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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1313663
審判番号 不服2015-10964  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-10 
確定日 2016-04-21 
事件の表示 特願2012- 9936「RFIDタグ検出装置、RFIDタグ検出方法及びRFIDタグ検出システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 1日出願公開、特開2013-149132〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,平成24年1月20日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成26年 3月 6日 :出願審査請求書の提出
平成26年 8月28日付け :拒絶理由の通知
平成26年11月 4日 :意見書,手続補正書の提出
平成27年 2月27日付け :拒絶査定
平成27年 6月10日 :審判請求書,手続補正書の提出
平成27年 7月 7日 :前置報告
平成27年 9月14日 :上申書の提出


第2 平成27年6月10日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成27年6月10日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1 補正の内容

平成27年6月10日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)の内容は,平成26年11月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至5の記載

「 【請求項1】
物品に付したRFIDタグを検出するRFIDタグ検出装置において,
読み取り手段が読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を第1の取得モードにて取得し,前記読み取り手段が読み取った物品のRFIDタグの識別情報を第2の取得モードにて取得する取得部と,
前記除外識別情報を保持する除外情報保持部と,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれているか否かを判定する判定部と,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれている場合に,前記識別情報から前記除外識別情報を除いた前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する検出部と,
を有することを特徴とするRFIDタグ検出装置。
【請求項2】
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれていない場合に,前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する,
ことを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ検出装置。
【請求項3】
前記取得部は,前記第1の取得モードにて,電波を出力して前記RFIDタグを読み取る前記読み取り手段が最大出力の電波で読み取った前記除外識別情報を取得する,
ことを特徴とする請求項1または2に記載のRFIDタグ検出装置。
【請求項4】
前記読み取り手段が出力する前記電波は指向性を有しており,
前記取得部は,前記第1の取得モードにて,前記読み取り手段が前記除外対象物品のみに向けて出力した前記電波で読み取った前記除外識別情報を取得する,
ことを特徴とする請求項3記載のRFIDタグ検出装置。
【請求項5】
前記取得部は,前記第2の取得モードにて,電波を出力して前記RFIDタグを読み取る前記読み取り手段が適正出力の前記電波で読み取った前記識別情報を取得する,
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のRFIDタグ検出装置。
【請求項6】
物品に付したRFIDタグを検出するRFIDタグ検出方法において,
第1の取得モードにて除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を取得し,
第2の取得モードにて物品のRFIDタグの識別情報を取得し,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれているか否かを判定し,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれている場合に,前記識別情報から前記除外識別情報を除いた前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する,
ことを特徴とするRFIDタグ検出方法。
【請求項7】
物品に付したRFIDタグを検出するRFIDタグ検出システムにおいて,
前記RFIDタグが記憶する識別情報を読み取る読み取り装置と,
前記読み取り装置が読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を第1の取得モードにて取得し,前記読み取り装置が読み取った物品のRFIDタグの識別情報を第2の取得モードにて取得する取得部と,前記除外識別情報を保持する除外情報保持部と,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれているか否かを判定する判定部と,前記識別情報に前記除外識別情報が含まれている場合に,前記識別情報から前記除外識別情報を除いた前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する検出部と,を有するRFIDタグ検出装置と,
を有することを特徴とするRFIDタグ検出システム。」(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)

を,

「 【請求項1】
物品に付したRFIDタグを検出するRFIDタグ検出装置において,
読み取り手段が最大出力の電波を出力して読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を第1の取得モードにて取得し,前記読み取り手段が前記最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグの識別情報を第2の取得モードにて取得する取得部と,
前記除外識別情報を保持する除外情報保持部と,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれているか否かを判定する判定部と,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれている場合に,前記識別情報から前記除外識別情報を除いた前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する検出部と,
を有することを特徴とするRFIDタグ検出装置。
【請求項2】
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれていない場合に,前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する,
ことを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ検出装置。
【請求項3】
前記読み取り手段が出力する前記電波は指向性を有しており,
前記取得部は,前記第1の取得モードにて,前記読み取り手段が前記除外対象物品のみに向けて出力した前記電波で読み取った前記除外識別情報を取得する,
ことを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ検出装置。
【請求項4】
物品に付したRFIDタグを検出するRFIDタグ検出方法において,
第1の取得モードにて,読み取り手段が最大出力の電波を出力して読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を取得し,
第2の取得モードにて,前記読み取り手段が前記最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグの識別情報を取得し,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれているか否かを判定し,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれている場合に,前記識別情報から前記除外識別情報を除いた前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する,
ことを特徴とするRFIDタグ検出方法。
【請求項5】
物品に付したRFIDタグを検出するRFIDタグ検出システムにおいて,
前記RFIDタグが記憶する識別情報を読み取る読み取り装置と,
前記読み取り装置が最大出力の電波を出力して読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を第1の取得モードにて取得し,前記読み取り装置が前記最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグの識別情報を第2の取得モードにて取得する取得部と,前記除外識別情報を保持する除外情報保持部と,前記識別情報に前記除外識別情報が含まれているか否かを判定する判定部と,前記識別情報に前記除外識別情報が含まれている場合に,前記識別情報から前記除外識別情報を除いた前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する検出部と,を有するRFIDタグ検出装置と,
を有することを特徴とするRFIDタグ検出システム。」(当審注:下線は,請求人が付与したものである。以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)

に補正するものである。

そして,本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており,特許法第17条の2第3項の規定に適合している。
また,本件補正は,特別な技術的特徴を変更(シフト補正)をしようとするものではなく,特許法第17条の2第4項の規定に適合している。


2 目的要件

本件補正は,上記「1 補正の内容」のとおり本件審判の請求と同時にする補正であり,特許請求の範囲について補正をしようとするものであるから,本件補正が,特許法第17条の2第5項の規定を満たすものであるか否か,すなわち,本件補正が,特許法第17条の2第5項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであるかについて,以下に検討する。

(1)補正前の請求項と,補正後の請求項とを比較すると,審判請求書における請求人の説明のとおり,補正前の請求項3,5が削除されるとともに,補正前の請求項1,6,7が補正され,それにより補正後の請求項1,2,3,4,5はそれぞれ,補正前の請求項1,2,4,6,7に対応することは明らかである。

(2)よって,本件補正は,下記の補正事項1乃至5よりなるものである。

<補正事項1>
補正前の請求項1,7の
「読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報」との記載を,
補正後の請求項1,5の
「最大出力の電波を出力して読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報」との記載に変更する補正。

<補正事項2>
補正前の請求項1,7の
「読み取った物品のRFIDタグの識別情報」との記載を,
補正後の請求項1,5の
「前記最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグの識別情報」との記載に変更する補正。

