• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02M
管理番号 1313467
審判番号 不服2015-6047  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-01 
確定日 2016-04-12 
事件の表示 特願2013-528569「燃料噴射弁」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月22日国際公開、WO2012/034758、平成25年 9月30日国内公表、特表2013-537278〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年7月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年9月16日、ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成25年3月18日に特許法第184条の5第1項に規定する国内書面及び特許法第184条の4第1項に規定する明細書、請求の範囲及び要約書の翻訳文(以下、「翻訳文」という。)が提出され、平成26年2月27日付けで拒絶理由が通知され、同年6月3日に意見書が提出されたが、同年11月20日付けで拒絶査定がされ、平成27年4月1日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし10に係る発明は、翻訳文の明細書及び特許請求の範囲並びに国際出願時の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
弁長手方向軸線(10)と、
励起可能なアクチュエータであって、弁座体(15)に設けられた弁座面(16)と共働する弁閉鎖体(19)を作動させるために、電磁コイル(1)と内極(2)と外側の磁気回路形成部材(5)と可動のアーマチュア(17)とを備える電磁回路として形成されている、励起可能なアクチュエータと、
少なくとも前記電磁回路の領域において延在する薄壁の弁スリーブ(6)と、
を備える、内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁であって、
前記弁スリーブ(6)の壁厚さtは、少なくとも作業空隙の領域において、つまり下側のコア領域及び上側のアーマチュア領域において、0.2<t<0.6mmであり、
前記外側の磁気回路形成部材(5)の外径は、前記電磁コイル(1)の周囲領域において、10.5<D_(M)<13.5mmであり、
前記アーマチュア(17)の外径D_(A)は、4.0mm<D_(A)<5.9mmであり、
かつ前記作業空隙の領域において前記弁スリーブ(6)に、B<0.01Tの磁束密度を有する区域が、磁気分離部として設けられているか、又は0.01T<B<0.15Tの磁束密度を有する区域が、磁気絞りとして設けられていることを特徴とする、内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁。」

第3 引用文献の記載等
1 引用文献1の記載等
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物である特表2006-526106号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「燃料噴射弁」に関して、図面とともにおおむね次の記載(以下、「記載1a」という。)がある。

1a 「【0010】
図1は、本発明による燃料噴射弁の1実施例を示す縦断面図である。
【0011】
実施例の記載
次に図1を参照しながら本発明の1実施例を説明する。
【0012】
図1に縦断面図で1実施例が示されている本発明による燃料噴射弁1は、特に、内燃機関の吸気管(図示せず)に燃料を噴射するために適している。
【0013】
燃料噴射弁1はマグネットコイル2を有しており、このマグネットコイル2はコイル保持体3に巻かれている。コイル保持体3はポット形の弁ハウジング4内にカプセル化されて収容されている。
【0014】
コイル保持体3は弁スリーブ5によって貫通されていて、この弁スリーブ5は管状に形成されていて、本発明によればその材料厚が変化している。本発明による構成については、後でさらに詳しく述べる。
【0015】
弁スリーブ5内に射出成形又は溶接された支持管6は、マグネットコイル2の内極として働くことができる。マグネットコイル2の外極としては、例えば弁ハウジング4が働く。支持管6の流出側には可動子7が配置されており、この可動子7は弁ニードル8と一体的に形成されている。弁ニードル8には貫流開口9が設けられており、この貫流開口9は、燃料噴射弁1を貫流する燃料をシール座に向かって導く。
【0016】
弁ニードル8は有利には溶接によって、図示の実施例では球形の弁閉鎖体10と作用結合しており、この弁閉鎖体10は弁座体11と共にシール座を形成している。シール座の下流側においては噴射孔円板12に、少なくとも1つの噴射開口13が形成されており、この噴射開口13から燃料は、図示されていない吸気管に噴射される。
【0017】
可動子7は燃料噴射弁1の休止状態において戻しばね14によって負荷されて、燃料噴射弁1が弁座体11に対する弁閉鎖体10の圧着によって閉鎖状態に保たれるようになっている。戻しばね14は可動子7もしくは支持管6の切欠き15に配置されていて、調節スリーブ16によって予負荷されている。調節スリーブ16の流入側にはポット形のフィルタエレメント17が、弁スリーブ5に有利には押し込まれている。中央の燃料供給部18を介して供給される燃料は、供給管24と切欠き15と貫流開口9とを通って燃料噴射弁1を貫流して、シール座に、ひいては噴射開口13に導かれる。
【0018】
燃料分配導管に取り付けるために、燃料噴射弁1は中央の燃料供給部18の領域にシール部材19を備えている。別のシール部材20は、燃料噴射弁1と吸気管との間における結合部(図示せず)をシールする。マグネットコイル2は導電体を介して、電気的な差込み接点21を介して供給可能な電流によって励起される。差込み接点21はプラスチック外装22によって取り囲まれており、このプラスチック外装22は弁スリーブ5もしくは供給管24に射出成形されていることができる。
【0019】
マグネットコイル2に図示されていない導電体を介して電流が供給されると、磁界が形成され、この磁界は十分な強さになると、可動子7を戻しばね14の力に抗して燃料の流れ方向とは逆向きにマグネットコイル2の中に引き込む。これによって、可動子7と支持管6との間に形成されていた作業間隙23が閉鎖される。可動子7の運動によって、可動子7に一体的に形成された弁ニードル8もまた上昇方向に連行され、その結果弁閉鎖体10は弁座体11から持ち上がり、燃料が噴射開口13に向かって導かれる。
【0020】
燃料噴射弁1は、マグネットコイル2を励起する電流が遮断されて、戻しばね14が可動子7を支持管6から押し離すほどに磁界が消滅され、そしてこれによって弁ニードル8が流出方向に移動して、弁閉鎖体10が弁座体11に載着するや否や、閉鎖される。
【0021】
燃料噴射弁は運転中に撓み振動(Biegeschwingung)に基づいて、不都合な騒音を発生させる傾向がある。これは弁スリーブ5の形状に起因するものであり、つまり弁スリーブ5は一方では支持機能を有しているが、しかしながら他方では、作業空隙の領域において磁界の満足な形成を可能にするために、材料厚さに関して十分に薄くなくてはならない。
【0022】
既に上において述べたように、弁スリーブ5は管状に形成されていて、本発明によれば騒音発生をせき止めるために、その壁厚を変化させている。この場合、供給管24が挿入されている供給側の領域25は、流出側の領域26よりも厚く形成されている。流入側の領域において弁スリーブ5の壁厚は約0.5mmであり、これに対して流出側の領域は約0.3mmの壁厚を有している。
【0023】
さらに弁スリーブ5の横断面もまた可変である。材料の厚い領域25において横断面は大きく、これによって弁スリーブ5の高い安定性が得られ、これに対して材料の薄い領域26における横断面は小さい。
【0024】
弁スリーブ5はカラー27のところで細くになっており、このカラー27は材料の厚い領域と材料の薄い領域とを分け、かつ互いに横断面の異なった領域を分けている。
【0025】
弁スリーブ5の流入側の領域25の大きな壁厚によって、弁スリーブ5は供給管24とも一体的に形成されていることができ、このことは、コンパクト性と構造長さとに関して燃料噴射弁1の有利な構成を意味している。」(段落【0010】ないし【0025】)

