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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
管理番号 1313393
審判番号 不服2013-15044  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-05 
確定日 2016-04-13 
事件の表示 特願2009-512163「低損失材料を使用する高効率高速電気装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年12月 6日国際公開、WO2007/139937、平成21年11月 5日国内公表、特表2009-538594〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2007年5月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2006年5月25日米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年4月3日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成25年4月5日)、これに対し、平成25年8月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、当審により平成26年4月11日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成26年4月14日)、これに対し、平成26年7月14日付で手続補正書及び平成26年8月1日付で上申書が提出され、当審により平成26年12月4日付で最後の拒絶の理由が通知され(発送日:平成26年12月5日)、これに対し、平成27年5月7日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。


2.平成27年5月7日付の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成27年5月7日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由I]
(1)補正の内容
本件補正前の特許請求の範囲は、以下のとおりである。
「【請求項1】
高効率高出力密度の永久磁石電磁モータ装置であって、
(a)低損失軟磁性材料から形成された磁気コアを含み、少なくとも1つの電気位相に接続されるように適合されたステータ巻線が巻かれた0.5の毎極毎相スロット値の数の要求を満たす複数のスロットを有する少なくとも1つのステータ組立体と、
(b)16乃至96極の範囲の複数のロータ極を有し、且つ複数の永久磁石を備えて、前記少なくとも1つのステータ組立体と磁気相互作用するように配列及び配置される少なくとも1つの磁場組立体と、
を含み、
毎分625回転のモータ速度で作動する96極カウントを有する前記モータ装置のトルク密度が少なくとも約2.5N-m/kgであり、前記装置の損失密度が最大でも約0.2W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記トルク密度及び前記損失密度を生成するのに十分高い毎分の回転で動く少なくとも約500Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
毎分938回転のモータ速度で作動する96極カウントを有するモータ装置の前記トルク密度は少なくとも約3.4N-m/kgであり、前記損失密度は最大でも約0.4W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記トルク密度及び前記損失密度を生成するのに十分高い毎分の回転で動く少なくとも約750Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
毎分1250回転のモータ速度で作動する96極カウントを有するモータ装置の前記トルク密度は少なくとも約3.8N-m/kgであり、前記損失密度は最大でも約0.6W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記トルク密度及び前記損失密度を生成するのに十分高い毎分の回転で動く少なくとも約1000Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
毎分2815回転のモータ速度で作動する32極カウントを有するモータ装置の前記トルク密度が少なくとも約6.0N-m/kgであり、前記損失密度が最大でも約0.4W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記モータ装置の連続運転中に少なくとも約750Hzの周波数での電気出力を提供する回転速度で測定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
毎分2500回転のモータ速度で作動する48極カウントを有するモータ装置の前記トルク密度が少なくとも約8.0N-m/kgであり、前記損失密度が最大でも約0.6W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記モータ装置の連続運転中に少なくとも約1000Hzの周波数での電気出力を提供する回転速度で測定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記軟磁性材料が、「L」未満の鉄損で特徴付けられた先進的低損失材料であり、ここでLは、式L=12・f・B^(1.5)+30・f^(2.3)・B^(2.3)で与えられ、Lは損失(W/kg単位)、fは周波数(KHz単位)、Bは最大磁束密度(Tesla単位)である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記先進的低損失材料が、アモルファス金属、ナノ結晶金属、及び最適化されたFe系合金からなる群から選択された少なくとも1つの材料である、
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記低損失軟磁性材料が、アモルファス金属である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記低損失軟磁性材料が、ナノ結晶金属である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記低損失軟磁性材料が、最適化されたFe系合金である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、アキシャルエアギャップ型装置である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
2つのステータ組立体と、これらの間の1つの磁場組立体とを有する、
ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記磁気コアは、単一構造の磁気コアである、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記単一構造の磁気コアがまた、一体構造磁気コアである、
ことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が、ラジアルエアギャップ型装置である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
約500Hzよりも高い整流周波数で連続的に運転するように適合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
約500Hz?3kHzの範囲の整流周波数で連続的に動作するように適合されている、
ことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
約600Hz?1200Hzの範囲の整流周波数で連続的に動作するように適合されている、
ことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
約1000Hzの整流周波数で連続的に動作するように適合されている、
ことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記装置が周囲空冷閉鎖フレーム設計であり、周囲温度を最大で100℃上回る温度上昇で少なくとも約500Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記装置が強制空冷設計であり、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約750Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項22】
前記装置が液冷設計であり、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約1000Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に動作するように適合されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項23】
前記装置の毎極毎相スロット比が、約0.25?4.0の範囲である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記装置の毎極毎相スロット比が、約0.25?1.0の範囲である、
ことを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記装置の毎極毎相スロット比が約0.5である、
ことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記複数のロータ極が、約1875回転/分を上回る速度では少なくとも4つである、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記複数のロータ極が少なくとも32極である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記ステータ巻線が、3つの電気位相に接続されるように適合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記磁場組立体がロータである、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記装置がブラシレス永久磁石直流機である、
ことを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
高効率高出力密度の永久磁石電磁モータ装置を製造する方法であって、
(a)L未満の鉄損により特徴付けられる先進的低損失材料を選択する段階(ここでLは、式L=12・f・B^(1.5)+30・f^(2.3)・B^(2.3)により示され、Lは損失(W/kg単位)、fは周波数(KHz単位)、BはTesla単位の最大磁束密度)と、
(b)低損失軟磁性材料から形成された磁気コアを含み、複数のスロットを有する少なくとも1つのステータ組立体を提供する段階と、
(c)少なくとも1つの電気位相に接続されるように適合されたステータ巻線を前記スロット内に提供する段階と、
(d)複数のロータ極と複数の永久磁石とを含み、少なくとも1つのステータ組立体との磁気相互作用するように配列及び配置される少なくとも1つの磁場組立体を提供する段階と、
を含み、
前記装置は、少なくとも約2.5N-m/kgトルク密度と、最大でも約0.2W/cm^(2)の前記装置の損失密度とを提供し、前記トルク密度及び前記損失密度の値が、少なくとも約500Hzの周波数での電気入力を受ける毎分625回転で作動する96極カウントを有する前記モータ装置の連続運転中に測定される、
ことを特徴とする方法。
【請求項32】
前記電磁装置が、アキシャルエアギャップ型装置である、
ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記複数のロータ極が、約1875回転/分を上回る速度で32極よりも多い、
ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記複数のロータ極が少なくとも32極である、
ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記装置の毎極毎相スロット比が、約0.25?4.0の範囲である、
ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記低損失軟磁性材料が、アモルファス金属である、
ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記低損失軟磁性材料がナノ結晶質金属である、
ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記低損失軟磁性材料が最適化されたFe系合金である、
ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記磁気コアが、単一構造の磁気コアである、
ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記磁気コアが、一体構造の磁気コアである、
ことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
高効率高出力密度の永久磁石電磁モータ装置と、前記機械をインタフェース接続して制御し且つ前記機械に動作可能に接続されるパワーエレクトロニクス手段とを含む高効率高出力密度の永久磁石電磁モータ装置システムであって、
前記電磁モータ装置が、
(a)低損失軟磁性材料から形成された磁気コアを含み、少なくとも1つの電気位相に接続されるように適合されたステータ巻線が巻かれた複数のスロットを有する少なくとも1つのステータ組立体と、
(b)複数のロータ極を有し、且つ複数の永久磁石を備えて、前記少なくとも1つのステータ組立体と磁気相互作用するように配列及び配置される少なくとも1つの磁場組立体と、
を含み、
前記装置のトルク密度が少なくとも約2.5Nm/kgであり、前記装置の損失密度が最大でも約0.2W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記トルク密度及び前記損失密度を生成するのに十分高い毎分の回転で動く少なくとも約500Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定される、
ことを特徴とする高効率高出力密度の永久磁石電磁装置システム。」