<補正事項3>
補正前の請求項6の
「除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報」との記載を,
補正後の請求項4の
「読み取り手段が最大出力の電波を出力して読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報」との記載に変更する補正。

<補正事項4>
補正前の請求項6の
「物品のRFIDタグの識別情報」との記載を,
補正後の請求項4の
「前記読み取り手段が前記最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグの識別情報」との記載に変更する補正。

<補正事項5>
補正前の請求項3,5を削除する補正。

(3)補正事項1について

補正事項1は,発明特定事項である「読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報」に「最大出力の電波を出力して」の限定を加えることを目的とするものであり,本件補正によっても,補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。

(4)補正事項2について

補正事項2は,発明特定事項である「読み取った物品のRFIDタグの識別情報」に「最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して」の限定を加えることを目的とするものであり,本件補正によっても,補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。

(5)補正事項3について

補正事項3は,発明特定事項である「除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報」に「読み取り手段が最大出力の電波を出力して読み取った」の限定を加えることを目的とするものであり,本件補正によっても,補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。

(6)補正事項4について

補正事項4は,発明特定事項である「物品のRFIDタグの識別情報」に「読み取り手段が前記最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して読み取った」の限定を加えることを目的とするものであり,本件補正によっても,補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。

(7)したがって,上記補正事項1乃至4は限定的減縮を目的とするものであるから,本件補正は,特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除及び特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると言えることから,特許法第17条の2第5項の規定に適合するものである。


3 独立特許要件

以上のように,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とする上記補正事項1乃至4を含むものである。そこで,限定的減縮を目的として補正された補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)以下に検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は,上記平成27年6月10日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲,明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「 物品に付したRFIDタグを検出するRFIDタグ検出装置において,
読み取り手段が最大出力の電波を出力して読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を第1の取得モードにて取得し,前記読み取り手段が前記最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグの識別情報を第2の取得モードにて取得する取得部と,
前記除外識別情報を保持する除外情報保持部と,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれているか否かを判定する判定部と,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれている場合に,前記識別情報から前記除外識別情報を除いた前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する検出部と,
を有することを特徴とするRFIDタグ検出装置。」


(2)引用例

(2-1)引用例1に記載されている技術的事項及び引用発明

ア 本願の出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成26年8月28日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2010-161483号公報(平成22年7月22日出願公開,以下,「引用例1」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0005】
本発明は,このような事情に基づいてなされたもので,その目的とするところは,電磁波を通さない遮蔽物等の格別な部材を用いずとも,読取領域内に置かれる物品の無線タグのみ精度よく読み取ることができる無線タグ読取方法及び無線タグ読取装置を提供しようとするものである。」

B 「【0012】
無線タグ読取装置5は,載置面2に置かれた全ての商品3の無線タグ4を一括して読取り,読取ったデータをPOS端末8に送信する。POS端末8は,各無線タグ4のデータに基づいて客が購入する商品3の販売データを登録し,合計金額を算出する。そこで,無線タグ読取装置5は,載置面2とその上方鉛直方向の一定長(例えば50cm)の空間を無線タグ4の読取領域9とする。アンテナ7は,読取領域9に向けて電磁波を送信する。こうすることにより,無線タグ読取装置5は,載置面2に置かれた全ての商品3の無線タグ4を無線タグ読取装置5が一括して読取ることができる。
【0013】
チェックアウトカウンタ1には,読取領域9に近接するように商品棚10が置かれている。商品棚10には,それぞれ無線タグ4が付された複数の商品3が陳列されている。読取領域9の境界付近である商品棚10の読取領域9側の側板には,無線タグ11が複数取り付けられている。無線タグ11は,読取領域9のエリア外であることを識別するために用いる。以下,商品棚10に付される無線タグ11は,エリア外識別用無線タグ11と称する。各商品に付される無線タグ4は,物品用無線タグ4と称する。」

C 「【0015】
図3は,読取装置本体6の要部構成を示すブロック図である。読取装置本体6は,通信部31,制御部32,記憶部33,変調部34,送信側増幅部35,受信側増幅部36,復調部37,方向性結合器38及び送信出力切換部39を有する。
【0016】
通信部31は,制御部32とPOS端末8との間のデータ通信を司る。変調部34は,制御部32から与えられる送信データで搬送波を変調する。送信側増幅部35は,変調部34の出力信号を増幅する。受信側増幅部36は,アンテナ7の受信信号を増幅する。復調部37は,受信側増幅部36で増幅された信号から無線タグのデータ信号を復調する。方向性結合器38は,送信側増幅部35の出力信号をアンテナ7に供給し,アンテナ7の受信信号を受信側増幅部36に供給する。送信出力切換部39は,送信側増幅部35の増幅率を段階的に切り替える。無線タグ読取装置5は,送信側増幅部35の増幅率を切替えることによって,アンテナ7から送信される電磁波の出力パワーを段階的に可変する(出力可変手段)。
【0017】
記憶部33は,図4に示すメモリエリアを備える。送信出力レベルメモリ41は,現時点におけるアンテナ7の出力パワーレベルPWLを記憶する。出力レベルカウンタメモリ42は,出力パワーレベルPWLに相当する段数n(1≦n≦N)を計数する。この実施の形態では,段数nが“1”のときの出力パワーレベルPWLを最小レベルとし,段数nが“N”のときの出力パワーレベルPWLを最大レベルとする。
【0018】
警告タグメモリ43は,読取領域9の外側近傍に置かれる商品3に付されている物品用無線タグ4のデータをまとめて記憶する(領域外物品用タグ記憶部)。今回読取メモリ44は,今回の無線タグ読取サイクルにおいて,無線タグ読取装置5で一括して読取った無線タグのデータをまとめて記憶する。前回読取メモリ45は,前回の無線タグ読取サイクルにおいて,無線タグ読取装置5で一括して読取った無線タグのデータをまとめて記憶する。」

