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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1314886
審判番号 不服2015-12034  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-24 
確定日 2016-05-19 
事件の表示 特願2013-172529「情報処理装置,情報処理方法,ならびにそのプログラムおよび記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 6日出願公開,特開2014- 26656〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,平成19年9月20日に出願した特願2007-244100号の一部を,特許法第44条第1項の規定により,平成25年8月22日に新たな特許出願としたものであって,
平成25年9月24日付けで審査請求がなされ,平成26年3月13日付けで手続補正がなされ,平成26年9月11日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成26年11月17日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成27年3月18日付けで審査官により拒絶査定がなされ,これに対して平成27年6月24日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,平成27年8月21日付けで審査官により特許法第164条第3項の規定に基づく報告がなされ,平成28年1月21日付けで審判請求人より上申書の提出がなされたものである。

第2.平成27年6月24日付けの手続補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成27年6月24日付け手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容
平成27年6月24日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,平成26年11月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,
「 【請求項1】
サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステムであって,
前記第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶手段と,
前記記憶手段に記憶されている前記データをコピーするためのコピー指示が,前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記記憶手段に記憶されている当該データをペースト対象に設定する設定手段と,
を有し,
前記ペースト対象は,前記第2のウェブブラウザによって表示されるペースト先へペースト対象をペーストするためのペースト指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該ペースト先へペーストされる
ことを特徴とするサーバーシステム。
【請求項2】
サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステムであって,
前記第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶手段と,
前記記憶手段に記憶されている前記データをコピーするためのコピー指示が,前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記記憶手段に記憶されている当該データをペースト対象に設定する設定手段と,
前記第2のウェブブラウザによって表示されるペースト先へペースト対象をペーストするためのペースト指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記設定手段によって設定されているペースト対象を,当該ペースト先へペーストするペースト手段と,
を有することを特徴とするサーバーシステム。
【請求項3】
前記第1のウェブブラウザは,前記サーバーシステム外のクライアント装置上で起動されることを特徴とする請求項1または2に記載のサーバーシステム。
【請求項4】
前記第2のウェブブラウザは,前記サーバーシステム外のクライアント装置上で起動されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項5】
前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザには,それぞれ識別情報が入力され,
前記サーバーシステムは,
前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報が,前記第1のウェブブラウザに入力された前記識別情報と同じ識別情報であるかどうかを判定する判定手段をさらに有し,
前記判定手段によって,前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報が,前記第1のウェブブラウザに入力された前記識別情報と同じ識別情報であると判定された場合に,前記第2のウェブブラウザを介してなされる前記ペースト指示が許可される
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項6】
前記第1のウェブブラウザに入力された前記識別情報および前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報は,前記サーバーシステムと通信するウェブブラウザを識別するために用いられる情報であることを特徴とする請求項5に記載のサーバーシステム。
【請求項7】
前記第1のウェブブラウザに入力された前記識別情報は,前記第1のウェブブラウザに対して前記サーバーシステムが発行した情報であり,
前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報は,前記第2のウェブブラウザに対してユーザーが入力した情報である
ことを特徴とする請求項5または6に記載のサーバーシステム。
【請求項8】
一方のウェブブラウザによって表示されるデータが他方のウェブブラウザによって共有されていることを表す情報を,当該一方のウェブブラウザに表示させるような制御を行う制御手段を有し,
前記制御手段は,
前記判定手段によって,前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報が,前記第1のウェブブラウザに入力された前記識別情報と同じ識別情報であると判定された場合に,前記識別情報が入力された後の前記第2のウェブブラウザに,前記第2のウェブブラウザによって表示されるデータが,前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報と同じ識別情報が入力された前記第1のウェブブラウザによって共有されていることを表す情報を表示させるような制御を行う
ことを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項9】
前記判定手段によって,前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報が,前記第1のウェブブラウザに入力された前記識別情報と同じ識別情報であると判定される場合の前記制御手段による前記制御において,前記識別情報が入力される前の前記第2のウェブブラウザには,前記第2のウェブブラウザによって表示されるデータが,前記第2のウェブブラウザに入力される前記識別情報と同じ識別情報が入力された前記第1のウェブブラウザによって共有されていることを表す情報が表示されないことを特徴とする請求項8に記載のサーバーシステム。
【請求項10】
前記第2のウェブブラウザによって表示されるデータが前記第1のウェブブラウザによって共有されていることを表す情報は,前記第1のウェブブラウザに入力された識別情報に関する情報であることを特徴とする請求項8または9に記載のサーバーシステム。
【請求項11】
前記コピー指示は,前記データが前記記憶手段に記憶されている状態でなされることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項12】
前記コピー指示は,前記データが前記第1のウェブブラウザによって表示されている状態でなされることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項13】
前記データは,前記第1のウェブブラウザによって表示されている複数のデータのうちの,ユーザーによって選択されたデータであることを特徴とする請求項12に記載のサーバーシステム。
【請求項14】
前記ペースト指示は,前記ペースト先が前記第2のウェブブラウザによって表示されている状態でなされることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項15】
前記設定手段によって前記記憶手段に記憶されているデータがペースト対象に設定されると,当該データを識別するための情報が,ペースト対象を表すリストに登録されることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項16】
前記リストには,前記情報が複数,登録されており,
ペースト対象がペースト先へペーストされるとは,前記リストに登録されている前記複数の情報のうち,前記ペースト指示がなされる際にユーザーによって指定された情報によって識別されるデータが,前記ペースト指示がなされることに応じて前記ペースト先へペーストされることであることを特徴とする請求項15に記載のサーバーシステム。
【請求項17】
前記ペースト先は,前記第2のウェブブラウザを介して指定される,前記第2のウェブブラウザを起動するクライアント装置の外部の場所であることを特徴とする請求項1乃至16の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項18】
前記ペースト先は,前記第1のウェブブラウザを起動するクライアント装置の外部の場所であることを特徴とする請求項17に記載のサーバーシステム。
【請求項19】
前記ペーストの結果は,前記第2のウェブブラウザによって表示されることを特徴とする請求項1乃至18の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項20】
前記サーバーシステムは,前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザを介して利用されるアプリケーションソフトウェアサービスを,ネットワークを介して提供し,
前記記憶手段および前記設定手段は,前記アプリケーションソフトウェアサービスにおいて動作することを特徴とする請求項1乃至19の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項21】
前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザは,前記サーバーシステム外の同一のクライアント装置上で起動されることを特徴とする請求項1乃至20の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項22】
前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザは,同一のウェブブラウザであることを特徴とする請求項21に記載のサーバーシステム。
【請求項23】
前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザは,異なるウェブブラウザであることを特徴とする請求項21に記載のサーバーシステム。
【請求項24】
前記設定手段によってペースト対象に設定されたデータを,ユーザーによってなされる指示に応じて,ペースト対象から外す除外手段をさらに有する請求項1乃至23の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項25】
サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステムが行う方法であって,
前記第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶工程と,
前記記憶工程によって記憶されている前記データをコピーするためのコピー指示が,前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記記憶工程によって記憶されている当該データをペースト対象に設定する設定工程と,
を有し,
前記ペースト対象は,前記第2のウェブブラウザによって表示されるペースト先へペースト対象をペーストするためのペースト指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該ペースト先へペーストされる
ことを特徴とする方法。
【請求項26】
サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステムが行う方法であって,
前記第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶工程と,
前記記憶工程によって記憶されている前記データをコピーするためのコピー指示が,前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記記憶工程によって記憶されている当該データをペースト対象に設定する設定工程と,
前記第2のウェブブラウザによって表示されるペースト先へペースト対象をペーストするためのペースト指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記設定工程で設定されているペースト対象を,当該ペースト先へペーストするペースト工程と,
有することを特徴とする方法。
【請求項27】
第1のウェブブラウザを起動するクライアント装置であって,
前記クライアント装置とは異なるサーバーシステムに記憶されているデータを,前記第1のウェブブラウザに表示させる表示手段と,
前記第1のウェブブラウザにおいて,前記第1のウェブブラウザによって表示されている前記データをコピーするためのコピー指示を,ユーザーから受け付ける受け付け手段と,
前記受け付け手段が前記コピー指示をユーザーから受け付けたことに基づいて,前記データが前記サーバーシステムにおいてペースト対象に設定されるための所定の情報を前記サーバーシステムに通知する通知手段と,
