• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1313617
審判番号 不服2015-1902  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-01-30 
確定日 2016-04-20 
事件の表示 特願2013-128896「無線通信ハンドオーバ中におけるデータ・パケットの順序正しい配信を最適化すること」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月14日出願公開、特開2013-232936〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年 8月13日を国際出願日とする出願(パリ条約による優先権主張平成19年 8月13日、米国)である特願2010-521161号(以下、「原出願」という。)の一部を新たな特許出願とした出願である特願2012-157377号の一部を、平成25年 6月19日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成25年 7月19日 : 翻訳文、手続補正書及び上申書の提出
平成26年 4月28日付け: 拒絶理由の通知
平成26年 7月17日 : 意見書及び手続補正書の提出
平成26年 8月 7日 : 期間延長請求書の提出
平成26年 9月 1日 : 意見書及び手続補正書の提出
平成26年10月27日付け: 拒絶査定
平成27年 1月30日 : 審判請求書及び誤訳訂正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年 1月30日付け誤訳訂正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
無線通信ネットワークにおけるターゲット基地局において、ハンドオーバ中に、シーケンス番号にしたがってデータ・パケットを配信する方法であって、
ソース基地局において、関連するモバイル・デバイスから正しい順序で受信された最後のサービス・データ・ユニット(SDU)に続く最初の喪失SDUに関連するシグナリングを、前記ターゲット基地局において、前記ソース基地局から受信することと、
前記ソース基地局において受信された1または複数のその後のSDUを、前記ターゲット基地局において、前記ソース基地局から取得することと、
前記最初の喪失SDUに関連するインデクスと、前記1または複数のその後のSDUのうち最も大きいインデクスとの間でナンバリングされた1または複数の喪失SDUを、前記ターゲット基地局において判定することと、
前記判定の結果に基づいて、1または複数の喪失SDUを、前記ターゲット基地局によって、前記関連するモバイル・デバイスへ通知することを備える方法。」

第3 先願発明
(1)原査定の拒絶の理由で先願5として引用された出願であって、平成20年 4月23日を国際出願日とし、本願の優先権主張の日前の平成19年 4月25日を優先権主張の日とし、本願の優先権主張の日後の平成20年11月 6日に国際公開(国際公開第2008/133587号)され、その発明者が本願の発明者と同一でなく、その出願人が本願の出願人と同一でない出願である、特願2010-506134号(以下、「先願」という。)の国際出願日における明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。)には、以下の事項が記載されている(翻訳文として示すものは、特表2010-525737号公報に記載されたものである。下線は当審による。)。

ア「[0001] The present invention generally relates to wireless communication networks, and particularly relates to seamless handover in such networks. 」
(翻訳文:
【0001】
本発明は一般に無線通信ネットワークに関し、特にこのようなネットワークにおけるシームレスなハンドオーバに関するものである。)

