• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1314253
審判番号 不服2015-16134  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-01 
確定日 2016-05-24 
事件の表示 特願2011- 93106「画像形成装置、画像形成装置における処理方法および画像形成装置に向けられたプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月15日出願公開、特開2012-227702、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年4月19日の出願であって、平成26年10月29日付けの拒絶理由通知に対し、平成26年12月22日付けで手続補正がなされたが、平成27年5月28日付けで拒絶査定がなされたものである。
本件は、上記拒絶査定を不服として、平成27年9月1日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成27年9月1日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
(1)本件補正は、本件補正前の平成26年12月22日付け手続補正の特許請求の範囲の請求項1ないし10である、

「【請求項1】
画像合成に用いられる第1の画像データを保持する記憶手段と、
画像合成の対象の候補である第2の画像データを取得する取得手段と、
前記第2の画像データのうち画像領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された画像領域に含まれる部分領域の種別の組み合わせに基づいて当該画像領域の状況を判断するとともに、当該判断した状況に基づいて前記第1の画像データを前記抽出された画像領域に合成可能であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による合成可能との判断に応答して、前記第1の画像データを前記第2の画像データの前記画像領域に合成することで、合成画像を生成する画像生成手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記判断した状況が予め定められた条件を満足しているか否かを評価することで、合成可能であるか否かを判断する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、1つまたは複数の前記第1の画像データを保持しており、
前記予め定められた条件は、前記第1の画像データの各々に関連付けて定義される、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記画像領域に含まれる部分領域の種別に基づいて、予め定義されたいずれかの状況と合致するか否かを判断する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記予め定められた条件は、対応する前記第1の画像データを合成すべき部分領域の定義を含み、
前記画像生成手段は、前記第2の画像データの画像領域のうち指定された部分領域に前記第1の画像データを合成する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判断手段は、前記第1の画像データに関連付けられている合成すべき部分領域の定義に適合する部分領域が複数存在する場合に、前記第1の画像データを合成すべき部分領域についてのユーザからの選択を促す、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像生成手段は、前記第1の画像データを合成する前記第2の画像データの画像領域、または、当該画像領域に含まれる部分領域に応じて、前記第1の画像データを調整した上で、合成処理を行なう、請求項4?6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像生成手段は、前記第1の画像データについて、大きさ、角度、輝度、下地の少なくとも1つを調整する、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像合成が可能な画像形成装置における処理方法であって、
画像合成に用いられる第1の画像データを保持するステップと、
画像合成の対象の候補である第2の画像データを取得するステップと、
前記第2の画像データのうち画像領域を抽出するステップと、
抽出された画像領域に含まれる部分領域の種別の組み合わせに基づいて当該画像領域の状況を判断するとともに、当該判断した状況に基づいて前記第1の画像データを前記抽出された画像領域に合成可能であるか否かを判断するステップと、
合成可能との判断に応答して、前記第1の画像データを前記第2の画像データの前記画像領域に合成することで、合成画像を生成するステップとを備える、処理方法。
【請求項10】
画像合成が可能な画像形成装置に向けられたプログラムであって、前記プログラムは、
前記画像形成装置のプロセッサを、
画像合成に用いられる第1の画像データを保持する記憶手段と、
画像合成の対象の候補である第2の画像データを取得する取得手段と、
前記第2の画像データのうち画像領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された画像領域に含まれる部分領域の種別の組み合わせに基づいて当該画像領域の状況を判断するとともに、当該判断した状況に基づいて前記第1の画像データを前記抽出された画像領域に合成可能であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による合成可能との判断に応答して、前記第1の画像データを前記第2の画像データの前記画像領域に合成することで、合成画像を生成する画像生成手段として機能させる、プログラム。」

