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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  C12G
審判 全部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C12G
審判 全部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C12G
審判 全部無効 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  C12G
管理番号 1307379
審判番号 無効2012-800145  
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-09-06 
確定日 2015-11-02 
事件の表示 上記当事者間の特許第3530247号「アルコール飲料の風味向上剤及び風味向上法」の特許無効審判事件についてされた平成25年 8月27日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成25年(行ケ)第10271号、平成26年11月10日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 特許第3530247号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件無効審判の請求に係る特許3530247号(以下「本件特許」という。)の手続の経緯は、以下のとおりである。
平成 7年 2月20日 本件特許出願
平成16年 3月 5日 設定登録
平成24年 9月 6日 無効審判請求書(請求人)(甲1?5)
同年12月 3日 訂正請求書・答弁書(被請求人)(乙1?6)
同年12月18日 補正書(被請求人)
平成25年 2月12日 弁駁書(請求人)(甲6)
同年 3月 4日 訂正拒絶理由通知書
同年 4月 5日 意見書(被請求人)(乙7)
同年 5月24日 審理事項通知書
同年 6月20日 口頭審理陳述要領書(請求人)(甲7?9)
同年 6月20日 口頭審理陳述要領書(被請求人)(乙8?17)
同年 7月 4日(差出日) 上申書(請求人)(甲10?11)
同年 7月 4日 口頭審理
同年 7月12日 上申書(請求人)(甲12?16の4)
同年 7月18日 上申書(請求人)
同年 7月23日 上申書(被請求人)(乙18?22)
同年 8月 1日 上申書(請求人)
同年 8月27日 一次審決
平成26年11月10日 判決言渡(平成25年(行ケ)第10271号)
平成27年 1月29日 審理再開通知
同年 2月 6日 審決の予告
同年 4月13日 訂正請求書(被請求人)
同年 6月10日 弁駁書(請求人)
同年 7月24日 答弁書(被請求人)
同年 8月26日 審理終結通知
なお、平成27年4月13日付け訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)がされたため、平成24年12月3日付け訂正請求は、特許法第134条の2第6項の規定により、取り下げたものとみなされる。
以下、本審決において、記載箇所を行により特定する場合、行数は空行を含まない。また、証拠は、例えば甲第1号証を甲1のように略記する。

第2 本件訂正請求について
1 訂正の内容
本件訂正請求の趣旨は、特許第3530247号の明細書を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり、請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであって、具体的には、以下の(訂正事項1-1)?(訂正事項2-6)のとおりに訂正することを求めるものである。
(1)請求項1に係る訂正
(訂正事項1-1)
訂正前の請求項1に
「【請求項1】 シュクラロースからなることを特徴とするアルコール飲料の風味向上剤。」
とあったものを、
「【請求項1】 シュクラロースからなることを特徴とする、アルコール飲料のアルコール濃度を低下させることなくアルコールに起因する苦味及びバーニング感を抑える、アルコール飲料の風味向上剤。」
と訂正する(下線は訂正箇所を示す。以下同じ。)。

(訂正事項1-2)
訂正前の明細書の段落【0004】に
「アルコール飲料のアルコールに起因する苦味やバーニング感を抑え、アルコールの軽やか風味を生かしたアルコール飲料の風味向上剤」
とあったものを、
「アルコール飲料のアルコール濃度を低下させることなく、すなわちアルコールの軽やかな風味を生かして、アルコールに起因する苦味やバーニング感を抑える、アルコール飲料の風味向上剤」
と訂正する。

(訂正事項1-3)
訂正前の明細書の段落【0005】に
「シュクラロースからなるアルコール飲料の風味向上剤が提供される。」
とあったものを、
「シュクラロースからなることを特徴とする、アルコール飲料のアルコール濃度を低下させることなくアルコールに起因する苦味及びバーニング感を抑える、アルコール飲料の風味向上剤が提供される。」
と訂正する。

(訂正事項1-4)
訂正前の明細書の段落【0007】に
「本発明においてはアルコール飲料にシュクラロースを添加することにより、アルコールの軽やか風味を生かしたまま、アルコールに起因する苦味やバーニング感を抑えて風味を向上させることができる。」
とあったものを、
「本発明においてはアルコール飲料にシュクラロースを添加することにより、アルコール濃度を低下させることなく、すなわちアルコールの軽やか風味を生かしたまま、アルコールに起因する苦味やバーニング感を抑えて風味を向上させることができる。」
と訂正する。

