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審決分類 審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E06B
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  E06B
審判 一部無効 2項進歩性  E06B
管理番号 1313286
審判番号 無効2014-800046  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-03-27 
確定日 2016-02-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5409083号発明「横型ブラインドの高さ調節装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5409083号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続きの経緯
平成21年 4月 3日:出願(特願2009-91220号)
平成25年11月15日:設定登録(特許第5409083号)
平成26年 3月27日:本件審判請求
平成26年 6月10日:被請求人より答弁書提出
平成26年 8月 6日:審理事項通知書
平成26年 8月26日:請求人より口頭審理陳述要領書提出
平成26年 9月10日:被請求人より上申書差出
平成26年 9月10日:口頭審理
平成26年 9月24日:無効理由通知書及び職権審理結果通知書
平成26年10月25日:被請求人より意見書差出
平成26年12月22日:無効理由通知書及び職権審理結果通知書
平成27年 2月 3日:被請求人より意見書提出
平成27年 3月31日:審決の予告
平成27年 6月 5日:被請求人より訂正請求書提出
平成27年 8月 5日:請求人より審判事件弁駁書提出
平成27年10月 1日:請求人より上申書提出
平成27年10月16日:補正許否の決定

第2 訂正請求について
1 訂正請求の内容
平成27年6月5日付け訂正請求(以下「本件訂正」という。)は、本件設定登録時の特許第5409083号の明細書、特許請求の範囲を本件請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである(なお、下線は訂正箇所。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項12は、請求項1?11を引用する形式であるところ、以下の4つの請求項に分割する訂正を行う。
(訂正後の請求項12)請求項5又は6を引用する請求項。
(新請求項15)請求項1?4、7、10?11のいずれか一項を引用する請求項。
(新請求項16)請求項8を引用する請求項。
(新請求項17)請求項9を引用する請求項。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項8を独立形式に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9を独立形式に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、前記挿通孔から導出させた」とあるのを「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに前記挿通孔から導出させ、前記挿通孔から導出させた」に訂正する。請求項5の記載を引用する請求項12も同様に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から導入されたラダーテープを前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、」とあるのを「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、導入された前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに、前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、」に訂正する。請求項6の記載を引用する請求項12も同様に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8に「係止部に係止することで取り付けられる」とあるのを「係止部に係止することで取り付けられ、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープを折り畳んだ状態で前記ベース部に前記カバーを取り付けることによって前記ボトムレールの高さが調節されるように構成されている」に訂正する。請求項8を引用する新請求項16も同様に訂正する。

(7)訂正事項7
訂正事項3で独立形式にされた請求項9にある「前記案内板部の前記ラダーテープに対向する面には凹凸形状の仮止部が形成されている」及び「前記仮止部は前記挿通孔の少なくとも一方側の縁部に形成される」との記載を「前記案内板部の前記挿通孔の少なくとも一方側の縁部には凹凸形状の仮止部が形成されている」に訂正する。請求項9の記載を引用する新請求項17も同様に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項7を独立形式に訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10を独立形式に訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項12に「前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープを折り畳んだ状態で前記ベース部に前記カバーを取り付けることによって前記ボトムレールの高さが調節されるように構成されている」という構成を追加する訂正を行う。

2 訂正の可否の判断
以下、「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」を「本件明細書等」という。
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
上記訂正事項1は、多数項引用形式で記載された一つの請求項を、引用請求項を減少させた請求項とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項1は、訂正後の各請求項(請求項12及び請求項15?17)について見れば、それぞれ引用請求項を減少させるものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項1は、引用請求項を減少させるものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
上記訂正事項2は、請求項8を独立形式に訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項2は、請求項8の内容を何ら変更しないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項2は、請求項8の内容を何ら変更しないので、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
上記訂正事項3は、請求項9を独立形式に訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項3は、請求項9の内容を何ら変更しないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項3は、請求項9の内容を何ら変更しないので、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
上記訂正事項4は、本件訂正前の請求項5に記載された「ラダーテープ」に関し、「前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに前記挿通孔から導出させ」るものに限定していることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、上記訂正事項4は、発明特定事項を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)本件明細書等には、以下の記載がある(下線は審決で付した。)。
(a)「【0037】
また、図2に示すように、スラット13の下方であって、各ラダーテープ10のループ状の下端部の内面にはボトムレール12が吊り下げ支持される。このとき、ラダーテープ10はボトムレール12の上下方向に延びる両側面及び下面を囲む。そして、下面の各ラダーテープ10は、ボトムレール12の下面に設けられた高さ調節装置20によって長さ調節可能にボトムレール12に固定される。当該高さ調節装置20については、後で詳述する。」
(b)「【0039】
(高さ調節装置20)
図4に示すように、高さ調節装置20はボトムレール12の下面に固定されるベース部21にカバー22が取り付けられてなる。ベース部21及びカバー22は外力が加わることでたわむことが可能である合成樹脂により形成される。くわしくは、左右方向に長い長方板状のベース部21は、その左右端部にねじ23がボトムレール12に螺入されることで同ボトムレール12に確実に固定される。なお、ねじ23はビスの相当する。ベース部21の中央には、ラダーテープ10が挿通される挿通孔25が設けられる。挿通孔25において、左右方向に延びる両縁部には鋭角の凸部が複数個並列されてなる仮止部25aが形成されている。当該挿通孔25はベース部21の上面に設けられる案内凹部26と連通している。なお、ベース部において当該案内凹部26を形成する部分が案内板部に相当する。当該案内凹部26の前後側の両端部には鋭角の凸部が複数個並列されてなる固定係止部26aが形成されている。当該案内凹部26から挿入される第1テープ片10a及び第2テープ片10bは挿通孔25から導出される。また、ベース部21の左右方向に延びる両縁部には第1係止部27が設けられている。第1係止部27は、その両端から中央に向かうにつれて下方へ傾斜する2つの傾斜面27aを有し、その中央部には曲面状の凹部27bが形成されている。」
(c)「【0043】
カバー22をベース部21に取り付けるにあたって、図8に示されるように、予め挿通孔25から導出された第1テープ片10a及び第2テープ片10bはベース部21の上面に収まるサイズに折り畳まれる。そして、この状態を保持しつつ、図4の矢印に沿ってカバー22をベース部21の左側から装着する。すなわち、カバー22の凸部24をガイドレール部28の溝部28aに沿ってスライドさせる。」
(d)「【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1の実施形態における横型ブラインドの正面図。
【図2】第1の実施形態における横型ブラインドの側面図。
【図3】第1の実施形態における両テープ片の斜視図。
【図4】第1の実施形態におけるベース部の斜視図。
【図5】第1の実施形態における図4のA-A線断面図。
【図6】第1の実施形態における図4のB-B線断面図。
【図7】第1の実施形態におけるカバーの側面図。
【図8】第1の実施形態におけるカバーの嵌込態様を示した断面図。 」
(e)図4及び図8をみると、案内板部と前記ボトムレール12の表面との間から導入されたラダーテープ10がボトムレール12の左右方向に屈曲されずに挿通孔25から導出されていることがわかる。
(イ)上記(ア)の(a)?(e)の事項からみて、上記訂正事項4は、本件明細書等の記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
上記訂正事項5は、本件訂正前の請求項6に記載された「ラダーテープ」に関し、「導入された前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに、前記ベース部に形成される挿通孔から導出」するものに限定していることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、上記訂正事項5は、発明特定事項を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項5も、上記(4)ウ(ア)の(a)?(e)の事項からみて、上記訂正事項4と同様に、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

(6)訂正事項6
ア 訂正の目的について
上記訂正事項6は、上記訂正事項2で独立請求項に訂正した請求項8に、「前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープを折り畳んだ状態で前記ベース部に前記カバーを取り付けることによって前記ボトムレールの高さが調節されるように構成されている」ことを付加する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、上記訂正事項6は、発明特定事項を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件明細書等の段落【0043】の「カバー22をベース部21に取り付けるにあたって、図8に示されるように、予め挿通孔25から導出された第1テープ片10a及び第2テープ片10bはベース部21の上面に収まるサイズに折り畳まれる。そして、この状態を保持しつつ、図4の矢印に沿ってカバー22をベース部21の左側から装着する。すなわち、カバー22の凸部24をガイドレール部28の溝部28aに沿ってスライドさせる。」、及び段落【0044】の「そして、図8に示すように、引っ張られた両テープ片10a,10bをベース部21に収まるサイズに折り畳む。その状態で、ベース部21にカバー22を右方向にスライドさせてカバー22を取り付ける。この作業を各高さ調節装置20について行う事で、ボトムレール12の上方への高さ調節がされる。」との記載からみて、上記訂正事項6は、本件明細書等の記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

(7)訂正事項7
ア 訂正の目的について
上記訂正事項7は、訂正前の請求項5に記載された「前記案内板部の前記ラダーテープに対向する面には凹凸形状の仮止部が形成されている」ことと、当該請求項5を引用する訂正前の請求項9に記載された「前記仮止部は前記挿通孔の少なくとも一方側の縁部に形成される」こととが整合せず明瞭でなかったものを、上記訂正事項3で独立請求項に訂正することに伴って、「凹凸形状の係止部」を「前記案内板部の前記挿通孔の少なくとも一方側の縁部には凹凸形状の仮止部が形成されている」と訂正して明瞭なものとするものである。
よって、上記訂正事項7は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アのとおり、訂正事項7は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項7は、訂正前の請求項9の内容を何ら変更しないので、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

(8)訂正事項8
ア 訂正の目的について
上記訂正事項8は、訂正前の請求項7を独立形式に訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項8は、訂正前の請求項7の内容を何ら変更しないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項8は、訂正前の請求項7の内容を何ら変更しないので、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

(9)訂正事項9
ア 訂正の目的について
上記訂正事項9は、訂正前の請求項10を独立形式に訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項9は、請求項10の内容を何ら変更しないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項9は、請求項10の内容を何ら変更しないので、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

(10)訂正事項10
ア 訂正の目的について
上記訂正事項10は、本件訂正前の請求項12に「前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープを折り畳んだ状態で前記ベース部に前記カバーを取り付けることによって前記ボトムレールの高さが調節されるように構成されている」ことを付加する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、上記訂正事項10は、発明特定事項を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(6)ウと同様に、上記訂正事項10は、本件明細書等の記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

3 訂正請求のまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き各号に掲げた事項を目的とし、同法第134条の2第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものであるから、本件訂正を認める。

なお、請求人は、平成27年8月5日付け審判事件弁駁書において、特許第5409083号の訂正請求書による請求項5、請求項6、請求項8、請求項9、請求項12、請求項16及び請求項17における訂正は認められないとし、その理由として、独立特許要件を満たさない旨主張しているが、本件訂正後の請求項5,請求項6、請求項8、請求項9、請求項12、請求項16及び請求項17は、本件無効審判の請求がされた請求項であるから、特許法第134条の2第9項の規定により読み替えて準用する同法第126条第7項の規定は適用されない。


第3 本件特許発明
上記第2のとおり本件訂正を認めるので、本件特許の請求項1ないし17に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明17」といい、全体を「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記案内板部であって、前記ラダーテープと接する位置に形成される凹凸状の固定係止部と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入した状態において、前記カバーを装着することにより、前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間の前記ラダーテープを間接的に押圧することで前記案内板部の前記固定係止部により前記ラダーテープは係止されて、前記ベース部に対するラダーテープの相対変位が規制される横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記カバー及び前記ベース部には、前記案内板部を前記ラダーテープ側に押圧するように互いに噛み合う凹凸状に形成される係止部が形成される横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項3】
請求項2に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ベース部には前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔が設けられている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか一項に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記カバー及び前記ベース部にはそれぞれ互いに嵌め合うスライドレール部が設けられ、スライド操作により前記カバーを前記ベース部に嵌め合わせる横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項5】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記ベース部に形成されて前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに前記挿通孔から導出させ、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置であって、
前記案内板部の前記ラダーテープに対向する面には凹凸形状の仮止部が形成されている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項6】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、導入された前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに、前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出された前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項7】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から導入された前記ラダーテープを前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出された前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ベース部に嵌め合わせる前記カバーには、前記ベース部に嵌め合わせつつ、スライドさせることで前記カバーをベース部方向に案内する第1のスライドレール部と、前記ベース部に嵌め合わせることで前記カバーが前記ベース部に固定される第2のスライドレール部とが形成されている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項8】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から導入された前記ラダーテープを前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出された前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記カバーには係止爪が形成されていて、同係止爪は前記ベース部又はボトムレールに設けられる係止部に係止することで取り付けられる横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項9】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記ベース部に形成されて前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに前記挿通孔から導出させ、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置であって、
前記案内板部の前記挿通孔の少なくとも一方側には凹凸形状の仮止部が形成されている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項10】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記ベース部に形成されて前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置であって、
前記案内板部の前記ラダーテープに対向する面には凹凸形状の仮止部が形成されている横型ブラインドの高さ調整装置において、
前記仮止部は前記案内板部における前記ラダーテープが摺動する面に設けられるとともに、前記挿通孔の反対側へ向かうにつれ前記案内板部側へ傾斜する斜辺を有する三角錐状の複数の突部からなる横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項11】
請求項10に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記カバー及び前記ベース部の前記ボトムレールの延出方向中央には前記案内板部を前記ラダーテープ側に押圧するように互いに噛み合う凹凸状に形成される係止部が形成され、前記案内板部の前記ボトムレールの延出方向の両端側に位置する第1の仮止部を構成する突部は中央に位置する第2の仮止部を構成する突部より大きく形成されている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項12】
請求項5又は6に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ベース部はビスで前記ボトムレールに固定され、
前記挿通孔から導出した前記ラダーテープを折り畳んだ状態で前記ベース部に前記カバーを取り付けることによって前記ボトムレールの高さが調節されるようにこうせいされている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記案内板部の前記ラダーテープに対向する面には凹凸形状の前記固定係止部の機能を併せ持つ仮止部が設けられるとともに、同仮止部は前記ボトムレールの延出方向に対する垂直方向の同ボトムレールを中央部として両端側へ向かうにつれ前記案内板部側へ傾斜する斜辺を有する三角錐状の複数の突部からなる横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項14】
請求項13に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記仮止部は前記ボトムレールの延出方向の両端側に位置する第1の仮止部を構成する突部は中央に位置する第2の仮止部を構成する突部より大きく形成されている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項15】
請求項1?4、7、10?11のいずれか一項に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ベース部はビスで前記ボトムレールに固定される横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項16】
請求項8に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ベース部はビスで前記ボトムレールに固定される横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項17】
請求項9に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ベース部はビスで前記ボトムレールに固定される横型ブラインドの高さ調節装置。」


第3 請求人が主張する無効理由と当事者の主張
1 請求人の主張
請求人は、特許第5409083号の明細書の請求項1ないし6、請求項8ないし10、請求項12、及び請求項15ないし17に記載された発明(本件訂正前でいうところの、請求項1ないし6、請求項8ないし10、及び請求項12に記載された発明)についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、証拠方法として、甲第1号証?甲第12号証を提示し、以下の無効理由を主張した。

[無効理由]
本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件請求項3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件請求項6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件請求項8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件請求項9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件請求項10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件請求項12に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件請求項15に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件請求項16に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件請求項17に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、
本件請求項1ないし6、本件請求項8ないし10、本件請求項12、本件請求項15ないし17に係る発明は、特許法第29条第1項第3号、又は第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、本件特許は無効とすべきものである。

[具体的主張]
(1)本件発明1と甲第1号証との対比
ア 「前記ベース部に設けられて前記ラダーコードを案内する案内板部と、」は、甲第1号証の押え片42d,42dが相当している。(審判請求書15頁25行?15頁27行)
イ 甲第1号証の【0029】から【0034】の記載においては、「前記案内板部であって、前記ラダーテープと接する位置に形成される凹凸状の固定係止部と、」との構成の記載はない。しかしながら、ラダーテープを係止するために、その接する位置に凹凸を設けることについては、周知技術として、他の構成が新規なものでない限り、設計事項に過ぎない。あるいは仮に設計事項でないとしても、例えば、甲第1号証?甲第4号証の記載に基づいて、当業者において容易に想到し得ることである。
甲第1号証の【0024】の「押さえリブ34d」が本件発明1の凹凸状の固定係止部に相当している。また、甲第2号証の図6によれば、挟着部材28、もしくはボトムレール26の表面には凹凸状の係止部が設けられていることが示されている。さらに、甲第3号証の【0016】の記載及び図3には、ラダーテープを固定係止する場合に、凹凸状の係止部を構成することが示されている。さらに、甲第4号証の【0006】の記載によれば、固定係止部として凹凸形状を備えることはもはや周知である。(審判請求書15頁28行?16頁24行)
ウ 「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーコードを導入した状態において、前記カバーを装着することにより、前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間の前記ラダーテープを間接的に凹圧することで前記案内板部の前記固定係止部により前記ラダーコードは係止されて、前記ベース部に体知るラダーテープの相対変位が規制される横型ブラインドの高さ調整装置。」は、甲第1号証の【0029】?【0032】に記載されている。なお、甲第1号証では、押え片42d、42dに凹凸状の固定係止部は有さないが、この固定係止部については、上記イで述べたように、設計事項か、想到容易なものに過ぎない。(審判請求書16頁33行?17頁3行)

(2)本件発明5と甲第1号証との対比
ア 「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置であって、」について、甲第1号証の【0032】に案内板部に相当する押え片42d、その間に形成された挿通孔に相当する連通部42e及びボトムレール24の貫通孔24cから導出されたラダーテープの長さ調節により、ボトムレール24の高さ調節が行われることが記載されている。(審判請求書19頁2?9行)
イ 甲第1号証の【0029】から【0034】の記載において、「前記案内板部の前記ラダーテープに対向する面には凹凸形状の係止部が形成されている横型ブラインドの高さ調整装置。」との構成についての記載は無い。しかしながら、ラダーテープを仮止するために、凹凸形状の仮止部を設けることについて、上記(1)イで述べたことからの相違は考えられない。
甲第1号証の【0044】の切欠部64dの構成は、本件特許発明の係止部に相当する。さらに、これに加えて、上記(1)イで述べた甲第2号証?甲第4号証に開示されている凹凸形状の固定係止部を参酌すれば、甲第1号証とこれら各甲号証に基づいて、上記構成を相当することは当業者において容易である。(審判請求書19頁10?33行)

(3)本件発明6と甲第1号証との対比
「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から導入された前記ラダーテープを、前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出された前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置」について、甲第1号証の【0032】に案内板部に相当する押え片42d、その間に形成された挿通孔に相当する連通部42e及びボトムレール24の貫通孔24cから導出されたラダーテープの長さ調節により、ボトムレール24の高さ調節が行われることが記載されている。(審判請求書20頁12?20行)

