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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1316702
審判番号 不服2015-13178  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-10 
確定日 2016-07-07 
事件の表示 特願2012- 1611「貼り合わせSOIウェーハの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月22日出願公開、特開2013-143407〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成24年1月6日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成25年12月12日 審査請求
平成27年 2月10日 拒絶理由通知
平成27年 3月26日 意見書・手続補正
平成27年 6月12日 拒絶査定
平成27年 7月10日 審判請求・手続補正

第2 補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年7月10日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正により,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1は本件補正後の請求項1へ補正された。
(1)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の,特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「シリコン単結晶からなるボンドウェーハの表面から水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類のガスイオンをイオン注入して該ボンドウェーハ内部にイオン注入層を形成し、前記ボンドウェーハのイオン注入された側の表面とシリコン単結晶からなるベースウェーハの表面とを絶縁膜を介して貼り合わせた後、前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で剥離して、前記ベースウェーハ上にSOI層を有する貼り合わせSOIウェーハを製造する方法であって、
前記剥離後の貼り合わせSOIウェーハに対して、第1のRTA処理を行った後、第1の犠牲酸化処理を行い、その後、第2のRTA処理を行った後、第2の犠牲酸化処理を行う工程を有し、
前記第1及び第2のRTA処理を、水素ガス含有雰囲気下、1100℃以上の温度で行い、前記第1及び第2の犠牲酸化処理において、900℃以上1000℃以下の温度でバッチ式熱処理炉による熱酸化のみを行うことによって前記SOI層表面に熱酸化膜を形成した後、該熱酸化膜を除去する処理を行い、
前記ボンドウェーハと前記ベースウェーハの少なくとも一方の表面にプラズマ処理を施した後に前記絶縁膜を介して貼り合わせた後、前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で機械的な外力を用いて剥離することを特徴とする貼り合わせSOIウェーハの製造方法。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正後の,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである。
「シリコン単結晶からなるボンドウェーハの表面から水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類のガスイオンをイオン注入して該ボンドウェーハ内部にイオン注入層を形成し、前記ボンドウェーハのイオン注入された側の表面とシリコン単結晶からなるベースウェーハの表面とを絶縁膜を介して貼り合わせた後、前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で剥離して、前記ベースウェーハ上にSOI層を有する貼り合わせSOIウェーハを製造する方法であって、
前記剥離後の貼り合わせSOIウェーハに対して、第1のRTA処理を行った後、第1の犠牲酸化処理を行い、その後、第2のRTA処理を行った後、第2の犠牲酸化処理を行う工程を有し、
前記第1及び第2のRTA処理を、水素ガス含有雰囲気下、1100℃以上の温度で行い、前記第1及び第2の犠牲酸化処理において、900℃以上1000℃以下の温度でバッチ式熱処理炉による熱酸化のみを行うことによって前記SOI層表面に熱酸化膜を形成した後、該熱酸化膜を除去する処理を行い、
前記ボンドウェーハと前記ベースウェーハの少なくとも一方の表面にプラズマ処理を施した後に前記絶縁膜を介して貼り合わせた後、熱処理を行わずに、あるいは、剥離しない程度の低温の熱処理を加えた後に前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で機械的な外力を用いて剥離することを特徴とする貼り合わせSOIウェーハの製造方法。」
(3)補正事項
本件補正は,補正前請求項1の「前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で機械的な外力を用いて剥離すること」を「熱処理を行わずに、あるいは、剥離しない程度の低温の熱処理を加えた後に」行うものに限定して,補正後請求項1とするものである。
2 補正の適否
本願の願書に最初に添付した明細書の段落0026及び0034の記載からみて,本件補正は,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであることは明らかであるので,前記補正事項は,特許法第17条の2第3項の規定に適合する。
そして,本件補正は前記1(3)のとおり,本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項を限定的に減縮するものであるから,特許法第17条の2第4項の規定に適合することは明らかであり,また,同法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項)につき,更に検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明は,本件補正後の請求項1に記載された,次のとおりのものと認める。(再掲)
「シリコン単結晶からなるボンドウェーハの表面から水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類のガスイオンをイオン注入して該ボンドウェーハ内部にイオン注入層を形成し、前記ボンドウェーハのイオン注入された側の表面とシリコン単結晶からなるベースウェーハの表面とを絶縁膜を介して貼り合わせた後、前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で剥離して、前記ベースウェーハ上にSOI層を有する貼り合わせSOIウェーハを製造する方法であって、
前記剥離後の貼り合わせSOIウェーハに対して、第1のRTA処理を行った後、第1の犠牲酸化処理を行い、その後、第2のRTA処理を行った後、第2の犠牲酸化処理を行う工程を有し、
前記第1及び第2のRTA処理を、水素ガス含有雰囲気下、1100℃以上の温度で行い、前記第1及び第2の犠牲酸化処理において、900℃以上1000℃以下の温度でバッチ式熱処理炉による熱酸化のみを行うことによって前記SOI層表面に熱酸化膜を形成した後、該熱酸化膜を除去する処理を行い、
前記ボンドウェーハと前記ベースウェーハの少なくとも一方の表面にプラズマ処理を施した後に前記絶縁膜を介して貼り合わせた後、熱処理を行わずに、あるいは、剥離しない程度の低温の熱処理を加えた後に前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で機械的な外力を用いて剥離することを特徴とする貼り合わせSOIウェーハの製造方法。」
(2)引用文献1の記載と引用発明
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である,国際公開第2010/106101号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。(当審注:訳は,対応する日本出願の公表公報(特表2012-520579号公報)に基づいて当審で作成したものである。また,下線は当審において付加した。以下同じ。)
(ア)「The invention lies in the area of the fabrication of silicon-on- insulator substrates known to the man skilled in the art under the abbreviation SOI.