(訂正事項1-5)
訂正前の明細書の段落【0007】に
「0.0001?0.002%」、「0.002%」、「0.0001?2%」
とあったものを、それぞれ
「0.0001?0.002部」、「0.002部」、「0.0001?2部」
と訂正する。

(訂正事項1-6)
訂正前の明細書の段落【0024】に
「本発明によれば、アルコール飲料にシュクラロースを添加することにより、アルコール飲料のアルコールに起因する苦味やバーニング感を抑え、アルコールの軽やか風味を生かしたアルコール飲料の風味を向上することが可能となる。」
とあったものを、
「本発明によれば、アルコール飲料にシュクラロースを添加することにより、アルコール飲料のアルコール濃度を低下させることなく、すなわちアルコールの軽やかな風味を生かして、アルコールに起因する苦味やバーニング感を抑えたアルコール飲料の風味を向上することが可能となる。」
と訂正する。

(2)請求項2?4からなる一群の請求項に係る訂正
(訂正事項2-1)
訂正前の請求項2に
「【請求項2】 アルコール飲料にシュクラロースを添加することを特徴とするアルコール飲料の風味向上法。」
とあったものを、
「【請求項2】 アルコール飲料にシュクラロースを添加することを特徴とする、アルコール飲料のアルコール濃度を低下させることなくアルコールに起因する苦味及びバーニング感を抑える、アルコール飲料の風味向上法。」
と訂正する。

(訂正事項2-2)
訂正事項1-2と同じ。

(訂正事項2-3)
訂正前の明細書の段落【0006】に
「シュクラロースを添加するアルコール飲料の風味向上法が提供される。」
とあったものを、
「シュクラロースを添加することを特徴とする、アルコール飲料のアルコール濃度を低下させることなくアルコールに起因する苦味及びバーニング感を抑える、アルコール飲料の風味向上法が提供される。」
と訂正する。

(訂正事項2-4)
訂正事項1-4と同じ。

(訂正事項2-5)
訂正事項1-5と同じ。

(訂正事項2-6)
訂正事項1-6と同じ。

2 本件訂正請求に対する当事者の主張
被請求人は、訂正事項1-1、2-1は特許請求の範囲の減縮を目的とし、訂正事項1-2、1-3、1-4、1-6、2-2、2-3、2-4、2-6は明瞭でない記載の釈明を目的とし、訂正事項1-5、2-5は誤記の訂正を目的とするものであって、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正要件を満たしている旨主張する。
これに対し、請求人は、訂正事項1-1?1-4、1-6は、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正ではないから、請求項1に係る訂正は認められるべきではなく、また、訂正事項2-1?2-4、2-6は、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正ではないから、請求項2?4からなる一群の請求項に係る訂正は認められるべきではない旨主張する。

3 本件訂正請求に対する当審の判断
訂正事項1-2が、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であるかを検討する。
訂正事項1-2に係る「アルコール濃度を低下させることなく、すなわちアルコールの軽やかな風味を生かして」との記載について、「すなわち」とは、「[一]《名》・・・[二]《副》(1)即座に。ただちに。すぐに。・・・(2)そこで。そうして。・・・(3)(上をうけてさらにその意を再び明らかにする語)いいかえれば。とりもなおさず。・・・(4)(上の条件句の当然の帰結として下の句へつなぐ)然るときには。そうなるときは。・・・」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味であって、上記訂正事項1-2に係る記載の文脈では、上記(3)又は(4)が妥当するから、上記訂正事項1-2に係る記載は、アルコール濃度を低下させないことと、アルコールの軽やかな風味を生かすことが同義である、あるいは、アルコール濃度を低下させなければ、当然の帰結として、アルコールの軽やかな風味を生かすことになるという技術的事項を意味していると解される。
しかしながら、アルコール濃度を低下させないことと、アルコールの軽やかな風味を生かすことが同義である、あるいは、アルコール濃度を低下させなければ、当然の帰結として、アルコールの軽やかな風味を生かすことになるという技術的事項は、願書に添付した明細書に記載されていない。また、前記知的財産高等裁判所の審決取消の判決(平成26年11月10日判決言渡)でも「「アルコールの軽やか風味」という用語の意味は、不明瞭といわざるを得ない。」と認定されたように、そもそも、「アルコールの軽やかな風味」という用語の意味が、願書に添付した明細書に記載されておらず、技術常識を参酌しても明らかではないから、アルコール濃度を低下させないことと、アルコールの軽やかな風味を生かすことが同義である、あるいは、アルコール濃度を低下させなければ、当然の帰結として、アルコールの軽やかな風味を生かすことになるとの技術的事項は、技術常識を参酌しても、願書に添付した明細書の記載から導くことはできない。

