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審決分類 審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 B42D
管理番号 1311619
審判番号 不服2014-18064  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-10 
確定日 2016-03-09 
事件の表示 特願2012-279543「省エネ行動シート」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月16日出願公開、特開2013- 91320〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年12月25日に出願した特願2009-295281号の一部を、平成22年3月31日に新たな特許出願とした特願2010-82481号の一部を、さらに平成23年10月14日に新たな特許出願とした特願2011-226569号を同日に実用新案登録出願(実願2011-6024号)に変更し、この実願2011-6024号を、さらに平成24年12月21日に特許出願(特願2012-279524号)に変更し、この特願2012-279524号の一部を同日に新たな特許出願としたものであって、平成26年6月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月10日付けで拒絶査定に対する不服審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、上記の平成26年9月10日付け手続補正後の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、その請求項3に係る発明は次のとおりのものである。
「建物内の場所名と、軸方向の長さでその場所での単位時間当たりの電力消費量とを表した第三場所軸と、
時刻を目盛に入れた時間を表す第三時間軸と、
取るべき省エネ行動を第三場所軸と直交する第三時間軸によって特定される一定領域に示すための第三省エネ行動配置領域と、
からなり、
第三省エネ行動配置領域に省エネ行動により節約可能な単位時間当たりの電力量を第三場所軸方向の軸方向の長さ、省エネ行動の継続時間を第三時間軸の軸方向の長さとする第三省エネ行動識別領域を設けることで、該当する第三省エネ行動識別領域に示される省エネ行動を取ることで節約できる概略電力量(省エネ行動により節約可能な単位時間当たりの電力量と省エネ行動の継続時間との積算値である面積によって把握可能な電力量)を示すことを特徴とする省エネ行動シー ト。」(以下「本願発明」という。)


第3 当審の判断(発明の成立性について(特許法第29条第1項柱書き))
(1) 自然法則の利用について
特許法2条1項は、発明について、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」をいうと規定するところ、人は、自由に行動し、自己決定することができる存在である以上、人の特定の精神活動、意思決定、行動態様等に有益かつ有用な効果が認められる場合があったとしても、人の特定の精神活動、意思決定や行動態様等自体は、直ちには自然法則の利用とはいえない。
したがって、ある課題解決を目的とした技術的思想の創作が、いかに、具体的であり有益かつ有用なものであったとしても、その課題解決に当たって、専ら、人間の精神的活動を介在させた原理や法則、社会科学上の原理や法則、人為的な取り決めや、数学上の公式等を利用したものであり、自然法則を利用した部分が全く含まれない場合には、そのような技術的思想の創作は、同項所定の「発明」には該当しない。

(2) 本願発明の構成について
本願発明の構成は、「省エネ行動シート」という図表のレイアウトについて、軸(「第三場所軸」と「第三時間軸」)と、これらの軸によって特定される領域(「第三省エネ行動配置領域」と「第三省エネ行動識別領域」)のそれぞれに名称を付し、意味付けすることによって特定するものであるから、各「軸」及び各「領域」の名称及び意味、という提示される情報の内容に特徴を有するものである。
そして、図表の各「軸」、及び軸によって特定される「領域」に、それぞれ「第三場所軸」、「第三時間軸」、「第三省エネ行動配置領域」及び「第三省エネ行動識別領域」という名称及び意味を付して提示すること自体は、直接的には自然法則を利用するものではなく、本願発明の「省エネ行動シート」を提示された人間が、領域の大きさを認識・把握し、その大きさの意味を理解することを可能とするものである。
また、本願発明の「省エネ行動シート」は、人間に提示するものであり、何らかの装置に読み取らせることなどを予定しているものではない。そして、人間に提示するための手段として、紙などの媒体に記録したり、ディスプレイ画面に表示したりする態様などについて、何らかの技術的な特定をするものではないから、一般的な図表を記録・表示することを超えた技術的特徴が存するとはいえない。

(3) 本願発明の課題と作用効果について
本件明細書の前記記載によれば、本願発明は、従来技術においては、各省エネ行動によってどれくらいの電力量又は電力量料金を節約できるのかを一見して把握することが難しく、どの省エネ行動を優先的に行うべきかを把握することが難しかったという課題(【0005】)を解決し、省エネ行動を取るべき時間と場所を一見して把握することが可能になり、かつ、各省エネ行動を取ることにより節約できる概略電力量を把握することが可能になるという効果(【0007】)を奏するものである。
本願発明の上記作用効果は、一方の軸と、他方の軸の両方向への広がり(面積)を有する「領域」を見た人間が、その領域の面積の大小に応じた大きさを認識し、把握することができること、さらに「軸」や「領域」に名称や意味が付与されていれば、その「領域」の意味を理解することができる、という心理学的な法則(認知のメカニズム)を利用するものである。このような心理学的な法則により、領域の大きさを認識・把握し、その大きさの意味を理解することは、専ら人間の精神活動に基づくものであって、自然法則を利用したものとはいえない。

(4) 小括
以上のとおり、本願発明の「省エネ行動シート」の構成及びそれを提示(記録・表示)する手段は、専ら、人間の精神活動そのものを対象とする創作であり、自然法則を利用した技術的思想の創作とはいえない。また、本願発明の奏する作用効果も、自然法則を利用した効果とはいえないから、本願発明に係る「省エネ行動シート」は、特許法2条1項にいう「発明」に該当しないものである。


第4 むすび
上記第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項柱書きに規定される「産業上利用することができる発明」に該当しないから、同項の規定により特許をすることができない。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-05-13 
結審通知日 2015-05-14 
審決日 2015-05-27 
出願番号 特願2012-279543(P2012-279543)
審決分類 P 1 8・ 14- Z (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 吉村 尚
藤本 義仁
発明の名称 省エネ行動シート  
代理人 工藤 一郎  
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