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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1306789
審判番号 不服2014-3332  
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-02-24 
確定日 2015-10-13 
事件の表示 特願2009-106309「栄養剤、消化器剤」拒絶査定不服審判事件〔平成22年11月11日出願公開、特開2010-254619〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成21年4月24日(30条適用)の出願であって、平成25年8月30日付けで拒絶理由が通知され、同年10月28日に意見書、手続補正書が提出されたが、同年11月26日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、平成26年2月24日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされた後、平成27年1月13日付け審尋に対して、同年3月9日に回答書が提出されたものである。

2.平成26年2月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年2月24日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
この補正は、
補正前の
「【請求項1】
A.イソフラボンまたはイソフラボン配糖体、B.クルクミン、C.田七人参、およびD.コール酸、またはシムノールまたはシムノールエステルのA、B、C、Dを含むことを特徴とする栄養剤、クローン病用薬剤、潰瘍性大腸炎用薬剤、過敏性大腸炎用薬剤および下痢用薬剤。」


「【請求項1】
A.イソフラボンまたはイソフラボン配糖体、B.クルクミン、C.田七人参、およびD.コール酸、またはシムノールまたはシムノールエステルのA、B、C、Dを含むことを特徴とするクローン病用薬剤および下痢用薬剤。」

とする補正を含むものである。

上記請求項1についてした補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である、薬剤の用途について、「栄養剤、クローン病用薬剤、潰瘍性大腸炎用薬剤、過敏性大腸炎用薬剤および下痢用薬剤。」から、「クローン病用薬剤および下痢用薬剤。」に限定したものであり、また、該補正によって、発明が解決しようとする課題や産業上の利用分野は変更されていない。
そうすると、上記補正は、第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の請求項1に記載した発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下、検討する。

(2)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布されたことが明らかな特開2004-182599号(原審の「引用文献3」に相当。以下、「引用例A」という。)には、次の事項が記載されている。

引用例A
a-1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】イソフラボンおよび/またはイソフラボン配糖体、および/または辛味物質、苦味物質又は酸味物質、および/またはコール酸、および/またはシムノールおよび/またはシムノールエステルを含むことを特徴とする強筋肉剤、抗炎症剤、抗脳梗塞後遺症剤、抗運動麻痺剤、抗喘息剤、抗視力減退剤、抗肝炎剤、抗炎症性腸疾患剤、抗機能性腸障害剤、抗機能性心臓障害剤、抗機能性肝臓障害剤、抗機能性腎臓障害剤、抗下痢剤、抗痴呆症剤。

(請求項2?4 省略)

【請求項5】辛味物質がクルクミンであることを特徴とする請求項1?4のいずれかに記載の強筋肉剤、抗炎症剤、抗脳梗塞後遺症剤、抗運動麻痺剤、抗喘息剤、抗視力減退剤、抗肝炎剤、抗炎症性腸疾患剤、抗機能性腸障害剤、抗機能性心臓障害剤、抗機能性肝臓障害剤、抗機能性腎臓障害剤、抗下痢剤、抗痴呆症剤。
(請求項6?12 省略)」(特許請求の範囲)

a-2)「・・・この出願発明で抗炎症性腸疾患剤患は、クローン病剤、抗潰瘍性大腸炎剤をなどを含むものであり、・・・」(段落0004)

a-3)「その他の成分として、医薬品一般が使用され、ビタミン類、抗生物質、抗ガン剤、ヘム鉄、プルーンエキス、生薬が使用される。
生薬としては、扶正の効果を有するもの、例えば、自律神経に支配される器官、腺、血管の機能を賦活するもの、消化を助けるものが好ましい。」(段落0011)

a-4)「実施例6
ソフトカプセル
クルクミン 25mg
シムノール硫酸エステルNa 1mg
大豆イソフラボン 125mg
タラ肝油 80mg
酢酸トコフェロール 5mg
人参エキス 200mg
ミツロウ 55mg
食用油 適量
合計 1200mg
(1日分 4カプセル)
同様に、大豆イソフラボンの代わりに大豆イソフラボン配糖体を使用してソフトカプセルを製造した。」(段落0025)

a-5)「・・・実施例6のカプセル剤を1日1回服用した。この服用によりつぎのような効果が得られた。・・・過敏性大腸炎25才の男性が4週間で治った。過敏性大腸炎の32才の男性が4週間で改善された。胃潰瘍、下痢の66才の男性が2週間で治った。下痢の66才の女性が4週間で治った。潰瘍性大腸炎の29才の女性が1週間で治った。下痢、冷え性の42才の女性が8週間で治った。下痢と便秘を繰り返す男性が治った。クローン病の36才の男性が3週間で治った。・・・」(段落0051)