(4)ラダーテープについて
ブラインド業界においては、従来よりラダーテープとラダーコードは同一視して取り扱うことが慣用とされており、単なるテープとコードの用語の相違だけに基づいてこれらを区別することは認められない。紐状の「ラダーコード」をラダーテープと記載した特許文献の数は非常に多く、甲第5号証から甲第8号証では、ラダーテープが帯状であるか、紐状であるか等の形状にかかわらず全てラダーテープという用語が用いられている。
さらに、甲第9号証では、スラットを支持するためのブラインド前後に垂らされるものを「ラダーテープ」と示しており、甲第1号証のラダーコードと同じものを示している。(口頭審理陳述要領書2頁21?26行、3頁17?18行、23?26行)

[証拠方法]
甲第1号証:特開2002-61472号公報
甲第2号証:特開2002-81277号公報
甲第3号証:特開2002-61473号公報
甲第4号証:実用新案登録第3097438号公報
甲第5号証:特公平6-58032号公報
甲第6号証:特開平10-317850号公報
甲第7号証:特開平6-108760号公報
甲第8号証:特開平8-82175号公報
甲第9号証:日本規格協会発行 JIS A 4801:鋼製及びアル
ミニウム合金製ベネシャンブラインド,1?5頁,11?
15頁 の写し
甲第10号証:雑誌「Hi-Wind」2007年6月号第31頁、
「LINE-ダウンが手で引けるシート」、株式会社
マリン企画、平成19年6月1日 の写し
甲第11号証:審判請求人がラダーコードとして扱っているストリング
ラダーテープとワイドラダーテープ
甲第12号証:米国特許第2258647号明細書

2 被請求人の主張
これに対して、被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は、請求人の負担とする、との審決を求め、以下の反論を行った。

[具体的主張]
(1)ラダーコードについて
ラダーテープとラダーコードは、横型ブラインドにおいてスラットを支持するという機能面については共通点があるが、その形状が異なっているために、ボトムレールヘの支持構造を検討する際には別物として取り扱われる。
具体的には、ラダーコードは、紐状であるために任意の方向に屈曲が可能であり、例えば本件明細書の第4の実施形態では、以下に示すように、ラダーコード33をボトムレール12の下側の側縁で屈曲させた後に、回動部36bの外周にラダーコード33を巻き回すことによって、ボトムレール12の高さ調整を行っている。このような構成を帯状のラダーテープに適用することは不可能又は極めて困難である。なぜなら、ラダーテーブは、帯状であるために、厚さ方向には屈曲が可能であるが幅方向には屈曲が困難であるので、ボトムレール12の下側の側縁で厚さ方向に屈曲させた後には回動部36bの外周に巻き回す方向に屈曲させることが困難であるからである。
このようにラダーテープとラダーコードは、ボトムレールヘの支持構造を検討する際には別物として取り扱う必要があるので、本件明細書の第1?第3及び第5の実施形態がラダーテープ10の支持構造に関するものになっていて、第4の実施形態は、ラダーコード33の支持構造に関するものになっている。
(答弁書2頁18?31行)


第4 職権無効理由と当事者の主張
1 職権無効理由の概要
当審において、職権審理を行った結果、平成26年12月22日付けで、無効理由(以下「職権無効理由」という。)を被請求人に通知し、同内容の職権審理結果を請求人に通知したところ、被請求人から平成27年2月3日に意見書が提出された。
職権無効理由の概要は、以下のとおりである。

(1)本件特許の請求項5,6,8,12に係る発明は、当業者が甲1発明に基いて容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件特許の請求項5,6,8,12に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(2)本件特許の請求項9に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないものであり、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。

2 被請求人の反論の概要
被請求人は、職権無効理由に対して、平成27年2月3日付け意見書において、以下の反論を行った。
(1)ラダーテープとラダーコードについて
ア 無効理由通知では、本件請求項6について、「ラダーテープもラダーコードもボトムレールを支持し、高さ調整に使用するものであるから、ラダーコード代えてラダーテープを用いることは容易であり」(無効理由通知書第2頁第4?6行)と指摘されています。しかし、仮に、一般論として、このような置換が容易である場合があったとしても、甲1発明(すなわち、甲第1号証の第1実施形態)の紐状のラダーコード14bを帯状のラダーテープに置き換えることには、以下に示すような阻害要因があり、この阻害要因を覆すほどの動機が存在していないことから、このような置換は容易であるということはできません。(1頁末行?2頁7行)
イ 参考図1において、切欠部32dに挿通したラダーテープを開口32eに挿通させるためには、ボトムレール24と固定部材32の間の空間において、ラダーテープを矢印X方向に屈曲させる必要があります。しかし、矢印X方向は、ラダーテープの幅方向であり、ラダーテープはそのような方向には容易に屈曲しません。
また、ラダーテープを開口に挿通させた後に、開口32fに挿通させるためには、ラダーテープを矢印Y方向に屈曲させる必要があります。しかし、矢印Y方向は、ラダーテープの幅方向であり、ラダーテープはそのような方向には容易に屈曲しません。
このようなラダーテープの引き回しは、極めて不自然であり、当業者がこのような引き回しを採用することが容易であるとは到底いえないと思います。また、このような引き回しを行った場合、開口32eと開口32fの間の位置で押えリブ34dでラダーコード14bを押さえつけることも容易ではありません。(3頁13?末行)
ウ なお、仮に阻害要因が存在しないというのであれば、少なくとも、甲1発明をどのように設計変更すれば、ラダーテープに適用可能であるのかを明示することが必須(つまり、設計変更後の構成を明示することが必須)であると思われます。(4頁10?12行)

(2)請求項9について
請求項9は、以下の図4に示すように、案内板部が挿通孔25の縁部を構成している実施形態を想定しています。このような実施形態では、仮止部25aは、請求項5のように、案内板部の、ラダーテープ10に対向する面に形成されているとも表現できますし、請求項9のように、挿通孔25の縁部に形成されてるとも表現できます。
このように、本件請求項5の仮止部と本件請求項9の仮止部は、同じものを指しています。そして、本件請求項5では仮止部の位置が挿通孔の縁部に限定されていないのに対し、本件請求項9では、仮止部の位置を挿通孔の縁部に限定することによってその技術的意義がより明確になっています。
従って、本件請求項9の「前記仮止部は・・・」の記載は、不明確であるとはいえないと思われます。(5頁5行?10行)

3 請求人の主張
本件訂正後の本件発明に対して、請求人は、平成27年8月5日付け審判事件弁駁書において、以下の主張を行った。
(1)請求項5について
ア 甲第1号証の第1実施の形態においては、「ラダーコード14bをボトムレール24の左右方向に屈曲させない」構成は記載されていない。しかし、甲第1号証の第2実施形態においては、図12及び図13に示されるように、「ラダーコード14bをボトムレール24の左右方向に屈曲させない」構成が明確に示されている。すなわち、ここでは、ラダーコード14bが挿通孔(連通部)42eから導出させる構成が明示されている。さらに、甲第1号証の第1実施形態においては、上記構成が記載されていないとは言えども、「開口32f及び貫通孔24c」の位置は、設計事項の一例を示したに過ぎないことは、当業者において自明である。第1実施形態において、ラダーコードをボトムレールの左右方向に屈曲させる必要性の有無は、単に固定部材32、切欠部32d、開口32e,32fの位置関係によって決まるものに過ぎないからである。すなわち、固定部材32の構成において、開口32eを切欠部32d側に寄せ、開口32eと切欠部32dをボトムレールの左右方向に同一位置とするような設計とすれば、ラダーコード14bをボトムレール24の左右方向に屈曲させる必要がないことは当業者に自明である。(2頁22?35行)
イ なお、この弁駁書において、新たに提出する証拠(甲第12号証)においては、ラダーテープが左右方向に屈曲させずに挿通孔から導出されて長さ調節される構成が示されている。甲第12号証によれば、ボトムレールと固定部材の間からラダーテープが導入されるものではないが、挿通孔から導出される前にボトムレールの左右方向に屈曲されていない構成が示されている。(3頁5?9行)
ウ 唐突に「ボトムレールの左右方向」とあるが、何を基準に「左右方向」なのか何ら理解できない。その理由は、特許請求の範囲の記載において、それを意義づけるための必須構成要件が何ら記載されていないからである。
本訂正請求人は、訂正時に甲第1号証に記載された実施の形態及びその図面と、本件特許明細書に記載された実施の形態との違いを、唐突に訂正前の請求項に加えたものに過ぎず、かかる構成の付加が、訂正前の請求項5の記載に対し、どのような意義をもたらすかについて、訂正された請求項5から抽出されなければならないことを理解していない。(3頁25?27行、32?末行)

(2)請求項6について
訂正された請求項6も、上記(1)において訂正された請求項5について説明したように、独立特許要件を何ら具備するものではない。(4頁13?15行)

(3)請求項8について
かかる訂正は新たなる別の構成要件を付加したものであり、いわゆる「限定的減縮」になっておらず、特許法第134条の2第1項の規定に違反し、よって特許法第17条の2第5項第2号の規定に違反したものである。
尚、高さ調節のために余ったラダーテープを折り畳んだ状態でカバー内に収容する技術などは、周知技術に過ぎないものである。たとえば、新たに提出した証拠方法甲第12号証においても、余ったラダーテープがクリップ24内に折り畳んだ状態で収容されていることがFig.3において示されている。「カバーを取り付ける」という新たな限定が何ら独立特許要件を具備していないことは明白である。(4頁26?末行)

(4)請求項9について
訂正請求人は、審決の予告に対する説明として、面a及び面bに言及し、「挿通孔内においては、案内板部は、面bにおいてラダーテープに対向している。そうすると、請求項5の「案内板部の前記ボトムレールに対する面」とは下図の面aまたは面bであると解釈するべきである。そして、請求項9は、仮止部が面bに形成されていることを規定するものであり、請求項5と矛盾するものではないので、訂正前の請求項9は不明瞭ではない。」と主張している。
しかしながら、かかる主張は全く受け入れられない。そもそも特許請求の範囲において、面a及び面b等の構成は全く示されておらず、「挿通孔」の言葉がどのような意味で使われているか理解できないからである。
仮に、ここで面bを指すものであることを規定できるものとしては、甲第12号証によれば、ラダーテープの固定前に挿通孔に該当する部分には凹凸形状の係止部(28)が形成されていると考えられるし、甲第10号証においても、挿通孔に仮止部が設けられていることが明示されている。(5頁8?21行)


第5 当審の判断
1 各甲号証の記載事項について
(1)甲第1号証
本件特許の出願前に頒布された甲第1号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項7】 ラダーコード(14)の下端部を固定する固定部(52d)を固定部材(52)及びスライド部材(54)のいずれか一方に設け、ホルダ(50)とボトムレール(24)の間に進入するラダーコード(14)を該ラダーコード(14)に若干の拘束力を与えつつ通過可能に受け入れる受入部(54d)を固定部材(52)及びスライド部材(54)のいずれか他方に設けることを特徴とする請求項2記載のブラインド。」

イ 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラインドに関し、特に、ラダーコードのボトムレールへの連結を向上させたブラインドに関する。」

ウ 「【0006】本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、本発明の第1の目的は、簡単な操作でラダーコードをボトムレールに連結することができるブラインドを提供することである。
【0007】また、本発明の第2の目的は、簡単な操作で従来例よりも細かいブラインド高さ寸法の微調整を行うことができるブラインドを提供することである。」

エ 「【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0019】図1は本発明のブラインドの実施形態を表す斜視図である。この横型ブラインド10は、壁面または天井面にブラケット11を介して取り付けられるヘッドボックス12を有しており、ヘッドボックス12内のラダーコード支持装置17から吊下られるラダーコード14によって、多数段のスラット16が傾動可能に支持されている。ラダーコード支持装置17は、例えば、ヘッドボックス12内に長手方向に伸びて、回動可能に軸支されるシャフト18と、ラダーコード14の上端が巻き取り及び巻き解き可能に連結されるドラム20とからなる。シャフト18は図示しない回転伝達機構を介して、ヘッドボックス12から下方に伸びる操作棒22に連結されている。
【0020】スラット16の下方には、ボトムレール24が配置されている。ボトムレール24には、図9に示されたように、昇降コード26の一端がボトムレール24に形成された貫通孔24dを挿通して、その結び目26aが貫通孔24dに係止されて、昇降コード26の一端が連結される。昇降コード26の他端は各スラット16を挿通して、ヘッドボックス12内に導入され、ヘッドボックス12の幅方向一端側へ案内されてヘッドボックス12から導出されて操作つまみ27に連結される。
【0021】ラダーコード14は、前後の2つの垂直コード14b、14bと、該垂直コード14bを連結しスラット16を載置する中段コード14aとを有しており、前後の2つの垂直コード14b、14bの下端部は、ボトムレール24に連結される。」

オ 「【0022】図2ないし図8は本発明に係るブラインド10の第1の実施形態を表す図である。図2は、ボトムレール24下方から見たボトムレール24とラダーコード14との連結部分を表す拡大斜視図であり、同図に拡大して示したように、ラダーコード14は、ボトムレール24に合成樹脂製のテープホルダ30によって連結される。テープホルダ30は固定部材32とスライド部材34とからなり、固定部材32は、ボトムレール24に対して堅く係止され、一方、スライド部材34は、ボトムレール24の長手方向に沿って移動可能に取り付けられている。即ち、ボトムレール24には、その上部及び下部に長手方向に沿って突出リブ24a、24bが形成されており、固定部材32は、その前後端部に形成された端部爪32aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに堅く係止され、かつボトムレール24に向かって突出する突起部32h(図5,図6)がボトムレール24の貫通孔24cに係止される。一方のスライド部材34は、その前後端部に形成された端部爪34aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに軽く係止されてボトムレール24から脱落することなく、長手方向にスライドできるようになっている。また、スライド部材34には、固定部材32の方に向かって伸びる係合板部(係合部)34bが設けられており、固定部材32には、この係合板部34bを受ける係合受部32bが設けられている。係合板部34bと係合受部32bとの係合は、具体的には、スライド部材34の係合板部34bに形成された係合突起34c(図5参照)と、固定部材32の係合受部32bに形成された係合溝32c(図3,図4)がはまり合うことにより行われており、スライド部材34を固定部材32から離反する方向へスライドすると、この係合が外れ簡単に離脱する。但し、このような係合に限ることなく、任意の係合構造とすることが可能である。
【0023】また、固定部材32の端部爪32aには、ラダーコード受入部としての切欠部32dが形成されており、この切欠部32dをラダーコード14の垂直コード14bが挿通可能となっている。さらに固定部材32には、その本体部に2つの開口32e、32fが形成されており、1つの開口(連通部)32fは、ボトムレール24の底面に形成された貫通孔24cとほぼ一致した位置にある(図9参照)。前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通し、その後、固定部材32の外面とスライド部材34の係合板部34bの内面との間の隙間を通り、開口32f及びボトムレール24の貫通孔24cを通り、その下端がボトムレール24の内部に導入されている。好ましくは、2つの垂直コード14bのそれぞれの下端部をクリップ36で固定しておくと、前後2つの垂直コード14b、14bのボトムレール24から露出した長さは一定に保たれ、スラット16が不要に傾くことを防ぐことができる。
【0024】スライド部材34には、好ましくはその係合板部34bの内面に、押えリブ34dが形成されており、これによって、固定部材32の外面とスライド部材34との間で垂直コード14b、14bを挟着する。こうして、ラダーコード14は確実にボトムレール24に連結される(図9参照)。
【0025】このラダーコード14の長さを微調整してボトムレール24の高さ、即ちブラインドの高さ寸法を調整したい場合には、以下のようにして行う。まず、スライド部材34を、固定部材32から脱離させて、ボトムレール24の長手方向にスライドさせ、開口32e、32fを露出させる。そして、ボトムレール24内に挿入されていたラダーコード14の下端を開口32fから引き出す(図3)。次に、ブラインドの高さを短くしたい場合には、ラダーコード14を図7のように下方に引っ張り、ラダーコード14の切欠部32dを挿通するラダーコード14の部位をより高い部位に移動させる。そして、引っ張ったラダーコード14の下端を再び開口32f及びボトムレール24の貫通孔24cに挿通させてボトムレール24内へと押し込み(図8)、スライド部材34を固定部材32の方へスライドさせて固定部材32に係合することで、調整が終了する。ブラインドの高さ寸法を長くしたい場合には、図7の状態において、ラダーコード14を逆方向に引っ張り、ラダーコード14の切欠部32dを挿通するラダーコード14の部位をより低い位置に移動させることで同様に行うことができる。
【0026】本実施形態においては、スライド部材34をボトムレール24に対してスライドさせて固定部材32から離反させるだけで、ラダーコード14とボトムレール24との連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整を行うことができるようになり、固定部材32に再係合させるだけでラダーコード14をボトムレール24に連結することができる。ラダーコード14は、スライド部材34の内面と固定部材32の外面との間で挟着しているが、そのラダーコード14への挟着力よりも、スライド部材34と固定部材32とのスライド方向の係合力は小さく設定することができるため、軽い力でスライド部材34を固定部材32から離脱させてスライドさせることができる。
【0027】また、ボトムレール24に連結された昇降コード26の調整を行う場合においても、スライド部材34をスライドさせて、ボトムレール24の貫通孔24cを露出させることでその貫通孔24c及び固定部材32の開口32fを通して、昇降コード26の結び目26aを外部へ取り出すことができ、その結び目26aを解いて、昇降コード26の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。」

