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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録(定型) H01M
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録(定型) H01M
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 取り消して特許、登録(定型) H01M
管理番号 1315130
審判番号 不服2014-10758  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-06 
確定日 2016-06-14 
事件の表示 特願2008-555164「耐熱性が向上した電気化学素子」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月23日国際公開、WO2007/094642、平成21年 7月23日国内公表、特表2009-527091、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2007年 2月16日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2006年 2月16日、(KR)大韓民国)を国際出願日とする出願であって、平成23年 6月17日付けで拒絶理由通知がなされ、同年 9月20日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成24年 6月18日付けで拒絶理由通知がなされ、同年 9月24日付けで意見書、手続補正書及び誤訳訂正書が提出され、平成25年 1月30日付けで拒絶理由通知がなされ、同年 5月 2日付けで意見書及び続補正書が提出され、平成26年2月 4日付けで拒絶査定がなされ、同年 6月 6日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年 8月12日付けで審査官による前置報告書が提出されたものである。

第2 補正の却下の決定
<結論>
平成26年 6月 6日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

<理由>
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を以下のように補正するものである。
(補正前)
「【請求項1】
分離膜であって、
吸熱性無機物粒子と、及びバインダー高分子とを含んでなり、
前記吸熱性無機物粒子が、素子の正常作動温度以上の温度(T)で発生する熱エネルギーを吸収して熱分解され又は消費されるものであり、
前記吸熱性無機物粒子が、アンチモン含有化合物、金属水酸化物、グアニジノ系化合物、ホウ素含有化合物及びスズ酸亜鉛を含有する化合物からなる群より選ばれた1種以上の無機物粒子であり、
前記バインダー高分子により前記吸熱性無機物粒子間が連結及び固定され、前記吸熱性無機物粒子間の空いた空間により気孔構造が形成された構造を備えてなる、分離膜。
【請求項2】
前記吸熱性無機物粒子が、分離膜の収縮又は溶融を防止するものである、請求項1に記載の分離膜。
【請求項3】
電気化学素子であって、
正極と、負極と、分離膜と、及び電解液とを備えてなり、
前記分離膜が、請求項1又は2に記載されたものである、電気化学素子。
【請求項4】
前記電気化学素子が、前記分離膜に含まれた前記吸熱性無機物粒子により、内部短絡時に発生し得る急激な発熱及び発火を抑制するものである、請求項3に記載の電気化学素子。
【請求項5】
前記電気化学素子が、微細気孔分離膜をさらに備えてなるものである、請求項3に記載の電気化学素子。
【請求項6】
前記電気化学素子が、リチウム二次電池である、請求項3に記載の電気化学素子。」

(補正後)
「【請求項1】
独立型有機/無機複合多孔性分離膜であって、
吸熱性無機物粒子と、バインダー高分子と、及び他の無機物粒子とを含んでなり、
前記吸熱性無機物粒子と前記バインダー高分子との重量比が50?95:5?50であり、
前記吸熱性無機物粒子が、素子の正常作動温度以上の温度(T)で発生する熱エネルギーを吸収して熱分解され又は消費されるものであり、
前記吸熱性無機物粒子が、アンチモン含有化合物、金属水酸化物、グアニジノ系化合物、ホウ素含有化合物及びスズ酸亜鉛を含有する化合物からなる群より選ばれた1種以上のものであり、
前記バインダー高分子により吸熱性無機物粒子間が連結及び固定され、吸熱性無機物粒子間の空いた空間により気孔構造が形成されてなるものであり、
前記他の無機物粒子が、 SrTiO_(3)、SnO_(2)、CeO_(2)、MgO、NiO、ZnO、Y_(2)O_(3)、ZrO_(2)、Al_(2)O_(3)、TiO_(2)、及びBaTiO_(3)からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である、独立型有機/無機複合多孔性分離膜。
【請求項2】
前記吸熱性無機物粒子が、分離膜の収縮又は溶融を防止するものである、請求項1に記載の独立型有機/無機複合多孔性分離膜。
【請求項3】
前記多孔性基材の成分が、ポリオレフィン系高分子又は溶融温度200℃以上の高分子である、請求項1に記載の独立型有機/無機複合多孔性分離膜。
【請求項4】
電気化学素子であって、
正極と、負極と、独立型有機/無機複合多孔性分離膜と、及び電解液とを備えてなり、
前記独立型有機/無機複合多孔性分離膜が、請求項1?3の何れか一項に記載されたものである、電気化学素子。
【請求項5】
前記電気化学素子が、前記独立型有機/無機複合多孔性分離膜に含まれた前記吸熱性無機物粒子により、内部短絡時に発生し得る急激な発熱及び発火を抑制するものである、請求項4に記載の電気化学素子。
【請求項6】
前記電気化学素子が、微細気孔分離膜をさらに備えてなるものである、請求項4に記載の電気化学素子。
【請求項7】
前記電気化学素子が、リチウム二次電池である、請求項4に記載の電気化学素子。」

2 補正の適否の検討
本件補正によって、特許請求の範囲の請求項の数は、本件補正前の6から、本件補正後の7に増加しており、新たな発明を追加するものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。
すなわち、本件補正は、増項補正であるから、同項第1号に掲げる「第36条第5項に規定する請求項の削除」、同項第3号に掲げる「誤記の訂正」、同項第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」には該当しない。
また、同項第2号には「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」と規定されているが、前記「特許請求の範囲の減縮」とは、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係、つまり、補正前の請求項と補正後の請求項とが一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならないと解される(必要ならば、知的財産高等裁判所判決 平成15年(行ケ)第230号、平成17年(行ケ)第10156号、及び平成17年(行ケ)第10192号参照。)。
しかしながら、補正後の請求項3についてみれば、対応する補正前の請求項が存在しないから、「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。
したがって、本件補正は、同項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的としたものにも該当しない。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?6に係る発明は、平成25年 5月 2日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-05-30 
出願番号 特願2008-555164(P2008-555164)
審決分類 P 1 8・ 57- WYF (H01M)
P 1 8・ 113- WYF (H01M)
P 1 8・ 121- WYF (H01M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 赤樫 祐樹  
特許庁審判長 木村 孔一
特許庁審判官 池渕 立
宮澤 尚之
発明の名称 耐熱性が向上した電気化学素子  
代理人 龍華国際特許業務法人  

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