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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B61L
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B61L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B61L
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B61L
審判 査定不服 原文新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B61L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B61L
管理番号 1315230
審判番号 不服2014-2987  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-02-18 
確定日 2016-06-01 
事件の表示 特願2009-530500「交錯する複数の鉄道ネットワークで運行される複数の鉄道車両のパラメータを最適化するシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 4月10日国際公開,WO2008/042516,平成22年 2月25日国内公表,特表2010-505678〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は,2007年(平成19年)8月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2006年(平成18年)10月2日,米国,2007年(平成19年)5月23日,米国,2007年(平成19年)7月31日,米国)を国際出願日とする出願であって,平成25年10月16日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年10月22日),これに対して,平成26年2月18日に拒絶査定不服審判が請求された。
その後当審より平成26年11月20日付けで拒絶理由を通知し(発送日:同年11月25日),これに対して平成27年2月19日に意見書及び手続補正書が提出され,再度当審により同年3月13日付けで拒絶理由を通知し(発送日:同年3月17日),これに対して同年6月11日に意見書及び手続補正書が提出され,当審により同年8月6日付けで最後の拒絶理由を通知し(発送日:同年8月11日),これに対して応答期間内である同年11月9日に意見書及び手続補正書が提出されたものであって,「交錯する複数の鉄道ネットワークで運行される複数の鉄道車両のパラメータを最適化するシステム及び方法」に関するものと認められる。

第2 平成27年11月9日付けの手続補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成27年11月9日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正により,本件補正前の特許請求の範囲の
「【請求項1】
鉄道ネットワークにおいて,第1および第2の列車が業務遂行のために運行している間,時間の経過に伴って,第1および第2の列車の運行の調整を行う方法であって,
a.第1および第2の列車の運行区間を,共通交差ポイントを起点とする複数の区分に分割することと,
b.第1および第2の列車のぞれぞれについて,距離および時間の少なくとも一方に対する速度の関係を示す最適な目標走行プロファイルを,鉄道ネットワーク内の第1および第2以外の他の列車を考慮して決定することと,
c.最適な目標走行プロファイルを,現在の目標走行プロファイルと比較することと,
d.第1および第2の列車の現在の走行プロファイルを修正し,現在の区分および将来走行する区分の少なくとも一方についての最適な目標走行プロファイルと一致させることと,
e.前記最適な目標走行プロファイルに基づいて,第1および第2の列車が共通交差ポイントに到着する時刻を予測することと,
f.第1および第2の列車が同時に前記共通交差ポイントに到着すると予測される場合には,ネットワークオプティマイザが,第1および第2の列車の燃料効率を対比して,ネットワーク全体の燃料効率を向上するように一方の列車の燃料効率を犠牲にすることを決定して,第1および第2の列車に前記決定を提供すること
を含む方法。
【請求項2】
前記目標走行プロファイルは,燃料効率と速度との関係および汚染物質の排出量と速度と燃料効率との関係のうち,少なくともいずれかに基づいて最適化される,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
現在の目標走行プロファイルは,前記第1及び第2の列車の車載オプティマイザまたは前記ネットワークオプティマイザによって決定された最適な目標走行プロファイルである,請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1の列車は,第2の列車の優先運行に基づいて,合流および通過のための待避線に入るように誘導される,請求項1から3のいずれかに記載の方法。」
という記載は,
「【請求項1】
鉄道ネットワークにおいて,第1および第2の列車が業務遂行のために運行している間,時間の経過に伴って,第1および第2の列車の運行の調整を行う方法であって,
a.第1および第2の列車の運行区間を,共通交差ポイントを起点として複数の区画に分割することと,
b.第1および第2の列車のぞれぞれについて,距離および時間の少なくとも一方に対する速度の関係を示す最適な目標走行プロファイルを,鉄道ネットワーク内の第1および第2以外の他の列車を考慮して決定することと,
c.最適な目標走行プロファイルにおける速度を,現在の目標走行プロファイルにおける速度と比較することと,
d.第1および第2の列車の現在の走行プロファイルを修正し,現在の区画および将来走行する区画の少なくとも一方についての最適な目標走行プロファイルと一致させることと,
e.前記最適な目標走行プロファイルに基づいて,第1および第2の列車が共通交差ポイントに到着する時刻を予測することと,
f.第1および第2の列車が同時に前記共通交差ポイントに到着すると予測される場合には,ネットワークオプティマイザが,第1および第2の列車の燃料効率を対比して,一方の列車の燃料効率を犠牲にすることを決定して,第1および第2の列車に前記決定を提供すること
を含む方法。
【請求項2】
前記目標走行プロファイルは,燃料効率と速度との関係および汚染物質の排出量と速度と燃料効率との関係のうち,少なくともいずれかに基づいて最適化される,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
現在の目標走行プロファイルは,前記第1及び第2の列車の車載オプティマイザまたは前記ネットワークオプティマイザによって決定された最適な目標走行プロファイルである,請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1の列車は,第2の列車の優先運行に基づいて,合流および通過のための待避線に入るように誘導される,請求項1から3のいずれかに記載の方法。」
と補正された(当審にて,補正された箇所に下線を付した。)。

ここで,本件補正前と本件補正後の特許請求の範囲の記載を比較すると,従属項である請求項2?4には,何ら補正がなく,本件補正後の請求項1は,本件補正前の請求項1の下位の請求項の内容を加えたものでもないため,本件補正後の請求項1は,本件補正前の請求項1に一応対応するものと認められる。

2.新規事項について
(1)本件補正により特許請求の範囲の請求項1に記載は,「c.最適な目標走行プロファイルにおける速度を,現在の目標走行プロファイルにおける速度と比較すること」とされた。
上記補正が,国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る)の翻訳文,国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては,当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く)(以下,翻訳文等という)に記載した事項の範囲内においてしたものか否かを検討する。