カ 「【0028】次に、図10ないし図13は本発明に係るブラインドの第2の実施形態を表す図である。
【0029】図に拡大して示したように、ラダーコード14は、ボトムレール24に合成樹脂製のテープホルダ40によって連結される。テープホルダ40は固定部材42とスライド部材44とからなり、固定部材42は、ボトムレール24に対して堅く係止され、一方、スライド部材44は、ボトムレール24の長手方向に沿って移動可能に取り付けられている。即ち、固定部材42は、その前後端部に形成された端部爪42aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに堅く係止され、一方のスライド部材44は、その前後端部に形成された端部爪44aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに軽く係止されてボトムレール24から脱落することなく、長手方向にスライドできるようになっている。また、スライド部材44には、固定部材42の方に向けて伸びる係合板部(係合部)44bが設けられており、固定部材42には、この係合板部44bを受ける係合受部42b(図12)が設けられている。図12に示すように、係合板部44bと係合受部42bとの係合は、具体的には、スライド部材44の係合板部44bに形成された係合突起44cと、固定部材42の係合受部42bに形成された係合溝42cがはまり合うことにより行われており、スライド部材44を固定部材42から離反する方向へスライドすると、この係合が外れ簡単に離脱する。但し、このような係合に限ることなく、任意の係合構造とすることが可能である。
【0030】また、スライド部材44の端部爪44aには、ラダーコード受入部としての切欠部44dが形成されており、この切欠部44dをラダーコード14が挿通可能となっている。さらに固定部材42には、スライド部材44の方へ向かって伸びる一対の可撓性の押え片(押え部)42d、42dが形成されており、押え片42d、42dの間の空間は連通部42eとなって、連通部42eはボトムレール24の底面に形成された貫通孔24cとほぼ一致した位置にある(図11参照)。前記切欠部44dをそれぞれ挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、連通部42e及びボトムレール24の貫通孔24cを通り、その下端がボトムレール24の内部に導入されている。好ましくは、2つの垂直コード14b、14bのそれぞれの下端部をクリップ36で固定しておくと、前後2つの垂直コード14b、14bのボトムレール24から露出した長さは一定に保たれ、スラット16が不要に傾くことを防ぐことができる。
【0031】ラダーコード14は、固定部材42の押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間で挟着される。スライド部材44が固定部材42に係合した状態で押え片42d、42dをボトムレール24の底面に向かって押圧することで、ラダーコード14の挟着が確実になる。こうして、ラダーコード14は確実にボトムレール24に連結される。
【0032】このラダーコード14の長さを微調整してボトムレール24の高さ、即ちブラインドの高さ寸法を調整したい場合には、以下のようにして行う。まず、図10に示すように、スライド部材44を、固定部材42から脱離させて、ボトムレール24の長手方向にスライドさせ、連通部42eを露出させる。そして、ボトムレール24内に挿入されていたラダーコード14の下端をボトムレール24の貫通孔24cから引き出す。次に、ブラインドの高さを短くしたい場合には、ラダーコード14を下方に引っ張り、押え片42dの内面を通過するラダーコード14の部位をより高い部位に移動させる。そして、引っ張ったラダーコード14の下端を再びボトムレール24の貫通孔24cに挿通させてボトムレール24内へと押し込み、スライド部材44を固定部材42の方へスライドさせて固定部材42に係合することで、調整が終了する。ブラインドの高さを長くしたい場合には、ラダーコード14を逆方向に引っ張り、押え片42dの内面を通過するラダーコード14の部位をより低い部位に移動させることで同様に行うことができる。
【0033】本実施形態においても第1実施形態と同様に、スライド部材44をボトムレール24に対してスライドさせて固定部材42から離反させるだけで、ラダーコード14とボトムレール24との連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整を行うことができるようになり、固定部材42に再係合させるだけでラダーコード14をボトムレール24に連結することができる。ラダーコード14は、固定部材42の内面とボトムレール24の底面との間で挟着しているが、そのラダーコード14への挟着力よりも、スライド部材44と固定部材42とのスライド方向の係合力は小さく設定することができるため、軽い力でスライド部材44を固定部材42から離脱させてスライドさせることができる。
【0034】また、ボトムレール24に連結された昇降コード26の調整を行う場合においても、スライド部材44をスライドさせて、ボトムレール24の貫通孔24cを露出させることでその貫通孔24c及び固定部材42の連通部42eを通して、昇降コード26の結び目26aを外部へ取り出すことができ、その結び目26aを解いて、昇降コード26の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。」

キ 「【0035】次に、図14ないし図20は本発明に係るブラインドの第3の実施形態を表す図である。
【0036】図に拡大して示したように、ラダーコード14は、ボトムレール24に合成樹脂製のテープホルダ50によって連結される。テープホルダ50は固定部材52とスライド部材54とからなり、固定部材52は、ボトムレール24に対して堅く係止され、一方、スライド部材54は、ボトムレール24の長手方向に沿って移動可能に取り付けられている。即ち、固定部材52は、その中央部に突設されたボス部52a(図17参照)が、ボトムレール24の貫通孔24cにはめ込まれて堅く係止され、一方のスライド部材54は、その前後端部に形成された端部爪54aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに軽く係止されてボトムレール24から脱落することなく、長手方向にスライドできるようになっている。また、スライド部材54には、その内面に係合部54bが設けられており、固定部材52には、この係合部54bに係合する係合受部52bが設けられている。係合部54bと係合受部52bとの係合は、具体的には、スライド部材54の凹部となった係合部54bと、固定部材52の前記ボス部52aと反対側に突出する凸部となった係合受部52bとがはまり合うことにより行われ、スライド部材54は、固定部材52にほぼ重なり合うようにして係合している。スライド部材54を固定部材52から離反する方向へスライドすると、この係合が外れ簡単に離脱する。但し、このような係合に限ることなく、任意の係合構造とすることが可能である。
【0037】また、スライド部材54の端部爪54aには、ラダーコード受入部としての切欠部54dが形成されており、この切欠部54dをラダーコード14の垂直コード14bが挿通可能となっている。さらに固定部材52のボス部52aには、ボス部52aの直径方向を横切る横断溝52cが形成されており、この横断溝52cには、ラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bの下端がはめ込まれており、横断溝52cの中央部(固定部)52dにおいて、2つの垂直コード14b、14bの下端のクリップ36が圧入固定される。こうして前記切欠部54dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、ボス部52aの横断溝52cの中央部52dにまで達している。スライド部材54の切欠部54dは、ラダーコード14の垂直コード14bが多少の抵抗を持って通過するようになっている。切欠部54dの一側面には、スライド部材54内部まで伸びる壁面54eが形成されている(図18,19参照)。固定部材52は、ボス部52aの前後両側に2つの翼部52e、52eを有しており、翼部52eの先端は先端に向かって厚みが薄くなるように先鋭化されて、その先端が、前記スライド部材54の前記壁面54e近傍にまで達して、切欠部54dを通過したラダーコード14の垂直コード14bを前記壁面54eとで挟着している。こうして、ラダーコード14は確実にボトムレール24に連結される。
【0038】このラダーコード14の長さを微調整してボトムレール24の高さ、即ちブラインドの高さ寸法を調整したい場合には、以下のようにして行う。まず、図15に示すように、スライド部材54を、固定部材52から脱離させて、ボトムレール24の長手方向にスライドさせる。ラダーコード14の下端は、固定部材52の固定部52dに固定されたままであり、スライド部材54のスライドに伴い、ラダーコード14の切欠部54dを挿通するラダーコード14の部位をより高い部位に移動させることができる。そして、調整したい寸法に対応する長さだけ切欠部54dを挿通するラダーコード14の部位を高い部位に移動させた後、再びスライド部材54を元に戻して、固定部材52に係合する。このとき、ラダーコード14は、切欠部54dにおいて(壁面52eによって)、やや拘束されているため、切欠部54dから固定部材52までのラダーコード14部位は、切欠部54dから外部へ戻ることなく留まり、弛みとなって固定部材52の外面(またはボトムレール24の底面)とスライド部材54の内面との間の空間(収容部)56に収容される(図16)。また、切欠部54d近傍に位置するラダーコード14が、翼部52eと壁面54eとの間で挟着されて、ボトムレール24に連結される。こうして、スライド部材54をスライドさせた分だけ、ラダーコード14のボトムレール24から露出する長さを短くすることができる。ブラインドの高さ寸法を長くしたい場合には、図15の状態において、ラダーコード14を逆方向に引っ張り、弛みを少なくし、ラダーコード14の切欠部54dを挿通するラダーコード14の部位をより低い位置に移動させることで同様に行うことができる。」

ク 「【0044】また、スライド部材64の端部爪64aには、切欠部64dが形成されており、この切欠部64dをラダーコード14の垂直コード14bが挿通可能となっている。切欠部64dは、その間口の幅が狭く、奥側の幅が広くなっており、また、間口において外側に面取りされており(図25参照)、これによってラダーコード14が入り易く抜け難い構成となっている。スライド部材64は、通常、ボトムレール24の底面に形成された貫通孔24cを覆うような位置に位置づけられている。スライド部材64の内面には、この貫通孔24cに軽く係止される係止突起64e、64eが形成されている。さらに、スライド部材64の内面には挿通橋部(折り返し部)64bが設けられており、挿通橋部64bは前記貫通孔24cの真下ではなく、貫通孔24cよりもオフセットされてボトムレール24の底面に面するようにして配置されている(図26参照)。」

ケ 「【符号の説明】
・・・
54d 切欠部(受入部)
・・・」

コ 以上のことから、まず上記エ及びオに着目すると、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1-1発明」という。)が記載されている。
「壁面または天井面に取り付けられるヘッドボックス12内のラダーコード支持装置17からラダーコード14が吊下られ、ラダーコード14の前後の2つの垂直コード14b、14bの下端部は、ボトムレール24に連結された、横型ブラインド10において、
ラダーコード14は、ボトムレール24に合成樹脂製のテープホルダ30によって連結され、テープホルダ30は固定部材32とスライド部材34とからなり、
ボトムレール24には、その上部及び下部に長手方向に沿って突出リブ24a、24bが形成されており、固定部材32は、その前後端部に形成された端部爪32aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに堅く係止され、一方のスライド部材34は、その前後端部に形成された端部爪34aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに軽く係止されてボトムレール24から脱落することなく、長手方向にスライドできるようになっており、
スライド部材34には、固定部材32の方に向かって伸びる係合板部34bが設けられ、固定部材32には、この係合板部34bを受ける係合受部32bが設けられており、係合板部34bと係合受部32bとの係合は、スライド部材34の係合板部34bに形成された係合突起34cと、固定部材32の係合受部32bに形成された係合溝32cがはまり合うことにより行われており、
固定部材32の端部爪32aには、ラダーコード受入部としての切欠部32dが形成され、この切欠部32dをラダーコード14の垂直コード14bが挿通可能となっており、固定部材32には、その本体部に2つの開口32e、32fが形成され、前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通し、その後、固定部材32の外面とスライド部材34の係合板部34bの内面との間の隙間を通り、開口32f及びボトムレール23の貫通孔24cを通り、その下端がボトムレール24の内部に導入されるもので、
スライド部材34には、その係合板部34bの内面に、押えリブ34dが形成され、これによって、固定部材32の外面とスライド部材34との間で垂直コード14b、14bを挟着することにより、ラダーコード14は確実にボトムレール24に連結されることから、
スライド部材34をボトムレール24に対してスライドさせて固定部材32から離反させるだけで、ラダーコード14とボトムレール24との連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整を行うことができるようになり、固定部材32に再係合させるだけでラダーコード14をボトムレール24に連結することができる、横型ブラインド10。」

サ さらに上記エ及びカに着目すると、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1-2発明」という。)も記載されている。
「壁面または天井面に取り付けられるヘッドボックス12内のラダーコード支持装置17からラダーコード14が吊下られ、ラダーコード14の前後の2つの垂直コード14b、14bの下端部は、ボトムレール24に連結された、横型ブラインド10において、
ラダーコード14は、ボトムレール24に合成樹脂製のテープホルダ40によって連結され、テープホルダ40は固定部材42とスライド部材44とからなり、
固定部材42は、その前後端部に形成された端部爪42aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに堅く係止され、一方のスライド部材44は、その前後端部に形成された端部爪44aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに軽く係止されてボトムレール24から脱落することなく、長手方向にスライドできるようになっており、
スライド部材44には、固定部材42の方に向けて伸びる係合板部44bが設けられ、固定部材42には、この係合板部44bを受ける係合受部42bが設けられて、係合板部44bと係合受部42bとの係合は、スライド部材44の係合板部44bに形成された係合突起44cと、固定部材42の係合受部42bに形成された係合溝42cがはまり合うことにより行われており、
スライド部材44の端部爪44aには、ラダーコード14が挿通可能となるラダーコード受入部としての切欠部44dが形成され、
固定部材42には、スライド部材44の方へ向かって伸びる一対の可撓性の押え片42d、42dが形成され、押え片42d、42dの間の空間は連通部42eとなって、前記切欠部44dをそれぞれ挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、連通部42e及びボトムレール24の底面に形成された貫通孔24cを通り、その下端がボトムレール24の内部に導入されており、
ラダーコード14は、固定部材42の押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間で挟着され、スライド部材44が固定部材42に係合した状態で押え片42d、42dをボトムレール24の底面に向かって押圧することで、ラダーコード14の挟着が確実になることにより、ラダーコード14は確実にボトムレール24に連結されることから、
スライド部材44をボトムレール24に対してスライドさせて固定部材42から離反させるだけで、ラダーコード14とボトムレール24との連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整を行うことができるようになり、固定部材42に再係合させるだけでラダーコード14をボトムレール24に連結することができる、横型ブラインド10。」

(2)甲第2号証
本件特許の出願前に頒布された甲第2号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
ア 「【0039】・・・本発明は、図6に示すように具体化してもよい。即ち、ボトムレール26の前後からラダーコード2を挿入可能とし、前記ボトムレール26にはラダーコード2を挿通可能としたテープホルダー27を嵌着する。テープホルダー27には、ラダーコード2を挿通可能とした挟着部材28を上下動可能に設け、その下方には同じくラダーコード2を挿通可能とした調節ネジ29(解除部材)を設ける。即ち、調節ネジ29を螺入して挟着部材28を上方へ押し上げ、該挟着部材28によってラダーコード2をボトムレール26の上面に挟着可能とする。このように構成された調整装置では、調節ネジ29を緩めて挟着部材28を下降させることによってラダーコード2の挟着を解除し、該ラダーコード2の端部をボトムレール26の上面より引き出し、あるいは引き戻し操作することによって、ボトムレール26の下限位置を調整可能となる。」

イ 【図6】をみると、ボトムレール26の挟着部材28に対向する面には、凹凸が形成されていることがわかる。

(3)甲第3号証
本件特許の出願前に頒布された甲第3号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
ア 「【0016】前記テープホルダ30の切欠部30eを挿通した2つの垂直コード14b、14bの下端は、テープホルダ30の凹部30cとボトムレール24の下面との間の隙間を通り、さらには、複数の突起壁部30bの間から、調整ドラム32のギヤ部32cと突起壁部30bとの間を通り抜けて、ボトムレール24内へと導入されている。このギヤ部32cと突起壁部30bとで2つの垂直コード14b、14bを挟着することで、ラダーコード14がボトムレール24に結合される。4つの突起壁部30bのうちの対向する2つの突起壁部30b1が調整ドラム32との間でそれぞれ垂直コード14bを挟着する受部として機能しており、残りの対向する2つの突起壁部30b2は、挟着された部分以外の垂直コード14bが調整ドラム32から離反するように誘導するための誘導部として機能している。この誘導部として機能する突起壁部30b2によって、2つの垂直コード14b、14bの下端は、調整ドラム32から離反するように且つ互いに離反するようにして、ボトムレール24内に導入されている。尚、2つの垂直コード14b、14bの下端には、この下端がギヤ部32cと突起壁部30bとの間からの抜けを防止するために、クリップ34がそれぞれ取り付けられている。」

イ 【図3】をみると、ギヤ部32cの周面には、凹凸が形成されていることがわかる。

(4)甲第4号証
本件特許の出願前に頒布された甲第4号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
ア 「【0006】
【考案の実施の形態】
・・・噛合部21とバックル本体1の底端面10が形成する間隙101(図10)がバンド4の前端42の挿入に供され、並びに該回動位置決め片2がバックル本体1の底端面10に向けて回されて係合させられ(図9)、並びに該噛合部21の噛合歯212がバンド4に噛み合い、且つ係止部22がバンド4を係止する、上記回動位置決め片2と、フレーム3とされ、金属材料で形成され、バンド4の後部41が通る適当な大きさの孔31を具えた框体とされ、該フレーム3の後端32にバンド位置決め用の爪131が枢設され、該爪131がバンド4の後部41の位置決め孔411の一つに挿入される、上記フレーム3と、を具えている。」

(5)甲第12号証
本件特許の出願前に頒布された甲第12号証には、以下の事項が記載されている。
ア Fig1?Fig3を参照すると、横型ブラインドの締結具であって、サイドテープ16は、クリップ24とベース21との間のスペースを左右方向に屈曲させずに通り抜け、余分な長さのサイドテープ16’はハウジング内に折り畳まれて隠されることが見てとれる。


2 無効理由について
(1)本件発明1
ア 対比
本件発明1と甲1-2発明を対比する。
(ア)甲1-2発明の「ボトムレール24」,「横型ブラインド10」,「固定部材42」及び「スライド部材44」が、それぞれ本件発明1の「ボトムレール」,「横型ブラインド」,「ベース部」及び「カバー」に相当する。また、甲1-2発明の「押え片42d」と、本件発明1の「案内板部」とは、「板部」で共通し、同様に「ラダーコード14」と、「ラダーテープ」とは、「ラダー」で共通する。
(イ)甲1-2発明の「横型ブラインド10」は、ボトムレール24が上下動することで開閉がされるものであることは自明であるので、甲1-2発明の「ラダーコード14の前後の2つの垂直コード14b、14bの下端部は、ボトムレール24に連結され」た「横型ブラインド10」と、本件発明1の「ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」とは、「ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」で共通する。
また甲1-2発明の「横型ブラインド10」において、「スライド部材44をボトムレール24に対してスライドさせて固定部材42から離反させるだけで、ラダーコード14とボトムレール24との連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整を行うことができるようにな」る構成は、本件発明1の「横型ブラインドの高さ調整装置」に相当する。
(ウ)甲1-2発明の「その前後端部に形成された端部爪42aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに堅く係止され」た「固定部材42」は、本件発明1の「ボトムレールに固定されたベース部」に相当し、甲1の2発明の「スライド部材44の方に向かって伸びる一対の可撓性の押え片42d、42d」と、本件発明1の「前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部」とは、「前記ベース部に設けられた板部」で共通する。
(エ)甲1-2発明の「固定部材42に係合した状態で押え片42d、42dをボトムレール24の底面に向かって押圧することで、」「ラダーコード14」を「確実にボトムレール24に連結」する「スライド部材44」と、本件発明1の「前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバー」 とは、 「前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバー」で共通する。
(オ)甲1-2発明の「ラダーコード14は、固定部材42の押さえ片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間で挟着され、スライド部材44が固定部材42に係合した状態で押え片42d、42dをボトムレール24の底面に向かって押圧することで、ラダーコード14の挟着が確実になって、ラダーコード14は確実にボトムレール24に連結される」構成と、本件発明1の「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入した状態において、前記カバーを装着することにより、前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間の前記ラダーテープを間接的に押圧することで前記案内板部の前記固定係止部により前記ラダーテープは係止されて、前記ベース部に対するラダーテープの相対変位が規制される」構成とは、「前記板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入した状態において、前記カバーを装着することにより、前記板部と前記ボトムレールの表面との間の前記ラダーを間接的に押圧することで前記板部により前記ラダーは係止されて、前記ベース部に対するラダーの相対変位が規制される」構成で共通する。
(カ)上記(ア)?(オ)からみて、本件発明1と甲1-2発明とは、以下の一致点で一致し、相違点1、2で相違する。
一致点:ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられた板部と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入した状態において、前記カバーを装着することにより、前記板部と前記ボトムレールの表面との間の前記ラダーを間接的に押圧することで前記板部により前記ラダーは係止されて、前記ベース部に対するラダーの相対変位が規制される横型ブラインドの高さ調節装置。」