を、平成27年9月1日付け手続補正により、

「【請求項1】
画像合成に用いられる第1の画像データを保持する記憶手段と、
画像合成の対象の候補である第2の画像データを取得する取得手段と、
前記第2の画像データのうち画像領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された画像領域に含まれる部分領域の種別の組み合わせに基づいて当該画像領域が属するシーンを判断するとともに、当該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価することで、前記第1の画像データを前記抽出された画像領域に合成可能であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による合成可能との判断に応答して、前記第1の画像データを前記第2の画像データの前記画像領域に合成することで、合成画像を生成する画像生成手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、1つまたは複数の前記第1の画像データを保持しており、
前記予め定められた条件は、前記第1の画像データの各々に関連付けて定義される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記画像領域に含まれる部分領域の種別に基づいて、予め定義されたいずれかのシーンと合致するか否かを判断する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記予め定められた条件は、対応する前記第1の画像データを合成すべき部分領域の定義を含み、
前記画像生成手段は、前記第2の画像データの画像領域のうち指定された部分領域に前記第1の画像データを合成する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記第1の画像データに関連付けられている合成すべき部分領域の定義に適合する部分領域が複数存在する場合に、前記第1の画像データを合成すべき部分領域についてのユーザからの選択を促す、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像生成手段は、前記第1の画像データを合成する前記第2の画像データの画像領域、または、当該画像領域に含まれる部分領域に応じて、前記第1の画像データを調整した上で、合成処理を行なう、請求項3?5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像生成手段は、前記第1の画像データについて、大きさ、角度、輝度、下地の少なくとも1つを調整する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像合成が可能な画像形成装置における処理方法であって、
画像合成に用いられる第1の画像データを保持するステップと、
画像合成の対象の候補である第2の画像データを取得するステップと、
前記第2の画像データのうち画像領域を抽出するステップと、
抽出された画像領域に含まれる部分領域の種別の組み合わせに基づいて当該画像領域が属するシーンを判断するとともに、当該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価することで、前記第1の画像データを前記抽出された画像領域に合成可能であるか否かを判断するステップと、
合成可能との判断に応答して、前記第1の画像データを前記第2の画像データの前記画像領域に合成することで、合成画像を生成するステップとを備える、処理方法。
【請求項9】
画像合成が可能な画像形成装置に向けられたプログラムであって、前記プログラムは、前記画像形成装置のプロセッサを、
画像合成に用いられる第1の画像データを保持する記憶手段と、
画像合成の対象の候補である第2の画像データを取得する取得手段と、
前記第2の画像データのうち画像領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された画像領域に含まれる部分領域の種別の組み合わせに基づいて当該画像領域が属するシーンを判断するとともに、当該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価することで、前記第1の画像データを前記抽出された画像領域に合成可能であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による合成可能との判断に応答して、前記第1の画像データを前記第2の画像データの前記画像領域に合成することで、合成画像を生成する画像生成手段として機能させる、プログラム。」

と補正するものである。

なお、下線は、補正箇所である。
また、明細書の段落0018、0019、0021、0026、0027を補正後の特許請求の範囲の請求項1、3、8、9の補正に合わせて補正している。

(2)特許請求の範囲の上記補正前後の構成を対比すると、以下のように補正するものである。

補正事項1
補正前の請求項1を削除する。

補正事項2
補正前の請求項1を引用する請求項2について、「当該画像領域の状況を判断」、「当該判断した状況」を、「当該画像領域が属するシーンを判断」、「当該判断したシーン」とし、補正後の請求項1とする。

補正事項3
補正前の請求項3について、「請求項2に記載の」を、「請求項1に記載の」とし、補正後の請求項2とする。

補正事項4
補正前の請求項4について、「請求項3に記載の」を、「請求項2に記載の」とし、「いずれかの状況」を、「いずれかのシーン」とし、補正後の請求項3とする。

補正事項5
補正前の請求項5について、「請求項4に記載の」を、「請求項3に記載の」とし、補正後の請求項4とする。

補正事項6
補正前の請求項6について、「請求項5に記載の」を、「請求項4に記載の」し、補正後の請求項5とする。

補正事項7
補正前の請求項7について、「請求項4?6のいずれか1項」を、「請求項3?5のいずれか1項」とし、補正後の請求項6とする。

補正事項8
補正前の請求項8について、「請求項7に記載の」を、「請求項6に記載の」とし、補正後の請求項7とする。

補正事項9
補正前の請求項9について、「当該画像領域の状況を判断」、「当該判断した状況に基づいて」を、「当該画像領域が属するシーンを判断」、「当該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価することで、」とし、補正後の請求項8とする。

補正事項10
補正前の請求項10について、「当該画像領域の状況を判断」、「当該判断した状況に基づいて」を、「当該画像領域が属するシーンを判断」、「当該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価することで、」とし、補正後の請求項9とする。

2.補正の適否
(1)新規事項の追加の有無、特別な技術的特徴の変更について
(1-1)補正事項1について
請求項を削除する補正であり、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるから、特許法第17条の2第3項に違反しない。

(1-2)補正事項2、4、9、10について
補正事項2について、補正前の「当該画像領域の状況を判断」、「当該判断した状況」を「当該画像領域が属するシーンを判断」、「当該判断したシーン」と補正すること、補正事項4について、「いずれかの状況」を、「いずれかのシーン」と補正すること、補正前の補正事項9、10について、補正前の「当該画像領域の状況を判断」、「当該判断した状況に基づいて」を「当該画像領域が属するシーンを判断」、「当該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価することで、」と補正することは、明細書の段落0019、0065、0066、0074、0096等の記載からみて、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるから、特許法第17条の2第3項に違反しない。
また、補正事項4の、請求項1が削除されたこと伴い、引用する請求項を変更する補正も、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるから、特許法第17条の2第3項に違反しない。

(1-3)補正事項3、5?8について
請求項1が削除されたこと伴い、引用する請求項を変更する補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるから、特許法第17条の2第3項に違反しない。

(1-4)明細書の補正について
明細書の段落0018、0019、0021、0026、0027についての補正は、特許請求の範囲の補正に即して補正しているものであり、同様に、特許法第17条の2第3項に違反しない。

さらに、特許法第17条の2第4項に違反するところはない。

(2)補正の目的について
(2-1)補正事項1について
本件補正の補正事項1は、請求項を削除する補正であるから、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。

