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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1314638
審判番号 不服2015-14709  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-06 
確定日 2016-06-06 
事件の表示 特願2013-175258「メディアコンテンツをミラーリングしトランスコードするためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月 9日出願公開,特開2014- 3685,請求項の数(13)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 経緯
1 手続
本願は,2008年(平成20年)7月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年7月11日 米国)を国際出願日とする出願である特願2010-516058号の一部を平成25年8月27日に新たな出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年 5月 7日付け:拒絶理由通知
平成26年11月 6日 :意見書の提出
平成26年11月 6日 :手続補正
平成27年 4月 2日付け:拒絶査定
平成27年 4月 6日 :拒絶査定の謄本の送達
平成27年 8月 6日 :拒絶査定不服審判の請求
平成27年 8月 6日 :手続補正
平成27年10月14日 :前置報告

2 原査定の理由の概要
原査定の理由は,概略,以下のとおりである。

本願の請求項1?10,12?16に係る発明は,下記の引用文献2?4記載の発明に,下記の引用文献6,7に記載された技術を適用することにより,当業者が容易になし得たものである。よって,本願の請求項1?10,12?16に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
なお,平成26年11月6日付けの意見書の主張についてみると,ユーザが選択したタイプのメディア・コンテントをミラーリング及びトランスコードすることは,引用文献2には,トランスコードを行うメディアコンテントのソース・タイプに基づいて,複数のトランスコーダのうちの一つを選択する旨の記載から,当業者であれば容易に想到し得たことである。

2.米国特許出願公開第2004/0193648号明細書
3.特開2002-176610号公報
4.特表2003-518832号公報
6.米国特許出願公開第2007/0157234号明細書
7.特開2004-080083号公報

第2 平成27年8月6日付けの手続補正について
1 補正の内容
平成27年8月6日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は,本件補正前の請求項1に記載された,

「【請求項1】
メディアコンテンツへのアクセスを提供するための方法であって,該方法は,遠隔サーバにより実行され,該方法は,
第1のユーザ機器に格納されたメディアコンテンツがユーザが選択した種類のものであるかを決定することと,
該第1のユーザ機器に格納されたメディアコンテンツが該ユーザが選択した種類のものであると決定したことに基づいて,該遠隔サーバ上に第1のユーザ機器に格納された該メディアコンテンツをミラーリングすることであって,該遠隔サーバは,ネットワークを介して該第1のユーザ機器に連結されている,ことと,
該遠隔サーバ上において,該ミラーリングされたメディアコンテンツのコピーを第2のユーザ機器のために適切なメディアコンテンツフォーマットにトランスコードすることと,
該ミラーリングされ,トランスコードされたメディアコンテンツを該第2のユーザ機器に自動的にプッシュすることと
を包含する,方法。」

という発明を,本件補正に係る手続補正書の請求項1に記載された,

「【請求項1】
メディアコンテンツへのアクセスを提供するための方法であって,該方法は,遠隔サーバにより実行され,該方法は,
メディアコンテンツが第1のユーザ機器上で追加または更新されたときに,該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツがユーザが選択した種類のものであるかを自動的に決定することと,
該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツが該ユーザが選択した種類のものであると決定したことに基づいて,該遠隔サーバ上に第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツをミラーリングすることであって,該遠隔サーバは,ネットワークを介して該第1のユーザ機器に連結されている,ことと,
該遠隔サーバ上において,該ミラーリングされた追加または更新されたメディアコンテンツのコピーを第2のユーザ機器のために適切なメディアコンテンツフォーマットにトランスコードすることと,
該ミラーリングされ,トランスコードされたメディアコンテンツを該第2のユーザ機器に自動的にプッシュすることと
を包含する,方法。」

という発明に補正するものである(下線は,審判請求人が示した補正箇所である。)。

2 新規事項の有無,補正の目的要件等について
本件補正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において,以下の点を限定することにより,特許請求の範囲を減縮するものであり,かつ,補正前の発明と補正後の発明とは,産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
・「メディアコンテンツ」が「ユーザが選択した種類のものである」との「決定」について,当該決定が「メディアコンテンツが第1のユーザ機器上で追加または更新されたとき」に,「自動的に」なされる点
・「ミラーリング」され,「トランスコード」される「メディアコンテンツ」が,前記「追加または更新された」ものである点
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第3項(新規事項)及び同法第17条の2第5項第2号(補正の目的)の規定に適合している。
また,特許法第17条の2第4項(シフト補正)の規定に違反するところもない。

3 独立特許要件について
本件補正は,特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるから,補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について,以下に検討する。

(1)補正後発明1
本件補正後の請求項1に係る発明は,平成27年8月6日付けの手続補正書により補正された明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項に基づき特定される,以下のとおりの発明(以下「補正後発明1」という。)であると認める。なお,次のように,当審において,(A)から(F)までの記号を説明のために付与した。以下,構成要件A,構成要件Bなどと称することとする。

(A) メディアコンテンツへのアクセスを提供するための方法であって,該方法は,遠隔サーバにより実行され,該方法は,
(B) メディアコンテンツが第1のユーザ機器上で追加または更新されたときに,該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツがユーザが選択した種類のものであるかを自動的に決定することと,
(C) 該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツが該ユーザが選択した種類のものであると決定したことに基づいて,該遠隔サーバ上に第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツをミラーリングすることであって,該遠隔サーバは,ネットワークを介して該第1のユーザ機器に連結されている,ことと,
(D) 該遠隔サーバ上において,該ミラーリングされた追加または更新されたメディアコンテンツのコピーを第2のユーザ機器のために適切なメディアコンテンツフォーマットにトランスコードすることと,
(E) 該ミラーリングされ,トランスコードされたメディアコンテンツを該第2のユーザ機器に自動的にプッシュすることと
を包含する,
(F)方法。

(2)引用例1の記載及び引用発明1
(2-1)引用例1の記載
原審の平成26年5月7日付けの拒絶理由において,引用文献5として引用された,米国特許出願公開第2007/0157266号明細書(以下「引用例1」という。)には,「Interactive media guidance system having multiple devices」(邦訳:複数装置を有する双方向メディア案内システム)として,図面とともに以下の事項が記載されている。なお,邦訳は,引用例1のパテントファミリーである,特表2009-521841号公報を参考にして,当審において付記したものである。

