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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号公然実施 特許、登録しない。 A61K 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K |
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管理番号 | 1315260 |
審判番号 | 不服2015-3309 |
総通号数 | 199 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-07-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-02-20 |
確定日 | 2016-06-01 |
事件の表示 | 特願2010-158547「毛髪損傷改善剤及びそれを配合した毛髪化粧料」拒絶査定不服審判事件〔平成24年2月2日出願公開、特開2012-20946〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年7月13日に出願されたものであって、平成26年2月18日付けで拒絶理由が通知され、同年4月25日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月25日付けで拒絶査定され、平成27年2月20日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年3月30日付けで前置審査の結果が報告されたものである。 第2 補正却下の決定 [結論] 平成27年2月20日付け手続補正書による補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成27年2月20日付け手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は特許法第17条の2第1項ただし書第4号に掲げる場合の補正であって、その補正の内容は、特許請求の範囲について補正をするものであって、本件補正前の 「【請求項1】 リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス及びクリスマムマリチマムエキスの3種の海浜植物抽出物を有効成分とし、当該有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%?60%含まれることを特徴とする毛髪損傷改善剤。 【請求項2】 リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス及びクリスマムマリチマムエキスの3種の海浜植物抽出物とともに、更にイヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスから選ばれる少なくとも1種の海浜植物抽出物を有効成分とし、当該有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%?60%含まれることを特徴とする毛髪損傷改善剤。 【請求項3】 下記式に定める毛髪損傷改善パラメーターが1.10以上である請求項1または2に記載の毛髪損傷改善剤。 【数1】 <<毛髪損傷改善パラメーターに関する数式省略>> 【請求項4】 請求項1?3のいずれか1項に記載の毛髪損傷改善剤を配合した毛髪化粧料。」 を 「【請求項1】 リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス及びクリスマムマリチマムエキスの3種の海浜植物抽出物を有効成分とし、当該有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%?60%含まれることを特徴とする毛髪損傷改善剤を毛髪化粧料中0.1%?1.0%配合した毛髪化粧料。 【請求項2】 リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス及びクリスマムマリチマムエキスの3種の海浜植物抽出物とともに、更にイヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスから選ばれる少なくとも1種の海浜植物抽出物を有効成分とし、当該有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%?60%含まれることを特徴とする毛髪損傷改善剤を毛髪化粧料中0.1%?1.0%配合した毛髪化粧料。」 と補正するものである。 2.本件補正についての判断 (1)本件補正の目的について 本件補正は、本件補正前の請求項1?3を削除するとともに、同請求項4の請求項1及び2を引用する場合について、それぞれ新たに請求項1及び2とし、併せて新請求項において配合する毛髪損傷改善剤の量を限定したものである。 そうすると、本件補正は、本件補正前の請求項4における発明特定事項である「毛髪損傷改善剤」について限定するものであって、本件補正前後で産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的として含むものである。 (2)独立特許要件について 上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の場合であるので、さらに、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を充足しているか否か)について検討する。 ア.本件補正後の請求項2に係る発明 本件補正後の請求項2に係る発明(以下、「補正発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される次に記載のものと認める。 「リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス及びクリスマムマリチマムエキスの3種の海浜植物抽出物とともに、更にイヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスから選ばれる少なくとも1種の海浜植物抽出物を有効成分とし、当該有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%?60%含まれることを特徴とする毛髪損傷改善剤を毛髪化粧料中0.1%?1.0%配合した毛髪化粧料。」 イ.引用する刊行物等及びその記載事項 原査定において引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「ヘアケアブランド「海のうるおい藻」リニューアル ?タラソ美容成分を新配合? 新商品「タラソ美容ヘアパック」をラインに追加」クラシエホームプロダクツ株式会社、2010年1月14日、URL:http://www.kracie.co.jp/release/pdf/100114_uruumi_taraso.pdf(以下、「引用例」という。)には、次の事項記載がされている。 「クラシエホームプロダクツは、ヘアケアブランド「海のうるおい藻」に「タラソ美容成分」を新配合、美容感と機能性をプラスし、上質感あふれるパッケージで、2月15日より新発売致します。従来の「11種類の海藻成分」、「海洋深層水」に加え、「タラソ美容成分」(海洋性コラーゲン、マリンスクワランなど)配合により、“海”由来の豊富な栄養が髪一本一本に深く行きわたり、芯からうるおって、手触りなめらかな髪が乾いた後までずっと続く、うるおいに満ちた健康な髪に導きます。」(第1頁1?7行) 「1.商品特徴 ●「タラソ美容成分」配合 傷んだ髪表面を補修し、うるおいを閉じ込め、乾いた後もすべすべのなめらかな手触りを持続させます。 保湿:海洋性コラーゲン、マリンスクワラン、マリンハーブエッセンス^(*)、 キューティクル保護:マリンプラセンタ、カギイバラノリエキス ^(*)リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス、クリスマムマリチマムエキス、イヌラクリスモイデエキス、トリプレウロスペルムムマリチマエキス ●11種類の海藻成分(保湿成分)配合 …… ●海洋深層水(補強)配合 …… ●心やすらぐフローラルマリンの香り 2.商品概要 商品名 …… 海のうるおい藻 シャンプー …… 海のうるおい藻 コンディショナー …… 海のうるおい藻 タラソ美容へアパアック …… 」(2頁2?23行) ウ.引用例に記載の発明 引用例には、「タラソ美容成分」を配合した、シャンプー、コンディショナー、ヘアパックが記載されており、これらは毛髪化粧料に該当する。 ここで、「タラソ美容成分」には、保湿成分として、「海洋性コラーゲン」、「マリンスクワラン」並びにリモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス、クリスマムマリチマムエキス、イヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスからなる「マリンハーブエッセンス」が、キューティクル保護成分として、マリンプラセンタ、カギイバラノリエキスが含まれることが記載されている。 そして、この「タラソ美容成分」を配合することにより、傷んだ髪表面を補修し、うるおいを閉じ込め、乾いた後もすべすべのなめらかな手触りを持続させることも記載されていることから、「タラソ美容成分」は毛髪損傷改善剤であるといえる。 したがって、引用例には、 「リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス、クリスマムマリチマムエキス、イヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスからなるマリンハーブエッセンス、海洋性コラーゲン、マリンスクワラン、マリンプラセンタ並びにカギイバラノリエキスを含む毛髪損傷改善剤を配合した毛髪化粧料」 の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 エ.対比・判断 (ア)補正発明と引用発明とを対比すると、両者は、 「毛髪損傷改善剤を配合した毛髪化粧料」の点で一致し、次の点で相違している。 相違点1: 毛髪損傷改善剤について、補正発明が「リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス及びクリスマムマリチマムエキスの3種の海浜植物抽出物とともに、更にイヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスから選ばれる少なくとも1種の海浜植物抽出物」を有効成分としているのに対し、引用発明では、「リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス、クリスマムマリチマムエキス、イヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキス、海洋性コラーゲン、マリンスクワラン、マリンプラセンタ並びにカギイバラノリエキス」を有効成分としている点 相違点2: 海浜植物抽出物の有効成分について、補正発明が「有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%?60%含まれること」と特定しているのに対し、引用発明ではそのような特定がない点 相違点3: 補正発明では「毛髪損傷改善剤を毛髪化粧料中0.1%?1.0%配合した」と特定しているのに対し、引用発明ではそのような特定がない点 これらの相違点について検討する。 (イ)相違点1について 補正発明では、「リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス及びクリスマムマリチマムエキスの3種の海浜植物抽出物とともに、更にイヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスから選ばれる少なくとも1種の海浜植物抽出物」を有効成分としているが、これは、結局のところ「リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス、クリスマムマリチマムエキス、イヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキス」の5成分を有効成分として含有することを含むものである。 引用発明では、毛髪損傷改善剤として、マリンハーブエッセンス、海洋性コラーゲン、マリンスクワラン、マリンプラセンタ及びカギイバラノリエキスの5成分を含むものであるが、このうちマリンハーブエキスである「リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス、クリスマムマリチマムエキス、イヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキス」の5成分も「毛髪損傷改善」を奏するための有効成分であるといえる。 したがって、両者は相違点1の点で相違するものではない。 なお、本願明細書には、【0025】に、「動植物由来の抽出エキス」を配合可能としているところ、「海洋性コラーゲン」、「マリンスクワラン」、「マリンプラセンタ」及び「カギイバラノリエキス」はいずれも「動植物由来の抽出エキス」であり、また、実施例8(【0034】)、実施例9(【0037】)及び実施例10(【0040】)には、「マリンプラセンタエキス」及び「カギイバラノリエキス」が配合された各種毛髪化粧料が、さらに、実施例12(【0046】)には「スクワラン」が配合されたヘアワックスが記載されていることから見ても、これらの成分を配合することが相違点になるものではない。 (ウ)相違点2について 引用例には、マリンハーブエッセンスであるリモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス、クリスマムマリチマムエキス、イヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキス中に、ポリフェノール及びフルクトースが含まれることについては記載されていない。 ところで、本願明細書には、 「【0012】 また、海浜植物抽出物であるリモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス、クリスマムマリチマムエキス、イヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスには、アミノ酸、ポリフェノール、ミネラル、ビタミン及びフルクトースなどの有効成分が含まれる。本発明の毛髪損傷改善剤は、上記海浜植物抽出物を有効成分とし、当該有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%?60%含まれることが必要である。さらには、15%?55%含まれることが好ましい。有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で60%を越えて含まれる場合には、処理した毛髪の吸湿性が強くなりべたつきが生じるなどの問題がある。また10%未満の場合には、十分な毛髪損傷改善効果が得られないなどの問題がある。」 と記載され、【0028】?【0032】には、毛髪損傷改善パラメーター評価を行った結果が記載されており、「ポリフェノール及びフルクトース含有量(%)/抽出物有効成分総量」が10?60%の場合には、毛髪損傷改善パラメーターの値が1.10以上となり「効果が実感される」(【0013】)ものとなっている。 一方で、引用発明においては、「傷んだ髪表面を補修し、うるおいを閉じ込め、乾いた後もすべすべのなめらかな手触りを持続させ」るものであるから、有効成分中のポリフェノール及びフルクトースの含有量は乾燥固形分相当で10%未満でも、60%を越えるものでもないと解される。 そして、本願明細書には、リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス、クリスマムマリチマムエキス、イヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスの製造方法や入手方法は記載されていない。そして、「リモニウムゲルベリ、ハマナ、クリスマムマリチマム、イヌラクリスモイデ、トリプレウロスペルムムマリチマの5種類の海浜植物からなる含水1,3-ブチレングリコール抽出物」である抽出物4(【0027】)を用いた実施例4?7は「ポリフェノール及びフルクトース含有量(%)/抽出物有効成分総量」がそれぞれ異なっている。請求人は、平成26年4月25日付け意見書にて、「抽出対象と抽出溶媒の接触時間により、抽出成分の総量がコントロールできることは、当業者にとって自明なこと」であると述べているが、実際にどのような抽出条件で抽出したのかには触れていない。これらのことから見て、特別な抽出条件で抽出しなくても、「ポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%?60%」含まれる抽出物が得られるものと解される。 さらに言えば、【0028】?【0032】に記載された評価は、どのような毛髪化粧料で評価したのか明らかではない。【0027】の記載からすると、抽出物そのものを毛髪損傷改善剤としてそのまま使用しているようにも解される。そうすると、抽出物そのものにおいてポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%?60%含まれており、そのような毛髪損傷改善剤が毛髪損傷改善パラメーターによる評価において一定の効果が得られたとしても、実際の毛髪化粧料では含有するポリフェノール及びフルクトースは10%?60%含まれるわけではないことから(例えば、毛髪損傷改善剤が0.1%?1.0%配合された毛髪化粧料では、多くても0.6%しか含まれていないことになる。)