A SOI substrate comprises an oxide layer buried between a support substrate in silicon and a thin layer of silicon called the << active layer >> since it is on or in this layer that components are to be fabricated notably for electronics, optics and/or opto-electronics.
A SOI substrate is generally obtained by a layer transfer process using the following main steps:
- forming an oxide layer on a donor substrate and/or receiver substrate, these two substrates being in silicon;
- forming an area of embrittlement in the donor substrate, the area of embrittlement delimiting said above-mentioned active layer to be transferred;
- bonding together the donor and receiver substrates, so that the oxide layer lies at their bonding interface;
- splitting the donor substrate along the area of embrittlement and transferring the active silicon layer onto the receiver substrate.
One example of said transfer process is the SMARTCUT(R) process of which a description can be found in.... In this case, the forming of the area of embrittlement is made by implanting atom and/or ion species.
...
Irrespective of the method in which the SOI substrate is obtained, the structure that is obtained after these transfer and bonding steps is subjected to finishing treatments which may for example comprise: polishing, planarization, cleaning, smoothing and thinning steps.
The purpose of these different finishing steps is notably to improve the roughness of the active silicon layer, to bring it to its desired final thickness and to stabilize the bonding interface.
Amongst these finishing steps for a substrate of SOI type, frequent use is made of a smoothing step conducted by rapid thermal annealing - <>.
RTA is conducted at high temperature for a short time, in a neutral or reducing atmosphere, for example hydrogen and/or argon. As an example, for a SOI substrate it may be conducted at a temperature in the order of 1200° C, for a time of less than three minutes.
...
RTA is often coupled with one or more sacrificial oxidation steps.
A sacrificial oxidation step consists of an oxidation step followed by a de-oxidation step of the previously formed oxide.
The oxidation step is generally performed using thermal treatment, by wet or dry process. The result is the formation of an oxide layer on the free surface of the active silicon layer of the SOI substrate..
The de-oxidation step is generally performed by immersing the oxidized SOI substrate into an acid bath, to remove the previously formed surface oxide and thereby to bring the active silicon layer to the desired final thickness, by reducing its thickness.」(1頁1行目-2頁25行目)
(訳:本発明は、SOIという略称として当業者に知られている、シリコン-オン-インシュレーター基板の製造の分野に関する。
SOI基板は、シリコンの支持基板と、とりわけ電子機器、光学機器、オプトエレクトロニクスのために製造される構成要素がこの層の上または中にあるために「活性層」と呼ばれるシリコンの薄膜との間に埋められた酸化物層を含む。
SOI基板は一般的に、以下の主なステップを使用した層転写プロセスによって得られる:
-ドナー基板および/またはレシーバー基板上に酸化物層を形成するステップであって、これら2つの基板はシリコンでなる、ステップと;
-ドナー基板内に脆化領域を形成するステップであって、脆化領域は上述の活性層が転写される領域を定める、ステップと;
-酸化物層が接合部分にあるように、ドナーおよびレシーバー基板を互いに接合するステップと;
-ドナー基板を脆化領域に沿って分割し、活性シリコン層をレシーバー基板上に転写するステップ。
転写プロセスの一例は,・・・に開示されているSMARTCUT(登録商標)プロセスである。この場合,脆化領域の形成は原子および/またはイオンの種の埋め込みによってなされる。
・・・
SOI基板を得る方法にかかわらず、転写および接合ステップのあとに得られる構造は、たとえば:研磨、平坦化、洗浄、平滑化、および薄くすること、の表面処理に依存する。
これら異なる表面処理ステップの目的は、所望の最終的な厚さにし、接合面を安定化させるために、活性シリコン層の荒さを改善させることである。
SOIタイプの基板に対するこれら表面処理の中で、ラピッドサーマルアニーリング-「RTA」による平滑化ステップがしばしば使用される。
RTAは短時間の間、たとえば水素および/またはアルゴンの中性もしくは還元した雰囲気中で、高温で行われる。例として、SOI基板に対して1200℃のオーダーの温度で、3分より短い時間で行われることができる。
・・・
RTAはしばしば1または複数の犠牲酸化ステップと組み合わされる。
犠牲酸化ステップは、酸化ステップに続いて、形成された酸化物を脱酸素するステップから成る。
酸化ステップは一般的に、ウエットまたはドライプロセスによって熱処理を利用して実行される。結果、酸化物層は、SOI基板の活性シリコン層の自由表面上に形成される。
脱酸素ステップは一般的に、酸化されたSOI基板を酸の溶液槽に浸してあらかじめ形成された表面の酸化物を除去し、厚みを減少させることによって活性シリコン層を所望の最終的な厚さにすることによって実行される。)
(イ)「As a result, the objective of the invention is to provide a finishing method for a substrate of silicon-on- insulator type SOI which notably comprises the implementing of two successive cycles: rapid thermal annealing RT A/sacrificial oxidation and which allows the above-cited advantageous properties of these steps to be maintained in terms of smoothing and thinning, whilst considerably reducing the flake contamination of said substrate.