ア 「[0057] An illustrative interactive media guidance system 100 in accordance with the present invention is shown in FIG. 1. System 100 is intended to illustrate a number of approaches by which media of various types, and guidance for such media, may be provided to (and accessed by) end-users. The present invention, however, may be applied in systems employing any one or a subset of these approaches, or in systems employing other approaches for delivering media and providing media guidance.
[0058] The first approach represents a typical television-centric system in which users may access television (and in some systems music) programming. This includes programming sources 102 and distribution facility 104. Media such as television programming and digital music is provided from programming sources 102 to distribution facility 104, using communications path 106. Communications path 106 may be a satellite path, a fiber-optic path, a cable path, or any other suitable wired or wireless communications path or combination of such paths.(中略)
[0061] Distribution facility 104 may be connected to various user equipment devices 108, 110, and 112. Such user equipment devices may be located, for example, in the homes of users. User equipment devices may include user television equipment 110, user computer equipment 112, or any other type of user equipment suitable for accessing media. User equipment 108 may be any type of user equipment (e.g., user television equipment, user computer equipment, cellular phones, handheld video players, gaming platforms, etc.) and, for simplicity, user equipment devices may be referred to generally as user equipment 108.(中略)
[0063] A second approach illustrated in FIG. 1 by which media and media guidance are provided to end users is a non-television-centric approach. In this approach media such as video (which may include television programming), audio, images, web pages, or a suitable combination thereof, are provided to equipment of a plurality of users (e.g., user equipment 108, user television equipment 110, and user computer equipment 112) by server 130 via communications network 126. This approach is non-television-centric because media (e.g., television programming) is provided by and delivered at least partially, and sometimes exclusively, via equipment that have not traditionally been primarily focused on the television viewing experience. Non-television-centric equipment is playing a larger role in the television viewing experience. 」
(邦訳)
「[0057]
本発明による例示的双方向メディア案内システム100は,図1に示される。システム100は,種々の種類のメディアおよびそのようなメディアのための案内がエンドユーザに提供(および,アクセス)され得る,いくつかのアプローチを例示することを目的とする。しかしながら,本発明は,任意の1つまたはこれらのアプローチの一部を採用するシステム,あるいはメディアを配信し,メディア案内を提供するための他のアプローチを採用するシステムにおいて適用されてもよい。
[0058]
第1のアプローチは,ユーザがテレビ(および,一部のシステムでは音楽)番組にアクセスし得る,典型的なテレビ中心型システムを示す。これは,番組ソース102および配信設備104を含む。テレビ番組およびデジタル音楽等のメディアは,番組ソース102から配信設備104へ,通信経路106を使用して提供される。通信経路106は,衛星経路,光ファイバ経路,ケーブル経路,または任意の他の好適な有線あるいは無線通信経路,もしくはそのような経路の組み合わせであってもよい。(中略)
[0061]
配信設備104は,種々のユーザ機器装置108,110,および112に接続してもよい。そのようなユーザ機器装置は,例えば,ユーザの家庭内に設置してもよい。ユーザ機器装置は,ユーザテレビ機器110,ユーザコンピュータ機器112,またはメディアのアクセスに好適な任意の他の種類のユーザ機器を含んでもよい。ユーザ機器108は,任意の種類のユーザ機器(例えば,ユーザテレビ機器,ユーザコンピュータ機器,携帯電話,携帯用ビデオプレーヤ,ゲーム用プラットフォーム等)であってもよく,簡潔にするため,ユーザ機器装置は,概してユーザ機器108と称される場合がある。(中略)
[0063]
メディアおよびメディア案内がエンドユーザに提供される,図1に示される第2のアプローチは,非テレビ中心型アプローチである。本アプローチでは,映像(テレビ番組を含み得る),音声,画像,ウェブページ,またはそれらの好適な組み合わせ等のメディアは,通信ネットワーク126を介して,サーバ130によって,複数のユーザ機器(例えば,ユーザ機器108,ユーザテレビ機器110,およびユーザコンピュータ機器112)に提供される。メディア(例えば,テレビ番組)は,従来は,テレビ視聴経験に主に焦点をあてられなかった機器を介して,少なくとも部分的に,時として排他的に,提供および配信されるため,このアプローチは,非テレビ中心型である。非テレビ中心型機器は,テレビ視聴経験において大きな役割を担っている。」

イ 「[0135] FIG. 12b shows an illustrative system diagram of a newly-created group 1216 in accordance with the present invention.(中略)Server 1214 may be server 140 (FIG. 1) that is located at television distribution facility 104 (FIG. 1) or server 130 (FIG. 1) that is accessible over communications network 126 (FIG. 1). (後略)」
(邦訳)
「[0135]
図12bは,本発明による,新しく生成されたグループ1216の例示的システム図を示す。(中略)サーバ1214は,テレビ配信設備104(図1)に設置されるサーバ140(図1)または通信ネットワーク126(図1)を介してアクセス可能なサーバ130(図1)であってもよい。(後略)」

ウ 「[0166] FIG. 13 shows illustrative display screen 1300 for setting a recording of a television program for a group of user equipment devices in accordance with the present invention. (中略)
[0169] The interactive media guidance application may allow the user to select program recording settings for the selected program.(中略)
[0170] The interactive media guidance application may allow the user to set group options for sharing with and backing up recordings on other user equipment devices in the group. In response to the user selecting group recording option 1308, the interactive media guidance application may allow other user equipment devices in the group to access and view the recorded program. In some embodiments, the interactive media guidance application may allow other user equipment devices in the group to access the recorded program during the recording. In some embodiments, the interactive media guidance application may allow other user equipment devices in the group to access the recorded program after the recording is complete. In some embodiments, the name of the group may be displayed. In some embodiments, if the user is part of multiple groups, group recording option 1308 may be set independently for each group.
[0171] If the user has selected group recording option 1308, the interactive media guidance application may determine the location where the selected program is to be recorded. In some embodiments, the selected program is recorded on the user equipment device on from which the recording was set. In some embodiments, the selected program is recorded on a user equipment device in the group that has the most available resources or capacity. In some embodiments, the selected program is recorded on a server (e.g., server 1214 (FIG. 12q)). In some embodiments, the interactive media guidance application allows the user to select the location where the selected program is to be recorded. 」
(邦訳)
「[0166]
図13は,本発明による,ユーザ機器装置のグループ用のテレビ番組の記録を設定するための,例示的ディスプレイ画面1300を示す。(中略)
[0169]
双方向メディア案内アプリケーションによって,ユーザは,選択された番組のための番組記録設定を選択可能となり得る。(中略)
[0170]
双方向メディア案内アプリケーションによって,ユーザは,グループ内の他のユーザ機器装置と共有するため,およびそれらに記録をバックアップするためのグループオプションを設定可能となり得る。ユーザによる「グループ記録」オプション1308の選択に応じて,双方向メディア案内アプリケーションによって,グループ内の他のユーザ機器装置は,記録される番組へアクセスし,視聴することが可能となり得る。いくつかの実施形態では,双方向メディア案内アプリケーションによって,グループ内の他のユーザ機器装置は,記録の間,記録された番組にアクセスすることが可能となり得る。いくつかの実施形態では,双方向メディア案内アプリケーションによって,グループ内の他のユーザ機器装置によって,記録が完了した後,記録された番組にアクセスすることが可能となり得る。いくつかの実施形態では,グループの名称が表示されてもよい。いくつかの実施形態では,ユーザが複数のグループの一部である場合,「グループ記録」オプション1308は,各グループに対し独立して設定されてもよい。
[0171]
ユーザが「グループ記録」オプション1308を選択した場合,双方向メディア案内アプリケーションは,選択された番組が記録される場所を決定してもよい。いくつかの実施形態では,選択された番組は,記録が送信されたユーザ機器装置上に記録される。いくつかの実施形態では,選択された番組は最大利用可能なリソースまたは容量を有するグループ内のユーザ機器装置に記録される。いくつかの実施形態では,選択された番組は,サーバ上に記録される(例えば,サーバ1214(図12q))。いくつかの実施形態では,双方向メディア案内アプリケーションによって,ユーザは,選択された番組が記録される場所を選択することが可能となる。」