(2)「運行パラメータ」,「最適パラメータ」に関する翻訳文等の記載事項
・「【請求項1】・・・
b.列車の運行パラメータを,鉄道ネットワーク内の他の列車に基づいて計算し,特定の区画における最適パラメータを決定することと,
c.最適運行パラメータを,現在の運行パラメータと比較することと,
d.列車の現在の運行パラメータを修正し,前記鉄道ネットワークを利用している他の鉄道車両を考慮して,現在の軌道区画および進行先に待つ軌道区画の少なくとも一方についての最適運行パラメータと一致させること」
・「【請求項4】
請求項1に記載の方法であって,前記現在の運行パラメータは,前記列車によって決定された最適運行パラメータである方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって,現在の運行パラメータを修正して,前記鉄道ネットワークを利用している他の列車との衝突を回避することをさらに含む方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって,現在の運行パラメータを修正することは,前記列車に搭載された走行オプティマイザによって実行される方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法であって,現在の運行パラメータを修正することは,前記鉄道ネットワーク内の他の列車と比較して,前記列車の到着時刻を優先順位付けすることに基づいて達成される方法。
【請求項8】
列車パラメータと,燃料効率と,負荷をネットワークの知見情報にリンクさせて,時間の経過に伴い,ネットワーク効率の調整を行えるようにするシステムであって,
a.各列車ミッションの区画上の鉄道ネットワーク内に存在する複数の列車に,最適運行パラメータを決定するネットワークオプティマイザと,
・・・」
・「【請求項12】
請求項10に記載のシステムであって,前記ネットワークオプティマイザの運行状態が,前記列車の実際の運行パラメータを越えている場合,前記車載オプティマイザは,前記ネットワークオプティマイザによって決定される前記少なくとも1つの運行状態を無効にするシステム。
【請求項13】
列車の運行パラメータと,燃料効率と,負荷をネットワークの知見情報にリンクさせて,時間の経過に伴い,ネットワーク効率の調整を行えるようにするコンピュータソフトウェアコードであって,
a.列車のミッションを,共通交差ポイントを持つ複数の区画に分割するコンピュータソフトウェアモジュールと,
b.少なくとも1つの列車運行パラメータを鉄道ネットワーク内の他の列車に基づいて計算し,特定の区画における少なくとも1つの最適パラメータを決定するコンピュータソフトウェアモジュールと,
c.前記少なくとも1つの最適パラメータを少なくとも1つの現在の運行パラメータと比較するコンピュータソフトウェアモジュールと,
d.前記列車の前記少なくとも1つの現在の運行パラメータを修正して,現在の区画および将来の区画の少なくとも一方について,前記少なくとも1つの最適パラメータと一致させるコンピュータソフトウェアモジュールと
を含むコンピュータソフトウェアコード。」
・「【請求項15】
請求項13に記載のコンピュータソフトウェアコードであって,前記少なくとも1つの現在の運行パラメータは,前記列車によって決定された少なくとも1つの最適パラメータである,コンピュータソフトウェアコード。
【請求項16】
請求項13に記載のコンピュータソフトウェアコードであって,少なくとも1つの現在の運行パラメータを修正して,他の列車との衝突を回避するコンピュータソフトウェアモジュールをさらに含むコンピュータソフトウェアコード。」
・「【請求項21】
請求項17に記載の方法であって,少なくとも1つの現在の運行パラメータを修正して,前記鉄道ネットワークを利用している他の列車との衝突を回避することをさらに含む方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって,前記少なくとも1つの現在の運行パラメータを修正することは,前記列車に搭載された走行オプティマイザによって実行される方法。」
・「【請求項24】
・・・
b.前記ミッション目標に基づいて,各鉄道車両の最適走行計画を決定することと,
c.運行している最中に,個別の鉄道車両の運行パラメータおよび別の鉄道車両に近接している他の鉄道車両のうち,少なくとも一方に基づいて,各個別の走行計画を調整すること
を含む方法。」
・「【請求項27】
請求項24に記載の方法であって,前記少なくとも1つの運行パラメータは,燃料パラメータ,排出パラメータ,および速度パラメータのうち,少なくとも1つを含む方法。
【請求項28】
請求項24に記載の方法であって,現在の運行パラメータは,前記鉄道車両および中央ネットワークオプティマイザの少なくとも一方によって決定された最適パラメータである方法。
【請求項29】
請求項24に記載の方法であって,第1の個別鉄道車両は,第2の個別鉄道車両の優先ミッションに基づいて,合流および通過のための待避線に入るように誘導されてよい方法。
【請求項30】
請求項24に記載の方法であって,個別鉄道車両の現在の運行パラメータを修正して,前記鉄道ネットワークを利用している他の鉄道車両との衝突を回避することをさらに含む方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって,特定の鉄道車両について各現在の運行パラメータを変更することは,前記個別鉄道車両に搭載された走行オプティマイザによって実行される方法。」
・「【0002】
本発明の分野は,列車などの鉄道車両の運行に関わるもので,より詳細には,交錯する鉄道線路網において複数の列車が運行されているときに,前記複数の列車のパラメータ,たとえば,運行パラメータ,燃料効率,排出効率,および到着時刻などを最適化することに関する。」
・「【0007】
・・・ 他のステップは,列車の運行パラメータを,鉄道ネットワーク内の他の列車に基づいて計算し,特定の区画における最適パラメータを決定することに関わる。最適パラメータは,現在の運行パラメータと比較される。開示される他のステップでは,列車の現在の運行パラメータを修正して,現在の軌道区画と進行先に待つ軌道区画の少なくとも一方についての最適パラメータと一致させる。」
・「【0009】
・・・また,列車の運行パラメータを鉄道ネットワーク内の他の列車に基づいて計算し,特定の区画における最適パラメータを決定するコンピュータソフトウェアモジュールも含まれる。さらに,最適パラメータを現在の運行パラメータと比較するコンピュータソフトウェアモジュールも開示される。また,列車の現在の運行パラメータを修正して,現在の区画と将来の区画の少なくとも一方についての最適パラメータと一致させるコンピュータソフトウェアモジュールも開示される。」
・「【0011】
・・・前記ミッション目標に基づいて,各鉄道車両の最適走行計画を決定する,他のステップも設けられる。各個別走行計画は,運行している最中に,鉄道車両固有の運行パラメータ,および別の鉄道車両に近接している他の鉄道車両のうち,少なくとも一方に基づいて調整される。」
・「【0027】
・・・これらの数式や関数は,説明のために用いたに過ぎず,別の数式や目的関数を使用して,燃料消費量またはその他の機関車/列車運行パラメータを最適化することも可能である。」
・「【0136】
・・・鉄道ネットワーク内の他の列車に基づいて,列車の運行パラメータを計算し,特定の区画における最適パラメータを決定する(ステップ252)。この最適パラメータは,現在の運行パラメータと比較される(ステップ254)。現在の運行パラメータを修正して,現在の軌道区画および将来の軌道区画のいずれかの最適パラメータと一致させる(ステップ256)。運行パラメータは,燃料パラメータおよび速度パラメータを含むが,これらに限定されるものではない。例示する一実施形態において,現在の運行パラメータは,列車,列車1および列車2によって決定された最適パラメータである。また,現在の運行パラメータは,他の列車との衝突を避けるために変更されてよい。」
・「【0140】
図16に,鉄道ネットワーク内で運行している複数の鉄道車両を最適化するステップのフローチャートを示す。フローチャート301内の1つのステップは,個別のミッションそれぞれの開始時刻において,各鉄道車両のミッション目標を決定することを含む(ステップ307)。最適走行計画は,このミッション目標に基づいて,各鉄道車両に決定される(ステップ309)。個別の走行計画は,運行中に,個別の鉄道車両の運行パラメータと,別の鉄道車両に近接している他の鉄道車両の少なくともいずれかに基づいて,それぞれ調整される(ステップ311)。
【0141】
図13および図14の他のフローチャートを参照して既に説明したように,運行パラメータは,少なくとも1つの燃料パラメータおよび速度パラメータを含んでよい。また,現在の運行パラメータは,鉄道車両(または列車)および中央ネットワークオプティマイザのいずれかによって最適化されたパラメータである。したがって,第1の個別鉄道車両は,運行中に第2の個別鉄道車両の優先ミッションに基づいて,合流および通過用の待避線に移るように命令されてよい。また,個別鉄道列車の現在の運行パラメータは,鉄道ネットワークを利用している他の鉄道車両との衝突を避けるために,修正されてよい。この修正は,鉄道車両に搭載された走行オプティマイザによって実行されてよい。」