(2-2)補正事項2について
本件補正の補正事項2は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、平成26年12月22日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項2に記載された
「当該画像領域の状況を判断」、「当該判断した状況」に関して、「当該画像領域が属するシーンを判断」、「当該判断したシーン」に限定するものであって、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2-3)補正事項3、5?8について
本件補正の補正事項3、5?8は、補正事項1により、請求項1が削除されたこと伴い、引用する請求項を変更し、また、直接若しくは間接的に引用する請求項1が「当該画像領域の状況を判断」、「当該判断した状況」を、「当該画像領域が属するシーンを判断」、「当該判断したシーン」に限定する補正であるから、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2-4)補正事項4について
本件補正の補正事項4は、補正事項1により、請求項1が削除されたこと伴い、引用する請求項を変更し、「いずれかの状況」を、「いずれかのシーン」に限定し、間接的に引用する請求項1が「当該画像領域の状況を判断」、「当該判断した状況」を、「当該画像領域が属するシーンを判断」、「当該判断したシーン」に限定するものであって、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2-5)補正事項9、10について
本件補正の補正事項9、10は、「当該画像領域の状況を判断」、「当該判断した状況に基づいて」を、「当該画像領域が属するシーンを判断」、「当該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価することで、」に限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)限定的減縮について
そこで、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する本件補正後の請求項1ないし9に記載された発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(3-1)補正後発明
補正後の請求項1ないし9に係る発明は、上記1.の補正後のとおりであり、そのうちの、補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正後発明1」という。)は、上記の本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
なお、A?Fについては、説明のために当審にて付したものである。
(以下、「構成A」、・・・、「構成F」という。)

「A 画像合成に用いられる第1の画像データを保持する記憶手段と、
B 画像合成の対象の候補である第2の画像データを取得する取得手段と、
C 前記第2の画像データのうち画像領域を抽出する抽出手段と、
D 前記抽出手段により抽出された画像領域に含まれる部分領域の種別の組み合わせに基づいて当該画像領域が属するシーンを判断するとともに、当該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価することで、前記第1の画像データを前記抽出された画像領域に合成可能であるか否かを判断する判断手段と、
E 前記判断手段による合成可能との判断に応答して、前記第1の画像データを前記第2の画像データの前記画像領域に合成することで、合成画像を生成する画像生成手段とを備える、
F 画像形成装置。」

(3-2)刊行物発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-283079号公報(以下、「刊行物」という。)には、「通信サービス方法とその装置、通信端末装置、通信システム、広告宣伝方法」として、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動画像を含む任意のデータを伝送可能な通信ネットワークにおける特定の利用者間のプライベートな通信環境において、たとえば商品の広告宣伝サービスや電子商取引環境などの付加サービスを提供することができる通信サービス方法および通信サービス装置、そのようなサービスを享受することのできる通信端末装置、そのような通信システム、および、そのような環境において商品の広告宣伝サービスを行なう広告宣伝方法に関わる。」

イ.「【0009】また、本発明の通信サービス装置は、複数の通信端末装置を、音声および画像の伝送が可能な状態で接続する接続手段と、前記接続された通信端末装置より発信される画像を受信する受信手段と、前記受信した画像に、任意の商品に係わる画像を合成する画像合成手段と、前記合成された画像を、前記接続された他の通信端末装置に送信する送信手段とを有する。」

ウ.「【0040】そのようなサービス事業者システム300について図3?図5を参照して説明する。図3は、サービス事業者システム300の構成を示すブロック図である。図3に示すように、サービス事業者システム300は、通信I/F310、広告情報付加部320、データベースI/F330、ユーザデータベース350、スポンサーデータベース360、契約関係データベース370、広告情報データベース380および制御部340を有する。」

エ.「【0042】また、ユーザ端末装置100が他のユーザ端末装置100との通信を要求している場合には、通信I/F310は、制御部340よりその通信相手先のユーザ端末装置100と回線接続するよう指示されるので、その指示に基づいて、接続事業者システム200に対して接続を要求する。これにより、通信要求元のユーザ端末装置100および通信相手先のユーザ端末装置100の双方と、通信路が確立される。通信路が確立した後は、通信I/F310は、各ユーザ端末装置100から入力される画像信号および音声信号を含む信号を受信し、広告情報付加部320に出力する。また、広告情報付加部320より入力される画像信号および音声信号を含む信号を、各ユーザ端末装置100に送信する。
【0043】広告情報付加部320は、通信I/F310より入力されるユーザ端末装置100間の伝送データに、発信元のユーザ端末装置100に係わる利用者による設定に基づいて、必要に応じて広告情報を付加する。広告情報付加部320には、各ユーザ端末装置100より送信された音声データ、映像データおよび制御データが通信I/F310を介して入力される。音声データについては、本実施の形態においては何ら広告情報を付加しないので、広告情報付加部320は、入力された音声データをそのまま通信相手のユーザ端末装置100に対する送信データとして通信I/F310に出力する。
【0044】画像データについては、発信元の利用者が広告情報を付加するよう設定を行なっていた場合、広告情報付加部320は、送信されたたとえば利用者のライブ映像である画像データの一部に、データベースI/F330より入力される利用者により選定された特定の商品の広告情報の画像データを合成し、その合成された画像データを通話相手のユーザ端末装置100に対する送信データとして通信I/F310に出力する。そして特に、本実施の形態の広告情報付加部320においては、広告対象の商品の画像データを、利用者のライブ映像に適合した形態で、より具体的には、その商品を示す画像が利用者やその背景に使用されている形態、あるいはその商品自体を利用者が身につけていたり、保持していたり、利用者の存在する空間においてあったりする形態で、その利用者のライブ映像に合成する。」