を有し,
前記所定の情報が前記通知手段によって通知されてペースト対象が設定された後に当該設定されたペースト対象のペーストの指示が前記第1のウェブブラウザとは異なる第2のウェブブラウザにおいてユーザーから受け付けられたことに基づいて,前記ペースト対象はペーストされる
ことを特徴とするクライアント装置。
【請求項28】
前記第2のウェブブラウザにおいて,前記所定の情報が前記通知手段によって通知されてペースト対象が設定された後に,当該設定されたペースト対象のペーストの指示をユーザーから受け付ける別の受け付け手段を有することを特徴とする請求項27に記載のクライアント装置。
【請求項29】
前記設定されたペースト対象のペーストの前記指示が前記別の受け付け手段によって受け付けられたことに基づいて,前記ペースト対象が前記サーバーシステムにおいてペーストされるための所定の情報を前記サーバーシステムに通知する別の通知手段を有し,
前記設定されたペースト対象は,前記別の通知手段による通知に基づいて,前記サーバーシステムによってペーストされる
ことを特徴とする請求項28に記載のクライアント装置。
【請求項30】
前記受け付け手段と,前記別の受け付け手段とは,同タイプの受け付け手段であることを特徴とする請求項28または29に記載のクライアント装置。
【請求項31】
前記ペースト対象は,前記ペーストの指示の際に前記第2のウェブブラウザを介してユーザーから選択されたペースト先にペーストされることを特徴とする請求項27乃至30の何れか1項に記載のクライアント装置。
【請求項32】
第1のウェブブラウザとは異なる第2のウェブブラウザを起動するクライアント装置であって,
前記第2のウェブブラウザにおいて,ペースト先の選択をユーザーから受け付ける第1の受け付け手段と,
前記第2のウェブブラウザにおいて,前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示されたデータのペーストの指示を,ユーザーによる前記コピー指示の後にユーザーから受け付ける第2の受け付け手段と,
前記第2の受け付け手段が前記ペーストの指示をユーザーから受け付けたことに応じて,前記クライアント装置とは異なるサーバーシステムに,前記コピーが指示された前記データを前記第1の受け付け手段が受け付けた選択に対応するペースト先へペーストさせる手段と,
前記ペースト先へのペーストが行われた結果を,前記第2のウェブブラウザにおいて表示する手段と,
を有し,
前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示された前記データは,前記サーバーシステムに記憶されているデータである
ことを特徴とするクライアント装置。
【請求項33】
前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示された前記データは,当該指示が前記第1のウェブブラウザにおいてなされた時点において,前記サーバーシステムに記憶されているデータであることを特徴とする請求項27乃至32の何れか1項に記載のクライアント装置。
【請求項34】
前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示された前記データは,当該指示が前記第1のウェブブラウザにおいてなされた時点において,前記第1のウェブブラウザによって表示されている複数のデータのうちの,ユーザーによって選択されたデータであることを特徴とする請求項27乃至33の何れか1項に記載のクライアント装置。
【請求項35】
前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザは,前記クライアント装置上で起動されることを特徴とする請求項27乃至34の何れか1項に記載のクライアント装置。
【請求項36】
第1のウェブブラウザを起動するクライアント装置の行う方法であって,
前記クライアント装置とは異なるサーバーシステムに記憶されているデータを,前記第1のウェブブラウザに表示させる表示工程と,
前記第1のウェブブラウザにおいて,前記第1のウェブブラウザによって表示されている前記データをコピーするためのコピー指示を,ユーザーから受け付ける受け付け工程と,
前記受け付け工程で前記コピー指示がユーザーから受け付けられたことに基づいて,前記データが前記サーバーシステムにおいてペースト対象に設定されるための所定の情報を前記サーバーシステムに通知する通知工程と,
を有し,
前記所定の情報が前記通知工程によって通知されてペースト対象が設定された後に当該設定されたペースト対象のペーストの指示が前記第1のウェブブラウザとは異なる第2のウェブブラウザにおいてユーザーから受け付けられたことに基づいて,前記ペースト対象はペーストされる
ことを特徴とする方法。
【請求項37】
前記第2のウェブブラウザにおいて,前記所定の情報が前記通知手段によって通知されてペースト対象が設定された後に,当該設定されたペースト対象のペーストの指示をユーザーから受け付ける別の受け付け工程を有することを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記設定されたペースト対象のペーストの前記指示が前記別の受け付け工程によって受け付けられたことに基づいて,前記ペースト対象が前記サーバーシステムにおいてペーストされるための所定の情報を前記サーバーシステムに通知する別の通知工程を有し,
前記設定されたペースト対象は,前記別の通知工程による通知に基づいて,前記サーバーシステムによってペーストされることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ペースト対象は,前記ペーストの指示の際に前記第2のウェブブラウザを介してユーザーから選択されたペースト先にペーストされることを特徴とする請求項36乃至38の何れか1項に記載の方法。
【請求項40】
第1のウェブブラウザとは異なる第2のウェブブラウザを起動するクライアント装置の行う方法であって,
前記第2のウェブブラウザにおいて,ペースト先の選択をユーザーから受け付ける第1の受け付け工程と,
前記第2のウェブブラウザにおいて,前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示されたデータのペーストの指示を,ユーザーによる前記コピー指示の後にユーザーから受け付ける第2の受け付け工程と,
前記第2の受け付け工程で前記ペーストの指示をユーザーから受け付けたことに応じて,前記クライアント装置とは異なるサーバーシステムに,前記コピーが指示された前記データを前記第1の受け付け工程で受け付けた選択に対応するペースト先へペーストさせる工程と,
前記ペースト先へのペーストが行われた結果を,前記第2のウェブブラウザにおいて表示する工程と,
を有し,
前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示された前記データは,前記サーバーシステムに記憶されているデータである
ことを特徴とする方法。
【請求項41】
前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示された前記データは,当該指示が前記第1のウェブブラウザにおいてなされた時点において,前記サーバーシステムに記憶されているデータであることを特徴とする請求項36乃至40の何れか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示された前記データは,当該指示が前記第1のウェブブラウザにおいてなされた時点において,前記第1のウェブブラウザによって表示されている複数のデータのうちの,ユーザーによって選択されたデータであることを特徴とする請求項36乃至41の何れか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザは,前記クライアント装置上で起動されることを特徴とする請求項36乃至42の何れか1項に記載の方法。
【請求項44】
請求項1乃至24,27乃至35の何れか1項に記載の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は,
「 【請求項1】
サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステムであって,
前記第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶手段と,
前記記憶手段に記憶されている前記データをコピーするためのコピー指示が前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,所定の情報を受信したことに基づいて,前記記憶手段に記憶されている当該データをペースト対象に設定する設定手段と,
を有し,
前記ペースト対象は,前記第2のウェブブラウザによって表示されるペースト先へペースト対象をペーストするためのペースト指示が,ユーザーによる前記コピー指示がなされて前記所定の情報が前記サーバーシステムによって受信された後に,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該ペースト先へペーストされる
ことを特徴とするサーバーシステム。
【請求項2】
サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステムであって,
前記第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶手段と,
前記記憶手段に記憶されている前記データをコピーするためのコピー指示が前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,コピー指示の情報を受信したことに基づいて,前記記憶手段に記憶されている当該データをペースト対象に設定する設定手段と,
前記第2のウェブブラウザによって表示されるペースト先へペースト対象をペーストするためのペースト指示が,前記コピー指示の情報が前記サーバーシステムによって受信された後に,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,ペースト指示の情報を受信したことに基づいて,前記設定手段によって設定されているペースト対象を,当該ペースト先へペーストするペースト手段と,
を有することを特徴とするサーバーシステム。
【請求項3】
前記第1のウェブブラウザは,前記サーバーシステム外のクライアント装置上で起動されることを特徴とする請求項1または2に記載のサーバーシステム。
【請求項4】
前記第2のウェブブラウザは,前記サーバーシステム外のクライアント装置上で起動されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項5】
前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザには,それぞれ識別情報が入力され,
前記サーバーシステムは,前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報が,前記第1のウェブブラウザに入力された前記識別情報と同じ識別情報であるかどうかを判定する判定手段をさらに有し,前記判定手段によって,前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報が,前記第1のウェブブラウザに入力された前記識別情報と同じ識別情報であると判定された場合に,前記第2のウェブブラウザを介してなされる前記ペースト指示が許可される
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項6】
前記第1のウェブブラウザに入力された前記識別情報および前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報は,前記サーバーシステムと通信するウェブブラウザを識別するために用いられる情報であることを特徴とする請求項5に記載のサーバーシステム。
【請求項7】
前記第1のウェブブラウザに入力された前記識別情報は,前記第1のウェブブラウザに対して前記サーバーシステムが発行した情報であり,
前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報は,前記第2のウェブブラウザに対してユーザーが入力した情報である
ことを特徴とする請求項5または6に記載のサーバーシステム。
【請求項8】
一方のウェブブラウザによって表示されるデータが他方のウェブブラウザによって共有されていることを表す情報を,当該一方のウェブブラウザに表示させるような制御を行う制御手段を有し,
前記制御手段は,前記判定手段によって,前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報が,前記第1のウェブブラウザに入力された前記識別情報と同じ識別情報であると判定された場合に,前記識別情報が入力された後の前記第2のウェブブラウザに,前記第2のウェブブラウザによって表示されるデータが,前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報と同じ識別情報が入力された前記第1のウェブブラウザによって共有されていることを表す情報を表示させるような制御を行う
ことを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項9】
前記判定手段によって,前記第2のウェブブラウザに入力された前記識別情報が,前記第1のウェブブラウザに入力された前記識別情報と同じ識別情報であると判定される場合の前記制御手段による前記制御において,前記識別情報が入力される前の前記第2のウェブブラウザには,前記第2のウェブブラウザによって表示されるデータが,前記第2のウェブブラウザに入力される前記識別情報と同じ識別情報が入力された前記第1のウェブブラウザによって共有されていることを表す情報が表示されないことを特徴とする請求項8に記載のサーバーシステム。
【請求項10】
前記第2のウェブブラウザによって表示されるデータが前記第1のウェブブラウザによって共有されていることを表す情報は,前記第1のウェブブラウザに入力された識別情報に関する情報であることを特徴とする請求項8または9に記載のサーバーシステム。
【請求項11】
前記コピー指示は,前記データが前記記憶手段に記憶されている状態でなされることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項12】
前記コピー指示は,前記データが前記第1のウェブブラウザによって表示されている状態でなされることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項13】