(2)引用文献1の記載事項
記載1a及び図面の記載から、引用文献1には、次の事項(以下、順に「記載事項1b」ないし「記載事項1f」という。)が記載されていると認める。

1b 記載1aの「【0012】
図1に縦断面図で1実施例が示されている本発明による燃料噴射弁1は、特に、内燃機関の吸気管(図示せず)に燃料を噴射するために適している。」(段落【0012】)を踏まえると、図1から、燃料噴射弁1の長手方向に伸びる一点鎖線が看取され、該一点鎖線は燃料噴射弁1の中心線を示していることが分かる。

1c 記載1aの「【0013】
燃料噴射弁1はマグネットコイル2を有しており、このマグネットコイル2はコイル保持体3に巻かれている。コイル保持体3はポット形の弁ハウジング4内にカプセル化されて収容されている。」(段落【0013】)、「【0015】
弁スリーブ5内に射出成形又は溶接された支持管6は、マグネットコイル2の内極として働くことができる。マグネットコイル2の外極としては、例えば弁ハウジング4が働く。支持管6の流出側には可動子7が配置されており、この可動子7は弁ニードル8と一体的に形成されている。弁ニードル8には貫流開口9が設けられており、この貫流開口9は、燃料噴射弁1を貫流する燃料をシール座に向かって導く。
【0016】
弁ニードル8は有利には溶接によって、図示の実施例では球形の弁閉鎖体10と作用結合しており、この弁閉鎖体10は弁座体11と共にシール座を形成している。シール座の下流側においては噴射孔円板12に、少なくとも1つの噴射開口13が形成されており、この噴射開口13から燃料は、図示されていない吸気管に噴射される。」(段落【0015】及び【0016】)及び「【0019】
マグネットコイル2に図示されていない導電体を介して電流が供給されると、磁界が形成され、この磁界は十分な強さになると、可動子7を戻しばね14の力に抗して燃料の流れ方向とは逆向きにマグネットコイル2の中に引き込む。これによって、可動子7と支持管6との間に形成されていた作業間隙23が閉鎖される。可動子7の運動によって、可動子7に一体的に形成された弁ニードル8もまた上昇方向に連行され、その結果弁閉鎖体10は弁座体11から持ち上がり、燃料が噴射開口13に向かって導かれる。
【0020】
燃料噴射弁1は、マグネットコイル2を励起する電流が遮断されて、戻しばね14が可動子7を支持管6から押し離すほどに磁界が消滅され、そしてこれによって弁ニードル8が流出方向に移動して、弁閉鎖体10が弁座体11に載着するや否や、閉鎖される。」(段落【0019】及び【0020】)並びに図面を記載事項1bとあわせてみると、引用文献1には、励起可能なアクチュエータであって、弁座体11に設けられたシール座を形成する面と共働する弁閉鎖体10を弁座体11から持ち上げるために、マグネットコイル2とマグネットコイル2の内極として働く支持管6とマグネットコイル2の外極として働く弁ハウジング4と可動子7とを備える電磁回路として形成されている、励起可能なアクチュエータが記載されている。

1d 記載1aの「【0014】
コイル保持体3は弁スリーブ5によって貫通されていて、この弁スリーブ5は管状に形成されていて、本発明によればその材料厚が変化している。本発明による構成については、後でさらに詳しく述べる。
【0015】
弁スリーブ5内に射出成形又は溶接された支持管6は、マグネットコイル2の内極として働くことができる。マグネットコイル2の外極としては、例えば弁ハウジング4が働く。支持管6の流出側には可動子7が配置されており、この可動子7は弁ニードル8と一体的に形成されている。弁ニードル8には貫流開口9が設けられており、この貫流開口9は、燃料噴射弁1を貫流する燃料をシール座に向かって導く。」(段落【0014】及び【0015】)及び「【0022】
既に上において述べたように、弁スリーブ5は管状に形成されていて、本発明によれば騒音発生をせき止めるために、その壁厚を変化させている。この場合、供給管24が挿入されている供給側の領域25は、流出側の領域26よりも厚く形成されている。流入側の領域において弁スリーブ5の壁厚は約0.5mmであり、これに対して流出側の領域は約0.3mmの壁厚を有している。」(段落【0022】)並びに図面を記載事項1b及び1cとあわせてみると、引用文献1には、少なくとも電磁回路の領域において延在する供給側の領域で約0.5mm、流出側の領域で約0.3mmに変化する壁厚の弁スリーブ5が記載されている。

1e 記載1aの「【0012】
図1に縦断面図で1実施例が示されている本発明による燃料噴射弁1は、特に、内燃機関の吸気管(図示せず)に燃料を噴射するために適している。」(段落【0012】)及び図面を記載事項1bないし1dとあわせてみると、引用文献1には、内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁1が記載されている。

1f 記載1aの「【0019】
マグネットコイル2に図示されていない導電体を介して電流が供給されると、磁界が形成され、この磁界は十分な強さになると、可動子7を戻しばね14の力に抗して燃料の流れ方向とは逆向きにマグネットコイル2の中に引き込む。これによって、可動子7と支持管6との間に形成されていた作業間隙23が閉鎖される。可動子7の運動によって、可動子7に一体的に形成された弁ニードル8もまた上昇方向に連行され、その結果弁閉鎖体10は弁座体11から持ち上がり、燃料が噴射開口13に向かって導かれる。」(段落【0019】)及び「【0022】
既に上において述べたように、弁スリーブ5は管状に形成されていて、本発明によれば騒音発生をせき止めるために、その壁厚を変化させている。この場合、供給管24が挿入されている供給側の領域25は、流出側の領域26よりも厚く形成されている。流入側の領域において弁スリーブ5の壁厚は約0.5mmであり、これに対して流出側の領域は約0.3mmの壁厚を有している。」(段落【0022】)並びに図面を記載事項1bないし1eとあわせてみると、引用文献1には、弁スリーブ5の壁厚は、少なくとも作業間隙23の領域において、つまり下側の支持管6の領域及び上側の可動子7の領域において、約0.3mmから約0.5mmの間の壁厚であることが記載されている。