これに対し、本件補正により、特許請求の範囲は、以下のように補正された。
「【請求項1】
高効率高出力密度の永久磁石電磁モータ装置であって、
(a)「L」未満の磁気損失で特徴付けられた、アモルファス、ナノ結晶、及び最適化されたFe系合金ストリップからなる低損失軟磁性材料から形成された磁気コアを含む少なくとも1つのステータ組立体であって、ここでLは、式L=12・f・B^(1.5)+30・f^(2.3)・B^(2.3)で与えられ、Lは損失(W/kg単位)、fは周波数(KHz単位)、Bは最大磁束密度(Tesla単位)であり、前記ステータが400Hz以上の周波数で励起され、磁気損失「L」が、一般的に使用される磁性コア材料と比較して低いことを特徴とする、少なくとも1つのステータ組立体と、
(b)複数のスロットと、個々の歯部のまわり巻くことにより、又は、多数のスロットで2つの隣接する歯部を結合することによって運用されるステータ巻線とを有するモータであって、少なくとも1つの電気位相に接続されるように適合されたステータ巻線が巻かれた0.5の毎極毎相スロット値の数の要求を満たす、ことを特徴とするモータと、
(c)励起周波数(ヘルツ)が、毎秒回転数のロータ速度とロータ極ペアの数との積に等しい関係を満たす16乃至96極の範囲の複数のロータ極を包含する少なくとも1つの磁場組立体であって、ロータ極の数と前記モータロータの回転速度との選択を可能にし、複数の永久磁石を備えて、前記少なくとも1つのステータ組立体と磁気相互作用するように配列及び配置される少なくとも1つの磁場組立体と、
を含み、
前記モータ装置のトルク密度が少なくとも約2.5N-m/kgであり、前記装置の損失密度が最大でも約0.2W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、少なくとも約500Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
モータ装置の前記トルク密度は少なくとも約3.4N-m/kgであり、前記損失密度は最大でも約0.4W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、少なくとも約750Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
モータ装置の前記トルク密度は少なくとも約3.8N-m/kgであり、前記損失密度は最大でも約0.6W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、少なくとも約1000Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
モータ装置の前記トルク密度が少なくとも約6.0N-m/kgであり、前記損失密度が最大でも約0.4W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記モータ装置の連続運転中に少なくとも約750Hzの周波数での電気出力を提供する回転速度で測定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
モータ装置の前記トルク密度が少なくとも約8.0N-m/kgであり、前記損失密度が最大でも約0.6W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記モータ装置の連続運転中に少なくとも約1000Hzの周波数での電気出力を提供する回転速度で測定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記低損失軟磁性材料が、アモルファス金属である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記低損失軟磁性材料が、ナノ結晶金属である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記低損失軟磁性材料が、最適化されたFe系合金である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、アキシャルエアギャップ型装置である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
2つのステータ組立体と、これらの間の1つの磁場組立体とを有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記磁気コアは、単一構造の磁気コアである、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記単一構造の磁気コアがまた、一体構造磁気コアである、
ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
約500Hzよりも高い整流周波数で連続的に運転するように適合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
約500Hz?3kHzの範囲の整流周波数で連続的に動作するように適合されている、
ことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
約600Hz?1200Hzの範囲の整流周波数で連続的に動作するように適合されている、
ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
約1000Hzの整流周波数で連続的に動作するように適合されている、
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記装置が周囲空冷閉鎖フレーム設計であり、周囲温度を最大で100℃上回る温度上昇で少なくとも約500Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記装置が強制空冷設計であり、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約750Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項19】
前記装置が液冷設計であり、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約1000Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に動作するように適合されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項20】
前記装置の毎極毎相スロット比が、約0.25?4.0の範囲である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記装置の毎極毎相スロット比が、約0.25?1.0の範囲である、
ことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記装置の毎極毎相スロット比が約0.5である、
ことを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記複数のロータ極は、約(500Hz/16極対)×60または1875回転/分を上回る速度では少なくとも32である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記ステータ巻線が、3つの電気位相に接続されるように適合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記装置がブラシレス永久磁石直流機である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項26】
高効率高出力密度の永久磁石電磁モータ装置を製造する方法であって、
(a)L未満の鉄損により特徴付けられる先進的低損失材料を選択する段階(ここでLは、式L=12・f・B^(1.5)+30・f^(2.3)・B^(2.3)により示され、Lは損失(W/kg単位)、fは周波数(KHz単位)、BはTesla単位の最大磁束密度)と、
(b)低損失軟磁性材料から形成された磁気コアを含み、複数のスロットを有する少なくとも1つのステータ組立体を提供する段階と、
(c)少なくとも1つの電気位相に接続されるように適合されたステータ巻線を前記スロット内に提供する段階と、
(d)複数のロータ極と複数の永久磁石とを含み、少なくとも1つのステータ組立体との磁気相互作用するように配列及び配置される少なくとも1つの磁場組立体を提供する段階と、
を含み、
前記装置は、少なくとも約2.5N-m/kgトルク密度と、最大でも約0.2W/cm^(2)の前記装置の損失密度とを提供し、前記トルク密度及び前記損失密度の値が、約500Hzの入力パワー周波数と等しい極ペアカウントおよび毎秒の回転のロータ速度の製品を有する前記モータ装置の連続運転中に測定される、
ことを特徴とする方法。
【請求項27】
前記電磁装置が、アキシャルエアギャップ型装置である、
ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記複数のロータ極が、約(500Hz/16極対)×60または1875回転/分を上回る速度で32極よりも多い、
ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記装置の毎極毎相スロット比が、約0.25?4.0の範囲である、
ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記低損失軟磁性材料が、アモルファス金属である、
ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記低損失軟磁性材料がナノ結晶質金属である、
ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記低損失軟磁性材料が最適化されたFe系合金である、
ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記磁気コアが、単一構造の磁気コアである、
ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記磁気コアが、一体構造の磁気コアである、
ことを特徴とする請求項33に記載の方法。」