相違点1:ラダーが、本件発明1はラダーテープであるのに対し、甲1-2発明はラダーコードである点。
相違点2:本件発明1は、板部がラダーテープを案内する案内板部であって、ラダーテープと接する位置に凹凸状の固定係止部が形成されるのに対し、甲1-2発明は、板部が押え片42dであって、ラダーを案内するものかどうか不明であり、ラダーと接する位置に凹凸状の固定係止部が形成されるかどうかも不明な点。

イ 判断
上記相違点1,2について検討する。
(ア)相違点1
a ボトムレールを支持するものとして、ラダーテープまたはラダーコードはいずれも本件特許出願前に周知慣用手段であって、そのどちらを用いるかは、当業者が適宜選択し得る事項に過ぎないことから、甲1-2発明のラダーコードをラダーテープに替えることによって、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。
b 被請求人は、審判事件答弁書において、上記第3 2(1)のとおりの主張を行っており、当該主張について検討する。
甲第1号証の第2実施例を説明する【図11】?【図13】を参照すると、ラダーコード14bはボトムレール24の軸方向(つまり、ラダーコードをラダーテープに替えた場合の幅方向)に大きく屈曲するものではない。ラダーテープがラダーコードと比較して、その幅方向へ屈曲し難い性質があるとしても、上記の屈曲の程度であれば、ラダーテープであっても十分屈曲が可能であると認められる。
さらに、本件発明1が、ラダーテープを幅方向に屈曲しなけらばならないような構成を備えているものでもないことから、ラダーコードをラダーテープに替えることの困難性に対する主張については、採用することができない。
(イ)相違点2
甲1-2発明の押え片42dは、上記1(1)カの段落【0031】のとおり、その内面とボトムレール24の底面とで、ラダーコード14を挟着していることから、ラダーコード14の一部を押さえているだけであって、ラダーコード14を案内する機能を有しているとは認められない。
さらに、ブラインドのラダーコードを固定するに際して、凹凸状の固定係止部を用いて固定することは、甲第2号証や甲第3号証に記載されているように、本件特許出願前に周知の技術であったとしても、ラダーテープを押さえる部分に凹凸状の固定係止部を設けることが、本件特許出願前に公知もしくは周知であったとは認められない。
なお、請求人は甲第4号証も提示しているが、甲第4号証に記載されたバックルはベルトの部材であるので、技術分野を勘案すると、ブラインドのラダーテープの容易想到性の判断の根拠とすることはできない。
したがって、甲1-2発明の押え片42dを、ラダーテープを案内する案内板部とし、さらにラダーテープと接する位置に凹凸状の固定係止部を形成することは、当業者が容易になし得たものではない。
(ウ)まとめ
以上のとおり、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、また、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明2
本件発明2は、本件発明1の構成をすべて含み、さらに「前記カバー及び前記ベース部には、前記案内板部を前記ラダーテープ側に押圧するように互いに噛み合う凹凸状に形成される係止部が形成される」構成を付加するものである。
本件発明1が、上記(1)に記載したとおりであるから、本件発明2も同様に、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明3
本件発明3は、本件発明2の構成をすべて含み、さらに「前記ベース部には前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔が設けられている」構成を付加するものである。
本件発明2が、上記(2)に記載したとおりであるから、本件発明3も同様に、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明4
本件発明4は、本件発明1?3のいずれかの構成をすべて含み、さらに「前記カバー及び前記ベース部にはそれぞれ互いに嵌め合うスライドレール部が設けられ、スライド操作により前記カバーを前記ベース部に嵌め合わせる」構成を付加するものである。
本件発明1?3が、上記(1)?(3)に記載したとおりであるから、本件発明4も同様に、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)本件発明5
ア 対比
本件発明5と甲1-2発明を対比する。
(ア)甲1-2発明の「ボトムレール24」,「横型ブラインド10」,「固定部材42」及び「スライド部材44」が、それぞれ本件発明5の「ボトムレール」,「横型ブラインド」,「ベース部」及び「カバー」に相当する。また、甲1-2発明の「押え片42d」と、本件発明5の「案内板部」とは、「板部」で共通し、同様に「ラダーコード14」と、「ラダーテープ」とは、「ラダー」で共通する。
(イ)甲1-2発明の「横型ブラインド10」は、ボトムレール24が上下動することで開閉がされるものであることは自明であるので、甲1-2発明の「ラダーコード14の前後の2つの垂直コード14b、14bの下端部は、ボトムレール24に連結され」た「横型ブラインド10」と、本件発明5の「ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」とは、「ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」で共通する。
また甲1-2発明の「横型ブラインド10」において、「スライド部材44をボトムレール24に対してスライドさせて固定部材42から離反させるだけで、ラダーコード14とボトムレール24との連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整を行うことができるようにな」る構成は、本件発明5の「横型ブラインドの高さ調整装置」に相当する。
(ウ)甲1-2発明の「その前後端部に形成された端部爪42aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに堅く係止され」た「固定部材42」は、本件発明5の「ボトムレールに固定されたベース部」に相当し、甲1-2発明の「スライド部材44の方に向かって伸びる一対の可撓性の押え片42d、42d」と、本件発明5の「前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部」とは、「前記ベース部に設けられた板部」で共通する。
(エ)甲1-2発明の「固定部材42に係合した状態で押え片42d、42dをボトムレール24の底面に向かって押圧することで、」「ラダーコード14」を「確実にボトムレール24に連結」する「スライド部材44」と、本件発明5の「前記ベース部と嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバー」 とは、「前記ベース部と嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバー」で共通する。
(オ)甲1-2発明の「切欠部44dをそれぞれ挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通」ることは、本件発明5の「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入」することとは、「前記板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入」することで共通する。
(カ)上記(ア)?(オ)からみて、本件発明5と甲1-2発明とは、以下の一致点で一致し、相違点3,4で相違する。
一致点:ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられた板部と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入している、横型ブラインドの高さ調節装置。」

相違点3:本件発明5は、ラダーがラダーテープであって、前記ベース部に形成されて前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔を備え、前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに前記挿通孔から導出させ、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節されるのに対し、甲1-2発明は、ラダーがラダーコードであって、ベース部に形成されてラダーをベース部より導出させる挿通孔を備え、ラダーをボトムレールの左右方向に屈曲させずに挿通孔から導出させ、挿通孔から導出させたラダーの長さ調節によりボトムレールの高さが調節されるかどうか不明な点。
相違点4:本件発明5は、板部がラダーテープを案内する案内板部であって、ラダーテープに対向する面には凹凸形状の仮止部が形成されているのに対し、甲1-2発明は、板部が押え片42dであって、ラダーを案内するかどうか不明であり、ラダーに対向する面に凹凸形状の仮止部が形成されるかどうかも不明な点。

イ 判断
上記相違点3,4について検討する。
(ア)相違点3
a 甲1-2発明において、「前記切欠部44dをそれぞれ挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、連通部42e及びボトムレール24の底面に形成された貫通孔24cを通り、その下端がボトムレール24の内部に導入され」るものであるから、ラダーコード14を、ボトムレール24の反対方向であるスライド部材44方向に配置する動機付けは存在しない。
b また、甲1-2発明の固定部材42には、本件発明5の挿通孔に相当する孔が設けられていない。仮に、甲1-2発明の連通部42eが、本件発明5の挿通孔に相当するとしても、上記aで説示したとおり、ラダーコード14の下端は、ボトムレール24の内部に導入されるものであるから、連通部42eを通るように配置するものでもない。
c 上記a,bのとおり、ベース部に形成されてラダーをベース部より導出させる挿通孔を備え、ラダーを挿通孔から導出させることが、当業者が容易に想到しえたこととはいえないことから、甲1-2発明において、上記相違点3に係る本件発明5の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことではない。
(ウ)相違点4
甲1-2発明において、「ラダーコード14は、固定部材42の押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間で挟着」されていることからみて、甲1-2発明の「押え片42d、42d」は、ラダーコード14の一部を押さえているだけであるので、ラダーコード14を案内する機能を有しているとは認められない。
さらに、ブラインドのラダーコードを固定するに際して、凹凸状の固定係止部を用いて固定することは、甲第2号証や甲第3号証に記載されている様に、本件特許出願前に周知な技術であったとしても、ラダーテープを押さえる部分に限定して凹凸状の固定係止部を設けることが、本件特許出願前に公知もしくは周知であるとは認められない。
なお、請求人は甲第4号証も提示しているが、甲第4号証に記載されたバックルはベルトの部材であるので、技術分野を勘案すると、ブラインドのラダーテープの容易想到性の判断の根拠として用いることはできない。
したがって、甲1-2発明の押え片42dを、ラダーテープを案内する案内板部とし、さらにラダーテープと接する位置に凹凸状の固定係止部を形成することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
(エ)まとめ
以上のとおり、本件発明5は、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、また、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(6)本件発明6
ア 対比
本件発明6と甲1-2発明を対比する。
(ア)甲1-2発明の「ボトムレール24」,「横型ブラインド10」,「固定部材42」及び「スライド部材44」が、それぞれ本件発明6の「ボトムレール」,「横型ブラインド」,「ベース部」及び「カバー」に相当する。また、甲1-2発明の「押え片42d」と、本件発明6の「案内板部」とは、「板部」で共通し、同様に「ラダーコード14」と、「ラダーテープ」とは、「ラダー」で共通する。
(イ)甲1-2発明の「横型ブラインド10」は、ボトムレール24が上下動することで開閉がされるものであることは自明であるので、甲1-2発明の「ラダーコード14の前後の2つの垂直コード14b、14bの下端部は、ボトムレール24に連結され」た「横型ブラインド10」と、本件発明6の「ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」とは、「ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」で共通する。
また甲1-2発明の「横型ブラインド10」において、「スライド部材44をボトムレール24に対してスライドさせて固定部材42から離反させるだけで、ラダーコード14とボトムレール24との連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整を行うことができるようにな」る構成は、本件発明6の「横型ブラインドの高さ調整装置」に相当する。
(ウ)甲1-2発明の「その前後端部に形成された端部爪42aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに堅く係止され」た「固定部材42」は、本件発明6の「ボトムレールに固定されたベース部」に相当し、甲1の2発明の「固定部材42に係合した状態で押え片42d、42dをボトムレール24の底面に向かって押圧することで、」「ラダーコード14」を「確実にボトムレール24に連結」する「スライド部材44」と、本件発明6の「前記ベース部と嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバー」 とは、「前記ベース部と嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバー」で共通する。
(エ)甲1-2発明の「切欠部44dをそれぞれ挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通」ることと、本件発明6の「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入」することは、「前記板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入」することで共通する。
(オ)上記(ア)?(エ)からみて、本件発明6と甲1-2発明とは、以下の一致点で一致し、相違点5,6で相違する。
一致点:ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられた板部と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入している、横型ブラインドの高さ調節装置。」

相違点5:本件発明6は、ラダーがラダーテープであって、導入された前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに、前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節されるのに対し、甲1-2発明は、ラダーがラダーコードであって、導入された前記ラダーを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに、前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、前記挿通孔から導出させた前記ラダーの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節されるかどうか不明な点。
相違点6:本件発明6は、板部がラダーテープを案内する案内板部であるのに対し、甲1-2発明は、板部が押え片42dであって、ラダーを案内するものかどうか不明な点。

イ 判断
上記相違点5,6について検討する。
(ア)相違点5
a 甲1-2発明において、「前記切欠部44dをそれぞれ挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、連通部42e及びボトムレール24の底面に形成された貫通孔24cを通り、その下端がボトムレール24の内部に導入され」るものであるから、ラダーコード14を、ボトムレール24の反対方向であるスライド部材44方向に配置する動機付けは存在しない。
b また、甲1-2発明の固定部材42には、本件発明6の挿通孔に相当する孔が設けられていない。仮に、甲1-2発明の連通部42eが、本件発明6の挿通孔に相当するとしても、上記aで説示したとおり、ラダーコード14の下端は、ボトムレール24の内部に導入されるものであるから、連通部42eを通るように配置するものでもない。
c 上記a,bのとおり、ベース部に形成されてラダーをベース部より導出させる挿通孔を備え、ラダーを挿通孔から導出させることが、当業者が容易に想到しえたこととはいえないことから、甲1-2発明において、上記相違点5に係る本件発明6の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことではない。
(イ)相違点6
甲1-2発明において、「ラダーコード14は、固定部材42の押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間で挟着」されていることからみて、甲1-2発明の「押え片42d、42d」は、ラダーコード14の一部を押さえているだけであるので、ラダーコード14を案内する機能を有しているとは認められない。
したがって、甲1-2発明の押え片42dを、ラダーテープを案内する案内板部とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
(ウ)まとめ
以上のとおり、本件発明6は、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、また、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(7)本件発明8
ア 対比
本件発明8と甲1-2発明を対比する。
(ア)甲1-2発明の「ボトムレール24」,「横型ブラインド10」,「固定部材42」,「スライド部材44」,「突出リブ24b」及び「端部爪44a」が、それぞれ本件発明8の「ボトムレール」,「横型ブラインド」,「ベース部」,「カバー」,「係止部」及び「係止爪」に相当する。また、甲1-2発明の「押え片42d」と、本件発明8の「案内板部」とは、「板部」で共通し、同様に「ラダーコード14」と、「ラダーテープ」とは、「ラダー」で共通する。
(イ)甲1-2発明の「横型ブラインド10」は、ボトムレール24が上下動することで開閉がされるものであることは自明であるので、甲1-2発明の「ラダーコード14の前後の2つの垂直コード14b、14bの下端部は、ボトムレール24に連結され」た「横型ブラインド10」と、本件発明8の「ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」とは、「ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」で共通する。
また甲1-2発明の「横型ブラインド10」において、「スライド部材44をボトムレール24に対してスライドさせて固定部材42から離反させるだけで、ラダーコード14とボトムレール24との連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整を行うことができるようにな」る構成は、本件発明8の「横型ブラインドの高さ調整装置」に相当する。
(ウ)甲1-2発明の「その前後端部に形成された端部爪42aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに堅く係止され」た「固定部材42」は、本件発明8の「ボトムレールに固定されたベース部」に相当し、甲1の2発明の「固定部材42に係合した状態で押え片42d、42dをボトムレール24の底面に向かって押圧することで、」「ラダーコード14」を「確実にボトムレール24に連結」する「スライド部材44」と、本件発明8の「前記ベース部と嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバー」 とは、「前記ベース部と嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバー」で共通する。
(エ)甲1-2発明の「切欠部44dをそれぞれ挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通」ることと、本件発明8の「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入」することは、「前記板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入」することで共通する。
(オ)甲1-2発明の「スライド部材44は、その前後端部に形成された端部爪44aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに軽く係止されてボトムレール24から脱落することな」いことは、本件発明8の「前記カバーには係止爪が形成されていて、同係止爪は前記ベース部又はボトムレールに設けられる係止部に係止することで取り付けられ」ていることに相当する。
(カ)上記(ア)?(オ)からみて、本件発明8と甲1-2発明とは、以下の一致点で一致し、相違点7,8で相違する。
一致点:ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられた板部と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入している、横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記カバーには係止爪が形成されていて、同係止爪は前記ボトムレールに設けられる係止部に係止することで取り付けられている、横型ブラインドの高さ調節装置。

相違点7:本件発明8は、ラダーがラダーテープであって、導入された前記ラダーテープを前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さを調節し、前記ラダーテープを折り畳んだ状態で前記ベース部に前記カバーを取り付けることによって、前記ボトムレールの高さが調節されるものであるのに対し、甲1-2発明は、ラダーがラダーコードであって、導入された前記ラダーを前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、前記挿通孔から導出させた前記ラダーの長さを調節し、前記ラダーを折り畳んだ状態で前記ベース部に前記カバーを取り付けることによって、前記ボトムレールの高さが調節されるものであるかどうか不明な点。
相違点8:本件発明8は、板部が、ラダーテープを案内する案内板部であるのに対し、甲1-2発明は、板部が、押え片42dであって、ラダーを案内するものかどうか不明な点。

イ 判断
上記相違点7,8について検討する。
(ア)相違点7
a 甲1-2発明において、「前記切欠部44dをそれぞれ挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、連通部42e及びボトムレール24の底面に形成された貫通孔24cを通り、その下端がボトムレール24の内部に導入され」るものであるから、ラダーコード14を、ボトムレール24の反対方向であるスライド部材44方向に配置する動機付けは存在しない。
b また、甲1-2発明の固定部材42には、本件発明8の挿通孔に相当する孔が設けられていない。仮に、甲1-2発明の連通部42eが、本件発明8の挿通孔に相当するとしても、上記aで説示したとおり、ラダーコード14の下端は、ボトムレール24の内部に導入されるものであるから、連通部42eを通るように配置するものでもない。
c さらに、a,bからみて、ラダーコードを挿通孔を通るように配置するものではないから、挿通孔から導出されたラダーコード14を折り畳むこともない。
d 上記a?cのとおり、ベース部に形成されてラダーをベース部より導出させる挿通孔を備え、ラダーを挿通孔から導出させて、導出させたラダーを折り畳むことは、当業者が容易に想到しえたこととはいえないことから、甲1-2発明において、上記相違点7に係る本件発明8の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことではない。
(イ)相違点8
甲1-2発明において、「ラダーコード14は、固定部材42の押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間で挟着」されていることからみて、甲1-2発明の「押え片42d、42d」は、ラダーコード14の一部を押さえているだけであるので、ラダーコード14を案内する機能を有しているとは認められない。
また、押え片42d、42dにラダーテープを案内する機能を加えることが容易想到であるとする証拠も、請求人から提示されていない。
したがって、甲1-2発明の押え片42dを、ラダーテープを案内する案内板部とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
(ウ)まとめ
以上のとおり、本件発明8は、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、また、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(8)本件発明9
本件発明9は、実質的に本件発明5の構成をすべて含み、さらに「前記案内板部の前記挿通孔の少なくとも一方側の縁部には凹凸形状の係止部が形成されている」構成を付加するものである。
本件発明5が、上記(5)イ(エ)に記載したとおりであるから、本件発明9も同様に、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(9)本件発明10
ア 対比
本件発明10と甲1-2発明を対比する。
(ア)甲1-2発明の「ボトムレール24」,「横型ブラインド10」,「固定部材42」及び「スライド部材44」が、それぞれ本件発明10の「ボトムレール」,「横型ブラインド」,「ベース部」及び「カバー」に相当する。また、甲1-2発明の「押え片42d」と、本件発明10の「案内板部」とは、「板部」で共通し、同様に「ラダーコード14」と、「ラダーテープ」とは、「ラダー」で共通する。
(イ)甲1-2発明の「横型ブラインド10」は、ボトムレール24が上下動することで開閉がされるものであることは自明であるので、甲1-2発明の「ラダーコード14の前後の2つの垂直コード14b、14bの下端部は、ボトムレール24に連結され」た「横型ブラインド10」と、本件発明10の「ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」とは、「ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」で共通する。
また甲1-2発明の「横型ブラインド10」において、「スライド部材44をボトムレール24に対してスライドさせて固定部材42から離反させるだけで、ラダーコード14とボトムレール24との連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整を行うことができるようにな」る構成は、本件発明10の「横型ブラインドの高さ調整装置」に相当する。
(ウ)甲1-2発明の「その前後端部に形成された端部爪42aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに堅く係止され」た「固定部材42」は、本件発明10の「ボトムレールに固定されたベース部」に相当し、甲1-2発明の「スライド部材44の方に向かって伸びる一対の可撓性の押え片42d、42d」と、本件発明10の「前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部」とは、「前記ベース部に設けられた板部」で共通する。
(エ)甲1-2発明の「固定部材42に係合した状態で押え片42d、42dをボトムレール24の底面に向かって押圧することで、」「ラダーコード14」を「確実にボトムレール24に連結」する「スライド部材44」と、本件発明10の「前記ベース部と嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバー」 とは、「前記ベース部と嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバー」で共通する。
(オ)甲1-2発明の「切欠部44dをそれぞれ挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通」ることは、本件発明10の「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入」することとは、「前記板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入」することで共通する。
(カ)上記(ア)?(オ)からみて、本件発明10と甲1-2発明とは、以下の一致点で一致し、相違点9,10で相違する。
一致点:ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられた板部と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入している、横型ブラインドの高さ調節装置。」