(3)引用発明
記載1a、記載事項1bないし1f及び図面を整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「燃料噴射弁1の長手方向に伸びる中心線と、
励起可能なアクチュエータであって、弁座体11に設けられたシール座を形成する面と共働する弁閉鎖体10を弁座体11から持ち上げるために、マグネットコイル2とマグネットコイル2の内極として働く支持管6とマグネットコイル2の外極として働く弁ハウジング4と可動子7とを備える電磁回路として形成されている、励起可能なアクチュエータと、
少なくとも前記電磁回路の領域において延在する供給側の領域で約0.5mm、流出側の領域で約0.3mmに変化する壁厚の弁スリーブ5と、
を備える内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁1であって、
前記弁スリーブ5の壁厚は、少なくとも作業間隙23の領域において、つまり下側の支持管6の領域及び上側の可動子7の領域において、約0.3mmから約0.5mmの間の壁厚である内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁1。」」

2 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物である特表2002-531751号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「燃料噴射弁」に関して、図面とともにおおむね次の記載(なお、下線は当審で付したものである。他の文献についても同様。以下、「引用文献2の記載」という。)がある。

・「【0011】
混合気圧縮・外部点火式の内燃機関の燃料噴射装置用の噴射弁としての第1図で部分的に図示された本発明による燃料噴射弁は、磁気コイル1によって取り囲まれた、内部ポールとしてかつ部分的に燃料流過部として用いられるほぼ管状のコア2を有している。ディスク状の上側のカバー部材3と協働してコア2は、磁気コイル1の領域で噴射弁の特にコンパクトな構造を可能にする。磁気コイル1は、外部ポールとしての外側の強磁性の弁ケーシング5によって取り囲まれていて、該弁ケーシングは、磁気コイル1を周方向で完全に取り囲みかつ上端で不動にカバー部材3に、例えば溶接シーム6によって結合されている。磁気回路を閉鎖するために弁ケーシング5の下端は段状に形成され、これにより案内区分8が形成されている。該案内区分は、カバー部材3に類似して磁気コイル1を軸方向で取り囲みかつ下向きにもしくは下流側方向で磁気コイル領域の制限部を成している。
【0012】
弁ケーシング5の案内区分8、磁気コイル1及びカバー部材3は、弁縦軸線10に対して同心的に延びる内側の開口11もしくは58を形成し、該開口内には、縦長のスリーブ12が延びている。フェライトのスリーブ12の内側の縦孔9は部分的に、弁縦軸線10に沿って軸方向に可動な弁ニードル13用の案内孔として用いられる。スリーブ12は、下流側方向にみて例えば弁ケーシング5の案内区分8の領域に達していて、該案内区分8にスリーブ12は例えば溶接シーム54によって不動に結合されている。
【0013】
弁ニードル13は、第1図で図示の実施例の場合には、マグネット可動子として機能する管状の閉鎖体支持部材17と、ほぼ球形状の弁閉鎖体18とによって形成されている。第6図で図示のように、弁ニードル13は可動子17’、閉鎖体支持部材17及び弁閉鎖体18の3部分からも形成できる。軸方向に可動な弁ニードル13以外に、定置のコア2もスリーブ12の縦孔9内に配置されている。閉鎖体支持部材17のガイド機能もしくはコア2の受容機能以外にスリーブ12はシール機能をも満たすので、噴射弁において乾式の磁気コイル1が得られる。このことは、ディスク状のカバー部材3が磁気コイル1の上面側を完全に覆うことによっても、得られる。カバー部材3内の内側の開口58によって、スリーブ12ひいてはコア2を延長して構成でき、従って、両構成部材は開口58を貫通してカバー部材3から突出する。
【0014】
弁ケーシング5の下側の案内区分8に続いて、弁座として不動の弁座面15を有する弁座体14が設けられている。弁座体14は、例えばレーザによって生ぜしめられる第2の溶接シーム16によって不動に弁ケーシング5に結合されている。弁座体14の下流側の端面には、例えば凹部19内で平らな噴射孔付きディスク20が配置されていて、この場合、弁座体14と噴射孔付きディスク20との不動の結合は、例えば周方向の密な溶接シーム21によって実現される。管状の閉鎖体支持部材17は噴射孔付きディスク20に面した下流側の端部で、球形状の弁閉鎖体18に例えば溶接によって不動に結合されている。閉鎖体支持部材17は内側の縦孔23を有していて、該縦孔を介して燃料が貫流して下流側で流出し、前記縦孔は、軸方向の延び構成要素を有する少なくとも1つの平面加工部の領域で直接弁閉鎖体18に沿って弁座面15にまで流れる。
【0015】
噴射弁の操作は公知の形式で電磁式に行われる。いずれにせよ、弁ニードルを操作するために圧電式のアクチュエータが使用可能でなければならない。弁ニードル13の軸方向運動のためにひいては戻しばね25のばね力に抗した開放のためにもしくは噴射弁の閉鎖のために、磁気コイル1と、内側のコア2と、外側の弁ケーシング5と、可動子17とを有する電磁回路が用いられる。可動子として機能する閉鎖体支持部材17は、弁閉鎖体18とは反対側の端部でコア2に整列されている。
【0016】
球形状の弁閉鎖体18は、流れ方向に円錐台状に先細に形成された弁座体14の弁座面15と協働し、該弁座面は軸方向でみて案内開口26の下流側で弁座体14内に形成されている。噴射孔付きディスク20は、浸食又はスタンピングによって成形された少なくとも1つの、例えば4つの噴射開口27を有している。
【0017】
弁縦軸線10に対して同心的に延びる、弁座面15の方向で燃料を供給するのに用いられるコア2の流れ孔28内には、戻しばね25以外に調節スリーブ29が押し込まれている。調節スリーブ29は、調節スリーブに接触する戻しばね25のばねプレロードを調節するために用いられ、該戻しばねは反対側で、閉鎖体支持部材17に不動に結合されたインサート部材31に支持されていて、この場合、動的な噴射量の調節は調節スリーブ29によって行われる。
【0018】
このような噴射弁は特にコンパクトな構造によって特徴付けられているので、極めて小さな手頃の噴射弁が得られ、該噴射弁の弁ケーシング5は、例えばほぼ11mmに過ぎない外径を有している。これまで記載の構成部材は、機能部材30とも呼ばれる予め組み立てられた独自の構造グループを成している。調節及び組み立て済みの機能部材30は、例えば、2つのコンタクトピン33が突出する上側の端面32を有している。電気的な連結エレメントとして用いられる電気的なコンタクトピン33を介して、磁気コイル1の電気的な接触接続ひいては磁気コイルの励磁が行われる。」(段落【0011】ないし【0018】)

3 引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物である特開2005-233048号公報(以下、「引用文献3」という。)には、「流体噴射弁」に関して、図面とともにおおむね次の記載(以下、「引用文献3の記載」という。)がある。