エ 「[0179] In response to the user selecting backup option 1310 and selecting a number from the provided drop-down list, the interactive media guidance application may backup the selected number of copies of the recorded program on servers or other user equipment devices in the group. The interactive media guidance application may send a request to the servers or other user equipment devices to store a backup copy of the recorded program.(中略)
[0180](中略) In some embodiments, the user equipment device on which the program is being recorded may be configured to transfer the recorded program to the servers and user equipment devices for backup. 」
(邦訳)
「[0179]
ユーザによるバックアップオプション1310の選択および提供されるドロップダウンリストからの数の選択に応じて,双方向メディア案内アプリケーションは,記録された番組の選択数のコピーをサーバまたはグループ内の他のユーザ機器装置上にバックアップしてもよい。(中略)
[0180]
(中略)いくつかの実施形態では,番組が記録されているユーザ機器装置は,バックアップのためのサーバおよびユーザ機器装置に記録された番組を転送するように構成されてもよい。」

オ 「[0224] FIG. 17 shows an illustrative flow diagram 1700 for accessing recorded content in accordance with the present invention.
[0225] At step 1702, an interactive media guidance application may receive a user selection of media from a menu of available content.(中略)
[0226] At step 1704, the interactive media guidance application may determine if the selected media is stored on the local user recording equipment (i.e., the recording device that is associated with the user equipment device on which the interactive media guidance application is implemented).(中略)
[0229] At step 1708, if the interactive media guidance application determines that the selected media is not stored locally, the interactive media guidance application may play the selected media from remote recording equipment. (中略)
[0230] Once the interactive media guidance application determines the location where the selected media is stored, the interactive media guidance application may request the selected media from the remote recording equipment at the location where the selected media is stored. (中略)
[0231] After the remote recording equipment has authenticated the user equipment device as belonging to the group, the remote recording device may allow the user equipment device to play the selected content.(中略) In some cases, the remote recording equipment may be a server (e.g., server 1214 (FIG. 12q)). The interactive media guidance application may access the selected media on the server. In some cases, the remote recording equipment may be located outside of the user's home or home network. The user equipment device may access the selected media through a server (e.g., server 1214) that is also connected to the remote recording equipment. 」
(邦訳)
「[0224]
図17は,本発明による,記録されたコンテンツにアクセスするための,例示的な流れ図1700を示す。
[0225]
ステップ1702では,双方向メディア案内アプリケーションは,利用可能なコンテンツのメニューからのユーザのメディア選択を受信してもよい。(中略)
[0226]
ステップ1704では,双方向メディア案内アプリケーションは,選択されたメディアが,ローカルユーザ記録機器(すなわち,双方向メディア案内アプリケーションが実装されたユーザ機器装置に付随する記録装置)上に格納されているか判断してもよい。(中略)
[0229]
ステップ1708では,双方向メディア案内アプリケーションが,選択されたメディアがローカルに格納されていないと判断する場合,双方向メディア案内アプリケーションは,選択されたメディアを遠隔記録機器から再生してもよい。(中略)
[0230]
双方向メディア案内アプリケーションが,選択されたメディアが格納されている場所を判断すると,双方向メディア案内アプリケーションは,選択されたメディアが格納されている場所の遠隔記録機器から選択されたメディアを要求してもよい。(中略)
[0231]
遠隔記録機器が,ユーザ機器装置がグループに属していると認証した後,遠隔記録装置によって,ユーザ機器装置は,選択されたコンテンツを再生することが可能となり得る。(中略)
ある場合には,遠隔記録機器は,サーバ(例えば,サーバ1214(図12q))であってもよい。双方向メディア案内アプリケーションは,サーバ上の選択されたメディアにアクセスしてもよい。ある場合には,遠隔記録機器は,ユーザの家庭またはホームネットワーク外に設定されてもよい。ユーザ機器装置は,同様に遠隔記録機器に接続されたサーバ(例えば,サーバ1214)を介して,選択されたメディアにアクセスしてもよい。」

(2-2)引用発明
上記(2-1)の摘記事項アないしオ及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると,引用例1には,以下のa)ないしc)の点が開示されている。

a) 双方向メディア案内システム100において,記録した番組を複数のユーザ機器装置108で共有するために,サーバ130が,前記番組を複数のユーザ機器装置108に提供すること(上記ア及びウ)。
b) ユーザにより,ユーザ機器装置108において選択された番組が,当該ユーザ機器装置108及び前記サーバ130上に記録されること(上記イないしエ)。前記サーバ130と,前記ユーザ機器装置108とが,通信ネットワークを介して通信可能であること(上記ア)。
c) 前記サーバ130が,他のユーザ機器装置108からの要求により,前記番組を提供すること(上記ウ及びオ)。

以上によれば,引用例1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されている。なお,以下のとおり,当審において,(a)から(d)までの記号を説明のために付与した。以下,構成要件a,構成要件bなどと称することとする。

(引用発明)
(a) 記録した番組を複数のユーザ機器装置で共有するために,前記番組を前記ユーザ機器装置に提供する方法であって,該方法は,サーバにより実行され,
(b) 該方法は,
該サーバ及び第1のユーザ機器装置に,前記番組を記録することであって,該サーバは,通信ネットワークを介して該第1のユーザ機器装置と通信可能である,ことと,
(c) 該サーバが,第2のユーザ機器装置からの要求により,前記番組を当該第2のユーザ機器装置に提供することと
を包含する,
(d) 方法。

(3)引用例2の記載及び技術事項
(3-1)引用例2の記載
原審の平成26年5月7日付けの拒絶理由において,引用文献6として引用された,米国特許出願公開第2007/0157234号明細書(以下「引用例2」という。)には,「Interactive media guidance system having multiple devices」(邦訳:複数の装置を有する双方向メディアガイダンスシステム)として,図面とともに以下の事項が記載されている。なお,邦訳は,引用例2のパテントファミリーである,特表2009-522850号公報を参考にして,当審において付記したものである。

ア 「[0046] An illustrative interactive media guidance system 100 in accordance with the present invention is shown in FIG. 1. System 100 is intended to illustrate a number of approaches by which media of various types, and guidance for such media, may be provided to (and accessed by) end-users. The present invention, however, may be applied in systems employing any one or a subset of these approaches, or in systems employing other approaches for delivering media and providing media guidance.

