以上が、正方形の断面からなる、請求項13から21のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項23】
光ファイバを収容するように適合された出力を有する、請求項13から22のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項24】
基板が半導体材料を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項25】
基板がSOIウェーハを含む、請求項24に記載の光受信機。
【請求項26】
基板が、その中に形成された1つ以上の正方形断面チャネルを有する基底部を含み、蓋部分が、前記1つ以上の中空コア導波路を形成するために追加で提供される、請求項1から12、24および25のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項27】
1つ以上の前記光学構成要素が、蓋部分に取り付けられる、請求項26に記載の光受信機。
【請求項28】
前記中空コア導波路のうちの少なくとも1つの内面が、反射被覆を有する、請求項1から12および24から27のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項29】
反射被覆が、光受信機の動作波長帯内で導波路コアの実効屈折率よりも低い実効屈折率を有する表面を提供する1つ以上の材料層を含む、請求項28に記載の光受信機。
【請求項30】
反射被覆が、金、銀、および銅のうちのいずれか1つからなる少なくとも1つの層を含む、請求項29に記載の光受信機。
【請求項31】
反射被覆が、誘電体材料からなる少なくとも1つの層を含む、請求項29に記載の光受信機。
【請求項32】
反射被覆が、炭化ケイ素からなる少なくとも1つの層を含む、請求項31に記載の光受信機。
【請求項33】
0.1μmから20μmまでの波長範囲内の放射で動作するための、請求項1から12および24から32のいずれか一項に記載の光受信機。
【請求項34】
1.4μmから1.6μmまでの波長範囲内の放射で動作するための、請求項33に記載の光受信機。
【請求項35】
基板が半導体材料を含む、請求項13から23のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項36】
基板がSOIウェーハを含む、請求項35に記載の光送信機。
【請求項37】
基板が、その中に形成された1つ以上の正方形断面チャネルを有する基底部を含み、蓋部分が、前記1つ以上の中空コア導波路を形成するために追加で提供される、請求項13から23、35および36のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項38】
前記中空コア導波路のうちの少なくとも1つの内面が、反射被覆を有する、請求項13から23および35から37のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項39】
反射被覆が、光受信機の動作波長帯内で導波路コアの実効屈折率よりも低い実効屈折率を有する表面を提供する1つ以上の材料層を含む、請求項38に記載の光送信機。
【請求項40】
反射被覆が、金、銀、および銅のうちのいずれか1つからなる少なくとも1つの層を含む、請求項39に記載の光送信機。
【請求項41】
反射被覆が、誘電体材料からなる少なくとも1つの層を含む、請求項39に記載の光送信機。
【請求項42】
反射被覆が、炭化ケイ素からなる少なくとも1つの層を含む、請求項41に記載の光送信機。
【請求項43】
0.1μmから20μmまでの波長範囲内の放射で動作するための、請求項13から23および35から42のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項44】
1.4μmから1.6μmまでの波長範囲内の放射で動作するための、請求項43に記載の光送信機。
【請求項45】
請求項1から12および24から34のいずれか一項に記載の光受信機のための基底部であって、基板内に形成された複数のアライメントスロットと接続中空チャネルとを含み、各アライメントスロットが、光学構成要素をアライメントして収容するように適合される基底部。
【請求項46】
請求項13から23および35から44のいずれか一項に記載の光送信機のための基底部であって、基板内に形成された複数のアライメントスロットと接続中空チャネルとを含み、各アライメントスロットが、光学構成要素をアライメントして収容するように適合される基底部。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)

に補正するものである。

2.補正の適否

本件補正は、
(1)補正前の請求項1を引用する請求項3を請求項1へ繰り上げ独立請求項として記載するとともに、補正前の請求項2を引用する請求項3を、補正後の請求項2へ従属請求項として編成し直すもの
(2)補正前の請求項14に対して、明細書の【0042】の記載及び図9の図示を根拠として、発明特定事項として新たに
「さらに、複数の送信機チャネルを有し、各送信機チャネルが、個々の1対の直交偏光状態のうちの一方に偏光した光子を生成し、かつその偏光状態の光子が当該光送信機の出力に中空コア導波路を介して導かれるように構成され、個々の対の偏光状態が相互に傾けられている、」
を追加し、補正後の請求項13としたもの
の2つの変更を内容とするものである。

