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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A61K
管理番号 1314606
審判番号 訂正2016-390007  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-01-15 
確定日 2016-03-25 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5851022号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5851022号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5851022号は、平成24年5月9日(パリ条約による優先権主張 2011年5月9日 (US)米国)を国際出願日として出願され、その請求項1ないし5に係る発明について平成27年12月11日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、平成28年1月15日に本件の訂正審判が請求されたものである。

第2 請求の趣旨および訂正の内容
本件審判の請求の趣旨は、特許第5851022号の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は、下記訂正事項1のとおりである。

1 訂正事項1
明細書の段落【0036】の【表1-2】中のVX-745の化学構造式が、

とあるのを

に訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正の目的について
訂正事項1における訂正箇所である表1は、「代表的なp38 MAPK阻害剤を列挙する」ものであり(段落【0034】)、また、本件明細書には、「VX-745は、関節リウマチ(RA)の処置のために・・・開発された、p38MAPKの選択的低分子阻害剤である」と記載されている(段落【0040】)。したがって、訂正事項1においてその化学構造式を訂正しようとするVX-745は、本件明細書ではp38MAPK阻害剤として記載されている。
ここで、審判請求人の提出した甲第6号証(Nat Rev Drug Discov, 2003, Vol.2, pp.717-726.)の724頁には「臨床試験に進んだp38 MAPキナーゼ阻害剤の構造」という表題の図6が記載されているところ、そこにはVX-745の化学構造式として、訂正後のものが記載されている。また、請求人の提出した甲第7号証(Drug Discov Today, 2006, Vol.3, pp.49-54.)の52頁には「臨床開発の対象となるp38阻害剤の構造」という表題の図2が記載されているところ、そこにはVX-745の化学構造式として、訂正後のものが記載されている。このように、p38MAPK阻害剤であるVX-745の正しい化学構造式が訂正後のものであることは、本件特許の出願日において当業者に周知の事項と認められる。
そうしてみると、本件明細書に記載されたVX-745の化学構造式は誤記ということができ、訂正事項1は当該誤記を正しい記載に訂正しようとするものであることから、この訂正は特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものに該当する。

2 国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
国際出願日における国際出願の明細書の段落[0034]には、訂正前のVX-745の化学構造式が記載されている。ここで、前記1のとおり、訂正事項1は誤記の訂正を目的とするものであり、訂正の前後でVX-745という物質自体に変更はないことから、この訂正は国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項(同法第184条の19参照)の規定に適合するものである。

3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記2で述べたように、訂正の前後でVX-745という物質自体に変更はないことから、この訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

4 独立して特許を受けることができるものであること
訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないので、この訂正は特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

