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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1317546
審判番号 不服2015-14025  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-24 
確定日 2016-07-27 
事件の表示 特願2013- 76160「高速共用制御チャネルデータを符号化および復号化するための方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月18日出願公開、特開2013-141315〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は,2007年10月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年10月30日,米国)を国際出願日とする出願の一部を平成25年4月1日に新たな特許出願としたものであって,平成26年4月3日付け拒絶理由通知に対して同年10月7日に意見書及び手続補正書が提出されたが平成27年3月17日付けで拒絶査定がなされ,これを不服として同年7月24日付けで審判請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものである。

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年7月24日に提出された手続補正書による手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本願発明と補正後の発明
本件補正は,平成26年10月7日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項2に記載された
「高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA,high speed downlink packet accsess)処理のためのノードBであって,
データから巡回冗長検査(CRC)を導出し,前記CRCビットの一部と,ユーザ装置識別子(UE ID)ビットとを組み合わせてマスクフィールドを生成し,前記データおよび前記マスクフィールドを,HSPDA信号として送信するための物理チャネルにマッピングするように構成されたプロセッサを備え,
前記UE IDビットの長さは,前記CRCビットの長さより短いことを特徴とするノードB。」
という発明(以下,「本願発明」という。)を,補正後の特許請求の範囲の請求項2に記載された
「高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA,high speed downlink packet accsess)処理のためのノードBであって,
CRCユニットにより,データから巡回冗長検査(CRC)を導出し,マスキングユニットにより,前記CRCビットの一部のみをユーザ装置識別子(UE ID)ビットと組み合わせてマスクフィールドを生成し,チャネル符号器により,前記データおよび前記マスクフィールドをチャネル符号化し,レートマッチングユニットにより,前記データおよび前記マスクフィールドをレートマッチングし,前記データおよび前記マスクフィールドを,HSPDA信号として送信するための物理チャネルにマッピングするように構成されたプロセッサを備え,
前記UE IDビットの長さは,16ビットであり,かつ,前記CRCビットの長さより短いことを特徴とするノードB。」
という発明(以下,「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。

2 新規事項の有無,シフト補正の有無,補正の目的要件について
本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲若しくは図面に記載した事項の範囲内において,補正前の特許請求の範囲の請求項2に記載された「データから巡回冗長検査(CRC)を導出」するのが「CRCユニット」である点を付加して限定し,「マスクフィールドを生成」するのが「マスキングユニット」である点を付加して限定し,「CRCビットの一部」を「CRCビットの一部のみ」として限定し,「プロセッサ」が「チャネル符号器により,前記データおよび前記マスクフィールドをチャネル符号化し,レートマッチングユニットにより,前記データおよび前記マスクフィールドをレートマッチング」する点を付加して限定し,「UE IDビットの長さ」を「16ビットであり」と限定することにより特許請求の範囲を限定的に減縮するものであって,特許法第17条の2第3項(新規事項)及び特許法第17条の2第5項第2号(補正の目的)の規定に適合している。
また,特許法第17条の2第4項(シフト補正)に違反するものでもない。
そこで,本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて,以下に検討する。

3 独立特許要件について
上記補正は特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるから,上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

(1)補正後の発明
上記「1 本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。

(2)引用発明と周知技術
A 引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-20362号公報(以下,「引用例」という。)には,「黙示のユーザ機器識別のためのシステム」(発明の名称)に関し,以下の事項が記載されている。