For this purpose, the invention concerns a finishing method for a substrate of silicon-on- insulator type SOI comprising an oxide layer buried between an active silicon layer and a support layer in silicon, this method comprising the application of the following finishing steps: a) rapid thermal annealing RTA of said substrate,
b) a sacrificial oxidation step of its active silicon layer,
c) rapid thermal annealing RTA of said substrate obtained after step b),
d) a sacrificial oxidation step of said active silicon layer of the substrate which underwent step c).」(3頁16行目-31行目)
(訳:結果的に、本発明の目的は、特に2つの連続的なサイクル:ラピッドサーマルアニーリングRTA/犠牲酸化の実行を含み、これらのステップの上記優位な特性を、基板の破片汚染を大きく減少させながら、平滑化と薄くすることの観点から、維持することを可能にする、シリコン-オン-インシュレータータイプSOIの基板のための表面処理方法を提供することである。
この目的のために、本発明は、活性シリコン層とシリコン内の支持層との間に埋められた酸化物層を含むシリコン-オン-インシュレータータイプSOIの基板のための表面処理方法に関し、この方法は次の表面処理ステップの応用を含む:
a)基板のラピッドサーマルアニーリングRTA、
b)その活性シリコン層の犠牲酸化ステップ、
c)ステップb)のあとに得られる基板のラピッドサーマルアニーリングRTA、
d)ステップc)を経た活性シリコン層の犠牲酸化ステップ。)
(ウ)「The finishing method according to the invention, for a substrate of SOI type, will now be described.
It typically, but not necessarily, applies to a substrate of SOI type known as a #post splitting # substrate i.e. as after annealing to split the substrate. This << post splitting>> substrate is notably characterized by particularly high roughness of its front face.
In figure IA, a SOI substrate 1 can be seen, comprising a silicon oxide layer SiO 2 denoted 3, buried between a support substrate 2 in silicon and a thin surface layer 4 in silicon, hereinafter called # active layer #. The free surface of the active layer called the # front face # carries reference number 40.
This substrate 1 is placed in an oven F inside which it is subjected to rapid thermal annealing RTA, (see figure IB).
This RTA is typically conducted at 1200° C, more generally within a global temperature range of 900° C to 1300° C, for 30 seconds (more generally for an overall time of less than 3 minutes) and in a non-oxidizing atmosphere, typically an argon or hydrogen atmosphere.
Its effect is to smooth the front face 40, i.e. to reduce its roughness.
As shown figure 1C, the SOI substrate 1 is then subjected to an oxidation step, during which a layer of silicon oxide 5 is formed on the surface and in the upper part of the active layer 4. This oxide layer 5 consists of oxygen brought by this step and by consumption of the silicon in that part of the active layer 4 close to the surface. There is a physical ratio of 0.444 between the thickness of the created SiO2 layer 5 and the thickness of the silicon consumed in layer 4.
This oxidation step is preferably conducted by thermal oxidation, at a temperature of between 700° C and 1100° C, preferably at a temperature of 950° C.
This oxidation step can be conducted by wet or dry process.
By dry process, the oxidation step is conducted for example by heating the SOI substrate in a gaseous oxygen atmosphere. By wet process, it is conducted for example by heating the SOI substrate in a water vapour atmosphere.
Irrespective of the process chosen (wet or dry) the oxidation atmosphere can also contain hydrochloric acid.
As shown figure ID, the previously formed oxide layer 5 is then deoxidized.
This de-oxidation is performed for example by immersing the SOI substrate 1 in an acid bath, such as diluted hydrofluoric acid HF, for example hydrofluoric acid HF diluted to between 10 and 20 % by volume in water, even diluted to 7 % by volume in water.
This gives a SOI substrate 1' whose active layer referenced 4' has a thickness that is less than the thickness of the original substrate SOI. The front face of the substrate thus obtained carries reference 40'. The surface of the active layer 4' is also characterized by substantially reduced high frequency roughness compared with the << post splitting >> surface of layer 4, due to the effect of the RTA step.
The SOI substrate 1' is then again subjected to rapid thermal annealing RTA following identical or similar conditions to those described with reference to figure IB. This step is illustrated in figure IE.
The effect of this treatment is again to smooth the front face 40'.
The substrate 1' is then subjected to a sacrificial oxidation step as described previously. This effect of this step, illustrated figure IF, is to lead to the formation of a silicon oxide layer 6. As previously, the silicon oxide layer 6 is formed by consuming part of the active layer 4' and through the supply of oxygen, and the thickness ratio between the created oxide and the consumed silicon is 0.444.