第4 むすび
したがって、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
アルツハイマー病を処置するための組成物および方法
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2011年5月9日に出願された米国仮特許出願第61/483,919号への優先権を主張し、この米国仮特許出願は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、認知症の最もよくある原因であり、そして毎日の機能を妨害するほど十分重症の、知的および社会的能力の喪失によって特徴付けられる。アルツハイマー病において、健康な脳組織が変性し、記憶力および精神的能力の着実な減退を引き起こす。アルツハイマー病は、正常な加齢の一部ではないが、その障害のリスクは年齢と共に増加する。65歳および74歳の間の人々の約5%がアルツハイマー病を有し、一方85歳より上の人々のほぼ半分がアルツハイマー病を有する。
【0003】
アルツハイマー病を有する患者において、2つの型のニューロンの病理、プラークおよび変化(tangle)がよくある。細胞外プラークは、ベータアミロイド(Aβ)と呼ばれる、通常は無害なタンパク質の塊であり、それは脳細胞間のコミュニケーションを妨害し得る。変化は、タウと呼ばれるタンパク質の正常な機能に依存する、脳細胞の内部支持構造である。アルツハイマー病に罹患した患者において、タウタンパク質の線維(thread)が、ねじれを引き起こす変化を受ける。多くの研究者が、これがニューロンを重度に損傷し、それらの死を引き起こし、そして記憶欠損を引き起こし得ると考えている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施態様において、本発明は、CNS内でアミロイドプラークの量を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、アミロイドプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、p38MAPK阻害剤を投与する工程を含む。
本発明の好ましい実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
アミロイドプラークの量を低減させる方法であって、該低減させる必要のある患者に、p38MAPK阻害剤を投与する工程を含む、方法。
(項目2)
前記p38MAPK阻害剤が、低用量で投与される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記p38MAPK阻害剤が、VX-745である、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
アミロイドプラークの量を低減させる方法であって、以下:
(i)被験体の脳を画像化して、神経画像を得る工程;
(ii)該神経画像を、参照画像と比較して、該アミロイドプラークの数および/または面積を決定する工程;および
(iii)該被験体が、該参照画像と比較した場合に増大した量のアミロイドプラークを有すると決定された場合に、治療的に有効な量のp38阻害剤を投与する工程
を含む、方法。
(項目5)
アミロイドプラークの量を低減させる方法であって、以下:
(i)被験体の脳を画像化する工程;
(ii)該アミロイドプラークの数および/または面積を決定する工程;および
(iii)該アミロイドプラークの数および/または面積が所定の閾値を超える場合に、治療的に有効な量のp38阻害剤を投与する工程
を含む、方法。
(項目6)
前記被験体は、アルツハイマー病を発症するリスクのある患者である、項目4または5に記載の方法。
(項目7)
前記被験体は、アルツハイマー病に罹患した患者である、項目4または5に記載の方法。
(項目8)
工程(i)、(ii)、および(iii)が、一つ以上の所定の間隔で繰り返される、項目4または5に記載の方法。
(項目9)
前記所定の間隔が、約6ヶ月間である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記所定の間隔が、約一年間である、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記被験体の脳が、コンピューター断層撮影(CATまたはCT)、単一光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)、ポジトロン放出断層撮影(PET)、核磁気共鳴画像法(MRI)、または機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)から成る群から選択される神経画像処理技術を用いて画像化される、項目4または5に記載の方法。
(項目12)
前記神経画像処理技術が、ポジトロン放出断層撮影(PET)である、項目11に記載の方法。
(項目13)
amyvidまたはPittsburgh compound Bから選択される画像化剤をさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記p38阻害剤が、6ヶ月未満の期間に投与される、項目4または5に記載の方法。
(項目15)
前記p38阻害剤が、4ヶ月未満の期間に投与される、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記p38阻害剤が、2ヶ月未満の期間に投与される、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記p38阻害剤が、1ヶ月未満の期間に投与される、項目14に記載の方法。
(項目18)
前記p38阻害剤が、約2週間の期間に投与される、項目14に記載の方法。
(項目19)
アルツハイマー病に罹患した患者において、ベータアミロイドプラークの数および/または体積を低減させる方法であって、該患者に治療的に有効な用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、方法。
(項目20)
前記p38MAPK阻害剤が、低用量で投与される、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記p38MAPK阻害剤が、VX-745である、項目19または20に記載の方法。
(項目22)
アルツハイマー病に罹患した患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減させる方法であって、該方法は、該患者に治療的に有効な用量のp38阻害剤を投与する工程を含み、該治療的に有効な用量は、約1mg?約50mgである、方法。
(項目23)
前記治療的に有効な用量は、約1mg?約20mgである、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記治療的に有効な用量は、約1mg?約10mgである、項目22に記載の方法。
(項目25)
前記治療的に有効な用量は、約1mg?約5mgである、項目22に記載の方法。
(項目26)
アルツハイマー病を処置するための薬学的組成物であって、p38阻害剤および一つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。
(項目27)
前記p38阻害剤が、VX-702、VX-745、BIRB 796、TAK-715、SCIO 469、RWJ 67657、SB 681323、SB 242235、SB 203580、L-167307、RPR-203494、RPR-200765A、PD 169316、SB 200025、JX 401、CMPD1、SKF 86002、SX 011、SD 282、EO 1428、SD 169、SB 220025、SB 202190、SB 239063、Org 48762-0、LY2228820、ビノレルビン、PH-797804、アシアチン酸、4-(4-(4-フルオロフェニル)-1-(ピペリジン-4-イル)-1H-イミダゾ-ル-5-イル)ピリジン、(R)-N-(1-フェニルエチル)-4-(6-(ピペリジン-4-イル)-3-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピリダジン-4-イル)ピリミジン-2-アミン、2-(4-フルオロフェニル)-6-メトキシ-3-(ピリジン-4-イル)-1H-インドール、3-(4-フルオロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン、6-(2-(2,6-ジフルオロフェニル)-4-フェニル-1H-イミダゾ-ル-5-イル)-1-(イソプロピルスルホニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾ-ル-2-アミン、4-(4-フルオロフェニル)-5-(1-イソプロピル-1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-6-イル)オキサゾール、(2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニルアミノ)フェニル)(o-トリル)メタノン5-(2,6-ジクロロフェニル)-2-(2,4-ジフルオロフェニルチオ)-6H-ピリミド[1,6-b]ピリダジン-6-オン、6-(1,4-ジアゼパン-1-イル)-N^(2)-(((1S,2R,5S)-6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル)メチル)-N4-フェニル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、および1-(3-tert-ブチル-1-p-トリル-1H-ピラゾール-5-イル)-3-p-トリルウレア、ならびに一つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤、
から選択される、項目26に記載の薬学的組成物。
(項目28)
低用量の前記p38阻害剤を含む、項目26に記載の薬学的組成物。
(項目29)
前記p38阻害剤が、VX-745である、項目28に記載の薬学的組成物。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1A】図1Aおよび1Bは、VX-745(3mg/kgBID)の2週間投与後の皮質(図1A)および海馬(図1B)におけるアミロイドプラークの面積のパーセンテージに対するVX-745の効果をまとめる。
【図1B】図1Aおよび1Bは、VX-745(3mg/kgBID)の2週間投与後の皮質(図1A)および海馬(図1B)におけるアミロイドプラークの面積のパーセンテージに対するVX-745の効果をまとめる。
【図2】図2は、野生型およびビヒクルコントロールと比較した、IL-1βに対するVX-745の効果をまとめる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
キャリア:「キャリア」という用語は、活性薬剤(例えばp38阻害剤)を含む組成物に、その薬剤の安定性および/または活性(例えばその薬剤の生物学的活性)を有意に妨害せずに組込み得る、任意の化学的実体を指す。ある実施態様において、「キャリア」という用語は、薬学的に許容可能なキャリアを指す。本明細書中で代表的なキャリアは、水である。
【0007】
併用。本明細書中で使用する場合、「併用」、「併用する」という用語、および関連する用語は、本発明によって被験体が2つ以上の治療薬に同時に曝露されることを指す。例えば、本発明の薬剤(例えばp38阻害剤)を、別の治療薬と共に、別々の単位剤形で、または単一の単位剤形で一緒に、同時にまたは逐次的に投与し得る。よって、本発明は、中でも、少なくとも本発明の薬剤(例えばp38阻害剤)、さらなる治療薬、および薬学的に許容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを投与することを含む投薬レジメを提供する(その薬学的に許容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルは、典型的には上記p38阻害剤および上記さらなる治療薬の1つまたは両方と会合している)。
【0008】
製剤。「製剤」という用語は、患者への投与のための、少なくとも1つの活性薬剤(例えばp38阻害剤)を、1つ以上のキャリア、賦形剤、または他の医薬品添加物と共に含む組成物を指す。一般的に、特定のキャリア、賦形剤、および/または他の医薬品添加物を、活性薬剤(複数可)の所望の安定性、放出、分布、および/または活性を達成するために、当該分野における知識によって選択し、そしてそれは特定の投与経路に適当である。
【0009】