前記データは,前記第1のウェブブラウザによって表示されている複数のデータのうちの,ユーザーによって選択されたデータであることを特徴とする請求項12に記載のサーバーシステム。
【請求項14】
前記ペースト指示は,前記ペースト先が前記第2のウェブブラウザによって表示されている状態でなされることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項15】
前記設定手段によって前記記憶手段に記憶されているデータがペースト対象に設定されると,当該データを識別するための情報が,ペースト対象を表すリストに登録されることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項16】
前記リストには,前記情報が複数,登録されており,
ペースト対象がペースト先へペーストされるとは,前記リストに登録されている前記複数の情報のうち,前記ペースト指示がなされる際にユーザーによって指定された情報によって識別されるデータが,前記ペースト指示がなされることに応じて前記ペースト先へペーストされることである
ことを特徴とする請求項15に記載のサーバーシステム。
【請求項17】
前記ペースト先は,前記第2のウェブブラウザを介して指定される,前記第2のウェブブラウザを起動するクライアント装置の外部の場所であることを特徴とする請求項1乃至16の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項18】
前記ペースト先は,前記第1のウェブブラウザを起動するクライアント装置の外部の場所であることを特徴とする請求項17に記載のサーバーシステム。
【請求項19】
前記ペーストの結果は,前記第2のウェブブラウザによって表示されることを特徴とする請求項1乃至18の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項20】
前記サーバーシステムは,前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザを介して利用されるアプリケーションソフトウェアサービスを,ネットワークを介して提供し,
前記記憶手段および前記設定手段は,前記アプリケーションソフトウェアサービスにおいて動作することを特徴とする請求項1乃至19の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項21】
前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザは,前記サーバーシステム外の同一のクライアント装置上で起動されることを特徴とする請求項1乃至20の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項22】
前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザは,同一のウェブブラウザであることを特徴とする請求項21に記載のサーバーシステム。
【請求項23】
前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザは,異なるウェブブラウザであることを特徴とする請求項21に記載のサーバーシステム。
【請求項24】
前記設定手段によってペースト対象に設定されたデータを,ユーザーによってなされる指示に応じて,ペースト対象から外す除外手段をさらに有する請求項1乃至23の何れか1項に記載のサーバーシステム。
【請求項25】
サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステムが行う方法であって,
前記第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶工程と,
前記記憶工程によって記憶されている前記データをコピーするためのコピー指示が前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,所定の情報を受信したことに基づいて,前記記憶工程によって記憶されている当該データをペースト対象に設定する設定工程と,
を有し,
前記ペースト対象は,前記第2のウェブブラウザによって表示されるペースト先へペースト対象をペーストするためのペースト指示が,ユーザーによる前記コピー指示がなされて前記所定の情報が前記サーバーシステムによって受信された後に,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該ペースト先へペーストされる
ことを特徴とする方法。
【請求項26】
サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステムが行う方法であって,
前記第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶工程と,
前記記憶工程によって記憶されている前記データをコピーするためのコピー指示が前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,コピー指示の情報を受信したことに基づいて,前記記憶工程によって記憶されている当該データをペースト対象に設定する設定工程と,
前記第2のウェブブラウザによって表示されるペースト先へペースト対象をペーストするためのペースト指示が,ユーザーによる前記コピー指示がなされて前記コピー指示の情報が前記サーバーシステムによって受信された後に,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,ペースト指示の情報を受信したことに基づいて,前記設定工程で設定されているペースト対象を,当該ペースト先へペーストするペースト工程と,
を有することを特徴とする方法。
【請求項27】
第1のウェブブラウザを起動するクライアント装置であって,
前記クライアント装置とは異なるサーバーシステムに記憶されているデータを,前記第1のウェブブラウザに表示させる表示手段と,
前記第1のウェブブラウザにおいて,前記第1のウェブブラウザによって表示されている前記データをコピーするためのコピー指示を,ユーザーから受け付ける受け付け手段と,
前記受け付け手段が前記コピー指示をユーザーから受け付けたことに基づいて,前記データが前記サーバーシステムにおいてペースト対象に設定されるための所定の情報を前記サーバーシステムに通知する通知手段と,
を有し,
前記所定の情報が前記通知手段によって通知されてペースト対象が設定された後に当該設定されたペースト対象のペーストの指示が前記第1のウェブブラウザとは異なる第2のウェブブラウザにおいてユーザーから受け付けられたことに基づいて,前記ペースト対象はペーストされる
ことを特徴とするクライアント装置。
【請求項28】
前記第2のウェブブラウザにおいて,前記所定の情報が前記通知手段によって通知されてペースト対象が設定された後に,当該設定されたペースト対象のペーストの指示をユーザーから受け付ける別の受け付け手段を有することを特徴とする請求項27に記載のクライアント装置。
【請求項29】
前記設定されたペースト対象のペーストの前記指示が前記別の受け付け手段によって受け付けられたことに基づいて,前記ペースト対象が前記サーバーシステムにおいてペーストされるための所定の情報を前記サーバーシステムに通知する別の通知手段を有し,
前記設定されたペースト対象は,前記別の通知手段による通知に基づいて,前記サーバーシステムによってペーストされる
ことを特徴とする請求項28に記載のクライアント装置。
【請求項30】
前記受け付け手段と,前記別の受け付け手段とは,同タイプの受け付け手段であることを特徴とする請求項28または29に記載のクライアント装置。
【請求項31】
前記ペースト対象は,前記ペーストの指示の際に前記第2のウェブブラウザを介してユーザーから選択されたペースト先にペーストされることを特徴とする請求項27乃至30の何れか1項に記載のクライアント装置。
【請求項32】
第1のウェブブラウザとは異なる第2のウェブブラウザを起動するクライアント装置であって,
前記第2のウェブブラウザにおいて,ペースト先の選択をユーザーから受け付ける第1の受け付け手段と,
前記第2のウェブブラウザにおいて,前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示されたデータのペーストの指示を,ユーザーによる前記コピー指示の情報が前記クライアント装置とは異なるサーバーシステムに通知された後にユーザーから受け付ける第2の受け付け手段と,
前記第2の受け付け手段が前記ペーストの指示をユーザーから受け付けたことに応じて,前記サーバーシステムに,前記コピーが指示された前記データを前記第1の受け付け手段が受け付けた選択に対応するペースト先へペーストさせる手段と,
前記ペースト先へのペーストが行われた結果を,前記第2のウェブブラウザにおいて表示する手段と,
を有し,
前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示された前記データは,前記サーバーシステムに記憶されているデータである
ことを特徴とするクライアント装置。
【請求項33】
前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示された前記データは,当該指示が前記第1のウェブブラウザにおいてなされた時点において,前記サーバーシステムに記憶されているデータであることを特徴とする請求項27乃至32の何れか1項に記載のクライアント装置。
【請求項34】
前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示された前記データは,当該指示が前記第1のウェブブラウザにおいてなされた時点において,前記第1のウェブブラウザによって表示されている複数のデータのうちの,ユーザーによって選択されたデータであることを特徴とする請求項27乃至33の何れか1項に記載のクライアント装置。
【請求項35】
前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザは,前記クライアント装置上で起動されることを特徴とする請求項27乃至34の何れか1項に記載のクライアント装置。
【請求項36】
第1のウェブブラウザを起動するクライアント装置の行う方法であって,
前記クライアント装置とは異なるサーバーシステムに記憶されているデータを,前記第1のウェブブラウザに表示させる表示工程と,
前記第1のウェブブラウザにおいて,前記第1のウェブブラウザによって表示されている前記データをコピーするためのコピー指示を,ユーザーから受け付ける受け付け工程と,
前記受け付け工程で前記コピー指示がユーザーから受け付けられたことに基づいて,前記データが前記サーバーシステムにおいてペースト対象に設定されるための所定の情報を前記サーバーシステムに通知する通知工程と,
を有し,
前記所定の情報が前記通知工程によって通知されてペースト対象が設定された後に当該設定されたペースト対象のペーストの指示が前記第1のウェブブラウザとは異なる第2のウェブブラウザにおいてユーザーから受け付けられたことに基づいて,前記ペースト対象はペーストされる
ことを特徴とする方法。
【請求項37】
前記第2のウェブブラウザにおいて,前記所定の情報が前記通知工程によって通知されてペースト対象が設定された後に,当該設定されたペースト対象のペーストの指示をユーザーから受け付ける別の受け付け工程を有することを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記設定されたペースト対象のペーストの前記指示が前記別の受け付け工程によって受け付けられたことに基づいて,前記ペースト対象が前記サーバーシステムにおいてペーストされるための所定の情報を前記サーバーシステムに通知する別の通知工程を有し,前記設定されたペースト対象は,前記別の通知工程による通知に基づいて,前記サーバーシステムによってペーストされることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ペースト対象は,前記ペーストの指示の際に前記第2のウェブブラウザを介してユーザーから選択されたペースト先にペーストされることを特徴とする請求項36乃至38の何れか1項に記載の方法。
【請求項40】
第1のウェブブラウザとは異なる第2のウェブブラウザを起動するクライアント装置の行う方法であって,
前記第2のウェブブラウザにおいて,ペースト先の選択をユーザーから受け付ける第1の受け付け工程と,
前記第2のウェブブラウザにおいて,前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示されたデータのペーストの指示を,ユーザーによる前記コピー指示の情報が前記クライアント装置とは異なるサーバーシステムに通知された後にユーザーから受け付ける第2の受け付け工程と,
前記第2の受け付け工程で前記ペーストの指示をユーザーから受け付けたことに応じて,前記サーバーシステムに,前記コピーが指示された前記データを前記第1の受け付け工程で受け付けた選択に対応するペースト先へペーストさせる工程と,
前記ペースト先へのペーストが行われた結果を,前記第2のウェブブラウザにおいて表示する工程と,
を有し,
前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示された前記データは,前記サーバーシステムに記憶されているデータである
ことを特徴とする方法。
【請求項41】
前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示された前記データは,当該指示が前記第1のウェブブラウザにおいてなされた時点において,前記サーバーシステムに記憶されているデータであることを特徴とする請求項36乃至40の何れか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1のウェブブラウザにおいてユーザーによってコピーが指示された前記データは,当該指示が前記第1のウェブブラウザにおいてなされた時点において,前記第1のウェブブラウザによって表示されている複数のデータのうちの,ユーザーによって選択されたデータであることを特徴とする請求項36乃至41の何れか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のウェブブラウザおよび前記第2のウェブブラウザは,前記クライアント装置上で起動されることを特徴とする請求項36乃至42の何れか1項に記載の方法。
【請求項44】
請求項1乃至24,27乃至35の何れか1項に記載の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。