(3)「プロファイル」に関する翻訳文等の記載事項
・「【0024】
本発明の例示的な実施形態に入力された指定データに基づいて,所望の出発・到着時刻で経路沿いの速度規制の制約を受けた状態での燃料消費量および/または排出量を最小限に抑える最適計画を計算することにより,走行プロファイル12を生成する。このプロファイルは,距離および/または時間の関数として表現された列車が準ずるべき最適速度と動力(ノッチ)設定,ならびに,最大ノッチ動力と制動設定,位置の関数としての速度規制,および予想燃料消費量と生成排出量を含む列車運行規制等を含むが,これらには限定されない。例示的な一実施形態において,ノッチ設定の値は,およそ10?30秒に1回の頻度でスロットル変更決定が行われるように選択する。当業者であれば,最適速度プロファイルに準ずることの必要性および/または要望に応じて,スロットル変更決定が長周期または短周期で発生することが容易に分かる。より広い意味で,当業者にとっては,上記プロファイルによる列車の動力設定が列車レベル,構成レベル,および/または個別の列車レベルのいずれかで規定されることは明らかである。動力には,制動力,原動力,およびエアブレーキ力が含まれる。別の好適な実施形態においては,従来の離散的なノッチ動力設定で運行する代わりに,本発明の例示的な実施形態によれば,選択したプロファイルに最適と判断された連続的な動力設定を選択可能である。したがって,例えば,ノッチ設定7で運行する代わりに,最適なプロファイルによってノッチ設定6.8を規定する場合,機関車42は6.8で動作可能である。このような中間の動力設定を可能にすることによって,後述のような付加的な効率性の利益がもたらされる可能性がある。
【0025】
以下に要約するように,最適なプロファイルの計算に用いる手順は,列車31を駆動する動力シーケンスを計算する任意数の方法によって,機関車の運行およびスケジュールの制約を受ける燃料消費量および/または排出量を最小限に抑えることができる。場合によっては,列車構成,経路,および環境条件が類似することにより,要求された最適なプロファイルが過去に決定したものと十分に近くなることがある。この場合は,データベース63の走行軌跡を参照して,その軌跡に追随するようにすれば十分である。過去に計算した計画が適さない場合は,新たな計画を計算する方法として,列車の運動物理学を近似する微分方程式モデルを用いて最適なプロファイルを直接計算する方法等が挙げられるが,これらには限定されない。構成としては,燃料消費と排気生成の比に対応するモデル変数の加重和(積分)に対して,スロットルの過度の変動にペナルティを科す項を加えた形式が一般的な,定量的な目的関数の選択が含まれる。」
・「【0042】
・・・したがって,特定の地理的区域の排出プロファイルは,当該プロファイルに含まれる各規定排出量の最大排出値を含むように調整することによって,当該区域に要求された所定の排出目標を満足することも可能である。これらの排出パラメータは,機関車に関しては通常,動力(ノッチ),大気状態,エンジン制御方法等によって決定される。」
・「【0045】
上述の最適化をコンピュータで扱えるようにするため,図2や上述の数式に示すような列車の単純化モデルを採用してもよい。最適なプロファイルの主要な改良は,他の熱的・電気的・機械的な制約が侵害されたか否かを確認するため,最適な動力シーケンスが生成されたより詳細なモデルを用いることによってもたらされる。この結果,機関車や列車設備に悪影響を及ぼすことなく実現可能な走行に最も近い速度対距離を有する修正プロファイルが得られる。すなわち,列車の機関車および車両間力に対する熱的・電気的な制限等の付加的な暗黙の制約を満足可能である。」
・「【0053】
本発明の例示的な実施形態では,手動または自動で開始された再計画のいずれについても,オペレータに対して2つ以上の走行計画を提示可能である。本発明の例示的な一実施形態においては,異なるプロファイルがオペレータに提示されるため,オペレータは,到着時刻を選択可能であるとともに,対応する燃料および/または排気の影響を把握可能となる。」
・「【0061】
本発明の例示的な実施形態では,任意の計画を初めに作成し,実行中に素早く修正できることが必要となる。これは,計画最適化アルゴリズムが複雑なことから,長距離が含まれる場合の初期計画の作成を含む。走行プロファイルの全長が所与の距離を超える場合は,アルゴリズム46により中間地点で任務を分割してもよい。なお,単一のアルゴリズム46のみを論じているが,当業者であれば,2つ以上のアルゴリズムを用いて,これらのアルゴリズムを相互に関連付けてもよいことが容易に分かる。」
・「【0062】
本発明の例示的な一実施形態においては,特別な系統立った方法により,長距離の走行を小さな区分に分割可能である。各区分は,長さを多少なりとも任意に設定可能であるが,通常は,停留所や大幅な速度制限がある区域または他の経路との分岐合流を規定する主要なマイル標等の自然な位置が選択される。このように選択した区画や区分により,図4に示すように,独立変数として選定した移動時間の関数として,軌道の各区分の走行プロファイルを作成する。各区分に関する燃料消費量/移動時間トレードオフは,列車31が軌道の当該区分に到達する前に計算可能である。そして,各区分について作成した走行プロファイルから,全体の走行計画を生成することができる。本発明の例示的な実施形態では,要求された総走行時間を満足するとともに,全区分に渡る総燃料消費量を最大限抑えられるように,最適な方法で移動時間を全走行区分に割り振る。また,例示的な3区分の走行について,図6に開示するとともに以下に論じる。ただし,複数の区分を論じているが,当業者であれば,走行全体を表す単一の区分で走行計画を構成してもよいことが分かる。
【0063】
図4は,燃料消費量/移動時間グラフの例示的な一実施形態を示したものである。同様の実施形態において,排出量または走行時間曲線を考慮できることは,当業者であれば容易に認識されるであろう。前述の通り,各区分に対する様々な移動時間の最適な走行プロファイルを計算することにより,このようなグラフ50が作成される。すなわち,所与の移動時間51に対して,上述のように計算した詳細な走行プロファイルの結果が燃料消費量52となる。各区分の移動時間を割り振ると,過去に計算した解から各区分の動力/速度計画が決定される。速度規制の変更等およびこれらには限定されない各区分間での速度に関する任意の中間地点制約がある場合は,最適な走行プロファイルの作成中に調整する。速度制限が単一の区分でのみ変更となる場合は,変更のあった区分に対してのみ燃料消費量/移動時間グラフ50を再計算すればよい。これにより,多数の走行区域や区分の再計算に要する時間を短縮することができる。例えば,機関車の損害または車両の連結や切り離しによって,機関車構成または列車が経路に沿って大幅に変化する場合,その後の全区分の走行プロファイルは,グラフ50の新たな事例を作成することによって再計算しなければならない。そして,これらのグラフ50を新たなスケジュール目標と併せて用いることにより,残りの走行を計画する。」
・「【0065】
また,向かい風および/または追い風の変動に起因する列車の負荷変動等およびこれらには限定されない事象を補正するため,フィードバック制御方法を用いて,プロファイルの動力制御シーケンスの補正を行う。このような誤差としては,最適な走行計画の条件と比較した場合の列車の質量および/または抗力等,およびこれらには限定されない列車パラメータの誤差に起因するものが考えられる。さらに,第3の誤差は,軌道データベース36に含まれる情報によって生じる可能性がある。その他の生じ得る誤差としては,機関車エンジン,トラクションモータの熱持続時間,および/または他の要因に起因する非モデル化性能の差が挙げられる。フィードバック制御方法では,位置の関数としての実速度と所望の最適プロファイルにおける速度との比較が行われる。この差に基づいて,最適な動力プロファイルの補正を行い,上記実速度を最適プロファイルに加味する。安定した調整ができるように,動力補正のためのフィードバック速度をフィルタリングする補償アルゴリズムを設けて,閉じた性能安定を確保してもよい。補償としては,制御システム設計の当業者が性能目標を満足するために用いる標準的な動的補償が挙げられる。
【0066】
本発明の例示的な実施形態においては,鉄道路線の運行における例外というよりは習慣として,最も単純で最も早い手段により走行目的の変更を調整可能である。例示的な一実施形態においては,経路に沿った停留所があるA点からB点までの燃料消費最適走行を決定するとともに,走行の開始後に残りの走行に対する更新を行うため,準最適な分解方法を用いて最適な走行プロファイルを求めることができる。この計算方法は,モデリング手法を用いることにより,特定の移動時間,初期速度,および最終速度を有する走行計画を求めることができるため,停留所がある場合は,速度規制と機関車性能の制約をすべて満足することができる。また,既に説明したことではあるが,前述の要因(またはパラメータ)のうちの2つ以上の間でバランスをとることをさらに利用して,所定の要因(またはパラメータ)を最適化してもよい。たとえば,他の実施形態において,排出量に対する移動速度が,走行計画を開発する基準であってよい。」
・「【0095】
抗力損失は,定速プロファイルに従えば,最小限に抑えられる。」
・「【0097】
スマートクルーズコントロール・アルゴリズムは,3つの主要な要素を有する。具体的には,速度規制の緩和に関してエネルギー効率の良い指針となる修正速度規制プロファイルと,速度変化の最小化と制動の均衡を意図した理想的なスロットルプロファイルまたは動的制動設定プロファイルと,実態パラメータとの比較によりモデル化パラメータの不整合を補償するために速度フィードバックループを備え,上記2つの要素を組み合わせてノッチコマンドを生成する機構とがある。スマートクルーズコントロールは,動的制動を行わない(すなわち,運転者が合図を受けて必要な制動を提供する)本発明の例示的な実施形態における方法,もしくは,動的制動を行う変形方法を調整可能である。このスマートクルーズコントロールのアルゴリズムは,排出効率を達成する目的で,構築および実装することもできる。
【0098】
動的制動の制御を行わないクルーズコントロール・アルゴリズムに関して,4つの例示的な要素としては,速度規制の緩和に関してエネルギー効率の良い指針となる修正速度規制プロファイルと,制動のタイミングをオペレータに知らせる通知信号と,速度変化の最小化とオペレータに対する制動の通知の均衡を意図した理想的なスロットルプロファイルと,実態パラメータに対するモデル化パラメータの不整合を補償するためにフィードバックループを備えた機構とがある。」
・「【0110】
図8,図9,および図10は,オペレータが利用する動的な表示を例示的に示したものである。図8に示す通り,走行プロファイル72が提供されており,プロファイル中には,機関車の位置73が与えられている。さらに,列車の長さ105や列車の車両数106といった情報も提供されている。軌道の勾配107,カーブ・路側108に関する要素,ならびに,橋の位置109,列車速度110等も提供されている。オペレータは,ディスプレイ68を介して,これらの情報を確認することができるとともに,経路に沿った列車の位置を確認することができる。さらには,踏切112,信号114,速度変化116,ランドマーク118,および目的地120等の位置までの距離および/または到着予定時刻に関する情報も提供されている。到着時刻管理ツール125も設けられており,ユーザは,走行中に実現する燃料の節約を決定することができる。オペレータは,到着時刻の変更127が可能であり,燃料の節約にどのような影響があるかを把握することができる。本明細書に記載の通り,当業者であれば,燃料の節約が管理ツールで精査可能な唯一の目的の例に過ぎないことが分かる。この目的で,確認対象のパラメータによっては,オペレータが確認可能な管理ツールを用いて,本明細書に記載の他のパラメータを確認・評価することができる。また,オペレータには,乗務員の列車作業時間に関する情報も提供される。例示的な実施形態において,時間情報と距離情報は,特定の事象および/または位置までの時間および/または距離を示すものであってもよい。あるいは,総経過時間を与えるものであってもよい。」