オ.「【0047】このような処理を行なう広告情報付加部320の、特に画像データに対して広告画像データを付加する処理を行なう部分の構成について、図4および図5を参照してより詳細に説明する。図4は、広告情報付加部320の画像データに対して広告画像データを付加する処理を行なう部分の構成を示すブロック図である。広告情報付加部320は、画像合成領域抽出部321、前処理部326、画像合成部327および切り換え部328を有する。
【0048】画像合成領域抽出部321は、入力される画像データおよび制御部340から入力される合成対象の広告画像データを合成するのに好ましい対象物の情報とに基づいて、広告画像データを合成する対象物を決定し、その対象物の領域を規定する情報を前処理部326および画像合成部327に出力する。この画像合成領域抽出部321の構成および動作について、さらに図5を参照して詳細に説明する。図5は、図4に示した画像合成領域抽出部321の構成を示すブロック図である。画像合成領域抽出部321は、特徴抽出部322、知識データベース323、対象オブジェクト検出部324および合成領域決定部325を有する。
【0049】特徴抽出部322は、入力される画像データより、たとえば輝度の変化点、色の変化点、特定の色の点など所定の特徴点を抽出し、抽出した特徴点の情報を対象オブジェクト検出部324に出力する。
【0050】知識データベース323は、画像合成領域抽出部321が認識しようとしている入力画像データ中の対象物、すなわち、前述したように広告画像データを置換あるいは合成する可能性のある対象物のデータが、ユーザ端末装置100を通常に使用した場合に撮影されて生成される画像データを対象オブジェクト検出部324において検出対象としている特徴点により規定した形式で記録しているデータベースである。各対象物のデータは、通常あり得るような場面を、ユーザ端末装置100を通常に使用して撮影した場合に生成される可能性の高い、典型的ないくつかの画像データに対応する各状態ごとに、複数記録されている。また、知識データベース323には、たとえば「顔や手は皮膚の色である」というような各対象物の特徴点の配置以外の他の特徴や、あるいは、たとえば「顔の下に上着があってその両脇に手がある」というような各対象物の相対的な位置関係の特徴なども記憶されている。
【0051】対象オブジェクト検出部324は、特徴抽出部322で抽出された特徴点の構成と、知識データベース323に記録されている各対象物のデータとを比較し、さらに特徴点の配置以外の他の特徴や、既に検出された対象物との相対的な位置関係の特徴などを参照して、入力画像データの中の広告画像データを置換あるいは合成する可能性のある特定の対象物の領域を検出する。検出された対象物の情報は、合成領域決定部325に出力される。
【0052】合成領域決定部325は、対象オブジェクト検出部324より入力される対象物の検出結果の情報と、制御部340より入力される広告画像データを合成するのに好ましい対象物の情報とに基づいて、最終的の広告画像データを合成する対象物を決定する。制御部340から合成領域決定部325には、各商品ごとに予め設定された、合成可能な対象物およびその中での優先順位の情報が入力される。したがって、合成領域決定部325は、優先順位の高い方から順に、合成可能な対象物が対象オブジェクト検出部324で検出さているか否かをチェックし、検出されている場合にその対象物を合成対象の対象物と決定する。そして合成領域決定部325は、その対象物の領域を規定する情報を、画像合成領域抽出部321より出力する。以上が、画像合成領域抽出部321の構成の説明である。
【0053】広告情報付加部320の前処理部326は、広告情報データベース380より読み出されデータベースI/F330を介して入力される合成対象の広告画像データを、画像合成領域抽出部321で抽出された合成対象の領域に合成可能なサイズ、形状に変換し、画像合成部327に出力する。
【0054】画像合成部327は、入力される画像データの、画像合成領域抽出部321より入力される合成対象の領域のデータと、前処理部326より入力される広告画像データとを合成し、合成結果の画像データを切り換え部328に出力する。本実施の形態においては、画像合成部327は、単に入力画像データの合成対象の領域のデータを広告画像データで置換して出力する。」

カ.「【0060】広告情報データベース380は、広告対象の各商品の広告情報が記録されたデータベースである。広告情報データベース380には、各商品ごとにその広告情報、すなわちその商品の画像データと付加情報が記録される。付加情報は、その商品のスポンサーのスポンサーシステム400の接続情報およびその画像データが利用者により選択された場合にユーザ端末装置100の動作を規定する情報を含む。そして広告情報データベース380は、データベースI/F330により広告対象の商品に係わる情報が高速に読み出される。また、スポンサーから送信された新たな商品の広告情報が、データベースI/F330を介して適宜記録される。」