2.補正の適否
(1)新規事項・目的要件
本件手続補正によって,補正前の請求項1の,
「コピー指示が,前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記記憶手段に記憶されている当該データをペースト対象に設定する」,
及び,
「ペースト指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該ペースト先へペーストされる」,
という記載が,補正後の請求項1の,
「コピー指示が前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,所定の情報を受信したことに基づいて,前記記憶手段に記憶されている当該データをペースト対象に設定する」,
及び,
「ペースト指示が,ユーザーによる前記コピー指示がなされて前記所定の情報が前記サーバーシステムによって受信された後に,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該ペースト先へペーストされる」,
という記載に,補正前の請求項2の,
「コピー指示が,前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記記憶手段に記憶されている当該データをペースト対象に設定する」,
及び,
「ペースト指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記設定手段によって設定されているペースト対象を,当該ペースト先へペーストする」,
という記載が,補正後の請求項2の,
「コピー指示が前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,コピー指示の情報を受信したことに基づいて,前記記憶手段に記憶されている当該データをペースト対象に設定する」,
及び,
「ペースト指示が,前記コピー指示の情報が前記サーバーシステムによって受信された後に,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,ペースト指示の情報を受信したことに基づいて,前記設定手段によって設定されているペースト対象を,当該ペースト先へペーストする」,
という記載に,補正前の請求項25の,
「コピー指示が,前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記記憶工程によって記憶されている当該データをペースト対象に設定する」,
及び,
「ペースト指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該ペースト先へペーストされる」,
という記載が,補正後の請求項25の,
「コピー指示が前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,所定の情報を受信したことに基づいて,前記記憶工程によって記憶されている当該データをペースト対象に設定する」,
及び,
「ペースト指示が,ユーザーによる前記コピー指示がなされて前記所定の情報が前記サーバーシステムによって受信された後に,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該ペースト先へペーストされる」,
という記載に,補正前の請求項26の,
「コピー指示が,前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記記憶工程によって記憶されている当該データをペースト対象に設定する」,
及び,
「ペースト指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記設定工程で設定されているペースト対象を,当該ペースト先へペーストする」,
という記載が,補正後の請求項26の,
「コピー指示が前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,コピー指示の情報を受信したことに基づいて,前記記憶工程によって記憶されている当該データをペースト対象に設定する」,
及び,
「ペースト指示が,ユーザーによる前記コピー指示がなされて前記コピー指示の情報が前記サーバーシステムによって受信された後に,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,ペースト指示の情報を受信したことに基づいて,前記設定工程で設定されているペースト対象を,当該ペースト先へペーストする」,
という記載に,補正前の請求項32,及び,請求項40の,
「データのペースト指示を,ユーザによる前記コピー指示の後にユーザから受け付ける」,
及び,
「ペーストの指示をユーザから受け付けたことに応じて,前記クライアント装置とは異なるサーバシステムに,前記コピーが指示された前記データを前記第1の受け付け手段が受け付けた選択に対応するペースト先へペーストさせる」,
という記載が,補正後の請求項32,及び,請求項40の,
「データのペースト指示を,ユーザによる前記コピー指示の情報が前記クライアント装置とは異なるサーバシステムに通知された後にユーザから受け付ける」,
及び,
「ペーストの指示をユーザから受け付けたことに応じて,前記サーバシステムに,前記コピーが指示された前記データを前記第1の受け付け手段が受け付けた選択に対応するペースト先へペーストさせる」,
という記載に補正されるものであって,上記指摘の補正事項は,何れも,本願明細書の段落【0106】?段落【0110】に記載された事項にもとづくものである。
よって,本件手続補正は,願書に最初に添付された明細書,特許請求の範囲,及び,図面に記載した事項の範囲内でなされたものであるから,特許法第17条の2第3項の規定を満たすものである。
そして,上記指摘の補正事項は,“データをペースト対象に設定する条件と,ペーストを実行するタイミング”を限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る)を目的とするものである。
よって,本件手続補正は,特許法第17条の2第5項の規定を満たすものである。