(4)まず,「プロファイル」とは,「輪郭」,「横顔」,「分析結果」,「略歴」などの意味を持つ英単語であり,ITの分野では,何かの対象に関する属性や設定などを列挙した,ひとまとまりのデータの集合を指す場合が多いとされている。一方,「パラメータ」とは,数学において,媒介変数のこと,情報工学において,関数定義の括弧内にリストされた変数のこと(仮引数),確率論および統計学において母数のこと,電子機器の動作をつまみなどで設定する値のこと,とされていることから,「走行プロファイル」と「運行パラメータ」のそれぞれの上位概念としての「プロファイル」と「パラメータ」の概念は異なるものである。
(5)「走行プロファイル」の定義に関しては,翻訳文等の段落【0024】に「本発明の例示的な実施形態に入力された指定データに基づいて,所望の出発・到着時刻で経路沿いの速度規制の制約を受けた状態での燃料消費量および/または排出量を最小限に抑える最適計画を計算することにより,走行プロファイル12を生成する。このプロファイルは,距離および/または時間の関数として表現された列車が準ずるべき最適速度と動力(ノッチ)設定,ならびに,最大ノッチ動力と制動設定,位置の関数としての速度規制,および予想燃料消費量と生成排出量を含む列車運行規制等を含むが,これらには限定されない。」との記載及び【図8】,【図9】に「走行プロファイル72」を示す表示例があり,「運行パラメータ」に関しては,翻訳文等の請求項27に「少なくとも1つの運行パラメータは,燃料パラメータ,排出パラメータ,および速度パラメータのうち,少なくとも1つを含む」と記載され,翻訳文等の段落【0136】に「運行パラメータは,燃料パラメータおよび速度パラメータを含むが,これらに限定されるものではない。」,「現在の運行パラメータは,列車,列車1および列車2によって決定された最適パラメータである。」と記載され,翻訳文等の段落【0141】に「運行パラメータは,少なくとも1つの燃料パラメータおよび速度パラメータを含んでよい。また,現在の運行パラメータは,鉄道車両(または列車)および中央ネットワークオプティマイザのいずれかによって最適化されたパラメータである。」との記載があるが,その他の記載も考慮すると,「走行プロファイル」と「運行パラメータ」の概念は異なるものといえる。
(6)そして,上記「c.」に関して,翻訳文等の段落【0007】に「最適パラメータは,現在の運行パラメータと比較される。」と記載され,段落【0009】に「最適パラメータを現在の運行パラメータと比較する」と記載され,段落【0065】に「フィードバック制御方法では,位置の関数としての実速度と所望の最適プロファイルにおける速度との比較が行われる。」と記載され,段落【0136】に「最適パラメータは,現在の運行パラメータと比較される。」と,最適パラメータと運行パラメータの比較についての記載はあるものの,上記(5)に示したように「走行プロファイル」と「運行パラメータ」の概念は異なるものといえるから,「最適な目標走行プロファイルにおける速度を,現在の目標走行プロファイルにおける速度と比較すること」は,記載も示唆もないこととなる。また,翻訳文等のその他の記載を参照してもこの点についての記載はない。
そうすると,「最適な目標走行プロファイルにおける速度を,現在の目標走行プロファイルにおける速度と比較すること」とする補正は,翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものと認めることができない。
(7)したがって,本件補正のうち請求項1の「c.」の記載についてする上記補正については,翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。