[0047] The first approach represents a typical television-centric system in which users may access television (and in some systems music) programming. This includes programming sources 102 and distribution facility 104. Media such as television programming and digital music is provided from programming sources 102 to distribution facility 104, using communications path 106. Communications path 106 may be a satellite path, a fiber-optic path, a cable path, or any other suitable wired or wireless communications path or combination of such paths. (中略)
[0050] Distribution facility 104 may be connected to various user equipment devices 108, 110, and 112. Such user equipment devices may be located, for example, in the homes of users. User equipment devices may include user television equipment 110, user computer equipment 112, or any other type of user equipment suitable for accessing media. User equipment 108 may be any type of user equipment (e.g., user television equipment, user computer equipment, cellular phones, handheld video players, gaming platforms, mobile video devices, vehicle entertainment devices, etc.) and, for simplicity, user equipment devices may be referred to generally as user equipment 108. User equipment devices may be fixed in location or location free. For example, the user equipment device may be implemented on a vehicle (e.g., an automobile), which is location free. The user equipment device may connect to the home network when the vehicle is parked in the garage or at another location. When the user equipment device is connected to the home network, the user equipment device may retrieve content and associated data and applications from the home network. (中略)
[0052] A second approach illustrated in FIG. 1 by which media and media guidance are provided to end users is a non-television-centric approach. In this approach media such as video (which may include television programming), audio, images, web pages, or a suitable combination thereof, are provided to equipment of a plurality of users (e.g., user equipment 108, user television equipment 110, and user computer equipment 112) by server 130 via communications network 126. This approach is non-television-centric because media (e.g., television programming) is provided by and delivered at least partially, and sometimes exclusively, via equipment that have not traditionally been primarily focused on the television viewing experience. Non-television-centric equipment is playing a larger role in the television viewing experience. 」
(邦訳)
「[0046]
本発明による例示的双方向メディアガイダンスシステム100は,図1に示される。システム100は,種々の種類のメディアおよびそのようなメディアのためのガイダンスがエンドユーザに提供(および,アクセス)され得る,いくつかのアプローチを例示することを目的とする。しかしながら,本発明は,任意の1つまたはこれらのアプローチの一部を採用するシステム,あるいはメディアを配信し,メディアガイダンスを提供するための他のアプローチを採用するシステムにおいて適用されてもよい。
[0047]
第1のアプローチは,ユーザがテレビ(および,一部のシステムでは音楽)番組にアクセスし得る,典型的なテレビ中心型システムを示す。これは,番組ソース102および配信設備104を含む。テレビ番組およびデジタル音楽等のメディアは,番組ソース102から配信設備104へ,通信経路106を使用して提供される。通信経路106は,衛星経路,光ファイバ経路,ケーブル経路,または任意の他の好適な有線あるいは無線通信経路,もしくはそのような経路の組み合わせであってもよい。(中略)
[0050]
配信設備104は,種々のユーザ機器装置108,110,および112に接続してもよい。そのようなユーザ機器装置は,例えば,ユーザの自宅内に設置してもよい。ユーザ機器装置は,ユーザテレビ機器110,ユーザコンピュータ機器112,またはメディアのアクセスに好適な任意の他の種類のユーザ機器を含んでもよい。ユーザ機器108は,任意の種類のユーザ機器(例えば,ユーザテレビ機器,ユーザコンピュータ機器,セルラ電話,携帯用ビデオプレーヤ,ゲーム用プラットフォーム,携帯用ビデオ装置,車両搭載エンターテイメント装置等)であってもよく,簡潔にするため,ユーザ機器装置は,概してユーザ機器108と称される場合がある。ユーザ機器装置は,特定の場所に固定されてもよく,またはロケーションフリーであってもよい。例えば,ユーザ機器装置は,ロケーションフリーである車両(例えば,自動車)上に実装されてもよい。ユーザ機器装置は,車両が車庫または別の場所に駐車されると,ホームネットワークに接続してもよい。ユーザ機器装置がホームネットワークに接続されると,ユーザ機器装置は,コンテンツおよび関連データとアプリケーションをホームネットワークから受信してもよい。(中略)
[0052]
メディアおよびメディアガイダンスがエンドユーザに提供される,図1に示される第2のアプローチは,非テレビ中心型アプローチである。本アプローチでは,映像(テレビ番組を含み得る),音声,画像,ウェブページ,またはそれらの好適な組み合わせ等のメディアは,通信ネットワーク126を介して,サーバ130によって,複数のユーザ機器(例えば,ユーザ機器108,ユーザテレビ機器110,およびユーザコンピュータ機器112)に提供される。メディア(例えば,テレビ番組)は,従来は,テレビ視聴経験に主に焦点をあてられなかった機器を介して,少なくとも部分的に,時として排他的に,提供および配信されるため,このアプローチは,非テレビ中心型である。非テレビ中心型機器は,テレビ視聴経験において大きな役割を担っている。」

イ 「[0119] FIG. 8a shows an illustrative display screen 800 of an interactive media guidance application for allowing a user to record content and store associated data and applications on a home network for later delivery to user equipment devices in the home network in accordance with the present invention. For example, the interactive media guidance application may display screen 800 in response to the user selecting to record content from, for example, a program listings screen. In another example, the interactive media guidance application may display screen 800 in response to the user selecting to record content by selecting a related promotion or commercial. The promotion or commercial may be displayed in, for example, a program guide screen. Screen 800 may include program information area 802, recording options 804, format selection button 806, delivery options button 808, and set recording button 810. (中略)
[0124] The interactive media guidance application may allow the user to select any of program recording settings 804 for the selected program.(中略) Another one of program guide settings 804 may allow the user to select to share the recording of the selected program with the other user equipment devices in the home network.(後略)」
(邦訳)
「[0119]
図8aは,本発明による,ユーザにコンテンツを記録させ,ホームネットワーク内のユーザ機器装置に後で配信するために,関連データとアプリケーションをホームネットワーク上に格納させるための,双方向メディアガイダンスアプリケーションの例示的ディスプレイ画面800を示す。例えば,双方向メディアガイダンスアプリケーションは,例えば,番組リスト画面からコンテンツを記録するユーザ選択に応じて,画面800を表示してもよい。別の実施例では,双方向メディアガイダンスアプリケーションは,関連する宣伝またはコマーシャルを選択することによる,コンテンツを記録するユーザ選択に応じて,画面800を表示してもよい。宣伝またはコマーシャルは,例えば,番組ガイド画面内に表示されてもよい。画面800は,番組情報エリア802,記録オプション804,「フォーマット選択」ボタン806,「配信オプション」ボタン808,および「記録設定」ボタン810を含んでもよい。(中略)
[0124]
双方向メディアガイダンスアプリケーションによって,ユーザは,選択された番組のための任意の番組記録設定804を選択可能となり得る。(中略)番組ガイド設定804別の1つによって,ユーザは,選択された番組の記録をホームネットワーク内の他のユーザ機器装置と共有することを選択可能となり得る。(後略)」

ウ 「[0129] FIG. 8b shows an illustrative display screen 820 of an interactive media guidance application for allowing a user to select formats of a selected program to record in accordance with the present invention.(中略)
[0130] The interactive media guidance application may determine the available formats of the selected program and display an option (e.g., a checkbox) corresponding to each available format of the selected program on screen 820. The user may wish to select multiple formats to allow user equipment devices having different capabilities to display the selected program.(後略) 」
(邦訳)
「[0129]
図8bは,本発明による,ユーザに記録用に選択された番組のフォーマットを選択させるための,双方向メディアガイダンスアプリケーションの例示的ディスプレイ画面820を示す。(中略)
[0130]
双方向メディアガイダンスアプリケーションは,選択された番組の利用可能なフォーマットを判断し,選択された番組の利用可能な各フォーマットに対応するオプション(例えば,チェックボックス)を画面820上に表示してもよい。ユーザは,異なる機能を有するユーザ機器装置に選択された番組を表示させるため,複数のフォーマットを選択することを所望してもよい。(後略)」