(2)独立特許要件
そこで,本件手続補正が,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定を満たすものであるか否か,即ち,補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か,以下に検討する。

ア.補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下,これを「本件補正発明」という)は,上記「第2.平成27年6月24日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正後の請求項1として引用した,次の記載のとおりのものである。

「サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステムであって,
前記第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶手段と,
前記記憶手段に記憶されている前記データをコピーするためのコピー指示が前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,所定の情報を受信したことに基づいて,前記記憶手段に記憶されている当該データをペースト対象に設定する設定手段と,
を有し,
前記ペースト対象は,前記第2のウェブブラウザによって表示されるペースト先へペースト対象をペーストするためのペースト指示が,ユーザーによる前記コピー指示がなされて前記所定の情報が前記サーバーシステムによって受信された後に,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該ペースト先へペーストされる
ことを特徴とするサーバーシステム。」

イ.引用刊行物に記載の事項
(ア)原審が,平成26年9月11日付けの拒絶理由(以下,これを「原審拒絶理由」という)に引用された,本願の原出願の出願前に既に公知である,特開2002-176675号公報(平成14年6月21日公開,以下,これを「引用刊行物」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

A.「【0042】さらに,図2(c)の例では,ネットワーク400を介して3台のコンピュータ300,310,320が接続されており,そのうちの2台のコンピュータ310,320にそれぞれ2つのデバイス130,230が接続されている。この例の場合は,デバイス130,230以外の主たる構成要素のうち,Webブラウザ部100,200が,コンピュータ300内に存在し,Webサーバ部110及びデバイスサービス部120は第2のコンピュータ310内に存在し,Webサーバ部210及びデバイスサービス部220は第3のコンピュータ320内に存在する。従って,Webサーバ部110及びデバイスサービス部120と,Webサーバ部210及びデバイスサービス部220と,は互いに異なるコンピュータに存在し,また,それらいずれもが,Webブラウザ部100,200の存在するコンピュータとは異なるコンピュータに存在するため,図1の一点鎖線で示された境界はすべてネットワーク境界を表すことになる。
【0043】なお,図2において,コンピュータには,パーソナルコンピュータや,モバイルコンピュータ,情報処理端末装置や,ワークステーションなど,種々のコンピュータが含まれる他,実質的にコンピュータ機能を有する複写機やプリンタなどの周辺機器や,同じくコンピュータ機能を有するセット・トップ・ボックス(Set Top Box;例えば,Web TVの受信ターミナルなどに代表される情報端末の一形態)やゲーム機なども含まれる。また,図2ではデバイスがコンピュータの外部に接続されているように描いてあるが,デバイスの形態によっては,図3に示すように,デバイスとコンピュータとが一体的に構成されていても構わない。
【0044】図3(a)?(c)の例では,いずれも,マシン500がデバイス部230’とコンピュータ部330’とをそれぞれ備えており,デバイスとコンピュータとが一体化されている。」

B.「【0060】図5は図1(当審注;図1は,図4の誤記である)におけるモニタ309の画面上に表示されたスキャナ130s用のWebページとプリンタ230p用のWebページとを示す説明図である。
【0061】図5に示すように,モニタ309の画面600上には,Webブラウザ部100によって閲覧用ウインドウ610が,Webブラウザ部200によって閲覧用ウインドウ620が,それぞれ,表示されている。そして,上記したように,ユーザによって,閲覧用ウインドウ610内におけるURL入力場所614に,コンピュータ310のデバイスサービス部120のURLが入力されると,閲覧用ウインドウ610内には,スキャナ130s用のWebページ612が表示される。
【0062】この時,スキャナ130s用のWebページ612内には,スキャナ130sによって読み取られ,デバイスサービス部120に保持されている画像データに対応した画像616が表示される。なお,画像616は,上記画像データによって表示されるそのままの画像であっても良いし,いわゆるサムネイル画像であっても良い。また,画像616の代わりに,上記画像データに対応するアイコンや図形などを表示するようにしても良い。
【0063】また,上記したように,ユーザによって,閲覧用ウインドウ620内におけるURL入力場所624に,コンピュータ320のデバイスサービス部220のURLが入力されると,閲覧用ウインドウ620内には,プリンタ230p用のWebページ622が表示される。また,この時,プリンタ230p用のWebページ622内には,プリンタ230pでの印刷を指示するための印刷指示枠626が表示される。」

C.「【0066】コンピュータ300において,モニタ309の画面上に,図5に示すように,スキャナ130s用のWebページ612とプリンタ230p用のWebページ622とが表示されている場合に,ユーザが,入力装置308を操作して,画面600上に表示されているマウスカーソル618によって,スキャナ130s用のWebページ612内に表示されている画像616を,一点鎖線矢印にて示すようにドラッグし,プリンタ230p用のWebページ622内に表示されている印刷指示枠626内に,ドロップする(ステップS100)。すると,Webブラウザ部100及び200は,このようにスキャナ130s用のWebページ612内に表示されていた画像616が,プリンタ230p用のWebページ622内に表示されている印刷指示枠626内にドラッグ・アンド・ドロップされたことを検知して,Webブラウザ部100からWebブラウザ部200に,画像616に対応する画像データを保持しているデバイスサービス部120のURLを渡す(ステップS102)。なお,このURLは,Webブラウザ部100からWebブラウザ部200に直接渡すようにしても良いし,コンピュータ300内のオペレーティングシステムを介して渡すようにしても良い。
【0067】次に,Webブラウザ部200は,渡されたURLを,HTTPを使ってWebサーバ部210に送出し,Webサーバ部210は,そのURLをそのままデバイスサービス部220に渡す(ステップS104)。そして,デバイスサービス部220は,渡されたURLを調べて,どこにアクセスして,どのデータを取得すべきなのかを認知する。その上で,デバイスサービス部220は,IPPを使って,ネットワーク400を介して,目的のデバイスサービス部120にアクセスし,デバイスサービス部120が保持している画像データを取得する(ステップS106)。続いて,デバイスサービス部220は,取得した画像データをプリンタ230pに渡して(ステップS108),プリンタ230pに目的の画像を印刷させる。」

D.「【0069】また,上記した説明においては,図1に示すデータ伝送システムが図2(c)に示す接続形態に適用される場合を例にとって説明したが,本実施例においては,Webブラウザ部とWebサーバ部との間はHTTPを使ってデータや情報のやり取りをすることになるため,また,デバイスサービス部同士の間はIPPを使って画像データの伝送を行なうことになるため,図1に示すデータ伝送システムがどのような接続形態(図2(a),(b),図3(a)?(c)に示す接続形態やその他の接続形態)に適用された場合であっても,ローカル接続であるか,ネットワーク接続であるかを意識することなく,データや情報のやり取りを行なうことができる。」

(イ)原審が,平成27年3月18日付けの拒絶査定(以下,これを「原審拒絶査定」という)において,周知技術を提示するために引用した,本願の原出願の出願前に既に公知である,「野田 ユウキ著「Windows Vista パーフェクトマスター[Home Basic Home Premium Business対応]」株式会社秀和システム,2007年11月6日,第1版第2刷発行,212-220ページ」(以下,これを「周知技術文献」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

E.「ファイルやフォルダの複製を作成する場合にはいくつかの方法があります。マウスで,これらをドラッグ&ドロップして複製を作成する場合,複製を作成する先が,同じドライブか,異なるドライブかによって操作が異なります。
同じドライブ内に複製を作成する場合には,[Ctrl]キーを押しながらドラッグ&ドロップします。[Ctrl]キーを併用しないと,ファイルやフォルダは移動してしまいます。これに対して異なるドライブ間では,[Ctrl]キーを併用する必要はありません。
コピーか移動かは,ドラッグの途中のマウスポインタを見ます。マウスポインタに「+」が付いていればコピーが行われます。なお,右ボタンによってドラッグ&ドロップすると,コピーか移動かを選択することもできます。
編集メニューやショートカットメニューからコピーを使用する場合には,コピーコマンドを実行し,複製先のフォルダに移動してから,貼り付けコマンドを実行します。
ファイルやフォルダの移動方法は,「3.7ファイルやフォルダを別の場所に移動する」を参照してください。」(212頁右欄1行?末行)

F.「メニューを利用したコピー&ペースト
画面が狭く,画面上でコピー先とコピー元が表示しにくい場合は,メニューによるコピーが便利です。この操作では,ファイルデータはメモリにコピーされます。このデータを貼り付け(ペースト)すると,複製が完了します。
なお,エクスプローラでメニューバーを表示するには,[Alt]キーを押します。
(1)コピーしたいアイコンをクリックし,コピー元フォルダの編集メニューからコピーを選択します。
(2)ここでコピー先のフォルダを開き,コピー先フォルダの編集メニューから貼り付けを選択すると,コピーしたいアイコンが貼り付けられます。」(215頁1行?10行)

(ウ)本願の原出願の出願前に既に公知である,特開2002-288162号公報(平成14年10月4日公開,以下,これを「周知技術文献2」という)には,関連する図面と共に次の事項が記載されている。

