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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61K 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K |
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管理番号 | 1312317 |
審判番号 | 不服2014-7349 |
総通号数 | 197 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-04-21 |
確定日 | 2016-03-09 |
事件の表示 | 特願2009-26776「洗浄剤組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成22年8月19日出願公開、特開2010-180181〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成21年2月6日に出願されたものであって、平成25年1月30日付けで拒絶理由が通知され、同年4月5日に意見書及び手続補正書が提出され、平成26年1月14日付けで拒絶査定され、同年4月21日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年8月7日付けで前置審査の結果が報告され、当審において、同年11月21日付けで審尋され、平成27年1月23日に回答書が提出されたものである。 第2.補正の却下の決定 [結論] 平成26年4月21日付け手続補正書による補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成26年4月21日付け手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、特許法第17条の2第1項ただし書第4号に掲げる場合の補正であって、特許請求の範囲について、本件補正前の 「【請求項1】 下記(A)?(C)成分を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。 (A):ポリオール 0.001?3質量% (B):平均分子量がポリオール(A)の5倍以上のポリオール 0.001?2質量% (C):非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の界面活性剤 【請求項2】 ポリオール(A)とポリオール(B)が同一の繰り返し単位を有する請求項1?3のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。 【請求項3】 繰り返し単位が下記一般式(1)で表されるものである請求項4に記載の洗浄剤組成物。 [化1] -(OCH_(2)CH_(2))- …… (1)」(なお、請求項2が「請求項1?3」を引用し、請求項3が「請求項4」を引用しているのは、それぞれ、「請求項1」、「請求項2」を引用することの明らかな誤記である。) を 「【請求項1】 下記(A)?(C)成分を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。 (A):繰り返し単位が下記一般式(1)のみで表され、かつ平均分子量1000以下のポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上のポリオールを組成物中に合計0.001?3質量% (B):繰り返し単位が下記一般式(1)のみで表され、かつ平均分子量がポリオール(A)における最大の平均分子量の15倍以上のポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上のポリオールを組成物中に合計0.001?2質量% (C):非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の界面活性剤 [化1] -(OCH_(2)CH_(2))- …… (1)」 とする補正を含むものである。 2.本件手続補正の適否について検討する。 (1)本件手続補正の目的について 特許請求の範囲に係る本件補正は、 補正事項1:本件補正前の請求項1及び2を削除するとともに、同請求項3を請求項1及び2を引用しない形式に書き下す補正 補正事項2:ポリオール(A)及び(B)とも、繰り返し単位を一般式(1)のみで表されるものとする補正 補正事項3:ポリオール(A)及び(B)の含有量を、組成物中の各ポリオールの合計量とする補正 補正事項4:ポリオール(A)を「平均分子量を1000以下のポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上」のものとする補正 補正事項5:ポリオール(B)を「平均分子量がポリオール(A)における最大の平均分子量の15倍以上のポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上」のものとする補正 ここで、補正事項4及び5は、それぞれポリオール(A)及び(B)について、平均分子量を特定の範囲に限定するものであり、かつ本件補正前の請求項3に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野および解決しようとする課題は同一であるから、補正事項4及び5は特許請求の範囲の減縮に該当する。 したがって、補正事項4及び5は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。 (2)独立特許要件について 上記のとおり、特許請求の範囲に係る本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものであるので、さらに、同条第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件に適合するか否かについて検討する。 ア.本件補正後の請求項1に係る発明 本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「下記(A)?(C)成分を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。 (A):繰り返し単位が下記一般式(1)のみで表され、かつ平均分子量1000以下のポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上のポリオールを組成物中に合計0.001?3質量% (B):繰り返し単位が下記一般式(1)のみで表され、かつ平均分子量がポリオール(A)における最大の平均分子量の15倍以上のポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上のポリオールを組成物中に合計0.001?2質量% (C):非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の界面活性剤 [化1] -(OCH_(2)CH_(2))- …… (1)」 イ.引用刊行物及びその記載事項について 刊行物1:特開2007-254573号公報 (拒絶査定の「付記」で引用文献Aとして、また前置報告書(平成26年11月21日付け審尋参照)で引用文献1として引用された文献である。) 本願出願前に頒布されたことが明らかな刊行物1には、次の記載がある。 「【実施例1】 【0032】 本発明品1?15及び比較品1?5:洗顔料 …… 【0033】 …… 注1:ビューライトSHAA(三洋化成工業社製)(ドデカン-1,2-ジオール酢酸エーテルナトリウムの純分量として記載) 注2:ビスコセーフLMPE(川研ファンケミカル社製)((ラウリル/ミリスチル)グリコールヒドロキシプロピルエーテルの純分量として記載) 注3:ビスコセーフLPE(川研ファンケミカル社製)(ラウリルグリコールヒドロキシプロピルエーテルの純分量として記載) …… 注5:MERQUAT PLUS3331(NALCO COMPANY社製)(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体の純分量として記載) …… 【0040】 実施例3:リンスインシャンプー (成分) (%) 1.N-ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10 2.ドデカン-1,2-ジオール酢酸エーテルナトリウム(注1)10 3.ラウリン酸アミドプロピルベタイン 5 4.アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリル アンモニウム共重合体(注5) 1 5.高重合ポリエチレングリコール(注7) 0.1 6.アモジメチコーンエマルジョン(注8) 1 7.(ラウリル/ミリスチル)グリコールヒドロキシ プロピルエーテル(注2) 1 8.ラウリルグリコールヒドロキシプロピルエーテル(注3) 1 9.塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 0.5 10.塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.1 11.グリセリン 0.1 12.プロピレングリコール 0.5 13.ポリエチレングリコール400 0.5 14.システイン 0.1 15.グルタミン酸 0.1 16.ショ糖 0.1 17.フェノキシエタノール 0.2 18.香料 0.5 19.ジステアリン酸エチレングリコール 1 20.ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 5 21.精製水 残量 注7:ポリオックスWSR-N-60K(ユニオンカーバイド社製) 注8:SM8904C(東レ・ダウコーニング社製)(アモジメチコーンを40%含有)」 ウ.刊行物1に記載の発明 刊行物1の実施例3には、 1.N-ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10 2.ドデカン-1,2-ジオール酢酸エーテルナトリウム(注1)10 3.ラウリン酸アミドプロピルベタイン 5 4.アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリル アンモニウム共重合体(注5) 1 5.高重合ポリエチレングリコール(注7) 0.1 6.アモジメチコーンエマルジョン(注8) 1 7.(ラウリル/ミリスチル)グリコールヒドロキシ プロピルエーテル(注2) 1 8.ラウリルグリコールヒドロキシプロピルエーテル(注3) 1 9.塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 0.5 10.塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.1 11.グリセリン 0.1 12.プロピレングリコール 0.5 13.ポリエチレングリコール400 0.5 14.システイン 0.1 15.グルタミン酸 0.1 16.ショ糖 0.1 17.フェノキシエタノール 0.2 18.香料 0.5 19.ジステアリン酸エチレングリコール 1 20.ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 5 21.精製水 残量 からなるリンスインシャンプーの発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。なお、配合量は全組成中の質量%で表示している(刊行物1の段落【0011】(摘示していない)参照)。 エ.対比・判断 (ア)補正発明と引用発明1とを対比する。 引用発明1の「13.ポリエチレングリコール400」は、繰り返し単位が一般式「-(OCH_(2)CH_(2))-」のみからなるポリオールであり、平均分子量が400のものであることは例えば、以下の刊行物からみて、当業者に周知のことである。 したがって、引用発明1で「13.ポリエチレングリコール400」を0.5質量%含有することは、補正発明のポリオール(A)を0.5質量%含有することに相当する。 ○蟇目浩吉ほか編「化粧品製剤実用便覧」(日光ケミカルズ)昭和57年5月28日発行、139頁の表4・29 ○日本医薬品添加剤協会編「医薬品添加物事典 2000」(薬事日報社)2000年4月28日発行、264頁の「マクロゴール400」の項 ○「化学大辞典8縮刷版」(共立出版)昭和39年2月15日発行、742頁右欄?743頁左欄の「ポリエチレンオキシド」の項 ○「化粧品原料基準第二版注解」(薬事日報社)1984年8月1日発行、944?945頁の「ポリエチレングリコール400」の項 ○特開2007-332132号公報の段落【0023】 ○特開2006-337261号公報の段落【0025】 ○特開2005-206570号公報の段落【0045】 引用発明1の「5.