イ「[0053] In Fig. 4, the source and target base stations 16-1 and 16-2, respectively, operate according to the teaching presented herein for seamless handover. For discussion purposes, it is assumed that the mobile station 20 has transmitted a number of PDCP protocol data units to the source base station 16-1 , with some of them received successfully and some of them not. The illustrated status indicators 50 indicate the status at the mobile station 20 of those transmitted PDCP service data units, and they indicate that PDCP protocol data units having sequence numbers 3-13 have been transmitted from the mobile station 20 to the source base station 16-1 in advance of the handover.
[0054] However, as noted, not all of the PDCP protocol data units were successfully received at the source base station 16-1 , and the received status indicators 52 at the source base station 16-1 illustrate an example case, wherein PDCP service data units have been successfully received (including successful decompression/deciphering) for PDCP protocol data units having sequence numbers 3, 4. 5, 6, 8, 11, and 12. Contrastingly, PDCP service data units have not been successfully received for sequence numbers 7, 9, and 10. As such, the PDCP service data units 8, 11 , and 12 are considered as having been received out-of-sequence. Also of note in Fig. 4 are the transferred PDCP service data units 54. These service data units 54 represent those PDCP service data units already transferred from the source base station 16-1 to the associated core network 14 (e.g., gateway 18) before handover execution.
[0055] Thus, during handover execution, the source base station 16-1 forwards the PDCP service data units 26 that were received out of sequence and are awaiting reordering for transfer to the gateway 18. In this example, the forwarded PDCP service data units are 8, 11 , and 12. That is, the forwarded PDCP service data units are those corresponding to the 8th, 11th, and 12th PDCP protocol data units in the sequence, which were successfully received at the source base station 16-1 , but received out of sequence. As already noted, the source base station 16-1 forwards the sequence number information 28 corresponding to these forwarded PDCP service data units, and, in one or more embodiments, the sequence number information 26 includes an indication of the highest sequence number of PDCP service data units already transferred up to the gateway 18 - i.e., the most recently sequentially transferred PDCP service data unit. In this example, that value is "6." Different ways of coding this information can be applied, e.g. where the most recently sequentially transferred PDCP service data unit may be indicated ("6"), or alternatively, the next PDCP service data unit to be sequentially transferred is indicated ("7").
[0056] In complementary fashion, the target base station 16-2 uses the received sequence number information 26 to request selective retransmissions by the mobile station 20, while avoiding unnecessary retransmissions and thereby improving handover efficiency. More particularly, the target base station 16-2 processes the received sequence number information 26, which may include or comprise the status message information discussed earlier herein, to identify the missing PDCP protocol data units that the mobile station 20 needs to retransmit to allow the target base station 16-2 to properly sequence the forwarded PDCP service data units 26 for transfer to the gateway 18.