、そのような場合、【0031】の【表2】中の比較例1に相当するものであって、毛髪損傷改善効果がないともいえる。 そうすると、補正発明において、リモニウムゲルベリ、ハマナ、クリスマムマリチマム、イヌラクリスモイデ、トリプレウロスペルムムマリチマの5種類の海浜植物からの抽出物の含有率において、特に「ポリフェノール及びフルクトース」に着目し、その抽出量を「乾燥固形分相当で10%?60%」と特定したことに格別の技術的意義を有しているとは認められない。 (エ)相違点3について 引用例には、「タラソ美容成分」を配合した、シャンプー、コンディショナーが記載され、タラソ美容成分配合による作用効果として、「傷んだ髪表面を補修し、うるおいを閉じ込め、乾いた後もすべすべのなめらかな手触りを持続させ」る毛髪損傷改善作用が記載されている。 そうすると、毛髪損傷改善作用を有するタラソ美容成分が配合されるものは、シャンプー、コンディショナーであり、シャンプー、コンディショナーは毛髪化粧料であるから、毛髪化粧料に配合される毛髪損傷改善剤の配合量は、少なくとも毛髪化粧料として使用する場合の「毛髪損傷改善作用を有する程度の量」というべきもので、引用例において、毛髪化粧料に配合する毛髪損傷改善剤の配合量が明記されていないとしても、毛髪損傷改善効果を奏する量で配合されている以上、補正発明で特定する量と格別相違するものではないと解されるし、たとえそうではないとしても、毛髪化粧料に配合する毛髪損傷改善剤の配合量は、毛髪損傷改善剤の作用効果を勘案して、適宜決定できるものといえる。 そうであれば、補正発明において、「毛髪損傷改善剤を毛髪化粧料中0.1%?1.0%配合した」ことは、格別予想外の効果を奏する程度の量を規定しているとはいえないし、当業者に予測できなかった配合量を規定しているとはいえない。 また、本願明細書には毛髪損傷改善剤を毛髪化粧料中0.1%?1.0%配合することについて直接記載した箇所はなく、そのような配合割合とすることでどのような効果が奏されるのか何も説明されていない。そして、本願明細書【0028】?【0032】における「毛髪損傷改善パラメーター評価」は、毛髪化粧料中の毛髪損傷改善剤の配合量の観点からみておらず、補正発明で特定する配合量とすることにより格別予想できない効果を奏するものではない。 さらに、実施例8?16に毛髪化粧料を用いた結果について定性的に記載がされているが、これらの実施例においては、補正発明で特定する毛髪損傷改善剤以外にも毛髪の損傷改善効果を奏すると解される成分がさらに配合されており、したがって、実施例8?16に記載の効果から、補正発明が奏する効果が格別予想外のものということもできない。 オ.まとめ したがって、補正発明は、引用例に係る発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 上記記載のとおり、平成27年2月20日付け手続補正書による補正は却下されたので、本願の請求項1?4に係る発明は、平成26年4月25日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?4にそれぞれ記載された事項により特定されるとおりのものであって、そのうち請求項2を引用する請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「リモニウムゲルベリエキス、ハマナエキス及びクリスマムマリチマムエキスの3種の海浜植物抽出物とともに、更にイヌラクリスモイデエキス及びトリプレウロスペルムムマリチマエキスから選ばれる少なくとも1種の海浜植物抽出物を有効成分とし、当該有効成分中にポリフェノール及びフルクトースが乾燥固形分相当で10%?60%含まれることを特徴とする毛髪損傷改善剤を配合した毛髪化粧料。」 2.引用する刊行物等及びその記載事項 上記第2の2(2)イで引用した引用例には、同箇所で摘示したとおりの事項が記載されており、したがって、当該引用例には同ウで示したとおりの引用発明が記載されている。 3.判断 本願発明と引用発明とを対比する。 本願発明は補正発明から毛髪損傷改善剤の配合割合を削除した発明であるから、両者は、上記第2の2(2)エ(ア)で示した点で一致し、同箇所で示した相違点1及び2の点で相違する。 そして、相違点1及び2については、同(イ)及び(ウ)で判断したとおりである。 4.まとめ そうすると、本願の請求項2を引用する請求項4に係る発明は、引用例に係る発明である。 なお、拒絶査定では、「理由1、2:請求項3:引用文献1」と記載され、請求項4に係る発明については触れていないが、備考の指摘内容から見て、「請求項3」とは、特許出願時の請求項3を意味するものであって、これは対応する平成26年4月25日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項4とすべきところ、錯誤により誤記したものであることが明らかである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、他の請求項について検討するまでもなく、この理由により拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-04-05 |
結審通知日 | 2016-04-06 |
審決日 | 2016-04-19 |
出願番号 | 特願2010-158547(P2010-158547) |
審決分類 |
P
1
8・
112-
Z
(A61K)
P 1 8・ 575- Z (A61K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松本 直子 |
特許庁審判長 |
松浦 新司 |
特許庁審判官 |
関 美祝 齊藤 光子 |
発明の名称 | 毛髪損傷改善剤及びそれを配合した毛髪化粧料 |