低用量。本明細書中で使用される「低用量」という用語は、アルツハイマー病以外の疾患を処置するために投与した場合の、参照p38阻害剤の治療的に有効な量よりも低い用量を指す。いくつかの実施態様において、「低用量」という用語は、アルツハイマー病以外の疾患を処置するために投与した場合の、参照p38阻害剤の治療的に有効な量よりも、1けた以上低い用量を指す。いくつかの実施態様において、「低用量」という用語は、アルツハイマー病以外の疾患を処置するために投与した場合の、参照p38阻害剤の治療的に有効な量の、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、またはそれ未満である用量を指す。例えば、ヒトにおける関節リウマチの処置のためのVX-745の治療的に有効な単位用量は250mgである。いくつかの実施態様において、VX-745の「低用量」は、約1mgから約100mgの範囲内である。いくつかの実施態様において、VX-745の「低用量」は、約1mgから約50mgの範囲内である。いくつかの実施態様において、VX-745の「低用量」は、約1mgから約30mgの範囲内である。いくつかの実施態様において、VX-745の「低用量」は、約1mgから約10mgの範囲内である。いくつかの実施態様において、VX-745の「低用量」は、約1mgから約5mgの範囲内である。いくつかの実施態様において、VX-745の「低用量」は、約3mgである。いくつかの実施態様において、VX-745の「低用量」は、5?10mgの範囲内である。いくつかの実施態様において、VX-745の「低用量」は、10?20mgの範囲内である。いくつかの実施態様において、VX-745の「低用量」は、20?30mgの範囲内である。
【0010】
神経画像処理。本明細書中で使用される場合、「神経画像処理」という用語は、脳の構造または機能を直接または間接的に画像化する技術を指す。いくつかの実施態様において、「神経画像処理」という用語は、コンピューター断層撮影(CATまたはCT)、単一光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)、ポジトロン放出断層撮影(PET)、核磁気共鳴画像法(MRI)、または機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)から選択される技術を指す。いくつかの実施態様において、神経画像処理技術は、放射性、蛍光、または他の検出可能なリガンドなどの、1つ以上の画像化剤を用いる。いくつかの実施態様において、蛍光リガンドはPittsburgh(Pittsburg) compound B([N-メチル-^(11)C]_(2)-(4’-メチルアミノフェニル)-6-ヒドロキシベンゾチアゾール)、チオフラビンTの蛍光アナログである。いくつかの実施態様において、放射性リガンドはAmyvid^((登録商標))(フロルベタピルF18)または18F-フルテメタモールである。いくつかの実施態様において、その神経画像処理技術は、画像化剤としてPittsburgh compound Bを用いるPETスキャンである。いくつかの実施態様において、その神経画像処理技術は、画像化剤としてAmyvid^((登録商標))を用いるPETスキャンである。いくつかの実施態様において、その神経画像処理技術は、画像化剤として18F-フルテメタモールを用いるPETスキャンである。
【0011】
神経画像。本明細書中で使用される場合、「神経画像」という用語は、神経画像処理技術によって生成された画像または写真を指す。いくつかの実施態様において、「神経画像」は、1つ以上のCAT(またはCT)、SPECT、PET、MRI、またはfMRIスキャンを指す。
【0012】
非経口。本明細書中で使用される「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、肝臓内、病巣内、および頭蓋内注射または注入技術を含む。好ましくは、上記組成物を、経口、腹腔内、または静脈内に投与する。本発明の組成物の滅菌注射形態は、水性または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液を、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当該分野において公知の技術によって製剤化し得る。滅菌注射用調製物はまた、無毒性の非経口で許容可能な希釈剤もしくは溶媒中の、滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。許容可能なビヒクルおよび溶媒のうち、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液を使用することができる。それに加えて、滅菌固定油が溶媒または懸濁媒体として慣習的に用いられる。
【0013】
患者。本明細書中で使用される場合、「患者」という用語は、製剤または製剤を含む組成物を投与する哺乳類を意味し、そしていくつかの実施態様においてヒトを含む。
【0014】
薬学的に許容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクル。「薬学的に許容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクル」という用語は、それが一緒に製剤化される上記化合物の薬理学的活性を破壊しない、無毒性のキャリア、アジュバント、またはビヒクルを指す。本発明の組成物において使用し得る薬学的に許容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルは、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、ホスフェートなどの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩などの塩または電解質、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含むがこれに限らない。
【0015】
選択的p38阻害剤。本明細書中で使用する場合、「選択的p38阻害剤」という語句は、別のキナーゼよりも少なくとも1ケタ高い、p38分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(p38MAPKとも呼ばれる)に対して生物学的効果(すなわち阻害または拮抗効果)を引き出す薬剤を指す。例えば、いくつかの実施態様において、選択的p38阻害剤は、他のタンパク質キナーゼまたはチロシンキナーゼよりp38MAPKに対して選択的である阻害剤である。いくつかの実施態様において、選択的p38阻害剤は、1つのp38MAPKアイソフォームに対して他のものよりも選択的である。例えば、いくつかの実施態様において、選択的p38阻害剤は、アルファ(α)、ベータ(β)、ガンマ(γ)、またはデルタ(δ)p38MAPKアイソフォームの1つに対して、他のアイソフォームよりも高い拮抗作用を有する阻害剤を指す。いくつかの実施態様において、選択的p38阻害剤は、p38β、p38γおよび/またはp38δアイソフォームと比較して、p38αアイソフォームのMAPKに対してより高い拮抗作用を有する阻害剤を指す。代表的な選択的p38阻害剤は、RWJ67657、SCIO469、EO1428、Org48762-0、SD169、SB203580、SB202190、SB239063、SB220025、VX745、SB242235、VX702、SD-282、PH-797804などを含むがこれに限らない。
【0016】
治療薬。本明細書中で使用する場合、「治療薬」という語句は、生物体に投与した場合に、所望の生物学的または薬理学的効果を引き出すあらゆる薬剤を指す。
【0017】
治療的に有効な量および有効な量。本明細書中で使用する場合、および他に特定しなければ、薬剤の「治療的に有効な量」および「有効な量」という用語は、疾患、障害、また状態の処置、予防、および/または管理において、治療的有用性を提供するのに、例えば処置する疾患、障害、または状態に関連する1つ以上の症状の発症を遅らせる、または該症状を最小限にする(例えばその発生および/または程度を低減する)のに十分な量を指す。いくつかの実施態様において、組成物が、治療レジメの文脈において一回量として投与された場合に有効である量を含むなら、それは「治療的に有効な量」の薬剤を含むと言うことができる。いくつかの実施態様において、治療的に有効な量は、投薬レジメの一部として投与された場合に、疾患、障害、または状態の1つ以上の症状または副作用の発生を遅らせる、または該症状または副作用を最小限にする(発生および/または程度を低減する)可能性が統計的にある量である。いくつかの実施態様において、「治療的に有効な量」は、上記組成物が組み合わせて投与される別の薬剤の治療的効力を増強する量である。いくつかの実施態様において、ヒトへの投与のための、治療的に有効な量は、当該分野において公知であるように、動物モデルの体表面積と比較して、ヒトの体表面積に関して調節した参照量(例えばマウスモデルなどの動物モデルにおける治療的に有効な量)に対応する(例えば、Reagan-Shawら、「Dose translation from animal to human studies revisited」 The FASEB Journal 22:659-661(2007)を参照のこと、その全体は本明細書中で参考文献に組み込まれる)。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、例えば本明細書中で記載したように、マウスモデルにおいて治療的に有効である量である。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、約0.0001mg/kgから約500mg/kgの範囲内である。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、約0.0001mg/kgから約0.001mg/kgの範囲内である。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、約0.001mg/kgから約0.01mg/kgの範囲内である。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、約0.01mg/kgから約0.1mg/kgの範囲内である。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、約0.1mg/kgから約0.5mg/kgの範囲内である。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、約0.5mg/kgから約1mg/kgの範囲内である。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、約1mg/kgから約2.5mg/kgの範囲内である。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、約2.5mg/kgから約10mg/kgの範囲内である。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、約10mg/kgから約50mg/kgの範囲内である。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、約50mg/kgから約100mg/kgの範囲内である。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、約100mg/kgから約250mg/kgの範囲内である。いくつかの実施態様において、その参照の治療的に有効な量は、約250mg/kgから約500mg/kgの範囲内である。
【0018】
処置または処置すること。本明細書中で使用される、「処置する」または「処置すること」という用語は、障害、疾患、または状態、あるいはその障害、疾患、または状態の1つ以上の症状または徴候を、部分的にまたは完全に緩和する、阻害する、その発症を遅らせる、その発生を低減する、予防する、改善する、および/または軽減することを指す。
【0019】
単位用量。本明細書中で使用される「単位用量」という表現は、処置される被験体のために適当な製剤の物理的に別々の単位を指す(例えば一回量のための);各単位は、必要に応じて所定の量で提供され得る薬学的に許容可能なキャリアと一緒に、治療レジメに従って投与された場合に所望の治療効果を生じるために選択された(所望のまたは最適な効果を達成するために、複数回量が必要であり得ることが理解される)、所定の量の活性薬剤を含む。上記単位用量は、例えば、所定の量の1つ以上の治療薬を含むある体積の液体(例えば許容可能なキャリア)、所定の量の1つ以上の固体形態の治療薬、所定の量の1つ以上の治療薬を含む徐放製剤または薬物送達デバイス等であり得る。単位用量は、治療薬(複数可)に加えて、様々な成分を含み得ることが認識される。例えば、許容可能なキャリア(例えば、薬学的に許容可能なキャリア)、希釈剤、安定剤、緩衝剤、保存剤等を、以下に記載するように含み得る。しかし、本発明の製剤の毎日の全使用量を、確かな医学的判断の範囲内で、主治医が決定することが理解される。あらゆる特定の被験体または生物のための特定の有効用量レベルは、処置する障害、およびその障害の重症度;用いられる特定の活性化合物の活性;用いられる特定の組成物;該被験体の年齢、体重、一般的健康状態、性別、および食事;投与の時間、およびその用いられる特定の活性化合物の排泄速度;その処置期間;用いられる特定の化合物(複数可)と組み合わせて、または同時に使用される薬物および/またはさらなる治療、および医学分野で周知の同様の因子を含む様々な因子に依存し得る。いくつかの実施態様において、p38阻害剤の単位用量は、約1mg、3mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、または50mgである。
