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審決分類 審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02P
管理番号 1303994
審判番号 不服2014-3327  
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-02-24 
確定日 2015-08-05 
事件の表示 特願2006-244838「自己着火式内燃エンジンのグロー・プラグの動作方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 3月29日出願公開、特開2007- 77984〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年9月8日(パリ条約による優先権主張2005年9月9日、ドイツ連邦共和国、2006年3月6日、ドイツ連邦共和国)の出願であって、平成23年6月13日付けで拒絶理由が通知され、平成24年1月5日に意見書及び手続補正書が提出され、平成24年8月30日付けで再度拒絶理由が通知され、平成25年3月22日に意見書が提出されたが、同年9月26日付けで拒絶査定がされ、平成26年2月24日に拒絶査定に対する審判請求がされ、同年4月24日に審判請求書の請求の理由を変更する手続補正書が提出され、その後、当審において同年10月9日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成27年2月23日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし12に係る発明は、平成27年2月23日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに願書に最初に添付された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
自己着火式内燃エンジンのグロー・プラグの動作方法であって、前記内燃エンジンの前記グロー・プラグのタイプが、前記グロー・プラグに特有なパラメータの検出および評価によって判定され、前記グロー・プラグが、このようにして判定された前記グロー・プラグのタイプに応じて制御される方法において、前記グロー・プラグに特有な前記パラメータが、前記グロー・プラグの電気抵抗、前記グロー・プラグの冷状態の抵抗、前記グロー・プラグの温状態の抵抗、グロー動作での前記グロー・プラグの抵抗勾配、加熱動作の最中の前記グロー・プラグの抵抗の挙動、前記グロー・プラグのインダクタンス、前記グロー・プラグのキャパシタンス、または、前記グロー・プラグのキャパシタンスおよびインダクタンスから成る発振回路の共振周波数である方法。」

第3 先願明細書等の記載、先願明細書等の記載事項及び先願発明
1 先願明細書等の記載
当審拒絶理由で引用された本願の優先日前の特許出願であって、その優先日後に出願公開がされた特願2005-237359号(特開2007-51828号公報)(出願日:H17年(2005年)8月18日)(以下、「先願」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、「グロープラグ通電システム、これに用いるグロープラグ及びグロープラグ制御器」に関して、図面とともに概ね次の記載がある(以下、順に、「記載1a」ないし「記載1d」という。)。

1a 「【0001】
本発明は、イオンの移動による劣化を防止するグロープラグ通電システム、これに用いるグロープラグ及びグロープラグ制御器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用グロープラグは、エンジン内部で高温に発熱するものである。また、暖房用ファンヒータやコピー機などの、予熱や急速加熱、あるいは安定して所望の温度を得たいシステムにもグロープラグが使用される。」(段落【0001】及び【0002】)

1b 「【0014】
また、本発明のグロープラグ制御器は、グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性をクラス分けして記憶する記憶部と、エンジン筐体に取り付けたグロープラグのクラス分けに基づいて上記記憶部から印加電力対発熱能力特性を読み出し、所望の発熱温度を得るために上記特性に基づいて印加電力を制御する印加電力制御部とを備えたものである。」(段落【0014】)

1c 「【0018】
図1に示されるように、本発明に係るグロープラグ通電システムは、エンジン筐体1に取り付けたグロープラグ2に通電を行うグロープラグ通電システムにおいて、グロープラグ2にエンジン筐体1から絶縁された2つの通電用端子3,4を設けると共に、両通電用端子3,4間に陰陽自在に電力印加が可能な駆動回路5を設け、上記駆動回路5の陰陽を切り替える切り替え制御部6を設けたものである。
【0019】
なお、この実施形態では、説明を簡単にするため、エンジン筐体1に取り付けた複数個のグロープラグ2が並列給電されているが、個々のグロープラグ2ごとに配線をして個別に給電できるようにしてもよい。
【0020】
ECU7は、図示省略した各種センサ、アクチュエータ、その他の機器に接続され、エンジンを制御する従来公知のものである。ECU7からのグロープラグ制御信号(直流+)が駆動回路5に入力され、駆動回路5はこのグロープラグ制御信号に基づいた電力を出力端子8,9に出力することによって、その電力を通電用端子3,4間に印加するようになっている。また、切り替え制御部6は、エンジンの始動時ごと、あるいは所定の時間ごとなど、適宜な切替タイミングで駆動回路5に対して陰陽切り替え指令を出すものである。
【0021】
駆動回路5はバッテリ10の陽極に接続されていると共に、シャーシアースを介してバッテリ10の陰極に接続されている。駆動回路5の内部は、特に限定しないが、グロープラグ制御信号に基づいた電力を陰陽自在に切り替えて出力端子8,9に出力することができるようになっていればよい。
【0022】
グロープラグ2は、図2に示されるように、導電性発熱セラミックス21を絶縁性セラミックス22で覆ってなる発熱部23と、該発熱部23をエンジン筐体(図示せず;図1参照)に取り付けるための金属筐体部24と、該金属筐体部24から絶縁され上記発熱部23の異なる箇所に導通する2つの通電用端子3,4とを備えたものである。」(段落【0018】ないし【0022】)