エ 「[0140] FIGS. 8d-f show an illustrative screen 860 of an interactive media guidance application for allowing a user to select delivery options of a selected program and associated data and applications for various user equipment devices in a home network in accordance with the present invention. (中略)
[0144] Content delivery options area 862 may include checkboxes 866, 868, and 872 for allowing the user to select content listing options for the selected program. The user may select checkbox 866 if the user wishes to automatically deliver the most suitable format of the selected program to the user equipment device for which delivery options are being selected. The interactive media guidance application may compare the requirements of the formats of the selected program and the capabilities of the user equipment device for which delivery options are being selected to determine the most suitable format of the selected program for the user equipment device. For example, if the user selects to record a television program in high-definition and H.264 , the television program may be delivered in high-definition format to a high-definition user equipment device in the home network and in H.264 format to a cellular phone in the home network. This approach is described in greater detail below in connection with FIG. 10a. 」
(邦訳)
「[0140]
図8d?fは,本発明による,ユーザに種々のホームネットワーク内のユーザ機器装置用の選択された番組および関連データとアプリケーションの配信オプションを選択させるための,双方向メディアガイダンスアプリケーションの例示的画面860を示す。(中略)
[0144]
コンテンツ配信オプションエリア862は,ユーザに選択された番組に対しコンテンツリストオプションを選択させるための,チェックボックス866,868,および872を含んでもよい。ユーザが,配信オプションが選択されているユーザ機器装置に,選択された番組の最も好適なフォーマットの自動的配信を所望する場合,ユーザは,チェックボックス866を選択してもよい。双方向メディアガイダンスアプリケーションは,選択された番組のフォーマットの要件と,配信オプションが選択されているユーザ機器装置の機能とを比較し,ユーザ機器装置に対し選択された番組の最も好適なフォーマットを決定してもよい。例えば,ユーザが,テレビ番組を高精細画質およびH.264で記録することを選択する場合,テレビ番組は,高精細画質フォーマットでホームネットワーク内の高精細画質ユーザ機器装置に配信され,H.264フォーマットでホームネットワーク内のセルラ電話に配信されてもよい。本アプローチは,図10aに関連させて以下に詳述される。」

オ 「[0173] In some embodiments, the user may configure the interactive media guidance application to automatically transfer one or more of the selected versions of content to the corresponding user equipment devices or peripheral devices (e.g., the user does not have to request delivery of the content to a user equipment device). For example, the user may indicate that the selected content (e.g., an episode of "Desperate Housewives") should automatically be delivered to a handheld video player when the handheld video player is connected to a user equipment device in the home network (or otherwise enabled to access the episode of "Desperate Housewives"). In this example, the handheld video player (or any other user equipment device) may be implemented in, for example, a vehicle and selected content may be automatically transferred to the handheld video player when the vehicle is enters, for example, a garage or another location from which the handheld video player may communicate with the home network.
[0174] In another example, the user may indicate that selected content (e.g., an episode of "Desperate Housewives") should automatically be delivered to the high-definition user equipment device when the high-definition version of "Desperate Housewives" becomes available. In this example, the high-definition version of "Desperate Housewives" may be available after a recording of the high-definition version of "Desperate Housewives" is complete. Alternatively, the high-definition version of "Desperate Housewives" may be available after a recording of a standard-definition version of "Desperate Housewives" is complete and after the standard-definition has been translated into high-definition. Alternatively, the high-definition version of "Desperate Housewives" may be available after the high-definition version of "Desperate Housewives" has been uploaded to a server and is available for retrieval. 」
(邦訳)
「[0173]
いくつかの実施形態では,ユーザは,コンテンツの選択されたバージョンの1つ以上を対応するユーザ機器装置または周辺機器に自動的に転送するように,双方向メディアガイダンスアプリケーションを構成してもよい。(例えば,ユーザは,コンテンツの配信をユーザ機器装置に要求する必要はない)。例えば,ユーザは,携帯用ビデオプレーヤがホームネットワーク内のユーザ機器装置に接続されている(または,別様に「Desperate Housewives」のエピソードにアクセス可能な)場合,選択されたコンテンツ(例えば,「Desperate Housewives」のエピソード)が,携帯用ビデオプレーヤに自動的に配信されるように指示してもよい。本実施例では,携帯用ビデオプレーヤ(または,任意の他のユーザ機器装置)は,例えば,車両内に実装されていてもよく,例えば,携帯用ビデオプレーヤがホームネットワークと通信し得る車庫または別の場所に車両が入ると,選択されたコンテンツは,携帯用ビデオプレーヤに自動的に転送されてもよい。
[0174]
別の実施例では,ユーザは,選択されたコンテンツ(例えば,「Desperate Housewives」のエピソード)の高精細画質バージョンが利用可能となると,「Desperate Housewives」が,高精細画質ユーザ機器装置に自動的に配信されるように指示してもよい。本実施例では,「Desperate Housewives」の高精細画質バージョンは,「Desperate Housewives」の高精細画質バージョンの記録が完成した後,利用可能となってもよい。別様に,「Desperate Housewives」の高精細画質バージョン」は,「Desperate Housewives」の標準画質バージョンの記録が完成し,標準画質が高精細画質に変換された後,利用可能となってもよい。別様に,「Desperate Housewives」の高精細画質バージョンは,「Desperate Housewives」の高精細画質バージョンがサーバにアップロードされ,読み込みに利用可能となった後,利用可能となってもよい。」

カ 「[0224] For the purpose of illustration and not limitation, the content will be described herein as being stored on a network server (e.g., server 130 or 140 (FIG. 1)). 」
(邦訳)
「[0224]
例示目的のためであって,限定されることなく,コンテンツは,本明細書ではネットワークサーバ(例えば,サーバ130または140(図1))上に格納されるように記載される。」