【0020】
アルツハイマー病の病理
アルツハイマー病の病理は、脳実質における細胞外アミロイドプラークの沈着およびニューロン内の神経原線維変化によって特徴付けられる。
【0021】
アルツハイマー病患者の脳において見出される細胞外アミロイドプラークの主な成分は、異常にフォールディングしたベータアミロイドタンパク質(Aβ)であり、それはセクレターゼとして公知である酵素によるアミロイド前駆体タンパク質(APP)のタンパク質分解によって生成する、36から43アミノ酸のペプチドである。APPは、多くの組織において発現する不可欠な膜タンパク質であり、ニューロンのシナプスに集中している。その主な機能は未知であるが、シナプス形成、神経可塑性、および鉄の輸送の制御因子として関係があるとされている。最もよくあるAβのアイソフォームは、Aβ_(40)およびAβ_(42)である;その短い形態は、典型的には小胞体で起こる切断によって生成し、一方、そのより長い形態は、トランスゴルジ網での切断によって生成する。上記2つのうちAβ_(40)形態がより一般的であるが、Aβ_(42)はより線維原性であり、そして従って疾患状態と関連する。早期発症アルツハイマー病と関連するAPPの変異は、Aβ_(42)の相対的な生成を増大させることが記載されており、そして従って、アルツハイマー病治療の1つの示唆された手段は、主にAβ_(40)を産生するためにβセクレターゼおよびγセクレターゼの活性を調節することを含む。
【0022】
対照的に、神経原線維変化は、微小管結合タンパク質タウ(MAPT)の細胞内凝集物である。中枢神経系のニューロンに豊富であるが、他の場所では一般的でないタウタンパク質は、微小管を安定化させる。過剰リン酸化タウ(hTau)は、他のタウの線維と会合し、最終的に神経細胞体の内部に神経原線維変化を形成する。これが起こると、上記微小管は崩壊し、ニューロンの輸送システムを崩壊させ、ニューロン間の生化学的コミュニケーションの機能不全を引き起こし、そして最終的には細胞死を引き起こす。
【0023】
最近の証拠は、神経炎症過程も、アルツハイマー病の病態生理に寄与することを示唆する。例えば、Hullら、「Pathways of Inflammatory Activation in Alzheimer’s Disease: Potential Targets for Disease Modifying Drugs」、Curr.Med.Chem.2002、9、83-88を参照のこと、その全体は本明細書中で参考文献に組み込まれる。脳の常在性炎症性細胞であるミクログリアは、アルツハイマー病の脳において、形態の変化、増殖、細胞表面受容体の発現の増大、および炎症性サイトカインおよびケモカインの分泌を含む、高度に活性化された状態であることが見出される。ミクログリアは、中枢神経系(CNS)内で、免疫反応およびホメオスタシスの維持の両方に関連する、多くの異なる仕事を遂行する。ミクログリアの主な役割は、食作用、または様々な物質を貪食することである。貪食する物質は、損傷したニューロン、プラーク、細胞の破片、およびウイルスおよび細菌などの感染性病原体を含む。ミクログリアは、アルツハイマー病の脳において、新規に形成されたAβの沈着部位に集積し、そしてAβを分解することによって、プラークの成長を制限することを助け得る。
【0024】
最近の研究はまた、炎症性サイトカインであるIL-1βの過剰発現は、アルツハイマー病のマウスモデルにおいて、Aβ病理の低減をもたらすことを示した。しかし、慢性的に活性化されたミクログリアはまた、TNFαを含む炎症性サイトカインと関連しており、そのTNFαはミクログリアのAβを除去または分解する能力を実質的に阻害し得る。従って、アルツハイマー病の病態生理におけるミクログリアの役割は複雑であり、ミクログリアの活性化は、局所の状況に依存して、有用な、または有害な作用のいずれかを与える。
【0025】
ニューロンおよびミクログリアが連絡する1つのシグナル伝達経路は、フラクタルカイン(CX3CL1)およびその同族受容体(CX3CR1)であり、それは、独特な1対1のリガンド-受容体ケモカインペアである。CX3CL1-CX3CR1シグナル伝達は、神経炎症および神経保護において重要な役割を果たすことが実証された。特に、CX3CL1はニューロンに高度に発現し、一方CX3CR1は、ミクログリアのみに発現する。1つの最近の研究は、ミクログリア受容体CX3CR1の阻害または欠失は、早期発症および段階的発症両方のアルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデルにおいて、アミロイド病理の改善をもたらすことを実証した。Leeら、「CX3CR1 Deficiency Alters Microglial Activation and Reduces Beat-Amyloid Deposition in Two Alzheimer’s Disease Mouse Models」、The American Journal of Pathology、177(5):2549-2562(2010)を参照のこと、その全体は本明細書中で参考文献に組み込まれる。実際、CX3CR1欠損マウスは、アルツハイマー病のAPPPS1マウスモデルにおいて、Aβ沈着の用量依存性の低減を示し、CX3CR1の欠損は、Aβに応答するミクログリア活性化の有用な作用を利用することを示唆した。さらに、ノックアウトマウスにおいて、コントロールと比較して、プラーク結合ミクログリアの数が減少した。しかし、CX3CR1欠損動物におけるAβ沈着周囲のミクログリアの数の減少にも関わらず、Aβ沈着の有意な減少が観察され、それはミクログリアのAβを除去する能力の増強と一致した。従って、CX3CR1シグナル伝達は、ミクログリアの食作用を阻害し、そして有効なAβの除去を妨げるようである。これらの結果は、CX3CL1-CX3CR1シグナル伝達の変化は、ミクログリアの食作用能力の変化をもたらし得ることを示唆する。
【0026】
ミクログリア神経炎症はまた、IL-1の過剰発現によって、MAPTリン酸化および凝集を促進する。最近、CX3CR1欠損により、ヒト化タウマウスにおいて、ミクログリア活性化およびMAPTリン酸化/凝集の両方の増強が引き起こされることが示された。研究者らは、トランスジェニックヒト化タウマウスは、最初に3ヶ月齢で過剰リン酸化MAPTを発達させ、9ヶ月齢でMAPTが凝集し、そして15ヶ月齢までに神経が喪失することを示した。有意に、12ヶ月齢までに、ヒト化タウマウスは、海馬において、ミクログリア活性化と一致する、より短い突起およびより丸い細胞体を有するミクログリアを示した。
【0027】
いかなる特定の理論によっても拘束されることを望まないが、そのような炎症性シグナル、特に神経炎症過程に応答するミクログリアの活性化は、アルツハイマー病に関連するベータアミロイドプラークの蓄積を遅延させると考えられる。従って、炎症カスケードの阻害または抑制は、ミクログリアの活性化を防止し、ベータアミロイドプラークの蓄積の増大およびアルツハイマー病の進行をもたらす可能性がある。
【0028】
p38MAPK阻害剤
炎症促進性サイトカインおよび他の炎症性メディエーターを含む、多くの細胞外刺激物質が、分裂促進因子-活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)シグナル伝達経路の活性化によって、特異的な細胞反応を誘発する。MAPKは、環境刺激物質を核に導入する、プロリンを標的とするセリン-スレオニンキナーゼである。一旦活性化されると、MAPKは、リン酸化によって、潜在的な転写因子および基質を含む、他のキナーゼまたは核タンパク質を活性化する。新規哺乳類再活性化タンパク質キナーゼ(p38/PK)MAPKは、細胞ストレスおよび炎症性シグナルに対する反応を媒介する、ストレス活性化タンパク質キナーゼである。
【0029】
p38MAPK活性化は、アルツハイマー病の非常に初期の段階で起こり、そして脳の炎症の重要な寄与体である。例えば、Bhaskerら、「Regulation of Tau Pathology by the Microglial Fractalkine Receptor」、Neuron 68:19-31(2010)を参照のこと、その全体は本明細書中で参考文献に組み込まれる。実際、ミクログリア中のベータアミロイド原線維は、p38MAPKの迅速な、一過性の活性化を刺激し、炎症性遺伝子発現および炎症促進性サイトカインのアップレギュレーションをもたらす。従って、p38MAPK経路の活性化は、プラークの蓄積を軽減し、そしてミクログリアのプラーク分解を刺激する。
【0030】
さらに、研究者らは、MAPTリン酸化の増強が、ニューロンをインビトロで特異的MAPK阻害剤、SB203580とプレインキュベートすることによってブロックされ得ることを確認し、このことは、MAPTリン酸化の増強が、p38MAPK依存性経路を介して起こったことを示している。従って、p38MAPKはAβプラークのミクログリアによる分解を刺激し、一方同時に、神経原線維変化およびニューロンの機能の喪失を引き起こし得る過程であるMAPTリン酸化を促進もするので、研究は、アルツハイマー病におけるp38MAPKの役割は複雑であることを明らかに示している。例えば、Munozら、「Targeting p38 MAPK pathway for the treatment of Alzheimer’s disease」、Neuropharmacology、58(3):561-568(2010)を参照のこと、それはその全体において本明細書中で参考文献に組み込まれる。
【0031】
炎症の様々な段階におけるp38MAPKの役割は、p38を阻害し得るいくつかの化合物の発見を促した(SB203580、RWJ67657、L-167307、VX-745、RPR200765A等)。例えば、Kumarら、「p38 MAP Kinases: Key Signaling Molecules as Therapeutic Targets for Inflammatory Diseases」、Nature Reviews、2:717-726(2003);Brownら、「p38 MAP kinase inhibitors as potential therapeutics for the treatment of joint degeneration and pain associated with osteoarthritis」、J.Inflammation 5:22(2008)を参照のこと、それらそれぞれの全体は、本明細書中で参考文献によって組込まれる。これらの薬理学的阻害剤は、リポ多糖誘導腫瘍壊死因子-α(TNF-α)発現のインビトロおよびインビボにおける阻害に関与する、サイトカイン抑制抗炎症性薬物である。p38MAPK阻害剤は、長くアルツハイマー病研究者の興味のピークにあったが、その疾患の複雑性が、そのような薬剤の使用を制限していた。より具体的には、p38阻害剤はタウのリン酸化を阻害するが、結果としての炎症カスケードにおける減少は、ミクログリア活性化の欠如のためにAβプラークの蓄積を増加させることが予測される。
【0032】
現在驚くべきことに、p38MAPK阻害剤が、中枢神経系(CNS)内でアミロイドプラークの量(burden)を低減することが見出された。よって、本発明は、p38MAPK阻害剤が、アルツハイマー病に関連するアミロイドプラークの量を低減するために有効であるという認識を包含する。いくつかの実施態様において、本発明は、中枢神経系(CNS)内で、アミロイドプラークの量を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、その必要のある患者に、p38MAPK阻害剤を投与する工程を含む、アルツハイマー病に関連するアミロイドプラークの量を低減する方法を提供する。
【0033】
代表的なp38MAPK阻害剤
上記で一般的に説明したように、様々な段階の炎症を処置するためのp38MAPK阻害剤の発見に向けて大規模な研究が行われた。
【0034】
代表的なp38MAPK阻害剤を、例えば、Mayerら、「p38 MAP kinase inhibitors: A future therapy for inflammatory diseases」、Drug Discovery Today:Therapeutic Strategies 3(1):49-54(2006);およびReganら、「Pyrazole Urea-Based Inhibitors of p38 MAP Kinase:from Lead Compound to Clinical Candidate」、J.Med.Chem.2002、45、2994-3008において見出し得、それらそれぞれの全体は、本明細書中で参考文献に組み込まれる。表1は、代表的なp38 MAPK阻害剤を列挙する。
【0035】
【表1-1】