D 「【0019】
制御部32は,図5の流れ図に示す手順に従い,各部を制御する。この制御は,外部から起動コマンドが入力されると開始する。POS端末8のオペレータは,客が購入商品を載置面2に載せたのを確認すると,POS端末8を操作して物品用無線タグ4の読取開始を指示する。この指示により,POS端末8が作動して,制御部32に起動コマンドを出力する。あるいは,載置面2の近傍に物品センサが設けられている。物品センサは,客が購入商品を載置面2に載せると作動して,制御部32に起動コマンドを出力する。
【0020】
起動コマンドが入力されると,制御部32は,ST(ステップ)1として出力レベルカウンタメモリ42のカウント値nを送信出力レベルメモリ41にセットする。また,ST2として今回読取メモリ44をクリアする。しかる後,制御部32は,ST3として無線タグの読取り動作を起動する。すなわち,変調部34にリードコマンドを送信する。また,送信出力切換部39に送信出力制御信号を送信する。
【0021】
送信出力制御信号は,アンテナ7から送信される電磁波の出力パワーが,送信出力レベルメモリ41で記憶する出力パワーレベルPWLとなるように送信出力切換部39を制御する。この制御により,送信出力切換部39は,送信側増幅部35の増幅率を出力パワーレベルPWLに相当する値に設定する。
【0022】
変調部34は,リードコマンドで搬送波を変調する。変調信号は,送信側増幅部35で増幅された後,方向性結合器38を介してアンテナ7に供給され,電磁波として送信される。このときの送信出力レベルは,送信側増幅部35の増幅率によって決まる。
【0023】
アンテナ7から送信される電磁波を受信した無線タグは,リードコマンドを認識すると,例えばバックスキャッタ変調により自身のメモリデータを無線送信する。この電磁波をアンテナ7が受信すると,受信信号が方向性結合器38を介して受信側増幅部36に供給される。そして,増幅された後,復調部37に入力され,無線タグのデータ信号に復調される。
【0024】
制御部32は,ST4として無線タグのデータ信号が復調されるのを待機する。復調部37にて復調されたデータ信号が入力されると(ST4のYES),制御部32は,ST5としてこのデータ信号を復号して得たタグデータを今回読取メモリ44に格納する。復調データ信号が入力される毎に,制御部32は,ST5の処理を行う。したがって,1回の読取サイクルにおいて,一括して読取られた複数の無線タグのデータが,今回読取メモリ44にまとめて格納される。」

E 「【0041】
このように,本実施の形態では,読取領域9の境界付近に,物品用無線タグ4と区別可能なエリア外識別用無線タグ11を配置している。一方,無線タグ読取装置5は,読取領域9に向けてアンテナ7から電磁波を送信して無線タグを読取る毎に,読み取った無線タグの中にエリア外識別用無線タグ11が含まれるか検索する。そして,含まれているときには,読み取っている範囲が読取領域9と比べて広すぎると判定する。この場合,無線タグ読取装置5は,アンテナ7から出力される電磁波の送信パワーを段階的に低下させて読取動作を繰り返し試行する。そして,エリア外識別用無線タグ11が含まれなくなった時点の読取情報,すなわち読取った無線タグの中にエリア外識別用無線タグ11が含まれていない場合で送信パワーが最大のときの読取情報を,読取領域9内の物品用無線タグ4のデータとして確定し,POS端末8に送信する。
…(中略)…
【0044】
また,本実施の形態では,読取領域9の外側に置かれた一部の商品3に付されている物品用無線タグ4のデータを警告タグメモリ43に記憶する。そして,読取領域9内のデータとして確定した物品用無線タグ4のデータと警告タグメモリ43内のデータとを照合し,一致するタグデータが存在する場合は警報信号をPOS端末8に送信して,オペレータに警報を発するようにしている。したがって,たとえエリア外識別用無線タグ11がリードコマンドに反応せず,読取領域9の外側近傍に位置する商品3の物品用無線タグ4が確定データに含まれてしまっても,オペレータに警告が発せられるので,誤登録を未然に防ぐことができる。」

F 「【0057】
(第3の実施の形態)
前記実施の形態では,警告タグメモリ43に記憶する物品用無線タグ4のデータを固定とした。しかし,読取領域9の外側近傍に置かれる商品3は,客が購入したり,在庫を補充したりすることで変動する可能性がある。そこで次に,読取領域9の外側近傍に置かれる商品3を検出し,その検出結果に応じて警告タグメモリ43のデータを自動的に更新するようにした第3の実施の形態について説明する。
【0058】
この第3の実施の形態では,制御部32が,図11の流れ図に示す手順の警告タグ更新処理を実行する。制御部32は,例えばPOS端末8から1取引の商品登録終了を宣言する締めキーが入力されたことを通知する締め通知コマンドを受信する毎に,この警告タグ更新処理を開始する。
【0059】
締め通知コマンドが入力されると,制御部32は,ST71として送信出力レベルの最大値Nを送信出力レベルメモリ41にセットする。また,ST72として今回読取メモリ44をクリアする。しかる後,制御部32は,ST73として無線タグの読取り動作を起動する。すなわち,変調部34にリードコマンドを送信する。また,送信出力切換部39に送信出力制御信号を送信する。
【0060】
送信出力制御信号は,アンテナ7から送信される電磁波の出力パワーが,送信出力レベルメモリ41で記憶する出力パワーレベルPWLとなるように送信出力切換部39を制御する。この制御により,送信出力切換部39は,送信側増幅部35の増幅率を最大値に設定する。
…(中略)…
【0063】
制御部32は,ST74として無線タグのデータ信号が復調されるのを待機する。復調部37にて復調されたデータ信号が入力されると(ST74のYES),制御部32は,ST75としてこのデータ信号を復号して得たタグデータを今回読取メモリ44に格納する。復調データ信号が入力される毎に,制御部32は,ST75の処理を行う。したがって,1回の読取サイクルにおいて,一括して読取られた複数の無線タグのデータが,今回読取メモリ44にまとめて格納される。
…(中略)…
【0068】
しかる後(ST85),制御部32は,ST86として今回読取メモリ44を検索する。そして,ST87としてエリア外識別用無線タグ11のタグデータが格納されているか否かを判断する。エリア外識別用無線タグ11のタグデータが格納されている場合には(ST87のYES),制御部32は,ST88として出力レベルカウンタメモリ42の値nを“1”だけ減算する。そして,カウント値nが“1”以上であることを確認したならば(ST89のNO),制御部32は,前記ST79?ST87の処理を再度実行する。このとき,アンテナ7から送信される電磁波の送信パワーは,前回より1段階弱くなる。
【0069】
今回読取メモリ44を検索した結果,エリア外識別用無線タグ11のタグデータが格納されていない場合には(ST87のYES),制御部32は,ST90として警告タグメモリ43を一旦クリアする。しかる後,ST91として今回読取メモリ44と前回読取メモリ45とを比較する。このとき,今回読取メモリ44には,エリア外識別用無線タグ11を読取らなかったときの読取情報が記憶されている。前回読取メモリ45には,アンテナ7からの送信パワーが最大のときの読取情報が記憶されている。制御部32は,前回読取メモリ45には記憶されているが今回読取メモリ44には記憶されていない物品用無線タグのデータをすべて抽出する。そして,ST92として抽出した全てのタグデータを警告タグメモリ43に保存する(差分更新手段)。以上で,警告タグ更新処理が終了する。
【0070】
この警告タグ更新処理のST91において,抽出される無線タグのデータは,送信パワーが最大のときには読取れるが,読取領域9の境界付近まで低下したときには読み取れない物品用無線タグ4のデータである。したがって,読取領域9の外側近傍に置かれた商品3に付されている無線タグのデータが抽出される。そして,この抽出された全てのタグデータが警告タグメモリ43に格納される。
【0071】
このように,第3の実施の形態によれば,読取領域9の外側近傍に置かれる商品3が変動しても,常に読取領域9の外側近傍に置かれる商品3に付された無線タグのデータを警告タグメモリ43で記憶することができる。」