キ.「【0067】一方、サービス事業者システム300の制御部340においては、利用者Aから接続要求があった時点で、ユーザデータベース350の利用者Aおよび利用者Bの情報を検索し、利用者Aおよび利用者Bが各々ライブ映像を広告媒体として使用する設定を行なっているか否かをチェックする。その結果、利用者Aについてはそのような設定がなされているため、制御部340は契約関係データベース370より、商品、商品の切り換え条件、対価受け取り方法などの情報を読み出し、また、スポンサーデータベース360より、その商品の広告情報が記録されている広告情報データベース380上のアドレス、その商品を合成する際の合成形態などの情報を読み出す。
【0068】そして、これら読み出した情報に基づいて、制御部340が、データベースI/F330に対して広告対象の商品のデータを広告情報データベース380から読み出すように、また、広告情報付加部320に対して、利用者およびスポンサーが望む形態で、商品の画像データがライブ映像に合成されるように、各々指示する。このような状態で、利用者Aのユーザ端末装置100_(-A)よりサービス事業者システム300に、利用者Bのユーザ端末装置100_(-B)に送信するライブ映像が入力されると、広告情報付加部320においてそのライブ映像に広告対象の商品の画像が合成されて、利用者Bのユーザ端末装置100_(-B)に送信される。
【0069】たとえば、図7に示すようなライブ映像500が入力され、広告対象の商品がハンバーガーであり、商品の合成形態が「衣服にその商品の絵を印刷する」というような条件であった場合、利用者Bに対しては図8に示すように、利用者Aの着ているTシャツにハンバーガーの絵柄502が印刷されているような映像が送信されることになる。またこの時には、合成された画像データとともに、広告対象商品の画像データが表示される領域、その商品のスポンサーのスポンサーシステム400のアドレス、接続先などの情報が、制御データとして同時に利用者Bのユーザ端末装置100_(-B)に送信される。
【0070】図8に示すような合成映像を生成する広告情報付加部320内の処理について説明する。まず、広告情報付加部320の画像合成領域抽出部321内の特徴抽出部322において、図7に示すようなライブ映像より輝度変化点や色変化点あるいは色の代表点などの特徴点が検出される。次に、対象オブジェクト検出部324において、予め顔や手、上着といったような形状が記録されている知識データベース323の情報が積極的に活用されて、特徴点で構成される画像よりそれら顔、手、上着などといったオブジェクトが検出される。たとえば図7に示すような画像からは、顔、手、上着というようなオブジェクトが検出される。
【0071】そして合成領域決定部325において、検出されたオブジェクトの中より制御部340より入力される広告対象商品の合成形態の情報に合致したオブジェクトが選択され、その領域情報が前処理部326および画像合成部327に出力される。たとえば、商品「ハンバーガー」に対して、「背景の平面の上」、「上着」、「手」というような合成形態が順に設定されていたとすると、2番目の「上着」が合致するので、この上着のライブ映像中の領域情報が出力される。
【0072】次に、広告情報付加部320の前処理部326におい、広告情報データベース380よりデータベースI/F330を介して入力された画像データ、すなわち「ハンバーガー」の画像データを、画像合成領域抽出部321で検出された領域に埋め込むのに適切なサイズ、形状に変換し、変換結果の画像データを画像合成部327に出力する。そして画像合成部327において、入力された図7に示すようなライブ映像の、画像合成領域抽出部321より入力される上着の領域に、前処理部326より入力されるハンバーガの画像データが合成され、図8に示すような画像が生成される。生成された合成画像データは、切り換え部328で選択されて通信I/F310を介して利用者Bのユーザ端末装置100_(-B)に送信される。」

上記ア.?キ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、

(a)刊行物には、上記ア.、イ.に記載があるように、商品の広告宣伝サービスを提供することができるように、画像に任意の商品に係わる画像を合成する通信サービス装置についての記載がある。

(b)上記ウ.?キ.の記載から、サービス事業者システムは、画像データに広告画像データを合成するものであり、上記ア.、イ.の通信サービス装置を指している。
そして、上記ウ.、オ.の段落0053、カ.、キ.の段落0068、0072の記載から、通信サービス装置(サービス事業者システム)は、合成対象の広告画像データを記録する広告情報データベースを有するものである。

(c)上記ウ.、エ.の記載から、通信サービス装置(サービス事業者システム)は、各ユーザ端末装置から入力されるライブ映像である画像データを受信する通信I/Fを有するものである。

(d)上記オ.の段落0048?0052、上記キ.の段落0070、0071の記載から、通信サービス装置(サービス事業者システム)は、入力されるライブ映像である画像データより、広告画像データを合成する可能性のある顔、手、上着などといったオブジェクトを検出する対象オブジェクト検出部、検出されたオブジェクトの情報と、各広告対象商品ごとに予め設定された、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトの情報とに基づいて、広告画像データを合成するオブジェクトを決定し、オブジェクトの領域情報を出力する合成領域決定部を含む画像合成領域抽出部を有するものである。