3.目的要件について
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1に記載の「f.第1および第2の列車が同時に前記共通交差ポイントに到着すると予測される場合には,ネットワークオプティマイザが,第1および第2の列車の燃料効率を対比して,ネットワーク全体の燃料効率を向上するように一方の列車の燃料効率を犠牲にすることを決定」することについて,「f.第1および第2の列車が同時に前記共通交差ポイントに到着すると予測される場合には,ネットワークオプティマイザが,第1および第2の列車の燃料効率を対比して,一方の列車の燃料効率を犠牲にすることを決定」するとされた。
この補正は,「ネットワーク全体の燃料効率を向上するように」という発明特定事項を削除して,ネットワーク全体の燃料効率が向上しない場合も含み得るように,特許請求の範囲を拡張するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。
また,この補正は,請求項の削除,誤記の訂正,並びに,明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当するものではない。
そうすると,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから同法第159条第1項により準用する同法第53条第1項に規定により却下すべきものである。

4.独立特許要件
本件補正が,新規事項を追加するものでなく,かつ,特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であると仮定して,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明には,「c.最適な目標走行プロファイルにおける速度を,現在の目標走行プロファイルにおける速度と比較する」と特定されているが,この点については,明細書の段落【0007】,【0009】,【0024】,【0065】,【0136】,【0141】のいずれも補正されていないので,上記「第2 2.」で検討したように,発明の詳細な説明には記載されていない。
(2)本願補正発明には,「b.第1および第2の列車のぞれぞれについて,距離および時間の少なくとも一方に対する速度の関係を示す最適な目標走行プロファイルを,鉄道ネットワーク内の第1および第2以外の他の列車を考慮して決定する」と特定されている。
翻訳文等の段落【0136】には,「現在の運行パラメータは,列車,列車1および列車2によって決定された最適パラメータである。また,現在の運行パラメータは,他の列車との衝突を避けるために変更されてよい。」と記載され,翻訳文等の段落【0024】には,「本発明の例示的な実施形態に入力された指定データに基づいて,所望の出発・到着時刻で経路沿いの速度規制の制約を受けた状態での燃料消費量および/または排出量を最小限に抑える最適計画を計算することにより,走行プロファイル12を生成する。このプロファイルは,距離および/または時間の関数として表現された列車が準ずるべき最適速度と動力(ノッチ)設定,ならびに,最大ノッチ動力と制動設定,位置の関数としての速度規制,および予想燃料消費量と生成排出量を含む列車運行規制等を含むが,これらには限定されない。」と記載されているものの,「第2 2(5)」で述べたように,「走行プロファイル」と「運行パラメータ」の概念は異なるものといえるから,「最適な目標走行プロファイルを」「第1および第2以外の他の列車を考慮して決定する」ことは,翻訳文等の発明の詳細な説明に記載されていない。
(3)本願補正発明には,「最適な目標走行プロファイル」と特定されているが,明細書の発明の詳細な説明を参照しても明確でない。
請求人が提出した平成27年8月3日付けファクシミリでは,「最適」とは「最も適した」という意味であり,例えば,燃料効率が最適とは,総燃料消費量が最小となることを意味し,排出量が最適とは排出量が最小となることを意味し,何が最適化について本願補正発明では,特定のパラメータ(燃料効率,排出量など)に限定するものではない旨主張している。
そうすると,目標となる「走行プロファイル」は,様々な距離および/または時間の関数として表現された列車が準ずるべき最適速度と動力(ノッチ)設定,ならびに,最大ノッチ動力と制動設定,位置の関数としての速度規制,および予想燃料消費量と生成排出量を含むものであるため,「最適な目標走行プロファイル」との記載では,どのプロファイルを要素に入れて,どの様な重み付けをして最適としているのかが特定できないため,明確でない。
また,「最適な目標走行プロファイル」が,どのタイミングで決められるのかも明確でない。
さらに,本願補正発明には,「現在の目標走行プロファイル」と特定されているが,「現在の目標走行プロファイル」がいつどの様に決められるのかが,明細書の発明の詳細な説明を参照しても明確でない。即ち,始発時に最適な目標走行プロファイルが決まるのであれば,現在の目標走行プロファイル(走行プロファイル自体ではない)は演算されないこととなり,最適な目標走行プロファイルを時々刻々と演算するのであれば,現在の目標走行プロファイルは存在しないことになり,明確でない。
(4)本願補正発明の上記「b.」の発明特定事項における「第1および第2以外の他の列車を考慮して決定する」ことについて,他の列車のみを考慮した場合には,自車両(第1または第2の列車)のことを考慮しないこととなるので,最適な目標走行プロファイルを決定できるものとは認められないから,明確でない。
また,「第1および第2以外の他の列車を考慮して決定する」ことを,「他の列車」だけでなく「第1および第2の列車」の両者を考慮して最適な目標走行プロファイルを決定した場合には,共通交差ポイント第1及び第2の列車が同時に到着することは最適とは言い難いから,本願補正発明の発明特定事項である「f.第1および第2の列車が同時に前記共通交差ポイントに到着すると予測される場合」が生じないことになり,上記「f.」が生じることがなく,明細書の発明の詳細な説明を参照しても,構成が明確でない。