イ ここで,引用例1に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Aの「本発明は,このような事情に基づいてなされたもので,その目的とするところは,電磁波を通さない遮蔽物等の格別な部材を用いずとも,読取領域内に置かれる物品の無線タグのみ精度よく読み取ることができる無線タグ読取方法及び無線タグ読取装置を提供しようとするものである。」との記載からすると,引用例1には,
“読取領域内に置かれる物品の無線タグを読み取る無線タグ読取装置”
が記載されていると解される。

(イ)上記Bの「無線タグ読取装置5は,載置面2に置かれた全ての商品3の無線タグ4を一括して読取り,読取ったデータをPOS端末8に送信する。 …(中略)… アンテナ7は,読取領域9に向けて電磁波を送信する。こうすることにより,無線タグ読取装置5は,載置面2に置かれた全ての商品3の無線タグ4を無線タグ読取装置5が一括して読取ることができる。」との記載,上記Dの「この電磁波をアンテナ7が受信すると,受信信号が方向性結合器38を介して受信側増幅部36に供給される。そして,増幅された後,復調部37に入力され,無線タグのデータ信号に復調される。 …(中略)… 制御部32は,ST4として無線タグのデータ信号が復調されるのを待機する。復調部37にて復調されたデータ信号が入力されると(ST4のYES),制御部32は,ST5としてこのデータ信号を復号して得たタグデータを今回読取メモリ44に格納する。復調データ信号が入力される毎に,制御部32は,ST5の処理を行う。したがって,1回の読取サイクルにおいて,一括して読取られた複数の無線タグのデータが,今回読取メモリ44にまとめて格納される。」との記載からすると,「アンテナ」から受信した電磁波に基づき「無線タグ」のデータが復調され,「制御部」は復調された複数の「無線タグ」のデータを一括して「今回読取メモリ」に格納することが読み取れる。
また,上記Cの「無線タグ読取装置5は,送信側増幅部35の増幅率を切替えることによって,アンテナ7から送信される電磁波の出力パワーを段階的に可変する(出力可変手段)。」との記載,上記Dの「しかる後,制御部32は,ST3として無線タグの読取り動作を起動する。すなわち,変調部34にリードコマンドを送信する。また,送信出力切換部39に送信出力制御信号を送信する。 …(中略)… 送信出力制御信号は,アンテナ7から送信される電磁波の出力パワーが,送信出力レベルメモリ41で記憶する出力パワーレベルPWLとなるように送信出力切換部39を制御する。」との記載からすると,「無線タグ読取装置」の「制御部」は送信出力制御信号を用いて,「アンテナ」からの電磁波の送信パワーを切り替える制御を行うことが読み取れるから,引用例1には,
“アンテナからの電磁波の送信パワーを切り替え制御し,前記アンテナから受信した電磁波に基づき一括して読み取られた複数の無線タグのデータを今回読取メモリに格納する制御部”
が記載されていると解される。

(ウ)上記Bの「無線タグ11は,読取領域9のエリア外であることを識別するために用いる。以下,商品棚10に付される無線タグ11は,エリア外識別用無線タグ11と称する。」との記載,上記Eの「このように,本実施の形態では,読取領域9の境界付近に,物品用無線タグ4と区別可能なエリア外識別用無線タグ11を配置している。一方,無線タグ読取装置5は,読取領域9に向けてアンテナ7から電磁波を送信して無線タグを読取る毎に,読み取った無線タグの中にエリア外識別用無線タグ11が含まれるか検索する。そして,含まれているときには,読み取っている範囲が読取領域9と比べて広すぎると判定する。この場合,無線タグ読取装置5は,アンテナ7から出力される電磁波の送信パワーを段階的に低下させて読取動作を繰り返し試行する。そして,エリア外識別用無線タグ11が含まれなくなった時点の読取情報,すなわち読取った無線タグの中にエリア外識別用無線タグ11が含まれていない場合で送信パワーが最大のときの読取情報を,読取領域9内の物品用無線タグ4のデータとして確定し,POS端末8に送信する。」との記載からすると,エリア外識別用無線タグが含まれない程度まで電磁波の送信パワーを低下させて無線タグを読み取り,その時の読取情報を読取領域内の物品用無線タグのデータとして確定すると解されることから,引用例1には,
“制御部は,エリア外識別用無線タグが含まれない程度に低下させた電磁波の送信パワーにより読み取られた読取情報を,読取領域内の物品用無線タグのデータとして確定”すること
が記載されていると解される。

(エ)上記Cの「記憶部33は,図4に示すメモリエリアを備える。 …(中略)… 警告タグメモリ43は,読取領域9の外側近傍に置かれる商品3に付されている物品用無線タグ4のデータをまとめて記憶する(領域外物品用タグ記憶部)。今回読取メモリ44は,今回の無線タグ読取サイクルにおいて,無線タグ読取装置5で一括して読取った無線タグのデータをまとめて記憶する。」との記載,上記Eの「また,本実施の形態では,読取領域9の外側に置かれた一部の商品3に付されている物品用無線タグ4のデータを警告タグメモリ43に記憶する。そして,読取領域9内のデータとして確定した物品用無線タグ4のデータと警告タグメモリ43内のデータとを照合し,一致するタグデータが存在する場合は警報信号をPOS端末8に送信して,オペレータに警報を発するようにしている。したがって,たとえエリア外識別用無線タグ11がリードコマンドに反応せず,読取領域9の外側近傍に位置する商品3の物品用無線タグ4が確定データに含まれてしまっても,オペレータに警告が発せられるので,誤登録を未然に防ぐことができる。」との記載からすると,「無線タグ読取装置」が備える「記憶部」のメモリエリアの1つである「警告タグメモリ」に読取領域の外側に置かれた一部の商品に付されている物品用無線タグのデータを格納し,読取領域内のデータとして確定し,今回読取メモリに記憶した物品用無線タグのデータと警告タグメモリ内のデータとを照合し,一致するタグデータが存在する場合は警報信号をPOS端末に送信して,オペレータに警報を発することが読み取れるから,引用例1には,
“読取領域の外側に置かれた一部の商品に付されている物品用無線タグのデータを格納する警告タグメモリを備え,読取領域内のデータとして確定し,今回読取メモリに記憶した物品用無線タグのデータと警告タグメモリ内のデータとを照合し,一致するタグデータが存在する場合は警報信号を送信して警報を発”すること
が記載されていると解される。

