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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 A61C |
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管理番号 | 1315017 |
審判番号 | 無効2015-800200 |
総通号数 | 199 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-07-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2015-10-29 |
確定日 | 2016-05-23 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第5623472号発明「歯科矯正装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第5623472号は、平成24年7月26日に出願された特願2012-165371号に係り、平成26年10月3日にその請求項1?5に係る発明について特許権の設定登録が行われた。 本件無効審判は、平成27年10月29日に、無効審判請求人 柳澤宗光、株式会社ロッキーマウンテンモリタ、株式会社バイオデント(以下、「請求人」という。)により、「本件特許第5623472号の特許請求の範囲の請求項1ないし5に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」として請求がなされたものであって、本件審判の手続の概要は以下のとおりである。 平成27年10月29日 本件無効審判請求 平成28年 1月25日 答弁書 平成28年 3月 1日 口頭審理陳述要領書(請求人) 平成28年 3月10日 口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成28年 3月24日 口頭審理 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1?5に係る発明は、次のとおりのものである(以下、「請求項1?5に係る発明」をそれぞれ「本件発明1?5」ということがある。)。 「【請求項1】 上顎及び下顎の歯列に挟まれる平面視U字状のベースと、 前記ベースの外周縁から上方に突出して上唇に内側から当接する上顎側外周壁と、 前記ベースの外周縁から下方に突出して下唇に内側から当接し、かつ下顎の前歯部に外側から当接する下顎側外周壁と、 前記ベースの内周縁から上方に突出して上顎の前歯部に内側から当接する上顎側内周壁と、 前記ベースの内周縁から下方に延び、徐変に水平に曲がる断面湾曲状フランジ部分を舌下方に潜り込ませる舌位置矯正フランジとから構成され、 上顎側外周壁の内周面と上顎側内周壁の外周面とが上顎の歯列の厚みより離して前記上顎側外周壁の内周面と前歯部との間に隙間Δを形成すると共に、 ベース前部を上面が広く、下面が狭い上下非対称とし、前記ベース前部に対する下顎側外周壁を内外方向に肉厚な断面山形とした ことを特徴とする歯科矯正装置。 【請求項2】 ベース、上顎側外周壁、下顎側外周壁及び上顎側内周壁は、弾性又は可撓性を備えた樹脂素材で一体成形された請求項1記載の歯科矯正装置。 【請求項3】 下顎側外周壁は、ベースに沿って延び、下顎の前歯部に外側から当接する下支持条を内周面に設けた請求項1又は2いずれか記載の歯科矯正装置。 【請求項4】 上顎側内周壁は、ベースに沿って延び、上顎の前歯部に内側から当接する上支持条を内周面に設けた請求項1?3いずれか記載の歯科矯正装置。 【請求項5】 ベース、上顎側外周壁、下顎側外周壁、上顎側内周壁及び舌位置矯正フランジは、弾性又は可撓性を備えた樹脂素材で一体成形された請求項1?4いずれか記載の歯科矯正装置。」 第3 請求人の主張 請求人は「本件特許第5623472号の特許請求の範囲の請求項1ないし5に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」ことを請求の趣旨とし、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出し、次の無効理由を主張する。 1 無効理由 本件特許の請求項1ないし請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 各請求項に係る発明の無効理由は次のとおり。 (1)請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明から容易。 (2)請求項2及び請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術から容易。当該周知技術は例を掲げるまでもなく周知である。 (3)請求項3及び請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第4号証に例示される周知技術から容易。(第1回口頭審理調書 請求人欄2を参照。) 2 証拠方法 甲第1号証:実願昭61-10681号(実開昭62-122611号)のマイクロフィルム 甲第2号証:特開2014-23671号公報 甲第3号証:特願2012-165371号の平成26年2月17日付け拒絶理由通知書 甲第4号証:米国特許出願公開第2006/0099546号明細書 甲第5号証:特願2012-165371号の平成26年4月28日付け手続補正書 甲第6号証:特願2012-165371号の平成26年5月19日付け拒絶査定 甲第7号証:特願2012-165371号の平成26年6月30日付け手続補正書 甲第8号証:特願2012-165371号の平成26年9月2日付け特許査定 第4 被請求人の主張 被請求人は「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める」ことを答弁の趣旨とし、次のとおり主張する。 本件発明1?5は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 当審の判断 1 刊行物に記載された発明 (1)甲第1号証 甲第1号証(以下、単に「甲1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 ア 「「産業上の利用分野」 本考案は歯の反対咬合の治療に用いる歯科機能的矯正具に関するものである。」(1頁17?19行) イ 「而して、本考案の要旨は平面形状が歯並に対応する馬蹄形をなした平板状の床本体部と、該床本体部における前歯部相当箇所の外縁上面に形成する、上顎の歯茎外面に当接する板状突片部と、前記床本体部の前歯部相当箇所の外縁部下面に形成する、下唇の内面に当接する帯状の突隆部と、前記床本体部における前歯相当箇所の内縁に形成する、上端部が床本体部の上面より僅かに突出し且つ下端部が下顎の歯茎内面に達する舌尖当接用の板状片部とからなり、これらをプラスチック等によって一体成形してなる歯科機能的矯正装置にある。」(3頁1?12行) ウ 「第1図は斜視図、第2図は正面図、第3図は側面図、第4図は平面図、第5図は第2図中I-I線断面図、第6図は装着状態の口腔内中央部の縦断側面図である。 図中、1は平面形状が歯並に対応する馬蹄形をなした床本体部である。2は該床本体部1における前歯部相当箇所Aの外縁上面に形成する板状突片部であり、上顎の歯茎外面に当接するものである。また、該板状突片部2の高さは、患者に応じて適宜に決定される。また、該板状突片部2は歯茎に合わせて弯曲させている。3は床本体部1における前歯部相当箇所Aの外縁下面に形成する帯状の突隆部であり、下唇の内面に当接するものである。4は床本体部1における前歯部相当箇所Aの内縁に形成する板状片部であり、これに舌尖を当接させることにより、下顎の歯茎に舌尖が接触することを阻止するものである。また該板状片部4はその上端部4′が床本体部1の上面より僅かに突出して前歯の内面に当接すると共に下端部4″が下顎の歯茎内面に達する位置まで突出している。5は前記板状片部2の中心部外面に突出させる棒状の摘みであり、先端部に紐挿通孔6を設けている。」(3頁15行?4頁17行) エ 「「作用」 次に上記構成からなる本考案の作用について説明する。 口を開き、摘み5を摘んで本考案を口腔に入れる。そして床本体部1を前歯7,8によって上下から挟むようにして噛み、上唇11と下唇12を閉じると本考案は口腔内に装着される。この装着した状態にあっては、板状突片部2が上顎の歯茎9の外面に当接し且つ突隆部3が下唇12の内面に当接している。更にまた板状片部4の上端部4′は上顎の前歯7の内面に当接している。 而して、本考案はこのように患者の口腔内に装着すると、従来の矯正装置とは全く異なる作用によって反対咬合の矯正をなし得るものである。 即ち、本考案は従来装置の如き上顎と下顎を正常な位置に保持固定しておくことによって矯正するという思想ではなく、これを更に前進させ、反対咬合の患者に所謂出歯と同じ状態を作り出すことによって矯正しようとするものである。 更に具体的に説明すると、上顎の歯茎9の外面に板状突片部2が適度の圧力で当接するとおとがい筋(審決注:原文では、「おとがい」は漢字標記。)の過緊張が起こり、同時に板状突片部2によって上唇11と上顎の歯茎9の接触は阻止されて、口輪筋の緊張が除去される。且つまた、反対咬合の患者は舌尖が常に下顎の歯茎に接触した状態となっているが、これを板状片部4によって阻止し、舌尖を上顎の歯茎に接触させるようになしている。このようにして所謂出歯と同じ状態を作り出して矯正するものである。」 斯くすることにより、下顎骨の位置は短期間のうちに機能的に正常な位置への導かれるものである。」(5頁6行?6頁17行) オ 上記摘記事項エの「上顎の歯茎9の外面に板状突片部2が適度の圧力で当接するとおとがい筋の過緊張が起こり、同時に板状突片部2によって上唇11と上顎の歯茎9の接触は阻止されて・・ ・・このようにして所謂出歯と同じ状態を作り出して矯正するものである。」