(e)上記オ.の段落0053、0054、上記キ.の段落0072の記載から、通信サービス装置(サービス事業者システム)は、広告情報データベースより入力される合成対象の広告画像データを、画像合成領域抽出部より入力される領域に合成し出力する画像合成部を有するものである。

そうすると、刊行物には、以下の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されている。
なお、a?eについては、説明のために当審にて付したものである。
(以下、「構成a」、・・・、「構成e」という。)

「a 合成対象の広告画像データを記録する広告情報データベースと、
b 各ユーザ端末装置から入力されるライブ映像である画像データを受信する通信I/Fと、
c-1 入力されるライブ映像である画像データより、顔、手、上着などといったオブジェクトを検出する対象オブジェクト検出部、
c-2 検出されたオブジェクトの情報と、各広告対象商品ごとに予め設定された、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトの情報とに基づいて、広告画像データを合成するオブジェクトを決定し、オブジェクトの領域情報を出力する合成領域決定部
を含む画像合成領域抽出部と、
d 広告情報データベースより入力される合成対象の広告画像データを、画像合成領域抽出部より入力される領域に合成し出力する画像合成部とを備える、
e 通信サービス装置。」

(3-3)対比
(3-3-1)引用発明の構成aと補正後発明1の構成Aについて
引用発明の構成aの「合成対象の広告画像データ」は、画像合成に用いられる画像データであるから、補正後発明1の構成Aの「画像合成に用いられる第1の画像データ」に相当する。
また、引用発明の構成aの「広告情報データベース」は、広告画像データを記録しているので、補正後発明1の構成Aの「記憶手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成aは、補正後発明1の構成Aに相当する。

(3-3-2)引用発明の構成bと補正後発明1の構成Bについて
引用発明の構成c-1より、入力されるライブ映像である画像データからオブジェクトを検出するものであるから、オブジェクトは、入力されるライブ映像である画像データの一部分である。
また、下記(3-3-4)で詳述するように、引用発明の構成c-2は、『検出されたオブジェクトに基づいて、各広告対象商品ごとに予め設定された、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトの情報と一致するか否か比較することにより、広告画像データを入力されるライブ映像である画像データに合成するか否かを判断している』ものである。
すなわち、「入力されるライブ映像である画像データ」の一部分の画像であるオブジェクトが、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトであれば合成するが、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトでなければ合成しないものである。
そうすると、「入力されるライブ映像である画像データ」は、広告画像データと合成する場合もあるし、合成しない場合もあるといえるので、引用発明の構成bの「各ユーザ端末装置から入力されるライブ映像である画像データ」は、広告画像データと合成するに際しての候補の画像データであるといえ、補正後発明1の構成Bの「画像合成の対象の候補である第2の画像データ」に相当する。
また、引用発明の構成bの「通信I/F」は、画像データを受信すなわち取得しているので、補正後発明1の構成Bの「取得手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成bは、補正後発明1の構成Bに相当する。

(3-3-3)補正後発明1の構成Cについて
上記(3-3-2)で検討したように、引用発明の構成bの「入力されるライブ映像である画像データ」は、補正後発明1の構成Bの「画像合成の対象の候補である第2の画像データ」に相当するが、引用発明においては、「入力されるライブ映像である画像データ」のうち画像領域を抽出する抽出手段を有しておらず、引用発明は、補正後発明1の構成Cを有するものではない点で、補正後発明1と相違する。

(3-3-4)引用発明の構成c-1、c-2と補正後発明1の構成Dについて
引用発明の構成c-1の「顔、手、上着などといったオブジェクト」とは、「入力されるライブ映像である画像データ」の一部分の画像であるから、「入力されるライブ映像である画像データ」に含まれる部分画像といえ、また、「入力されるライブ映像である画像データ」は、補正後発明1の「第2の画像データ」に相当し、補正後発明1の「画像領域」は、第2の画像データより抽出されるから、引用発明の構成c-1の「顔、手、上着などといったオブジェクト」と、補正後発明1の「前記抽出手段により抽出された画像領域に含まれる部分領域」とは、「第2の画像データに含まれる部分領域」である点で共通する。
しかし、引用発明は、上記(3-3-3)で検討したように、画像領域を抽出する抽出手段を有していないので、部分領域に関して、引用発明は、「入力されるライブ映像である画像データ」に含まれるのに対し、補正後発明1は、「前記抽出手段により抽出された画像領域」に含まれる点で相違する。

引用発明の構成c-2は、検出されたオブジェクトの情報と、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトの情報とに基づいて、広告画像データを合成するオブジェクトを決定するものである。例えば、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトが上着であると設定されていた場合、上着というオブジェクトが検出されていれば、入力されるライブ映像である画像データに広告画像データを合成するが、顔や手というオブジェクトが検出されたが、上着というオブジェクトが検出されていなければ、入力されるライブ映像である画像データに広告画像データを合成しないものである。