(オ)上記Fの「前記実施の形態では,警告タグメモリ43に記憶する物品用無線タグ4のデータを固定とした。しかし,読取領域9の外側近傍に置かれる商品3は,客が購入したり,在庫を補充したりすることで変動する可能性がある。そこで次に,読取領域9の外側近傍に置かれる商品3を検出し,その検出結果に応じて警告タグメモリ43のデータを自動的に更新するようにした第3の実施の形態について説明する。」との記載からすると,上記(エ)で検討した警告タグメモリに記憶する読取領域の外側近傍に置かれる商品の無線タグのデータの更新をすることが読み取れ,
また,上記Fの「締め通知コマンドが入力されると,制御部32は,ST71として送信出力レベルの最大値Nを送信出力レベルメモリ41にセットする。また,ST72として今回読取メモリ44をクリアする。しかる後,制御部32は,ST73として無線タグの読取り動作を起動する。 …(中略)… 送信出力制御信号は,アンテナ7から送信される電磁波の出力パワーが,送信出力レベルメモリ41で記憶する出力パワーレベルPWLとなるように送信出力切換部39を制御する。この制御により,送信出力切換部39は,送信側増幅部35の増幅率を最大値に設定する。 …(中略)… 復調部37にて復調されたデータ信号が入力されると(ST74のYES),制御部32は,ST75としてこのデータ信号を復号して得たタグデータを今回読取メモリ44に格納する。復調データ信号が入力される毎に,制御部32は,ST75の処理を行う。したがって,1回の読取サイクルにおいて,一括して読取られた複数の無線タグのデータが,今回読取メモリ44にまとめて格納される。」との記載からすると,警告タグメモリのタグデータの更新については,まず最初に,制御部が送信パワーのレベルを最大値にセットして得たタグデータを読取メモリに格納することが読み取れる。

(カ)上記Fの「そして,ST87としてエリア外識別用無線タグ11のタグデータが格納されているか否かを判断する。エリア外識別用無線タグ11のタグデータが格納されている場合には(ST87のYES),制御部32は,ST88として出力レベルカウンタメモリ42の値nを“1”だけ減算する。 …(中略)… 今回読取メモリ44を検索した結果,エリア外識別用無線タグ11のタグデータが格納されていない場合には(ST87のYES),制御部32は,ST90として警告タグメモリ43を一旦クリアする。」との記載からすると,読取メモリにおけるエリア外識別用無線タグのデータの有無を検出し,送信出力レベルをエリア外識別用無線タグを検出できる最大値にセットして得たタグデータを前回読取メモリ格納した後で,送信パワーを弱くして得た今回読取メモリのタグデータにエリア外識別用無線タグのデータが格納されていない態様を読み取ることができる。
また,上記Fの「しかる後,ST91として今回読取メモリ44と前回読取メモリ45とを比較する。このとき,今回読取メモリ44には,エリア外識別用無線タグ11を読取らなかったときの読取情報が記憶されている。前回読取メモリ45には,アンテナ7からの送信パワーが最大のときの読取情報が記憶されている。制御部32は,前回読取メモリ45には記憶されているが今回読取メモリ44には記憶されていない物品用無線タグのデータをすべて抽出する。そして,ST92として抽出した全てのタグデータを警告タグメモリ43に保存する(差分更新手段)。以上で,警告タグ更新処理が終了する。 …(中略)… この警告タグ更新処理のST91において,抽出される無線タグのデータは,送信パワーが最大のときには読取れるが,読取領域9の境界付近まで低下したときには読み取れない物品用無線タグ4のデータである。したがって,読取領域9の外側近傍に置かれた商品3に付されている無線タグのデータが抽出される。そして,この抽出された全てのタグデータが警告タグメモリ43に格納される。」との記載からすると,制御部が,前回読取メモリには記憶されているが,今回読取メモリには記憶されていない読取領域の外側近傍に置かれる物品用無線タグのデータを抽出し,抽出したタグデータを警告タグメモリに保存することにより実行する態様が読み取れる。

(キ)上記(オ),(カ)での検討から,引用例1には,
“警告タグメモリのデータ更新については,エリア外識別用無線タグの検出の有無に基づき,制御部が,送信パワーを最大値にセットして得たタグデータを格納した前回読取メモリには記憶されているが,今回読取メモリには記憶されていない読取領域の外側近傍に置かれる物品用無線タグのデータを抽出し,抽出したタグデータを前記警告タグメモリに保存することにより実行する”こと
が記載されていると解される。

ウ 以上,(ア)乃至(キ)で示した事項から,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「読取領域内に置かれる物品の無線タグを読み取る無線タグ読取装置であって,
アンテナからの電磁波の送信パワーを切り替え制御し,前記アンテナから受信した電磁波に基づき一括して読み取られた複数の無線タグのデータを今回読取メモリに格納する制御部を備え,
前記制御部は,エリア外識別用無線タグが含まれない程度に低下させた電磁波の送信パワーにより読み取られた読取情報を,読取領域内の物品用無線タグのデータとして確定し,
読取領域の外側に置かれた一部の商品に付されている物品用無線タグのデータを格納する警告タグメモリを備え,
前記読取領域内のデータとして確定し,今回読取メモリに記憶した物品用無線タグのデータと前記警告タグメモリ内のデータとを照合し,一致するタグデータが存在する場合は警報信号を送信して警報を発し,
前記警告タグメモリのデータ更新については,前記エリア外識別用無線タグの検出の有無に基づき,制御部が,送信パワーを最大値にセットして得たタグデータを格納した前回読取メモリには記憶されているが,前記今回読取メモリには記憶されていない読取領域の外側近傍に置かれる物品用無線タグのデータを抽出し,抽出したタグデータを前記警告タグメモリに保存することにより実行する
ことを特徴とする無線タグ読取装置。」