被請求人は、平成27年4月13日付け訂正請求書において、「訂正前明細書の段落【0003】から【0004】の記載、具体的には「アルコール飲料の風味を改善する方法としては、水、炭酸水、果汁等による希釈又は各種エキス、香料、甘味料等の添加等の方法が採られているが、アルコールの濃度を低下させることなく苦味やバーニング感をやわらげる方法は確立されていない。本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、アルコール飲料のアルコールに起因する苦味やバーニング感を抑え、アルコールの軽やか風味を生かしたアルコール飲料の風味向上剤及び風味向上法を提供することを目的とする。」との記載から明らかなとおり、本件特許発明のアルコール飲料においてアルコール(そのもの)の軽やか風味が生かされるのは、アルコール濃度が低下しない結果として得られる効果である。また、このことは、訂正前明細書の段落【0007】にも、「本発明においてはアルコール飲料にシュクラロースを添加することにより、アルコールの軽やか風味を生かしたまま、アルコールに起因する苦味やバーニング感を抑えて風味を向上させることができる。」と記載されていることからも明らかである。つまり、「アルコールの軽やか風味を生かす」と「アルコール濃度を低下させることなく」とは表裏一体の関係にあり、実質的に同一のことを意味する。」(4頁13行?30行)と主張し、平成27年7月24日付け答弁書においても同旨の主張をする(9頁下から9行?10頁12行)。
しかし、被請求人が指摘する上記【0003】、【0004】、【0007】の記載のどこにも、アルコール濃度が低下しない結果としてアルコールの軽やか風味が生かされることは示されていない。そして、「アルコールの軽やか風味」がアルコールの風味である以上、当該風味を生かすための条件としてアルコール濃度が低下しないことが必要であるとしても、アルコール濃度が低下しなければ、当然に、アルコールの軽やか風味が生かされるという結果が得られるとまでは解することができない。よって、上記被請求人の主張は理由がない。

したがって、アルコール濃度を低下させないことと、アルコールの軽やかな風味を生かすことが同義である、あるいは、アルコール濃度を低下させなければ、当然の帰結として、アルコールの軽やかな風味を生かすことになるという技術的事項を含む訂正事項1-2は、願書に添付した明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であるとはいえない。
さらに、訂正事項1-4、1-6、2-2、2-4、2-6も、訂正事項1-2と同様の技術的事項を導入するものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であるとはいえない。

以上のとおり、訂正事項1-2、1-4、1-6、2-2、2-4、2-6は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であるとはいえず、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法第1条の規定による改正前の特許法(以下「平成6年改正前の特許法」という。)第134条第2項ただし書きの規定に適合しないから、本件訂正請求における、請求項1に係る訂正及び請求項2?4からなる一群の請求項に係る訂正は認められない。

第3 本件特許発明
上記のとおり、本件訂正請求における、請求項1に係る訂正及び請求項2?4からなる一群の請求項に係る訂正は認められないため、本件特許の請求項1?4に係る発明(以下「特許発明1?4」という。)は、願書に添付した明細書の記載からみて、次の事項により特定される発明と認める。
「【請求項1】 シュクラロースからなることを特徴とするアルコール飲料の風味向上剤。
【請求項2】 アルコール飲料にシュクラロースを添加することを特徴とするアルコール飲料の風味向上法。
【請求項3】 アルコール飲料に含まれるエチルアルコール100部に対してシュクラロースを0.0001?2.0部添加する請求項2記載のアルコール飲料の風味向上法。
【請求項4】 アルコール飲料に含まれるエチルアルコール100部に対してシュクラロースを0.001?2.0部添加する請求項2記載のアルコール飲料の風味向上法。」