すなわち、引用発明の構成c-2は、『検出されたオブジェクトに基づいて、各広告対象商品ごとに予め設定された、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトの情報と一致するか否か比較することにより、広告画像データを入力されるライブ映像である画像データに合成するか否かを判断している画像合成領域抽出部』といえる。

ここで、『検出されたオブジェクト』は、補正後発明1の構成Dの「部分領域」に対応し、『各広告対象商品ごとに予め設定された、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトの情報と一致するか否か比較すること』と、補正後発明1の構成Dは、「予め定められた条件を満足しているか否かを評価すること」という点で共通するものであり、『広告画像データを入力されるライブ映像である画像データに合成するか否かを判断している』と、補正後発明の構成Dは、「前記第1の画像データを前記第2の画像データに合成可能であるか否かを判断する」という点で共通するものである。
しかしながら、引用発明は、『検出されたオブジェクトに基づいて、各広告対象商品ごとに予め設定された、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトの情報と一致するか否か』を評価するのに対し、補正後発明の構成Dは、「部分領域の種別の組み合わせに基づいて当該画像領域が属するシーンを判断するとともに、当該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価する」点で相違し、上記(3-3-3)で検討したように、画像領域を抽出する抽出手段を有していないので、何に合成可能であるか否かを判断するに際して、引用発明は「入力されるライブ映像である画像データ」であるのに対し、補正後発明1は「前記抽出された画像領域」である点で相違する。

すなわち、引用発明の構成c-1、c-2と補正後発明1の構成Dは、「第2の画像データに含まれる部分領域に基づいて予め定められた条件を満足しているか否かを評価することで、前記第1の画像データを前記第2の画像データに合成可能であるか否かを判断する判断手段」という点で共通するが、
引用発明は、補正後発明1の構成C(「抽出手段」)を有するものではないことに起因して、
部分領域に関して、引用発明は、「入力されるライブ映像である画像データ」に含まれるのに対し、補正後発明1は、「前記抽出手段により抽出された画像領域」に含まれ、
何に合成可能であるか否かを判断するに際して、引用発明は「入力されるライブ映像である画像データ」であるのに対し、補正後発明1は「前記抽出された画像領域」であり、
「予め定められた条件を満足しているか否かを評価する」ことについて、引用発明は『検出されたオブジェクトに基づいて、各広告対象商品ごとに予め設定された、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトの情報と一致するか否か』を評価しているのに対し、補正後発明1は「部分領域の種別の組み合わせに基づいて当該画像領域が属するシーンを判断するとともに、当該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価する」ものである点で相違する。

(3-3-5)引用発明の構成dと補正後発明1の構成Eについて
引用発明の構成dは、引用発明の構成c-2における『広告画像データを入力されるライブ映像である画像データに合成するか否かを判断』を行い、合成すると判断した場合に、合成するものであるから、引用発明の構成dにおいては、補正後発明1の構成Eのように、「前記判断手段による合成可能との判断に応答して、」「合成する」ものである。
引用発明の構成dの「広告情報データベースより入力される合成対象の広告画像データ」は、補正後発明1の構成Eの「前記第1の画像データ」に相当する。
引用発明の構成dの「画像合成領域抽出部より入力される領域に合成し出力する」について、「画像合成領域抽出部より入力される領域」は、「入力されるライブ映像である画像データ」に含まれるものであるから、『入力されるライブ映像である画像データに合成し出力する』といえ、補正後発明1の構成Eとは、「前記第2の画像データに合成することで、合成画像を生成する」という点で共通する。
引用発明の構成dの「画像合成部」は、画像を合成し出力するものであるから、補正後発明1の構成Eの「画像生成手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成dと補正後発明1の構成Eは、「前記判断手段による合成可能との判断に応答して、前記第1の画像データを前記第2の画像データに合成することで、合成画像を生成する画像生成手段とを備える」という点で共通するが、
引用発明は、補正後発明1の構成C(「抽出手段」)を有するものではないことに起因して、引用発明は「入力されるライブ映像である画像データ」に合成するのに対し、補正後発明1は「前記第2の画像データの前記画像領域」に合成する点で相違する。

(3-3-6)引用発明の構成eと補正後発明1の構成Fについて
引用発明の構成eの「通信サービス装置」は、入力されるライブ映像である画像データと広告画像データを合成し出力するものであるから、画像を形成する装置といえ、引用発明の構成eは、補正後発明1の構成Fに相当する。

(3-4)一致点・相違点
したがって、引用発明と補正後発明1は、以下の点で一致ないし相違する。

[一致点]
「画像合成に用いられる第1の画像データを保持する記憶手段と、
画像合成の対象の候補である第2の画像データを取得する取得手段と、
第2の画像データに含まれる部分領域に基づいて予め定められた条件を満足しているか否かを評価することで、前記第1の画像データを前記第2の画像データに合成可能であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による合成可能との判断に応答して、前記第1の画像データを前記第2の画像データに合成することで、合成画像を生成する画像生成手段とを備える、画像形成装置。」