(2-2)引用例2に記載されている技術的事項

本願の出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成26年8月28日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2010-134781号公報(平成22年6月17日出願公開,以下,「引用例2」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

G 「【0090】
制御部82は,タグ問合せ電波の送信を指令した後,ST64として無線タグからの応答信号を待機する。応答信号を受信すると(ST64のYES),制御部82は,ST65としてその応答信号を送信した無線タグ5と無線通信を行い,商品コード及び商品名を含むタグデータを取得する。
【0091】
次に,制御部82は,ST66としてタグデータバッファ114を検索する。そして,ST67として無線タグ5から取得したタグデータと重複するデータが既にタグデータバッファ114に格納されているか否かを判断する。
【0092】
重複無しと判断した場合,すなわち,無線タグ5から取得したタグデータと重複するデータが未だタグデータバッファ114に格納されていない場合には(ST67のNO),制御部82は,ST68として対象外タグバッファ115を検索する。そして,ST69として無線タグ5から取得したタグデータに含まれるIDと重複するIDが対象外タグバッファ115に格納されているか否かを判断する。
…(中略)…
【0095】
一方,ST67の判断処理にて重複有りと判断した場合,あるいはST69の判断処理にて重複有りと判断した場合は,制御部82は,ST73としてそのタグデータを破棄する。そして,ST64に戻り,次の応答信号を待機する。すなわち,第1のステップで対象外タグバッファ115にIDが記憶されたタグデータ,つまりは棚卸対象外区画3A,3B,3C,3F,3I,3H,3G及び3Dに位置する商品4A,4B,4C,4F,4I,4H,4G及び4Dに付された無線タグ5のデータは,タグデータバッファ114に記憶されることなく破棄される。」


(3)対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「無線タグ」は物品に付されていることから,本件補正発明の「RFIDタグ」に相当することは明らかである。
そうすると,引用発明の「無線タグ読取装置」は,物品の「無線タグ」を読み取ることから,本件補正発明の「RFIDタグ検出装置」に対応する。

(イ)引用発明では,「制御部」が「アンテナからの電磁波の送信パワーを切り替え制御し,前記アンテナから受信した電磁波に基づき一括して読み取られた複数の無線タグのデータを今回読取メモリに格納する」ところ,引用発明の「アンテナ」が「無線タグのデータ」を読み取るための電磁波を送信し,「無線タグ」からの電磁波を受信することから,引用発明の「アンテナ」,「無線タグのデータ」はそれぞれ,本件補正発明の「読み取り手段」,「RFIDタグの識別情報」に相当すると言える。
また,引用発明では,「前記制御部は,エリア外識別用無線タグが含まれない程度に低下させた電磁波の送信パワーにより読み取られた読取情報を,読取領域内の物品用無線タグのデータとして確定」するところ,引用例1の上記Eの「一方,無線タグ読取装置5は,読取領域9に向けてアンテナ7から電磁波を送信して無線タグを読取る毎に,読み取った無線タグの中にエリア外識別用無線タグ11が含まれるか検索する。そして,含まれているときには,読み取っている範囲が読取領域9と比べて広すぎると判定する。この場合,無線タグ読取装置5は,アンテナ7から出力される電磁波の送信パワーを段階的に低下させて読取動作を繰り返し試行する。」との記載からすると,「エリア外識別用無線タグ」は「アンテナ」からの電磁波の送信パワーが最大値の時は読み取れることから,「エリア外識別用無線タグが含まれない程度に低下させた電磁波の送信パワー」とは,最大値よりも小さい適度な値にセットされた送信パワーであると言える。
そうすると,引用発明において,読取領域内の物品用「無線タグのデータ」を読み取る操作を1つの読み取りモードとみることができ,引用発明の「制御部」は本件補正発明の「取得部」に対応するから,引用発明の「制御部」が「アンテナからの電磁波の送信パワーを切り替え制御し」,「エリア外識別用無線タグが含まれない程度に低下させた電磁波の送信パワーにより読み取られた読取情報を,読取領域内の物品用無線タグのデータとして確定」することは,本件補正発明の「取得部」が「読み取り手段が前記最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグの識別情報を第2の取得モードにて取得する」ことに相当すると言える。

(ウ)引用発明では,「読取領域の外側に置かれた一部の商品に付されている物品用無線タグのデータを格納する警告タグメモリを備え」るところ,「読取領域の外側に置かれた一部の商品」は「除外対象物品」であることは明らかであるから,「警告タグメモリ」が格納する「読取領域の外側に置かれた一部の商品に付されている物品用無線タグのデータ」は本件補正発明の「除外識別情報」に相当すると言え,また,引用発明の「警告タグメモリ」は本件補正発明の「除外情報保持部」に相当すると言える。
また,引用発明では,「制御部」が「警告タグメモリ」に格納するデータの更新を行い,「エリア外識別用無線タグの検出の有無に基づき,制御部が,送信パワーを最大値にセットして得たタグデータを格納した前回読取メモリには記憶されているが,前記今回読取メモリには記憶されていない読取領域の外側近傍に置かれる物品用無線タグのデータを抽出し,抽出したタグデータを前記警告タグメモリに保存する」ところ,読取領域の外側近傍に置かれる物品用無線タグだけを対象にして読み取る操作は行わないものの,アンテナの送信パワーを最大値にして,読取領域内の物品用無線タグのデータに加え,読取領域の外側近傍に置かれる物品用無線タグのデータ,すなわち「除外対象物品」の「除外識別情報」を読み取る操作を行うと言える。
そうすると,引用発明において,「警告タグメモリ」に格納するデータの更新を行うための読み取り操作を1つの読み取りモードとみることができるから,引用発明の「制御部」が「送信パワーを最大値にセットして得たタグデータを格納した前回読取メモリには記憶されているが,前記今回読取メモリには記憶されていない読取領域の外側近傍に置かれる物品用無線タグのデータを抽出し,抽出したタグデータを前記警告タグメモリに保存することにより実行する」ことと,本件補正発明の「取得部」が「読み取り手段が最大出力の電波を出力して読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を第1の取得モードにて取得」することとは,後記する点で相違するものの,“読み取り手段が最大出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグのデータに基づいて,除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を抽出する第1の取得モードにて取得”する点で一致していると言える。

(エ)上記(イ),(ウ)の検討から,引用発明の「制御部」と本件補正発明の「取得部」とに係る事項を比較すると,
両者は,後記する点で相違するものの,“読み取り手段が最大出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグのデータに少なくとも基づいて,除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を抽出する第1の取得モードにて取得し,前記読み取り手段が前記最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグの識別情報を第2の取得モードにて取得する取得部”である点で共通していると言える。