Finally, a de-oxidation step is carried out according to any of the above-described methods, to obtain a SOI substrate 1" whose active layer referenced 4" is thinned compared with that of the SOI substrate Y . The front face of this substrate is referenced 40".」(5頁17行目-7頁2行目)
(訳:SOIタイプの基板に対する、本発明にかかる表面処理方法を述べる。
必要ではないが、典型的に、「分割後」基板、すなわちアニーリングをして分割した基板として知られるSOIタイプの基板に適用される。この「分割後」基板は特に、前面の高い荒さで特長付けられる。
図1AにSOI基板1が示され、シリコン内の支持基板2シリコン内の薄い表面層4との間に、以下「活性層」と呼ぶ、シリコン酸化物層SiO_(2)3を含む。「前面」と呼ばれる、活性層の自由表面は符号40で表される。
この基板1は、オーブンFの中に設置され、ラピッドサーマルアニーリングRTAを受ける(図1B参照)。
このRTAは、典型的に、1200℃、さらに一般的には全体的な温度範囲900℃から1300℃で、30秒間(さらに一般的には全体の時間が3分未満)、酸化されない雰囲気、典型的にはアルゴン、または水素雰囲気で行われる。
この効果は、前面40を平滑にする、すなわち荒さを減少させることである。
図1Cに示すように、SOI基板1は、酸化ステップを受け、その間シリコン酸化物層5が表面上および活性層4の上部に形成される。
この酸化物層5は、このステップによってもたらされる酸素と、表面に近い活性層4の部分の中のシリコンの消費によって成り立つ。生成されたSiO_(2)層5の厚さと、層4内の消費されたシリコンの厚さとの間に、物理的な比0.444がある。
この酸化ステップは、700℃と1100℃との間の温度、望ましくは950℃の温度で、熱酸化によって行われることが望ましい。
この酸化ステップは、ウェットまたはドライプロセスによって行われることができる。
ドライプロセスによると、酸化ステップは、たとえば、気体酸素雰囲気中でSOI基板を熱することによって行われる。ウェットプロセスによると、たとえば、水蒸気雰囲気中でSOI基板を熱することによって行われる。
選択したプロセス(ウェットまたはドライ)にかかわらず、酸化雰囲気は塩酸を含むことができる。
図1Dに示すように、前もって形成された酸化物層5が脱酸素される。
この脱酸素は、たとえば、希フッ酸HF、水内の容量で10から20%の間、さらには水内の容積で7%に薄められたフッ酸HFといった、SOI基板1を酸のバス(acid bath)に浸すことによって実行される。
これにより、活性層4’がはじめのSOI基板のときの厚さより薄い厚さを有する、SOI基板1’が得られる。よって得られた基板の前面は40’となる。活性層4’の表面は、RTAステップの効果によって、層4の「分割後」表面と比べて実質減少された高繰り返し荒さによって特長付けられる。
SOI基板1’は、図1Bを参照して記述されたものと同一または似た条件を受けて、再びラピッドサーマルアニーリングRTAを受ける。このステップは図1Eに示される。
この処理の効果は、前面40’を平滑にすることである。
基板1’は、前述のように、犠牲酸化ステップを受ける。図1Fに示すように、このステップの効果は、シリコン酸化層6の形成をもたらすことである。前もって、シリコン酸化層6は活性層4’の消費部分と、酸素の供給によって、形成され、生成された酸化物と消費されたシリコンの厚さの比は0.444である。
最終的に、活性層4”が SOI基板1’のときより薄いSOI基板1”を得るために、上述したうちのいずれかの方法に従って脱酸素ステップが実行される。この基板の前面を40”とする。)
イ 引用発明
前記アより,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「-ドナー基板および/またはレシーバー基板上に酸化物層を形成するステップであって、これら2つの基板はシリコンでなる、ステップと;
-ドナー基板内に脆化領域を形成するステップであって、この脆化領域の形成はイオンの種の埋め込みによってなされ,脆化領域は活性層が転写される領域を定める、ステップと;
-酸化物層が接合部分にあるように、ドナーおよびレシーバー基板を互いに接合するステップと;
-ドナー基板を脆化領域に沿って分割し、活性シリコン層をレシーバー基板上に転写するステップとによってSOI基板を得て,
前記SOI基板はRTAを受け,このRTAは,典型的に,1200℃で,水素雰囲気で行われ,
犠牲酸化ステップを受け,その酸化ステップは,望ましくは950℃の温度によって行われ,酸化ステップに続いて,形成された表面の酸化物を除去し,
その後で前記SOI基板は同一の条件で再びRTAを受け,
前述のように,犠牲酸化ステップを受ける,
SOI基板の製造方法」
(3)引用文献2の記載と引用発明2
ア 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である,国際公開第2007/074550号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
(ア)「技術分野
【0001】 本発明は、SOIウェーハの製造方法及びSOIウェーハに関するものであり、特に透明絶縁性基板上にSOI層を形成するSOIウェーハの製造方法及びSOIウェーハに関する。」
(イ)「【0022】 図1は、本発明に係るSOIウェーハの製造方法の一例を示す工程図である。