1d 「【0032】
既に述べたように、グロープラグは、その製造工程に起因する個体ごとの性能(特性値)のばらつきがある。そこで、グロープラグを制御する装置(以下、グロープラグ制御器という)がグロープラグの単体ごとの特性値を全て把握していれば、グロープラグの単体ごとに対してその特性値に合致した制御を行うことができる。しかし、全てのグロープラグの単体の特性値を前もってグロープラグ制御器に記録することは不可能であるから、クラス分けを行う。例えば、グロープラグが生産された時点で個別検査において特性値を測定し、クラス分けに応じてID番号をグロープラグに付与する。グロープラグ制御器は、ID番号を人為的設定もしくは自動読み取りによって認識し、あらかじめID番号別に記憶してある特性値を読み出して当該グロープラグの特性値と見なして使用する。
【0033】
具体的には、本発明に係るグロープラグ制御器は、グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性をクラス分けして記憶する記憶部と、エンジン筐体に取り付けたグロープラグのクラス分けに基づいて上記記憶部から印加電力対発熱能力特性を読み出し、所望の発熱温度を得るために上記特性に基づいて印加電力を制御する印加電力制御部とを備えたものである。
【0034】
この構成により、印加電力制御部が記憶部から読み出した印加電力対発熱能力特性に基づいて印加電力を制御するので、所望の発熱温度を確実にかつ安定に得ることができる。」(段落【0032】ないし【0034】)

2 先願明細書等の記載事項
記載1aないし1d及び図面から、先願明細書等には、次の事項が記載されている(以下、順に、「記載事項2a」ないし「記載2d」という。)。

2a 記載1aの「自動車用グロープラグは、エンジン内部で高温に発熱するものである。」(段落【0002】)、記載1b、記載1cの「図1に示されるように、本発明に係るグロープラグ通電システムは、エンジン筐体1に取り付けたグロープラグ2に通電を行うグロープラグ通電システムにおいて、グロープラグ2にエンジン筐体1から絶縁された2つの通電用端子3,4を設けると共に、両通電用端子3,4間に陰陽自在に電力印加が可能な駆動回路5を設け、上記駆動回路5の陰陽を切り替える切り替え制御部6を設けたものである。」(段落【0018】)、記載1dの「具体的には、本発明に係るグロープラグ制御器は、グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性をクラス分けして記憶する記憶部と、エンジン筐体に取り付けたグロープラグのクラス分けに基づいて上記記憶部から印加電力対発熱能力特性を読み出し、所望の発熱温度を得るために上記特性に基づいて印加電力を制御する印加電力制御部とを備えたものである。」(段落【0033】)及び図面によると、先願明細書等には、自動車用エンジンのグロープラグの制御方法が記載されている。

2b 記載1b、記載1dの「グロープラグが生産された時点で個別検査において特性値を測定し、クラス分けに応じてID番号をグロープラグに付与する。」(段落【0032】)及び「グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性をクラス分けして記憶する記憶部」(段落【0033】)、図面並びに記載事項2aによると、先願明細書等には、自動車用エンジンのグロープラグのID番号が、グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性の特性値の測定およびクラス分けによって付与されることが記載されている。

2c 記載1b、記載1dの「グロープラグが生産された時点で個別検査において特性値を測定し、クラス分けに応じてID番号をグロープラグに付与する。グロープラグ制御器は、ID番号を人為的設定もしくは自動読み取りによって認識し、あらかじめID番号別に記憶してある特性値を読み出して当該グロープラグの特性値と見なして使用する。」(段落【0032】)及び「本発明に係るグロープラグ制御器は、グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性をクラス分けして記憶する記憶部と、エンジン筐体に取り付けたグロープラグのクラス分けに基づいて上記記憶部から印加電力対発熱能力特性を読み出し、所望の発熱温度を得るために上記特性に基づいて印加電力を制御する印加電力制御部とを備えたものである。」(段落【0033】)、図面並びに記載事項2a及び2bによると、先願明細書等には、グロープラグが、グロープラグのクラス分けによって付与されたID番号に応じて制御されることが記載されている。