(2-1)新規事項について
(ア)本件補正後の請求項17には、「前記装置が周囲空冷閉鎖フレーム設計であり、周囲温度を最大で100℃上回る温度上昇で少なくとも約500Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。」と記載されているから、本件補正後の請求項17に記載された装置は、周囲空冷閉鎖フレーム設計であって、周囲温度を最大で100℃上回る温度上昇で少なくとも約500Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されていることとなる。
本件補正後の請求項18には、「前記装置が強制空冷設計であり、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約750Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されている、ことを特徴とする請求項4に記載の装置。」と記載されているから、本件補正後の請求項18に記載された装置は、強制空冷設計であって、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約750Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されていることとなる。
本件補正後の請求項19には、「前記装置が液冷設計であり、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約1000Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に動作するように適合されている、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。」と記載されているから、本件補正後の請求項19に記載された装置は、液冷設計であって、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約1000Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に動作するように適合されていることとなる。

そこで、当該補正が、国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く)(以下、「翻訳文等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。

翻訳文等には、
1-a「【請求項20】
前記装置が周囲空冷閉鎖フレーム設計であり、周囲温度を最大で100℃上回る温度上昇で少なくとも約500Hzの同期周波数に対応する回転速度で連続的に運転するように適合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記装置が強制空冷設計であり、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約750Hzの同期周波数に対応する回転速度で連続的に運転するように適合されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項22】
前記装置が液冷設計であり、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約1000Hzの同期周波数に対応する回転速度で連続的に動作するように適合されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。」

1-b「熱的性質及び効率
十分な廃熱を放散させる能力は、実質的にあらゆる電気機械の出力定格を制限する要因である。廃熱は、幾つかの発生源から生じるが、使用する軟磁性材料が何であれ、主として、オーム損、巻線の表皮効果及び近接効果の損失、磁石及び他のロータ構成部品の渦電流によるロータ損失、並びにステータ鉄心からの鉄損から生じる。廃熱は回転速度に応じて増加するので、従来の機械の「連続出力限界」は、許容できない温度上昇を防ぐのに十分な廃熱を放散しながら機械が連続的に運転できる最大速度によって決定されることが多い。連続的出力限界はまた、オーム(ジュール)損に起因する電流の関数である。特定の超高速モータを除いて、風損は通常無視することができる。本明細書での計算は、従来の標準的な式を用いて行う全損失に対する風損補正を含む。
機械設計は、連続運転に許容可能とみなされた単位有効表面積当たりの放熱率に関する予め選択した一定の限界値に関する制約を用いて実行されることが多い。熱除去の正確な方法に応じて異なる値が適用される。要求が最も少ない機械設計では、通常対流熱除去を行うために装置シャフト上に取り付けたファンを使用して周囲空気を循環させる開放フレームが必要である。熱を発散するために装置外面のみが利用可能である閉鎖フレーム空冷設計は、下側放散を備えなければならない。特に高速モータ用の要求の多い用途は、循環液体、相変化冷却、ヒートパイプ又は他の同様の手段を含む、熱除去率を向上させる特殊な技法に依存する場合がある。許容放熱を高めることにより、所与の機械設計の見掛け上の電力及びトルク定格を増大させることができる。
本発明を実施する際に最適に適用可能な高周波多極数電気装置では、ステータ鉄心のアモルファス金属合金、ナノ結晶金属合金、及び最適化Fe系金属合金が従来のSi-Feよりも損失が少ないので、発生する廃熱より少なくなる。改善された軟磁性材料を使用するこれまでの試みは通常、場合によっては動作周波数の増大に対して、基本的機械構成を変えることなく直接置き換えることだけになっていた。しかしながら、周波数、速度及び出力を増大させ、次に更に、低鉄損とオーム損とを正確にバランスを取り「取り引きする」ことによって、設計者がこれらの材料の低損失特性を有利に利用することができること機械と同じ出力では、本発明において最適に適用可能な高周波数多極数電気装置は、従来の機械よりも損失が低く、よってトルク及び速度が高く、従って、より高い連続速度限界を達成することができる。」(【0074】-【0076】)