[0057] Thus, the status indicators 56 represent the status of the mobile station 20 sometime after handover, assuming that retransmission requests (e.g., ARQ procedures) at the target base station 16-2 have prompted the mobile station 20 to retransmit the missing data. That is, one sees that the missing data for sequence numbers 7, 9. 10, and 13 has been successfully retransmitted in the form of PDCP protocol data units from the mobile station 20 to the target base station 16-2. The PDCP service data units 58 corresponding to the retransmitted PDCP protocol data units are explicitly shown on the uplink to the target base station 16-2. Note that hatching is used to indicate retransmitted data.
[0058] Continuing with the example, the received status indicators 60 at the target base station 16-2 illustrate that the target base station 16-2 has obtained the missing data needed to properly reorder the forwarded PDCP service data units 26. Thus, the target base station 16-2 transfers the retransmitted PDCP service data units and the forwarded PDCP service data units 26 in proper sequence order to the gateway 18. The set of transferred PDCP service data units 62 indicates that transfer. 」(当審注:段落[0055]及び[0056]の"sequence number information 26"は"sequence number information 28"の誤記であると認める。)
(翻訳文:
【0051】
図4において、ソース基地局16-1及びターゲット基地局16-2はそれぞれ、シームレスなハンドオーバについて本明細書で提示する教示に従って動作する。考察のために、移動局20が複数のPDCPプロトコル・データ・ユニットをソース基地局16-1に送信し、そのうちのいくつかは受信に成功し、そのうちのいくつかは成功しなかったものと仮定する。図示した状態表示50は、これら送信されたPDCPサービス・データ・ユニットの移動局20における状態を示し、かつ、シーケンス番号3乃至13を有するPDCPプロトコル・データ・ユニットが、ハンドオーバに先立って移動局20からソース基地局16-1へ送信されていることを示す。
【0052】
しかしながら注記したように、ソース基地局16-1において全てのPDCPプロトコル・データ・ユニットの受信に成功したのではなく、ソース基地局16-1における受信状態表示52は、シーケンス番号3、4、5、6、8、11及び12を有するPDCPプロトコル・データ・ユニットについての受信に成功した場合(圧縮解除/暗号化解除の成功を含む)の例である。対照的に、シーケンス番号7、9及び10については、PDCPサービス・データ・ユニットの受信に成功していない。このように、PDCPサービス・データ・ユニット8、11及び12は、誤った順番で受信されていると考えられる。また図4で注記するのは、転送されるPDCPサービス・データ・ユニット54である。これらのサービス・データ・ユニット54は、ハンドオーバの実行前にソース基地局16-1から関連するコアネットワーク14(例えば、ゲートウェイ18)へ既に転送されたPDCPサービス・データ・ユニットを表す。
【0053】
従って、ハンドオーバの実行中に、ソース基地局16-1は、誤った順序で受信され、ゲートウェイ18への転送のための並べ替えを待っている状態のPDCPサービス・データ・ユニット26を転送する。この例において、転送されるPDCPサービス・データ・ユニットは、8、11及び12である。即ち、転送されるPDCPサービス・データ・ユニットは、当該シーケンスにおける8番目、11番目、及び12番目のPDCPプロトコル・データ・ユニットに対応するものであり、これらはソース基地局16-1において受信には成功したが、誤った順序で受信されたものである。既に注記したように、ソース基地局16-1は、これらの転送されるPDCPサービス・データ・ユニットに対応するシーケンス番号情報28を転送し、1つ以上の実施形態において、当該シーケンス番号情報28は、ゲートウェイ18まで既に転送されたPDCPサービス・データ・ユニット(即ち、直近にシーケンシャルに転送されたPDCPサービス・データ・ユニット)の最も高いシーケンス番号の表示を含む。この例においてその値は「6」である。この情報を符号化する別の方法を適用することができ、例えば、直近にシーケンシャルに転送されたPDCPサービス・データ・ユニット(「6」)が示されてもよいし、あるいは代替的に、シーケンシャルに転送される次のPDCPサービス・データ・ユニット(「7」)が示される。
【0054】
補完的な方法では、ターゲット基地局16-2は、不必要な再送を回避し、それによりハンドオーバの効率を向上させつつ、移動局20による選択的な再送を要求するために、受信したシーケンス番号情報28を使用する。より詳細には、ターゲット基地局16-2は、ゲートウェイ18への転送用の、転送されたPDCPサービス・データ・ユニット26をターゲット基地局16-2が正しく順序付けることを可能にするために移動局20が再送する必要がある、欠落しているPDCPプロトコル・データ・ユニットを特定すべく、受信したシーケンス番号情報28を処理する。ここで、当該シーケンス番号情報28は、本明細書においてこれまでに考察した状態メッセージ情報を含むか又は包含し得る。
【0055】
従って、ターゲット基地局16-2における再送要求(例えば、ARQ手順)が欠落しているデータの再送を移動局20に促していると想定すると、状態表示56は、ハンドオーバ後のある時間の移動局20の状態を表す。即ち、シーケンス番号7、9、10及び13ついての欠落しているデータは、移動局20からターゲット基地局16-2へPDCPプロトコル・データ・ユニットの形式による再送に成功していることがわかる。再送されたPDCPプロトコル・データ・ユニットに対応するPDCPサービス・データ・ユニット58は、ターゲット基地局16-2へのアップリンク上に明示的に示されている。なお、再送されたデータを示すためにハッチングを使用していることに留意されたい。
【0056】
例を用いて続けると、ターゲット基地局16-2における受信状態表示60は、ターゲット基地局16-2が、転送されたPDCPサービス・データ・ユニット26を正しく並べ替えるために必要な、欠落しているデータを取得していることを示す。このようにして、ターゲット基地局16-2は、再送されたPDCPサービス・データ・ユニットと、転送されたPDCPサービス・データ・ユニット26とを、正しいシーケンスの順序でゲートウェイ18へ転送する。転送されるPDCPサービス・データ・ユニット62のセットはその転送を示す。)