第4 請求人の主張
特許第3530247号の請求項1?4に記載された発明についての特許をいずれも無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、下記「2 証拠方法」に示した証拠方法を提出するとともに、次に示す無効理由を主張している。無効理由について、これまでの主張を整理すると次のとおりである。

1 無効理由の概要
(1) 無効理由1(特許法第123条第1項第4号)
ア 特許発明1について
(ア) (無効理由1-1)・・・用語
「アルコールに起因する「バーニング感」や「焼け感」という用語は一般的ではなく、本件特許明細書の記載を参酌しても、本件発明がどのような風味を改善しようとするものなのか不明確である。」(審判請求書6頁25?27行、同7頁17?19行)
「「アルコールの軽やか風味を生かした」という用語も一般的でなく、本件特許明細書の記載を参酌しても不明である。」(口頭審理陳述要領書4頁8?12行)
よって、平成6年改正前の特許法第36条第4項の要件を満たしていない。

(イ) (無効理由1-2)・・・添加量の範囲
「本件特許明細書には、シュクラロースのアルコール飲料の風味向上効果は、アルコール飲料中に含まれるアルコール含量よりもむしろアルコール飲料自身の味に左右されるとも記載されており、ウォッカ、日本酒、ビール、ウィスキー等の甘味を付与しないアルコール飲料と、カクテル、リキュール、チューハイ等の甘味を付与するアルコール飲料では、シュクラロースの好適な量が異なること、甘味を付与しないアルコール飲料では、アルコール100部に対しシュクラロース0.002%(0.002部の誤記と思われる)を超えると甘味がアルコール飲料の嗜好を低下させる場合がおることなどが記載されている。
しかしながら、本件特許明細書の実施例では、アルコール水溶液にシュクラロース等を加えて苦味抑制と焼け抑制を評価した結果と、3種類のアルコール飲料、即ちレモンライム、果汁入りアルコール飲料、及び梅フィズに、様々な濃度のシュクラロースを加えて、甘味度と苦味抑制効果を評価したことしか記載されておらず、他の多種多様なアルコール飲料において、どのような範囲でシュクラロースを加えれば風味が改善されるのかまったく不明である。」(審判請求書17頁11?24行、18頁1?17行)
よって、平成6年改正前の特許法第36条第4項の規定を満たしていない。(審判請求書6頁末行?7頁5行)

(ウ) (無効理由1-3)・・・試行錯誤
当業者は、本件特許明細書の記載内容及び出願時の技術常識を考慮しても、アルコール濃度や他の成分により多様な味を呈する種々のアルコール飲料の風味をシュクラロースで改善できるとは考えられず、仮に相当の試行錯誤を重ねたとしても本件発明を実施することは非常に困難である。(審判請求書18頁7?10行、19頁下から2行?20頁2行)
よって、平成6年改正前の特許法第36条第4項の規定を満たしていない。(審判請求書6頁末行?7頁5行)

(エ) (無効理由1-4)・・・一般化
「本件発明の課題を解決するために、当業者が本件特許明細書の記載内容及び出願時の技術常識を考慮しても、発明の詳細な説明に開示された内容を請求項の全範囲にまで拡張ないし一般化できるとは認められない。従って、本体発明は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。」(審判請求書7頁20?23行)
よって、平成6年改正前の特許法第36条第5項第1号に規定する要件を満たしていない。

イ 特許発明2?4について
上記「(1)ア(ア)」?「(1)ア(エ)」のことは、発明のカテゴリーが形式的に異なっても同様であり、本件発明2?4に関しても同じことがいえる。(審判請求書18頁11?12行、20頁3?4行)

(2) 無効理由2(特許法第123条第1項第2号)
審判請求書11頁に「(4-3)本件発明と甲第1号証との対比」とする項で、甲1記載の発明との対比が記載されており、「甲第1号証に記載された発明において、ソーマチンに代えてシュクラロースを用いることに当業者が容易に想到しうるかどうか検討する。」(審判請求書13頁11?12行)とあるから、無効理由は次のように整理される。
特許発明1?4は、甲第1号証に記載された発明において、ソーマチンに代えてシュクラロースを用いることは甲第2号証?甲第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものであるから、本件特許の出願日に施行されていた特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
従って、本件特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