a-6)「【発明の効果】この出願発明は、イソフラボン、コール酸またはシムノール、および辛味物質、苦味物質又は酸味物質、とくに、辛味物質を投与することによりそれらの相乗作用により、筋肉の衰え、炎症とくに関節炎、リウマチなどの関節炎に対して治療、予防できる強筋肉剤、抗炎症剤あるいは抗脳梗塞後遺症剤、抗運動麻痺剤、抗喘息剤、抗視力減退剤、抗肝炎剤、抗炎症性腸疾患剤、抗機能性腸障害剤、抗機能性心臓障害剤、抗機能性肝臓障害剤、抗機能性腎臓障害剤、抗下痢剤、抗痴呆症剤を提供することができるという優れた効果がある。・・・」(段落0052)

同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布されたことが明らかな、難波恒雄,Biotherapy,2000,Vol.14, No.10,p.999-1008(原審の「引用文献6」に相当。以下、「引用例B」という。)には、次の事項が記載されている。

引用例B
b-1)要旨 田七人参は,三七人参,三七,田三七,田七などとも称し,ウコギ科のサンシチニンジンPanax notoginseng(BURK.)F.H.CHEN ex C.Y.Wu et K.M.FENGの根を乾燥した漢薬で,古くから止血薬として知られている。・・・」(要旨)

b-2)「V.漢方における薬能
三七の薬性は温,薬味は甘,微苦である。李時珍は『本草綱目』(1596年)でその効能を「血を止め,血を散じ,痛を鎮める。・・・また吐血,衄血,下血,血痢,崩中,経水止まらぬ時,・・・にも主効がある」と述べている。現代までの薬効はこれに尽きる。
三七の効能をまとめると,止血,化【お】(「やまいだれ」に「於」、以下、同じ。),止痛,消腫の四効が主要なもので,内服,外用を問わず臨床的に優秀な効果が認められてきた。臨床上,三七の止血効果は非常に顕著であり,その特徴は「血を止め,【お】血を留めず,痛みを鎮め,腫を消す」ことにある。
それゆえ大量出血あるいは出血が止まらない場合に多く応用される。・・・止血と同時に補血作用も考えられ,・・・血痢・・・などの諸血症に応用される。・・・」(1006頁右欄下から7行?1008頁右欄下から3行)

引用例Aには、実施例6のカプセル剤を1日1回服用した、クローン病の36才の男性が3週間で治ったことが記載されている(上記a-5))。そして、上記a-4)の記載によれば、実施例6のカプセル剤は、クルクミン、シムノール硫酸エステルNa、大豆イソフラボンを含むソフトカプセルである。
以上の記載からみて、引用例Aには、「大豆イソフラボン、クルクミン、およびシムノール硫酸エステルNaを含むクローン病治療剤。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
本願補正発明の「イソフラボン」は、請求項2に、「イソフラボンが大豆イソフラボンである」、と規定されており、大豆イソフラボンを含むものと認められるから、引用発明の「大豆イソフラボン」は、本願補正発明の「イソフラボン」に相当する。また、本願補正発明の「シムノールエステル」は、たとえば、本願明細書の実施例2、3などに、「シムノール硫酸エステルNa」がソフトカプセル成分、ドリンク剤成分として含まれていることから、「シムノール硫酸エステルNa」を含むものと認められるから、引用発明の「シムノール硫酸エステルNa」は、本願補正発明の「シムノールエステル」に相当する。
また、引用発明の「クローン病治療剤」が、本願補正発明の「クローン病用薬剤」に相当することは明らかである。

そうすると、本願補正発明と引用発明とは、「A.イソフラボン、B.クルクミン、D.シムノールエステルを含むことを特徴とするクローン病用薬剤。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点
薬剤成分に関し、本願補正発明が、「C.田七人参を含む」と規定しているのに対して、引用発明には、この点について規定がない点

(4)判断
そこで、上記相違点について、以下、検討する。

クローン病は、大腸の炎症性疾患であって、下痢や血便などの諸症状を合併することが多いこと、下血をきたす症例があることは、本件出願日前、広く知られるところであるから(必要なら、多田正大ら,治療,1997,Vol.79, No.8,p.87-90(原審の「引用文献8」に相当。)、斉藤幸夫ら,臨床と研究,1989,vol.66, No.12,p.69-74(原審の「引用文献9」に相当。)参照)、クローン病患者の治療において、これら下血をきたす症例にあっても有効な薬剤が望まれることは明らかであるといえる。