ア 「【0004】
最先端の国際的な第三世代(3G)(IMT-2000)規格であるワイドバンドCDMA(WCDMA)規格は,屋内/狭い範囲の屋外環境では最大2Mb/sのデータレートをサポートし,最大384kb/交換広域受信範囲をサポートし,さらに高速パケットデータ転送および高速回路交換データをサポートする。しかし,パケットデータサービスの将来の需要に応えるためには,このデータ転送を特にダウンリンクにおいて高速化する必要がある。高速ダウンリンクパケット(HSDPA)であれば,WCDMAではベストエフォート型パケットデータサービスに関して約8?10Mb/sの範囲のダウンリンクピークデータレート(downlink peak data rates)をサポートできる。このレートは,IMT-2000で必要な2Mb/sの値を遙かに超えている。また,遅延時間短縮および容量向上に関してパケットデータ転送能力も高まる。
【0005】
データ通信をサポートするための1つの解決策として,それぞれのユーザ機器(UE)に専用チャネルを割り当てる方法がある。しかし,こうすると,そのようなチャネルは多くの場合,長時間にわたりアイドル状態のままになるため,帯域幅の使用効率が非常に低下する。
【0006】
それぞれのUEに対する専用チャネルの代替え手段として,高速な共有データチャネルとデータのパケット化の使用がある。この方法では,複数の高速データチャネルを複数のUE間で共有する。これらのUEは,送信または受信用にデータを持ち,共有データチャネルのうちの1つに動的に割り当てられる。この結果,スペクトルをかなり効率よく利用することができる。
【0007】
基地局に特定のUEへの送信を待つデータがある場合に高速共有データチャネルを割り当てるこのようなプロセスの1つが図1A?図1Cに示されている。図1Aを参照すると,関連するダウンリンク専用物理チャネル(downlink dedicated physical channel)(DPCH)が各UEに送信される。UEは,関連するダウンリンクDPCHだけでなく共有制御チャネル(SCCH-HS)もモニタする。基地局からUEへ送信するデータがない場合,UEはスタンバイモードに入り,そこで,定期的に「目覚めて」関連するダウンリンクDPCHおよびSCCH-HSをモニタしようとする。このため,UEは処理リソースおよび電池リソースを節約することができる。
【0008】
基地局のデータをUEに送信可能な状態になった場合,高速ダウンリンク共有チャネル(High Speed Downlink Shared Channel)(HS-DSCH)インジケータ(HI)が関連するDPCHで送信される。HIは,nビット長で,図1Bに示されている2nSCCH-HSのうちの1つを指している。たとえば,2ビットHIは4つのSCCH-HS,つまり00,01,10,または11を指す。」

イ 「【0010】
図1A?図1Cを参照しながら説明されているプロセスは,データを送信するため共通データチャネルを割り当てる効率のよい方法を実現している。パケットデータは1つまたは複数の特定のUE宛てとなっているため,UEの識別子(ID)は基地局からUEへのシグナリングのためにクリティカルなパラメータである。
【0011】
基地局とUEとの間でUE IDのシグナリングを実行する従来技術の方法がいくつかある。図2Aを参照すると,第1の方法では,UE IDを送信対象のデータに付加する。この組合せは,CRCを出力する巡回冗長検査(CRC)発生器に送られる。その結果得られるデータパケットは,最終的に送信されるのだが,図2Bに示されているように,Xビットデータフィールド,MビットUE ID,およびNビットCRCを含む。これは,CRCとUE IDの両方について適切なシグナリングを行うが,シグナリングの帯域幅を無駄にしている。
【0012】
図3Aに示されている他の従来技術による手法では,UE IDをデータフィールドに付加し,CRC発生器に入力する。CRC発生器からCRCが出力される。図3Bに示されているように,送信用のデータバーストは,XビットデータフィールドおよびNビットCRCフィールドを含む。これは,さらに,基地局とUEとの間でUE IDおよびCRCを十分やり取りできるが,一意的なUE識別にしか使用できないので望ましくない。この方法では,さらに,グループUEを識別する必要があるときにUEの複雑度が増してしまう。」

ウ 「【0015】
図1Dを参照すると,本発明で使用する汎用移動体通信システム(UMTS)ネットワークアーキテクチャは,コアネットワーク(CN),UMTS地上無線アクセスネットワーク(UTRAN),およびユーザ機器(UE)を備える。UTRANとコアネットワークの間にIuインターフェースおよび,UTRANとUEとの間に無線インターフェイスUuの2つの一般的なインターフェイスがある。UTRANは,複数の無線ネットワークサブシステム(RNS)で構成されている。これらは,Iurインターフェイスにより相互接続することができる。この相互接続により,異なるRNSの間でコアネットワーク独立のプロシージャを使用することができる。RNSはさらに,無線ネットワークコントローラ(RNC)と複数の基地局(ノードB)に分割される。ノードBsは,IubインターフェイスによりRNCに接続される。1つのノードBで,1つまたは複数のセルを処理することができ,通常は複数のUEから使用される。UTRANは,無線インターフェイス上でFDDモードおよびTDDモードの両方をサポートする。両方のモードに,同じネットワークアーキテクチャおよび同じプロトコルが使用される。物理層とエアーインターフェイスUuのみが別々に指定される。」