3 先願発明
記載1aないし1d、記載事項2aないし2c及び図面を整理すると、先願明細書等には、次の発明が記載されていると認める(以下、「先願発明」という。)。

「自動車用エンジンのグロープラグの制御方法であって、前記自動車用エンジンの前記グロープラグのID番号が、前記グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性の特性値の測定およびクラス分けによって付与され、前記グロープラグが、グロープラグのクラス分けによって付与された前記グロープラグのID番号に応じて制御される方法。」

第4 対比
本願発明と先願発明を対比する。

先願発明における「自動車用エンジン」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明における「自己着火式内燃エンジン」に相当し、以下、同様に、「グロープラグ」は「グロー・プラグ」に、「制御方法」は「動作方法」に、「ID番号」は「タイプ」に、それぞれ、相当する。
また、先願発明における「前記グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性の特性値」は、本願発明における「前記グロー・プラグに特有なパラメータ」及び「前記グロー・プラグに特有な前記パラメータが、前記グロー・プラグの電気抵抗、前記グロー・プラグの冷状態の抵抗、前記グロー・プラグの温状態の抵抗、グロー動作での前記グロー・プラグの抵抗勾配、加熱動作の最中の前記グロー・プラグの抵抗の挙動、前記グロー・プラグのインダクタンス、前記グロー・プラグのキャパシタンス、または、前記グロー・プラグのキャパシタンスおよびインダクタンスから成る発振回路の共振周波数である」と、「前記グロー・プラグに特有なパラメータ」という限りにおいて一致する。
さらに、先願発明における「測定」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明における「検出」に相当し、以下、同様に、「クラス分け」は「評価」に、「付与」は「判定」に、「グロープラグのクラス分けによって」は「このようにして」に、それぞれ、相当する。

したがって、本願発明と先願発明は、以下の点で一致する。
「自己着火式内燃エンジンのグロー・プラグの動作方法であって、前記内燃エンジンの前記グロー・プラグのタイプが、前記グロー・プラグに特有なパラメータの検出および評価によって判定され、前記グロー・プラグが、このようにして判定された前記グロー・プラグのタイプに応じて制御される方法。」

そして、以下の点で相違又は一応相違する。
<相違点>
「前記グロー・プラグに特有なパラメータ」に関して、本願発明においては、「前記グロー・プラグに特有なパラメータ」及び「前記グロー・プラグに特有な前記パラメータが、前記グロー・プラグの電気抵抗、前記グロー・プラグの冷状態の抵抗、前記グロー・プラグの温状態の抵抗、グロー動作での前記グロー・プラグの抵抗勾配、加熱動作の最中の前記グロー・プラグの抵抗の挙動、前記グロー・プラグのインダクタンス、前記グロー・プラグのキャパシタンス、または、前記グロー・プラグのキャパシタンスおよびインダクタンスから成る発振回路の共振周波数である」であるのに対し、先願発明においては、「前記グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性の特性値」である点(以下、「相違点」という。)。

第5 相違点に対する判断
そこで、相違点について、以下に検討する。

グロープラグの発熱能力は、グロープラグの電気抵抗と印加される電流又は電圧によって決まるものであるから、先願発明における「印加電力対発熱能力特性の特性値」が、「グロープラグの電気抵抗」、「グロー・プラグの冷状態の抵抗」、「グロー・プラグの温状態の抵抗」又は「グロー動作でのグロー・プラグの抵抗勾配」であることは明らかであり、相違点は実質的な相違点とはいえず、本願発明は、先願発明と同一である。
仮に、相違点が実質的な相違点であるとしても、グロープラグの特性値として、電気抵抗は周知であり(必要であれば、下記1ないし3を参照。以下、「周知技術」という。)、先願発明において、「前記グロープラグ個別の印加電力対発熱能力特性の特性値」として、グロープラグの電気抵抗を測定するようにして、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、周知技術の付加、転換等に相当し、それによって新たな効果を奏するものでもないことから、相違点は、課題解決のための具体化手段における微差であり、本願発明は、先願発明と実質同一である。

1 特開2001-330248号公報の記載
本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2001-330248号公報には、「セラミックヒータ又はグロープラグの特性測定方法」に関して、図面とともに概ね次の記載がある(なお、下線は当審で付したものである。他の文献も同様。)。

・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料の着火・燃焼を促進し、また、燃料燃焼時に発生するイオンを検出するように制御されるグロープラグ、又は、グロープラグに用いられるセラミックヒータの特性を測定する特性測定方法に関する。
・・・(略)・・・
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のようなセラミック基体の絶縁抵抗値は、発熱体とセラミック基体との熱膨張係数を合わせるために添加した導電セラミックの素材や添加量によって異なり、また、セラミック基体の温度によって変化する。イオン電流を的確に検出するためには、イオン電流測定の為の回路の特性を適正にする必要がある。このためには、グロープラグあるいはセラミックヒータの温度と絶縁抵抗値との関係が既知であることが好ましい。そこで、セラミックヒータに通電して加熱しつつ、各温度におけるセラミック基体の絶縁抵抗を測定する必要があった。
【0005】本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、セラミックヒータを通電加熱しつつその絶縁抵抗を測定するセラミックヒータ又はグロープラグの特性測定方法を提供することを目的とする。」(段落【0001】ないし【0005】)