2 証拠方法
甲1 大橋司郎 等、月刊 フードケミカル 10、株式会社食品化学
新聞社、昭和60年10月1日、40?47頁
甲2 I. KNIGHT, The development and applications of sucralose,
a new high-intensity sweetener , CAN. J. PHYSIOL.
PHARMACOL., vol.72, 1994, pp.435-439
甲3 特開昭57-186459号公報
甲4 特公平5-34943号公報
甲5 特開昭63-173572号公報
甲6 特開平5-271101号公報
甲7 板倉省吾編集兼発行人、JIS 官能検査用語 JIS Z 8144-1990
、財団法人日本規格協会、8刷、平成13年11月19日、6頁
甲8 サンスター株式会社ウェブサイト(オーラルケア製品液体ハミガ
キ・洗口液製品QA)[検索日2013/06/19]、インターネット
<URL:http://jp.sunstar.com/inquiry/qa/page_02.html>
甲9 SUNSTAR G・U・M製品ブランドサイト(商品ラインアップ
ガム・デンタルリンス)[検索日2013/06/19]、インターネット
<URL:http://www.teamgum.net/lineup/rinseeconde/>
甲10 再公表特許WO/2002/067702
甲11 特願2002-567084号の平成20年7月28日付け拒
絶理由通知書
甲12 Australian Society of Viticulture and Oenologyのウェブサイ
ト、[検索日 不明]、インターネット
<URL:http://www.asvo.com.au/training/ASWE%20Taste%20Sensations.pdf>
甲13 Indian Wine Academyのウェブサイト、[検索日2013/07/12]、
インターネット
<URL:http://www.indianwineacademy.com/dm 154 item 2.asp>
甲14 公益社団法人アルコール健康医学協会のウェブサイト、[検索日
2013/07/12]、インターネット
<URL:http://www.arukenkyo.or.jp/health/base/>
甲15 「食の教科書 ウイスキーの基礎知識」、株式会えい出版社、
2010年10月10日、142頁
(当審注:「えい出版社」の「えい」は、木偏に世の文字を表す。)
甲16の1 サントリーホールディングス株式会社ウェブサイト、[検索日
2013/07/12]、1989年2月10日ニュースリリース、インターネット
<URL: http://www.suntory.co.jp/news /5115.html >
甲16の2 サントリーホールディングス株式会社ウェブサイト、[検索日
2013/07/12]、1989年2月10日、ウイスキーの用語集、インターネ
ット
<URL: http://www.suntory.co.jp/whisky/dictionary/atoz/ta.html>
甲16の3 ウイスキー用語集、[検索日 2013/07/12]、インターネット
<URL: http://www7b.biglobe.ne.jp/~usquebaugh/whisky_word.htm>
甲16の4 キリンビール株式会社ウェブサイト、平成13年2月15日ウェブ
サイト、[検索日 2013/07/12]、インターネット
<URL:http://www.kirin.co.jp/company/news/10/010215_2.html>

第5 被請求人の主張
本審判請求は成り立たない、審判費用は、請求人の負担とするとの審決を求め、下記乙1?乙22を提出して、請求人の主張はいずれも失当であって、本件特許には、特許法第29条第2項、同法第36条第4項及び同条第5項第1号に基づく無効理由は存在しない、と反論している。
乙1 被請求人の従業者笹川慎作成による実験報告書1、2012年11月22
日作成
乙2 小学館ランダムハウス英和大辞典、株式会社小学館、16版、1990
年1月20日、349-350頁「burn」の項
乙3 被請求人の従業者芳仲幸治作成による実験報告書2、2012年11月
30日作成
乙4 大橋司郎ら、「天然甘味料ソーマチンの風味向上効果」、
New Food Industry,Vol.27,No.3 ,1985, 33-39頁
乙5 古賀邦正、「ウイスキーの科学」知るほどに飲みたくなる「熟成」
の神秘、株式会社講談社、2009年11月20日、184-185頁
乙6 被請求人の従業者芳仲幸治作成による平成2012年11月30日付け陳
述書「1997年当時に知られた甘味物質について」(別紙1?9添付)
乙7 T. H. Grenby, PROGRESS IN SWEETENERS, ELSEBIR APPLIED
SCIENCE,1989, p.131-132,
乙8 丸善食品総合辞典、丸善株式会社、平成10年3月25日、924頁
「風味」の項及び962頁「フレーバー」の項
乙9 JIS 官能検査用語 JIS Z 8144-1990、6頁、18頁
乙10 香りの百科事典、丸善株式会社、2刷、平成18年1月15日、610頁
乙11 香りの総合事典、株式会社朝倉書店、2版、1999年4月1日、190-1
91頁
乙12 飲料用語事典、株式会社ビバリッジ ジャパン社、平成11年6月
25日、154頁
乙13 飲食事典、株式会社平凡社、初版23刷、1985年3月25日発行、19頁
乙14 香料の事典、株式会社朝倉書店、8版、1989年10月1日、214頁、
222頁
乙15 簡明食辞林第二版、株式会社樹村房、二版、平成9年4月25日、
970頁
乙16 総合食品事典 第六版 ハンディ版、株式会社同文書院、
平成12年9月1日、六版新訂版7版、第448頁「焼酎」の項
乙17 食と味覚、株式会社建帛社、初版、2008年4月25日、3-6頁及び26
-27頁
乙18 簡明食辞林、初版7刷、平成6年5月2日、41-42頁「アルコール
いんりょう[-飲料]」の項及び389頁「しゅせい[酒精]」の項
乙19 JIS官能評価分析-方法(JISZ9080:2004)、財団法人日本規格協会
、1刷、平成16年3月20日、11-12頁及び22頁
乙20 特開平7-82588号公報
乙21 笹倉栄恵、「紅茶の香気成分に関する研究 市販紅茶のトップノー
トの比較研究」、家政学雑誌、Vol.21、No.3、1970年、9-14頁
乙22 特開2010-175299号公報