【0036】
【表1-2】

【0037】
【表1-3】

【0038】
【表1-4】

【0039】
【表1-5】

【0040】
【表1-6】

VX-745は、関節リウマチ(RA)の処置のために、Vertex Pharmaceuticalsによって開発された、p38MAPKの選択的低分子阻害剤である。VX-745によるMAPKの阻害は、下流の炎症性サイトカインTNF-α、IL-1β、およびIL-6の合成を遮断する。VX-745は、げっ歯類関節炎モデルにおいて、有意な抗炎症活性を示したので、Vertexは、ヒト関節リウマチ(RA)において臨床試験を開始した。しかし、250mgのVX-745のb.i.d.で処置した患者が、下痢および腹痛などの胃腸の影響、および肝臓トランスアミナーゼの上昇を含む有害事象を経験した。さらに、VX-745は、動物において血液脳関門(BBB)を通過することが公知である。実際、高用量のVX-745を投与された動物が、有害な神経学的影響を経験したが、これらの有害事象は、ヒトでは観察されなかった。RAのための処置としてのp38MAPKの阻害に対する概念実証を確認したが、重篤な有害事象の可能性のために、VX-745は中止された。
【0041】
関節炎モデルにおける参照化合物としてVX-745を利用する別の研究は、10mg/kgの用量のVX-745は、足の腫脹の阻害において、アッセイした他の化合物ほど有効ではないことが示された。Chopraら、「Pharmacological profile of AW-814141、a novel、potent、selective and orally active inhibitor of p38 MAP kinase」、International Immunopharmacology、10:467-473(2010)を参照のこと、その全体は本明細書中で参考文献に組み込まれる。
【0042】
変形性関節症モデルにおいて、VX-745は、ラットに50mg/kgで投与した場合に、コントロール動物と比較して、統計的に有意な膝の変性の阻害を示した。VX-745をまた、痛覚過敏モデルにおいてもアッセイし、ラットに30mg/kg、10mg/kg、および3mg/kgの用量で投与した場合に、痛覚過敏反応の有意な阻害を示した。その研究者らは、3mg/kg、10mg/kg、および30mg/kgの用量で、マウスが痛覚過敏を示したことを発見した。しかし、上記研究者らは、3mg/kgの用量において最低限の効果を観察した。Brownら、「p38 MAP kinase inhibitor as potential therapeutics for the treatment of joint degeneration and pain associated with osteoarthritis」、J.Inflamm.、5:22(2008)を参照のこと、その全体は本明細書中で参考文献に組み込まれる。理論によって拘束されることを望まないが、p38阻害剤の、関節リウマチなどの慢性状態の処置の臨床的失敗は、その炎症経路の冗長性のためであると考えられる。かかる冗長性は、p38が慢性的に阻害された場合にフィードバックループのアップレギュレーションを引き起こし、全体として有効性の欠如をもたらす。
【0043】
本発明の方法
上に記載したように、いくつかの実施態様において、本発明は、CNS内でアミロイドプラークの量を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、アミロイドプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、p38MAPK阻害剤を投与する工程を含む。
【0044】
いくつかの実施態様において、アミロイドプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、選択的p38MAPK阻害剤を投与する工程を含む。
【0045】
ある実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの量を低減する必要のある患者に、低用量のp38MAPK阻害剤を投与することによって、アミロイドプラークの量を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、アミロイドプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、VX-745を投与する事を含む。いくつかのそのような実施態様において、アミロイドプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、低用量のVX-745を投与する事を含む。
【0046】
薬剤の治療的効力は、薬剤が血漿タンパク質に結合する程度によって影響を受ける。タンパク質に結合する薬剤は、細胞膜を通過することができない、または体中を拡散することができないので、未結合の薬剤の画分のみが、任意の薬理学的効果を示す。従って、治療薬がより多く結合すればするほど、所望の薬理学的反応を誘起するために利用可能な薬剤の濃度は低くなる。しかし、脳内にはより少ないタンパク質しか存在しないので、血液脳関門を通過し得る治療薬は、所望の薬理学的反応を誘起するために利用可能な、より高い濃度の遊離の(free)薬剤を有する。実際、VX-745は、タンパク質に高度に結合する薬剤であることが公知であるが、イヌにおけるその脳内レベルは、全身レベルの2倍である。
【0047】
いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に関連するアミロイドプラークの量を低減する必要のある患者に、低用量のp38MAPK阻害剤を投与する工程を含む、アルツハイマー病に関連するアミロイドプラークの量を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に関連するアミロイドプラークの量を低減する必要のある患者に、VX-745を投与する工程を含む、アルツハイマー病に関連するアミロイドプラークの量を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に関連するアミロイドプラークの量を低減する必要のある患者に、低用量のVX-745を投与する工程を含む、アルツハイマー病に関連するアミロイドプラークの量を低減する方法を提供する。
【0048】
いくつかの実施態様において、本発明は、(i)プラークの量を低減する、および(ii)MAPTのリン酸化を阻害する方法を提供する。いくつかの実施態様において、(i)プラークの量を低減する、および(ii)MAPTのリン酸化を阻害する方法は、その必要のある患者に、p38MAPK阻害剤を投与する工程を含む。ある実施態様において、(i)プラークの量を低減する、および(ii)MAPTのリン酸化を阻害する方法は、その必要のある患者に、低用量のp38MAPK阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施態様において、(i)プラークの量を低減する、および(ii)MAPTのリン酸化を阻害する方法は、その必要のある患者に、VX-745を投与する工程を含む。ある実施態様において、(i)プラークの量を低減する、および(ii)MAPTのリン酸化を阻害する方法は、その必要のある患者に、低用量のVX-745を投与する工程を含む。
【0049】
上記で議論したように、IL-1βの過剰発現は、Aβのクリアランスを増強するが、ミクログリアの慢性的な活性化は、ミクログリアのAβを分解する能力を低減する。従って、いくつかの実施態様において、本発明は、神経炎症を誘発せずに、プラークの量を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、神経炎症を誘発せずにプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、p38MAPK阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施態様において、神経炎症を誘発せずにプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、低用量のp38MAPK阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施態様において、神経炎症を誘発せずにプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、VX-745を投与する工程を含む。いくつかの実施態様において、神経炎症を誘発せずにプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、低用量のVX-745を投与する工程を含む。
【0050】
いくつかの実施態様において、本発明は、炎症性サイトカインの発現および/またはレベルを増大させずに、プラークの量を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、炎症性サイトカインの発現および/またはレベルを増大させずにプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、p38MAPK阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施態様において、炎症性サイトカインの発現および/またはレベルを増大させずにプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、低用量のp38MAPK阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施態様において、炎症性サイトカインの発現および/またはレベルを増大させずにプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、VX-745を投与する工程を含む。いくつかの実施態様において、炎症性サイトカインの発現および/またはレベルを増大させずにプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、低用量のVX-745を投与する工程を含む。
【0051】
いくつかの実施態様において、本発明は、IL-1βの発現および/またはレベルを増大させずに、プラークの量を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、IL-1βの発現および/またはレベルを増大させずにプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、p38MAPK阻害剤を投与する工程を含む。ある実施態様において、本発明は、IL-1βの発現および/またはレベルを増大させずにプラークの量を低減する必要のある患者に低用量のp38MAPK阻害剤を投与することによって、IL-1βの発現および/またはレベルを増大させずにプラークの量を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、IL-1βの発現および/またはレベルを増大させずにプラークの量を低減する方法は、その必要のある患者に、VX-745を投与する工程を含む。ある実施態様において、本発明は、IL-1βの発現および/またはレベルを増大させずにプラークの量を低減する必要のある患者に低用量のVX-745を投与することによって、IL-1βの発現および/またはレベルを増大させずにプラークの量を低減する方法を提供する。
【0052】
いくつかの実施態様において、本発明は、1日1回、1日2回、1週間1回、1週間2回、または1ヶ月1回の、p38阻害剤、例えばVX-745の投与を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、最大1、2、または3週間以上の間、1日あたり1、2、3または4回などの、より頻繁な間隔でのp38阻害剤の投与、続いてp38阻害剤の所望のレベルを維持するための漸減投薬スケジュールを提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、最大1、2、または3ヶ月間以上の間、1日あたり1、2、3または4回の間隔でのp38阻害剤の投与、続いてp38阻害剤の所望のレベルを維持するための漸減投薬スケジュールを提供する。より明確には、いくつかの実施態様において、本発明は、脳内で治療レベルを達成するために十分な間隔でのp38阻害剤の投与、続くその投与量の漸減の投薬スケジュールを提供する。
【0053】
いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した患者にp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した患者に低用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した患者に治療的に有効な用量のVX-745を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した患者に低用量のVX-745を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法を提供する。
【0054】
いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した患者にp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークAβ_(42)の数および/または体積を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した患者に低用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークAβ_(42)の数および/または体積を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した患者にVX-745を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークAβ_(42)の数および/または体積を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した患者に低用量のVX-745を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークAβ_(42)の数および/または体積を低減する方法を提供する。
【0055】
いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した患者に治療的に有効な用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、ベータアミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した患者に治療的に有効な用量のVX-745を投与する工程を含む、該患者において、ベータアミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した患者に低用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークAβ_(42)の数および/または体積を低減する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した患者に低用量のVX-745を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークAβ_(42)の数および/または体積を低減する方法を提供する。
【0056】
いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する必要のある患者に、治療的に有効な量のp38阻害剤を投与する工程を含む、アミロイドプラークの蓄積を予防するための方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する必要のある患者に、治療的に有効な量の低用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、アミロイドプラークの蓄積を予防するための方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する必要のある患者に、治療的に有効な量のVX-745を投与する工程を含む、アミロイドプラークの蓄積を予防するための方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する必要のある患者に、治療的に有効な量の低用量のVX-745を投与する工程を含む、アミロイドプラークの蓄積を予防するための方法を提供する。
【0057】
いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する患者に治療的に有効な用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法であって、ここでその治療的に有効な用量は、約1mgから約50mgの間である、方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する患者に治療的に有効な用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法であって、ここでその治療的に有効な用量は、約1mgから約20mgの間である、方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する患者に治療的に有効な用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法であって、ここでその治療的に有効な用量は、約1mgから約10mgの間である、方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する患者に治療的に有効な用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法であって、ここでその治療的に有効な用量は、約1mgから約5mgの間である、方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する患者に治療的に有効な用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法であって、ここでその治療的に有効な用量は、約5mgから約10mgの間である、方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する患者に治療的に有効な用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法であって、ここでその治療的に有効な用量は、約10mgから約20mgの間である、方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する患者に治療的に有効な用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法であって、ここでその治療的に有効な用量は、約20mgから約30mgの間である、方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する患者に治療的に有効な用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法であって、ここでその治療的に有効な用量は、約30mgから約40mgの間である、方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの蓄積を予防する患者に治療的に有効な用量のp38阻害剤を投与する工程を含む、該患者において、アミロイドプラークの数および/または体積を低減する方法であって、ここでその治療的に有効な用量は、約40mgから約50mgの間である、方法を提供する。
【0058】
いくつかの実施態様において、本発明は、p38MAPK阻害剤を投与することを含む、アミロイドプラーククリアランスメカニズムを、その必要のある被験体に提供する。
【0059】
いくつかの実施態様において、本発明は、プラークの量を低減する必要のある患者においてプラークの量を低減する方法であって、該患者に、p38MAPK阻害剤を約6ヶ月未満の期間投与する工程を含む、方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、プラークの量を低減する必要のある患者においてプラークの量を低減する方法であって、該患者に、p38MAPK阻害剤を約4ヶ月未満の期間投与する工程を含む、方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、プラークの量を低減する必要のある患者においてプラークの量を低減する方法であって、該患者に、p38MAPK阻害剤を約2ヶ月未満の期間投与する工程を含む、方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、プラークの量を低減する必要のある患者においてプラークの量を低減する方法であって、該患者に、p38MAPK阻害剤を約1ヶ月未満の期間投与する工程を含む、方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、プラークの量を低減する必要のある患者においてプラークの量を低減する方法であって、該患者に、p38MAPK阻害剤を約2週間未満の期間投与する工程を含む、方法を提供する。
【0060】
いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの量を低減する方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
(i)被験体の脳を画像化して、神経画像を得る工程;
(ii)該神経画像を、参照画像と比較して、アミロイドプラークの数および/または面積を決定する工程;および
(iii)もし該被験体が、該参照画像と比較した場合に増大した量のアミロイドプラークを有すると決定したら、治療的に有効な量のp38阻害剤を投与する工程。
【0061】
いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークの量を低減する方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
(i)被験体の脳を画像化する工程;
(ii)アミロイドプラークの数および/または面積を決定する工程;および
(iii)もし該アミロイドプラークの数および/または面積が、所定の閾値を超えていたら、治療的に有効な量のp38阻害剤を投与する工程。
【0062】
いくつかの実施態様において、上記参照画像は、コントロール被験体の画像である。いくつかの実施態様において、上記参照画像は、正常な認知機能を有する被験体の画像である。いくつかの実施態様において、上記参照画像は、上記被験体の脳のベースラインの画像である。いくつかのそのような実施態様において、上記参照画像は、上記被験体の脳の以前のスキャンである。いくつかの実施態様において、上記被験体は、アルツハイマー病を発症するリスクがある。
【0063】
いくつかの実施態様において、(i)画像化する工程、(ii)参照画像とのアミロイドプラークを比較する工程、および/またはアミロイドプラークの数および/または面積を決定する工程、ならびに(iii)p38阻害剤を投与する工程を、1回以上の所定の間隔で繰り返す。いくつかのそのような実施態様において、所定の間隔は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月である。いくつかの実施態様において、所定の間隔は、1年、2年、3年、4年、または5年である。いくつかの実施態様において、上記所定の間隔は、6ヶ月である。
【0064】
いくつかの実施態様において、その患者は、アルツハイマー病を発症するリスクのある、またはそれに罹患した患者である。
【0065】
いくつかの実施態様において、1つ以上の神経画像処理技術を用いて、被験体の脳を画像化する。いくつかの実施態様において、その神経画像処理技術を、コンピューター断層撮影(CATまたはCT)、単一光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)、ポジトロン放出断層撮影(PET)、核磁気共鳴画像法(MRI)、または機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)から成る群から選択する。いくつかの実施態様において、その神経画像処理技術は、コンピューター断層撮影(CATまたはCT)である。いくつかの実施態様において、その神経画像処理技術は、ポジトロン放出断層撮影(PET)である。いくつかのそのような実施態様において、上記PETスキャンにおいて使用される画像化剤を、amyvidまたはPittsburgh compound Bから選択する。いくつかの実施態様において、その神経画像処理技術は、核磁気共鳴画像法(MRI)である。いくつかの実施態様において、その神経画像処理技術は、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)である。
【0066】
当業者は、神経画像において、アミロイドプラークの数および/または面積をどのように決定または測定するのか理解している。例えば、Zemanら、「Diagnosis of Dementia Using Nuclear Medicine Imaging Modalities」、12 Chapters on Nuclear Medicine、Gholamrezanezhad編の第8章、199-229(2011年12月22日)、およびHsiaoら、「Correlation of early-phase ^(18)F-florbetapir(AV-45/Amyvid) PET images to FDG images: preliminary studies」、European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging、39(4)、613-620(2012)を参照のこと、それらそれぞれの全体は、これによってその全体において参考文献に組み込まれる。
【0067】
いくつかの実施態様において、p38阻害剤を、6ヶ月未満の期間投与する。いくつかの実施態様において、p38阻害剤を、4ヶ月未満の期間投与する。いくつかの実施態様において、p38阻害剤を、2ヶ月未満の期間投与する。いくつかの実施態様において、p38阻害剤を、1ヶ月未満の期間投与する。いくつかの実施態様において、p38阻害剤を、3週間未満の期間投与する。いくつかの実施態様において、p38阻害剤を、2週間未満の期間投与する。いくつかの実施態様において、p38阻害剤を、1週間未満の期間投与する。
【0068】
いくつかの実施態様において、所定の閾値は、特定の被験体のベースラインである。例えば、いくつかの実施態様において、アルツハイマー病を発症するリスクのある被験体の脳の画像化し、そしてアミロイドプラークの数および/または面積を決定する、および/または測定する。そのプラークの数および/または面積が、その被験体のベースラインまたは所定の閾値であり、それに対して後の全ての脳の画像が比較される。
【0069】
いくつかの実施態様において、所定の閾値は、アルツハイマー病の脳において典型的に見出されるアミロイドプラークの数および/または面積に基づく。いくつかのそのような実施態様において、所定の閾値は、アルツハイマー病の脳において典型的に見出されるアミロイドプラークの数および/または面積の平均である。
【0070】
いくつかの実施態様において、本発明は、アルツハイマー病に罹患した、またはその発症のリスクがある被験体において、アミロイドプラークの量を低減する方法を提供し、該方法は以下の工程を含む:
(iv)被験体の脳を画像化する工程;
(v)該アミロイドプラークの数および/または面積を決定する工程;および
(vi)もし該アミロイドプラークの数および/または面積が、所定の閾値を超えていたら、治療的に有効な量のp38阻害剤を投与する工程。
【0071】
いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークに煩わされている被験体を処置する方法であって、該被験体に治療的に有効な量のp38阻害剤を投与する工程を含み、ここで該アミロイドプラークの数および/または面積が所定の閾値を超えている、方法を提供する。
【0072】
いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラーク(ここで該アミロイドプラークの数および/面積は所定の閾値を超えている)に煩わされている被験体を処置する方法であって、以下の工程を含むを提供する:
(i)治療的に有効な量のp38阻害剤を、6ヶ月未満の期間投与する工程;
(ii)規則的な間隔で、該被験体の脳を画像化する工程;および
(iii)もし該アミロイドプラークの数および/または面積が以前に測定したアミロイドプラークレベルを超えていたら、治療的に有効な量のp38阻害剤を投与する工程。
【0073】
いくつかのそのような実施態様において、上記被験体にp38阻害剤を、4ヶ月未満、2ヶ月未満、1ヶ月未満、または2週間未満の期間投与する。
【0074】
いくつかの実施態様において、本発明は、アミロイドプラークに煩わされている被験体を処置する方法であって、治療的に有効な量のp38阻害剤を、6ヶ月未満の期間投与する工程を含み、ここで1つ以上の神経画像処理技術によって測定した場合、該アミロイドプラークの数および/または面積は、所定の閾値を超えている、方法を提供する。いくつかのそのような実施態様において、上記神経画像処理技術は、PETスキャンである。いくつかの実施態様において、上記方法はさらに、(i)規則的な間隔で上記被験体の脳を画像化する工程;および(ii)もし上記アミロイドプラークの数および/または面積が、以前に測定したアミロイドプラークレベルを超えていたら、治療的に有効な量のp38阻害剤を投与する工程を含む。
【0075】
併用療法
ある実施態様において、本発明は、被験体に治療的に有効な量のp38阻害剤を、1つ以上のさらなる治療薬と一緒に投与する工程を含む、アルツハイマー病を処置する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、被験体に治療的に有効な量のp38阻害剤を、コリンエステラーゼ阻害剤、N-メチル-D-アスパラギン酸アンタゴニスト、ビタミンE、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、抗躁うつ病薬、および睡眠補助薬から選択される1つ以上のさらなる治療薬と一緒に投与する工程を含む、アルツハイマー病を処置する方法を提供する。
【0076】
代表的なコリンエステラーゼ阻害剤としては、ドネペジル(Aricept^((登録商標)))、リバスチグミン(Exelon^((登録商標)))、ガランタミン(Razadyne^((登録商標)))、およびタクリン(Cognex^((登録商標)))が挙げられるが、それに限定されない。
【0077】