高重合ポリエチレングリコール」も繰り返し単位が一般式「-(OCH_(2)CH_(2))-」のみからなるポリオールであるから、補正発明のポリオール(B)と共通する。 引用発明1の「1.N-ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム」、「2.ドデカン-1,2-ジオール酢酸エーテルナトリウム」、「3.ラウリン酸アミドプロピルベタイン」、「7.(ラウリル/ミリスチル)グリコールヒドロキシプロピルエーテル」、「8.ラウリルグリコールヒドロキシプロピルエーテル」及び「20.ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド」は、補正発明の「非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の界面活性剤」に相当する。 引用発明1の「リンスインシャンプー」は、補正発明の「洗浄剤組成物」に相当する。 (イ)したがって、両者は、 「下記(A)?(C)成分を含有する洗浄剤組成物。 (A):繰り返し単位が下記一般式(1)のみで表され、かつ平均分子量1000以下のポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上のポリオールを組成物中に合計0.5質量% (B):繰り返し単位が下記一般式(1)のみで表されるポリオールからなる群から選ばれる1種または2種以上のポリオールを組成物中に合計0.1質量% (C):非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の界面活性剤 [化1] -(OCH_(2)CH_(2))- …… (1)」 の点で一致し、次の点で一応相違している。 相違点1 ポリオール(B)について、補正発明が「平均分子量がポリオール(A)における最大の平均分子量の15倍以上のポリオール」としているのに対し、引用発明1では、そのように特定されていない点 相違点2 引用発明1は、さらに以下の成分を含んでいるが、補正発明ではこれらの成分を含有することについて特定されていない点 4.アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体 6.アモジメチコーンエマルジョン 9.塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 10.塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 11.グリセリン 12.プロピレングリコール 14.システイン 15.グルタミン酸 16.ショ糖 17.フェノキシエタノール 18.香料 19.ジステアリン酸エチレングリコール 21.精製水 (ウ)これらの相違点について検討する。 ◎相違点1について 引用発明1のポリエチレングリコール400(ポリオール(A)に相当)の平均分子量が400であることは前述したとおりである。一方、引用発明1の高重合ポリエチレングリコールであるポリオックスWSR-N-60K(ユニオンカーバイド社製)は、例えば、以下の刊行物の記載からみて平均分子量がほぼ200万である。 ○特開2003-160446公報の段落【0033】 ○特開2001-122742号公報の段落【0031】 ○特開平9-183996公報の段落【0023】 そうすると、引用発明1の「5.高重合ポリエチレングリコール」の平均分子量は、ポリオール(A)である「13.ポリエチレングリコール400」における最大の平均分子量の15倍以上であることは明らかである。 したがって、両者はこの相違点1において実質的な差異があるとはいえない。 ◎相違点2について 本願明細書には、(A)?(C)成分以外の成分を含有してもよいことが記載されており(明細書段落【0021】?【0028】)、相違点2に係る成分は本願明細書で補正発明にさらに配合することを許容された成分のいずれかに該当する。 したがって、両者は相違点2の点で相違するものではない。 オ.むすび そうすると、補正発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 カ.審判請求人の主張について 請求人は、平成27年1月23日付け回答書において、 「(4)引用発明との相違点について 審査官は、引用文献3を新たに引用されましたが、引用文献3に記載された発明は、画像形成装置に関するものであって、本願発明とは全く異なる技術分野の発明であり、技術常識として引用することは失当であると考えます。また、ポリエチレングリコール400が平均分子量400であると記載されていたからといって、添付した参考資料に記載されるように、引用文献1に記載された発明や本願発明が属する化粧品分野では、PEG-400は繰り返し単位におけるnの値が平均400を意味するのであり、平均分子量は18000になると考えるのが常識です。」 と主張している。 しかしながら、上述したとおり、ポリエチレングリコール400の平均分子量が400であることは当業者における周知技術であり、上記請求人の主張は採用し得ない。 なお、請求人がポリエチレングリコール400の平均分子量が18000であるとする根拠とした日本化粧品工業連合会編「日本化粧品成分表示名称辞典 第3版」(薬事日報社)2013年4月15日発行、第29頁右欄の「PEG-400」の項には、「INCI名:PEG-400 CAS No. 25322-68-3 (generic) 定義:本品は、次の化学式で表される酸化エチエレンの重合体である。 H(OCH_(2)CH_(2))_(n)OH n:平均400 配合目的:結合剤、乳化安定剤、溶剤 Chem/Other Name:Polyethylene Glycol 400、Polyoxyethylene(400)、macrogol(INN)、ポリエチレングリコール20000 商品名:……」と記載されており、PEG-400の別名として「ポリエチレングリコール20000」であることが示されている。すなわち、化粧品分野において「PEG-400」とは「ポリエチレングリコール20000」であって、「ポリエチレングリコール400」とは別のものであることが明らかである。 3.