・「【0018】
図2に示すように、燃料噴射弁(以下、インジェクタと呼ぶ)1は、内燃機関(エンジン)、特にガソリンエンジンに用いられる。インジェクタ1は、エンジンの吸気管等に取り付けられて、図示しない燃料ポンプにより加圧された燃料を供給される。インジェクタ1から噴射された燃料は、吸入空気とともに、エンジンの燃焼室へ供給される。インジェクタ1は、略円筒形状であり、一端から燃料を受け、他端から燃料を噴射する。インジェクタ1は、燃料噴射を断続する弁部26、29と、弁部26、29を駆動する電磁駆動部31、14、25、24と、燃料を微粒化し、噴霧を形成する噴孔プレート28とを含んで構成されている。インジェクタ1の燃料入口には、フィルタ11が取り付けられており、異物が除去される。なお、噴孔プレート28は、燃料を微粒化し、噴霧を形成する噴霧形成手段を構成する。
【0019】
弁部26、29は、図1および図2に示すように、バルブボディ29と、弁部材(以下、ニードルと呼ぶ)26とを有する。バルブボディ29は、金属内筒部材14の下端側の内壁に固定されている。なお、バルブボディ29と金属内筒部材14の固定方法としては、例えばレーザ溶接等によって外側から全周に溶接される。具体的には、バルブボディは、金属内筒部材14の磁性筒部材14cに圧入、または挿入可能されている。バルブボディ29と磁性筒部材14cとは、外側から全周にわたって溶接されている。バルブボディ29の内周側には、ニードル26が当接および離間可能な弁座としての円錐斜面29aが形成されている。バルブボディ29の内側には、エンジンへ燃料噴射する燃料の燃料通路が形成されており、燃料流れの下流側から上流に向かって、円錐斜面29a、大径壁面29b、円錐斜面29c、円錐ニードル26を摺動可能に支承する小径壁面29d、円錐斜面29eが順に形成されている。弁座29aは、燃料の流れに沿って縮径する。弁座29aは、ニードル26の当接部26cと協働して、弁部としての開弁、閉弁を実行する。また、大径壁面29bは、燃料溜り孔、つまりニードル26と共に囲まれる燃料溜り室29fを形成しており、小径壁面29dは、ニードル26を摺動可能に支承するニードル支持孔を形成している。この小径壁面29dにより形成されるニードル支持孔は、大径壁面29bにより形成される燃料溜り孔より小径である。円錐斜面29eは燃料上流に向かって拡径している。
【0020】
ニードル26は、ステンレスからなる略有底筒状体に形成されており、バルブボディ29(詳しくは小径壁面29d)に摺動可能に支承される大径円筒部26eと、大径円筒部26aの燃料下流側に向かって形成される小径円柱部26dとを含んで構成されている。小径円柱部26dの先端には、弁座29aに当接および離間可能な当接部26cが形成されている。当接部26cの径は、弁としてのシート径を規定する。この実施例では、シート径は小径壁面29dより小さい。大径円筒部26eには、内部通路26fと燃料溜り室29fとを連通するように、少なくとも1つの出口孔26bが設けられている。
【0021】
噴孔プレート28は、図1、および図2に示すように、バルブボディ29の先端に配置され、複数の噴孔28aから燃料を噴射し、燃料噴霧を微粒化する。噴孔プレート28は薄い金属板である。噴孔28aは、要求される燃料の噴霧の形状、方向、数などに応じて、その大きさ、噴孔軸線の方向、噴孔配列等が決定される。また、噴孔28aの開口面積は、開弁時の流量を規定する。したがって、インジェクタ1の燃料噴射量は、噴孔の開口面積と、開弁期間とによって計量される。
【0022】
なお、噴射プレート28の下流側には、インジェクタ1の先端部(詳しくは、噴射プレート28、バルブボディ29など)を保護するプロテクタ50が配置されている。プロテクタ50には、噴孔プレート28のうち、噴孔28aが配置される領域を少なくとも開口する開口部50aが設けられている。なお、プロテクタ50は、バルブボディ29に取り付けられ、バルブボディ29の側面と嵌合している。
【0023】
電磁駆動部31、14、25、24は、図1および図2に示すように、コイル31、金属円筒部材14、アーマチャ25、およびスプリング(以下、圧縮スプリングと呼ぶ)24とを含んで構成されている。インジェクタ1は、電磁駆動部に通電されると開弁し、電磁駆動部への通電が遮断されると閉弁する。コイル31は、樹脂製のボビン(以下、スプールと呼ぶ)30の外周に巻回されている。コイル31の端部はターミナル12が電気的に接続しており、2つのターミナルとして引き出されている。スプール30は、金属円筒部材14の外周に装着されている。金属円筒部材14の外周には、樹脂モールド13が配置され、ターミナル12を収容するコネクタ部16が設けられている。なお、コイル31とスプール30は、通電により電磁力を発生する駆動コイルを構成する。駆動コイル31、30は、通電により発生する電磁力によって、後述の磁気回路に磁束を流す。金属内筒部材14は、磁性部と非磁性部からなるパイプ材であり、例えば複合磁性材で形成されている。金属円筒部材14は、燃料の流れの上流から下流に向かって、磁性筒部14a、非磁性筒部14b、磁性筒部14cを有している。非磁性筒部14bは、金属円筒部材14の一部を加熱して非磁性化することにより形成されている。なお、磁性筒部14a、非磁性筒部14b、および磁性筒部14cを溶接等により接合することにより金属内筒部材14として形成されてもよい。金属円筒部材14の内周には、アーマチャ収容孔14eが設けられており、非磁性筒部14bと磁性筒部14cとの境界付近に、アーマチャ25が収容されている。金属円筒部材14は、コイル31に通電したときに起きる磁束が流れる磁気回路を形成する。金属円筒部材14の外側には、磁性部材23、樹脂モールド15、および磁性部材18が設けられている。磁性部材23はコイル31の外周を覆っている。磁性部材18はC字状の板である。磁性部材18、23は、金属内筒部材14の外周に当接しており、金属内筒部材14とともに、磁気回路の一部を構成している。樹脂モールド15は、磁性筒部14aと磁性部材18、23の外周に形成され、磁性部材18および金属内筒部材14の外周を覆っている。なお、樹脂モールド13と樹脂モールド15は結合している。
【0024】
アーマチャ25は、磁性ステンレス等の強磁性材料からなる筒状体である。アーマチャ25はニードル26に固定されている。アーマチャ25の内部空間25eは、ニードル26の内部通路26fと連通しており、出口孔26bを介してアーマチャ収容孔14eと大径壁面29bとでそれぞれ形成される燃料通路とお互いに連通している。吸引部材22は、磁性ステンレス等の強磁性材料からなる円筒体である。吸引部材22は、金属内筒部材14の内周に圧入等により固定されている。
【0025】
圧縮スプリング24は、アーマチャ25を閉弁方向に付勢しており、詳しくはアーマチャ25をバルブボディ29の弁座29aに向けて付勢する。圧縮スプリング24は、吸引部22の内周に配置されたアジャスティングパイプ21の端面と、アーマチャ25の内周25b側に形成された座面(以下、スプリング座面)25cとの間に配置されている。また、圧縮スプリング24は、一端側がアーマチャ25の内周25b側に形成された内孔に収容され、他端側が吸引部材22の内周側に収容されている。圧縮スプリング24の両端面は研磨等により平坦に形成されている。なお、駆動コイル31、30に通電時には、ニードル26およびアーマチャ25が駆動コイル31、30による電磁力によって吸引されてリフトし、吸引部材22の下端部とアーマチャ25の上端部とが当接する。このとき、圧縮スプリング24が最大たわみ状態となり、圧縮スプリング24のスプリング力は最大(以下、使用時最大荷重と呼ぶ)となる。通電停止時には、圧縮スプリング24は初期たわみ状態となり、スプリング力は初期たわみ荷重(以下、セット荷重)を有する。
【0026】
ここで、本実施形態では、圧縮スプリング24の素線の断面形状は、図3(a)および図3(b)に示すように、楕円に形成されている。さらに、楕円断面の短径bが圧縮スプリング24が伸縮する軸方向に、長径aが径方向に配置されている。これにより、断面積が等しい従来のほぼ真円のものに比べて、短径b化分だけ、素線間の隙間に余裕が生じる。なお、圧縮スプリング24の素線は引抜き加工等により成形されるため、従来の素線の断面形状は設計上は真円(円形)であっても、実際に製造されるものはほぼ真円であり、短径bおよび長径aを有する楕円とは異なる形状である。したがって、圧縮スプリング24のセット荷重、および使用時最大荷重を増やすことが容易となる。さらに、同じばね定数を確保する場合には有効巻き数をほぼ同じにすればよいので、素線間隙間の余裕分を利用して、スプリング全長Lを短縮することが可能である。これにより、圧縮スプリング24をたわました時の曲がりを小さくすることができる。なお、たわんだ状態で生じる圧縮スプリング24の曲がりを小さくなるものは、圧縮スプリング24の全長つまり自由長L時の傾きも小さくなる。したがって、圧縮スプリング24の傾きまたは曲がりに起因するアーマチャ25の内周25側の内孔との干渉防止ができるので、安定したスプリング力を得ることができる。
【0027】
なお、本実施例では、図3(b)および図4に示すように、圧縮スプリング24の全長(自由長)Lは、L=13mm、外径dはd=2.8mmである。また、圧縮スプリング24を収容するアーマチャ25の内周側の内孔の内径D2はD2=3.1mm、アーマチャ25の外径D1はD1=5.6mmである。また、本実施形態の楕円断面を、断面積が同じ従来の円形の直径で表すと、素線直径は0.3?0.5mm程度の比較的細いものである。圧縮スプリング24の全長(自由長)Lは、本実施例では、従来の素線断面のもの(L=15mm)より2mm短くなった。」(段落【0018】ないし【0027】)