1-c「過熱を防ぐために熱除去しなければならない電気設備及び電子装置の設計は、単位表面積当たりの実現可能な熱除去率の想定値を前提とすることが多い。一般に、機械内の過度の内部温度上昇を防ぐために、十分な熱を放散する必要がある。温度上昇は、電気絶縁の破壊、不可逆的ロータ磁化損失、及び他の深刻な結果を防ぐために制限しなければならない。例えば、経験から、多種多様なタイプの電気構成部品及び電子構成部品の表面は、温度が約100℃を上回って上昇することなく静止した室内空気で約0.2W/cm^(2)を連液体を用いる構成部品の強制冷却により、ヒートパイプなどのより特殊な手段と同様、より高い限界が許容される。回転電機設計では、0.4W/cm^(2)の連続的放散には、多くの場合、例えばブロアを備えた開放フレーム設計を用いた強制空気冷却が必要と考えられており、一方、0.6W/cm^(2)では、液体冷却を必要とする可能性が高い。
様々な実施において、本発明の装置は、高い出力及びトルク密度を実現すると共に、高効率、及び連続運転中に廃熱を除去することを可能にするのに十分に低い損失が維持される。特に、廃熱は、開放フレーム及び閉鎖フレームの空冷装置、並びに例えば、液体冷却、ヒートパイプ、相変化媒体又は同様のものを介してより高い熱伝達を実現する装置に好適な様々な実施形態において取り除くことができる。
例えば、1つの実施では、少なくとも約2.5N-m/kgのトルク密度と、最大でも約0.2W/cm^(2)の損失密度とを有する機械が提供され、これらの値は、抵抗性負荷に接続された発電機として機械が連続して運転する間に、少なくとも約500Hzの周波数の電気出力を提供する回転速度で測定される。別の実施において、機械は、連続した750Hz運転中、少なくとも約3.4Nm/kgのトルク密度及び最大でも約0.4W/cm^(2)の損失密度を実現する。更に別の機械は、連続1000Hz運転中、少なくとも約3.8Nm/kgのトルク密度及び最大でも約0.6W/cm^(2)の損失密度を実現する。更に好ましくは、機械は、連続750Hz運転中、少なくとも約6.0Nm/kgのトルク密度及び最大でも約0.4W/cm^(2)の損失密度を実現する。もっとも好ましくは、機械は、連続1000Hz運転中、少なくとも約8.0Nm/kgのトルク密度及び最大でも約0.6W/cm^(2)の損失密度を実現する。」(【0101】-【0103】)

と記載されているにすぎず、装置が、周囲空冷閉鎖フレーム設計であって、周囲温度を最大で100℃上回る温度上昇で少なくとも約500Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されていること、装置が、強制空冷設計であって、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約750Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されていること、及び、装置が、液冷設計であって、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約1000Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に動作するように適合されていることは、図面を参照しても記載も示唆もない。

したがって、装置が、周囲空冷閉鎖フレーム設計であって、周囲温度を最大で100℃上回る温度上昇で少なくとも約500Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されていること、装置が、強制空冷設計であって、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約750Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されていること、及び、装置が、液冷設計であって、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約1000Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に動作するように適合されていることは、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。


(イ)本件補正後の請求項23には、「前記複数のロータ極は、約(500Hz/16極対)×60または1875回転/分を上回る速度では少なくとも32である、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。」と記載されているから、本件補正後の請求項23に記載された装置は、複数のロータ極は、約500Hzの周波数の電気入力で16極対での毎分の回転数の約1875回転/分または1875回転/分を上回る速度では少なくとも32極を有することとなる。

そこで、当該補正が、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。

翻訳文等には、
2-a「【請求項26】
前記複数のロータ極が、約12,000回転/分を上回る速度では少なくとも4つである、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。」

2-b「【請求項28】
前記複数のロータ極が少なくとも32極である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。」

2-c「【請求項34】
前記複数のロータ極が、約12,000回転/分を上回る速度で4極よりも多い、
ことを特徴とする請求項32に記載の方法。」

2-d「【請求項36】
前記複数のロータ極が少なくとも32極である、
ことを特徴とする請求項32に記載の方法。」

2-e「低損失材料を用いた多極数高周波数設計
本発明の構造及び方法は、少ない極数から多極数までの範囲の電動機械に適用可能である。しかしながら、本発明の構成の利点は、ステータに低損失材料を含めることによって、多極数と通常のライン周波数を上回る周波数での運転とを組み合わせて使用できるようになる機械システムにおいて本質的に実現される。例えば、特定の実施形態において、本発明は、整流周波数が少なくとも200Hzで運転される多極数のブラシレス永久磁石電気装置を提供する。更に好ましくは、本発明の機械は、約500Hzよりも高い、更に好ましくは約500Hzから3kHz又はそれ以上の範囲の整流周波数で連続的に運転するように適合されている。最も好ましくは、本発明の機械は、励起下で約600Hzから1200Hzの範囲の周波数(例えば、1000Hz)で運転される。」(【0060】)

2-f「一例として、6?8の極の業界で一般的なモータ、すなわち約800?3600rpmの速度のモータでは、整流周波数は約100?400Hzである。また、約16個よりも多い極数で1000rpm未満の速度も業界では利用可能であるが、それでも、300Hzを未満の周波数に対応している。或いは、比較的少ない極数(約6極未満)で速度が最大3000rpmのモータも利用可能であるが、それでも整流周波数は約400Hzを未満である。別の実施形態において、本発明は、例えば、96極、1250rpm、1000Hz;54極、3600rpm、1080Hz;4極、30000rpm、1000Hz;及び2極、60000rpm、1000Hzといった機械を提供する。従って、本発明のモータは、「標準的」モータと比べたときに4?5倍の高い周波数を実現する。本発明のモータは、同じ速度範囲で運転されたときに業界で一般的なモータよりも高効率であり、その結果、より高速の選択肢が得られる。」(【0064】)

と記載されているにすぎず、装置が、複数のロータ極は、約500Hzの周波数の電気入力で16極対での毎分の回転数の約1875回転/分または1875回転/分を上回る速度では少なくとも32極を有することは、図面を参照しても記載も示唆もない。

したがって、装置が、複数のロータ極は、約500Hzの周波数の電気入力で16極対での毎分の回転数の約1875回転/分または1875回転/分を上回る速度では少なくとも32極を有することは、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。なお、本件補正後の請求項28も同様である。