小括 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 上記記載のとおり、平成26年4月21日付け手続補正書による補正は却下されたので、本願の請求項1?3に係る発明は、平成25年4月5日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものであって、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 下記(A)?(C)成分を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。 (A):ポリオール 0.001?3質量% (B):平均分子量がポリオール(A)の5倍以上のポリオール 0.001?2質量% (C):非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の界面活性剤」 2.当審の判断 (1)引用刊行物及びその記載事項 原査定の拒絶の理由において引用された本願出願前に頒布されたことが明らかな刊行物である特開2006-63058号公報(原審引用文献5:以下、「引用文献5」という。)には、以下の記載がある。 「【0021】 実施例10 ペースト状洗顔料 成分 分量(%) ミリスチン酸 14.0 パルミチン酸 14.0 ステアリン酸 12.0 水酸化カリウム 7.0 サラシミツロウ 2.0 ラウラミンオキシド 2.0 POE(10)フィトステロール 1.0 ラウロイル-β-アラニン 2.0 ポリエチレングリコール4000 2.0 高重合ポリエチレングリコール(分子量200万) 0.05 グリセリン 15.0 エタノール 1.0 フェノキシエタノール 0.5 エデト酸 0.1 香料 0.7 精製水 残部 合計 100.0 」 (2)引用文献5に記載された発明 引用文献5の実施例10には、 ミリスチン酸 14.0 パルミチン酸 14.0 ステアリン酸 12.0 水酸化カリウム 7.0 サラシミツロウ 2.0 ラウラミンオキシド 2.0 POE(10)フィトステロール 1.0 ラウロイル-β-アラニン 2.0 ポリエチレングリコール4000 2.0 高重合ポリエチレングリコール(分子量200万) 0.05 グリセリン 15.0 エタノール 1.0 フェノキシエタノール 0.5 エデト酸 0.1 香料 0.7 精製水 残部 からなるペースト状洗顔料の発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されている。なお、配合量は重量%で表示している(引用文献5の段落【0013】(摘示していない)参照)。 (3)対比・判断 ア.本願発明と引用発明5とを対比する。 引用発明5の「ポリエチレングリコール4000」及び「高重合ポリエチレングリコール(分子量200万)」は、いずれもポリオールである。 引用発明5の「POE(10)フィトステロール」は、本願発明の「非イオン性界面活性剤」に相当することは自明である。 引用発明5の「ペースト状洗顔料」は、本願発明の「洗浄剤組成物」に相当する。 イ.したがって、両者は、 「下記成分を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。 2種類のポリオール (C):非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の界面活性剤」 の点で一致し、次の点で一応相違している。 相違点3 2種類のポリオールについて、本願発明がポリオール(B)を「平均分子量がポリオール(A)の5倍以上のポリオール」とし、ポリオール(A)及び(B)の配合量も特定しているのに対し、引用発明5では、そのような特定がない点 相違点4 引用発明5は、さらに以下の成分を含んでいるが、本願発明ではこれらの成分を含有することについて特定されていない点 ミリスチン酸 パルミチン酸 ステアリン酸 水酸化カリウム サラシミツロウ ラウラミンオキシド ラウロイル-β-アラニン グリセリン エタノール フェノキシエタノール エデト酸 香料 精製水 ウ.これらの相違点について検討する。 ◎相違点3について 引用発明5の「ポリエチレングリコール4000」の平均分子量はほぼ4000であり(この点は、第2の2(2)エ(ア)で挙げた刊行物の記載を参照されたい。)、また、引用発明5の「高重合ポリエチレングリコール(分子量約200万)」は、平均分子量はほぼ200万であることから、引用発明5の「高重合ポリエチレングリコール(分子量約200万)」の平均分子量は、「ポリエチレングリコール4000」の5倍以上であることは明らかである。 そうすると、引用発明5の「ポリエチレングリコール4000」及び「高重合ポリエチレングリコール(分子量約200万)」をそれぞれ本願発明のポリオール(A)及び(B)とした場合、本願発明で特定する平均分子量の関係を満たす。さらに、引用発明5の「ポリエチレングリコール4000」と「高重合ポリエチレングリコール(分子量約200万)」の配合量は、それぞれ2.0重量%と0.05重量%であるから、本願発明のポリオール(A)及び(B)の配合量の点でも相違しない。 したがって、両者はこの相違点3において実質的な差異があるとはいえない。 ◎相違点4について 本願明細書には、(A)?(C)成分以外の成分を含有してもよいことが記載されており(明細書段落【0021】?【0028】)、相違点4に係る成分は本願明細書で本願発明にさらに配合することを許容された成分のいずれかに該当する。 したがって、両者は相違点4の点で相違するものではない。 (4)小括 したがって、本願発明は、引用文献5に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。 第4.むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、本願はこの理由により拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-01-06 |
結審通知日 | 2016-01-13 |
審決日 | 2016-01-26 |
出願番号 | 特願2009-26776(P2009-26776) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(A61K)
P 1 8・ 575- Z (A61K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉岡 沙織、馳平 裕美、小出 直也 |
特許庁審判長 |
松浦 新司 |
特許庁審判官 |
小川 慶子 関 美祝 |
発明の名称 | 洗浄剤組成物 |