相違点9:本件発明10は、ラダーがラダーテープであって、前記ベース部に形成されて前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔を備え、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節されるのに対し、甲1-2発明は、ラダーがラダーコードであって、前記ベース部に形成されて前記ラダーを前記ベース部より導出させる挿通孔を備え、前記挿通孔から導出させた前記ラダーの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節されるかどうか不明な点。
相違点10:本件発明10は、板部が、ラダーテープを案内する案内板部であって、前記案内板部の前記ラダーテープと対向する面には、凹凸形状の仮止部が形成され、前記仮止部は前記案内板における前記ラダーテープが摺動する面に設けられるとともに、前記挿通孔の反対側へ向かうにつれて前記案内板部側へ傾斜する斜片を有する三角錐状の複数の突部からなるのに対し、甲1-2発明は、板部が、押え片42dであって、ラダーを案内するものかどうか不明であり、前記板部の前記ラダーと対抗する面には、凹凸形状の仮止部が形成され、前記仮止部は前記板部における前記ラダーが摺動する面に設けられるとともに、前記挿通孔の反対側へ向かうにつれて前記板部側へ傾斜する斜片を有する三角錐状の複数の突部からなるものかどうか不明な点。

イ 判断
上記相違点9,10について検討する。
(ア)相違点9
a 甲1-2発明において、「前記切欠部44dをそれぞれ挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、連通部42e及びボトムレール24の底面に形成された貫通孔24cを通り、その下端がボトムレール24の内部に導入され」るものであるから、ラダーコード14を、ボトムレール24の反対方向であるスライド部材44方向に配置する動機付けは存在しない。
b また、甲1-2発明の固定部材42には、本件発明10の挿通孔に相当する孔が設けられていない。仮に、甲1-2発明の連通部42eが、本件発明10の挿通孔に相当するとしても、上記aで説示したとおり、ラダーコード14の下端は、ボトムレール24の内部に導入されるものであるから、連通部42eを通るように配置するものでもない。
c 上記a,bのとおり、ベース部に形成されてラダーをベース部より導出させる挿通孔を備え、ラダーを挿通孔から導出させることは、当業者が容易に想到しえたこととはいえないことから、甲1-2発明において、上記相違点9に係る本件発明10の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことではない。
(ウ)相違点10
甲1-2発明において、「ラダーコード14は、固定部材42の押え片42d、42dの内面とボトムレール24の底面との間で挟着」されていることからみて、甲1-2発明の「押え片42d、42d」は、ラダーコード14の一部を押さえているだけであるので、ラダーコード14を案内する機能を有しているとは認められない。
また、押え片42d、42dをラダーテープを案内する機能を加えることが容易想到であるとする証拠も、請求人から提示されていない。
さらに、ブラインドのラダーコードを固定するに際して、凹凸状の固定係止部を用いて固定することは、甲第2号証や甲第3号証に記載されているように、本件特許出願前に周知な技術であったとしても、ラダーテープを押さえる部分に限定して凹凸状の固定係止部を設けることが、請求人の提示する証拠から、本件特許出願前に公知もしくは周知であったとは認められない。
なお、請求人は甲第4号証も提示しているが、甲第4号証に記載されたバックルはベルトの部材であるので、技術分野を勘案すると、ブラインドのラダーテープの容易想到性の判断の根拠とすることはできない。
したがって、甲1-2発明の押え片42dを、ラダーテープを案内する案内板部とし、さらに前記案内板部の前記ラダーテープと対抗する面には、凹凸形状の仮止部が形成され、前記仮止部は前記案内板における前記ラダーテープが摺動する面に設けられるとともに、前記挿通孔の反対側へ向かうにつれて前記案内板部側へ傾斜する斜片を有する三角錐状の複数の突部からなるものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
(ウ)まとめ
以上のとおり、本件発明10は、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、また、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(10)本件発明12
本件発明12は、本件発明5又は6の構成をすべて含み、さらに「前記ベース部はビスで前記ボトムレールに固定され、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープを折り畳んだ状態で前記ベース部に前記カバーを取り付けることによって前記ボトムレールの高さが調節されるように構成されている」構成を付加するものである。
本件発明5又は6が、上記(5)又は(6)に記載したとおりであるから、本件発明12も同様に、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(11)本件発明15ないし17
本件発明15は、本件発明1?4、7,10?11の構成をすべて含み、本件発明16は、本件発明8の構成をすべて含み、本件発明17は、本件発明9の構成をすべて含んでおり、それに加えて本件発明15ないし17は、「前記ベース部はビスで前記ボトムレールに固定される」構成を付加するものである。(なお、本件発明7,11は本件無効審判の請求の対象ではない。)
本件発明1?4,8?10が、上記(1)?(4),(7)?(9)に記載したとおりであるから、本件発明15ないし17も同様に、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(12)小括
以上のとおり、本件発明1?6,8?10,12,15?17は、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、又は、甲第1号証に記載された発明若しくは甲第1号証と甲第2号証ないし甲第4号証のいずれかに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

3 職権無効理由(1)について
(1)本件発明5
ア 対比
本件発明5と甲1-1発明とを対比する。
(ア)甲1-1発明の「ボトムレール24」,「横型ブラインド10」,「固定部材32」,「スライド部材34」及び「開口32e」が、それぞれ本件発明5の「ボトムレール」,「横型ブラインド」,「ベース部」,「カバー」及び「挿通孔」に相当する。また、甲1-1発明の「ラダーコード14」と、本件発明5の「ラダーテープ」とは、「ラダー」で共通する。
(イ)甲1-1発明の「横型ブラインド10」は、ボトムレール24が上下動することで開閉がされるものであることは自明であるので、甲1-1発明の「ラダーコード14の前後の2つの垂直コード14b、14bの下端部は、ボトムレール24に連結され」た「横型ブラインド10」と、本件発明5の「ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」とは、「ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」で共通する。
また甲1-1発明の「横型ブラインド10」において、「スライド部材34をボトムレール24に対してスライドさせて固定部材32から離反させるだけで、ラダーコード14とボトムレール24との連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整を行うことができるようにな」る構成は、本件発明5の「横型ブラインドの高さ調整装置」に相当する。
(ウ)甲1-1発明の「その前後端部に形成された端部爪32aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに堅く係止され」た「固定部材32」は、本件発明5の「ボトムレールに固定されたベース部」に相当する。
(エ)甲1-1発明において、「固定部材32の端部爪32aには、ラダーコード受入部としての切欠部32dが形成され、」「その本体部に開口32eが形成され、前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通」するから、甲1-1発明の「固定部材32」のうち「切欠部32d」から「開口32e」までの部分は、本件発明5の「案内板部」に相当する。
そうすると、甲1-1発明の「前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14b」を「固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通」した「固定部材32」のうち「切欠部32d」から「開口32e」までの部分と、本件発明5の「前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部」とは、「前記ベース部に設けられて前記ラダーを案内する案内板部」で共通する。
(オ)甲1-1発明の「ボトムレール24に対してスライドさせて」「固定部材32に再係合させるだけでラダーコード14をボトムレール24に連結することができる」「スライド部材34」と、本件発明5の「前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバー」とは、「前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバー」で共通する。
(カ)甲1-1発明の「前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通し、」「固定部材32の外面とスライド部材34との間で垂直コード14b、14bを挟着することにより、ラダーコード14は確実にボトムレール24に連結され」、「スライドさせて離反させるだけで、」「連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整をおこなうことができる」ことと、本件発明5の「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに前記挿通孔から導出させ、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される」こととは、「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入し、前記ラダーを前記挿通孔から導出させ、前記挿通孔から導出させた前記ラダーの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される」ことで共通する。

(キ)上記(ア)ないし(カ)からみて、本件発明5と甲1-1発明とは、以下の一致点で一致し、相違点11?12で相違する。
一致点:ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーを案内する案内板部と、
前記ベース部に形成されて前記ラダーを前記ベース部より導出させる挿通孔と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入し、前記ラダーを前記挿通孔から導出させ、前記挿通孔から導出させた前記ラダーの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置。
相違点11:本件発明5は、ラダーがラダーテープであって、ラダーテープをボトムレールの左右方向に屈曲させずに挿通孔から導出させるのに対し、甲1-1発明は、ラダーがラダーコードであって、ラダーをボトムレールの左右方向に屈曲させずに挿通孔から導出させるのかどうか不明な点。
相違点12:本件発明5は、案内板部のラダーテープに対向する面には凹凸形状の仮止部が形成されているのに対し、甲1-1発明は、案内板部のラダーに対向する面に仮止部が形成されているかどうか不明な点。

イ 判断
上記相違点11,12について検討する。
(ア)相違点11
a 本件発明5のラダーテープは、案内板部とボトムレールの表面の間からラダーテープを導入し、ラダーテープをボトムレールの左右方向に屈曲させずに挿通孔から導出させるものであって、さらに、その名称からして、ある程度の横幅を有するテープ状のものであるから、本件発明5のラダーテープは、ボトムレールの幅方向に屈曲させることが困難な程度の横幅を有するテープ状のものである。
b これに対して、甲1-1発明は、「固定部材32の端部爪32aには、ラダーコード受入部としての切欠部32dが形成され、この切欠部32dをラダーコード14の垂直コード14bが挿通可能となっており、固定部材32には、その本体部に2つの開口32e、32fが形成され、前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通し、その後、固定部材32の外面とスライド部材34の係合板部34bの内面との間の隙間を通り、開口32f及びボトムレール23の貫通孔24cを通り、その下端がボトムレール24の内部に導入されるもの」であるから、甲1-1発明のラダーコード14は、ある程度の横幅を有するテープ状のものではない上に、ボトムレール24の左右方向に屈曲しながら固定されることが前提となったものである。
c そうすると、ボトムレールを支持するものとして、仮に、ラダーテープまたはラダーコードが本件特許出願前に周知慣用手段であり、そのどちらを用いるかは、当業者が適宜選択し得る事項に過ぎないとしても、ボトムレール14の左右方向の屈曲が前提となった甲1-1発明のラダーコード14を、敢えて当該屈曲が困難となるような、ある程度の横幅を有するテープ状のものに代えることは当業者が容易に想到し得るものではない。
d また、請求人が提示する甲第12号証において、左右方向に屈曲させないことが記載されているとしても、上記cと同様に、ボトムレール14の左右方向の屈曲が前提となった甲1-1発明のラダーコード14を、当該屈曲が困難となるような、ある程度の横幅を有するテープ状のものに代えることは当業者が容易に想到し得るものではない。
e したがって、甲1-1発明のラダーコードをラダーテープに代えて、ラダーテープをボトムレールの左右方向に屈曲させずに挿通孔から導出させることは、当業者が容易になし得たことではない。
(イ)相違点12
甲第1号証をみると、上記1(1)ア及びキの段落【0037】のとおり、ラダーコードに若干の拘束力を与えつつ(多少の抵抗を持って)通過可能に受け入れる受入部54dが記載されており、この受入部54dは実質的にラダーコードの仮止めを行っているものといえるので、当該受入部54dは、本件発明5の「仮止部」に相当する。
また、仮止構造において、仮止め対象物に接する箇所を凹凸形状とすることは、通常行われていることであるから、仮止部に相当する上記受入部54dを甲1-1発明に適用するに際して、当該部位を凹凸形状とすることは、当業者が適宜なし得る程度のことである。
(ウ)まとめ
以上のことから、本件発明5は、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて容易発明をすることができたものではない。

(2)本件発明6
ア 対比
本件発明6と甲1-1発明を対比する。
(ア)甲1-1発明の「ボトムレール24」,「横型ブラインド10」,「固定部材32」,「スライド部材34」及び「開口32e」が、それぞれ本件発明6の「ボトムレール」,「横型ブラインド」,「ベース部,「カバー」及び「挿通孔」に相当する。また、甲1-1発明の「ラダーコード14」と、本件発明5の「ラダーテープ」とは、「ラダー」で共通する。
(イ)甲1-1発明の「横型ブラインド10」は、ボトムレール24が上下動することで開閉がされるものであることは自明であるので、甲1-1発明の「ラダーコード14の前後の2つの垂直コード14b、14bの下端部は、ボトムレール24に連結され」た「横型ブラインド10」と、本件発明6の「ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」とは、「ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」で共通する。
また甲1-1発明の「横型ブラインド10」において、「スライド部材34をボトムレール24に対してスライドさせて固定部材32から離反させるだけで、ラダーコード14とボトムレール24との連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整を行うことができるようにな」る構成は、本件発明6の「横型ブラインドの高さ調整装置」に相当する。
(ウ)甲1-1発明の「その前後端部に形成された端部爪32aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに堅く係止され」た「固定部材32」は、本件発明6の「ボトムレールに固定されたベース部」に相当する。
(エ)甲1-1発明において、「固定部材32の端部爪32aには、ラダーコード受入部としての切欠部32dが形成され、」「その本体部に開口32eが形成され、前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通」するから、甲1-1発明の「固定部材32」のうち「切欠部32d」から「開口32e」までの部分は、本件発明6の「案内板部」に相当する。
そうすると、甲1-1発明の「前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14b」を「固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通」した「固定部材32」のうち「切欠部32d」から「開口32e」までの部分と、本件発明6の「前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部」とは、「前記ベース部に設けられて前記ラダーを案内する板部」で共通する。
(オ)甲1-1発明の「ボトムレール24に対してスライドさせて」「固定部材32に再係合させるだけでラダーコード14をボトムレール24に連結することができる」「スライド部材34」と、本件発明6の「前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバー」とは、「前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバー」で共通する。
(カ)甲1-1発明の「前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通し、」「固定部材32の外面とスライド部材34との間で垂直コード14b、14bを挟着することにより、ラダーコード14は確実にボトムレール24に連結され」、「スライドさせて離反させるだけで、」「連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整をおこなうことができる」ことと、本件発明6の「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、導入された前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに、前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される」こととは、「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入し、導入された前記ラダーを、前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出させた前記ラダーの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される」ことで共通する。
(キ)上記(ア)ないし(カ)からみて、本件発明6と甲1-1発明とは、以下の一致点で一致し、相違点13で相違する。
一致点:ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーを案内する案内板部と、
前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入し、導入された前記ラダーを、前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出された前記ラダーの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置。
相違点13:本件発明6は、ラダーがラダーテープであって、導入されたラダーテープをボトムレールの左右方向に屈曲させずに、挿通孔から導出するのに対し、甲1-1発明は、ラダーがラダーコードであって、導入されたラダーをボトムレールの左右方向に屈曲させずに、挿通孔から導出するかどうか不明な点。

イ 判断
上記相違点13について検討する。
a 本件発明6のラダーテープは、案内板部とボトムレールの表面の間からラダーテープを導入し、ラダーテープをボトムレールの左右方向に屈曲させずに挿通孔から導出させるものであって、さらに、その名称からして、ある程度の横幅を有するテープ状のものであるから、本件発明6のラダーテープは、ボトムレールの幅方向に屈曲させることが困難な程度の横幅を有するテープ状のものである。
b これに対して、甲1-1発明は、「固定部材32の端部爪32aには、ラダーコード受入部としての切欠部32dが形成され、この切欠部32dをラダーコード14の垂直コード14bが挿通可能となっており、固定部材32には、その本体部に2つの開口32e、32fが形成され、前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通し、その後、固定部材32の外面とスライド部材34の係合板部34bの内面との間の隙間を通り、開口32f及びボトムレール23の貫通孔24cを通り、その下端がボトムレール24の内部に導入されるもの」であるから、甲1-1発明のラダーコード14は、ある程度の横幅を有するテープ状のものではない上に、ボトムレール24の左右方向に屈曲しながら固定されることが前提となったものである。
c そうすると、ボトムレールを支持するものとして、仮に、ラダーテープまたはラダーコードが本件特許出願前に周知慣用手段であり、そのどちらを用いるかは、当業者が適宜選択し得る事項に過ぎないとしても、ボトムレール14の左右方向の屈曲が前提となった甲1-1発明のラダーコード14を、敢えて当該屈曲が困難となるような、ある程度の横幅を有するテープ状のものに代えることは当業者が容易に想到し得るものではない。
d また、請求人が提示する甲第12号証において、左右方向に屈曲させないことが記載されているとしても、上記cと同様に、ボトムレール14の左右方向の屈曲が前提となった甲1-1発明のラダーコード14を、当該屈曲が困難となるような、ある程度の横幅を有するテープ状のものに代えることは当業者が容易に想到し得るものではない。
e したがって、甲1-1発明のラダーコードをラダーテープに代えて、ラダーテープをボトムレールの左右方向に屈曲させずに挿通孔から導出させることは、当業者が容易になし得たことではない。
よって、本件発明6は、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明8
ア 対比
本件発明8と甲1-1発明を対比する。
(ア)甲1-1発明の「ボトムレール24」,「横型ブラインド10」,「固定部材32」,「スライド部材34」,「開口32e」,「突出リブ24b」及び「端部爪34a」が、それぞれ本件発明8の「ボトムレール」,「横型ブラインド」,「ベース部」,「カバー」,「挿通孔」,「係止部」及び「係止爪」に相当する。また、甲1-1発明の「ラダーコード14」と、本件発明8の「ラダーテープ」とは、「ラダー」で共通する。
(イ)甲1-1発明の「横型ブラインド10」は、ボトムレール24が上下動することで開閉がされるものであることは自明であるので、甲1-1発明の「ラダーコード14の前後の2つの垂直コード14b、14bの下端部は、ボトムレール24に連結され」た「横型ブラインド10」と、本件発明8の「ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」とは、「ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインド」で共通する。
また甲1-1発明の「横型ブラインド10」において、「スライド部材34をボトムレール24に対してスライドさせて固定部材32から離反させるだけで、ラダーコード14とボトムレール24との連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整を行うことができるようにな」る構成は、本件発明8の「横型ブラインドの高さ調整装置」に相当する。
(ウ)甲1-1発明の「その前後端部に形成された端部爪32aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに堅く係止され」た「固定部材32」は、本件発明8の「ボトムレールに固定されたベース部」に相当する。
(エ)甲1-1発明において、「固定部材32の端部爪32aには、ラダーコード受入部としての切欠部32dが形成され、」「その本体部に開口32eが形成され、前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通」するから、甲1-1発明の「固定部材32」のうち「切欠部32d」から「開口32e」までの部分は、本件発明8の「案内板部」に相当する。
そうすると、甲1-1発明の「前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14b」を「固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通」した「固定部材32」のうち「切欠部32d」から「開口32e」までの部分と、本件発明8の「前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部」とは、「前記ベース部に設けられて前記ラダーを案内する板部」で共通する。
(オ)甲1-1発明の「ボトムレール24に対してスライドさせて」「固定部材32に再係合させるだけでラダーコード14をボトムレール24に連結することができる」「スライド部材34」と、本件発明8の「前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバー」とは、「前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバー」で共通する。
(カ)甲1-1発明の「前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通し、」「固定部材32の外面とスライド部材34との間で垂直コード14b、14bを挟着することにより、ラダーコード14は確実にボトムレール24に連結され」、「スライドさせて離反させるだけで、」「連結を解除できるためブラインド高さの寸法の微調整をおこなうことができる」ことと、本件発明8の「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、導入された前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに、前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される」こととは、「前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーを導入し、導入された前記ラダーを、前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出させた前記ラダーの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される」ことで共通する。
(キ)甲1-1発明の「スライド部材34は、その前後端部に形成された端部爪34aが、ボトムレール24の下部の突出リブ24bに軽く係止されてボトムレール24から脱落することがな」いことは、本件発明8の「前記カバー部材には係止爪が形成されていて、同係止爪は前記ベース部又はボトムレールに設けられる係止部に係止することで取り付けられ」ていることに相当する。
(ク)上記(ア)ないし(キ)からみて、本件発明8と甲1-1発明とは、以下の一致点で一致し、相違点14で相違する。
一致点:ラダーに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーを案内する案内板部と、
前記ラダーを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から導入されたラダーを前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出された前記ラダーの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記カバーには係止爪が形成されていて、同係止爪は前記ベース部又はボトムレールに設けられる係止部に係止することで取り付けられる、横型ブラインドの高さ調節装置。
相違点14:本件発明8は、ラダーがラダーテープであって、導出させたラダーテープを折り畳んだ状態でベース部にカバーを取り付けることによってボトムレールの高さ調節がさせるように構成されているのに対し、甲1-1発明は、ラダーがラダーコードであって、導出させたラダーを折り畳んだ状態でベース部にカバーを取り付けることによってボトムレールの高さ調節がされるように構成されているかどうか不明な点。