前記(1)の補正は、補正前の請求項1、2を削除し、項番号を繰り上げることを内容としているので、特許法第17条の2第5項第1号でいう、請求項の削除を目的とするものと認められる。
ところが、前記(2)の補正は、新たに発明特定事項として追加された内容自体は、本件の優先日前に当業者に周知であったBB84プロトコル及びその原理で新規事項と扱わないとしても、補正の目的について吟味した場合、明らかに補正前の請求項14及びこれに従属する請求項に記載済ではない構成を、“さらに、”として追加する変更を施していることが明らかであるため、特許法第17条の2第5項第2号で言う、特許請求の範囲の減縮に該当しない。
また、同法同条同項のその他の各号に該当しないことも明らかである。

よって、本件補正は、補正の目的要件に違反した内容である上記(2)に係る補正を含むものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反したものである。

3.補正却下むすび

以上のとおり、本件補正は、上記「2.補正の適否」で指摘したとおり、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記結論のとおり決定する。


第3 本願発明について

1.本願発明の認定
平成26年4月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本件補正後の請求項13に対応する本件補正前の請求項14に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年11月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項14に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

(本願発明)
「 【請求項14】
量子鍵配送システムのための光送信機であって、基板内に搭載または形成され、基板内に形成された1つ以上の中空コア導波路により光学的に結合された複数の光学構成要素を含む、光送信機。」

2.引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定
(2-1)引用発明1
本願の優先日前に頒布され、原審の拒絶査定の理由である上記平成25年5月9日付けの拒絶理由通知において引用された特表2007-500370号公報(平成19年1月11日出願公表、以下、「引用文献1」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。

A「【0042】
図1を参照すると、本発明による送信モジュール2は、複数の光学構成要素、すなわち、半導体レーザ光源4、第1の検出器6、光アイソレータ8、GaAs電気光学変調器10、ビームスプリッタ12、第2の検出器14、及びボールレンズ16を含むことが分る。光学構成要素は、シリコン基板18の基部部分に形成されたアラインメントスロットに保持される。中空コア光導波路20も基板18の基部部分に形成され、様々な光学構成要素を光学的に連結するように配置される。」

上記Aには、送信モジュールであって、シリコン基板に形成された中空コア光導波路と、当該導波路に光学的に連結された複数の光学構成要素とを含む送信モジュールが記載されている。
以上のことから、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

(引用発明1)
「送信モジュールであって、シリコン基板に形成された中空コア光導波路と、当該導波路に光学的に連結された複数の光学構成要素とを含む送信モジュール」

(2-2)引用発明2
本願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、原審の拒絶査定の理由である上記平成25年5月9日付けの拒絶理由通知において引用された、国際公開第2007/105834号(2007年9月20日国際公開、以下、「引用文献2」という。)には、関連する図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。