との記載、及び、第6図には、前歯7と板状突片部2との間に間隔が形成されている様子が図示されていることに鑑みれば、「板状突片部2の内周面と板状片部4の上端部4′の外周面とが上顎の歯列の厚みより離して板状突片部2の内周面と前歯部との間に隙間を形成する」構成が記載されているといえる。 カ 第6図から、板状突片部2は上唇11に内側から当接しているといえる。 以上のア?エの記載事項、及び、オ、カの認定事項から、甲1には、次の発明が記載されている(以下、「甲1発明」と言う。)。 「平面形状が歯列に対応する馬蹄形をなした床本体部1と、 床本体部1における前歯部相当箇所Aの外縁上面に形成され、上唇に内側から当接する板状突片部2と、 床本体部1における前歯部相当箇所Aの外縁下面に形成され、下唇の内面に内側から当接し、かつ下顎の前歯部に外側から当接する帯状の突隆部3と、 床本体部1における前歯部相当箇所Aの内縁に形成され、その上端部4′は上顎の前歯7の内面に当接するとともに、その下端部4″が下顎の歯茎内面に達する位置まで突出する板状片部4とから構成され、 板状突片部2の内周面と板状片部4の上端部4′の外周面とが上顎の歯列の厚みより離して板状突片部2の内周面と前歯部との間に隙間を形成した 歯科機能的矯正具。」 2 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「平面形状が歯列に対応する馬蹄形をなした床本体部1」は、その構造または機能からみて、本件発明1の「上顎及び下顎の歯列に挟まれる平面視U字状のベース」に相当し、 以下同様に、後者の「床本体部1における前歯部相当箇所Aの外縁上面に形成され、上唇に内側から当接する板状突片部2」は前者の「ベースの外周縁から上方に突出して上唇に内側から当接する上顎側外周壁」に、 後者の「床本体部1における前歯部相当箇所Aの外縁下面に形成され、下唇の内面に内側から当接し、かつ下顎の前歯部に外側から当接する帯状の突隆部3」は前者の「ベースの外周縁から下方に突出して下唇に内側から当接し、かつ下顎の前歯部に外側から当接する下顎側外周壁」に、 後者の「床本体部1における前歯部相当箇所Aの内縁に形成される板状片部4における、上顎の前歯7の内面に当接する上端部4′」は前者の「ベースの内周縁から上方に突出して上顎の前歯部に内側から当接する上顎側内周壁」に、 後者の「板状突片部2の内周面と板状片部4の上端部4′の外周面とが上顎の歯列の厚みより離して板状突片部2の内周面と前歯部との間に隙間を形成する」は前者の「上顎側外周壁の内周面と上顎側内周壁の外周面とが上顎の歯列の厚みより離して前記上顎側外周壁の内周面と前歯部との間に隙間Δを形成する」に、 後者の「歯科機能的矯正具」は前者の「歯科矯正装置」にそれぞれ相当する。 また、後者の「床本体部1における前歯部相当箇所Aの内縁に形成される板状片部4における、下顎の歯茎内面に達する位置まで突出する下端部4″」と、前者の「ベースの内周縁から下方に延び、徐変に水平に曲がる断面湾曲状フランジ部分を舌下方に潜り込ませる舌位置矯正フランジ」とは、「ベースの内周縁から下方に延びるフランジ」という限りにおいて共通する。 してみると、両者は、 「上顎及び下顎の歯列に挟まれる平面視U字状のベースと、 前記ベースの外周縁から上方に突出して上唇に内側から当接する上顎側外周壁と、 前記ベースの外周縁から下方に突出して下唇に内側から当接し、かつ下顎の前歯部に外側から当接する下顎側外周壁と、 前記ベースの内周縁から上方に突出して上顎の前歯部に内側から当接する上顎側内周壁と、 前記ベースの内周縁から下方に延びるフランジとから構成され、 上顎側外周壁の内周面と上顎側内周壁の外周面とが上顎の歯列の厚みより離して前記上顎側外周壁の内周面と前歯部との間に隙間Δを形成する 歯科矯正装置。」 である点で一致し、次の2点で相違する。 (相違点1) ベースの内周縁から下方に延びるフランジが、本件発明1では、徐変に水平に曲がる断面湾曲状フランジ部分を舌下方に潜り込ませる舌位置矯正フランジであるのに対し、甲1発明は、下顎の歯茎内面に達するフランジ(板状片部4の下端部4″)である点。 (相違点2) 本件発明1は、ベース前部を上面が広く、下面が狭い上下非対称とし、前記ベース前部に対する下顎側外周壁を内外方向に肉厚な断面山形としたという構成を備えているのに対し、甲1発明は、ベース前部を上面が広く下面が狭い上下非対称としているか不明であるとともに、ベース前部に対する下顎側外周壁(帯状の突隆部3)の断面形状が、内外方向に肉厚な断面山形ではない点。 (2)判断 以下、上記相違点について検討する。 ア 相違点1について 甲1発明の板状片部4における、下顎の歯茎内面に達する位置まで突出する板状片部4の下端部4″は、反対咬合の患者は舌突が常に下顎の歯茎に接触した状態となっているものを、この構成によりそれを阻止し、舌突を上顎の歯茎に接触させるものである(上記摘記事項エ)。 