引用例Bには、田七人参が、漢薬として、古くから止血薬として知られていること(上記b-1))、その効能として、下血や血痢に有効であること(上記b-2))が記載されている。
これら記載に接した当業者であれば、田七人参が、下血や血痢の症状を示す患者に有効な薬剤成分であることを理解するものと認める。

ところで、引用例Aには、「抗炎症性腸疾患は、クローン病剤・・・などを含むものであり」(上記a-2))と記載されており、引用例Aの請求項1に記載された発明(上記a-1))は、クローン病剤を包含するものであるから、引用発明は、同請求項記載の発明の実施態様に相当する。よって、引用例Aの、「その他の成分として、医薬品一般が使用される」との記載(上記a-3))は、引用発明にも当てはまるものである。
そうすると、クローン病治療剤に係る引用発明において、クローン病に付随する下血や血痢の症状に有効な薬剤を提供するために、さらに、引用例Aにおいてともに使用するとされているその他の成分として、下血、血痢に有効な成分であることが引用例Bに記載されている田七人参を含む薬剤とすることは、引用例Bの記載に基づいて当業者が容易になし得たことと認める。

本願明細書記載の本願補正発明の効果は、「クルクミン、イソフラボン、シムノールを主成分とする「気血水」に、田七人参を加えることにより、消化器系疾患に極めて優れた効果を発現することを見出した」(段落0002)、「この出願発明は、イソフラボンおよび/またはイソフラボン配糖体と、辛味物質、苦味物質又は酸味物質と、田七人参、およびコール酸、および/またはシムノールおよび/またはシムノールエステルを投与することによりそれらの相乗作用により、栄養不良、消化器不全に対してより早く治療、予防できる栄養剤、消化器剤を提供することができるという優れた効果がある。とくに、クローン病・・・、下痢に対してより早く治療、予防できるという優れた効果がある。」(段落0006)、というものであり、表1には、クローン病と確定診断された症例において、平均投与期間が約5?7日間で著効を得た例が一つあったことが記載されている。
しかし、本願補正発明の消化器系疾患、すなわち、クローン病や下痢に対する効果は、田七人参を含まない引用発明においても既に奏されていた効果にすぎないものである。
そして、本願明細書には、田七人参の有無による効果の違いを示す試験結果はなんら示されていないから、該成分を加えたことによる効果を本願明細書の試験結果から評価することはできない。
表1には、「この出願発明による効果」であるとして、著効、有効、無効の別に区分した評価がなされているが、該評価の基準は不明である。仮に、表1記載の評価が、クローン病患者の下血や血痢の症例についての効果の点で本願補正発明が、引用発明に対し優れた効果を奏したことを意味するものであるとしても、すでに検討のとおり、本件出願日前、当該技術分野において望まれていた、下血をきたすクローン病患者の治療という課題を解決するために、田七人参を引用発明に加えるという手段を用いた結果、下血や血痢の症状を示す患者に有効な薬剤成分である田七人参によって得られることが予測される効果を奏したというにすぎないから、それをもって、本願補正発明が予想外に優れた効果を奏したものとはいえない。
また、本願明細書記載の「クローン病・・・、下痢に対してより早く治療、予防できる」との効果は、何に比べて「より早い」ことをいうのか明確ではないが、仮に、田七人参を加えることにより、早く治療、予防できることをいうものであるとしても、表1に、本願補正発明についての効果発現期間が約5?7日間であった旨の記載があるが、田七人参を含まない点でのみ異なる薬剤の効果発現期間が不明である以上、該成分の有無により、その治療に要する期間が異なるか否かは不明である。そして、該比較試験をすることなく、たとえば、該比較試験に代えて、本願明細書の表1記載の試験結果と、引用例Aの、36才男性のクローン病患者が3週間で治った旨の記載とを比較して、本願補正発明と引用発明との効果の優劣を論ずることはできないことは以下に記載のとおりである。
まず、表1記載の試験結果が、如何なる薬剤を用いた試験によって得られたものかについて本願明細書には何ら記載されておらず、それが本願補正発明について試験した結果であるか否か不明である。
仮に、表1が、本願補正発明の試験結果であるとしても、本願明細書記載の「著効」とされた判断基準と引用発明の「治った」との判断基準が同じか否かは不明であるし、たとえ、両者の判断基準が同じであったとしても、治療に要する期間は、患者の病態(重篤度)、年齢、性別、さらには、投与した薬剤量によって左右されることは明らかであり、それら条件が一致するか否か不明である以上、本願明細書記載の試験結果と、引用例A記載の試験結果とを比較することはできないというほかない。
よって、本願明細書の「クローン病・・・、下痢に対してより早く治療、予防できる」との記載があることをもって、直ちに、本願補正発明が引用発明に対し優れた効果を奏することが示されているものと認めることはできない。
そもそも、発明の新規性の喪失の例外の適用を受けるために請求人が提出した証明書には、本願明細書の表1と同じ試験結果が記載されており、また、その試験における使用薬剤について、クルクミン(鬱金)と、大豆イソフラボン(大豆)をスクアランオイルで溶剤にした、”気血水”を使用した旨の記載や、下血には、田七人参サポニンを用い、田七人参末と阿膠末を温服させた旨の記載があるが、コール酸、またはシムノールまたはシムノールエステルについて記載されていないことからすると、それと同じ試験結果を示した本願明細書記載の表1においても同じ薬剤が用いられたことが推認されるから、本願補正発明についての試験結果といえないのではないか、との疑いがある。