エ 「【0016】
図4Aには,本発明の一実施形態が示されている。本実施形態では,システム100は,データフィールド102からの送信用のデータ(これ以降「データ」と呼ぶ),CRC発生器104(0に初期化済み),CRC発生器104から出力されたCRCフィールド106からのその結果のCRC,UE IDフィールド108からのUE ID,モジュロ2加算器110,およびマスク112を利用する。本実施形態およびこれ以降説明するすべての実施形態では,各フィールドのビット数は例としてフィールドの真上に記載されていることに注意されたい。ただし,特定のビット数は例として取りあげたのであり,本発明を制限するものと解釈すべきではない。
【0017】
システム100は,データフィールド102を受け取り,データフィールド102からのデータをCRC発生器104に入力する。CRC発生器104は,CRCフィールド106を生成し,CRCフィールド106からCRCをモジュロ2加算器110の第1の入力に出力する。UE IDフィールド108からのUE IDは,モジュロ2加算器110への第2の入力に出力される。次に,CRCおよびUE IDは,2を法として加算され,マスク112を生成する。
【0018】
UE IDフィールド108のビット数(Mビット)は,CRCフィールド106のビット数(Nビット)と同じであるのが好ましい。M=Nであれば,図4Aに示されているように,UE IDを直接,2を法としてCRCに加算することができる。しかし,MとNが等しくない場合,等しくさせるための中間ステップが必要になる。M<Nの場合,UE IDに先行ゼロまたは後続ゼロを埋めて,長さがCRCと等しくなるようにする。この「埋め込まれたUE ID」を,CRC106に2を法としてN加算する。M>Nの場合,UE IDからM-N個の最下位ビットが切り捨てられる。切り捨てられたUE IDは,次に,2を法としてCRCに加算される。
【0019】
図4Bを参照すると,生成されたマスク112が,送信用のデータフィールド102に付加される。」

オ 「【0039】
図9の流れ図は,本発明によるノードBとUEとの間のダウンリンクメッセージを処理する方法を説明している。この方法は一般的な概要を示すものであり,メッセージ(つまり,データパケット)を処理するために必要な詳細なメディアアクセスコントロール(MAC)層および物理層のシグナリングすべてを包括的に説明しているものとして解釈すべきではない。ノードBはまずMAC層におけるダウンリンク制御メッセージを生成してから(ステップ1),そのメッセージおよびUE IDを物理層に転送する(ステップ2)。物理層は,CRCを生成して,UE IDをデータバーストとしてメッセージとともに行う転送(ステップ3)に対しUE IDを適用する。その後,メッセージはノードBか
らUEに送信される(ステップ4)。物理層では,UE IDおよびCRCが検査され,正しいかどうかの判別が行われる(ステップ5)。正しければ,メッセージがMAC層に転送され(ステップ6),さらにメッセージが処理される(ステップ7)。
【0040】
図9のステップ6は,CRC/UE IDが有効であることを示す制御メッセージを備える,物理層とMAC層との間の追加信号を含むことに注意されたい。しかし,これはオプションのステップである。好ましい実施形態では,有効なメッセージのみが物理層からMAC層に転送される。したがって,好ましい実施形態のMAC層では,MACに転送されるメッセージがどれも有効であると想定する。別の実施形態では,追加CRC/UE IDの有効なシグナリングは,追加確認としてメッセージとともに転送される。
【0041】
本発明には,UE IDおよびCRCに対し別々に処理を行わなくてよいという利点がある。2つのフィールドを前述のように組み合わせると,UEは,CRCおよびUE ID(または図8に示されている他のタイプのID)が正しいものとなるまでそれ以上メッセージの処理を行わなくなる。」