これに対し、本件発明1は、相違点1に係る構成の「徐変に水平に曲がる断面湾曲状フランジ部分を舌下方に潜り込ませる舌位置矯正フランジ」を備えることで、徐変に水平に曲がる断面湾曲状フランジ部分で、舌下方に潜り込み、舌尖を下顎の前歯部から離して、前歯部が舌尖に押されて下顎が押し出される状態を解消する(本件明細書段落【0033】)という作用・効果に加え、上顎側内周壁の内周面と舌位置矯正フランジの基部の内面とが連続し、舌を包み込む空間を形成し、これにより、前記空間が口腔での舌8を拘束し、不正咬合の矯正に悪影響が出る舌の動きを封じる(本件明細書段落【0034】)という、甲1発明が奏し得ない効果も奏するといえる。 したがって、甲1発明の「板状片部4の下端部4″」が、下顎の歯茎内面に達する位置まで突出するという構成を有していたとしても、これを、徐変に水平に曲がる断面湾曲状フランジ部分とし、舌下方に潜り込ませるように構成することまでは、たとえ当業者といえども、容易に想到し得るものとはいえない。 審判請求人は、甲1発明について、第6図の断面図における、板状片部4の下端部4″が湾曲し舌の下方まで潜り込んでいると主張し(請求書2頁表中の証拠欄の「E」についての記載、17頁11?23行、口頭審理陳述要領書3頁4行?4頁5行等)、また、本件明細書段落【0033】の「舌尖81を下顎7の前歯部711から離して、前記前歯部711が前記舌尖81に押されて下顎7が押し出される状態を解消する。・・・舌位置矯正フランジ5は、舌8を下顎7にくっつけさせない働きを有すればよく、」との記載を根拠に、「徐変に水平に曲がる」点の構成は、従たるものであって反対咬合を矯正する上で特段の効果を奏するものでなく、当業者が容易に想到し得る旨主張している(口頭審理陳述要領書4頁9?19行等)。 しかしながら、甲1には、「4は床本体部1における前歯部相当箇所Aの内縁に形成する板状片部であり、これに舌尖を当接させることにより、下顎の歯茎に舌尖が接触することを阻止するものである。また該板状片部4はその上端部4′が床本体部1の上面より僅かに突出して前歯の内面に当接すると共に下端部4″が下顎の歯茎内面に達する位置まで突出している。」と記載され(上記摘記事項ウ)、第5図にも、下端部4″が湾曲していない断面図が記載されており、第6図の下端部4″は、それが下顎の歯茎内面に達する位置まで突出していることにより歯茎の形状に沿って湾曲したことを図示しているに過ぎないと解され、板状片部4の下端部4″が湾曲し舌の下方潜り込んでいるとは認められない。 また、本件発明1の舌位置矯正フランジが、徐変に水平に曲がる断面湾曲状フランジ部分を舌下方に潜り込ませるという構成により格別な効果を奏することは上述のとおりであり、この構成の記載も示唆もない甲1から当業者が容易に想到し得るという請求人の主張は理由がない。 イ 相違点2について 本件発明1は、上記相違点2に係る「ベース前部を上面が広く、下面が狭い上下非対称とし、前記ベース前部に対する下顎側外周壁を内外方向に肉厚な断面山形とした」という構成を備えているが、これは、下唇に内側から当接させ、下顎の前歯部にも外側から当接させる必要から、ベース前部に対して内外方向に肉厚の断面山形として、これにより、下顎の前方に弾性変形しにくい肉厚のシリコーン樹脂を宛てがっているのと同じ状態をつくり、下顎側外周壁が、特に下顎が前方に突出しようとする発育を抑制又は防止するという効果を奏するものである(本件明細書段落【0028】)。 これに対し、甲1発明は上記構成を備えておらず、また、甲1には、本件発明1の上記構成及び効果について記載も示唆もない。 したがって、上記相違点2に係る本件発明1の構成は、甲1発明から当業者が容易に想到し得たとはいえない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 3 本件発明2ないし5について 本件発明2ないし5は、本件発明1の発明特定事項のすべてをその構成の一部とするものであるから、上記2の理由と同様の理由により、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件発明1?5についての特許を無効にすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-04-12 |
出願番号 | 特願2012-165371(P2012-165371) |
審決分類 |
P
1
113・
121-
Y
(A61C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮部 愛子、寺澤 忠司 |
特許庁審判長 |
長屋 陽二郎 |
特許庁審判官 |
平瀬 知明 山口 直 |
登録日 | 2014-10-03 |
登録番号 | 特許第5623472号(P5623472) |
発明の名称 | 歯科矯正装置 |
代理人 | 高木 福一 |
代理人 | 森 寿夫 |
代理人 | 森 廣三郎 |
代理人 | 高木 福一 |
代理人 | 黒住 智彦 |
代理人 | 木村 厚 |
代理人 | 高木 福一 |
代理人 | 田中 秀明 |