4 引用文献4の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物である特開2009-108805号公報(以下、「引用文献4」という。)には、「燃料噴射弁」に関して、図面とともにおおむね次の記載(以下、「引用文献4の記載」という。)がある。

・「【0014】
(実施例1)
本発明の実施例に係る燃料噴射弁につき、図1?図4を用いて説明する。
本例の燃料噴射弁1は、図1に示すごとく、磁性材料からなる円筒状のパイプ2と、パイプ2の外周側に配設された電磁コイル3と、パイプ2の内周側に配設された磁性材料からなる固定コア4と、パイプ2の内周側に配設され、電磁コイル3の作動によって固定コア4との間に発生する磁気吸引力により吸引されて固定コア4に当接可能な磁性材料からなる可動コア5と、該可動コア5と共に移動して燃料噴射孔171を開閉するニードル弁6とを有する。そして、図3、図4に示すごとく、上記パイプ2は、固定コア4と可動コア5との当接部14の外周側において、厚みを周囲よりも薄くした薄肉部21を有しており、該薄肉部21は、上記パイプ2の周方向において連なることなく点在して複数設けられている。
以下、これを詳説する。
【0015】
燃料噴射弁1は、図1に示すごとく、種々の形式のガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンに適用することができる。
燃料噴射弁1は、磁性材料よりなる上記パイプ2の内周側に、別部品よりなる固定コア4を有している。固定コア4は、磁性材料よりなると共に略円筒形状を呈しており、パイプ2の内周側に圧入されることにより固定されている。さらに、固定コア4の内周側には、該固定コア4内に装入されたスプリング91の後端を支持すためのアジャスティングパイプ45が配設されている。
【0016】
また、パイプ2の内周側には、上記固定コア4の先端面に対して後端面が対面するように配置された可動コア5が内蔵されている。可動コア5は、磁性材料よりなると共に、ニードル弁6の後端部に係合し、これを引き動かすように構成されている。また、可動コア5には、上記固定コア4の内周側に配設された上記スプリング91の先端が当接しており、当該スプリング91の付勢力により、ニードル弁6が前進して弁ボディ16の弁座161に当接する方向、つまり先端側に向かう方向に付勢されている。
【0017】
ニードル弁6は、弁先端部61よりも後方側が内部が中空の円筒形状を呈しており、燃料流通路を兼ねている。そして、ニードル弁6の側面には、複数の燃料流通穴65が設けられている。
パイプ2の先端には、弁座161を有する弁ボディ16が固定されており、さらに、弁ボディ16の先端には、噴孔171を設けた噴孔プレート17が接合されている。また、弁ボディ16には、その周囲を覆うスリーブ部18が接続されている。
【0018】
パイプ2の後端には、燃料に含まれている異物を捕集するためのフィルタ部材15が配設されている。そして、燃料流路は、このフィルタ部材15からパイプ2内部、固定コア4の内部、可動コア5の内部及び外部、ニードル弁6の内部及び外部に順次通じ、さらにニードル弁6の燃料流通穴65からはニードル弁6の周囲に通ずるように構成されている。そして、ニードル弁6の弁先端部61と弁ボディ16の弁座161の当接状態によって、燃料の噴射を制御することができるようになっている。
【0019】
パイプ2の周囲には、スプール30が装着され、これに電磁コイル3が巻回されている。また、パイプ2の周囲の上記スプール30よりも先端側には、ホルダ部19が配設されており、このホルダ部19よりも後端側を覆うように樹脂モールド部11が形成されている。この樹脂モールド部11には、電磁コイル3への通電を行うためのターミナル部12が形成されている。
【0020】
そして、図2?図4に示すごとく、本例において注目すべきことは、上述したごとく、上記パイプ2が、固定コア4と可動コア5との当接部14の外周側において、厚みを周囲よりも薄くした薄肉部21を有し、かつ、この薄肉部21がパイプ2の周方向において連なることなく点在して複数設けられている点である。
【0021】
薄肉部21は、図3、図4に示すごとく、固定コア4と可動コア5との当接部14の外周上において、等間隔で8個設けられており、すべて略同一の形状を有している。各薄肉部21同士の間は、周囲と同じ厚みのまま厚肉部22となっており、リブの役割を果たすように構成されている。各薄肉部21の厚みは0.15mmに設定してあり、その隣の厚肉部22の厚みは0.7mmに設定してある。また、周方向における薄肉部21が占める割合は、周方向全長に対して74%となるように設定してある。この割合は、図4における1つの薄肉部21が周方向に占める領域の、パイプ2における中心に関する内角α°で示した場合、(個数(8)×α°)/360°×100(%)として表すことが可能である。このような薄肉部21がいわゆる磁気絞り部を構成している。
【0022】
以上のような構成の本例の燃料噴射弁1においては、磁気絞り部となる上記薄肉部21を周方向全周に設けるのではなく、積極的に、周方向において連ならないように点在させて複数に分割して設けてある。そのため、周方向における薄肉部21同士の間の厚肉部22が、リブのような役割を果たす。それ故、従来のように、周方向全周に薄肉部21を設ける場合よりもパイプ2の強度を格段に向上させることができる。これにより、組み付け時の変形やその後の外部応力による変形を抑制することができる。
さらに、本例の燃料噴射弁1は、パイプ2の内部に流通させる燃料の圧力に対して十分な耐久性を発揮する。また、例えば固定コア4をパイプ2に圧入する時の外力に充分に耐えることができる。
また、上記点在した複数の薄肉部21が、磁気絞り部の役割を果たすので、薄肉部を全く設けない場合よりも固定コア4と可動コア5との間の磁気吸引力を高めることができる。」(段落【0014】ないし【0022】)