よって,この出願は,特許法第36条第6項第1号,第2号及び第4項第1号の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5.小括
以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第3項の規定,同法第17条の2第5項の規定,並びに,同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願について
1.本願
本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?4に係る発明は,平成27年 6月11日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される,「第2 1.」の本件補正前の請求項1?4に記載されたとおりのものと認められる。

2.当審の拒絶理由の概要
当審において平成27年8月6日付けで通知した最後の拒絶理由の概要は,以下のとおりである。

「1)平成27年6月11日付けでした手続補正は,下記の点で国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る)の翻訳文,国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては,当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く)(以下,翻訳文等という)(誤訳訂正書を提出して明細書,特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあっては,翻訳文等又は当該補正後の明細書,特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。


1.上記補正により特許請求の範囲の請求項1に記載のb.の「運行パラメータ」,「最適運行パラメータ」を「最適な目標走行プロファイル」と,d.「運行パラメータ」,「最適運行パラメータ」をそれぞれ「走行プロファイル」と「最適な目標走行プロファイル」と,e.「最適運行パラメータ」を「最適な目標走行プロファイル」とする補正がなされた。
まず,「プロファイル」とは,「輪郭」,「横顔」,「分析結果」,「略歴」などの意味を持つ英単語であり,ITの分野では,何かの対象に関する属性や設定などを列挙した,ひとまとまりのデータの集合を指す場合が多いとされている。一方,「パラメータ」とは,数学において,媒介変数のこと,情報工学において,関数定義の括弧内にリストされた変数のこと(仮引数),確率論および統計学において母数のこと,電子機器の動作をつまみなどで設定する値のこと,とされていることから,「走行プロファイル」と「運行パラメータ」のそれぞれの上位概念としての「プロファイル」と「パラメータ」の概念も異なるものである。
そして,「走行プロファイル」の定義に関しては,明細書の段落【0024】に「このプロファイルは,距離および/または時間の関数として表現された列車が準ずるべき最適速度と動力(ノッチ)設定,ならびに,最大ノッチ動力と制動設定,位置の関数としての速度規制,および予想燃料消費量と生成排出量を含む列車運行規制等を含むが,これらには限定されない。」との記載及び【図8】,【図9】に「走行プロファイル72」を示す表示例があり,「運行パラメータ」に関しては,明細書の段落【0136】に「運行パラメータは,燃料パラメータおよび速度パラメータを含むが,これらに限定されるものではない。」との記載があるが,「走行プロファイル」と「運行パラメータ」が同じものである旨の記載はない。
そうすると,上記補正は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものと認めることができない。
したがって,請求項1の「b.」,「d.」,「e.」の記載についてする上記補正については当初明細書等に記載された事項の範囲内でなされたものということはできない。
2.上記補正により特許請求の範囲の請求項1に記載の「c.最適運行パラメータを,現在の運行パラメータと比較すること」について,「c.最適な目標走行プロファイルを,現在の目標走行プロファイルと比較すること」とする補正がなされた。
しかしながら,上記「c.」に関して,当初明細書の段落【0007】に「最適パラメータは,現在の運行パラメータと比較される。」と記載され,段落【0009】に「最適パラメータを現在の運行パラメータと比較する」と記載され,段落【0136】に「最適パラメータは,現在の運行パラメータと比較される。」と,」最適パラメータと運行パラメータの比較についての記載はあるものの,上記(5)に示したように「走行プロファイル」と「運行パラメータ」の概念は異なるものといえるから,「最適な目標走行プロファイルにおける速度を,現在の目標走行プロファイルにおける速度と比較すること」は,記載も示唆もされていない。また,翻訳文等のその他の記載を参照してもこの点についての記載はない。
の記載はあるものの,「走行プロファイル」を「比較する」こと,及び「目標走行プロファイル」なる用語については,記載されていない。また,当初明細書等のその他の記載を参照してもこの点についての記載はない。
そうすると,「最適運行パラメータを,現在の運行パラメータと比較すること」について,「最適な目標走行プロファイルを,現在の目標走行プロファイルと比較すること」とする補正は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものと認めることができない。
したがって,請求項1の「c.」の記載についてする上記補正については当初明細書等に記載された事項の範囲内でなされたものということはできない。
3.上記補正により特許請求の範囲の請求項1に記載の「f.第1および第2の列車が同時に前記共通交差ポイントに到着すると予測される場合には,ネットワークオプティマイザが,第1および第2の列車の燃料消費量を対比して,ネットワーク全体の消費量に考慮して一方の列車の燃料消費量を犠牲にすることを決定」することについて「f.第1および第2の列車が同時に前記共通交差ポイントに到着すると予測される場合には,ネットワークオプティマイザが,第1および第2の列車の燃料効率を対比して,ネットワーク全体の燃料効率を向上するように一方の列車の燃料効率を犠牲にすることを決定」とする補正がなされた。
また,上記「f.」に関して,当初明細書の段落【0124】に,燃料効率を考慮する旨の記載があり,段落【0128】に,列車1の燃料効率と,列車2の燃料効率を対比して,そのいずれかを犠牲にできる旨の記載はあるものの,「ネットワーク全体の燃料効率を“向上”するように一方の列車の燃料効率を犠牲にする」ことは記載されていない。また,当初明細書等のその他の記載を参照してもこの点についての記載はない。
そして,「第1および第2の列車が同時に前記共通交差ポイントに到着すると予測される場合には,ネットワークオプティマイザが,第1および第2の列車の燃料消費量を対比して,ネットワーク全体の消費量に考慮して一方の列車の燃料消費量を犠牲にすることを決定」することについて「第1および第2の列車が同時に前記共通交差ポイントに到着すると予測される場合には,ネットワークオプティマイザが,第1および第2の列車の燃料効率を対比して,ネットワーク全体の燃料効率を向上するように一方の列車の燃料効率を犠牲にすることを決定」するようにした,上記手続補正書による補正は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものと認めることができない。
したがって,請求項1の「f.」の記載についてする上記補正については当初明細書等に記載された事項の範囲内でなされたものということはできない。