イ 判断
上記相違点14について検討する。
(ア)本件発明8のラダーテープは、挿通孔から導出させたラダーテープを折り畳んだ状態でベース部にカバーを取り付けることによって、ボトムレールの高さが調節されるものであるから、折り畳みが可能な程度のある程度の横幅を有するテープ状のものであるものと認められる。
(イ)これに対し、甲1-1発明は、「固定部材32の端部爪32aには、ラダーコード受入部としての切欠部32dが形成され、この切欠部32dをラダーコード14の垂直コード14bが挿通可能となっており、固定部材32には、その本体部に2つの開口32e、32fが形成され、前記切欠部32dを挿通したラダーコード14の2つの垂直コード14b、14bは、固定部材32の内面とボトムレール24の底面との間の隙間を通り、開口32eを挿通し、その後、固定部材32の外面とスライド部材34の係合板部34bの内面との間の隙間を通り、開口32f及びボトムレール23の貫通孔24cを通り、その下端がボトムレール24の内部に導入されるもの」であるから、甲1-1発明のラダーコード14は、左右方向に屈曲して固定されるものであるから、その断面はほぼ円形か、もしくは仮に横幅を有しているとしても、折り畳みが可能ではない程度の横幅しか有しないテープ状のものであるから、甲1-1発明のラダーコード14を折り畳むことは技術的に困難である。
(ウ)また、ボトムレールを支持する構成として、仮に、ラダーテープまたはラダーコードが本件特許出願前に周知慣用手段であり、そのどちらを用いるかは、当業者が適宜選択し得る事項に過ぎないとしても、ボトムレール14の左右方向の屈曲が前提となった甲1-1発明のラダーコード14を、敢えて当該屈曲が困難となるような、折り畳みが可能な程度のある程度の横幅を有するテープ状のものに代えることは当業者が容易に想到し得るものではない。
(エ)さらに、請求人が提示する甲第12号証には、余分な長さのサイドテープ16’を折り畳むことが記載されているが、甲1-1発明が上記(ア)のとおりであるから、甲第12号証に接した当業者であっても、甲1-1発明のラダーコード14を折り畳むようにすることは、容易になし得たことではない。
い。
(オ)したがって、甲1-1発明のラダーコードをラダーテープに代えて、導出させたラダーテープを折り畳んだ状態でベース部にカバーを取り付けることによってボトムレールの高さ調節がさせるように構成することは、当業者が容易になし得たことではない。
よって、本件発明8は、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて容易発明をすることができたものではない。

(4)本件発明12
本件発明12は、本件発明5又は6のいずれかの構成をすべて含み、さらに「前記ベース部はビスで前記ボトムレールに固定され、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープを折り畳んだ状態で前記ベース部に前記カバーを取り付けることによって前記ボトムレールの高さ調節がさせるように構成されていることを付加する発明である。
本件発明5又は6が、上記(1)又は(2)に記載したとおりであるから、本件発明12も同様の理由により、当業者が、甲第1号証に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものではない。

(5)本件発明15ないし17
本件発明15は、本件発明1?4、7,10?11の構成をすべて含み、本件発明16は、本件発明8の構成をすべて含み、本件発明17は、本件発明9の構成をすべて含んでおり、それに加えて本件発明15ないし17は、「前記ベース部はビスで前記ボトムレールに固定される」構成を付加するものである。(なお、職権無効理由(1)の対象となっているのは、本件発明5,6,8,12である。)
本件発明5,6,8が、上記(1)?(3)に記載したとおりであるから、本件発明15ないし17も同様に、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(6)小括
以上のとおり、本件発明5,6,8,12,15?17は、甲第1号証に記載された発明明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

4 職権無効理由(2)について
ア 職権無効理由(2)の詳細は、「請求項5を引用する請求項9には、『前記仮止部は・・・』との記載があるが、ここでいう『仮止部』は、本件特許の請求項5に係る発明の『仮止部」とは別の仮止部を意味していると解される。よって、少なくとも『前記』との記載は誤りである。」である。

イ しかしながら、請求項9は、本件訂正により独立請求項に訂正され、さらに「係止部」に関し、「前記案内板部の前記挿通孔の少なくとも一方側の縁部には凹凸形状の係止部が形成されている」と訂正された。
したがって、「前記係止部」との記載に基づく職権無効理由(2)は解消された。
なお、訂正後の「前記案内板部の前記挿通孔の少なくとも一方側の縁部には凹凸形状の係止部が形成されている」ことについても、その構成は明確である。

ウ 以上のことから、本件特許の請求項9に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしているので、職権無効理由(2)によって無効とすることはできない。