第6 無効理由に対する判断
知的財産高等裁判所は、平成26年11月10日言渡の判決において、前記第4 1(1)に示した(無効理由1-1)及び(無効理由1-2)につき、以下のとおり判示した。

「以上によれば、「アルコールの軽やか風味」という用語の意味は、不明瞭といわざるを得ない。そして、前述のとおり、当業者は、本件発明の実施に当たり、「軽やか風味」については「生かしたまま」、すなわち、減殺することなく、アルコール飲料全体の風味を向上させられるか、という点を確認する必要があるところ、「軽やか風味」の意味が不明瞭である以上、上記確認は不可能であるから、本件特許の発明の詳細な説明は、「アルコールの軽やか風味」という用語に関し、実施可能性を欠くというべきである。」

「前記1において前述したとおり、「アルコールの軽やか風味」という用語の意味が不明瞭であることから、当業者において、「アルコールの軽やか風味を生かしたまま、アルコールに起因する苦味やバーニング感を抑えて、アルコール飲料の風味を向上する」ために必要なシュクラロースの添加量を決めることは不可能といわざるを得ない。
したがって、本件明細書は、添加量に関して実施可能性を欠くものといえるから、当業者は、本件明細書の記載に基づき、多種多様なアルコール飲料についてシュクラロースの添加量を決めることができるという本件審決の判断は、誤りである。」

上記判決は、行政事件訴訟法第33条第1項の規定により、本特許無効審判事件について、当合議体を拘束する。

よって、本件特許の発明の詳細な説明は、「アルコールの軽やか風味」という用語に関し、実施可能性を欠き、また、シュクラロースの添加量に関して実施可能性を欠くから、平成6年改正前の特許法第36条第4項の要件を満たしていない。

第7 むすび
以上のとおり、本件特許は、平成6年改正前の特許法第36条第4項の要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、本件特許の請求項1ないし4に係る発明についての特許は、他の無効理由について検討するまでもなく、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-26 
結審通知日 2015-08-28 
審決日 2015-09-14 
出願番号 特願平7-30693
審決分類 P 1 113・ 841- ZB (C12G)
P 1 113・ 531- ZB (C12G)
P 1 113・ 534- ZB (C12G)
P 1 113・ 121- ZB (C12G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 恵理子  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 千壽 哲郎
紀本 孝
登録日 2004-03-05 
登録番号 特許第3530247号(P3530247)
発明の名称 アルコール飲料の風味向上剤及び風味向上法  
代理人 田村 有加吏  
代理人 小林 幸夫  
復代理人 田中 智典  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
代理人 小笠原 耕司  
復代理人 山崎 臨在  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 坂田 洋一  
代理人 片倉 秀次  
代理人 小林 綾子  
代理人 松野 英  
代理人 赤堀 龍吾  
代理人 田中 千博  
代理人 溝内 伸治郎  

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