ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J |
---|---|
管理番号 | 1304367 |
審判番号 | 不服2014-23875 |
総通号数 | 190 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-10-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-11-25 |
確定日 | 2015-08-13 |
事件の表示 | 特願2013-136643「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月21日出願公開、特開2013-233811〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年12月27日に出願した特願2010-290130号(以下、「原出願」という。)の一部を、平成25年6月28日に、特許法第44条の規定による新たな特許出願としたもので、平成26年3月26日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月20日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされ、これに対し、同年11月25日に本件審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。 なお、平成26年11月25日付けの特許請求の範囲を補正する手続補正は、補正前の請求項1を補正するものであって、請求項4は補正されていない。 第2 本願発明 本願の請求項4に係る発明は、上記の平成26年11月25日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲、並びに、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項4に記載された次のとおりのものと認める(該請求項4に係る発明を、以下「本願発明」という。)。 「画像形成装置の対環境情報の取得要求を受け付ける受付手段と、 前記受付手段により前記取得要求を受け付けたときに、 前記画像形成装置における原材料調達段階における温室効果ガスの排出量を含む前記画像形成装置の温室効果ガスの排出量の総量を表示部に表示する表示手段と、 を備えることを特徴とする画像形成装置。」 第3 引用発明 1 刊行物1 原査定の拒絶理由で引用された、本願の原出願前である平成21年10月1日に頒布された刊行物である特開2009-223394号公報(以下「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は審決で付した。以下同じ。) ア 「【0002】 近年の環境意識の高まりにより、パーソナルコンピュータ(PC)、ファクシミリ機、プリンタ、及びコピー機等のOA(Office automation)機器を含む電子機器の環境負荷(二酸化炭素などの温室効果ガス、窒素酸化物などの大気汚染物質、油などの水質汚濁物質等の量)を評価する装置の必要性が高くなってきている。」 イ 「【0021】 本発明の電子機器は、前記電子機器がOA機器を含む。 ウ 「【0031】 図2は、環境負荷情報データベース5に記録されている情報の一例を示した図である。 環境負荷情報データベース5には、図2(a)に示すように、PC1やその周辺機器等の電子機器に用いられる部品と、その部品を製造する際に排出された二酸化炭素量とが対応付けて記録されている。同じカテゴリの部品であっても、型番によって二酸化炭素排出量が異なるため、各部品には、型番毎に二酸化炭素排出量が記録されている。」 エ 「【0033】 図3は、1つの部品を製造する際に排出された二酸化炭素量の算出方法を説明するための図である。 部品製造時の二酸化炭素排出量は、部品の組成によるものと、部品を製造する施設で消費されるエネルギーによるものとに分けられる。部品の組成による二酸化炭素排出量は、図3(a)の表の「部品毎の負荷」に示したような演算式によって求めることができる。エネルギーによる二酸化炭素排出量は、図3(b)の表の「エネルギー毎の環境負荷」に示したような演算式によって求めることができる。」 オ 「【0035】 以下、PC1がPC1全体の環境負荷を算出する際の動作について説明する。 図5は、PC1による環境負荷の算出処理を説明するためのフローチャートである。 電源がONされると、電力消費量の測定が開始される(ステップS1)。次に、PC1の立ち上げ動作がCPU11により実行される(ステップS2)。次に、CPU11は、ユーザに対して環境負荷(PC1全体の二酸化炭素排出量)の表示を行うか否かを確認するメッセージを表示装置2に表示させる。ユーザがキーボード3を操作して、環境負荷の表示を行わない指示を行った場合(ステップS3:N)、CPU11は立ち上げ動作を完了する。 【0036】 ユーザがキーボード3を操作して、環境負荷の表示を行う指示を行った場合(ステップS3:Y)、CPU11は、PC1本体の型番と、PC1本体に装着されている表示装置2やキーボード3等の外部周辺機器を含めたPC1全体の機器構成(各構成部品の型番)とを認識する(ステップS4)。この認識はシステム起動時に行う公知の手法により実現することができる。 【0037】 次に、CPU11は、認識したPC1の製品型番に基づいて、PC1の製造場所情報、組立時の二酸化炭素排出量の情報、及び廃棄時の二酸化炭素排出量の情報を環境負荷情報データベース5から取得し、認識した各構成部品の型番に基づいて各構成部品の製造時の二酸化炭素排出量の情報を取得する(ステップS5)。」 カ 「【0039】 CPU11は、以下の(1)?(4)の処理により、PC1全体の二酸化炭素排出量の情報を生成する。 (1)各構成部品の製造時の二酸化炭素排出量の総和を求めて、PC1全体の製造時の二酸化炭素排出量の情報を生成する。 (2)第一の消費電力量に第二の消費電力量を加算して、PC1の現在までの使用による二酸化炭素排出量の情報を生成する。 (3)PC1の製造場所情報と、ユーザからキーボード3を介して予め入力されていたPC1を購入した場所の情報と、PC1内又はネットワーク上にある図示しない地図データベースとから、PC1が販売店まで輸送された距離を算出し、この距離に応じた二酸化炭素排出量の情報を生成する。例えば、PC1を10トントラックにm個積載した状態での1個当たりの輸送による輸送負荷量Xは、X={(輸送距離×10t)÷m}となるため、これに単位輸送負荷量あたりの二酸化炭素排出量を乗じることで、PC1の輸送による二酸化炭素排出量を算出することができる。 (4)(1)で算出した二酸化炭素排出量と、(2)で算出した二酸化炭素排出量と、PC1の組立時の二酸化炭素排出量の総和を算出する。 この(1)?(4)の各々で求められた情報が、それぞれ、PC1全体の二酸化炭素排出量の情報となる。 【0040】 CPU11は、二酸化炭素排出量の情報を生成した後、その情報を表示装置2に表示させ(ステップS7)、その後、立ち上げ動作を完了する。このときの表示例を図6に示す。表示例1では、上記(4)の演算で生成された数値を表示している。表示例2では、上記(1)、(2)、(3)の演算でそれぞれ生成された二酸化炭素排出量と、ステップS5で取得したPC1の廃棄時の二酸化炭素排出量とを、それぞれ分けて表示している。」 キ 刊行物1の【図3】(a)からは、「部品」、「材料」及び「質量」の項目があるとともに、例えば、「質量」の項目が「Ag」である行の「部品毎の負荷」の項目には、「A×ABS原単位+A×成型原単位+A×組立原単位」との演算式が示されており(Aは質量を表している。)、当該部品の「材料」の原単位と「質量」の値を乗じたものが含まれることが看て取れる。 上記アないしキの事項を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「ユーザがキーボードを操作して環境負荷の表示を行う指示を行った場合に、各構成部品の製造時の二酸化炭素排出量の総和を含むPC全体の二酸化炭素の排出量を算出し、各構成部品の製造時の二酸化炭素排出量を求めるための演算式には部品の材料の原単位と質量の値を乗じたものが含まれており、二酸化炭素排出量の情報を生成した後、その情報を表示装置に表示させるPC。」 第4 対比 そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、 1 後者は「キーボード」は、前者の「受付手段」に相当する。 2 後者の「表示装置」は、前者の「表示手段」に相当する。 3 後者の「環境負荷」は、前者の「対環境情報」に相当する。そして、後者の「環境負荷の表示を行う指示」は、上記第3の1ア、オ及びカの記載事項からすれば、当該指示があった場合に、環境負荷としてのPC全体の二酸化炭素排出量を算出するための各種二酸化炭素排出量の情報を取得するものと解されるから、前者の「対環境情報の取得要求」に相当する。 4 後者の「二酸化炭素排出量」は、前者の「温室効果ガスの排出量」に相当する。 また、「PC全体の二酸化炭素の排出量」が当該PCの二酸化炭素の排出量の総量を表していることは明らかである。 さらに、前者の「原材料調達段階における温室効果ガスの排出量」とは、本願の明細書における「CO_(2)排出量=Σ(活動量i×CO_(2)排出原単位)・・・(I) iは上述した原材料調達から廃棄・リサイクルまでの活動量(プロセス)である。 ライフサイクルの各段階と活動量(プロセス)の例とを(1)から(5)に示す。 (1)原材料調達段階の活動量は、素材使用量である。」(段落【0053】)との記載をみれば、素材使用量にCO_(2)排出原単位を乗じて得られる量の総和である。そして、後者の「各構成部品の製造時の二酸化炭素排出量の総和」を求めるための演算式には「材料」の原単位と「質量」の値を乗じたものが含まれるから、「各構成部品の製造時の二酸化炭素排出量の総和」は、「部品の材料の原単位と質量の値を乗じたもの」の各構成部品の総和を含んでいる。してみると、後者の「部品の材料の原単位と質量の値を乗じたもの」の各構成部品での総和は、前者の「原材料調達段階における温室効果ガスの排出量」に相当する。 また、後者の「PC」と前者の「画像形成装置」とは、「装置」の概念で共通する。 また、後者の「各構成部品の製造時の二酸化炭素排出量の総和を含むPC全体の二酸化炭素の排出量」は、「装置における各構成部品の製造時の二酸化炭素排出量の総和を含む前記装置の二酸化炭素の排出量の総量」といえる。 したがって、両者は、 「装置の対環境情報の取得要求を受け付ける受付手段と、 前記受付手段により前記取得要求を受け付けたときに、 前記装置における原材料調達段階における温室効果ガスの排出量を含む前記装置の温室効果ガスの排出量の総量を表示部に表示する表示手段と、 を備える装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 装置に関して、本願発明が、「画像形成装置」であるのに対し、引用発明は、「PC」である点。 第5 判断 上記相違点について以下検討する。 刊行物1の「近年の環境意識の高まりにより、パーソナルコンピュータ(PC)、ファクシミリ機、プリンタ、及びコピー機等のOA(Office automation)機器を含む電子機器の環境負荷(二酸化炭素などの温室効果ガス、窒素酸化物などの大気汚染物質、油などの水質汚濁物質等の量)を評価する装置の必要性が高くなってきている。」(段落【0002】)及び「本発明の電子機器は、前記電子機器がOA機器を含む。」(段落【0021】)との記載からみて、刊行物1には、引用発明のPCのみならず、プリンタやコピー機等のOA機器の温室効果ガスの排出量を表示することを想定していることが示されているといえる。してみると、刊行物1における、プリンタやコピー機といった画像形成装置に、ユーザの操作に応じて温室効果ガスの排出量を表示する手段を備えることの示唆を踏まえて、引用発明において、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 なお、画像形成装置に、ユーザの操作を受け付ける受付手段と、操作に応じた情報を表示する表示手段とを備えるものがあることは、技術常識(必要であれば、特開2007-196485号公報段落【0022】及び図13を参照されたい。)である。 そして、本願発明の全体構成によって奏される効果も、引用発明から当業者が予測し得る範囲内のものである。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-06-10 |
結審通知日 | 2015-06-16 |
審決日 | 2015-06-29 |
出願番号 | 特願2013-136643(P2013-136643) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B41J)
P 1 8・ 121- Z (H04N) P 1 8・ 121- Z (G03G) P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大浜 登世子 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
吉村 尚 山本 一 |
発明の名称 | 画像形成装置 |
代理人 | 神田 正義 |
代理人 | 宮尾 明茂 |
代理人 | 藤本 英介 |
代理人 | 馬場 信幸 |