(2-2)目的要件について
本件補正が、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。
特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」は、第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られ、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請され、補正前の請求項と補正後の請求項とは、一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。

(ア)本件補正後の請求項1は装置に係るものであって、損失の式Lを有し、低損失材料が、アモルファス金属、ナノ結晶金属、及び最適化されたFe系合金からなるが、この様な構成を有するのは本件補正前の請求項1を引用する請求項6を引用する請求項7(以下、「本件補正前の請求項7」という。)であるから、本件補正前の請求項7は本件補正後の請求項1に一応対応するとして、検討する。
(ア-1)ロータに関し、本件補正前の請求項7は「16乃至96極の範囲の複数のロータ極」を有していたものが、本件補正後の請求項1は「励起周波数(ヘルツ)が、毎秒回転数のロータ速度とロータ極ペアの数との積に等しい関係を満たす16乃至96極の範囲の複数のロータ極」を有することとなる。これは、本件補正前の請求項7は、ロータが単に16乃至96極を有していれば足りたものが、本件補正後の請求項1は、ロータが16乃至96極であって、ロータの極数=2(励起周波数(ヘルツ)/毎秒回転数のロータ速度)となり、ロータの極数を決定するためには、ステータへの励起周波数(ヘルツ)、及び、ロータ速度を決定するためのステータの極対数、ロータの毎秒の回転数を考慮しなければならないこととなり、本件補正前の請求項7記載のどの構成を限定しても、本件補正後の請求項1に記載されたようなロータの極数の関係は導き出せないから、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。なお、本件補正後の請求項26も同様である。
モータ装置のトルク密度に関し、本件補正前の請求項7は「毎分625回転のモータ速度で作動する96極カウントを有する前記モータ装置のトルク密度が少なくとも約2.5N-m/kg」であったものが、本件補正後の請求項1は「前記モータ装置のトルク密度が少なくとも約2.5N-m/kg」となっている。これは、本件補正前の請求項7は、毎分625回転のモータ速度で作動する96極カウントを有するモータ装置のトルク密度を規定していたものが、本件補正後の請求項1は、「毎分625回転のモータ速度で作動する96極カウントを有する」との記載が省かれており、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものには該当しないから、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。なお、本件補正後の請求項26も同様である。

(ア-2)本件補正後の請求項1を本件補正後の請求項2-9、11、13、17、20、23、25が引用しているが、対応する本件補正前の請求項7を引用する請求項は本件補正前に無く、本件補正前の請求項7が引用する本件補正前の請求項6を引用する請求項も本件補正前に無かったものが、本件補正後の請求項1を引用する本件補正後の請求項2-9、11、13、17、20、23、25が存在するから、所謂増項補正に該当し、補正前の請求項と補正後の請求項とは、一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。
また、本件補正前の請求項7記載のどの構成を限定しても、本件補正後の請求項1を引用する請求項2の「モータ装置の前記トルク密度は少なくとも約3.4N-m/kgであり、前記損失密度は最大でも約0.4W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、少なくとも約750Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定される」構成、本件補正後の請求項1を引用する請求項3の「モータ装置の前記トルク密度は少なくとも約3.8N-m/kgであり、前記損失密度は最大でも約0.6W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、少なくとも約1000Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定される」構成、本件補正後の請求項1を引用する請求項4の「モータ装置の前記トルク密度が少なくとも約6.0N-m/kgであり、前記損失密度が最大でも約0.4W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記モータ装置の連続運転中に少なくとも約750Hzの周波数での電気出力を提供する回転速度で測定される」構成、本件補正後の請求項1を引用する請求項5の「モータ装置の前記トルク密度が少なくとも約8.0N-m/kgであり、前記損失密度が最大でも約0.6W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記モータ装置の連続運転中に少なくとも約1000Hzの周波数での電気出力を提供する回転速度で測定される」構成とはならないから、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。

(ア-3)仮に、本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項1に対応するものとして更に検討する。
ステータ組立体に関し、本件補正前の請求項1は、磁気損失はあるものの低損失とあるだけであったものが、本件補正後の請求項1は、低損失で、「「L」未満の磁気損失で特徴付けられ」、「式L=12・f・B^(1.5)+30・f^(2.3)・B^(2.3)で与えられ、Lは損失(W/kg単位)、fは周波数(KHz単位)、Bは最大磁束密度(Tesla単位)であり、前記ステータが400Hz以上の周波数で励起され」ている。これは、本件補正前の請求項1は、低損失とだけ特定していたものが、本件補正後の請求項1は、低損失で、L未満の損失が式Lで規定され、且つ、400Hz以上の周波数で励起されることとなり、本件補正前の請求項1記載のステータ組立体に関するどの構成を限定しても、本件補正後の請求項1に記載されたようなステータ組立体とはならないから、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。
ロータ、モータ装置のトルク密度に関し、(ア-1)と同様の理由により、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。なお、本件補正後の請求項26も同様である。

(イ)本件補正後の請求項1を引用する本件補正後の請求項2(以下、「本件補正後の請求項2」という。)は装置に係るものであって、モータ装置のトルク密度は少なくとも約3.4N-m/kgであり、損失密度は最大でも約0.4W/cm^(2)であり、当該値は、少なくとも約750Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定されており、この様な構成を有するのは本件補正前の請求項1を引用する請求項2(以下、「本件補正前の請求項2」という。)であるから、本件補正前の請求項2は本件補正後の請求項2に一応対応するとして、検討する。
モータ装置のトルク密度に関し、本件補正前の請求項2は「毎分938回転のモータ速度で作動する96極カウントを有する前記モータ装置のトルク密度は少なくとも約3.4N-m/kg」であったものが、本件補正後の請求項2は「モータ装置のトルク密度は少なくとも約3.4N-m/kg」となっている。これは、本件補正前の請求項2は、毎分938回転のモータ速度で作動する96極カウントを有するモータ装置のトルク密度を規定していたものが、本件補正後の請求項2は、「毎分938回転のモータ速度で作動する96極カウントを有する」との記載が省かれており、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものには該当しないから、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。なお、本件補正後の請求項3-5も同様である。