【0023】 まず、単結晶シリコンウェーハ及び透明絶縁性基板を用意する(工程A)。
・・・
【0024】 次に、単結晶シリコンウェーハの表面から水素イオンまたは希ガスイオンの少なくとも一方を注入し、ウェーハ中にイオン注入層を形成する(工程B)。
・・・
【0025】 次に、この単結晶シリコンウェーハのイオン注入面及び/又は透明絶縁性基板の表面をプラズマ及び/又はオゾンで処理する工程C)。
・・・
【0028】 次に、この単結晶シリコンウェーハのイオン注入面と透明絶縁性基板の表面とを、プラズマ及び/又はオゾンで処理をした表面を接合面として室温で密着させて接合する(工程D)。
・・・
【0030】 次に、イオン注入層に衝撃を与えて単結晶シリコンウェーハを機械的に剥離し、前記透明絶縁性基板上にSOI層を形成する(工程F)。
水素イオン注入剥離法においては、接合ウェーハを不活性ガス雰囲気下500℃程度で熱処理を行ない、結晶の再配列効果と注入した水素の気泡の凝集効果により熱剥離を行なうという方法であるが、本発明においてはイオン注入層に衝撃を与えて機械的剥離を行なうので、加熱に伴う熱歪、ひび割れ、剥離等が発生するおそれがない。
イオン注入層に衝撃をあたえるためには、例えばガス又は液体等の流体のジェットを接合したウェーハの側面から連続的または断続的に吹き付ければよいが、衝撃により機械的剥離が生じる方法であれば特に限定はされない。
【0031】 次に、このようにして得られたSOIウェーハに、不活性ガス、水素ガス、あるいはこれらの混合ガス雰囲気下で、剥離面であるSOI層表面を平坦化する熱処理を施す(工程G)。
これによって、剥離工程により生じた表面粗れ又は、イオン注入により生じたSOI層表面近傍の結晶欠陥又はダメージを除去できる。
なお、SOI層表面を平坦化する熱処理の温度を1100?1350℃とすることが好ましい。熱処理の温度を1100℃以上とすれば、比較的短い時間で表面粗さを改善できるし、1350℃以下とすれば、熱処理時に重金属不純物による汚染又は熱処理炉の耐久性の問題が生じない。なお、すでにSOI層は十分に薄膜化されているので、このような高温熱処理を行なっても熱歪、剥離、ひび割れ等の発生のおそれはない。
【0032】 また、熱処理時間は熱処理温度にも依存するが、通常のヒータ加熱式の熱処理炉(バッチ式)により熱処理を行なう際は、生産性を低下させないで十分な熱処理効果を発揮させるために10分?8時間の範囲が適切である。・・・」
イ 引用発明2
前記アより,引用文献2には,次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「SOIウェーハの製造方法において,単結晶シリコンウェーハの表面から水素イオン又は希ガスイオンの少なくとも一方を注入し,ウェーハ中にイオン注入層を形成し,イオン注入面を接合し,加熱しないでイオン注入層に衝撃を与えて単結晶シリコンウェーハを機械的に剥離し,イオン注入層に衝撃をあたえるためには、例えばガス又は液体等の流体のジェットを接合したウェーハの側面から連続的または断続的に吹き付け,
通常のヒータ加熱式の熱処理炉(バッチ式)により熱処理を行う方法」
(4)周知例と周知技術
ア 周知例1
本願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2006-270039号公報(以下,「周知例1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は貼り合わせウエーハの製造方法及びその貼り合わせウエーハに関し、特に貼り合わせウエーハのテラス部に形成された酸化膜をエッチングする方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高性能デバイス用のウエーハとして、半導体ウエーハを他のウエーハ等と接合させた後、素子を作製する側のウエーハを薄膜化した貼り合わせウエーハが使用されている。
具体的には、例えば、鏡面研磨された2枚のシリコンウエーハを用意し、少なくとも一方のウエーハに酸化膜を形成させる。そして、これらのウエーハを接合させた後、200?1200℃の温度で熱処理して結合強度を高める。その後、素子作製側ウエーハ(ボンドウエーハ)を研削及び研磨等して所望の厚さまで薄膜化することにより、SOI(Silicon On Insulator)層が形成された貼り合わせSOIウエーハを製造することができる。
【0003】
ボンドウエーハを薄膜化する方法としては、上記の研削・研磨による方法のほか、貼り合わせる前のボンドウエーハに予め水素イオンなどのイオン注入層を形成しておき、ベースウエーハと貼り合わせた後にそのイオン注入層で剥離することによりボンドウエーハを薄膜化する方法(スマートカット(登録商標)とも呼ばれる。)もある。」
(イ)「【0063】
次に、上記とは異なる本発明の実施態様の一例として、図5を参照しながら、水素イオン剥離法(スマートカット法(登録商標))によりSOIウエーハを製造する場合について説明する。
【0064】
まず、図5の工程(a)では、2枚のシリコン鏡面ウエーハを準備するものであり、デバイスの仕様に合った基台となるベースウエーハ21とSOI層となるボンドウエーハ22を準備する。
【0065】
次に工程(b)では、そのうちの少なくとも一方のウエーハ、ここではベースウエーハ21を熱酸化し、その表面に約0.1μm?2.0μm厚の酸化膜23を形成する。用途
によっては4.0μm以上の酸化膜を形成することもある。
【0066】
工程(c)では、ボンドウエーハ22の片面に対して水素イオンまたは希ガスイオンのうち少なくとも一方、ここでは水素イオンを注入し、イオンの平均進入深さにおいて表面に平行な微小気泡層(封入層)24を形成させるもので、この注入温度は25?450℃が好ましい。