[相違点1]
補正後発明1は、「前記第2の画像データのうち画像領域を抽出する抽出手段」を有しているのに対し、引用発明は、そのような抽出手段を有していない点。
また、引用発明がそのような抽出手段を有していないことに起因して、
部分領域に関して、補正後発明1は「前記抽出手段により抽出された画像領域」に含まれるのに対し、引用発明は「入力されるライブ映像である画像データ」に含まれ、
何に合成可能であるか否かを判断するに際して、補正後発明1は「前記抽出された画像領域」であるのに対し、引用発明は「入力されるライブ映像である画像データ」であり、
何に合成するかに際して、補正後発明1は「前記第2の画像データの前記画像領域」であるのに対し、引用発明は『入力されるライブ映像である画像データ』である点。

[相違点2]
「前記第1の画像データを前記抽出された画像領域に合成可能であるか否かを判断する判断手段」に関して、補正後発明1は、「部分領域の種別の組み合わせに基づいて当該画像領域が属するシーンを判断するとともに、当該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価することで、」判断するのに対し、引用発明は、『検出されたオブジェクトに基づいて、各広告対象商品ごとに予め設定された、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトの情報と一致するか否か』により判断する点。

(3-5)当審の判断
上記相違点について検討する。
(3-5-1)相違点1について
本願明細書には、
「【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のような画像合成技術の他、近年では、自社のWebページ内に本来のコンテンツに加えて、自社製品や関連製品の広告を同時に表示することで、商品のPRなどを行なう手法が一般的になっている。
【0014】
このようなWebページに広告を含ませる形態に加えて、各種のドキュメント(たとえば、プレゼンテーション資料など)に自社製品や関連製品の広告を含ませるようなニーズも高い。
【0015】
一方で、プレゼンテーション資料などは、本来的に訴求したい内容が記載されており、この内容を考慮せず製品のPRを含ませると、プレゼンテーション資料の本来的な目的を達成することができない可能性がある。すなわち、プレゼンテーション資料の可読性や可判性などの低下を招く。
【0016】
また、プレゼンテーション資料に製品のPRを含ませることができるか否か、および、いずれの位置に製品のPRを含ませるべきかといった内容を作業者がいちいち確認することは非常に手間であり、現実的ではない。
【0017】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、ドキュメントなどの画像データに対して、その可読性を可能な限り維持しつつ、広告対象となる製品を示す画像データを合成することのできる画像形成装置、その画像形成装置における処理方法およびその画像形成装置に向けられたプログラムを提供することである。」
と記載されているように、補正後発明1は、ドキュメントなどの画像データに、広告対象となる製品を示す画像データを合成したいが、画像データには、画像領域以外の領域(例えば、テキスト領域や表領域)が含まれており、画像領域以外の領域に合成すると、プレゼンテーション資料の可読性や可判性などの低下を招くという課題を解決するために、画像データから画像領域を抽出し、抽出された画像領域に合成するようにした発明である。

それに対し、引用発明の画像データは、「入力されるライブ映像である画像データ」であり、ライブ映像であるから、画像データ全体が画像領域であるといえる。そうすると、既に、画像領域のみである画像データから、あえて画像領域を抽出する抽出手段を設けることは通常思い至らないものであり、引用発明に、補正後発明1のような抽出手段を設けることの動機付けがないから、容易に想到できるといえない。

(3-5-2)相違点2について
引用発明は、『検出されたオブジェクトに基づいて、各広告対象商品ごとに予め設定された、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトの情報と一致するか否か』により判断するものである。そうすると、画像データ内のオブジェクトと、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトの情報を比較しているのみであり、オブジェクト(補正後発明1の「部分領域」)の種別の組み合わせに基づいて当該画像領域が属するシーンを判断するという思想がなく、さらに、該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価するという思想もない。
そして、オブジェクトと、広告画像データを合成するのに好ましいオブジェクトの情報を比較するという構成から、補正後発明1のような「部分領域の種別の組み合わせに基づいて当該画像領域が属するシーンを判断するとともに、当該判断したシーンが予め定められた条件を満足しているか否かを評価する」ような構成を思い至るとすることは、論理に飛躍があり、容易に想到できるといえない。

(3-5-3)小活
したがって、補正後発明1は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、本件補正の補正事項2は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

補正後の請求項2ないし7に係る発明は、補正後発明1をさらに限定したものであり、補正後の請求項8に係る発明、請求項9に係る発明は、補正後発明1とカテゴリーが異なるのみであるから、いずれの発明も補正後発明1と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、本件補正の補正事項3?10は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

3.むすび
本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないいし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1ないし9に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-05-09 
出願番号 特願2011-93106(P2011-93106)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
P 1 8・ 121- WY (H04N)
P 1 8・ 575- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木方 庸輔  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡辺 努
小池 正彦
発明の名称 画像形成装置、画像形成装置における処理方法および画像形成装置に向けられたプログラム  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