(ウ)本件補正後の請求項1を引用する本件補正後の請求項23(以下、「本件補正後の請求項23」という。)は装置に係るものであって、複数のロータ極は、約(500Hz/16極対)×60または1875回転/分を上回る速度では少なくとも32であり、この様な回転速度を有するのは本件補正前の請求項1を引用する請求項26(以下、「本件補正前の請求項26」という。)であるから、本件補正前の請求項26は本件補正後の請求項23に一応対応するとして、検討する。
ロータに関し、本件補正前の請求項26は「前記複数のロータ極が、約1875回転/分を上回る速度では少なくとも4つ」であったものが、本件補正後の請求項23は「前記複数のロータ極は、約(500Hz/16極対)×60または1875回転/分を上回る速度では少なくとも32」となっている。これは、本件補正前の請求項26は、回転速度については約1875回転/分を上回るとの限定のみで、その際のロータ極が少なくとも4つであったものが、本件補正後の請求項23は、回転速度は約1875回転/分を上回り、その際のロータ極が少なくとも32であることに加え、約(500Hz/16極対)×60を上回ることが加わっており、約500Hzの周波数の電気入力で16極対での毎分の回転数の約1875回転/分を上回り、その際のロータ極が少なくとも32であることが加わったこととなり、本件補正前の請求項26記載のロータ極に関するどの構成を限定しても、本件補正後の請求項23に記載されたように、複数のロータ極は、約500Hzの周波数の電気入力で16極対での毎分の回転数の約1875回転/分または1875回転/分を上回る速度では少なくとも32極を有することとはならないから、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。

したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正とは認められない。
また、本件補正が、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものでないことも明らかである。


(3)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、特許法第17条の2第5項第2号の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願に係る発明は、上記した平成26年7月14日付手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(1)当審の最後の拒絶の理由
当審で平成26年12月4日付で通知した最後の拒絶の理由I、IIの概要は以下のとおりである。
「I 平成26年7月14日付でした手続補正は、下記の点で国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く)(以下、翻訳文等という)(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあっては、翻訳文等又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。


(1)請求項1には、「毎分625回転のモータ速度で作動する96極カウントを有する前記モータ装置のトルク密度が少なくとも約2.5N-m/kgであり、前記装置の損失密度が最大でも約0.2W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記トルク密度及び前記損失密度を生成するのに十分高い毎分の回転で動く少なくとも約500Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定される」と、請求項31には「前記装置は、少なくとも約2.5N-m/kgトルク密度と、最大でも約0.2W/cm^(2)の前記装置の損失密度とを提供し、前記トルク密度及び前記損失密度の値が、少なくとも約500Hzの周波数での電気入力を受ける毎分625回転で作動する96極カウントを有する前記モータ装置の連続運転中に測定される」との訳語があり、毎分625回転のモータ速度で作動する96極カウントを有するモータ装置が、少なくとも約500Hzの周波数での電気入力を受けて連続運転中に、トルク密度が少なくとも約2.5N-m/kg、損失密度が最大でも約0.2W/cm^(2)の値が測定されることとなる。

そこで、本件補正が、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。

翻訳文等には、
a「高効率高出力密度の永久磁石電磁装置であって、
(a)低損失軟磁性材料から形成された磁気コアを含み、少なくとも1つの電気位相に接続されるように適合されたステータ巻線が巻かれた複数のスロットを有する少なくとも1つのステータ組立体と、
(b)複数のロータ極を有し、且つ複数の永久磁石を備えて、前記少なくとも1つのステータ組立体と磁気相互作用するように配列及び配置される少なくとも1つの磁場組立体と、
を含み、
前記装置のトルク密度が少なくとも約2.5N-m/kgであり、前記装置の損失密度が最大でも約0.2W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、抵抗性負荷に接続された発電機としての前記装置の連続運転中に少なくとも約500Hzの周波数での電気出力を提供する回転速度で測定される、
ことを特徴とする装置。」(【請求項1】)

b「高効率高出力密度の永久磁石電磁装置を製造する方法であって、
(a)L未満の鉄損により特徴付けられる先進的低損失材料を選択する段階(ここでLは、式L=12・f・B^(1.5)+30・f^(2.3)・B^(2.3)により示され、Lは損失(W/kg単位)、fは周波数(KHz単位)、BはTesla単位の最大磁束密度)と、
(b)低損失軟磁性材料から形成された磁気コアを含み、複数のスロットを有する少なくとも1つのステータ組立体を提供する段階と、
(c)少なくとも1つの電気位相に接続されるように適合されたステータ巻線を前記スロット内に提供する段階と、
(d)複数のロータ極と複数の永久磁石とを含み、少なくとも1つのステータ組立体との磁気相互作用するように配列及び配置される少なくとも1つの磁場組立体を提供する段階と、
を含み、
前記装置は、少なくとも約2.5N-m/kgトルク密度と、最大でも約0.2W/cm^(2)の前記装置の損失密度とを提供し、前記トルク密度及び前記損失密度の値が、抵抗性負荷に接続された発電機としての前記装置の連続運転中に少なくとも約500Hzの周波数での電気出力を提供する回転速度で測定される、
ことを特徴とする方法。」(【請求項32】)

c「高効率高出力密度の永久磁石電磁装置と、前記機械をインタフェース接続して制御し且つ前記機械に動作可能に接続されるパワーエレクトロニクス手段とを含む高効率高出力密度の永久磁石電磁装置システムであって、
前記電磁装置が、
(a)低損失軟磁性材料から形成された磁気コアを含み、少なくとも1つの電気位相に接続されるように適合されたステータ巻線が巻かれた複数のスロットを有する少なくとも1つのステータ組立体と、
(b)複数のロータ極を有し、且つ複数の永久磁石を備えて、前記少なくとも1つのステータ組立体と磁気相互作用するように配列及び配置される少なくとも1つの磁場組立体と、
を含み、
前記装置のトルク密度が少なくとも約2.5Nm/kgであり、前記装置の損失密度が最大でも約0.2W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、抵抗性負荷に接続された発電機としての前記装置の連続運転中に少なくとも約500Hzの周波数での電気出力を提供する回転速度で測定される、
ことを特徴とする高効率高出力密度の永久磁石電磁装置システム。」(【請求項43】)