B「 情報理論で無条件安全性が証明されている暗号方式にワンタイムパッド法がある。ワンタイムパッド法は通信文と同じ長さの暗号鍵を用い、暗号鍵を1回で使い捨てることが特徴である。ベネット(Bennett)、ブラッサ-ド(Brassard)著 IEEEコンピュータ、システム、信号処理国際会議(IEEE Int.Conf.on Computers,Systems,and Signal Processing,Bangalore,India,p.175(1984))(非特許文献1)で、現在BB84プロトコルとして広く知られている、ワンタイムパッド法に使用する暗号秘密鍵を安全に配送する具体的なプロトコルがベネット(Bennett)らによりはじめて提案された。これを契機に量子暗号の研究が盛んになっている。量子暗号は物理法則が暗号の安全性を保証するため、計算機の能力の限界に依存しない究極の安全性保証が可能になる。現在多く検討されている量子暗号装置では一ビットの情報を単一光子の状態にエンコードして伝送する。これは、光子が他の量子系に比べると環境による擾乱に強いと同時に、既存の光ファイバー通信技術の活用により長距離の暗号鍵配布が期待できるためである。
理論的にその安全性が証明されている量子暗号装置では、非特許文献1に記載されているように量子力学的2自由度系の2つの区別可能な状態とそれに共役な状態(その重ね合わせ状態)を利用して秘密鍵が安全に伝送される。盗聴行為は量子力学的状態に擾乱を与え、正規送受信者のデータ中のエラーから漏洩情報量が推定できるようにプロトコルが設計されている。このような情報通信に用いられる量子状態はしばしば量子情報と呼ばれる。量子情報を担う量子力学的2自由度系は量子ビットと呼ばれ、それは数学的にはスピン1/2系と等価である。以下、情報担体となる物理系が光子の場合について、従来技術を記述する。
本発明に関わる、光子を量子ビット担体とし長距離伝送のため光ファイバーを伝送路として用いる暗号鍵配布装置について、以下に従来技術を説明する。光子を用いた量子暗号装置については、ツビンデン(Zbinden)ほか著「Experimental Quantum Cryptography」、「INTRODUCTION TO QUANTUM COMPUTATION AND INORMATION(ロー(Lo)ら編著)」(World Scientific、1998年出版)、120ページ(非特許文献2)、エカート(Ekert)ほか著「Quantum Cryptography」、「The Physics of Quantum Information(ボウメスター(Bouwmeester)ら編著)」(Springer、2000年出版)、15ページ(非特許文献3)、ジサン(Gisin)ほか著「Quantum Cryptography」 レビュー・オブ・モダン・フジックス(Rev.Mod.Phys.)、74号(2002年出版)、145-195ページ(非特許文献4)に詳細な説明がある。非特許文献1では、光子の持ちうる2つの偏波基底状態に情報をエンコードする、偏波コーディングと呼ばれる量子暗号装置の実装が提案された。しかしながら、偏波コーディングには伝送路中の偏波回転の実時間制御および補償が必要となるため、光ファイバーを伝送路として用いる長距離暗号鍵配布システムの実装方法としてはあまり使われない。長距離暗号鍵配布システムとしては、2連微弱光パルス間の相対位相に情報をエンコードする、位相コーディングと呼ばれる量子暗号装置の実装がやはりベネットらにより提案され、実現されている。」(第1頁、「背景技術:」欄、第9行?第2頁同欄第28行)

C「 このような問題を解決するため、南部ほか著「BB84 Quantum Key Distribution System Based on Silica-Based Planar Lightwave Circuits」 ジャパン・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn J.Appl.Phys.)、43号(2004年出版)、L1109ページ(非特許文献5)、木村ほか著「Single-photon Interference over 150km Transmission Using Silica-based Integrated-optic Interferometers for Quantum Cryptography」 ジャパン・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn J.Appl.Phys.)、43号(2004年出版)、L1217ページ(非特許文献6)に記載されているように、近年、平面光回路(PLC:Photonic Lightwave Circuit)技術を応用した量子暗号装置が考案され開発されている。この量子暗号装置では、非対称マッハツェンダー干渉系をシリコン基板上にパターニングで形成した光導波路で作製することにより、外乱により影響を受けることのない安定な光学干渉系を、温度制御というパッシブな制御のみによって実現することができ、低雑音のシステムを構築できるというメリットがある。」(第4頁第18行?第5頁第3行)

D「 図1は本発明の第一の実施例に係る量子暗号装置の構成図である。送信装置は量子ビットの情報担体となる光子を発生する4組の微弱レーザ光源からなる光源部(11)と、2組のPLCにより構成された非対称マッハツェンダー干渉系からなる干渉部(12)を備え、他方、受信装置は2組のPLCにより構成された非対称マッハェンダー干渉系からなる干渉部(12)と、4組の光子検出器(D00、D01、D10、D11)からなる検出部(13)により構成されている。また、送信装置と受信装置は微弱光を伝送する光伝送路(14)により接続されている。即ち、図1に示された量子暗号装置は、送信側に4つの微弱レーザ光源を備えると共に、送受信側に2組ずつ、合計4組のマッハツェンダー干渉系を設け、これによって、位相変調器を不要にした構成を特徴とする。」(第8頁、「発明を実施するための最良の形態:」欄、第8行?第9頁第第8行)