【0067】
工程(d)は、水素イオン注入したボンドウエーハ22の水素イオン注入面に、ベースウエーハ21を酸化膜を介して重ね合せて接合させる工程であり、常温の清浄な雰囲気下で2枚のウエーハの表面同士を接触させることにより、接着剤等を用いることなくウエーハ同士が接着する。
【0068】
次に、工程(e)は、封入層24を境界として剥離することによって、剥離ウエーハ25と、ベースウエーハ21上に酸化膜23を介してSOI層27が形成されたSOIウエーハ26に分離する剥離工程で、例えば不活性ガス雰囲気下約500℃以上の温度で熱処理を加えれば、結晶の再配列と気泡の凝集とによって剥離ウエーハ25とSOIウエーハ26(SOI層27+酸化膜23+ベースウエーハ21)に分離される。
尚、工程(d)において、両ウエーハの密着に供される面をプラズマ処理することにより密着強度を高めれば、密着後の熱処理を行うことなく封入層24で機械的に剥離することも可能である。」
イ 周知例2
本願の出願日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2003-163335号公報(以下,「周知例2」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貼り合わせウェーハの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話等の移動体通信においては、数100MHz以上の高周波信号を取り扱うのが一般的となっており、高周波特性の良好な半導体デバイスが求められている。例えば、CMOS-ICや高耐圧型IC等の半導体デバイスには、シリコン単結晶基板(ベースウェーハ)上にシリコン酸化膜絶縁体層を形成し、その上に別のシリコン単結晶層をSOI(Silicon on Insulator)層として積層形成した、いわゆるSOIウェーハが使用されている。
【0003】SOIウェーハの代表的な製造方法として貼り合わせ法がある。この貼り合わせ法は、ベースウェーハとなる第一のシリコン単結晶基板と、デバイス形成領域であるSOI層となる第二のシリコン単結晶基板(ボンドウェーハ)の鏡面同士を、シリコン酸化膜を介して貼り合わせた後、ボンドウェーハを所望の厚さまで減厚し、薄膜化することによりボンドウェーハをSOI層とするものである。ボンドウェーハを減厚する方法としては、貼り合わせ後のボンドウェーハの裏面から研削・研磨を行う方法や、後述する水素イオン等を注入した後に貼り合わせて剥離する方法(イオン注入剥離法)などがある。」
(イ)「【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる貼り合わせウェーハの製造方法について説明する。まず、FZ法あるいはCZ法等の公知の方法にてシリコン単結晶インゴットを製造する。こうして得られる単結晶インゴットは、一定の抵抗率範囲のブロックに切断され、さらに外径研削が施される。外径研削後の各ブロックには、オリエンテーションフラットあるいはオリエンテーションノッチが形成される。このように仕上げられたブロックは、内周刃切断等によりスライシングされる。スライシング後のシリコン単結晶ウェーハの両面外周縁にはベベル加工により面取りが施される。」
(ウ)「【0030】続いて、貼り合わせの工程について説明する。本実施形態においては、前述したイオン注入剥離法(スマートカット法)を採用している。図1に示すように、片面ポリッシング済みの改良ケミカルエッチウェーハ(ボンドウェーハ31)に、公知の熱酸化法やCVD法により酸化膜33を形成する。酸化膜33を形成したボンドウェーハ31に、水素イオンを貼り合わせの主表面側から注入し、イオン注入層41を形成する。貼り合わせ側主表面は鏡面研磨された面である。酸化膜33は、ベースウェーハ31に形成することもできるし、両ウェーハに形成することもできる。
【0031】次に、内部にイオン注入層41が形成されたボンドウェーハ31と、SOI層40が形成される予定のベースウェーハ32とを、酸化膜33を介して密着させた状態で熱処理を行う。該熱処理により、イオン注入層41にて割れが生じ剥離層41’が形成され、ボンドウェーハ31の貼り合わせ側主表面表層部をSOI層40として剥離するとともに、ベースウェーハ32に接合することによりSOIウェーハ39が得られる。なお、イオン注入量を極めて高くしたり、貼り合わせ面をプラズマ処理することにより、剥離のための熱処理を省略することも可能である。」
ウ 周知技術
前記(3)ア並びに前記ア及びイより,SOIウェーハの製造方法において,2枚のシリコン基板を貼り合わせる際に貼り合わせ面をプラズマ処理することは,本願の出願日前,周知技術と認められる。
(5)本願補正発明と引用発明との対比
ア 引用発明の「ドナー基板」及び「レシーバ基板」は,それぞれ本願補正発明の「ボンドウェーハ」及び「ベースウェーハ」に相当すると認められる。なお,引用発明のドナー基板及びレシーバ基板は「シリコンでなる」もので,シリコン基板はシリコン単結晶インゴットから切り出されて製造されるという技術常識(前記(4)イ(イ)参照。)を踏まえれば,これらがシリコン単結晶からなることは自明である。
引用発明の「脆化領域」は,イオンの種の埋め込みによって形成されているから,本願補正発明の「イオン注入層」に相当すると認められる。
引用発明の「酸化物層」は,シリコン酸化物が絶縁体であることは技術常識である(前記(4)イ(ア)に「シリコン酸化膜絶縁体層」とある点参照。)から,本願補正発明の「絶縁膜」に相当すると認められる。
引用発明の「活性シリコン層」は,酸化物層という絶縁体の上にあるから,本願補正発明の「SOI層」に相当すると認められる。
引用発明の「SOI基板」は本願補正発明の「SOIウェーハ」に相当すると認められる。