代表的な抗うつ薬としては、ブプロピオン(Wellbutrin^((登録商標)))、シタロプラム(Celexa^((登録商標)))、フルオキセチン(Prozac^((登録商標)))、ミルタザピン(Remeron^((登録商標)))、パロキセチン(Paxil^((登録商標)))、セルトラリン(Zoloft^((登録商標)))、トラゾドン(Desyrel^((登録商標)))、ベンラファキシン(Effexor^((登録商標)))、ノルトリプチリン(Pamelor^((登録商標)))およびデシプラミン(Norpramine^((登録商標)))が挙げられるが、それに限定されない。
【0078】
代表的な抗不安薬としては、ロラゼパム(Ativan^((登録商標)))およびオキサゼパム(Serax^((登録商標)))が挙げられるが、それに限定されない。
【0079】
代表的な抗精神病薬としては、アリピプラゾール(Abilify^((登録商標)))、クロザピン(Clozaril^((登録商標)))、ハロペリドール(Haldol^((登録商標)))、オランザピン(Zyprexa^((登録商標)))、クエチアピン(Seroquel^((登録商標)))、リスペリドン(Risperdal^((登録商標)))およびジプラシドン(Geodon^((登録商標)))が挙げられるが、それに限定されない。
【0080】
代表的な抗躁うつ病薬としては、カルバマゼピン(Tegretol^((登録商標)))およびジバルプロエクス(Depakota^((登録商標)))が挙げられるが、それに限定されない。
【0081】
代表的な睡眠補助薬としては、ゾルピデム、ザレプロン、およびクロラール水和物が挙げられるが、それに限定されない。
【0082】
代表的なN-メチル-D-アスパラギン酸アンタゴニストとしては、メマンチン(Namenda^((登録商標)))が挙げられるが、それに限定されない。
【0083】
いくつかの実施態様において、本発明は、被験体に治療的に有効な量のp38阻害剤を、エクセナチド(Byetta^((登録商標)))、バレニクリン、PF-04360365、リバスチグミン、LY450139、ST101、ブリオスタチン、EVP-6124、アトモキセチン、HF0220、レスベラトロール、ガランタミン、PF-01913539、セマガセスタット、3APS、免疫グロブリン、ジメボン、アルファ-トコフェロール、BAY85-8101、エストロゲン、プロゲステロン、ACC-001、イチョウ(ginko biloba)、ニセルゴリン、ピラセタム、NIC5-15、キサリプロデン(SR57746A)、インドメタシン、DMXB-A、LY2062430、11-C PIB、バピネオズマブ、エタネルセプト、ラミプリル、インターフェロンベータ-1a、シンバスタチン、リポ酸、魚油、クルクミン、PF-04447943、フォレート、ビタミンB6、ビタミンB12、ロイプロリド、INM-176、AH110690、トリプトファン、SK-PC-B70M、BMS-708163、エスシタロプラム、TRx0014、BAY94-9172、セレブロライシン、没食子酸(galate)エピガロカテキン、SB-742457、リチウム、ロシグリタゾン、ジバルプロエクス、SAR110894D、PRX-03140、CX516(Ampalex)、ニコチンアミド、ラサギリン、AC-1202(Ketasyn^((登録商標)))、enduramide、ネラメキサン、ラザダイン、NS2330(Tesofensine^((登録商標)))、タミバロテン、アシトレチン、メチルフェニデート、ミフェプリストン、ZT-1、AFFITOPE AD01、AFFITOPE AD02、GSK239512、GSK933776、SR57667B、PPI-1019、MPC-7869、AZD3480、PAZ-417、ソラネズマブ、マシチニブ(AB1010)、BAY1006578、ドコサヘキサエン酸、QS-21、MNI-558、遅効性レミニール(reminyl retard)、フルテメタモール、エストラジオール、メドロキシプロゲステロン、バルプロエート、T-817MA、AZD1446、AAB-003(PF-05236812)、モダフィニル、ラロキシフェン、アトルバスタチン、ドキシサイクリン、トラゾドン(trazadone)、ナトリウムオキシベート、フペルジンA、ルテイン、ゼアキサンチン、AC-3933、デキストロアンフェタミン、EPAX 1050TG、SRA-333、MNI-168、CAD106、SGS742、NP031112、SSR180711C、GSI-953、プラゾシン、MEM1003、AndroGel、AVE1625、シクロホスファミド(cyclophosphamate)、TC-5619-238、MK0249、レコゾタン、サーカディン、MEM3454、PPI-1019、UB311、PF-04494700、ABT-089、LY451395、E2020、ロフェコキシブ、PF-03654746、EHT0202エタゾレート、DCB-AD1、ONO-2506PO、EGb761^((登録商標))、ガンテネルマブ、フロルベタピル、ELND005、プレドニゾン、novasoy、チョウセンニンジン、ピオグリタゾン、カプリリデン(caprylidene)、ABT-288、ABT-384、ネフィラセタム、AQW051、ピタバスタチン、ナプロキセンナトリウム(Aleve^((登録商標)))、ロルノキシカム、AN-1792、SR57667B、メラトニン、SAM-531、MK0952、MK0677、IFN-アルファ2A、BAY94-9172、PYM50028、レコゾタンSR、サリドマイド、トラミプロサート、FK962、IVIG、RO5313534、ビフェプルノクス、LNK-754、ELND005、NSA-789、ラメルテオン、フロルベタベン、SRA-444、VP4896、セレコキシブ、ヒドロコドン、GSI-136、ゾルピデム、MK3328、メトホルミン、CTS21166、elontril、イブプロフェン、posiphenタルタレート(posiphen tartrate)、JNJ-39393406、テストステロン、BRL-049653、BMS-708163、SAM-315、ケトコナゾール、フルコナゾール、ワルファリン、E2609、AZD0328、LY2886721、CHF5074、E2212、アセトアミノフェン、LY2811376、ABT-126、メラトニン、GSK1034702、アルモダフィニル、デパコテ、ゲムフィブロジル、AL-108、レベチラセタム、およびキナクリンから成る群から選択される1つ以上のさらなる治療薬と一緒に投与する工程を含む、アルツハイマー病を処置する方法を提供する。
【0084】
薬学的組成物
いくつかの実施態様において、本発明は、p38MAPK阻害剤を、1つ以上の治療薬および薬学的に許容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルと共に含む薬学的組成物を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、低用量のp38MAPK阻害剤を、1つ以上の治療薬および薬学的に許容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルと共に含む薬学的組成物を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、p38阻害剤および1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む、アルツハイマー病を処置するための薬学的組成物を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、VX-702、VX-745、BIRB 796、TAK-715、SCIO 469、RWJ 67657、SB 681323、SB 242235、SB 203580、L-167307、RPR-203494、RPR-200765A、PD 169316、SB 200025、JX 401、CMPD1、SKF 86002、SX 011、SD 282、EO 1428、SD 169、SB 220025、SB 202190、SB 239063、Org 48762-0、LY2228820、ビノレルビン、PH-797804、およびアシアチン酸から選択されるp38阻害剤、および1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む、アルツハイマー病を処置するための薬学的組成物を提供する。いくつかのそのような実施態様において、アルツハイマー病を処置するための薬学的組成物は、低用量のp38阻害剤を含む。いくつかの実施態様において、本発明は、VX-745を含む、アルツハイマー病を処置するための薬学的組成物を提供する。いくつかのそのような実施態様において、薬学的組成物は、低用量のVX-745を含む。
【0085】
いくつかの実施態様において、本発明は、VX-745を、1つ以上の治療薬および薬学的に許容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルと共に含む薬学的組成物を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、低用量のVX-745、1つ以上の治療薬、および薬学的に許容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む薬学的組成物を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、低用量のVX-745、ドネペジル(Aricept^((登録商標)))、リバスチグミン(Exelon^((登録商標)))、ガランタミン(Razadyne^((登録商標)))、タクリン(Cognex^((登録商標)))、ブプロピオン(Wellbutrin^((登録商標)))、シタロプラム(Celexa^((登録商標)))、フルオキセチン(Prozac^((登録商標)))、ミルタザピン(Remeron^((登録商標)))、パロキセチン(Paxil^((登録商標)))、セルトラリン(Zoloft^((登録商標)))、トラゾドン(Desyrel^((登録商標)))、ベンラファキシン(Effexor^((登録商標)))、ノルトリプチリン(Pamelor^((登録商標)))、デシプラミン(Norpramine^((登録商標)))、ロラゼパム(Ativan^((登録商標)))、オキサゼパム(Serax^((登録商標)))、アリピプラゾール(Abilify^((登録商標)))、クロザピン(Clozaril^((登録商標)))、ハロペリドール(Haldol^((登録商標)))、オランザピン(Zyprexa^((登録商標)))、クエチアピン(Seroquel^((登録商標)))、リスペリドン(Risperdal^((登録商標)))、ジプラシドン(Geodon^((登録商標)))、カルバマゼピン(Tegretol^((登録商標)))、ジバルプロエクス(Depakota^((登録商標)))、ゾルピデム、ザレプロン、クロラール水和物、メマンチン(Namenda^((登録商標)))、エクセナチド(Byetta^((登録商標)))、バレニクリン、PF-04360365、リバスチグミン、LY450139、ST101、ブリオスタチン、EVP-6124、アトモキセチン、HF0220、レスベラトロール、ガランタミン、PF-01913539、セマガセスタット、3APS、免疫グロブリン、ジメボン、アルファ-トコフェロール、BAY85-8101、エストロゲン、プロゲステロン、ACC-001、イチョウ(ginko biloba)、ニセルゴリン、ピラセタム、NIC5-15、キサリプロデン(SR57746A)、インドメタシン、DMXB-A、LY2062430、11-C PIB、バピネオズマブ、エタネルセプト、ラミプリル、インターフェロンベータ-1a、シンバスタチン、リポ酸、魚油、クルクミン、PF-04447943、フォレート、ビタミンB6、ビタミンB12、ロイプロリド、INM-176、AH110690、トリプトファン、SK-PC-B70M、BMS-708163、エスシタロプラム、TRx0014、BAY94-9172、セレブロライシン、没食子酸エピガロカテキン、SB-742457、リチウム、ロシグリタゾン、ジバルプロエクス、SAR110894D、PRX-03140、CX516(Ampalex)、ニコチンアミド、ラサギリン、AC-1202(Ketasyn^((登録商標)))、enduramide、ネラメキサン、ラザダイン、NS2330(Tesofensine^((登録商標)))、タミバロテン、アシトレチン、メチルフェニデート、ミフェプリストン、ZT-1、AFFITOPE AD01、AFFITOPE AD02、GSK239512、GSK933776、SR57667B、PPI-1019、MPC-7869、AZD3480、PAZ-417、ソラネズマブ、マシチニブ(AB1010)、BAY1006578、ドコサヘキサエン酸、QS-21、MNI-558、遅効性レミニール、フルテメタモール、エストラジオール、メドロキシプロゲステロン、バルプロエート、T-817MA、AZD1446、AAB-003(PF-05236812)、モダフィニル、ラロキシフェン、アトルバスタチン、ドキシサイクリン、トラゾドン、ナトリウムオキシベート、フペルジンA、ルテイン、ゼアキサンチン、AC-3933、デキストロアンフェタミン、EPAX 1050TG、SRA-333、MNI-168、CAD106、SGS742、NP031112、SSR180711C、GSI-953、プラゾシン、MEM1003、AndroGel、AVE1625、シクロホスファミド、TC-5619-238、MK0249、レコゾタン、サーカディン、MEM3454、PPI-1019、UB311、PF-04494700、ABT-089、LY451395、E2020、ロフェコキシブ、PF-03654746、EHT0202エタゾレート、DCB-AD1、ONO-2506PO、EGb761^((登録商標))、ガンテネルマブ、フロルベタピル、ELND005、プレドニゾン、navasoy、チョウセンニンジン、ピオグリタゾン、カプリリデン、ABT-288、ABT-384、ネフィラセタム、AQW051、ピタバスタチン、ナプロキセンナトリウム(Aleve^((登録商標)))、ロルノキシカム、AN-1792、SR57667B、メラトニン、SAM-531、MK0952、MK0677、IFN-アルファ2A、BAY94-9172、PYM50028、レコゾタンSR、サリドマイド、トラミプロサート、FK962、IVIG、RO5313534、ビフェプルノクス、LNK-754、ELND005、NSA-789、ラメルテオン、フロルベタベン、SRA-444、VP4896、セレコキシブ、ヒドロコドン、GSI-136、ゾルピデム、MK3328、メトホルミン、CTS21166、elontril、イブプロフェン、posiphenタルタレート、JNJ-39393406、テストステロン、BRL-049653、BMS-708163、SAM-315、ケトコナゾール、フルコナゾール、ワルファリン、E2609、AZD0328、LY2886721、CHF5074、E2212、アセトアミノフェン、LY2811376、ABT-126、メラトニン、GSK1034702、アルモダフィニル、デパコテ、ゲムフィブロジル、AL-108、レベチラセタム、およびキナクリンから選択される1つ以上の治療薬、および薬学的に許容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む薬学的組成物を提供する。
【0086】
ある実施態様において、本発明の薬学的に許容可能な組成物を、経口投与のために製剤化する。本発明の薬学的に許容可能な組成物を、カプセル、カプレット、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含むがこれに限らない、あらゆる経口で許容可能な剤形で経口投与し得る。経口使用のための錠剤の場合、通常使用されるキャリアは、ラクトースおよびコーンスターチを含む。典型的にはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も加える。カプセル形態における経口投与に関して、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥コーンスターチを含む。経口使用のために水性懸濁剤が必要である場合、活性成分を、乳化剤および懸濁化剤と組み合わせる。所望の場合、一定の甘味料、香味料、または着色料も加え得る。