ウ 以下に示すFig. 4に、ターゲット基地局16-2から移動局20にシーケンス番号7、9、10のPDCPプロトコル・データ・ユニットを再送要求すること。


(2)以上によれば、先願明細書には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。

無線通信ネットワークに関し、シームレスなハンドオーバに関する方法であって、
ソース基地局16-1及びターゲット基地局16-2はそれぞれ、シームレスなハンドオーバについて動作し、
移動局20が複数のPDCPプロトコル・データ・ユニットをソース基地局16-1に送信し、
ソース基地局16-1において全てのPDCPプロトコル・データ・ユニットの受信に成功したのではなく、ソース基地局16-1における受信状態表示52は、シーケンス番号3、4、5、6、8、11及び12を有するPDCPプロトコル・データ・ユニットについての受信に成功した場合(圧縮解除/暗号化解除の成功を含む)の例であり、対照的に、シーケンス番号7、9及び10については、PDCPサービス・データ・ユニットの受信に成功しておらず、このように、PDCPサービス・データ・ユニット8、11及び12は、誤った順番で受信されていると考えられ、
ハンドオーバの実行中に、ソース基地局16-1は、誤った順序で受信され、ゲートウェイ18への転送のための並べ替えを待っている状態のPDCPサービス・データ・ユニット26をターゲット基地局16-2へ転送し、 ソース基地局16-1は、これらの転送されるPDCPサービス・データ・ユニットに対応するシーケンス番号情報28をターゲット基地局16-2へ転送し、
当該シーケンス番号情報28は、ゲートウェイ18まで既に転送されたPDCPサービス・データ・ユニット(即ち、直近にシーケンシャルに転送されたPDCPサービス・データ・ユニット)の最も高いシーケンス番号の表示を含み、
この情報を符号化する別の方法を適用することができ、例えば、直近にシーケンシャルに転送されたPDCPサービス・データ・ユニット(「6」)が示されてもよいし、あるいは代替的に、シーケンシャルに転送される次のPDCPサービス・データ・ユニット(「7」)が示され、
ターゲット基地局16-2は、不必要な再送を回避し、それによりハンドオーバの効率を向上させつつ、移動局20による選択的な再送を要求するために、受信したシーケンス番号情報28を使用し、
ターゲット基地局16-2は、ゲートウェイ18への転送用の、転送されたPDCPサービス・データ・ユニット26をターゲット基地局16-2が正しく順序付けることを可能にするために移動局20が再送する必要がある、欠落しているPDCPプロトコル・データ・ユニットを特定すべく、受信したシーケンス番号情報28を処理し、
ターゲット基地局16-2における再送要求(例えば、ARQ手順)が欠落しているデータの再送を移動局20に促していると想定すると、状態表示56は、ハンドオーバ後のある時間の移動局20の状態を表し、即ち、シーケンス番号7、9、10及び13ついての欠落しているデータは、移動局20からターゲット基地局16-2へPDCPプロトコル・データ・ユニットの形式による再送に成功し、
ターゲット基地局16-2は、再送されたPDCPサービス・データ・ユニットと、転送されたPDCPサービス・データ・ユニット26とを、正しいシーケンスの順序でゲートウェイ18へ転送し、
ターゲット基地局16-2から移動局20にシーケンス番号7、9、10のPDCPプロトコル・データ・ユニットを再送要求する方法。

第4 対比
ア 先願発明における「ターゲット基地局16-2」は、本願発明における「ターゲット基地局」に相当する。
また、先願発明は、「無線通信ネットワークに関し、シームレスなハンドオーバに関する方法」であって、「ターゲット基地局16-2は、不必要な再送を回避し、それによりハンドオーバの効率を向上させつつ、移動局20による選択的な再送を要求するために、受信したシーケンス番号情報28を使用」するものであって、「ターゲット基地局16-2は、再送されたPDCPサービス・データ・ユニットと、転送されたPDCPサービス・データ・ユニット26とを、正しいシーケンスの順序でゲートウェイ18へ転送」するものである。
したがって、先願発明は、本願発明と同様に、「無線通信ネットワークにおけるターゲット基地局において、ハンドオーバ中に、シーケンス番号にしたがってデータ・パケットを配信する方法」であるといえる。