2)本願は,明細書,特許請求の範囲,及び図面の記載が下記の点で不備であり,特許法第36条第6項及び第4項に規定する要件を満たしていない。

1.請求項1に,「a.第1および第2の列車の運行区間を,共通交差ポイントを起点とする複数の区分に分割する」と記載されているが,「共通交差ポイントを起点とする複数の区分」がどのような区分なのか明確でない。
すなわち,明細書の段落【0007】,【0009】に「列車のミッションを,共通交差ポイントを持つ複数の区画に分割する」との記載があり,【0136】に同旨の記載がされているが,「共通交差ポイントを起点とする複数の区分」との記載はなく,【図11】には,共通交差ポイントであるXが記載されているものの,【図11】に関する,明細書の段落【0122】?【0125】には,列車がポイントAを出発してポイントBに到着するときに列車1が軌道区画AX及びXBに沿って移動し,列車2が軌道区画CXおよびXDに沿って移動した場合の予測に関する記載があるのみであって,列車の運行区間を複数の区分に分割することに関する記載はされておらず,「共通交差ポイントを起点とする複数の区分」は,明細書に記載されたものではないとともに,それがどのような区分なのか明確でない(具体例で示されたい)。
2.請求項1に,「c.最適な目標走行プロファイルを,現在の目標走行プロファイルと比較する」と記載されているが,明確でない。
すなわち,「最適な目標走行プロファイル」と「現在の目標走行プロファイル」とは,それぞれどのような定義で,どのような関係にあるのか,そして,それぞれ,いつ,どのようにして決定されたものなのか明確でない。
また,両者が異なる場合,どちらも「目標走行プロファイル」であるのになぜ異なっているのか,そして,何に基づいて目標を変更するのか明確でない。」

3.当審の判断
(1)新規事項について
ア.平成27年6月11日付けでした手続補正により,特許請求の範囲の請求項1に,b.「最適な目標走行プロファイル」と,d.「走行プロファイル」,「最適な目標走行プロファイル」と,e.「最適な目標走行プロファイル」と記載された。
そして,「第2 2.(4)」で述べたように,「走行プロファイル」と「運行パラメータ」のそれぞれの上位概念としての「プロファイル」と「パラメータ」の概念は異なるものであり,また,「第2 2.(5)」で述べたように,「走行プロファイル」と「運行パラメータ」の概念は異なるものといえる。
そうすると,平成27年6月11日付けでした手続補正における請求項1の「b.」,「d.」,「e.」の記載についてする上記補正は,翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものと認めることができない。
したがって,平成27年6月11日付けでした手続補正における請求項1の「b.」,「d.」,「e.」の記載についてする上記補正については翻訳文等に記載された事項の範囲内でなされたものということはできない。
イ.平成27年6月11日付けでした手続補正により特許請求の範囲の請求項1に,「c.最適な目標走行プロファイルを,現在の目標走行プロファイルと比較すること」と記載された。
しかしながら,「第2 2.(5)」で述べたように,「走行プロファイル」と「運行パラメータ」の概念は異なるものといえる。
そして,上記「c.」に関して,翻訳文等の段落【0007】に「最適パラメータは,現在の運行パラメータと比較される。」と記載され,段落【0009】に「最適パラメータを現在の運行パラメータと比較する」と記載され,段落【0065】に「フィードバック制御方法では,位置の関数としての実速度と所望の最適プロファイルにおける速度との比較が行われる。」と記載され,段落【0136】に「最適パラメータは,現在の運行パラメータと比較される。」と,最適パラメータと運行パラメータの比較についての記載はあるものの,「第2 2.(5)」で述べたように「走行プロファイル」と「運行パラメータ」の概念は異なるものといえるから,「最適な目標走行プロファイルを,現在の目標走行プロファイルと比較すること」は,記載も示唆もないこととなる。また,翻訳文等のその他の記載を参照してもこの点についての記載はない。
そうすると,「最適な目標走行プロファイルを,現在の目標走行プロファイルと比較すること」とする補正は,翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものと認めることができない。
したがって,請求項1の「c.」の記載についてする上記補正については翻訳文等に記載された事項の範囲内でなされたものということはできない。
ウ.平成27年6月11日付けでした手続補正により特許請求の範囲の請求項1について,「f.第1および第2の列車が同時に前記共通交差ポイントに到着すると予測される場合には,ネットワークオプティマイザが,第1および第2の列車の燃料効率を対比して,ネットワーク全体の燃料効率を向上するように一方の列車の燃料効率を犠牲にすることを決定」と記載された。
上記「f.」に関して,翻訳文等の段落【0124】に,「列車1および列車2は,通常,燃料効率,加速能力,速度などに関して異なる性能特性を持つため,一般的なネットワーク最適化ルーチンを実行するときに,これらの特性を考慮する必要がある。」と記載され,段落【0128】に,「列車1の燃料効率と列車2の燃料効率を対比して,そのいずれかを犠牲にすることができる。次に,ネットワークオプティマイザ200は,ローカル列車,列車1および列車2に対して,全体効率についてのフィードバックを提供する」と記載されているものの,「ネットワーク全体の燃料効率を向上するように一方の列車の燃料効率を犠牲にする」ことは記載も示唆もないこととなる。また,翻訳文等のその他の記載を参照してもこの点についての記載はない。
そして,「第1および第2の列車が同時に前記共通交差ポイントに到着すると予測される場合には,ネットワークオプティマイザが,第1および第2の列車の燃料効率を対比して,ネットワーク全体の燃料効率を向上するように一方の列車の燃料効率を犠牲にすることを決定」するようにした,上記手続補正書による補正は,翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものと認めることができない。
したがって,請求項1の「f.」の記載についてする上記補正については翻訳文等に記載された事項の範囲内でなされたものということはできない。
エ.よって,平成27年6月11日付けでした手続補正は,上記ア.?エ.の点で翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。