【0087】
単一剤形の組成物を生成するために、キャリア材料と組み合わせる本発明の化合物の量は、上記患者および特定の投与方式に依存して変動する。好ましくは、これらの組成物を受ける患者に、1?50mg/日の間のp38阻害剤(すなわち、VX-745または他のp38阻害剤)の用量が投与され得るように、提供される組成物を製剤化するべきである。組成物の例は、これらの組成物を受ける患者に、1日あたり1?10mg、10?25mg、または25?50mgの間のp38阻害剤の投与量を投与するために製剤化された組成物を含む。本発明の他の実施態様において、組成物は、これらの組成物を受ける患者に、1日あたり3?5mg、5?10mg、10?20mg、20?30mg、30?40mg、または40?50mgの間の投与量の上記阻害剤を投与するために製剤化された組成物を含む。いくつかの実施態様において、上記組成物を、1mg、3mg、5mg、10mg、20mg、25mg、30mg、または50mgの活性組成物を含む用量へと製剤化する。これらの製剤の投薬レジメは、単回投与の投薬、毎日1回、2回、または3回の投薬、週1回の投薬、および月1回の投薬を含み得るが、これに限らない。
【0088】
いくつかの処置レジメにおいて、上記薬物の高い組織濃度を達成するために、患者を最初に、より高い用量の本発明の化合物(「負荷投与量」)で、一定の期間(「負荷期間(loading period)」)処置し、その後、活性組成物の血清濃度または組織濃度を維持するために、より低い用量の該活性組成物(「維持量」)で、より長い期間(「維持期間」)処置する。
【0089】
いくつかの処置レジメにおいて、上記阻害剤の患者への投与を、一次的に停止する(「休薬日」)。いくつかの実施例において、患者は、1ヶ月間の毎日の用量の阻害剤、続く1ヶ月の休薬日のサイクルを有し得る。別の実施例において、患者は6ヶ月間の阻害剤の毎日の投薬、続く1ヶ月の休薬日を有し得る。別の実施例において、患者は、3週間の阻害剤の毎日の用量、続く1週間の休薬日を有し得る。さらに別の実施例において、患者は、1週間の薬物の毎日の用量、続く3週間の休薬日を有し得る。別の実施例において、患者は、6週間の薬物の週1回の用量、続く3週間の休薬日のサイクルを有し得る。
【0090】
あらゆる特定の患者のための特定の投与量および処置レジメは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、および処置する医師の判断、および処置する特定の疾患の重症度を含む、様々な因子に依存することも理解されるべきである。上記組成物中の本発明の化合物の量はまた、該組成物中の特定の化合物に依存する。
【実施例】
【0091】
実施例1
本研究の目的は、アルツハイマー病(AD)トランスジェニックTg2576マウスモデルにおいて、ベータアミロイド(Aβ)の蓄積およびプラークの量および炎症に対する、1日2回2週間の経口VX-745処置の効果を評価することであった。
【0092】
動物。トランスジェニックマウスを、26ヶ月齢から開始して、ビヒクルまたはVX-745のいずれかで2週間処置した。2週間の処置後、上記動物を屠殺し、そして脳を、Aβ1-42ELISAおよびAβ免疫組織化学検査による、不溶性のアミロイドベータレベルおよびプラークの量の生化学的および免疫組織学的分析のために使用した。炎症を、腹側皮質IL-1βおよびTNF-αELISAによって分析し、そして小膠細胞症を、CD11b免疫組織化学検査によって分析した。エンドポイントで血漿を回収し、そしてPK分析のために依頼主(client)に送った。
【0093】
全ての動物実験を、実験動物の飼育および使用のためのNational Institute of Health(NIH)ガイドラインに従って行い、そしてState Provincial Office of Southern Finlandによって承認された。Taconicから購入した、雌性トランスジェニックTg2576マウス(n=12)および野生型マウス(n=5)を本実験のために使用した。動物を、標準的な温度(22±1℃)および光調節環境(午前7時から午後8時まで点灯)で収容し、食物および水を自由に取れるようにした。上記Tg2576トランスジェニック系統を、「Swedish」二重変異を有するhAPP695構築物およびハムスタープリオンタンパク質コスミドベクターのC57B6/J×SJL宿主への挿入によって開発した;プリオンプロモーターは、脳内のニューロンに対する変異APPの過剰発現を制限する。結果として、上記Tg2576マウスは、6?8ヶ月齢までに高い脳内レベルの可溶性Aβ1-40およびAβ1-42を、そして10?16ヶ月までに新皮質および海馬においてAβを含む老人斑を発達させる。上記マウスを、以下のように処置群に分けた:
・ビヒクルで処置する5匹の野生型コントロールマウス
・ビヒクルで処置する6匹のTg2576マウス
・VX-745(3mg/kg)で処置する6匹のTg2576マウス。
【0094】
化合物の保存および処方のための指示。VX-745が、スポンサーによって乾燥化合物としてCerebriconに配達された。利用するビヒクルは、1%プルロニックF108であった。保存および溶解の指示が、スポンサーによって提供された。上記化合物の化学物質安全性データシートまたは同様の文書が、スポンサーによって提供された。その溶液を、スポンサーによって提供された指示に従って保存した(溶液の保存条件および有効期限)。ビヒクルは、スポンサー/Cerebriconによって提供された。
【0095】
薬物の送達。経口経管栄養(10ml/kg)によるVX-745またはビヒクルの経口投与を、26ヶ月齢から始めてBIDで行い、そして14日間続けた。屠殺の日、屠殺の2時間前に処置を行った。
【0096】
一般的な健康状態および人道的なエンドポイント。動物を、研究所員が1日2回モニターした(午前8時および午後4時)。動物の一般的な健康状態が著しく悪化した場合、そのマウスをCO_(2)の過量投与によって屠殺し、断頭し、そして脳を下記で詳細に述べるように処理した。許容可能なエンドポイントの定義は以下のものを含む:自発運動無しおよび24時間の観察期間中飲むまたは食べることができない、大量出血、自然に起こる炎症、解剖学的構造の喪失(missing anatomy)、腫脹または腫瘍。
【0097】
血漿および脳サンプルの採取。最後の投薬から2時間後、上記マウスをペントバルビタールナトリウム(60mg/kg Mebunat、Orion Pharma、Finland)で深く麻酔した。そのマウスに心臓穿刺を行い、そして血液サンプルを前もって冷却した(氷浴)EDTAチューブに採取した。そのチューブを氷上に維持し、そしてできるだけ早く2000g(+4℃)での遠心分離によって血漿を分離した。各マウスから150?200lμlの血漿を、前もって冷却したポリプロプレンのチューブに移し、そしてPK分析のためにスポンサーに送られるまで、-80℃で凍結して維持した。
【0098】
脳を、ヘパリン処理していない食塩水で灌流した。0.1MのPB中4%のPFAに浸すことによって、右半球を後固定した。リン酸緩衝液で短時間洗浄した後、それを、PB中30%のショ糖中で2?3日凍結保護し、その後、液体窒素中で凍結し、そしてさらなる分析(免疫組織化学検査)のために-80℃で保存した。左半球(氷上で海馬、腹側および背側皮質、および残りの画分に解剖した)を、ドライアイス上で新鮮凍結し、そして生化学的分析(ELISA)のために-80℃で保存した。小脳を新鮮凍結し、そして任意の将来のPK/他の分析のために-80℃で保存した。
【0099】
免疫組織化学検査。固定、凍結保護、および凍結した半球から、20μmの厚さの冠状切片をクリオスタットで調製し、そしてSuperFrost Plusガラススライドに載せた。免疫組織化学的分析のために、選択された切片を使用した。皮質構造物および海馬構造物におけるプラークの量およびアミロイド凝集物の程度を、アミロイドベータ免疫組織化学染色によって分析した。
【0100】
隣接する切片から、小膠細胞症の程度を、CD11b免疫組織化学検査によって分析した。
【0101】
AβおよびCD11b免疫組織化学検査:簡単には、免疫組織化学検査において使用した組織切片を解凍し、そして空気乾燥した。内部ペルオキシダーゼ活性および非特異的結合のブロッキング、および洗浄の後、切片を以下のものと室温(RT)で一晩反応させた:
・抗Aβ(マウス抗-Aβ[4-10]、the Genetics Company
AB02、1:20,000、クローンW0-2)
・抗CD11b(ラット抗CD11b、AbD Serotec Inc.MCA711、1:500)。
【0102】
その後、その切片を適当なビオチン化2次抗体およびアビジン-ビオチン複合体(Vectastain Eliteキット、Vector Laboratories、Burlingame、CA)とともにそれぞれ2時間インキュベートした。ペルオキシダーゼを含むアビジン-ビオチン複合体を、基質としてニッケル増強DABを用いて視覚化した。最後に、その切片をすすぎ、脱水し、カバーガラスをかけて、そしてLeica3000RB顕微鏡で調査した。
【0103】
画像分析。海馬の前後軸に沿った、等間隔の冠状組織切片(各動物から3?4枚の組織切片)を、ImagePro Plusソフトウェアを用いて、免疫染色の強度に関して分析した。免疫反応性染色の画像を、カラーCCDカメラを備えた明視野顕微鏡で、規定の光およびフィルターの設定で捕捉した。Aβ免疫反応性プラークの沈着およびニューロン内のAβ凝集物の捕捉された画像、およびCD11bの免疫反応性の画像を、グレースケールの画像に変換し、縁をシャープにするために描写機能(delineation function)で処理して、正確な分割を可能にした。その画像を、自動閾値コマンドで分割した(ImageProPlus、MediaCybernetics)。その結果を、面積の分数として表し(染色面積_(tot)/測定した面積_(tot)、%で表す)、そして個々のトランスジェニックマウスそれぞれから分析した組織切片間の平均値±SEMとして示した。腹側皮質および背側海馬を、上記冠状切片から分析した(背側海馬のAPレベルで)。
【0104】
不溶性および可溶性アミロイドベータ1-42ELISA。アミロイドベータ1-42ELISA分析を、腹側皮質においてAβ_(1-42)の不溶性および可溶性形態を検出するために適用した。
【0105】
上記腹側皮質組織サンプルをホモジナイズし、そしてサンプルを製造業者の詳細な指示に従って調製した(the Genetics Company、Switzerland、hAmyloid B42 Brain ELISA)。簡単には、上記組織を、1:10(組織重量:溶解緩衝液)の比で、溶解緩衝液中で、Dounceホモジナイザー(氷上で2×10ストローク)でホモジナイズした。溶解緩衝液は、プロテアーゼ阻害剤を含む、Tris緩衝化食塩水(TBS;20mMのTris-塩基および137mMのNaCl、pH7.4)であった。そのホモジネートを、13,000rpmで、+4℃で10分間遠心分離し、そして上清をアリコートに分けて、そして分析の前に-20℃で凍結保存した(=可溶性Aβ)。
【0106】
そのペレットを、蒸留水中の冷却70%ギ酸中で再度ホモジナイズし、10分間音波処理し、15×体積の1M Tris pH7.4で中和し、そして13,000rpmで、+4℃で10分間遠心分離した。その上清を-20℃で凍結保存した(=不溶性Aβ)。
【0107】
脳組織サンプルからの不溶性および可溶性画分中のAβ_(1-42)レベルを、製造業者の指示に従って、Amyloid Beta 1-42 ELISAキット(hAmyloid B42 Brain ELISAs、The Genetics Company、Switzerland)を用いて、ELISAによって分析した。標準曲線の範囲は、25から500pg/mlであった。図1Aおよび1Bは、2週間のVX-745の3mg/kgBIDの投与後の、トランスジェニックマウスのAβ_(1-42)アミロイドプラークの面積のパーセンテージを示す。特に、本研究を、老齢マウスで行った(26ヶ月齢)。他の研究はアミロイドプラークの蓄積を予防することを試み、そして従って約4および/または8ヶ月齢のマウスで行う(例えば、Zhuら、J.Neuroscience、31(4):1355-136(2011)を参照のこと、その全体において本明細書中で参考文献に組み込まれる)。26ヶ月齢のTg2576マウスは、6-8ヶ月齢までに、可溶性アミロイドプラークの増大した脳内レベルを有する。本実験は、p38阻害剤(すなわちVX-745)のアミロイドプラーク除去能力を評価するためにデザインされた。重要なことに、VX-745は、ビヒクルと比較して、皮質においてアミロイドプラーク面積の32.5%の減少を示した(コントロールにおける平均27.7%のアミロイドプラーク面積対VX-745処置動物における平均18.7%のアミロイドプラーク面積)。VX-745は、ビヒクルと比較して、海馬においてアミロイドプラーク面積の61.8%の減少を示した(コントロールにおける平均13.6%のアミロイドプラーク面積対VX-745処置動物における平均5.2%のアミロイドプラーク面積)。
【0108】
IL-1βおよびTNF-α ELISA。IL-1βおよびTNF-αレベルを、製造業者の指示に従って、可溶性背側皮質脳組織画分から、マウスIL-1βおよびTNF-α ELISA Kits(Quantikine M CytokineマウスIL-1βおよびTNF-α ELISAキット、RND-Systems、MLB00およびMTA00、R&D Systems、MN、USA)を用いて分析した。図2は、VX-745の3mg/kgBIDの2週間の投与後の、トランスジェニックマウスにおけるIL-1βレベルを示す。炎症、特に神経炎症における増大は、MAPTリン酸化およびIL-1の過剰発現による凝集を引き起こすことが公知である。図2は、処置マウス対コントロールおよび野生型マウスにおけるIL-1βレベルを示す。特に、VX-745処置マウスは、野生型またはコントロール動物と比較した場合に、IL-1βレベルの増大を示さなかった。
【0109】
統計分析。全てのデータを、平均値±標準偏差(SD)または平均値の標準誤差(SEM)として示し、そしてP<0.05レベルで差異を統計的に有意であるとみなした。統計分析を、StatsDirect統計ソフトウェアを用いて行った。群の平均値間の差異を、対応のないt検定を用いて分析した。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-03-02 
結審通知日 2016-03-04 
審決日 2016-03-15 
出願番号 特願2014-510427(P2014-510427)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中尾 忍  
特許庁審判長 關 政立
特許庁審判官 大宅 郁治
新留 素子
登録日 2015-12-11 
登録番号 特許第5851022号(P5851022)
発明の名称 アルツハイマー病を処置するための組成物および方法  
代理人 森下 夏樹  
代理人 石川 大輔  
代理人 石川 大輔  
代理人 山本 健策  
代理人 長谷部 真久  
代理人 山本 健策  
代理人 山本 秀策  
代理人 ▲駒▼谷 剛志  
代理人 ▲駒▼谷 剛志  
代理人 長谷部 真久  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 秀策  

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