(オ)上記(ウ)の検討から,引用発明の「警告タグメモリ」は本件補正発明の「除外情報保持部」に相当すると言えることから,引用発明の「読取領域の外側に置かれた一部の商品に付されている物品用無線タグのデータを格納する警告タグメモリ」は本件補正発明の「除外識別情報を保持する除外情報保持部」に相当すると言える

(カ)引用発明では,「読取領域内のデータとして確定し,今回読取メモリに記憶した物品用無線タグのデータと前記警告タグメモリ内のデータとを照合」するところ,「読取領域内のデータとして確定し,今回読取メモリに記憶した物品用無線タグのデータ」は本件補正発明の「識別情報」に相当することは明らかであり,「警告タグメモリ内のデータ」は上記(ウ)での検討より「読取領域の外側に置かれた一部の商品に付されている物品用無線タグのデータ」であるから,本件補正発明の「除外識別情報」に相当すると言える。
そうすると,引用発明における「読取領域内のデータとして確定し,今回読取メモリに記憶した物品用無線タグのデータと前記警告タグメモリ内のデータとを照合」する処理は,本件補正発明の「識別情報に前記除外識別情報が含まれているか否かを判定する判定部」に相当するものである。

(キ)引用発明では,「一致するタグデータが存在する場合は警報信号を送信して警報を発」するところ,上記(カ)での検討より,「一致するタグデータが存在する場合」とは,「識別情報」の中に「除外識別情報」が含まれている場合であると言える。
そして,引用発明の「警報信号を送信して警報を発」することは,引用例1の上記Eの「したがって,たとえエリア外識別用無線タグ11がリードコマンドに反応せず,読取領域9の外側近傍に位置する商品3の物品用無線タグ4が確定データに含まれてしまっても,オペレータに警告が発せられるので,誤登録を未然に防ぐことができる。」との記載からみて,読取領域の外側近傍に置かれる物品が区別されて,読取領域内の無線タグのデータに対応する物品を検出し,オペレータに送信するとみることができる。
そうすると,引用発明の「一致するタグデータが存在する場合は警報信号を送信して警報を発」することと,本件補正発明の「識別情報に前記除外識別情報が含まれている場合に,前記識別情報から前記除外識別情報を除いた前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する検出部」とは,後記する点で相違するものの,“識別情報に除外識別情報が含まれている場合に,前記除外識別情報に対応する前記物品が区別されて,前記識別情報に対応する前記物品を検出する検出部”である点で共通していると言える。

イ 以上から,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。

<一致点>

「 物品に付したRFIDタグを検出するRFIDタグ検出装置において,
読み取り手段が最大出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグのデータに基づいて,除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を抽出する第1の取得モードにて取得し,
前記読み取り手段が前記最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグの識別情報を第2の取得モードにて取得する取得部と,
前記除外識別情報を保持する除外情報保持部と,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれているか否かを判定する判定部と,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれている場合に,前記除外識別情報に対応する前記物品が区別されて,前記識別情報に対応する前記物品を検出する検出部と,
を有することを特徴とするRFIDタグ検出装置。」

<相違点1>

第1取得モードでの除外識別情報の抽出に関し,本件補正発明では,「最大出力の電波を出力して読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報」を取得するのに対して,引用発明では,「送信パワーを最大値にセットして得たタグデータを格納した前回読取メモリには記憶されているが,前記今回読取メモリには記憶されていない読取領域の外側近傍に置かれる物品用無線タグのデータを抽出」する点。

<相違点2>

識別情報に除外識別情報が含まれている場合の検出部の処理について,本件補正発明では,「識別情報から前記除外識別情報を除いた前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する」のに対して,引用発明では,除外対象物品が含まれていることを示す「警報信号を送信して警報を発」するものの,識別情報から除外識別情報を除くことは行っていない点。


(4)当審の判断

上記相違点1及び2について検討する。

ア 相違点1について

引用発明では,「エリア外識別用無線タグの検出の有無に基づき,制御部が,送信パワーを最大値にセットして得たタグデータを格納した前回読取メモリには記憶されているが,前記今回読取メモリには記憶されていない読取領域の外側近傍に置かれる物品用無線タグのデータを抽出」するところ,前回読取メモリに記憶した送信パワーを最大値にセットして得たタグデータを用いるのは,読取領域内の物品の他に,読取領域の外側の物品(除外対象物品)の無線タグのデータを含む故であり,読取領域内に物品が置かれていない状態で,送信パワーを最大値にセットして無線タグのデータを取得すれば,その取得データだけで読取領域の外側の物品の無線タグのデータを抽出できると言える。
そうすると,引用発明において,適宜,読取領域内に物品が置かれていない状態で,送信パワーを最大値にセットして無線タグのデータを取得し,除外対象物品(読取領域の外側の物品)の無線タグのデータを抽出すること,すなわち,上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について

引用発明では,「読取領域内のデータとして確定し,今回読取メモリに記憶した物品用無線タグのデータと前記警告タグメモリ内のデータとを照合し,一致するタグデータが存在する場合は警報信号を送信して警報を発する」ところ,読取領域内の物品の無線タグのデータに除外対象物品の無線タグのデータが含まれる場合に,除外対象物品のデータが区別されて物品を検出しているとみることができるが,無線タグから取得された物品のデータの中から対象外物品のデータを除いて対象とする物品のデータを抽出することは,例えば引用例2(上記Gを参照)に記載されるように,本願の出願日前には当該技術分野における周知技術であった。
また,無線タグ検出システムおいて,対象外物品のデータが含まれている場合に,対象外物品を区別して検出する方法として,対象外物品が含まれていることを示す警報信号を送信して警報を発するか,あるいは,対象外物品のデータを除いて対象とする物品のデータを抽出するか,は当業者であれば必要に応じて選択し得た設計的事項に過ぎない。
そうすると,引用発明において,引用例2に記載される上記周知技術を適用し,適宜,読み取った識別情報に除外識別情報が含まれている場合に,前記識別情報から前記除外識別情報を除いた前記識別情報に対応する物品を検出対象物品として検出すること,すなわち,上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 小括

上記で検討したごとく,相違点1及び2に係る構成は当業者が容易に想到し得たものであり,そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本件補正発明は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。


4 補正却下の決定のむすび

上記「3 独立特許要件」で指摘したとおり,補正後の請求項1に記載された発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから,本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 平成27年9月14日付け上申書について