上記Bには、光子を量子ビット担体とし長距離伝送のため光ファイバーを伝送路として用いる暗号鍵配布装置を主題とする旨が記載され、上記Cには、平面光回路(PLC:Photonic Lightwave Circuit)技術を応用した量子暗号装置が考案され開発されており、装置の構造上の特徴として非対称マッハツェンダー干渉系をシリコン基板上にパターニングで形成した光導波路で作製することが記載され、上記Dには、図1を参照しつつ、送信装置が、量子ビットの情報担体となる光子を発生する4組の微弱レーザ光源からなる光源部(11)と、2組のPLCにより構成された非対称マッハツェンダー干渉系からなる干渉部(12)を備える旨が記載されている。
以上のことから、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。

(引用発明2)
「光子を量子ビット担体とし長距離伝送のため光ファイバーを伝送路として用いる暗号鍵配布装置の送信装置であって、非対称マッハツェンダー干渉系をシリコン基板上にパターニングで形成した光導波路で作製し、当該非対称マッハツェンダー干渉系は、2組の平面光回路(PLC:Photonic Lightwave Circuit)である、送信装置。」


3.対比

本願発明と引用発明1とを対比する。

引用発明1の「シリコン基板に形成された中空コア光導波路と、当該導波路に光学的に連結された複数の光学構成要素」は、本願発明の「基板内に搭載または形成され、基板内に形成された1つ以上の中空コア導波路により光学的に結合された複数の光学構成要素」に相当する。
また、本願発明の「光送信機」が「量子鍵配送システムのための」とされたシステムを用いた用途を除き、引用発明1の「送信モジュール」と本願発明の「光送信機」とは、機器の種別に関しては「光送信機」である点で共通する。

以上から、本願発明と引用発明1とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

(一致点)

「光送信機であって、基板内に搭載または形成され、基板内に形成された1つ以上の中空コア導波路により光学的に結合された複数の光学構成要素を含む、光送信機。」

(相違点)
本願発明で言う「光送信機」は、「量子鍵配送システムのための」とされたシステムを用いた用途の特定を伴っているのに対して、引用発明1の「送信モジュール」は係る用途の特定を伴っていない点。


4.当審の判断

上記相違点について検討する。

本願発明で、光送信機を特定するために用いられた「量子鍵配送システム」は、本願の明細書の【0001】?【0003】に記述されているとおり、BB84プロトコルの名称で知られた規約により確立済みのものである。
そして、当該プロトコル及び本願明細書及び添付図面で一例として示された発明の態様は、導波路の種別を除き、引用発明2で示された2組のPLCからなる非干渉マッハツェンダー干渉系を備えた送信機と、基本的な構成が一致している。
また、光学回路の導波要素として、中空コア導波路を用いるとした引用発明1と、光子を量子ビット担体とし長距離伝送のため光ファイバーを伝送路として用いる暗号鍵配布装置の送信装置を示す引用発明2とは、装置が採り得る構造上の特徴として、いずれの引用発明も「(シリコン)基板に導波路を形成し、複数の光学要素を導波路が結合している」とする、共通した構造上の特徴を有するもの同士である。
とすれば、たとえ引用発明1が、量子鍵配送システムを実現するために開発されたものではないとしても、既に当該量子鍵配送システムを実現する上で構造上共通した特徴を有した公知の引用発明2が当業者に知られていた状況であることを鑑みれば、本願発明が属する技術分野の当業者が、導波路として中空コア導波路を光送信機に採用する引用発明1の利点を活かしつつ、引用発明2が示す公知の他システムへの適用実現を図り、本願発明と同等の構成に到達することに、特段の支障は無いと言うべきであり、係る相違を格別なものと見る余地はないというべきである。