上記摘記事項及びこの分野における技術常識を勘案すると,以下の技術事項が読み取れる。

a 摘記事項ア,ウによれば,図1Dに記載された「ノードB」は「高速ダウンリンクパケット(HSDPA)処理を実行するノードB」である。

b 摘記事項イ,図4A,図4Bによれば,上記「ノードB」において,「モジュロ2加算器110」により「NビットのCRC106」と「MビットのUE ID108」とから「Nビットのマスク112」を生成しているが,特に,M<Nの場合の処理として,『M<Nの場合,UE IDに先行ゼロまたは後続ゼロを埋めて,長さがCRCと等しくなるようにする。この「埋め込まれたUE ID」を,CRC106に2を法としてN加算する。』ことが記載されている。

c 摘記事項オ,図9によれば,図4Bに例示されるダウンリンクメッセージは,「物理層によりデータバーストとして送信」されるものである。

上記技術事項及びこの分野における技術常識を総合勘案すると,上記引用例には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。

『高速ダウンリンクパケット(HSDPA)処理を実行するノードBであって,
CRC発生器104により,データ102からNビットのCRC106を生成し,モジュロ2加算器110により,前記NビットのCRC106と,Mビット(M<N)のUE ID108に先行ゼロあるいは後続ゼロを埋めて長さがCRCと等しくなるようにした「埋め込まれたUE ID」とが2を法としてN加算されてマスク112を生成し,生成されたマスク112を送信用のデータフィールド102に付加し,物理層によりデータバーストとして送信し,
前記UE ID108の長さはMビットであり,かつ,前記CRC106の長さNよりも短い,ノードB。』

B 周知技術
例えば,原査定の拒絶の理由に引用されたEricsson,Discussion on HS-SCCH misdetection performance and provision of a UE-Id on HS-DSCH,3GPP TSG-RAN WG2#34 R2-030337,2003年 2月,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_34/Docs/R2-030337.zip(以下,「周知例」という。)には,「Discussion on HS-SCCH misdetection performance and provision of a UE-Id on HS-DSCH(HS-SCCH誤検出性能およびHS-DSCHでのUE-Idの提供に関する議論)」(文献のタイトル,()内は当審仮訳。以下同様)に関する技術が記載されており,特に,Figure.1には「HS-SCCH transmission chain(HS-SCCH送信チェイン)」における処理において,「Tx UE-ID」でスクランブルされた「CRC16」と「Part2」データが多重化され,ブロック「CC1/3&RM」を通過することが記載されているが,該「CC1/3」が「Rate1/3 Convolutional Coding(レート1/3の畳み込み符号化)」を表すもので「チャネル符号化」を意味し,また,「RM」が「Rate Matching(レートマッチング)」を意味することは,当業者にとり明らかであるところ,例えば上記周知例に開示されているように,
「HSDPA処理を実行するノードBにおいて,データおよびマスクフィールドをチャネル符号化し,前記データおよび前記マスクフィールドをレートマッチングすること。」(以下,「周知技術」という。)は周知である。

(3)対比
補正後の発明と引用発明とを対比するに,

a 引用発明の「高速ダウンリンクパケット(HSDPA)処理」,「CRC発生器104」,「データ102」あるいは「送信用のデータフィールド102」,「CRC106」は,それぞれ,補正後の発明の「高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA,high speed downlink packet accsess)処理」,「CRCユニット」,「データ」,「巡回冗長検査(CRC)」あるいは「CRCビット」に相当する。