キ 「[0230] The network server may contain any suitable combination of circuitry and software for translating the recorded content into different formats. For example, the network server may include a scaler for upconverting and downconverting the content into different resolutions. In another example, the network server may have the ability to transcode the content into different audio and video formats. In another example, the network server may have interlacing and deinterlacing capabilities for converting content from an interlaced format to a progressive format (and vice versa). In another example, the network server may be able decode streaming content and re-encode the streaming content at a higher or lower bit rate.
[0231] The network server may determine how to translate the content into a format that may be displayed by the user equipment device. For example, if the content is a recording of a high-definition program and the user equipment device is standard-definition user equipment, the network server may determine the best way to convert the high-definition program into a format suitable for display by the standard-definition user equipment.
[0232] In particular, the network server may determine if the user equipment device is capable of playing the media format of the content. If not, the network server may convert the media format of the content into one that may be displayed by the user equipment device. The network server may determine if the user equipment device is capable of displaying the resolution of the content. If the user equipment device has a different native resolution than the resolution of the content and the user equipment device does not include a suitable scaler for converting the resolution of the content, the network server may upconvert or downconvert the resolution of the content into a resolution that may be displayed by the user equipment device. The network server may determine whether the user equipment device has sufficient bandwidth to display the content. If not, and if the content is intended to be streamed, the network server may decrease the bit rate at which the content is encoded. If not, and if the content is intended to be downloaded and played locally, the network server may reduce the storage space required by the content (e.g., by compressing the content, decreasing the resolution of the content, etc.).
[0233] At step 1019, the network server may deliver the recorded content in the identified format to the user equipment device. The network server may stream or transfer the translation of the recorded content to the user equipment device. 」
(邦訳)
「[0230]
ネットワークサーバは,記録されたコンテンツを異なるフォーマットに変換するための回路およびソフトウェアの任意の好適な組み合わせを含んでもよい。例えば,ネットワークサーバは,コンテンツを異なる解像度にアップコンバートまたはダウンコンバートするためのスケーラを含んでもよい。別の実施例では,ネットワークサーバは,コンテンツを異なる音声および映像フォーマットにトランスコーディングする能力を有してもよい。別の実施例では,ネットワークサーバは,インターレースフォーマットからプログレッシブフォーマット(逆もまた同様)にコンテンツを変換するためのインターレースおよびデインターレース機能を有してもよい。別の実施例では,ネットワークサーバは,ストリーミングコンテンツをデコードし,高ビットレートまたは低ビットレートにストリーミングコンテンツを再エンコードすることが可能であってもよい。
[0231]
ネットワークサーバは,ユーザ機器装置によって表示され得るフォーマットにコンテンツを変換する方法を判断してもよい。例えば,コンテンツが高精細画質番組の記録であって,ユーザ機器装置が標準画質ユーザ機器である場合,ネットワークサーバは,高精細画質番組を標準画質ユーザ機器による表示に好適なフォーマットに変換する最善の方法を判断してもよい。
[0232]
特に,ネットワークサーバは,ユーザ機器装置がコンテンツのメディアフォーマットを再生可能であるかを判断してもよい。不可能である場合,ネットワークサーバは,ユーザ機器装置によって表示され得るフォーマットにコンテンツのメディアフォーマットを変換してもよい。ネットワークサーバは,ユーザ機器装置が,コンテンツの解像度を表示可能であるかを判断してもよい。ユーザ機器装置が,コンテンツの解像度と異なる固有解像度を有する場合,ユーザ機器装置が,コンテンツの解像度を変換するための好適なスケーラを含んでいない場合,ネットワークサーバは,ユーザ機器装置によって表示され得る解像度に,コンテンツの解像度をアップコンバートまたはダウンコンバートしてもよい。ネットワークサーバは,ユーザ機器装置が,コンテンツを表示するための十分な帯域幅を有するかを判断してもよい。十分ではない場合,かつコンテンツがストリーム配信用に意図されている場合,ネットワークサーバは,コンテンツがエンコードされたビットレートに低下してもよい。十分ではない場合,かつコンテンツがダウンロードおよびローカル再生用に意図されている場合,ネットワークサーバは,コンテンツによって要求される記憶容量を低減してもよい(例えば,コンテンツの圧縮,コンテンツの解像度の減少等によって)。
[0233]
ステップ1019では,ネットワークサーバは,識別されたフォーマットで,記録されたコンテンツをユーザ機器装置に配信してもよい。ネットワークサーバは,記録されたコンテンツの変換をユーザ機器装置にストリーム配信または転送してもよい。」

(3-2)引用例2記載の技術事項
上記(3-1)の摘記事項アないしキ及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると,引用例2には,記録した番組を複数のユーザ機器装置で共有するための,以下の技術事項が開示されている。

「ユーザが選択した番組を,サーバに記録し,当該サーバにおいて,記録した前記番組を,前記ユーザ機器装置のために適切なフォーマットにトランスコーディングし,トランスコーディングされた前記番組を,前記ユーザ機器装置に自動的に配信すること,及び前記選択の際に,ユーザが番組のフォーマットを選択することも可能であること。」

(4)引用例3の記載及び技術事項
(4-1)引用例3の記載
原審の平成26年5月7日付けの拒絶理由において,引用文献2として引用された,米国特許出願公開第2004/0193648号明細書(以下「引用例3」という。)には,「Distributed on-demand media transcoding system and method」(邦訳:分散オン・デマンド・メディア変換システムおよび方法)として,図面とともに以下の事項が記載されている。なお,邦訳は,引用例3のパテントファミリーである,特表2004-526227号公報を参考にして,当審において付記したものである。

ア 「[0061] A system and method in accordance with preferred embodiments includes systems and method for the on-demand transcoding of media information from a variety of source types into a variety of destination types. According to a preferred embodiment, in a system comprising a plurality of transcoders for transcoding from a plurality of source types to a plurality of destination types, a method is provided for transcoding media content from a source type to a destination type. The method includes receiving a transcoding request for the media content, fetching the media content, and sending the media content to a selected one of the plurality of transcoders. The transcoder is selected based on the source type and the destination type. The transcoder transcodes the media content from the source type to the destination type, thereby generating transcoded media content. The transcoded media content is then transmitted.
[0062] A media transcoding system in accordance with a preferred embodiment transcodes media content from a source type to a destination type. (後略)」
(邦訳)
「[0061]
一つの好ましい実施形態に対応するシステム及び方法は,メディア情報を様々なソース・タイプから様々な宛先タイプにオン・デマンドで変換するシステムおよび方法を含む。本実施形態によれば,複数のソース・タイプから複数の宛先タイプへのトランスコーディングを行うトランスコーダを含むシステムにおいて,メディア・コンテントをソース・タイプから宛先タイプに変換する方法が提供される。この方法は,メディア・コンテントに対するトランスコーダ要求を受信する段階と,メディア・コンテントを取り込む段階と,複数のトランスコーダのうちの選択された1つにメディア・コンテントを送信する段階とを含んでいる。トランスコーダは,ソース・タイプおよび宛先タイプに基づいて選択される。トランスコーダは,メディア・コンテントをソース・タイプから宛先タイプに変換し,それによって,変換されたメディア・コンテントを生成する。次いで,変換されたメディア・コンテントは送信される。
[0062]
一つの好ましい実施態様に対応するメディア・コンテント・トランスコーディング・システムは,メディア・コンテントをソース・タイプから宛先タイプに変換する。(後略)」

イ 「[0087] The viewer client 102 is used by a user, or viewer, to request and receive media content via the network 108, and to play received media content.(中略)
[0088] The viewer client 102 is capable of receiving and playing various types of media content. For example, the viewer client may receive and play media content in various well-known encoded formats including, but not limited to, MPEG, AVI, MP3, REAL, WINDOWS MEDIA, QUICK TIME, H.263 video coding, and PALM-compatible formats. 」
(邦訳)
「[0087]
ビューア・クライアント102は,ユーザまたは視聴者がネットワーク108を介してメディア・コンテントを要求して受信し,かつ受信したメディア・コンテントを再生するときに用いられる。(中略)
[0088]
ビューア・クライアント102は,様々な種類のメディア・コンテントを受信し再生することができる。たとえば,ビューア・クライアント102は,MPEGフォーマット,AVIフォーマット,MP3フォーマット,REALフォーマット,WINDOWS MEDIAフォーマット,QUICK TIMEフォーマット,H.263ビデオ符号化フォーマット,およびPALM互換フォーマットを含むがそれらに限らない様々な公知の符号化フォーマットでメディア・コンテントを受信し再生することができる。」