(2)特許法第36条について
ア.請求項1に,「b.第1および第2の列車のぞれぞれについて,距離および時間の少なくとも一方に対する速度の関係を示す最適な目標走行プロファイルを,鉄道ネットワーク内の第1および第2以外の他の列車を考慮して決定する」と記載されている。
明細書の段落【0136】には,「現在の運行パラメータは,列車,列車1および列車2によって決定された最適パラメータである。また,現在の運行パラメータは,他の列車との衝突を避けるために変更されてよい。」と記載され,明細書の段落【0024】には,「本発明の例示的な実施形態に入力された指定データに基づいて,所望の出発・到着時刻で経路沿いの速度規制の制約を受けた状態での燃料消費量および/または排出量を最小限に抑える最適計画を計算することにより,走行プロファイル12を生成する。このプロファイルは,距離および/または時間の関数として表現された列車が準ずるべき最適速度と動力(ノッチ)設定,ならびに,最大ノッチ動力と制動設定,位置の関数としての速度規制,および予想燃料消費量と生成排出量を含む列車運行規制等を含むが,これらには限定されない。」と記載されているものの,「第2 2(5)」で述べたように,「走行プロファイル」と「運行パラメータ」の概念は異なるものといえるから,「最適な目標走行プロファイルを」「第1および第2以外の他の列車を考慮して決定する」ことは,明細書の発明の詳細な説明に記載されていない。
イ.請求項1には,「最適な目標走行プロファイル」との記載があるが,明確でない。
請求人が提出した平成27年8月3日付けファクシミリでは,「最適」とは「最も適した」という意味であり,例えば,燃料効率が最適とは,総燃料消費量が最小となることを意味し,排出量が最適とは排出量が最小となることを意味し,何が最適化について本願発明では,特定のパラメータ(燃料効率,排出量など)に限定するものではない旨主張している。
そうすると,目標とする「走行プロファイル」は,様々な距離および/または時間の関数として表現された列車が準ずるべき最適速度と動力(ノッチ)設定,ならびに,最大ノッチ動力と制動設定,位置の関数としての速度規制,および予想燃料消費量と生成排出量を含むものであるため,「最適な目標走行プロファイル」との記載では,どのプロファイルを要素に入れて,どの様な重み付けをして最適としているのかが特定できないため,明確でない。
また,「最適な目標走行プロファイル」が,どのタイミングで決められるのかも明確でない。
さらに,請求項1には,「現在の目標走行プロファイル」と記載されているが,「現在の目標走行プロファイル」がいつどの様に決められるのかが,明細書の発明の詳細な説明を参照しても明確でない。即ち,始発時に最適な目標走行プロファイルが決まるのであれば,現在の目標走行プロファイル(走行プロファイル自体ではない)は演算されないし,最適な目標走行プロファイルを時々刻々と演算するのであれば,現在の目標走行プロファイルは存在しないことになるからである。
ウ.請求項1に,「c.最適な目標走行プロファイルを,現在の目標走行プロファイルと比較する」と記載されているが,明細書の発明の詳細な説明を参照しても明確でない。
すなわち,「最適な目標走行プロファイル」と「現在の目標走行プロファイル」とは,それぞれどのような定義で,何に基づいて決定されるのか,そして,それぞれがどのような関係にあるのかが明確でない。
また,両者が異なる場合,どちらも「目標走行プロファイル」であるのになぜ異なっているのか,そして,何に基づいて目標を変更するのか明確でない。
エ.請求項1の上記「b.」における「第1および第2以外の他の列車を考慮して決定する」ことについて,他の列車のみを考慮した場合には,自車両(第1または第2の列車)のことを考慮しないこととなるので,最適な目標走行プロファイルを決定できるものとは認められないから,明確でない。
また,「第1および第2以外の他の列車を考慮して決定する」ことを,「他の列車」だけでなく「第1および第2の列車」の両者を考慮して最適な目標走行プロファイルを決定した場合には,共通交差ポイント第1及び第2の列車が同時に到着することは最適とは言い難いから,本願補正発明の発明特定事項である「f.第1および第2の列車が同時に前記共通交差ポイントに到着すると予測される場合」が生じないことになり,上記「f.」が生じることがなく,明細書の発明の詳細な説明を参照しても,意味が明確でない。
オ.請求項3に,「現在の目標走行プロファイルは,前記第1及び第2の列車の車載オプティマイザまたは前記ネットワークオプティマイザによって決定された最適な目標走行プロファイルである,請求項1または2に記載の方法。」と記載されている。
この記載によれば,「現在の目標走行プロファイル」は,「最適な目標走行プロファイル」と同じプロファイルである。そうすると,請求項3が引用する請求項1の「c.最適な目標走行プロファイルを,現在の目標走行プロファイルと比較する」場合の,両プロファイルは同じものであるから,比較

する意味がなくなるため,この記載は明確でない。
カ.請求項4に,「第1の列車は,第2の列車の優先運行に基づいて,合流および通過のための待避線に入るように誘導される,請求項1から3のいずれかに記載の方法。」と記載されているが,請求項1の方法では,「第1および第2の列車の燃料効率を対比して,……一方の列車の燃料効率を犠牲にすることを決定」するものであり,「優先運行」とは無関係である。そうすると,請求項4が引用する請求項1の方法で,燃料効率を対比して一方の列車の燃料効率を犠牲にすることとと,第2の列車の優先運行とをどのようにしたら両立させることができるのかが明確でない。
キ.第1の列車の始点?終点間に複数の共通交差ポイントがある場合,どの共通交差ポイントを起点として,第1および第2の列車を決めるのか,明細書の発明の詳細な説明を参照しても不明である。仮に,第1の列車が運行する際に,1番目の共通交差ポイントに同時に第1および第2の列車が到着するとして,第1および第2の列車の運行を決めた場合に,更に2番目の共通交差ポイントで同時に到着する列車があると判断される場合に,第1の列車の目標走行プロファイルを2番目の共通交差ポイントについて修正するのか否かが不明である。修正するとすれば1番目の共通交差ポイントでの最適なプロファイルを決定しても修正した後に最適でなくなり,1番目の共通交差ポイントで全体の燃料効率を向上させても2番目の共通交差ポイントで目標走行プロファイルを変更すればネットワーク全体の燃料効率は必ずしも向上するとは言えない。
したがって,どの様に全体の燃料効率が向上するように最適な目標プロファイルを決定するのかが,明細書の発明の詳細な説明を参照しても不明である。
ク.よって,本願は,明細書,特許請求の範囲の記載が上記ア.?キ.の点で不備であり,特許法第36条第6項第1号,第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

4.むすび
以上のとおり,平成27年6月11日付けでした手続補正書による補正は,特許法第17条の2第3項の規定する要件を満たしておらず,また,本願は,明細書,特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号,第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていないから,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-01-04 
結審通知日 2016-01-05 
審決日 2016-01-18 
出願番号 特願2009-530500(P2009-530500)
審決分類 P 1 8・ 57- WZ (B61L)
P 1 8・ 537- WZ (B61L)
P 1 8・ 575- WZ (B61L)
P 1 8・ 536- WZ (B61L)
P 1 8・ 562- WZ (B61L)
P 1 8・ 55- WZ (B61L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐々木 芳枝八木 誠  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 矢島 伸一
藤井 昇
発明の名称 交錯する複数の鉄道ネットワークで運行される複数の鉄道車両のパラメータを最適化するシステムおよび方法  
代理人 田中 拓人  
代理人 荒川 聡志  
代理人 小倉 博  
代理人 黒川 俊久  

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