b 引用発明の『モジュロ2加算器110により,前記NビットのCRC106と,Mビット(M<N)のUE ID108に先行ゼロあるいは後続ゼロを埋めて長さがCRCと等しくなるようにした「埋め込まれたUE ID」とが2を法としてN加算されてマスク112を生成し』と
補正後の発明の「マスキングユニットにより,前記CRCビットの一部のみをユーザ装置識別子(UE ID)ビットと組み合わせてマスクフィールドを生成し」
とを対比するに,
b1 補正後の発明の「マスキングユニット」の具体的な演算処理方法については本願明細書の実施例には明記されていないが,「従来のHS-SCCH符号化」において「この場合におけるマスキングは,それぞれのビットがマスクビット値によって条件的にフリップされるということを意味する。」(段落【0003】)と記載されていることから,「2を法とする加算」と実質的に同じ処理を含むものと認められる。
そうすると,引用発明の「モジュロ2加算器110」,「マスク112」,「2を法としてN加算されて」は,それぞれ,補正後の発明の「マスキングユニット」,「マスクフィールド」,「組み合わせて」に含まれるといえる。
b2 引用発明の「前記NビットのCRC106」と補正後の発明の「前記CRCビットの一部のみ」とは,「CRCビット」の点で共通する。
b3 引用発明の『Mビット(M<N)のUE ID108に先行ゼロあるいは後続ゼロを埋めて長さがCRCと等しくなるようにした「埋め込まれたUE ID」』と補正後の発明の「ユーザ装置識別子(UE ID)ビット」とは,「UE IDビット」の点で共通する。

c 引用発明の「生成されたマスク112を送信用のデータフィールド102に付加し,物理層によりデータバーストとして送信し」と
補正後の発明の「前記データおよび前記マスクフィールドを,HSPDA信号として送信するための物理チャネルにマッピングする」
とを対比するに,
引用例の「その結果得られるデータパケットは,最終的に送信されるのだが,図2Bに示されているように,Xビットデータフィールド,MビットUE ID,およびNビットCRCを含む。」(摘記事項イの段落【0011】),「図3Bに示されているように,送信用のデータバーストは,XビットデータフィールドおよびNビットCRCフィールドを含む。」(摘記事項イの段落【0012】)等の記載も参酌すれば,引用発明の「データバースト」は「データパケット」を意味し,引用例の【図4B】に記載された構造のデータパケットが物理チャネルで送信されるものと解されるが,そのとき,送信信号が「物理チャネルにマッピング」されているといえる。また,その送信信号は「高速ダウンリンクパケット(HSDPA)処理」に伴い送信される信号であるから「HSDPA信号」ともいい得るものである。
いっぽう,補正後の発明の「HSPDA信号」は,高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA,high speed downlink packet accsess)処理において送信される信号を意味するものと解され,引用発明の上記「HSDPA信号」に相当するものであると認められる。
そうすると,引用発明の「生成されたマスク112を送信用のデータフィールド102に付加し,物理層によりデータバーストとして送信し」と補正後の発明の「前記データおよび前記マスクフィールドを,HSPDA信号として送信するための物理チャネルにマッピングする」との間に実質的な差異は無い。

d 引用発明の各処理がノードBの「プロセッサ」により行われることは明らかである。

e 引用発明の「前記UE ID108の長さはMビットであり,かつ,前記CRC106の長さNよりも短い」と
補正後の発明の「前記UE IDビットの長さは,16ビットであり,かつ,前記CRCビットの長さより短い」
とを対比するに,
引用発明の「M」と「N」の大小関係が「M<N」であるから,両者は「前記UE IDビットの長さは,前記CRCビットの長さより短い」点で共通する。

以上をまとめると,両者は以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA,high speed downlink packet accsess)処理のためのノードBであって,
CRCユニットにより,データから巡回冗長検査(CRC)を導出し,マスキングユニットにより,前記CRCビットをユーザ装置識別子(UE ID)ビットと組み合わせてマスクフィールドを生成し,前記データおよび前記マスクフィールドを,HSPDA信号として送信するための物理チャネルにマッピングするように構成されたプロセッサを備え,
前記UE IDビットの長さは,前記CRCビットの長さより短いことを特徴とするノードB。」

(相違点1)
「マスキングユニット」における「マスクフィールド」の生成に関し,
補正後の発明では「前記CRCビットの一部のみをユーザ装置識別子(UE ID)ビットと組み合わせてマスクフィールドを生成」するのに対し,
引用発明では『前記NビットのCRC106と,Mビット(M<N)のUE ID108に先行ゼロあるいは後続ゼロを埋めて長さがCRCと等しくなるようにした「埋め込まれたUE ID」とが2を法としてN加算されてマスク112を生成』する点。