ウ 「[0091] The media transcoding engine 106 acts as an intermediate between the content provider client 104 and the viewer client 102. As will be described in more detail below, the media transcoding engine 106 receives requests for media content from the viewer client 102 and obtains the requested media content from the content provider client 104. The media transcoding engine 106 then transcodes the media content received from the content provider client 104 from a source type to a destination type that can be accommodated by the viewer client 102 and delivers the transcoded media content to the viewer client 102.(後略)」
(邦訳)
「[0091]
メディア・トランスコーディング・エンジン106は,コンテント・プロバイダ・クライアント104とビューア・クライアント102との間の媒介として働く。以下に詳しく説明するように,メディア・トランスコーディング・エンジン106は,ビューア・クライアント102からメディア・コンテントに対する要求を受信し,要求されたメディア・コンテントをコンテント・プロバイダ・クライアント104から得る。メディア・トランスコーディング・エンジン106は次いで,コンテント・プロバイダ・クライアント104から受信されたメディア・コンテントをソース・タイプから,ビューア・クライアント102によって対処できる宛先タイプに変換し,変換されたメディア・コンテントをビューア・クライアント102に供給する。(後略)」

エ 「[0119] The master archive 214 is an archive within the media transcoding engine 106 that stores the original media content published by the content provider and received by the content provider Web server interface 204 from the content provider client 104. (中略)
[0120] The transcoded cache 212 is a cache within media transcoding engine 106. The transcoded cache 212 is used by the media transcoding engine 106 to store a copy of requested media content after it has been transcoded. (後略)」
(邦訳)
「[0119]
マスタ・アーカイブ214は,コンテント・プロバイダによって公開されコンテント・プロバイダ・ウェブ・サーバ・インタフェース204によってコンテント・プロバイダ・クライアント104から受信された最初のメディア・コンテントを記憶するメディア・トランスコーディング・エンジン106内のアーカイブである。(中略)
[0120]
変換済みキャッシュ212は,メディア・トランスコーディング・エンジン106内のキャッシュである。変換済みキャッシュ212は,メディア・トランスコーディング・エンジン106が,要求されたメディア・コンテントが変換された後にこのメディア・コンテントのコピーを記憶するときに使用される。(後略)」

オ 「[0125] FIG. 3 depicts a flowchart 300 of a method by which media content is published according to embodiments of the present invention wherein the media content is an encoded media file.(中略)
[0126] In step 302, the content provider sends a request to publish content from the content provider client 104 to the content provider Web server interface 204.(中略)
[0128] As shown in step 306, where the content provider wishes to store the encoded media file in an archive within the media transcoding engine 106, the content provider delivers the media file to the content provider Web server interface 204 via the content provider client 104. At step 308, after the content provider Web server interface 204 receives the encoded media file, it transmits the file to the master archive 214 for archival within the media transcoding engine 106.(後略)」
(邦訳)
「[0125]
図3は,メディア・コンテントが符号化されたメディア・ファイルである,本発明のある態様による,メディア・コンテントを公開する方法のフローチャート300である。(中略)
[0126]
段階302で,コンテント・プロバイダは,コンテントの公開を求める要求をコンテント・プロバイダ・クライアント104からコンテント・プロバイダ・ウェブ・サーバ・インタフェース204に送信する。(中略)
[0128]
段階306に示されているように,コンテント・プロバイダが,符号化されたメディア・ファイルをメディア・トランスコーディング・エンジン106内のアーカイブに記憶したい場合,コンテント・プロバイダは,このメディア・ファイルをコンテント・プロバイダ・クライアント104を介してコンテント・プロバイダ・ウェブ・サーバ・インタフェース204に供給する。段階308で,コンテント・プロバイダ・ウェブ・サーバ・インタフェース204は,符号化されたメディア・ファイルを情報した後,このファイルをメディア・トランスコーディング・エンジン106内に保存できるようにマスタ・アーカイブ214に送信する。(後略)」

(4-2)引用例3記載の技術事項
上記(3-1)の摘記事項アないしオ及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると,引用例3には,以下の技術事項が開示されている。

「メディア・コンテントをビューア・クライアントに供給するに当たり,トランスコーディング・エンジンにおいて,メディア・コンテントを,ソースタイプから宛先タイプに変換すること。」

(5)対比
補正後発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「番組」,「サーバ」,「第1のユーザ機器装置」,「通信ネットワーク」,「第2のユーザ機器装置」が,それぞれ,補正後発明1の「メディアコンテンツ」,「遠隔サーバ」,「第1のユーザ機器」,「ネットワーク」,「第2のユーザ機器」に相当することは明らかである。

イ 構成要件Aと構成要件aとの対比
引用発明における,「記録した番組を複数のユーザ機器装置で共有するために,前記番組を前記ユーザ機器装置に提供する」ことは,複数のユーザ機器に対し,前記番組へのアクセスを提供することといえる。
そうすると,上記アも踏まえれば,引用発明の構成要件aは,補正後発明1の構成要件Aに相当する。

ウ 構成要件B,Cと構成要件bとの対比
引用発明における,「該サーバ及び第1のユーザ機器装置に,前記番組を記録すること」は,第1のユーザ機器装置に記録された番組を,サーバ上にも記録するということであるから,前記番組をミラーリングすることといえる。また,「通信ネットワークを介し」て「通信可能である」ということは,通信ネットワークを介して連結されていることといえる。
そうすると,上記アも踏まえれば,引用発明の構成要件bと,補正後発明1の構成要件B,Cとは,「該遠隔サーバ上に第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツをミラーリングすることであって,該遠隔サーバは,ネットワークを介して該第1のユーザ機器に連結されている」点で共通する。
しかしながら,ミラーリングをすることに関し,補正後の発明では,「メディアコンテンツが第1のユーザ機器上で追加または更新がされたときに,該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツがユーザが選択した種類のものであるかを自動的に決定」し,「該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツが該ユーザが選択した種類のものであると決定したことに基づいて」,ミラーリングがなされるのに対し,引用発明では,そのような決定を行い,当該決定に基づいて,ミラーリングをすることについて特定されていない点で,両発明は相違する。

エ 構成要件Dについて
上記ウで示したように,引用発明は,第1のユーザ機器装置に記録された番組を,サーバ上にミラーリングするものであるところ,サーバ上にミラーリングした番組が,第1のユーザ機器装置に記録された番組からみれば,「コピー」であることは明らかである。
しかしながら,引用発明は,サーバにおいて番組をトランスコードする構成を有していないから,該遠隔サーバ上にメディアコンテンツが「コピー」される点を除き,補正後発明1の構成要件Dを備えていない。よって,この点において,両発明は相違する。

オ 構成要件Eと構成要件cとの対比
引用発明における,「要求により」,「提供する」ことと,補正後発明1における,「自動的にプッシュする」こととは,「提供する」という点で共通する。
そうすると,上記ア,ウも踏まえれば,引用発明の構成要件cと,補正後発明1の構成要件Eとは,「該ミラーリングされたメディアコンテンツを該第2のユーザ機器」に「提供する」点で共通する。
しかしながら,第2のユーザ機器に提供されるメディアコンテンツが,補正後発明1では,「トランスコード」されたものであるのに対し,引用発明では,トランスコードされたものでない点で,両発明が相違することは,上記エと同じである。
また,前記提供が,補正後発明1では,「自動的にプッシュ」して行われるのに対し,引用発明では,第2のユーザ機器装置からの要求によりなされており,自動的にプッシュして行われていない点で,両発明は相違する。