第6 むすび
以上のとおり、本件の請求項1?6,8?10,12,15?17に係る発明の特許は、請求人が提示した理由並びに証拠によって、無効とすることはできない。
また、本件の請求項5,6,8,9,12,15?17に係る発明の特許は、職権で通知した理由によって、無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
横型ブラインドの高さ調節装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、横型ブラインドの高さ調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横型ブラインドにおいては、例えば、特許文献1に示されるボトムレールの高さ調節装置が設置される。詳しくは、図25に示すように、第2のテープ片102bには、その長手方向に沿って一定間隔で複数の係合孔122が形成される。ボトムレール105には、その下面及び側面に沿って屈曲されてテープホルダ123が固定されている。そして、ボトムレール105及びテープホルダ123の間にはラダーテープ102が保持される。また、テープホルダ123の上端部は筒状に湾曲して、ボトムレール105の長手方向に延びる軸部125が挿通可能となっている。軸部125の両端部にはU字状の受け部127が同軸部125に対して回動可能に設けられている。そして、テープホルダ123の上端部の中央部には切り欠き128が形成される。当該切り欠き128を介して軸部125に連結される係止アーム126が回動可能に延出している。この係止アーム126を第2のラダーテープ102bに形成される係合孔122に内側から挿通し、この係合した状態が保たれることにより、ボトムレール105の高さは保持される。つまり、所望の高さに形成されている係合孔122に係止アーム126を係合することで、ボトムレール105の高さを調節することができる。
【0003】
また、ラダーコードタイプの横型ブラインドにおいては、例えば特許文献2に示されるボトムレールの高さ調節装置が設置される。詳しくは、ボトムレールの下面に設けられる取付穴に頂面が閉じて下方に開口した筒状のコードホルダが固定される。コードホルダにはラダーコードを筒内に導入する一対の挿通孔が形成されている。また、コードホルダとボトムレールとの間にはラダーコードが挟持されている。コードホルダの下端の開口部には、同コードホルダとともに筒内におけるラダーコードを抜け出し不能に保持するキャップが取り付けられる。本構成において、ボトムレールの高さを調節する際には、まずコードホルダからキャップを取り外す。このときラダーコードは取付穴及びコードホルダ間の接触摩擦のみでボトムレールの位置が保持される仮止め状態となっている。そして、コードホルダの筒内におけるラダーコードの下端部を引き出すことでヘッドボックスから垂下するラダーコードの長さは調整され、ボトムレールの高さを調節することができる。また、ボトムレールが任意の高さとなったら、キャップを取り付けることで、コードホルダ及びキャップ間にラダーコードの下端部は抜け出し不能に保持される本止め状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2002-038851号公報
【特許文献2】実開平3-99192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の高さ調節装置において、ボトムレール105の高さ調節の際には、まず、同ボトムレール105を持ち上げ、係止アーム126を回動させることで係合孔122から外す。そして、ボトムレール105を所望の高さに保持した状態において、係止アーム126が最も近接している係合孔122に係合させることで、ボトムレール105の高さを調節していた。このようにボトムレール105の高さ調節の工程は煩雑なものとなっていた。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の高さ調節装置において、ボトムレールの高さ調節の際に仮止めが可能ではあるものの、コードホルダ及びボトムレール間の接触摩擦のみでラダーコードを保持しているため、ラダーコードに対してコードホルダ及びボトムレールがずれて、完全な仮止めが出来ていない場合があった。また、本止め時においても、キャップ及びコードホルダの互いに対向する両壁は凹凸のない滑らかな周面であることから、ラダーコードに対する保持力は十分でなく、ラダーコードは両壁面間においてずれるおそれがあった。このため、ボトムレールの正確な高さ調整は困難であった。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、横型ブラインドにおいて、そのボトムレールの高さ調整をいっそう容易とする横型ブラインドの高さ調節装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、前記ボトムレールに固定されたベース部と、前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、前記案内板部であって、前記ラダーテープと接する位置に形成される凹凸状の固定係止部と、前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入した状態において、前記カバーを装着することにより、前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間の前記ラダーテープを間接的に押圧することで前記案内板部の前記固定係止部により前記ラダーテープは係止されて、前記ベース部に対するラダーテープの相対変位が規制されることをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、ボトムレールに設けられるベース部の案内板部を介してラダーテープが挿通されている。すなわち、ボトムレールが所望の高さとなるようにベース部から導出されるラダーテープの引き出し長さを調節することによりボトムレールの高さが調節できる。そして、ベース部から外出している余分なラダーテープをベース部の上面に収まるように折り畳む。この状態でカバーを嵌め込むことで余分なラダーテープを高さ調節装置内に収納できる。また、カバーを装着することにより、ラダーテープは固定係止部を介してベース部に固定されるので、ブラインドの操作中等にテープ長さが変わることなく、調節後の高さ(下限位置)が維持される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、前記カバー及び前記ベース部には、前記案内板部を前記ラダーテープ側に押圧するように互いに噛み合う凹凸状に形成される係止部が形成される横型ブラインドの高さ調節装置。
【0011】
同構成によれば、カバー及びベース部に凹凸状の互いに噛み合う係止部が形成される。したがって、カバーをベース部に嵌め合わせた際には、案内板部をボトムレール側に強く押圧することができ、案内板部の固定係止部はラダーテープをより強固に係止することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、前記ベース部には前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔が設けられていることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、ボトムレールの高さ調節は、カバーを外した状態において、ベース部の挿通孔から導出されるラダーテープの長さ調節を通じて行われる。
請求項4に記載の発明は、請求項1?3のいずれか一項に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、前記カバー及び前記ベース部にはそれぞれ互いに嵌め合うスライドレール部が設けられ、スライド操作により前記カバーを前記ベース部に嵌め合わせることをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、カバー及びベース部にはそれぞれ嵌め合うガイドレールが設けられている。カバーはガイドレールに沿ってスライドさせつつベース部に装着する。ここで、ボトムレールは上下動するところ、その上下動にともない高さ調節装置には上下方向に力が加わることが多い。この点、カバーはベース部にスライドして嵌め合わされているため、上下方向の力に対してカバーは外れにくい。
【0015】
請求項5に記載の発明は、ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、前記ボトムレールに固定されたベース部と、前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、前記ベース部に形成されて前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔と、前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置であって、前記案内板部の前記ラダーテープに対向する面には凹凸形状の仮止部が形成されていることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、案内板部に仮止部を形成することで、ラダーテープを仮止部に軽く接触させることで、ベース部ひいてはボトムレールをその位置に留めることができる。これにより、その後のラダーテープの折り畳み及びカバーの嵌め込み作業がしやすくなる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、前記ボトムレールに固定されたベース部と、前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から導入されたラダーテープを前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出されて前記ボトムレールの高さの調節がされることをその要旨としている。
【0018】
同構成によれば、ベース部の挿通孔から導出されるラダーテープの長さを調節することでボトムレールの高さ調整がされる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、前記ベース部に嵌め合わせる前記カバーには、前記ベース部に嵌め合わせつつ、スライドさせることで前記カバーをベース部方向に案内する第1のスライドレール部と、前記ベース部に嵌め合わせることで前記カバーが前記ベース部に固定される第2のスライドレール部とが形成されていることをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、カバーの第1のスライドレール部をベース部に対してスライドさせて嵌め合わせた後に、カバーの第2のスライドレール部を同様にしてベース部に対してスライドさせて嵌め合わせることでカバーはベース部に取り付けられる。このように、カバーは第1及び第2のスライドレール部の計2箇所でベース部に固定される。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、前記カバーには係止爪が形成されていて、同係止爪は前記ベース部またはボトムレールに設けられる係止部に係止することで取り付けられることをその要旨としている。
【0021】
同構成によれば、カバーはボトムレールの係止部に嵌め合わされる。このため、ボトムレールに設置されるベース部が外部に露出することはなく意匠性に優れている。
請求項9に記載の発明は、請求項5に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、前記仮止部は前記挿通孔の少なくとも一方側の縁部に形成されることをその要旨としている。
【0022】
同構成によれば、挿通孔の縁部を凹凸状にするという簡単な構成にて仮止部を形成することができる。請求項10に記載の発明は、請求項5に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、前記仮止部は前記案内板部における前記ラダーテープが摺動する面に設けられるとともに、前記挿通孔の反対側へ向かうにつれ前記案内板部側へ傾斜する斜辺を有する三角錐状の複数の突部からなることをその要旨としている。
【0023】
同構成によれば、ボトムレールの高さを高くするべく、挿通孔から導出されたラダーテープを引き出すときには仮止部の斜辺によって比較的小さい摺動抵抗で同ラダーテープを移動させることができる。そして、ボトムレールが所望の高さに達して手を離したときには、ボトムレールの自重により挿通孔から導出されたラダーテープは同挿通孔に引き込まれようとする。しかし、このとき三角錐状の仮止部の頂点にラダーテープが引っ掛かることでラダーテープとの間に比較的大きい摺動抵抗が生じる。これにより、ラダーテープの移動が規制されてラダーテープの折り畳み及びカバーの嵌め込み作業がしやすくなる。
【0024】
請求項11に記載の発明は、前記カバー及び前記ベース部の前記ボトムレールの延出方向中央には前記案内板部を前記ラダーテープ側に押圧するように互いに噛み合う凹凸状に形成される係止部が形成され、前記案内板部の前記ボトムレール延出方向の両端側に位置する第1の仮止部を構成する突部は中央に位置する第2の仮止部を構成する突部より大きく形成されていることをその要旨としている。
【0025】
同構成によれば、係止部はベース部及びカバーのボトムレールの延出方向中央に形成されているところ、カバーがベース部に嵌め込まれたとき案内板部の両端側は中央側に比べ弱い力でボトムレール側に押圧されることになる。このような、案内板部への押圧力にばらつきがあっても、第1の仮止部の突部は第2の仮止部の突部に比べて大きく形成されているため、ラダーテープの幅方向においてほぼ均一の係止力を生じさせることができる。これにより、ラダーテープのずれをいっそう防止できる。
【0026】
請求項12に記載の発明は、請求項1?11のいずれか一項に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、前記ベース部はビスで前記ボトムレールに固定されることをその要旨としている。
【0027】
同構成によれば、ビスでベース部がボトムレールに確実に固定される。これによって、ボトムレールとの間にラダーテープを導入するベース部にカバーが嵌め込まれた状態において、ボトムレールの高さがずれることが抑制される。
【0028】
請求項13に記載の発明は、請求項1又は2に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、前記案内板部の前記ラダーテープに対向する面には凹凸形状の前記固定係止部の機能を併せ持つ仮止部が、前記案内板部における前記ラダーテープが摺動する面に設けられるとともに、同仮止部は前記ボトムレールの延出方向に対する垂直方向の同ボトムレールを中央として両端側へ向かうにつれ前記案内板部側へ傾斜する斜辺を有する三角錐状の複数の突部からなることをその要旨としている。
【0029】
同構成によれば、仮止部に固定係止部の機能を併せ持たすことができる。すなわち、ボトムレールの高さ調整の際には仮止部はカバーが外された状態においてもラダーテープに係止することでその位置に留まる仮止機能を発揮して、ベース部にカバーが嵌め合わされると仮止部はラダーテープに食い込むことで本止機能を発揮する。
【0030】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、前記仮止部は前記ボトムレールの延出方向の両端側に位置する第1の仮止部を構成する突部は中央に位置する第2の仮止部を構成する突部より大きく形成されていることをその要旨としている。
【0031】
同構成によれば、仮止部の各突部の大きさを変更することでベース部にカバーがはめ込まれたときには、ラダーテープの幅方向に均一の押圧力が加わり本止めされる。これにより、本止状態におけるラダーテープのずれをいっそう防止できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、横型ブラインドの高さ調節装置において、ボトムレールの高さ調整をいっそう容易とする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1の実施形態における横型ブラインドの正面図。
【図2】第1の実施形態における横型ブラインドの側面図。
【図3】第1の実施形態における両テープ片の斜視図。
【図4】第1の実施形態におけるベース部の斜視図。
【図5】第1の実施形態における図4のA-A線断面図。
【図6】第1の実施形態における図4のB-B線断面図。
【図7】第1の実施形態におけるカバーの側面図。
【図8】第1の実施形態におけるカバーの嵌込態様を示した断面図。
【図9】第1の実施形態における高さ調節装置の斜視図。
【図10】図8のC-C線の断面図。
【図11】第2の実施形態におけるベース部の斜視図。
【図12】図11のD-D線の断面図。
【図13】第3の実施形態におけるカバーのラダーテープがない部位での嵌込態様を示した断面図。
【図14】第3の実施形態におけるカバーのラダーテープがある部位でのカバーの嵌込態様を示した断面図。
【図15】第4の実施形態における両コード片の斜視図。
【図16】第4の実施形態における高さ調節装置の断面図。
【図17】第4の実施形態における巻取部材が回転操作された状態での高さ調節装置の断面図。
【図18】第4の実施形態におけるテープホルダの上面図。
【図19】第4の実施形態におけるテープホルダの側面図。
【図20】第5の実施形態におけるベース部の上面図。
【図21】第5の実施形態におけるベース部の側面図。
【図22】第5の実施形態におけるベース部の下面図。
【図23】第5の実施形態におけるベース部の断面図。
【図24】第5の実施形態におけるカバーの下面図。
【図25】従来の横型ブラインドの高さ調節装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる横型ブラインドの高さ調節装置をラダーテープが使用される横型ブラインドに具体化した第1の実施形態について図1?図10を参照して説明する。
【0035】
図1に示すように、横型ブラインド2のヘッドボックス7内には角度調節軸8が図1の左右方向に延びるとともに、角度調節軸8には所定間隔で同調節軸8を支持する支持部材5が設けられる。当該支持部材5内にはドラム6が所定間隔で回転可能に支持されている。ドラム6に固定される帯状のラダーテープ10によって下端内面に設けられるボトムレール12及び遮蔽材である複数のスラット13が支持される。くわしくは、図2に示すように、ラダーテープ10は、各スラット13の前方に垂下する第1テープ片10a及び各スラット13の後方に垂下する第2テープ片10bの下端部が連結され形成される。また、図3に示すように両テープ片10a,10bの面は、長方板状のスラット13をその短手方向において挟みこんでいる。両テープ片10a,10bの幅方向の端部間には、上下方向に所定間隔を有して2本の糸が束ねられてなる挟持糸群15が架け渡されている。当該挟持糸群15の糸間には、スラット13が挿入される。これにより、スラット13は、各ラダーテープ10の配設される複数箇所において支持される。
【0036】
図1に戻って、ヘッドボックス7の右端部からは操作棒16が吊り下げられている。当該操作棒16を回転操作すると、ヘッドボックス7内に配設される図示しないギヤ機構を介して前記角度調節軸8が回転する。これにより、ドラム6が回転してヘッドボックス7からラダーテープ10が巻き取り、あるいは巻き出されることにより、両テープ片10a,10bはそれぞれ上下反対方向に変位し、挟持糸群15は傾斜する。これにより、各スラット13の角度が調節される。
【0037】
また、図2に示すように、スラット13の下方であって、各ラダーテープ10のループ状の下端部の内面にはボトムレール12が吊り下げ支持される。このとき、ラダーテープ10はボトムレール12の上下方向に延びる両側面及び下面を囲む。そして、下面の各ラダーテープ10は、ボトムレール12の下面に設けられた高さ調節装置20によって長さ調節可能にボトムレール12に固定される。当該高さ調節装置20については、後で詳述する。
【0038】
図3に示すように、両テープ片10a,10bに挟まれる各スラット13の面に形成されるコード孔13hには、ヘッドボックス7から延びる昇降コード31が挿通され、昇降コード31の下端はボトムレール12に固定される。図1に示すように、各昇降コード31の上端は支持部材5を経て、ヘッドボックス7内を右方向に案内されて、操作部としてヘッドボックス7から垂下される。したがって、昇降コード31を下方へ引くことで、ボトムレール12は上部にスラット13を積み重ねつつ上昇していく。そして、昇降コード31の引き操作を停止すれば、自重降下防止装置(図示しない)が作動して、ボトムレール12及びスラット13の自重による降下が防止されて、スラット13が所望位置に吊下支持される。また、昇降コード31を再び下方へ引くと、前記自重降下防止装置の作動が解除され、ボトムレール12はその自重により下降するようになっている。
【0039】
(高さ調節装置20)
図4に示すように、高さ調節装置20はボトムレール12の下面に固定されるベース部21にカバー22が取り付けられてなる。ベース部21及びカバー22は外力が加わることでたわむことが可能である合成樹脂により形成される。くわしくは、左右方向に長い長方板状のベース部21は、その左右端部にねじ23がボトムレール12に螺入されることで同ボトムレール12に確実に固定される。なお、ねじ23はビスに相当する。ベース部21の中央には、ラダーテープ10が挿通される挿通孔25が設けられる。挿通孔25において、左右方向に延びる両縁部には鋭角の凸部が複数個並列されてなる仮止部25aが形成されている。当該挿通孔25はベース部21の上面に設けられる案内凹部26と連通している。なお、ベース部において当該案内凹部26を形成する部分が案内板部に相当する。当該案内凹部26の前後側の両端部には鋭角の凸部が複数個並列されてなる固定係止部26aが形成されている。当該案内凹部26から挿入される第1テープ片10a及び第2テープ片10bは挿通孔25から導出される。また、ベース部21の左右方向に延びる両縁部には第1係止部27が設けられている。第1係止部27は、その両端から中央に向かうにつれて下方へ傾斜する2つの傾斜面27aを有し、その中央部には曲面状の凹部27bが形成されている。
【0040】
ボトムレール12をわずかに上方位置とした状態で、挿通孔25から導出された両テープ片10a,10bを下側に引っ張ることで両テープ片10a,10bは案内凹部26側から挿通孔25側に送出される。これにより、ボトムレール12は両テープ片10a,10bに沿って上方に変位する。このボトムレール12が上方に変位した状態において、両テープ片10a,10bは仮止部25aに係着している仮止め状態のため、ボトムレール12はその位置を保持する。
【0041】
また、図4に示すように、ベース部21の両ねじ23を囲む挿通孔25方向に開口したコの字状にガイドレール部28が形成されている。ガイドレール部28には、左右方向へ延び、且つ図5に示すように、前後方向にそれぞれ開口した溝部28aが形成されている。
【0042】
カバー22は、図6及び図7に示すように、長方板状の基板22aと、基板22aの長手方向に延びる両側部に形成された2つの傾斜部22bとを備えている。両傾斜部22bは基板22aに対して同一角度に傾斜する各傾斜部22bの内面には前記溝部28aに嵌め合う凸部24が形成されている。また、両傾斜部22bの長手方向に延びる縁部22cの中央部には半円凸状の第2係止部29が設けられている。
【0043】
カバー22をベース部21に取り付けるにあたって、図8に示されるように、予め挿通孔25から導出された第1テープ片10a及び第2テープ片10bはベース部21の上面に収まるサイズに折り畳まれる。そして、この状態を保持しつつ、図4の矢印に沿ってカバー22をベース部21の左側から装着する。すなわち、カバー22の凸部24をガイドレール部28の溝部28aに沿ってスライドさせる。これにより、図9に示すように、カバー22はベース部21に嵌め合わされる。このとき、カバー22の内部に形成される接触面22dによって、両テープ片10a,10bは押し上げられつつ折り畳まれた状態に保持される。このとき、図10に示すように、第2係止部29は縁部22cに沿って変位して、第1係止部27の凹部27bに嵌り込む。この状態においては、縁部22c及び第2係止部29は、傾斜面27aにより中央すなわち第1係止部27の凹部27b付近をボトムレール12方向に押圧する。これにより、案内凹部26の固定係止部26aは同案内凹部26に挿入されている両テープ片10a,10bに食い込む。したがって、両テープ片10a,10bが案内凹部26から抜け出し、ボトムレール12が傾くひいては、ボトムレール12が所望の高さより低くなることを防止できる。これにより、ラダーテープ10がベース部21から外れることを防止できる。
【0044】
次に、ボトムレール12の高さを調節する方法について説明する。
まず、ボトムレール12の高さを上方に調節する場合、ベース部21からカバー22を左方向にスライドさせてカバー22を取り外す。次に、ボトムレール12を所望の高さとする。このときラダーテープ10はベース部21の仮止部25aによって保持される。そして、挿通孔25から導出された両テープ片10a,10bを引っ張る。このとき、両テープ片10a,10bは仮止部25aに係着することで、その位置からのずれを防止する。そして、図8に示すように、引っ張られた両テープ片10a,10bをベース部21に収まるサイズに折り畳む。その状態で、ベース部21にカバー22を右方向にスライドさせてカバー22を取り付ける。この作業を各高さ調節装置20について行うことで、ボトムレール12の上方への高さ調整がされる。
【0045】
ボトムレール12の高さを下方に調節する場合、カバー22を取り外した状態で、昇降コード31の操作を通じてボトムレール12を下方に変位させる。このとき、上記とは反対に挿通孔25側から導出していた両テープ片10a,10bが案内凹部26側に送出される。ボトムレール12が所望の位置となった時点で上記と同様に両テープ片10a,10bを折り畳み、その状態でベース部21にカバー22を取り付けることで、ボトムレール12の下限位置が調整される。この作業を各高さ調節装置20について行うことで、ボトムレール12の下方への高さ調整がされる。以上のように、ボトムレール12の高さを調節することで、ボトムレール12が例えば床面に干渉することを防ぐことができる。
【0046】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)例えば、ボトムレール12の高さを上方に調節する場合、挿通孔25から導出された両テープ片10a,10bを引き出し、引き出した両テープ片10a,10bをベース部21上に収まるサイズに折り畳む。その状態で、ベース部21にカバー22を右方向にスライドさせてカバー22を取り付けることで、余分な両テープ片10a,10bを高さ調節装置20内に収納できる。このとき、第1係止部27の凹部27bには第2係止部29が嵌り込み、縁部22c及び第2係止部29は、傾斜面27aにより中央すなわち第1係止部27の凹部27b付近をボトムレール12方向に押圧する。これにより、案内凹部26の固定係止部26aは同案内凹部26に挿入されている両テープ片10a,10bに食い込む。したがって、両テープ片10a,10bが案内凹部26から抜け出し、ボトムレール12が所望の高さより低くなることをいっそう確実に防止できる。このように、ボトムレール12の高さ調整をいっそう容易にできる。
【0047】
(2)ベース部21に設けられるガイドレール部28には溝部28aが形成され、カバー22の両傾斜部22b内面には前記溝部28aに嵌め合う凸部24が形成されている。カバー22の凸部24をガイドレール部28の溝部28aに沿ってスライドさせることで、カバー22をベース部21に嵌め込むことができる。ここで、ボトムレール12は上下動するところ、その上下動に伴い高さ調節装置20には上下方向に力が加わることが多い。この点、カバー22はベース部21にスライドして嵌め合わされているため、上下方向の力に対してカバー22は外れにくい。
【0048】
(3)挿通孔25には仮止部25aが形成されている。したがって、ボトムレール12の高さ調節の際、挿通孔25から導出された両テープ片10a,10bを引っ張る。このとき、両テープ片10a,10bを仮止部25aに係着させることで容易に仮止め状態となり、その位置からのずれを防止する。これにより、挿通孔25から導出されたラダーテープ10の長さの微調整及び再調整が容易になるとともに、その後のラダーテープ10の折り畳み及びカバー22の嵌め込み作業がしやすくなる。
【0049】
(4)高さ調節装置20内にラダーテープ10が収納された状態において、第1係止部27の凹部27bには第2係止部29が嵌り込む。このとき、縁部22c及び第2係止部29は、傾斜面27aにより中央すなわち第1係止部27の凹部27b付近をボトムレール12方向に押圧する。これにより、案内凹部26の固定係止部26aは同案内凹部26に挿入されている第1テープ片10aに食い込む。したがって、両テープ片10a,10bが案内凹部26から抜け出し、ボトムレール12が所望の高さより低くなることを防止できる。
【0050】
(5)ベース部21にカバー22が嵌め合わされた状態において、挿通孔25から導出される余分なラダーテープ10により案内凹部26はボトムレール12側に押圧されることで合成樹脂製のベース部21はたわむ。これにより、ラダーテープ10はベース部21及びカバー22間に収納可能となるため、ラダーテープ10が外部に露出することなく意匠性の向上に寄与する。
【0051】
(6)ねじ23でべース部21がボトムレール12に確実に固定される。これによって、ボトムレール12との間にラダーテープ10を導入するベース部21にカバー22が嵌め込まれた状態において、ボトムレール12の高さがずれることが抑制される。
【0052】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について、図11及び図12を参照して説明する。
この実施形態の高さ調節装置は、ガイドレール部の構成及びそれに伴うカバーの取り付け方法が上記第1の実施形態と異なっている。
【0053】
以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の高さ調節装置20は、第1の実施形態の高さ調節装置20とほぼ同様の構成を備えている。
図11に示すように、ベース部21には、第1の実施形態のガイドレール部に相当し、同ガイドレール部と同一形状でなる第1のスライドレール部28c及び第2のスライドレール部28bが形成されている。第1の実施形態のガイドレール部28に比べ左右方向において、左側の第2のスライドレール部28bは短く形成されている。また、図12に示すように、カバー22についても、右側には第1のスライドレール部28cに嵌め合う第1の凸部24aが形成され、左側には第2のスライドレール部28bに嵌め合う第2の凸部24bが形成される。第1のスライドレール部28c及び第1の凸部24a、第2のスライドレール部28b及び第2の凸部24bはそれぞれ同一長さで形成されている。すなわち、カバー22の内部において、両スライドレール部28b,28c間は一定空間を有している。