d「例えば、特定の実施形態において、本発明は、整流周波数が少なくとも200Hzで運転される多極数のブラシレス永久磁石電気装置を提供する。更に好ましくは、本発明の機械は、約500Hzよりも高い、更に好ましくは約500Hzから3kHz又はそれ以上の範囲の整流周波数で連続的に運転するように適合されている。最も好ましくは、本発明の機械は、励起下で約600Hzから1200Hzの範囲の周波数(例えば、1000Hz)で運転される。」(【0060】)

e「一例として、6?8の極の業界で一般的なモータ、すなわち約800?3600rpmの速度のモータでは、整流周波数は約100?400Hzである。また、約16個よりも多い極数で1000rpm未満の速度も業界では利用可能であるが、それでも、300Hzを未満の周波数に対応している。或いは、比較的少ない極数(約6極未満)で速度が最大3000rpmのモータも利用可能であるが、それでも整流周波数は約400Hzを未満である。別の実施形態において、本発明は、例えば、96極、1250rpm、1000Hz;54極、3600rpm、1080Hz;4極、30000rpm、1000Hz;及び2極、60000rpm、1000Hzといった機械を提供する。従って、本発明のモータは、「標準的」モータと比べたときに4?5倍の高い周波数を実現する。本発明のモータは、同じ速度範囲で運転されたときに業界で一般的なモータよりも高効率であり、その結果、より高速の選択肢が得られる。」(【0064】)

f「例えば、1つの実施では、少なくとも約2.5N-m/kgのトルク密度と、最大でも約0.2W/cm^(2)の損失密度とを有する機械が提供され、これらの値は、抵抗性負荷に接続された発電機として機械が連続して運転する間に、少なくとも約500Hzの周波数の電気出力を提供する回転速度で測定される。別の実施において、機械は、連続した750Hz運転中、少なくとも約3.4Nm/kgのトルク密度及び最大でも約0.4W/cm^(2)の損失密度を実現する。更に別の機械は、連続1000Hz運転中、少なくとも約3.8Nm/kgのトルク密度及び最大でも約0.6W/cm^(2)の損失密度を実現する。更に好ましくは、機械は、連続750Hz運転中、少なくとも約6.0Nm/kgのトルク密度及び最大でも約0.4W/cm^(2)の損失密度を実現する。もっとも好ましくは、機械は、連続1000Hz運転中、少なくとも約8.0Nm/kgのトルク密度及び最大でも約0.6W/cm^(2)の損失密度を実現する。」(【0103】)

g「発電機モードでの比較例7の機械の損失は、相巻線の各々を純抵抗負荷に接続して、外部原動機から印加されるトルクによって必要な回転速度で機械シャフトを旋回させることにより求められる。本明細書における回転損失は、電気負荷が切断された状態で、所望の速度でシャフトを旋回させるのに必要とされるトルクを測定することにより求められる。下表Vは、回転損失密度を記載しており、各位相で500Hz、750Hz及び1000Hzの位相出力に対応する、5000rpm、7500rpm及び10,000rpmの速度で回転する比較例7の機械についてアクティブ単位面積(W/cm2)当たりのワット数の単位で表している。」(【0112】)

h「本発明の機械の実施例7?13における回転損失密度(単位活性材料面積当たりの回転損失)は、無負荷で上述のように試験される。また、表Vから再掲される比較例7の機械の匹敵する値も示される。これらの機械のいずれもがモータとして運転されるときに、電流フローが回転損失を克服するのに必要とされる値を上回ると、有効なトルク出力が発生する。しかしながら、その電流フローによりステータ巻線における更なるオーム損が発生し、その結果、熱除去する必要のある更なる熱が発生する。表VIIは更に、500Hz、750Hz及び1000Hzでの位相励起に対応すると同時に、3つのそれぞれの周波数で0.2W/cm^(2)、0.4W/cm^(2)及び0.6W/cm^(2)の閾値合計損失密度を超えない回転速度についてこれらの機械の各々において利用可能であるトルク密度量(単位活性材料質量当たりの利用可能トルク)の計算を記載している。こうした合計損失密度は、ゼロ送出トルクでの回転損失と、当該利用可能トルクを実現するのに必要とされる追加電流による追加のオーム損との両方を含む。比較例7では、選択された閾値損失密度値に達するのは回転損失だけであるので、500Hz、750Hz及び1000Hz励起のいずれかで利用できる許容可能トルクが存在しない。対照として、本発明の実施例7?13の機械は全て、指定された損失密度を上回ることなく、若干量の利用可能トルクを提供する。」(【0116】)

i【表6】-【表8】には、実施例7?13として、ステータ当たりのスロット数が30?90のモータが、500Hzの周波数で、トルク密度が2.5?5.1N-m/kg、損失密度が0.04?0.10W/cm^(2) であることが示されている。

j「表VIIIは更に、比較例7及び例7?13の機械のトルク能力を示す。500Hzでの各機械の回転損失密度は表VIIから再掲される。また、3つの異なる許容放熱、すなわち、表VIIの500Hzデータで用いた0.2W/cm^(2)、並びに0.4W/cm^(2)及び0.6W/cm^(2)のより大きな値が利用可能なトルク密度が記載される。表VIIIのデータの全ては、500Hzの同期電気周波数に対応する回転速度での運転に関するものである。高放熱を可能にすることにより、各事例においてより多くの電流を相巻線に通過させることができ、これにより有効トルクが増大する。上述のように、比較例7の機械は、500Hzでは回転損失密度単独で0.28W/cm^(2)を放散させるので、この放熱レベルでは有効トルクを実現することができない。限界を0.4W/cm^(2)又は0.6W/cm^(2)に緩和すると、比較例7の装置は、何らかの有効トルクを生成することができるが、利用可能な量はそれでも、匹敵する質量当たりでは例7?13のいずれかで達成可能な量よりも遙かに小さい。」(【0118】)