イ 先願発明における「ソース基地局16-1」及び「移動局20」は、それぞれ、本願発明における「ソース基地局」及び「モバイル・デバイス」に相当する。
また、先願発明においては、「シーケンス番号3、4、5、6、8、11及び12を有するPDCPプロトコル・データ・ユニットについての受信に成功」していることから、先願発明における『直近にシーケンシャルに転送されたPDCPサービス・データ・ユニット(「6」)』は、本願発明における「正しい順序で受信された最後のサービス・データ・ユニット(SDU)」に相当し、先願発明において、「シーケンス番号7、9及び10については、PDCPサービス・データ・ユニットの受信に成功して」いないことから、先願発明における『シーケンシャルに転送される次のPDCPサービス・データ・ユニット(「7」)』は、本願発明における「最初の喪失SDU」に相当する。
さらに、先願発明には、「シーケンス番号情報28」を符号化する方法として、「シーケンシャルに転送される次のPDCPサービス・データ・ユニット(「7」)」を示すことも記載されているから、先願発明における「シーケンス番号情報28」は、本願発明における「最初の喪失SDUに関連するシグナリング」に相当する。
また、先願発明においては、「ソース基地局16-1は、これらの転送されるPDCPサービス・データ・ユニットに対応するシーケンス番号情報28をターゲット基地局16-2へ転送」するから、先願発明は「最初の喪失SDUに関連するシグナリング」を、「ターゲット基地局」において、「ソース基地局」から受信することを含むといえる。
したがって、先願発明は、本願発明と同様に、「ソース基地局において、関連するモバイル・デバイスから正しい順序で受信された最後のサービス・データ・ユニット(SDU)に続く最初の喪失SDUに関連するシグナリングを、前記ターゲット基地局において、前記ソース基地局から受信すること」を含むといえる。

ウ 先願発明における「並べ替えを待っている状態のPDCPサービス・データ・ユニット26」は、本願発明における「1または複数のその後のSDU」に相当する。
また、先願発明においては、「ハンドオーバの実行中に、ソース基地局16-1は、誤った順序で受信され、ゲートウェイ18への転送のための並べ替えを待っている状態のPDCPサービス・データ・ユニット26をターゲット基地局16-2へ転送」するから、「1または複数のその後のSDU」を、「ターゲット基地局」において、「ソース基地局」から取得することを含むといえる。
したがって、先願発明は、本願発明と同様に、「前記ソース基地局において受信された1または複数のその後のSDUを、前記ターゲット基地局において、前記ソース基地局から取得すること」を含むといえる。

エ 先願発明における「シーケンス番号28」に含まれる「シーケンス番号の表示」であって『シーケンシャルに転送される次のPDCPサービス・データ・ユニット(「7」)』として示されるものは、本願発明における「最初の喪失SDUに関連するインデクス」に対応し、先願発明における「シーケンス番号7、9、10のPDCPプロトコル・データ・ユニット」及び「欠落しているPDCPプロトコル・データ・ユニット」は、本願発明における「1または複数のその後のSDUのうち最も大きいインデクスとの間でナンバリングされた1または複数の喪失SDU」に対応するから、先願発明において、「欠落しているPDCPプロトコル・データ・ユニットを特定すべく、受信したシーケンス番号情報28を処理」することは、本願発明において、「最初の喪失SDUに関連するインデクス」と「1または複数のその後のSDUのうち最も大きいインデクスとの間でナンバリングされた1または複数の喪失SDU」を「判定すること」に対応する。
したがって、先願発明は、本願発明と同様に、「前記最初の喪失SDUに関連するインデクスと、前記1または複数のその後のSDUのうち最も大きいインデクスとの間でナンバリングされた1または複数の喪失SDUを、前記ターゲット基地局において判定すること」を含むといえる。

オ 先願発明における「シーケンス番号7、9、10のPDCPプロトコル・データ・ユニットを再送要求する」ことは、本願発明における「1または複数の喪失SDUを、前記ターゲット基地局によって、前記関連するモバイル・デバイスへ通知すること」に対応する。
したがって、先願発明は、本願発明と同様に、「前記判定の結果に基づいて、1または複数の喪失SDUを、前記ターゲット基地局によって、前記関連するモバイル・デバイスへ通知すること」を含むといえる。

カ 以上のことから、本願発明と先願発明とは、発明を特定する全ての事項で一致し、相違しない。したがって、本願発明は先願発明と同一である。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は先願発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-17 
結審通知日 2015-11-24 
審決日 2015-12-07 
出願番号 特願2013-128896(P2013-128896)
審決分類 P 1 8・ 161- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深津 始  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 吉田 隆之
清水 祐樹
発明の名称 無線通信ハンドオーバ中におけるデータ・パケットの順序正しい配信を最適化すること  
代理人 福原 淑弘  
代理人 井関 守三  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 奥村 元宏  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