第4 対比
本願発明と引用発明を対比する。

引用発明における「燃料噴射弁1の長手方向に伸びる中心線」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「弁長手方向軸線(10)」に相当し、以下、同様に、「弁座体11」は「弁座体(15)」に、「シール座を形成する面」は「弁座面(16)」に、「弁閉鎖体10」は「弁閉鎖体(19)」に、「弁座体11から持ち上げる」は「作動させる」に、「マグネットコイル2」は「電磁コイル(1)」に、「マグネットコイル2の内極として働く支持管6」は「内極(2)」に、「マグネットコイル2の外極として働く弁ハウジング4」は「外側の磁気回路形成部材(5)」に、「可動子7」は「可動のアーマチュア(17)」に、「供給側の領域で約0.5mm、流出側の領域で約0.3mmに変化する壁厚」は「薄壁」に、「弁スリーブ5」は「弁スリーブ(6)」に、「燃料噴射弁1」は「燃料噴射弁」に、「前記弁スリーブ5の壁厚」は「前記弁スリーブ(6)の壁厚さt」に、「作業間隙23」は「作業空隙」に、「下側の支持管6の領域」は「下側のコア領域」に、「上側の可動子7の領域」は「上側のアーマチュア領域」に、「約0.3mmから約0.5mmの間の壁厚」は「0.2<t<0.6mm」に、それぞれ、相当する。

したがって、両者は、以下の点で一致する。

「弁長手方向軸線と、
励起可能なアクチュエータであって、弁座体に設けられた弁座面と共働する弁閉鎖体を作動させるために、電磁コイルと内極と外側の磁気回路形成部材と可動のアーマチュアとを備える電磁回路として形成されている、励起可能なアクチュエータと、
少なくとも前記電磁回路の領域において延在する薄壁の弁スリーブと、
を備える、内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁であって、
前記弁スリーブの壁厚さtは、少なくとも作業空隙の領域において、つまり下側のコア領域及び上側のアーマチュア領域において、0.2<t<0.6mmである、内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁。」

そして、以下の点で相違する。

<相違点1>
本願発明においては、「前記外側の磁気回路形成部材(5)の外径は、前記電磁コイル(1)の周囲領域において、10.5<D_(M)<13.5mm」であるのに対し、引用発明においては、本願発明における「外側の磁気回路形成部材(5)」に相当する「マグネットコイル2の外極として働く弁ハウジング4」の外径が本願発明のようなものであるか不明な点(以下、「相違点1」という。)。

<相違点2>
本願発明においては、「前記アーマチュア(17)の外径D_(A)は、4.0mm<D_(A)<5.9mm」であるのに対し、引用発明においては、本願発明における「アーマチュア(17)」に相当する「可動子7」の外径が本願発明のようなものであるか不明な点(以下、「相違点2」という。)。

<相違点3>
本願発明においては、「前記作業空隙の領域において前記弁スリーブ(6)に、B<0.01Tの磁束密度を有する区域が、磁気分離部として設けられているか、又は0.01T<B<0.15Tの磁束密度を有する区域が、磁気絞りとして設けられている」のに対して、引用発明においては、そのようなものか不明な点(以下、「相違点3」という。)。

第5 相違点に対する判断
そこで、相違点1ないし3について、以下に検討する。

1 相違点1について
引用文献2に記載された「弁縦軸線10」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「弁長手方向軸線(10)」に相当し、以下、同様に、「弁座体14」は「弁座体(15)」に、「弁座面15」は「弁座面(16)」に、「弁閉鎖体18」は「弁閉鎖体(19)」に、「磁気コイル1」は「電磁コイル(1)」に、「コア2」は「内極(2)」に、「弁ケーシング5」は「外側の磁気回路形成部材(5)」に、「可動子17」は「可動のアーマチュア(17)」に、「スリーブ12」は「弁スリーブ(6)」に、それぞれ、相当する。
したがって、引用文献2の記載及び図面を整理すると、引用文献2には、本願の特許請求の範囲の用語で表現して、次の技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されていると認める。

「弁長手方向軸線と、
励起可能なアクチュエータであって、弁座体に設けられた弁座面と共働する弁閉鎖体を作動させるために、電磁コイルと内極と外側の磁気回路形成部材と可動のアーマチュアとを備える電磁回路として形成されている、励起可能なアクチュエータと、
少なくとも前記電磁回路の領域において延在する弁スリーブと、
を備える、内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁において、
前記外側の磁気回路形成部材の外径を、電磁コイルの周囲領域においてほぼ11mmに過ぎない外径とすること。」