G.「【0033】管理サーバ11は,ユーザID等を受信すると,図5に示すユーザ情報テーブルに基づきユーザ認証を行う(図4bのST22,ST23)。この場合,正当なユーザであると判断され,データ転送用コネクションが確立され,その確立の旨が通知される(ST24,ST25)。会社端末21は,その旨の通知を受け取ると(ST27,ST28),図6Aに示すような「データ書込」または「データ読出」の選択画面を表示する(図4bのST29)。かかる表示がなされると,ユーザは「データ書込」を選択する。これにより,会社端末21は,クリップボード211に記憶されているクリップボードデータ(α,β,γ)を,そのデータ形式(テキスト形式)とともに記憶するファイルZを作成し,管理サーバ11に対してファイルZの書き込み要求(PUT)を行う(ST30,ST31)。
【0034】これを受けた管理サーバ11は,図5に示すユーザ情報テーブルにおいてユーザID1000によって特定される共有クリップボード111内の記憶領域205に,ファイルZを書き込む(図4cのST32,ST33)。そして,書き込みが終了した旨の通知を会社端末21に送信する(ST34)。会社端末21は,図6Bに示す書込終了画面を表示する(ST35,ST36)。」

H.「【0037】3.2 ダウンロード処理(図4a,図4b,図4d,図1b参照)
上記と同様に,自宅端末31は,ユーザXによって常駐プログラムの起動指令が行われると,管理サーバ11にアクセスして,コマンド送信用コネクションを確立してもらう(ST11?ST18)。そして,自宅端末31は,ユーザID1000,パスワードXA1DCZを管理サーバ11に送信して,データ転送用コネクションを確立してもらう(ST19?ST24)。
【0038】自宅端末31は,データ転送用コネクションが確立された旨の通知を受け取ると,図6Aに示すような「データ書込」または「データ読出」の選択画面を表示する(図4bのST25,ST27?ST29)。かかる表示がなされると,ユーザは「データ読出」を選択する。これにより,自宅端末31は,管理サーバ11に対して共有クリップボード111に記憶されているファイルの読出要求(GET)を行う(ST30,ST37)。これを受けた管理サーバ11は,図5に示すユーザ情報テーブルにおいてユーザID1000によって特定される共有クリップボード111内の記憶領域205に格納されているファイルを自宅端末31に転送する(図4dのST38?ST41)。この場合,上述のファイルZが転送される。
【0039】自宅端末31は,ファイルZのデータを自己のクリップボード311に記憶する(ST43?ST45)。
【0040】このあと,ユーザXによってペースト操作が行われると,クリップボード311に記憶されたデータ(α,β,γ)の一覧表示を行い,ユーザXがいずれかを選択すると,その中から選択されたデータのペースト処理が実行される。
【0041】したがって,ユーザXは,会社端末21において作成したクリップボードデータ(α,β,γ)を,異なる端末である自宅端末31のクリップボードにダウンロードすることができ,そのペースト処理を実行することができる。」

ウ.引用刊行物に記載の発明
(ア)上記Aの「ネットワーク400を介して3台のコンピュータ300,310,320が接続され」という記載と,上記Dの「上記した説明においては,図1に示すデータ伝送システムが図2(c)に示す接続形態に適用される場合を例にとって説明した」という記載から,上記Cの引用記載中の「コンピュータ300」には,「コンピュータ310」と,「コンピュータ320」とが接続され,更に,上記Aの「そのうちの2台のコンピュータ310,320にそれぞれ2つのデバイス130,230が接続されている」という記載から,前記「コンピュータ310」には,「デバイス130」が接続され,前記「コンピュータ320」には,「デバイス230」が接続されていることが読み取れる。
そして,上記に引用した上記Aの記載内容と,上記Bの「モニタ309の画面上に表示されたスキャナ130s用のWebページとプリンタ230p用のWebページ」という記載から,前記「デバイス130」が,「スキャナ」であり,前記「デバイス230」が,「プリンタ」であることが読み取れる。
更に,上記Aの「Webサーバ部110及びデバイスサービス部120は第2のコンピュータ310内に存在し,Webサーバ部210及びデバイスサービス部220は第3のコンピュータ320内に存在する」という記載と,上記Bの「閲覧用ウインドウ610内におけるURL入力場所614に,コンピュータ310のデバイスサービス部120のURLが入力されると,閲覧用ウインドウ610内には,スキャナ130s用のWebページ612が表示される」という記載,及び,同じく,上記Bの「閲覧用ウインドウ620内におけるURL入力場所624に,コンピュータ320のデバイスサービス部220のURLが入力されると,閲覧用ウインドウ620内には,プリンタ230p用のWebページ622が表示される」という記載から,「Webサーバ部110」,及び,「デバイスサービス部120」は,“スキャナが接続されたコンピュータ内に存在する,スキャナ用のWebサーバ部”,及び,“スキャナ用のデバイスサービス部”であり,「Webサーバ部210」,及び,「デバイスサービス部220」は,“プリンタが接続されたコンピュータ内に存在する,プリンタ用のWebサーバ部”,及び,“プリンタ用のデバイスサービス部”であることが読み取れる。

(イ)上記Bの「図5は図1におけるモニタ309の画面上に表示されたスキャナ130s用のWebページとプリンタ230p用のWebページとを示す説明図である」という記載,同じく,上記Bの「図5に示すように,モニタ309の画面600上には,Webブラウザ部100によって閲覧用ウインドウ610が,Webブラウザ部200によって閲覧用ウインドウ620が,それぞれ,表示されている・・・閲覧用ウインドウ610内には,スキャナ130s用のWebページ612が表示される」という記載,同じく,上記Bの「スキャナ130s用のWebページ612内には,スキャナ130sによって読み取られ,デバイスサービス部120に保持されている画像データに対応した画像616が表示される」という記載,及び,同じく,上記Bの「閲覧用ウインドウ620内には,プリンタ230p用のWebページ622が表示される。また,この時,プリンタ230p用のWebページ622内には,プリンタ230pでの印刷を指示するための印刷指示枠626が表示される」という記載から,引用刊行物においては,
“モニタの画面上に,スキャナ用のWebブラウザ部によってスキャナ用の閲覧ウィンドウと,プリンタ用のWebブラウザ部によってプリンタ用の閲覧ウィンドウが表示され,前記スキャナ用の閲覧ウィンドウ内には,スキャナ用のWebページが表示され,前記スキャナ用のWebページ内には,スキャナによって読み取られ,デバイスサービス部に保存されている画像データが表示され,前記プリンタ用の閲覧ウィンドウ内には,プリンタのWebページが表示され,前記プリンタ用のWebページ内には,前記プリンタでの印刷を指示するための印刷指示枠が表示される”ものであることが読み取れる。

(ウ)上記(イ)において引用した,上記Bの記載内容から,「Webブラウザ部100」は,“スキャナ用のWebブラウザ部”であり,「Webブラウザ部200」は,“プリンタ用のWebブラウザ部”であるから,上記(ア),及び,(イ)において検討した事項と,上記Cの「コンピュータ300において,モニタ309の画面上に,図5に示すように,スキャナ130s用のWebページ612とプリンタ230p用のWebページ622とが表示されている場合に・・・スキャナ130s用のWebページ612内に表示されている画像616を・・・ドラッグし,プリンタ230p用のWebページ622内に表示されている印刷指示枠626内に,ドロップする(ステップS100)。すると,Webブラウザ部100及び200は,・・・ドラッグ・アンド・ドロップされたことを検知して,Webブラウザ部100からWebブラウザ部200に,画像616に対応する画像データを保持しているデバイスサービス部120のURLを渡す」という記載,同じく,上記Cの「Webブラウザ部200は,渡されたURLを,HTTPを使ってWebサーバ部210に送出し,Webサーバ部210は,そのURLをそのままデバイスサービス部220に渡す(ステップS104)。そして,デバイスサービス部220は,渡されたURLを調べて・・・IPPを使って,ネットワーク400を介して,目的のデバイスサービス部120にアクセスし,デバイスサービス部120が保持している画像データを取得する(ステップS106)。続いて,デバイスサービス部220は,取得した画像データをプリンタ230pに渡して(ステップS108),プリンタ230pに目的の画像を印刷させる」という記載から,引用刊行物においては,
“コンピュータのモニタ画面上に,スキャナ用のWebページと,プリンタ用のWebページが表示されている場合,前記スキャナ用のWebページ内に表示されている画像をドラッグし,前記プリンタ用のWebページ内に表示されている印刷指示枠にドロップすると,スキャナ用のWebブラウザ部から,プリンタ用のWebブラウザ部に,スキャナが接続され,スキャナ用のWebサーバ部とデバイスサービス部とを有するコンピュータの,前記スキャナ用のデバイスサービス部のURLが渡され,前記URLは,前記プリンタ用のWebブラウザ部からHTTPプロトコルを用いて,プリンタが接続され,プリンタ用のサーバ部とデバイスサービス部とを有するコンピュータの,前記プリンタ用のWebサーバ部に送信され,前記プリンタ用のWebサーバ部は,受信した前記URLを,前記プリンタ用のデバイスサービス部に渡し,前記プリンタ用のデバイスサービス部は,前記URLを用いて,前記スキャナ用のデバイスサービス部から,前記画像を取得し,取得した前記画像を,プリンタに印刷させる”ものであることが読み取れる。