2 特開平10-89224号公報の記載
本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開平10-89224号公報には、「グロープラグ」に関して、図面とともに概ね次の記載がある。

・「【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハウジングと該ハウジング内に支持された本体とよりなるグロープラグにおいて,上記本体は,絶縁体と,該絶縁体の内部に設けられた通電発熱体及び該通電発熱体の両端部に電気的に接続されて上記絶縁体の外部に導出された一対のリード線と,上記絶縁体の内部に配設された,火炎中のイオン化の状態を検出するための,イオン検出用電極とよりなり,上記イオン検出用電極は,上記通電発熱体の途中に電気的に接続されていると共に,その先端は上記火炎に曝されるように上記絶縁体から露出しており, かつ,上記イオン検出用電極の先端は,上記ハウジングの先端部から2mm以上離れた位置に配置されていることを特徴とするグロープラグ。
【請求項2】 請求項1において,上記通電発熱体全体の電気抵抗をR(Ω), 上記通電発熱体のプラス端から上記イオン検出用電極の上記先端までの電気抵抗をB(Ω)としたとき,
B(Ω)≧R(Ω)/3
の関係にあることを特徴とするグロープラグ。」(【特許請求の範囲】)

3 特開昭63-110589号公報の記載
本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開昭63-110589号公報には、「ディーゼルエンジン用グロープラグ」に関して、図面とともに概ね次の記載がある。

・「2.【特許請求の範囲】
(1)一端を外部に突出させた状態で中空状ホルダの先端部にセラミックヒータを保持し、このセラミックヒータをU字状発熱部とこのU字状発熱部の両端部から後方に延設した一対のリード部とを導電性セラミック材によって一体に構成し、前記一方のリード部外側面を導電層を介し、他方のリード部外側面を絶縁層を介して前記ホルダ内に接合保持すると共に、前記導電性セラミック材をMx(SiAl)_(12)(ON)_(16)で示されるα/β型サイアロンのMがYまたはCaからなりxが0を越え2.0未満である組成物に対し、20vol.%を越え70vol.%未満のTiNを添加してなるサイアロン焼結体により形成したことを特徴とするディーゼルエンジン用グロープラグ。
・・・(略)・・・
(10)サイアロン焼結体の室温時の電気抵抗率が1Ω・cm以下で、かつ抵抗温度係数が正である特許請求の範囲第1項ないし第9項何れかに記載のディーゼルエンジン用グロープラグ。」(第1ページ左下欄第4行ないし第2ページ右上欄第9行)

第6 請求人の主張について
請求人は、平成27年2月23日提出の意見書において、「このように、先願は、グロープラグのタイプの判定をID番号の認識により行うことを開示するに過ぎず、本願発明のようにグロー・プラグの電気抵抗等の検出および評価によりグロープラグのタイプの判定を行うことは一切開示しないものと思料する。」旨主張するが、上記第3の記載1dの「グロープラグが生産された時点で個別検査において特性値を測定し、クラス分けに応じてID番号をグロープラグに付与する。」(先願明細書等の段落【0032】)によると、先願発明において、本願の特許請求の範囲の請求項5や明細書の段落【0014】及び【0024】に記載されているようなグロープラグの動作進行中ではなく、グロープラグが生産された時点であるとしても、特性値の「測定」(本願発明における「検出」に相当する。)及び「クラス分け」(同じく「評価」に相当する。)により「ID番号」(同じく「タイプ」に相当する。)の「付与」(同じく「判定」に相当する。)を行っており、先願明細書等には、「グロー・プラグの電気抵抗等の検出および評価によりグロープラグのタイプの判定を行う」ことが開示されているといえるので、請求人の上記主張は採用できない。

第7 むすび
したがって、本願発明は、先願発明と同一であり、しかも、本願の発明者が先願発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、本願の出願人が上記先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-10 
結審通知日 2015-03-11 
審決日 2015-03-24 
出願番号 特願2006-244838(P2006-244838)
審決分類 P 1 8・ 16- WZ (F02P)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 出口 昌哉前崎 渉  
特許庁審判長 林 茂樹
特許庁審判官 加藤 友也
藤原 直欣
発明の名称 自己着火式内燃エンジンのグロー・プラグの動作方法および装置  
代理人 井出 正威  

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