ところで、内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁を構成する部材の寸法をどうするかは、燃料噴射弁を構成する部材の材質、シリンダーの寸法や形状、燃料噴射弁の弁閉鎖体を付勢するばねの強さ、電磁コイルの巻数、燃料噴射量等に応じて当業者が適宜決めるべき設計的事項である。
また、翻訳文の明細書の記載からみて、本願発明における「外側の磁気回路形成部材(5)の外径」である「10.5<DM<13.5mm」の上限値「10.5」及び下限値「13.5mm」に特に臨界的な意義は認められない。
したがって、引用発明において、引用文献2記載の技術を適用し、「マグネットコイル2の外極として働く弁ハウジング4」の外径を「10.5」と「13.5mm」の間であるほぼ11mmに過ぎない外径とすることによって、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

2 相違点2について
引用文献3に記載された「燃料噴射弁1」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁」に相当し、本願発明における「弁長手方向軸線(10)」に相当する軸線を有することは明らかである。
また、引用文献3に記載された「バルブボディ29」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「弁座体(15)」に相当し、以下、同様に、「弁座29a」は「弁座面(16)」に、「ニードル26」は「弁閉鎖体(19)」に、「コイル31」は「電磁コイル(1)」に、「吸引部材22」は「内極(2)」に、「磁性部材23」は「外側の磁気回路形成部材」に、「アーマチャ25」は「可動のアーマチュア(17)」に、「金属内筒部材14」は「弁スリーブ(6)」に、それぞれ、相当する。
したがって、引用文献3の記載及び図面を整理すると、引用文献3には、本願の特許請求の範囲の用語で表現して、次の技術(以下、「引用文献3記載の技術」という。)が記載されていると認める。

「弁長手方向軸線と、
励起可能なアクチュエータであって、弁座体に設けられた弁座面と共働する弁閉鎖体を作動させるために、電磁コイルと内極と外側の磁気回路形成部材と可動のアーマチュアとを備える電磁回路として形成されている、励起可能なアクチュエータと、
少なくとも前記電磁回路の領域において延在する弁スリーブと、
を備える、内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁において、
前記アーマチュアの外径を、5.6mmとすること。」

そして、上記第5 1のとおり、内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁を構成する部材の寸法をどうするかは、当業者が適宜決めるべき設計的事項である。
また、翻訳文の明細書の記載からみて、本願発明における「アーマチュア(17)の外径D_(A)」である「4.0mm<D_(A)<5.9mm」の上限値「4.0mm」及び下限値「5.9mm」に特に臨界的な意義は認められない。
したがって、引用発明において、引用文献3記載の技術を適用し、「可動子7」の外径を「4.0mm」と「5.9mm」の間の値である5.6mm程度として、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

3 相違点3について
引用文献4に記載された「燃料噴射弁1」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁」に相当し、本願発明における「弁長手方向軸線(10)」に相当する軸線を有することは明らかである。
また、引用文献4に記載された「弁ボディ16」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「弁座体(15)」に相当し、以下、同様に、「弁座161」は「弁座面(16)」に、「ニードル弁6」は「弁閉鎖体(19)」に、「電磁コイル3」は「電磁コイル(1)」に、「固定コア4」は「内極(2)」に、「ホルダ部19」は「外側の磁気回路形成部材(5)」に、「可動コア5」は「可動なアーマチュア(17)」に、「パイプ2」は「弁スリーブ(6)」に、「磁気絞り部」は「磁気絞りとして設けられている」「区域」に、それぞれ、相当する。
したがって、引用文献4の記載及び図面を整理すると、引用文献4には、本願の特許請求の範囲の用語で表現して、次の技術(以下、「引用文献4記載の技術」という。)が記載されていると認める。

「弁長手方向軸線と、
励起可能なアクチュエータであって、弁座体に設けられた弁座面と共働する弁閉鎖体を作動させるために、電磁コイルと内極と外側の磁気回路形成部材と可動のアーマチュアとを備える電磁回路として形成されている、励起可能なアクチュエータと、
少なくとも前記電磁回路の領域において延在する弁スリーブと、
を備える、内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁において、
内極と可動のアーマチュアとの間の磁気吸引力を高めるために、
作業空隙の領域において弁スリーブに、磁気絞りの区域を設けること。」

他方、引用発明においても、本願発明における「内極」に相当する「支持管6」と本願発明における「可動のアーマチュア(17)」に相当する「可動子7」との間の磁気吸引力を高めることは、当然考慮すべき事項である。
また、本願発明における「磁気分離部」の「B<0.01Tの磁束密度」及び「磁気絞り」の「0.01T<B<0.15Tの磁束密度」の数値は、特別な数値であるとはいえない(必要であれば、下記3-1及び3-2等を参照。以下、「周知技術」という。)。
さらに、翻訳文の明細書の記載からみて、本願発明における「磁気分離部」の「B<0.01Tの磁束密度」及び「磁気絞り」の「0.01T<B<0.15Tの磁束密度」の「0.01T」及び「0.15T」という数値に臨界的意義は認められない。
したがって、引用発明において、「支持管6」と「可動子7」との間の磁気吸引力を高めるために、引用文献4記載の技術及び周知技術を適用し、「少なくとも作業間隙23の領域において」、「弁スリーブ5」に、B<0.01Tの磁束密度を有する区域を磁気分離部として設けるか、0.01T<B<0.15Tの磁束密度を有する区域を磁気絞りとして設けるようにして、相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

3-1 特開平11-132127号公報の記載
本願の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物である特開平11-132127号公報には、「燃料噴射弁及びその組立方法」に関して、図面とともにおおむね次の記載がある。

・「【0022】上記の組成の複合磁性材料で形成した1本のパイプ20に対し、絞り加工、しごき加工等の歪み付加加工を多段階に行うと共に、各加工工程の材料温度を100℃以下に制御することで、磁束密度B_(4000)(H=4000A/mにおける磁束密度)が0.3以上となるようにパイプ20全体を磁性化(マルテンサイト化)した後、このパイプ20の中間部(中間パイプ部22に相当する部分)を誘導加熱等の手段によって10秒以内で加熱溶体化することで、非磁性化(オーステナイト化)し、結晶粒径を30μm以下とする。このような加工方法により、非磁性化部分(中間パイプ部22)の非磁性特性を極低温環境下でも安定して保持することができ、極低温環境下で非磁性化部分がマルテンサイト化(磁性化)することを防ぐことができる。」(段落【0022】)