平成27年9月14日付け上申書において請求人は,特許請求の範囲の補正案を提示し,

『 請求項1は,以下のように補正する用意があります。
「物品に付したRFIDタグを検出するRFIDタグ検出装置において,読み取り手段が最大出力の電波を出力して読み取った,除外対象物品のみがひとまとめにされた除外対象物品群から前記除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を第1の取得モードにて取得し,前記読み取り手段が前記最大出力よりも小さく,読み取り可能な範囲が物品の配置領域よりも広い任意の適正出力の電波を出力して読み取った,前記除外対象物品群の近傍の前記物品のRFIDタグの識別情報を第2の取得モードにて取得する取得部と,前記除外識別情報を保持する除外情報保持部と,前記識別情報に前記除外識別情報が含まれているか否かを判定する判定部と,前記識別情報に前記除外識別情報が含まれている場合に,前記識別情報から前記除外識別情報を除いた前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する検出部と,を有することを特徴とするRFIDタグ検出装置。」
…(中略)…
一方,上記補正後の請求項1,5に係る発明では,「読み取り手段が最大出力の電波を出力して読み取った,除外対象物品のみがひとまとめにされた除外対象物品群から前記除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を第1の取得モードにて取得」しています。
したがって,引用文献1に,引用文献2と同様の構成を追加したとしても,警告タグデータの取得は,上記補正後の請求項1,5に係る発明に規定する除外対象情報の取得と異なるものと考えられます。
このように,補正後の請求項1,5に係る発明では,単に最大出力の電波を出力して除外対象物品群から除外識別情報を取得しているために,引用文献1と比較して短時間で除外識別情報を取得することが可能になることが考えられます。』

との主張をしている。
しかしながら,前記「第2 平成27年6月10日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(4)当審の判断」の「ア 相違点1について」に記載したとおり,引用発明において,読取メモリに記憶した送信パワーを最大値にセットして得たタグデータを用いるのは,読取領域内の物品の他に,読取領域の外側の物品(除外対象物品)の無線タグのデータを含む故であり,読取領域内に物品が置かれていない状態で,送信パワーを最大値にセットして無線タグのデータを取得すれば,その取得データだけで読取領域の外側の物品の無線タグのデータを抽出できることは自明である。
また,除外対象物品のみがひとまとめにされた除外対象物品群から前記除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を取得する点についても,引用例1の図1の記載からすると,引用発明の読取領域外側の物品は群をなす態様を含むと解されることから,引用発明において,適宜,読取領域内に物品が置かれていない状態を設定して,送信パワーを最大値にセットして無線タグのデータを取得し,除外対象物品群(読取領域の外側の物品群)の無線タグのデータを抽出することは当業者が容易に想到し得たことである。

さらに,上申書において請求人は,
『 一方,上記補正後の請求項1,5に係る発明では,「前記読み取り手段が前記最大出力よりも小さく,読み取り可能な範囲が物品の配置領域よりも広い任意の適正出力の電波を出力して読み取った,前記除外対象物品群の近傍の前記物品のRFIDタグの識別情報を第2の取得モードにて取得」しています。
このように,補正後の請求項1,5に係る発明では,エリアを区切るためのエリア外識別用無線タグ11を必要としておらず,事前に,エリア外識別用無線タグ11を登録する必要もありません。
また,補正後の請求項1,5に係る発明では,RFIDタグの識別情報を一括取得するために適正出力の電波を設定しています。 …(後略)… 』
との主張をしている。
しかしながら,引用発明においても,「制御部は,エリア外識別用無線タグが含まれない程度に低下させた電磁波の送信パワーにより読み取られた読取情報を,読取領域内の物品用無線タグのデータとして確定」しており,引用例1の上記Eの「そして,エリア外識別用無線タグ11が含まれなくなった時点の読取情報,すなわち読取った無線タグの中にエリア外識別用無線タグ11が含まれていない場合で送信パワーが最大のときの読取情報を,読取領域9内の物品用無線タグ4のデータとして確定し,POS端末8に送信する。」との記載からすると,読取った無線タグの中にエリア外識別用無線タグが含まれていない場合で送信パワーが最大のとき,すなわち,読取領域内の物品の配置領域よりも広い適正なパワーのときの読取情報を,読取領域内の物品用無線タグのデータとして確定すると言える。
そして,引用発明において,読取った無線タグの中にエリア外識別用無線タグが含まれているか否かに基づいて読取領域外側の対象外物品の無線タグのデータを抽出することに代えて,適宜,読取領域内に物品が置かれていない状態を設定して,送信パワーを最大値にセットして無線タグのデータを取得し,除外対象物品群(読取領域の外側の物品群)の無線タグのデータを抽出することにより,エリア外識別用無線タグを用いることなく適正なパワーで読取領域内の物品用無線タグのデータを抽出することは当業者が容易に想到し得たことである。


第4 本願発明について

1 本願発明

平成27年6月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,補正後の請求項1に対応する補正前の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成26年11月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。

「 物品に付したRFIDタグを検出するRFIDタグ検出装置において,
読み取り手段が読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報を第1の取得モードにて取得し,前記読み取り手段が読み取った物品のRFIDタグの識別情報を第2の取得モードにて取得する取得部と,
前記除外識別情報を保持する除外情報保持部と,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれているか否かを判定する判定部と,
前記識別情報に前記除外識別情報が含まれている場合に,前記識別情報から前記除外識別情報を除いた前記識別情報に対応する前記物品を検出対象物品として検出する検出部と,
を有することを特徴とするRFIDタグ検出装置。」

2 引用例に記載されている技術的事項及び引用発明

原査定の拒絶の理由に引用された,引用発明は,前記「第2 平成27年6月10日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(2)引用例」に記載したとおりである。

3 対比・判断

本願発明は,前記「第2 平成27年6月10日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」で検討した本件補正発明の発明特定事項である「最大出力の電波を出力して読み取った除外対象物品のRFIDタグの除外識別情報」から「最大出力の電波を出力して」の限定事項を削除し,また,「前記最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して読み取った物品のRFIDタグの識別情報」から「前記最大出力よりも小さい適正出力の電波を出力して」の限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が,前記「第2 平成27年6月10日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(2)引用例」乃至「(4)当審の判断」に記載したとおり,引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,上記特定の限定を省いた本願発明も同様の理由により,引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。


第5 むすび

以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-15 
結審通知日 2016-02-16 
審決日 2016-03-07 
出願番号 特願2012-9936(P2012-9936)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡北 有平村田 充裕  
特許庁審判長 高木 進
特許庁審判官 須田 勝巳
辻本 泰隆
発明の名称 RFIDタグ検出装置、RFIDタグ検出方法及びRFIDタグ検出システム  
代理人 服部 毅巖  
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