よって,本願補正発明の「シリコン単結晶からなるボンドウェーハにイオン注入して該ボンドウェーハ内部にイオン注入層を形成し、前記ボンドウェーハのイオン注入された側の表面とシリコン単結晶からなるベースウェーハの表面とを絶縁膜を介して貼り合わせた後、前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で剥離して、前記ベースウェーハ上にSOI層を有する貼り合わせSOIウェーハを製造する方法」と,引用発明における「-ドナー基板および/またはレシーバー基板上に酸化物層を形成するステップであって、これら2つの基板はシリコンでなる、ステップと;-ドナー基板内に脆化領域を形成するステップであって、この脆化領域の形成はイオンの種の埋め込みによってなされ,脆化領域は活性層が転写される領域を定める、ステップと;-酸化物層が接合部分にあるように、ドナーおよびレシーバー基板を互いに接合するステップと;-ドナー基板を脆化領域に沿って分割し、活性シリコン層をレシーバー基板上に転写するステップとによってSOI基板を得る」とは,「シリコン単結晶からなるボンドウェーハにイオン注入して該ボンドウェーハ内部にイオン注入層を形成し、前記ボンドウェーハとシリコン単結晶からなるベースウェーハの表面とを絶縁膜を介して貼り合わせた後、前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で剥離して、前記ベースウェーハ上にSOI層を有する貼り合わせSOIウェーハを製造する方法」である点で共通すると認められる。
そして,引用発明における「前記SOI基板はRTAを受け,このRTAは,典型的に,1200℃で,水素雰囲気で行われ,犠牲酸化ステップを受け,その酸化ステップは,望ましくは950℃の温度によって行われ,酸化ステップに続いて,形成された表面の酸化物を除去し,その後で前記SOI基板は同一の条件で再びRTAを受け,前述のように,犠牲酸化ステップを受ける」は,本願補正発明の「前記剥離後の貼り合わせSOIウェーハに対して、第1のRTA処理を行った後、第1の犠牲酸化処理を行い、その後、第2のRTA処理を行った後、第2の犠牲酸化処理を行う工程を有し、前記第1及び第2のRTA処理を、水素ガス含有雰囲気下、1100℃以上の温度で行い、前記第1及び第2の犠牲酸化処理において、900℃以上1000℃以下の温度でバッチ式熱処理炉による熱酸化のみを行うことによって前記SOI層表面に熱酸化膜を形成した後、該熱酸化膜を除去する処理を行う」に相当すると認められる。
してみると,本願補正発明と引用発明とは,下記(ア)の点で一致し,下記(イ)の点で相違すると認められる。
(ア)一致点
「シリコン単結晶からなるボンドウェーハにイオン注入して該ボンドウェーハ内部にイオン注入層を形成し、前記ボンドウェーハとシリコン単結晶からなるベースウェーハの表面とを絶縁膜を介して貼り合わせた後、前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で剥離して、前記ベースウェーハ上にSOI層を有する貼り合わせSOIウェーハを製造する方法であって、
前記剥離後の貼り合わせSOIウェーハに対して、第1のRTA処理を行った後、第1の犠牲酸化処理を行い、その後、第2のRTA処理を行った後、第2の犠牲酸化処理を行う工程を有し、
前記第1及び第2のRTA処理を、水素ガス含有雰囲気下、1200℃の温度で行い、前記第1及び第2の犠牲酸化処理において、950℃の温度で熱酸化のみを行うことによって前記SOI層表面に熱酸化膜を形成した後、該熱酸化膜を除去する処理を行う、
ことを特徴とする貼り合わせSOIウェーハの製造方法。」
(イ)相違点
a 相違点1
本願補正発明においては,ボンドウェーハの一部を剥離した貼り合わせSOIウェーハを製造するまでの段階において,「表面から水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類のガスイオンを」注入して「イオン注入層」を形成し,「前記ボンドウェーハと前記ベースウェーハの少なくとも一方の表面にプラズマ処理を施した後に」「ボンドウェーハのイオン注入された側の表面を」貼り合わせた後、「熱処理を行わずに、あるいは、剥離しない程度の低温の熱処理を加えた後に前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で機械的な外力を用いて剥離する」のに対し,引用発明における「脆化領域を形成するステップ」,「ドナー及びレシーバー基板を互いに接合するステップ」及び「ドナー基板を脆化領域に沿って分割」するステップそれぞれの内容は明示されていない点。
b 相違点2
本願補正発明では,「第1及び第2の犠牲酸化処理」における熱酸化を「バッチ式熱処理炉」による熱酸化のみを行うのに対して,引用発明においては,「犠牲酸化ステップ」での加熱手段については特定されていない点。
(6)相違点についての検討
ア 相違点1について
前記(3)イのとおり、引用文献2には、SOIウェーハの製造方法において、単結晶シリコンウェーハの表面から水素イオン又は希ガスイオンの少なくとも一方を注入し、ウェーハ中にイオン注入層を形成し、イオン注入面を接合し、加熱しないでイオン注入層に流体のジェットの吹き付けによる衝撃を与えて、単結晶シリコンウェーハを機械的に剥離することが記載されており(引用発明2)、引用発明の「脆化領域を形成するステップ」において、「ドナー基板」(本願補正発明の「ボンドウェーハ」に相当。)内に水素イオン又は希ガスイオンの少なくとも一方を注入して「脆化領域」(本願補正発明の「イオン注入層」に相当。)を形成するようにすること、及び引用発明の「ドナー基板を脆化領域に沿って分割」するステップにおいて、「ドナー基板」の一部を、加熱しないで「脆化領域」で機械的な外力を用いて剥離するようにすることは、いずれも、引用発明2に基づいて、当業者が容易に想到し得たものと認められる。