請求人は、引用例6、7(審決注:引用例6は、本審決の「引用例B」に相当。)に、クローン病用薬剤についての記載がないことを挙げて、本願発明においては、引用例を組み合わせる動機付けがないと主張する。また、仮に、動機付けがあるとしても、配合禁忌の問題があり、引用例から本願発明の効果を予測することは困難であるし、多くの成分の中から、特許請求の範囲に記載されたとおりの成分を選択して組み合わせることにより、本願明細書の段絡0006、0034記載のとおり、引用例から予測しえない優れた効果を発揮することができたものであるから、本願発明は進歩性を有する旨主張する(平成27年3月9日提出の回答書4)。
しかし、引用発明の成分と田七人参とを組み合わせる動機付けがあると認められることは、上記においてすでに検討したとおりである。そして、上記a-1)、a-3)の摘記事項から、引用例Aには、引用発明の成分が、その他の成分として、医薬品一般とともに使用される旨の記載があると認められるし、他方、田七人参が、種々の薬剤と併用して製剤化される医薬品であることも、引用例Bの表4、5の記載から明らかである。上記いずれの文献にも、両成分の配合禁忌についての記載は見当たらず、どちらの成分も、他方の医薬品と組み合わせて使用することを排除する特段の事由があると理解できない以上、上記請求人の、動機付け、配合禁忌、効果の予測性に関する主張及び記載は、上記の認定を左右するものではない。
そして、本願明細書の記載から、本願補正発明が引用例から予測しえない優れた効果を発揮することができたものと認められないことは、上記検討のとおりであり、また、他に、本願補正発明が引用発明から容易に想到できる発明と比較して顕著な効果を有すると認めるに足りる証拠はない。
よって、請求人の主張はいずれも採用することができない。

したがって、本願補正発明は、引用例A及び引用例Bに記載された発明、並びに本件出願日前の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成26年2月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成25年10月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)

「【請求項1】
A.イソフラボンまたはイソフラボン配糖体、B.クルクミン、C.田七人参、およびD.コール酸、またはシムノールまたはシムノールエステルのA、B、C、Dを含むことを特徴とする栄養剤、クローン病用薬剤、潰瘍性大腸炎用薬剤、過敏性大腸炎用薬剤および下痢用薬剤。」

(1)引用例等の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項、並びに本件出願日前の技術常識は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明の「栄養剤、クローン病用薬剤、潰瘍性大腸炎用薬剤、過敏性大腸炎用薬剤および下痢用薬剤」について、その種類を「クローン病用薬剤および下痢用薬剤」に限定したものが本願補正発明である(前記「2.(1))。
そして、前記「2.(4)」に記載したとおり、本願補正発明は、引用例A及び引用例Bに記載された発明、並びに本件出願日前の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該本願補正発明を包含する本願発明も、同様の理由により、引用例A及び引用例Bに記載された発明、並びに本件出願日前の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-30 
結審通知日 2015-07-07 
審決日 2015-08-19 
出願番号 特願2009-106309(P2009-106309)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61K)
P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長岡 真  
特許庁審判長 内田 淳子
特許庁審判官 穴吹 智子
辰己 雅夫
発明の名称 栄養剤、消化器剤  
代理人 熊田 和生  
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