(エ)上記(ア)?(ウ)において検討した事項から,引用刊行物には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。

コンピュータのモニタの画面上に,スキャナ用のWebブラウザ部によってスキャナ用の閲覧ウィンドウと,プリンタ用のWebブラウザ部によってプリンタ用の閲覧ウィンドウが表示され,前記スキャナ用の閲覧ウィンドウ内には,スキャナ用のWebページが表示され,前記スキャナ用のWebページ内には,スキャナによって読み取られ,デバイスサービス部に保存されている画像データが表示され,前記プリンタ用の閲覧ウィンドウ内には,プリンタのWebページが表示され,前記プリンタ用のWebページ内には,前記プリンタでの印刷を指示するための印刷指示枠が表示されるコンピュータであって,
前記モニタ画面上に,スキャナ用のWebページと,プリンタ用のWebページが表示されている場合,前記スキャナ用のWebページ内に表示されている画像をドラッグし,前記プリンタ用のWebページ内に表示されている印刷指示枠にドロップすると,スキャナ用のWebブラウザ部から,プリンタ用のWebブラウザ部に,スキャナが接続され,スキャナ用のWebサーバ部とデバイスサービス部とを有するコンピュータの,前記スキャナ用のデバイスサービス部のURLが渡され,前記URLは,前記プリンタ用のWebブラウザ部からHTTPプロトコルを用いて,プリンタが接続され,プリンタ用のサーバ部とデバイスサービス部とを有するコンピュータの,前記プリンタ用のWebサーバ部に送信され,前記プリンタ用のWebサーバ部は,受信した前記URLを,前記プリンタ用のデバイスサービス部に渡し,前記プリンタ用のデバイスサービス部は,前記URLを用いて,前記スキャナ用のデバイスサービス部から,前記画像を取得し,取得した前記画像を,プリンタに印刷させる,コンピュータ。

エ.本件補正発明と引用発明との対比
(ア)引用発明における「スキャナ用のWebサーバ部とデバイスサービス部とを有するコンピュータ」,及び,「プリンタ用のサーバ部とデバイスサービス部とを有するコンピュータ」と,「プリンタでの印刷を指示するための印刷指示枠が表示されるコンピュータ」とは異なる「コンピュータ」であり,引用発明において,前記「プリンタでの印刷を指示するための印刷指示枠が表示されるコンピュータ」は,「スキャナ用のWebブラウザ部によってスキャナ用の閲覧ウィンドウと,プリンタ用のWebブラウザ部によってプリンタ用の閲覧ウィンドウが表示され」るものであるから,「スキャナ用のWebブラウザ部」と,「プリンタ用のWebブラウザ部」は,前記「プリンタでの印刷を指示するための印刷指示枠が表示されるコンピュータ」に存在するものである。
一方,上記指摘の事項から,「スキャナ用のサーバ部」,及び,「プリンタ用のサーバ部」は,前記「プリンタでの印刷を指示するための印刷指示枠が表示されるコンピュータ」とは異なる「コンピュータ」上に存在しており,前記「プリンタでの印刷を指示するための印刷指示枠が表示されるコンピュータ」には,「スキャナ用のWebページ」と,「プリンタ用のWebページ」が表示されていて,前記「プリンタ用のWebブラウザ部」から,「URL」が,「HTTPプロトコル」用いて,「プリンタ用のWebサーバ部」に送信されるものであるから,前記プリンタでの印刷を指示するための印刷指示枠が表示されるコンピュータ」上の「Webブラウザ部」と,他の「コンピュータ」上に存在する,前記「スキャナ用のWebサーバ部」,及び,「プリンタ用のWebサーバ部」とは,“通信可能である”ことは明らかである。

(イ)引用発明において,「スキャナ用のWebブラウザ部」によって「モニタ」に表示される,「スキャナ用の閲覧ウィンドウ」内に表示される「スキャナ用のWebページ」に,「スキャナによって読み取られ,デバイスサービス部に保存される画像データ」が表示されるのであるから,
引用発明における「スキャナ用のWebブラウザ部」,「画像データ」が,
本件補正発明における「第1のウェブブラウザ」,「第1のウェブブラウザによって表示されるデータ」に相当し,
引用発明において,前記「画像データ」は,“スキャナ用のデバイスサービス部”に保存されるのであるから,引用発明における“スキャナ用のデバイスサービス部”が,
本件補正発明における「第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶手段」に相当する。

(ウ)引用発明においては,「プリンタ用のWebページが表示されている場合,前記スキャナ用のWebページ内に表示されている画像をドラッグ」し,結果,前記「画像データ」は,「スキャナ」から,「プリンタ」へ送られることから,前記「プリンタ」が,前記「画像データ」の移動先であるので,
引用発明における「プリンタ用のWebブラウザ部」が,
本件補正発明における「第2のウェブブラウザ」に相当する。

(エ)上記(ア)?(ウ)において検討した事項から,
引用発明において,「プリンタでの印刷を指示するための印刷指示枠が表示されるコンピュータ」上の「スキャナ用のWebブラウザ部」,及び,「プリンタ用のWebブラウザ部」は,前記「プリンタでの印刷を指示するための印刷指示枠が表示されるコンピュータ」とは異なるコンピュータ上の「スキャナ用のWebサーバ部」,及び,「プリンタ用のWebサーバ部」と通信可能であるから,
上記指摘の,引用発明における“スキャナ用のWebサーバ部,及び,プリンタ用のWebサーバ部とは異なるコンピュータ上のスキャナ用のWebブラウザ部,及び,プリンタ用のWebブラウザ部と通信可能なスキャナ用のWebサーバ部,及び,プリンタ用のWebサーバ部”が,
本件補正発明における「サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステム」に相当する。

(オ)引用発明において,「スキャナ用のWebページ内に表示されている画像をドラッグ」するということは,「コンピュータのモニタの画面」を見ている“ユーザー”によって行われるものであることは,明らかであり,前記「ドラッグ」操作は,“スキャナ用のデバイスサービス部に保存されている画像データ”への“複製指示”であるから,
本件補正発明における「記憶手段に記憶されている前記データをコピーするためのコピー指示が前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされること」と,
“記憶手段に記憶されているデータを複製するための指示が,第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされること”である点で共通する。

(カ)引用発明において,「プリンタ用のWebページ内に表示されている印刷指示枠にドロップする」ことは,“ユーザー”によって,「プリンタ用のWebページ」に対してなされることであって,該「ドロップ」の結果,「プリンタ」へ「画像データ」が渡されるのであるから,
本件補正発明における「第2のウェブブラウザによって表示されるペースト先へペースト対象をペーストするためのペースト指示が,ユーザーによる前記コピー指示がなされて前記所定の情報が前記サーバーシステムによって受信された後に,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該ペースト先へペーストされる」
ことと,
“第2のウェブブラウザによって表示される複製先へ複製対象を複製するための指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該複製先へ複製される”点で共通する。

(キ)以上,(ア)?(カ)において検討した事項から,本件補正発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステムであって,
第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶手段を有し,
記憶手段に記憶されているデータを複製するための指示が,第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされ,
第2のウェブブラウザによって表示される複製先へ複製対象を複製するための指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該複製先へ複製される,サーバーシステム。

[相違点1]
“記憶手段に記憶されているデータを複製するための指示が,第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされ”ることに関して,
本件補正発明においては,当該「指示」が,「コピー指示」であり,「サーバーシステム」が,前記「指示」が「なされることに応じて前記サーバーシステムに対して発行される,所定の情報を受信したことに基づいて,前記記憶手段に記憶されている当該データをペースト対象に設定する設定手段」を有するものであるのに対して,
引用発明においては,当該「指示」が,「ドラッグ」であり,該「ドラック」の指示が,「所定の情報」の情報と共に,「スキャナ用のWebサーバ部」,或いは,該「スキャナ用のWebサーバ部を有するコンピュータ」に送られ,その結果,「スキャナ用のデバイスサービス部に保存されている画像データ」を,「ドラッグ」対象と設定する「設定手段」についての言及がない点。