そして、前記(4)ウのとおり、SOIウェーハの製造方法において、2枚のシリコン基板を貼り合わせる際に貼り合わせ面をプラズマ処理することは、周知の技術であるから、引用発明における「ドナーおよびレシーバー基板を互いに接合するステップ」で、「ドナー基板」と「レシーバー基板(本願補正発明の「ベースウェーハ」に相当。)の少なくとも一方の表面にプラズマ処理を施した後に両者を接合することは、当業者が普通に行い得るものといえる。
以上から、引用発明において、相違点1に係る構成とすることは、引用発明2及び前記周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
イ 相違点2について
前記(3)イのとおり、引用文献2には、SOIウェーハの製造方法において、ヒータ加熱式の熱処理炉(バッチ式)により熱処理を行うことが記載されており(引用発明2)、引用発明の「犠牲酸化ステップ」(本願補正発明の「第1及び第2の犠牲酸化処理」に相当。)において、バッチ式熱処理炉による熱酸化を行うようにすることは、引用発明2に基づいて、当業者が容易に想到し得たものと認められ、その際に、熱酸化をバッチ式熱処理炉のみによって行うことは、当業者が適宜なし得たものである。
以上から、引用発明において、相違点2に係る構成とすることは、引用発明2に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
(7)本願補正発明の効果について
本願補正発明の効果は,引用発明の構成から当業者が予測できる程度のもので,格別なものではない。
(8)まとめ
本願補正発明は,引用文献1及び2に記載の発明並びに周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 むすび
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明の特許性の有無について
1 本願発明について
平成27年7月10日にされた手続補正は前記のとおり却下された。
そして,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成27年3月26日付け手続補正による補正がされた特許請求の範囲の請求項1に記載された,次のとおりのものと認める。(再掲)
「シリコン単結晶からなるボンドウェーハの表面から水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類のガスイオンをイオン注入して該ボンドウェーハ内部にイオン注入層を形成し、前記ボンドウェーハのイオン注入された側の表面とシリコン単結晶からなるベースウェーハの表面とを絶縁膜を介して貼り合わせた後、前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で剥離して、前記ベースウェーハ上にSOI層を有する貼り合わせSOIウェーハを製造する方法であって、
前記剥離後の貼り合わせSOIウェーハに対して、第1のRTA処理を行った後、第1の犠牲酸化処理を行い、その後、第2のRTA処理を行った後、第2の犠牲酸化処理を行う工程を有し、
前記第1及び第2のRTA処理を、水素ガス含有雰囲気下、1100℃以上の温度で行い、前記第1及び第2の犠牲酸化処理において、900℃以上1000℃以下の温度でバッチ式熱処理炉による熱酸化のみを行うことによって前記SOI層表面に熱酸化膜を形成した後、該熱酸化膜を除去する処理を行い、
前記ボンドウェーハと前記ベースウェーハの少なくとも一方の表面にプラズマ処理を施した後に前記絶縁膜を介して貼り合わせた後、前記ボンドウェーハの一部を前記イオン注入層で機械的な外力を用いて剥離することを特徴とする貼り合わせSOIウェーハの製造方法。」
2 引用発明及び引用発明2並びに周知技術
引用発明及び引用発明2は,それぞれ前記第2の2(2)イ及び同(3)イで認定したとおりである。また,周知技術は,前記第2の2(4)で認定したとおりである。
3 対比及び判断
前記第2の1に記載したとおり,本願発明は,本願補正発明から,平成27年7月10日にされた手続補正による補正事項に係る技術的限定(前記第2の1(3)参照。)を取り除いたものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が,前記第2の2(5)ないし(8)に記載したとおり,引用文献1及び2に記載の発明並びに周知技術に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用文献1及び2に記載の発明並びに引用文献2にみられるような周知技術に基づいて,当業者が容易に発明することができたものである。

第4 結言
したがって,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その余の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-05-09 
結審通知日 2016-05-10 
審決日 2016-05-25 
出願番号 特願2012-1611(P2012-1611)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 俊哉  
特許庁審判長 河口 雅英
特許庁審判官 深沢 正志
加藤 浩一
発明の名称 貼り合わせSOIウェーハの製造方法  
代理人 好宮 幹夫  
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