上記で検討したごとく、当該相違点は格別のものではなく、本願発明の奏する作用効果は、上記引用発明1及び2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明は、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 請求人の主張等について

なお、請求人は、上記平成26年4月10日付け審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】欄の「(3)他の請求項に係る発明」において、以下の前段の主張を述べ、また、拒絶理由通知書を受け提出した上記平成25年11月14日付け意見書では、後段の意見を述べている。

(審判請求書による主張)
『 請求項13に係る発明は、量子鍵配送システムのための光送信機を対象とし、請求項1に係る発明の引用文献1?3に記載された発明に対する差異として述べたのに対して相補的な関係にある、「複数の送信機チャネルを有し、各送信機チャネルが、個々の1対の直交偏光状態のうちの一方に偏光した光子を生成し、かつその偏光状態の光子が当該光送信機の出力に中空コア導波路を介して導かれるように構成され、個々の対の偏光状態が相互に傾けられている」との構成を有する。よって、請求項13に係る発明も、少なくとも請求項1に係る発明について述べたのと同様の理由により、引用文献1?3に記載された発明からその出願前に当業者が容易に発明をすることのできたものではない。』

(意見書による主張)
『 請求項14に係る発明は、量子鍵配送システムの光送信機を対象とし、「基板内に搭載または形成され、基板内に形成された1つ以上の中空コア導波路により光学的に結合された複数の光学構成要素を含む」ことを内容とする。引用文献1の送信モジュール2が量子鍵配送の属する分野になく、上記構成に関する開示ないし教示が他の引用文献2および3のいずれにおいても存在しないことから、請求項14に係る発明は、引用文献1?3に記載された発明からその出願前に当業者が容易に発明をすることのできたものではない。』


そこで、審判請求書及び意見書に関する請求人の主張について、各々当審の見解を述べる。

(審判請求書による主張について)
審判請求書による主張は、上記「第2 平成26年4月10日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.補正の適否」にて、(2)とされた特定事項に立脚したものである。
そして、当該(2)とされた特定事項は、上記「第2 平成26年4月10日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.補正の適否」及び「3.補正却下むすび」にて示したとおり、手続き上却下すべき対象とされているため、却下された事項についてこれ以上採り上げるべき事由はない。

(意見書による主張について)
請求人は、当該引用例1に記載された送信モジュールが、量子鍵配送の属する分野にない点と、『上記構成』とされた『「基板内に搭載または形成され、基板内に形成された1つ以上の中空コア導波路により光学的に結合された複数の光学構成要素を含む」ことを内容とする』構成に関する開示ないし教示が他の引用文献に存在しない点、以上2点を挙げて当業者が容易に発明をすることのできたものではないとの主張を行っている。
これに対し、上記「第3 本願発明について」において当審は、前者の主張点は相違点として認容しつつ、後者の主張点は、上記第3の「4.当審の判断」に示したとおり、引用発明2には本願発明が示す送信機構成の基本が一致し、また、引用発明1も引用発明2も、基板に導波路を形成し、複数の光学要素を導波路が結合している、とする共通した構造上の特徴を有するもの同士であって、引用発明1に対し構造上の共通性が高い引用発明2の公知システムを適用することに特段の支障は無いとの見解を示した。
してみると、請求人が主張する特許法第29条第2項に関する意見は、当審においてその意見に沿い審理されている。


以上のとおり、上記第3の所論は、請求人の審判請求書にてなした主張及び意見書にてなした主張に沿った審理を行ったものであり、これらの主張によって判断が覆るものではない。


第5 むすび

以上のとおり、本願の請求項14に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-02-17 
結審通知日 2015-02-24 
審決日 2015-03-12 
出願番号 特願2010-543562(P2010-543562)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H04L)
P 1 8・ 571- Z (H04L)
P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金沢 史明  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 石井 茂和
西村 泰英
発明の名称 量子鍵配送のための光送信機および光受信機  
代理人 特許業務法人川口國際特許事務所  

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