・「【0033】この後、電磁コイル37への通電が開始されると、電磁コイル37の周囲に磁束が発生し、その磁束が電磁コイル37の周囲を取り囲む磁気回路を流れる。この磁気回路は、ハウジング41…ヨーク39…燃料コネクタ部21…固定鉄心26…可動鉄心35…バルブボディ部23…ハウジング41の経路で構成され、非磁性の中間パイプ部22が燃料コネクタ部21とバルブボディ部23との間の磁束の短絡を防ぐ役割を果たす。この磁気回路に磁束が流れると、固定鉄心26と可動鉄心35との間に磁気吸引力が発生し、可動鉄心35が上方に吸引されて、ニードルバルブ30がバルブシート31から離れて噴射口32を開放する。これによって、バルブボディ部23内の燃料が噴孔プレート44の噴孔から噴射される。」(段落【0033】)

・上記記載から、「中間パイプ部22」は非磁性化され、磁束は流れないことから、「中間パイプ部22」の磁束密度は、0に近いか、「燃料コネクタ部21」及び「バルブボディ部23」の磁束密度(パイプ20全体を磁束密度B_(4000)(H=4000A/mにおける磁束密度)0.3で磁性化した場合には、その磁束密度。)よりも小さいことか理解される。

3-2 国際公開第2010/007153号の記載
本願の優先日前に外国において、頒布された刊行物である国際公開第2010/007153号(国際公開日:2010年1月21日)には、「METALLIC COMPOSITE COMPONENT, IN PARTICULAR FOR AN ELECTROMAGNETIC VALVE」(訳:金属製の複合部材、特に電磁弁用の金属製の複合部材)に関して、図面とともにおおむね次の記載(なお、摘記に際し、ウムラウト等のドイツ語のつづり字記号は省略し、エスツェットはssと表記した。また、訳として、ファミリー文献である特表2011-528495号公報の記載を援用する。)がある。

・「In einer zweiten erfindungsgemassen Ausfuhrungsvariante (Figur 3) liegt das Verbundbauteil 60' leicht modifiziert vor.・・・(略)・・・Das metallische Verbundbauteil 60 ist nicht nur als Ventilhulse in einem elektromagnetischen Ventil einsetzbar, sondern z.B. auch als Kern 2. 」(第5ページ第34行ないし第7ページ第4行)(訳:【0021】
図3に示された本発明の第2実施形態において、複合部材60’は第1実施形態に比べて幾分異なっている。この複合部材60’において重要なことは、少なくとも1つの区分61’が部分的に減じられた飽和分極J_(s)を備えており、この少なくとも1つの区分61’に直に一体に、さらに強く減じられた飽和分極J_(s)を有する第2の区分62’が接続している。減じられた飽和分極J_(s)を有する少なくとも1つの区分61’はこの場合、0.1?1.7Tの飽和分極J_(s)を有しているが、B4000≦0.3T(H=4000A/m)の磁気誘導を有している。さらに強く減じられた飽和分極J_(s)を有する第2の区分62’は、0.1?1.3Tの飽和分極J_(s)及び/又は2?150の最大の相対的な透磁率μ_(r)を有している。
【0022】
複合部材60のための出発材料としては、セミオーステナイトのステンレス鋼(例えば17-7PH、15-8PH)が使用される。場合によっては急速冷却を伴う単数又は複数回の熱処理によって、又は場合によっては急速冷却を伴う例えばスリーブ形状への形状付与によって、材料は磁化される。そして部分領域においてその後で局部的な熱処理が、レーザビーム、誘導加熱又は電子ビーム又はこれに類したものを用いて行われ、これによって冷却後に区分62’が生ぜしめられる。
【0023】
部分的に減じられた飽和分極J_(s)を有する両方の区分61’における材料は、残留オーステナイト含有量が>0の場合、つまり残留オーステナイトを含有する場合に、0.8?1.5Tの飽和分極J_(s)を有していることによって、際立っている。これに対してさらに強く減じられた飽和分極J_(s)を有する区分62’における材料は、フェライト又はマルテンサイトの含有量が>0の場合に少なくとも0.1Tの飽和J_(s)を有している。
【0024】
従って区分61,61’に対して減じられた飽和分極J_(s)を有する区分62,62’によって形成された、複合部材60,60’における磁気的な絞りは、有利な形式において非磁性ではなく、電磁弁においてこのような複合部材60,60’の理想的な使用を可能にする値を有する部分磁性体である。
【0025】
図4には、本発明による複合部材60,60’を備えた燃料噴射弁を部分的に示す断面図であり、この場合複合部材60,60’は、薄壁のスリーブとして燃料噴射弁に使用されていて、コア2及び可動子27を半径方向及び周方向において取り囲んでいて、それ自体はマグネットコイル1によって取り囲まれている。図4から明らかなように、複合部材60の中央の区分62は、コア2と可動子27との間における作業空隙70の軸方向における延在領域に位置しており、このようになっていることによって、磁束線を最適かつ効果的に磁気回路において導くことができる。図1に示されたU字形の案内エレメント45の代わりに、外側の磁気回路構成部材は例えばマグネットポット46として形成されており、この場合マグネットポット46とハウジング66との間における磁気回路はカバーエレメント47を介して閉鎖されている。金属製の複合部材60は、単に弁スリーブとして電磁弁において使用可能であるのみならず、例えばコア2としても使用可能である。)(訳文の段落【0021】ないし【0025】)

・上記記載から、「区分62’」は「区分61’」よりも強く減じられた飽和分極J_(s)を有しており、「区分61’」は、B4000≦0.3T(H=4000A/m)の磁束密度であるから、「区分62’」の磁束密度は、少なくとも0.3Tよりも小さいことが理解される。また、「区分62’」の飽和分極J_(s)を「0.1T」とすると、「区分62’」の磁束密度は0.1Tよりも小さいことが理解される。

4 効果について
翻訳文の明細書の段落【0006】によると、本願発明の効果は、「構造が特にコンパクトである」、「極端に小さな外径を、極めて高い機能性と共に得ること」及び「燃料噴射弁を従来考えられていたよりも多様なフレキシビリティをもって組み込むことができる」等であるが、内燃機関の燃料噴射装置用の燃料噴射弁を構成する部材の寸法を設計する際に、当業者は、構造の大型化、機能性の低下及びフレキシビリティ性の低下等が生じるようには設計しないものであり、すなわち、当業者は当然上記効果が得られるように設計するものであるから、上記効果は格別なものとはいえない。
したがって、本願発明を全体としてみても、本願発明が、引用発明、引用文献2ないし4記載の技術及び周知技術からみて、格別顕著な効果を奏するともいえない。

5 むすび
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2ないし4記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
上記第5のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2ないし4記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-12 
結審通知日 2015-11-16 
審決日 2015-11-30 
出願番号 特願2013-528569(P2013-528569)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 橋本 敏行  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 槙原 進
加藤 友也
発明の名称 燃料噴射弁  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 久野 琢也  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