カ まとめ
上記アないしオに示した対比結果に基づき,補正後発明1と,引用発明との一致点と相違点とをまとめると,以下のとおりである。

(一致点)
「メディアコンテンツへのアクセスを提供するための方法であって,該方法は,遠隔サーバにより実行され,
該方法は,
該遠隔サーバ上に第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツをミラーリングしてコピーすることであって,該遠隔サーバは,ネットワークを介して該第1のユーザ機器に連結されている,ことと,
該ミラーリングされたメディアコンテンツを該第2のユーザ機器に提供することと
を包含する方法。」

(相違点1)
遠隔サーバ上に,メディアコンテンツをミラーリングすることに関し,補正後発明1では,「メディアコンテンツが第1のユーザ機器上で追加または更新されたときに,該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツがユーザが選択した種類のものであるかを自動的に決定」し,「該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツが該ユーザが選択した種類のものであると決定したことに基づいて」,前記ミラーリングがなされるのに対し,引用発明では,そのような決定をし,当該決定に基づいて,ミラーリングがなされることについて特定されていない点

(相違点2)
遠隔サーバ上にミラーリングされ,第2のユーザ機器に提供されるメディアコンテンツについて,そのメディアコンテンツのコピーに対し,補正後発明1では,「第2のユーザ機器のために適切なメディアコンテンツフォーマットにトランスコードする」のに対し,引用発明では,そのようにトランスコードする構成を有していない点

(相違点3)
メディアコンテンツを第2のユーザ機器に提供することについて,補正後発明1では,「自動的にプッシュ」して行っているのに対し,引用発明では,自動的にプッシュして行ってはいない点

(6)当審の判断
ア 上記(相違点1)について
(ア) 上記(2-1)ウの摘記事項及び図13によれば,引用例1には,引用発明における番組の記録について,それがユーザの設定に基づきなされるものであることが記載されている
しかしながら,引用例1には,当該設定において,ユーザが番組自体の選択を行うことについて開示されているものの,「ユーザが」番組の「種類」の「選択」を行う技術思想については,何ら開示されていない。
したがって,引用例1には,補正後発明1の「メディアコンテンツが第1のユーザ機器上で追加または更新されたときに,該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツがユーザが選択した種類のものであるかを自動的に決定」するという構成が開示されていない。

(イ) ここで,引用例2には,上記(3-2)で示したように,ユーザが番組のフォーマットを選択できること,すなわち,「ユーザが」番組のフォーマットという「種類」の「選択」を行うことについては記載されている。
しかしながら,上記(3-1)イ,ウの摘記事項及び図8によれば,当該選択は,「異なる機能を有するユーザ機器装置に選択された番組を表示させるため」に行うものであって,あらかじめ,どのようなフォーマットに変更すればよいかを,サーバの自動選択に任せず,ユーザが設定可能とするためのものにすぎない。したがって,当該選択は,番組が第1のユーザ機器装置上で追加または更新されたときに,その番組が,ユーザが選択した種類のものであるかを自動的に決定するためのものではない。
よって,引用例2にも,「メディアコンテンツが第1のユーザ機器上で追加または更新されたときに,該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツがユーザが選択した種類のものであるかを自動的に決定」するという構成が開示されていない。

(ウ) また,原査定で主引用例(引用文献2)として引用された,引用例3には,上記(4-2)に示したように,メディア・コンテントを,コンテント・プロバイダ・クライアントからビューア・クライアントに供給するに当たり,トランスコーディング・エンジンにおいて,メディア・コンテントを,ソースタイプから宛先タイプに変換することについて記載されている。
しかしながら,これは,コンテント・プロバイダ・クライアントにより,供給対象のメディア・コンテントの選択がなされると,当該選択の結果として,供給対象のメディア・コンテントに,様々なソースタイプのメディア・コンテントが含まれ得ることを示すにとどまり,そもそも「ユーザが」ソースタイプに係る「種類」を,「選択」する技術思想については,開示されていない。
したがって,引用例3にも,「メディアコンテンツが第1のユーザ機器上で追加または更新されたときに,該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツがユーザが選択した種類のものであるかを自動的に決定」するという構成が開示されていない。

(エ) 以上のように,引用例1のみならず,引用例2,3にも,補正後発明の「メディアコンテンツが第1のユーザ機器上で追加または更新されたときに,該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツがユーザが選択した種類のものであるかを自動的に決定」する構成が開示されていない。加えて,当該構成を前提とする,「該第1のユーザ機器に格納された該追加または更新されたメディアコンテンツが該ユーザが選択した種類のものであると決定したことに基づいて」,前記ミラーリングがなされる構成についても,引用例1ないし3には,開示されていない。
そして,ミラーリングを行うか否かの決定に関する,このような構成は,当業者が適宜選択し得た設計的事項ということもできない。

よって,(相違点1)に係る構成については,引用例2,3記載の技術を踏まえても,引用発明を基に当業者が容易になし得たものということはできない。
このことは,引用例2記載の技術を主引用発明として検討した場合,又は引用例3記載の技術を主引用発明として検討した場合においても,同様である。

(オ) なお,平成26年5月7日付け拒絶理由において引用された,引用例1ないし3以外の,いずれの文献についてみても,(相違点1)について,引用例1ないし3以上の開示はなされていないから,これらの文献を考慮しても,結論は変わらない。

イ 上記(相違点2)及び(相違点3)について
引用例2には,上記(3-2)で示したように,記録した番組を複数のユーザ機器装置で共有するために,サーバにおいて,記録した前記番組を,前記ユーザ機器装置のために適切なフォーマットにトランスコーディングし,トランスコーディングされた前記番組を前記ユーザ機器装置に自動的に配信する技術が開示されている。
引用発明と,引用例2記載の技術とは,記録した番組を複数のユーザ機器装置で共有するために,サーバに当該番組を記録し,これを各ユーザ機器装置に提供する点で共通するから,引用発明に,引用例2記載の技術を適用し,(i)サーバ上にも記録された番組について,当該サーバが,提供するユーザ機器装置のために,適切なフォーマットにトランスコードしてから,前記提供を行うように構成すること(相違点2),及び(ii)当該提供を自動的にプッシュして行うようにすること(相違点3)は,当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 結語
以上のように,上記(相違点1)ないし(相違点3)のうち,上記(相違点1)に係る構成については,当業者が容易に想到し得たということができないから,補正後発明1は,引用発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるということはできない。
また,請求項1を引用する請求項2ないし13に係る発明も,上記(相違点1)に係る構成を有しており,当該構成を有する補正後発明1と同様,引用発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるということはできない。
さらに,他に独立して特許を受けることができない理由も発見しない。

4 むすび
よって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

第3 本願発明

本件補正は上記のとおり,特許法第17条の2第3項から第6項までの規定に適合するから,本願の請求項1ないし13に係る発明は,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして,本願については,原査定の拒絶理由を検討しても,その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-05-25 
出願番号 特願2013-175258(P2013-175258)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (H04N)
P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松元 伸次梅本 章子  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 戸次 一夫
小池 正彦
発明の名称 メディアコンテンツをミラーリングしトランスコードするためのシステムおよび方法  
代理人 山本 秀策  
代理人 石川 大輔  
代理人 飯田 貴敏  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 健策  
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