と記載されているにすぎず、毎分625回転のモータ速度で作動する96極カウントを有するモータ装置が、少なくとも約500Hzの周波数での電気入力を受けて連続運転中に、トルク密度が少なくとも約2.5N-m/kg、損失密度が最大でも約0.2W/cm^(2)の値が測定されることは、図面を参照しても記載も示唆も無い。

したがって、毎分625回転のモータ速度で作動する96極カウントを有するモータ装置が、少なくとも約500Hzの周波数での電気入力を受けて連続運転中に、トルク密度が少なくとも約2.5N-m/kg、損失密度が最大でも約0.2W/cm2の値が測定されることは、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。

(2)請求項2には、「毎分938回転のモータ速度で作動する96極カウントを有するモータ装置の前記トルク密度は少なくとも約3.4N-m/kgであり、前記損失密度は最大でも約0.4W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記トルク密度及び前記損失密度を生成するのに十分高い毎分の回転で動く少なくとも約750Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定される、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。」と、請求項3には、「毎分1250回転のモータ速度で作動する96極カウントを有するモータ装置の前記トルク密度は少なくとも約3.8N-m/kgであり、前記損失密度は最大でも約0.6W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記トルク密度及び前記損失密度を生成するのに十分高い毎分の回転で動く少なくとも約1000Hzの周波数での電気入力を受ける前記モータ装置の連続運転中に測定される、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。」と、請求項4には、「毎分2815回転のモータ速度で作動する32極カウントを有するモータ装置の前記トルク密度が少なくとも約6.0N-m/kgであり、前記損失密度が最大でも約0.4W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記モータ装置の連続運転中に少なくとも約750Hzの周波数での電気出力を提供する回転速度で測定される、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。」と、請求項5には、「毎分2500回転のモータ速度で作動する48極カウントを有するモータ装置の前記トルク密度が少なくとも約8.0N-m/kgであり、前記損失密度が最大でも約0.6W/cm^(2)であり、前記トルク密度及び前記損失密度の値は、前記モータ装置の連続運転中に少なくとも約1000Hzの周波数での電気出力を提供する回転速度で測定される、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。」との訳語があり、各々が請求項1を引用しているから、請求項1記載のモータが、更に、請求項2-5の何れかに記載の条件を満たさなければならない。
しかし、上述のように、請求項1に記載の上記事項は翻訳文等に記載が無く、しかも、翻訳文等には、上記した請求項2-5記載の条件のみについての記載も、図面を参照しても記載も示唆も無い。

したがって、請求項2-5に記載された事項は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。

(3)請求項20には、「前記装置が周囲空冷閉鎖フレーム設計であり、周囲温度を最大で100℃上回る温度上昇で少なくとも約500Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。」と、請求項21には、「前記装置が強制空冷設計であり、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約750Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に運転するように適合されている、ことを特徴とする請求項4に記載の装置。」と、請求項22には、「前記装置が液冷設計であり、最大でも100℃の温度上昇で少なくとも約1000Hzの同期周波数に対応する毎分600乃至3000回転の回転速度で連続的に動作するように適合されている、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。」との訳語があるが、上記eの記載はあるものの、約500Hz、約750Hzまたは約1000Hzの同期周波数に対応する回転速度が毎分600回転の回転速度で運転するように適合されたものであるとは、図面を参照しても記載も示唆も無い。

したがって、請求項20-22に記載された事項は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。

(4)請求項26、33には、「約1875回転/分を上回る速度」とあるが、上述のように、翻訳文等には、約1875回転/分を上回る速度は、図面を参照しても記載も示唆も無い。

したがって、請求項26、33に記載された事項は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。


II この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。


(1)上述のように、請求項1、31、2-5、20-22、26、33に記載の事項は、発明の詳細な説明に実質的に開示されていないから、出願時の技術常識に照らしても、本件補正後の請求項1、31、2-5、20-22、26、33に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないので、本件補正後の請求項1、31、2-5、20-22、26、33に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
更に、請求項1に96極カウント(請求項2-5、31にも同様の記載あり)との訳語があるが、この場合カウントとはどの様な意味であるのか、一般的な用語ではないため構成が特定できず不明である。仮に、ロータ極の極数(ロータが96極)の意味であるとすると、請求項1の「16乃至96極の範囲の複数のロータ極を有し」との訳語とは内容が一致せず、構成が不明であり、請求項1を引用する請求項4、5は、ロータがどの様な構成となるのか不明である。」


(2)最後の拒絶の理由I、IIについての判断
(ア)理由Iについて
平成26年7月14日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-5、20-22、26、33に記載された事項は、平成27年5月7日付意見書を参照しても、平成26年12月4日付の最後の拒絶の理由Iに示したとおり、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。
したがって、平成26年7月14日付でした手続補正は、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(イ)理由IIについて
平成26年7月14日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1、2-5、20-22、26、31、33の記載は、平成27年5月7日付意見書を参照しても、平成26年12月4日付の最後の拒絶の理由IIに示したとおり、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

平成26年7月14日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1、4、5の記載は、平成26年8月1日付上申書、平成27年5月7日付意見書を参照しても、平成26年12月4日付の最後の拒絶の理由IIに示したとおり、明細書を参照しても不明である。
したがって、平成26年7月14日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1、4、5の記載は明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


(3)むすび
したがって、平成26年7月14日付でした手続補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、請求項1、2-5、20-22、26、31、33の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、請求項1、4、5の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-07 
結審通知日 2015-10-08 
審決日 2015-12-03 
出願番号 特願2009-512163(P2009-512163)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (H02K)
P 1 8・ 537- WZ (H02K)
P 1 8・ 561- WZ (H02K)
P 1 8・ 572- WZ (H02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松本 泰典  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 藤井 昇
槙原 進
発明の名称 低損失材料を使用する高効率高速電気装置  
代理人 竹内 茂雄  
代理人 小林 泰  
代理人 山本 修  
代理人 佐久間 滋  
代理人 小野 新次郎  

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