【0054】
カバー22をベース部21に取り付ける際には、図12に示すように、カバー22を傾斜させた状態において、図12の2点鎖線で示すように、第1の凸部24aの右端を第1のスライドレール部28cの左端に接触させる。このとき、挿通孔25から垂下するラダーテープ10はカバー22の内部に納まる。そして、第1の凸部24aを第1のスライドレール部28cに沿ってカバー22の第2の凸部24bが第2のスライドレール部28bに接近するまでスライドさせる。次に、カバー22の左側を上方に押し上げて水平状態とする。このとき、第2のスライドレール部28bは前記した両スライドレール部28b,28c間に形成される一定空間に位置する。また、ベース部21及びカバー22の内部にはラダーテープ10が保持される。この状態から第2の凸部24bを第2のスライドレール部28bに嵌め合わせつつ、カバー22を右方向にスライドさせる。以上により取り付けが完了する。
【0055】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)?(4)の作用効果に加え以下の作用効果を奏することができる。
(1)カバー22の取り付けにあたって、カバー22を傾斜させた状態において、第1の凸部24aの右端を第1のスライドレール部28cの左端に接触させる。このとき、挿通孔25から垂下するラダーテープ10はカバー22の内部に納まる。したがって、カバー22がラダーテープ10の例えば側端部に干渉してカバー22のスライドが妨げられることを防止できる。これにより、いっそう円滑なカバー22の取り付けが可能となる。
【0056】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について、図13及び図14を参照して説明する。
この実施形態の高さ調節装置は、カバーがボトムレールに取り付けられる点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の高さ調節装置20は、第1の実施形態の高さ調節装置20とほぼ同様の構成を備えている。
【0057】
図13に示すように、ボトムレール12の前後方向において互いに反対側に位置する両側面において、その下縁部には断面半円状の係止部12bが形成されている。カバー22の傾斜部22bであって、その縁部には内方に巻き返されて係止部12bに係着する係止爪部40が形成されている。また、図14に示すように係止爪部40は両テープ片10a,10bを挿通可能とした挿通孔44が形成されている。さらに、カバー22の内面であって、第1係止部27に対応する部分には押圧部43が設けられている。
【0058】
カバー22をボトムレール12に取り付けるにあたって、同カバー22の一方の係止爪部40を係止部12bに引き掛ける。そして、カバー22の右側を押し上げることで、他方の係止爪部40を係止部12bに嵌め合わせる。このとき、挿通孔25から垂下するラダーテープ10はカバー22の接触面22dにより折り畳まれつつ収納される。このようにカバー22を円滑に、かつ容易にボトムレール12に取り付けることができる。また、カバー22の取り付け時には、押圧部43により第1係止部27がボトムレール12側に押圧されることにより上記第1の実施形態と同様に固定係止部26aが両テープ片10a,10bに食い込み両テープ片10a,10bがベース部21に固定される。これにより、ラダーテープ10の長さ調節を通じてボトムレール12を所望の高さとすることができる。
【0059】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)?(4)の作用効果に加え以下の作用効果を奏することができる。
(1)同構成によれば、ボトムレール12の係止部12bに取り付けられるカバー22はベース部21を覆って形成される。このため、ベース部21が外部に露出することはなく意匠性に優れている。
【0060】
(2)カバー22の取り付けにあたって、同カバー22がラダーテープ10に干渉しにくいため、カバー22を円滑に取り付けることができる。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について、図15?図19を参照して説明する。この実施形態の高さ調節装置は、ラダーコード型の横型ブラインドに用いられる。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、本実施形態においては、ボトムレール12は密な木製である。
【0061】
本実施形態においては、図15に示すように、第1の実施形態における帯状のラダーテープ10の代わりに紐状のラダーコード33を用いる。図16に示すように、ラダーコード33は、各スラット13を挟みこむ第1コード片33a及び第2コード片33bが下端で連結されてなる。第1コード片33a及び第2コード片33bに架け渡される挟持糸群15によって各スラットは支持されている。また、図16に示すように、各スラット13の下方にはボトムレール12が設けられ、ボトムレール12の下面に設けられる複数の高さ調節装置20によって各ラダーコード33とボトムレール12は固定される。また、高さ調節装置20によって、ボトムレール12の高さを調節する。
【0062】
図16に示すように、高さ調節装置20は、巻取部材36を保持するコードホルダ35がボトムレール12に固定されてなる。くわしくは、コードホルダ35は、図18及び図19に示すように、上側に開口した筒状の嵌込部35aと、その下部に設けられるリング状の押込部35bとからなる。押込部35bは、同嵌込部35aの外径よりわずかに大きい外径を有する。
【0063】
嵌込部35aの外周面には、多数の三角錐状の突部35cが形成されている。この突部35cは嵌込部35aの周方向において、千鳥状に形成される。この突部35cは、嵌込部35aがボトムレール12の下面にエンドミルによる加工にて形成される取付穴12aに挿入されたときに、当該取付穴12aの内周面12cに食い込む。すなわち、取付穴12aの内周面12cは突部35cの高さ(嵌込部35aの径方向)より小さい隙間を有して嵌込部35aに対向している。なお、コードホルダ35とボトムレール12との保持力は巻取部材36とコードホルダ35との回転抵抗より大きく設定されている。また、図19に示すように、嵌込部35aの周壁には、ラダーコード33を挿通可能とした2つの切込部35dが対向して形成される。図16に示すように、巻取部材36は円板状の操作部36aと同操作部36aの上面に形成される筒状の回動部36bとからなる。巻取部材36が前記コードホルダ35に嵌め合わされた状態において、操作部36aはコードホルダ35の押込部35bと略同一下面となる。回動部36bはコードホルダ35の嵌込部35aの内部に位置する。回動部36bの周壁にもラダーコード33を挿通可能とした2つのスリット部36cが対向して形成されている。また、図18に拡大して示されるように、回動部36bの外周面には90度間隔で4つの凸部36dが、嵌込部35aの内周面には同凸部36dに嵌め合う凹部35eが形成されている。
【0064】
そして、ボトムレール12の下面に掛けられるラダーコード33が嵌込部35aの切込部35d及び回動部36bのスリット部36cに挿通される。この状態で、巻取部材36を保持したコードホルダ35を取付穴12aに挿入する。このとき、取付穴12aの内周面12cに嵌込部35aの各突部35cが食い込むため、コードホルダ35が取付穴12a内を回転することを抑制できる。次に、コードホルダ35を固定した状態において、操作部36aを回転操作すると、回動部36bの凸部36dと嵌込部35aの凹部35eとの嵌め合いが外れ90度回転させると再び嵌め合わされる。このように回転操作を行うと、図17に示すように、回動部36bの外周にラダーコード33が巻き回されていく。このとき、巻取部材36にラダーコード33が巻き取られるにつれてボトムレール12は上方に変位する。操作部36aを前記操作方向と反対方向に操作したときには、回動部36bに巻き回されたラダーコード33は巻き戻されることで、コードホルダ35からラダーコード33が巻き出され、ボトムレール12は下方に変位する。
【0065】
ここで、従来のラダーコード型の横型ブラインドにおいては嵌込部35aの外周面には突部35cが形成されていない滑らかな周面である。従って、コードホルダを取付穴に挿入してもコードホルダと取付穴との摩擦抵抗が小さい。このため、コードホルダのボトムレールに対する保持力は小さく回転方向の力を受けたコードホルダは取付穴において回転したり、抜け出たりし易くなる。ここで、穴径を小さくすれば保持力を強くすることができるが、コードホルダは取付穴に挿入しづらくなる。本実実施形態によれば、コードホルダ取り付けの容易性を保ちつつ、コードホルダを確実にボトムレールに保持することができる。
【0066】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)嵌込部35aの外周面には、その周方向に千鳥状に三角錐の突部35cが形成されている。特にボトムレール12が木製の場合には、取付穴12aの内周面12cに嵌込部35aの突部35cが食い込んで、コードホルダ35がボトムレール12に強く固定される。したがって、コードホルダ35が回動することを抑制される。このように、取付穴12aにコードホルダ35を嵌め込むだけで、容易にコードホルダ35、ひいては高さ調節装置20をボトムレール12に固定することができる。
【0067】
(2)嵌込部35aと内周面12cとの間の隙間によりコードホルダ35を容易にボトムレール12に取着する事ができる。また、突部35cにより、取付後、確実に固定でき、コードホルダ35の回転止め、抜け止めが可能である。
【0068】
(3)回動部36bの外周面には90度間隔で4つの凸部36d及び嵌込部35aの内周面には同凸部36dに嵌め合う凹部35eをそれぞれ設けることで、90度間隔で調整が可能となり、ヘッドボックス7から高さ方向に垂下する複数のラダーコードの各長さを合わせることが容易となり、ボトムレール12を水平に調節し易い。
【0069】
(4)コードホルダ35とボトムレール12との保持力を巻取部材36とコードホルダ35との回転抵抗より大きくすることで、巻取部材36の巻取調整時、コードホルダ35がボトムレール12と共に回転することを防止できる。
【0070】
次に、第4の実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(a)ラダーコードをボトムレールに引き込みあるいは引き戻すことにより、ボトムレールの下限位置を調整する横型ブラインドの高さ調整装置において、前記ボトムレールに形成された円柱状の取付穴に筒状のコードホルダを挿入可能とし、前記コードホルダは筒状部の下端に筒状部より僅かに大きいフランジ部(回動部35b)を設け、ラダーコードを筒状部内に導入する挿入部(切込部35d)を設け、前記筒状部内にラダーコード保持部材(巻取部材又はキャップ)を設け、筒状部の周面には取付穴の周面と係合する突起(突部)を設けたことを特徴とする横型ブラインド高さ調整装置。
【0071】
(b)筒状部外周径を取付穴内周径より僅かに小さくした横型ブラインド高さ調整装置。
(c)ラダーコード保持部材を筒状の巻取部材としてコードホルダに対し回転可能に支持しラダーコードを巻き取り可能とした横型ブラインド高さ調整装置。
【0072】
(d)前記巻取部材とコードホルダとの間に所定回転角ごとに保持可能な位置決め手段を設けた横型ブラインド高さ調整装置。
(e)位置決め手段は巻取部材に設けた凸部とコードホルダに設けた凹部とした横型ブラインド高さ調整装置。
【0073】
(f)前記凸部と凹部を90度間隔で設けた横型ブラインド高さ調整装置。
(g)巻取部材に下端面に操作用の溝を設けた横型ブラインド高さ調整装置。
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について、図20?図24を参照して説明する。
【0074】
この実施形態の高さ調節装置は、第1の実施形態におけるベース部21の挿通孔25に設けられる仮止部25aの数、形状、大きさを変更することで固定係止部26aの機能を併せ持つ構成とした点、及びカバー22の両凸部24a,24bの長さを変更した点が上記第1の実施形態と異なっている。すなわち、本実施形態における仮止部は第1の実施形態における固定係止部26a及び仮止部25aに相当するものである。
【0075】
まず、本実施形態におけるベース部21及びカバー22の構成について第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の高さ調節装置20は、第1の実施形態の高さ調節装置20とほぼ同様の構成を備えている。
【0076】
図20に示されるように、案内凹部26のボトムレール12側となる面の略全域に亘って仮止部50が設けられる。詳しくは、仮止部50は複数の突部55からなる。突部55はベース部21の左右方向に亘って千鳥状に配置される。すなわち、挿通孔25を中央とした案内凹部26の片側の部分には突部55が前後2列配置されて、前列の各突部55間に後列の各突部55が位置する。
【0077】
各突部55は図23に拡大されて示されるように、挿通孔25寄りに高さが最大となる頂点51を有する三角錐状でなる。また、各突部55は設置面に対し垂直方向に頂点51を有する。頂点51はラダーテープ10に接している。仮止部50は直角三角形断面状に形成されて、頂点51から挿通孔25の反対方向に向かうにつれ下方に傾斜した斜辺52が延びている。各突部55は同一形状であるものの大きさが異なる2種類のものがある。すなわち、図21に示すようにベース部21の左右方向における両端側における第1の仮止部50aの突部55は中央付近における第2の仮止部50bの突部55に比べて大きく形成されている。なお、本例においては第1の仮止部50aの突部55は計20個、第2の仮止部50bの突部55は計30個である。
【0078】
また、図22に示すように、ベース部21の左右両端側に設けられたガイドレール部28は左右方向において同一長さとなっている。それに対して図24に示すように、カバー22の第1の凸部24aは第2の凸部24bに比べて左右方向に長く形成されている。従って、ベース部21に対してカバー22を斜めにした状態から上方に押し上げることで、嵌め合わせられるのでラダーテープ10を折り畳んだ状態を手で保持する事無くラダーテープ10を収納することが可能となる。
【0079】
次に、ボトムレール12の高さ調節時及びカバー22装着時における作用について仮止部50を中心に説明する。
ボトムレール12の高さを調節する際には、挿通孔25からボトムレール12と反対側に導出されたラダーテープ10は下側に引きだされる。このとき、突部55に対して挿通孔25の方向にラダーテープ10が摺動することになり、ラダーテープ10は各突部55の斜辺52の頂点51側に沿う態様で移動していく。このため、仮止部50とラダーテープ10との間に大きな摺動抵抗は生じない。逆に挿通孔25から導出されるラダーテープ10が挿通孔25に引き込まれるときには、仮止部50に対して挿通孔25の反対方向にラダーテープ10が摺動することになり、ラダーテープ10は突部55の頂点51に引っ掛かるため、そのとき生じる摺動抵抗は大きくラダーテープ10の移動を規制することとなる。このように仮止め機能が発揮されることにより、微調整及び再調整が容易になるとともにボトムレール12の位置決め後にラダーテープ10がずれることが抑制される。
【0080】
ところで、第1の実施形態において記述したように、第1係止部27はその両端から中央に向かうにつれ下方に傾斜している。このため、ベース部21にカバー22が嵌め込まれたとき案内凹部26の両端側は中央側に比べ弱い力で上側(ボトムレール12側)に押圧されることになる。このような、案内凹部26への押圧力のばらつきがあっても、弱い押圧力が加わる第1の仮止部50aは強い押圧力が加わる第2の仮止部50bより大きく形成されているため、ラダーテープ10の幅方向においてほぼ均一の係止力を生じさせることができる。これにより、ラダーテープ10のずれをいっそう防止できる。また、第1の凸部24aは左右方向に長く形成されていることで、カバー22の強度が上がるとともに、第1係止部27に乗り上げる範囲を大きくできるため、より強い力で案内凹部26を押圧することができる。
【0081】
なお、ベース部21の前後方向及び左右方向の大きさ及びそれらの比率は任意に設定可能である。
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
【0082】
(1)仮止部50を案内凹部26のボトムレール12側となる面の略全域に亘って設けることで、固定係止部の機能を並存させることができる。
(2)仮止部50の各突部55を三角錐状とすることで、挿通孔25から下側にラダーテープ10は引きだされたときには移動を許容して、挿通孔25にラダーテープ10が引き込まれたときには移動を規制する。これにより、ボトムレール12の高さ調整時におけるラダーテープ10の仮止めが可能となる。
【0083】
(3)仮止部50はそれぞれ大きさの異なる第1の仮止部50a及び第2の仮止部50bからなる。このため、ベース部21にカバー22が嵌め込まれたとき案内凹部26の両端側は中央側に比べ弱い力で上側(ボトムレール12側)に押圧されたとしても、ラダーテープ10の幅方向においてほぼ均一の係止力を生じさせることができる。これにより、ラダーテープ10のずれをいっそう防止できる。
【0084】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記第1?第3の実施形態においては、挿通孔25の左右方向に延びる両縁部には鋭角の凸形状の複数個並列されてなる仮止部25aが形成されている。しかし、仮止部25aは少なくとも一方の縁部に形成されていればよい。当該構成においても、ボトムレール12を第1テープ片10aに沿って上方に変位させたときに、第1テープ片10aに仮止部25aが係着してその位置を保持することが可能である。また、仮止部25aを省略してもよく、この場合には例えば第1テープ片10aを案内凹部26内で圧迫させることで、ベース部21及びボトムレール12を第1テープ片10a上に保持することができる。
・上記第1?第3及び第5の実施形態においては、ベース部21はボトムレール12の下面に設けられていたが、これに限らずベース部21はボトムレール12の側面、上面等に設けられていてもよい。
【0085】
・第4の実施形態における切込部35dはラダーコード33が挿通可能であれば切り込みに限らず、例えば、嵌込部35aの互いに対向する位置に形成される孔にそれぞれラダーコード33を挿通してもよい。
【0086】
・第4の実施形態においては巻取部材36を回動させてラダーコード33を巻き取ることでボトムレール12の高さを調整していた。しかし、巻取部材36を単なるキャップとしてキャップとコードホルダ35との間でラダーコード33を挟持することで仮止め状態としてもよい。
【0087】
・上記第1?第3及び第4の実施形態においては、ベース部21にはその長手方向の両端がねじ23によりボトムレール12に固定されている。しかし、例えばベース部21の形状が長手方向及び短手方向においてほぼ同一長さであった場合には、ベース部21の各角部をねじ23で固定してもよい。このときには計4つのねじ23でベース部21は固定される。さらに、本構成においては、ねじ23が挿通孔25の延出方向にないため、例えば挿通孔25をその延出方向の一方側に延ばし、挿通孔25を挟んでねじ23を対向させることもできる。なお、このとき正確には挿通孔25はベース部21の面方向に形成されるスリット状の挿通部となる。
【符号の説明】
【0088】
2…横型ブラインド、7…ヘッドボックス、10…ラダーテープ、10a…第1テープ片、10b…第2テープ片、12…ボトムレール、20…高さ調節装置、21…ベース部、22…カバー、22a…基板、22c…縁部、25…挿通孔、25a,50…仮止部、26…案内凹部、26a…固定係止部、27…第1係止部、27a…傾斜面(押圧部)、27b…凹部、28…ガイドレール部、28a…溝部、29…第2係止部、33…ラダーコード、33a…第1コード片、33b…第2コード片、35…コードホルダ、36…巻取部材、50a…第1の仮止部、50b…第2の仮止部、51…頂点、52…斜辺、55…突部。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記案内板部であって、前記ラダーテープと接する位置に形成される凹凸状の固定係止部と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入した状態において、前記カバーを装着することにより、前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間の前記ラダーテープを間接的に押圧することで前記案内板部の前記固定係止部により前記ラダーテープは係止されて、前記ベース部に対するラダーテープの相対変位が規制される横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記カバー及び前記ベース部には、前記案内板部を前記ラダーテープ側に押圧するように互いに噛み合う凹凸状に形成される係止部が形成される横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項3】
請求項2に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ベース部には前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔が設けられている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか一項に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記カバー及び前記ベース部にはそれぞれ互いに嵌め合うスライドレール部が設けられ、スライド操作により前記カバーを前記ベース部に嵌め合わせる横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項5】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記ベース部に形成されて前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに前記挿通孔から導出させ、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置であって、
前記案内板部の前記ラダーテープに対向する面には凹凸形状の仮止部が形成されている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項6】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、導入された前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに、前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出された前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項7】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から導入されたラダーテープを前記ベース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出された前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ベース部に嵌め合わせる前記カバーには、前記ベース部に嵌め合わせつつ、スライドさせることで前記カバーをベース部方向に案内する第1のスライドレール部と、前記ベース部に嵌め合わせることで前記カバーが前記ベース部に固定される第2のスライドレール部とが形成されている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項8】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から導入されたラダーテープを前記べース部に形成される挿通孔から導出し、当該挿通孔から導出された前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記カバーには係止爪が形成されていて、同係止爪は前記ベース部又はボトムレールに設けられる係止部に係止することで取り付けられ、
前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープを折り畳んだ状態で前記ベース部に前記カバーを取り付けることによって前記ボトムレールの高さが調節されるように構成されている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項9】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記ベース部に形成されて前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、前記ラダーテープを前記ボトムレールの左右方向に屈曲させずに前記挿通孔から導出させ、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置であって、
前記案内板部の前記挿通孔の少なくとも一方側の縁部には凹凸形状の仮止部が形成されている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項10】
ラダーテープに支持されるボトムレールが上下動することで開閉がされる横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ボトムレールに固定されたベース部と、
前記ベース部に設けられて前記ラダーテープを案内する案内板部と、
前記ベース部に形成されて前記ラダーテープを前記ベース部より導出させる挿通孔と、
前記ベース部に嵌め合わされることで、前記ラダーテープを前記ベース部に対して固定するカバーと、を備え、
前記案内板部と前記ボトムレールの表面との間から前記ラダーテープを導入し、前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープの長さ調節により前記ボトムレールの高さが調節される横型ブラインドの高さ調節装置であって、
前記案内板部の前記ラダーテープに対向する面には凹凸形状の仮止部が形成されている横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記仮止部は前記案内板部における前記ラダーテープが摺動する面に設けられるとともに、前記挿通孔の反対側へ向かうにつれ前記案内板部側へ傾斜する斜辺を有する三角錐状の複数の突部からなる横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項11】
請求項10に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記カバー及び前記ベース部の前記ボトムレールの延出方向中央には前記案内板部を前記ラダーテープ側に押圧するように互いに噛み合う凹凸状に形成される係止部が形成され、前記案内板部の前記ボトムレールの延出方向の両端側に位置する第1の仮止部を構成する突部は中央に位置する第2の仮止部を構成する突部より大きく形成されている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項12】
請求項5又は6に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ベース部はビスで前記ボトムレールに固定され、
前記挿通孔から導出させた前記ラダーテープを折り畳んだ状態で前記べース部に前記カバーを取り付けることによって前記ボトムレールの高さが調節されるように構成されている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記案内板部の前記ラダーテープに対向する面には凹凸形状の前記固定係止部の機能を併せ持つ仮止部が設けられるとともに、同仮止部は前記ボトムレールの延出方向に対する垂直方向の同ボトムレールを中央部として両端側へ向かうにつれ前記案内板部側へ傾斜する斜辺を有する三角錐状の複数の突部からなる横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項14】
請求項13に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記仮止部は前記ボトムレールの延出方向の両端側に位置する第1の仮止部を構成する突部は中央に位置する第2の仮止部を構成する突部より大きく形成されている横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項15】
請求項1?4、7、10?11のいずれか一項に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ベース部はビスで前記ボトムレールに固定される横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項16】
請求項8に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記べース部はビスで前記ボトムレールに固定される横型ブラインドの高さ調節装置。
【請求項17】
請求項9に記載の横型ブラインドの高さ調節装置において、横型ブラインドの高さ調節装置において、
前記ベース部はビスで前記ボトムレールに固定される横型ブラインドの高さ調節装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2015-11-26 
結審通知日 2015-11-30 
審決日 2015-12-18 
出願番号 特願2009-91220(P2009-91220)
審決分類 P 1 123・ 121- YAA (E06B)
P 1 123・ 113- YAA (E06B)
P 1 123・ 537- YAA (E06B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村田 泰利  
特許庁審判長 赤木 啓二
特許庁審判官 中田 誠
住田 秀弘
登録日 2013-11-15 
登録番号 特許第5409083号(P5409083)
発明の名称 横型ブラインドの高さ調節装置  
代理人 伊藤 寛之  
代理人 赤澤 日出夫  
代理人 SK特許業務法人  
代理人 奥野 彰彦  
代理人 SK特許業務法人  
代理人 伊藤 寛之  
代理人 奥野 彰彦  

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