[相違点2]
“第2のウェブブラウザによって表示される複製先へ複製対象を複製するための指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該複製先へ複製される”点に関して,
本件補正発明においては,「複製するための指示」が,「ペースト指示」であって,前記「ペースト指示」が,「ユーザーによる前記コピー指示がなされて前記所定の情報が前記サーバーシステムによって受信された後に,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされる」ものであるのに対して,
引用発明においては,「複製するための指示」が,「ドロップ」であり,該「指示」が,「所定の情報の受信後」に行われることについての言及がない点。

オ.相違点についての当審の判断
(ア)[相違点1]について
周知技術文献2には,上記Gにおいて引用した記載中に,「管理サーバ11は,ユーザID等を受信すると,図5に示すユーザ情報テーブルに基づきユーザ認証を行う(図4bのST22,ST23)。この場合,正当なユーザであると判断され,データ転送用コネクションが確立され,その確立の旨が通知される(ST24,ST25)。会社端末21は,その旨の通知を受け取ると(ST27,ST28),図6Aに示すような「データ書込」または「データ読出」の選択画面を表示する(図4bのST29)。かかる表示がなされると,ユーザは「データ書込」を選択する」とあり,該引用記載中の「ユーザID等」が,本件補正発明における「所定の情報」に相当するので,“所定の情報を受信したことに基づいて,サーバーにおいて,データの転送処理を受け付ける”ことは,本願の原出願の出願前に,当業者には周知の技術事項である。
ここで,周知技術文献2は,上記G,及び,Hに引用した記載中にあるとおり,本件補正発明と同様に,「コピー&ペースト」操作であるのに対して,引用発明は,「ドラッグ&ドロップ」操作であるが,上記E,及び,Fにおいて引用した,周知技術文献にも記載されているとおり,「ドラッグ&ドロップ」操作,及び,「コピー&ペースト」操作は,共に,周知の操作であり,同じく,上記E,及び,Fに記載されているように,「ドラッグ&ドロップ」操作に換えて,「コピー&ペースト」操作を採用することは,当業者に採っては,周知の技術事項に過ぎない。
また,周知技術文献2においては,「データ書込」依頼時,即ち,「コピー」操作時に,「ユーザ」側から,「管理サーバ」へ「データ」の移動が発生しているが,引用発明においては,「データ」は,「サーバ」側に存在しているので,「データ」の移動手法として,引用発明における「ドラッグ&ドロップ」操作に換えて,周知技術文献2における「コピー&ペースト」操作を採用した場合に,「コピー」依頼時に,「データ」の移動が発生しないことは明らかである。
よって,[相違点1]は,格別のものではない。

(イ)[相違点2]について
上記(ア)において検討した,周知技術文献2の上記G,及び,Hにおいて引用した記載にもあるとおり,「自宅端末」からの「ペースト処理」は,上記(ア)において検討した,「ユーザID等」を,「管理サーバ」が受信した後であることは明らかであるから,そのような「ペースト処理」を行うようにすることは,本願の原出願の出願前に,当業者には周知の技術事項であり,上記(ア)において検討したとおり,周知技術文献2における「ID」等が,本件補正発明における「所定の情報」に相当するものであるから,引用発明における「ドラッグ&ドロップ」操作に換えて,周知技術文献2における「コピー&ペースト」操作を採用した際に,「ID」等の,「所定の情報」を,「サーバー」に送信し,前記「サーバー」が,該「所定の情報」を受信した後に,「データ」を受信するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点2]は,格別のものではない。

(ウ)以上(ア),及び,(イ)において検討したとおり,[相違点1],及び,[相違点2]はいずれも格別のものではなく,そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。
よって,本件補正発明は,引用発明,及び,周知技術文献1,周知技術文献2に開示の当該技術分野における周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際,独立して特許を受けることができない。

3.補正却下むすび
したがって,本件手続補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
平成27年6月24日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,平成26年11月17日付けの手続補正により補正された,上記「第2.平成27年6月24日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正前の請求項1として引用した,次の記載のとおりのものである。

「サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステムであって,
前記第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶手段と,
前記記憶手段に記憶されている前記データをコピーするためのコピー指示が,前記第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,前記記憶手段に記憶されている当該データをペースト対象に設定する設定手段と,
を有し,
前記ペースト対象は,前記第2のウェブブラウザによって表示されるペースト先へペースト対象をペーストするためのペースト指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該ペースト先へペーストされる
ことを特徴とするサーバーシステム。」

第4.引用刊行物に記載の発明
上記「第2.平成27年6月24日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(2)独立特許要件」の「イ.引用刊行物に記載の事項」において,引用刊行物1として引用された,原審拒絶理由に引用の,特開2002-176675号公報(平成14年6月21日公開)には,上記「第2.平成27年6月24日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(2)独立特許要件」の「ウ.引用刊行物に記載の発明」において検討したとおりの,引用発明が記載されているものと認める。

第5.本願発明と引用発明との対比
本願発明は,本件補正発明における「コピー指示が・・・サーバーシステムに対して発行される,所定の情報を受信したことに基づいて」という限定事項と,「ペースト指示が,ユーザーによる前記コピー指示がなされて前記所定の情報がサーバーシステムに受信された後に」という限定事項を取り除いたものであるから,
本願発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
サーバーシステム外の第1のウェブブラウザおよび第2のウェブブラウザと通信可能な前記サーバーシステムであって,
第1のウェブブラウザによって表示されるデータを記憶する記憶手段を有し,
記憶手段に記憶されているデータを複製するための指示が,第1のウェブブラウザを介してユーザーによってなされ,
第2のウェブブラウザによって表示される複製先へ複製対象を複製するための指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該複製先へ複製される,サーバーシステム。

[相違点a]
“記憶手段に記憶されているデータを複製するための指示が,第1のウェブブラウザを介してユーザによってなされ”ることに関して,
本件補正発明においては,当該「指示」が,「コピー指示」であり,「サーバーシステム」が,前記「指示」が「なされることに応じて,前記記憶手段に記憶されている当該データをペースト対象に設定する設定手段」を有するものであるのに対して,
引用発明においては,当該「指示」が,「ドラッグ」であり,該「ドラック」の指示が,「スキャナ用のWebサーバ部」,或いは,該「スキャナ用のサーバ部を有するコンピュータ」に送られ,その結果,「スキャナ用のデバイスサービス部に保存されている画像データ」を,「ドラッグ」対象と設定する「設定手段」についての言及がない点。

[相違点b]
“第2のウェブブラウザによって表示される複製先へ複製対象を複製するための指示が,前記第2のウェブブラウザを介してユーザーによってなされることに応じて,当該複製先へ複製される”点に関して,
本件補正発明においては,「複製するための指示」が,「ペースト指示」であるのに対して,
引用発明においては,「複製するための指示」が,「ドロップ」である点。

第6.相違点についての当審の判断
上記「第2.平成27年6月24日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(2)独立特許要件」の「オ.相違点についての当審の判断」において,周知技術文献2を引用して,(ア),及び,(イ)において検討したとおり,「ユーザー」から,「サーバー」に対して,「コピー」操作の要求を出し,その後,前記「サーバー」に対して,別の「ユーザー」の装置から,前記「コピー」操作要求に対応する,「ペースト」操作要求を発行し,前記「ペースト」操作要求に呼応して,前記「ペースト」処理が実行されるよう構成すること自体は,本願の原出願の出願前に,当業者には,周知の技術事項であり,「ドラッグ&ドロップ」操作に換えて,「コピー&ペースト」操作を行うことも,周知技術文献に開示されているように,当業者には周知の手法に過ぎないので,引用発明においても,「ドラッグ&ドロップ」操作に換えて,「コピー&ペースト」操作を採用することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点a],及び,[相違点b]は,格別のものではない。

第7.むすび
したがって,本願発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-16 
結審通知日 2016-03-22 
審決日 2016-04-05 
出願番号 特願2013-172529(P2013-172529)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篠塚 隆松永 稔  
特許庁審判長 高木 進
特許庁審判官 石井 茂和
戸島 弘詩
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法、ならびにそのプログラムおよび記憶媒体  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  

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