(相違点2)
「UE IDビット」の長さが,
補正後の発明では「16ビット」であるのに対し,
引用発明では「Mビット」であって,具体的な数値が明らかではない点。

(相違点3)
「プロセッサ」に関し,
補正後の発明では「チャネル符号器により,前記データおよび前記マスクフィールドをチャネル符号化し,レートマッチングユニットにより,前記データおよび前記マスクフィールドをレートマッチング」するように構成されているのに対し,
引用発明では明らかではない点。

(4)判断
上記各相違点につき検討する。

(相違点1)について
引用発明において,「埋め込まれたUE ID」と「CRCビット」とをモジュロ2加算した場合,「埋め込まれたUE ID」のビットのうちの「先行ゼロあるいは後続ゼロ」のビットと加算されるCRCビットは加算後も不変であって,何らマスク処理がされないことは明らかであるから,実質的には「Mビット(M<N)のUE ID108」のビットと加算されるCRCビットのみ,即ち,「CRCビットの一部」のみがマスク処理されているといえる。
そうすると,引用発明の「モジュロ2加算器110」を,「NビットのCRC106」のうちの「Mビット」のみを「MビットのUE ID」とモジュロ2加算し,その結果を「マスク」とする構成とすること,即ち,補正後の発明の「マスキングユニット」のように,「前記CRCビットの一部のみをユーザ装置識別子(UE ID)ビットと組み合わせてマスクフィールドを生成」する構成とすることは,当業者であれば容易になし得たものである。

(相違点2)について
引用例に「本実施形態およびこれ以降説明するすべての実施形態では,各フィールドのビット数は例としてフィールドの真上に記載されていることに注意されたい。ただし,特定のビット数は例として取りあげたのであり,本発明を制限するものと解釈すべきではない。」(摘記事項エの段落【0016】)として,ビット数N,Mが特定の数に制限されないことが示唆されているように,引用発明の「CRCビット」や「UE IDビット」の数は必要に応じて当業者が適宜選択し得るものであるところ,「UE IDビット」の具体的な数として「16ビット」という数は,上記上記「(2)引用発明と周知技術」項中の「B 周知技術」の項で引用した周知例にも,そのFigure.1に,HS-SCCH送信チェインで用いられる「Tx UE ID」が「16ビット」であることが記載されているように,従来より普通に用いられている数に過ぎない。
したがって,引用発明の「UE ID108の長さ」である「Mビット」を,補正後の発明のように「16ビット」と限定することは,当業者が必要に応じて適宜なし得たものである。

(相違点3)について
上記「(2)引用発明と周知技術」項中の「B 周知技術」の項に記したように,
「HSDPA処理を実行するノードBにおいて,データおよびマスクフィールドをチャネル符号化し,前記データおよび前記マスクフィールドをレートマッチングすること。」は周知技術である。
ここで,引用発明の「ノードB」も「HSDPA処理を実行する」ものであるから,データ102およびマスク112に対して上記周知技術を単に採用し,補正後の発明のように「プロセッサ」を「チャネル符号器により,前記データおよび前記マスクフィールドをチャネル符号化し,レートマッチングユニットにより,前記データおよび前記マスクフィールドをレートマッチング」するように構成することは,当業者であれば容易になし得たものである。

そして,補正後の発明が奏する効果も引用発明及び周知技術から容易に予測できる範囲内のものである。

(5)まとめ
以上のとおり,補正後の発明は,引用発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に違反するので,特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願発明は,上記「第2 補正却下の決定 1 本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2 引用発明
引用発明は,上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3 独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明と周知技術」の項中の「A 引用発明」の項で認定したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は上記補正後の発明から当該本件補正に係る限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成に当該本件補正に係る限定を付加した補正後の発明が,上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3 独立特許要件について」の項で検討したとおり,引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから,本願発明も同様の理由により,容易に発明できたものである。

4 むすび
以上のとおり,本願発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について審理するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-26 
結審通知日 2016-03-01 
審決日 2016-03-15 
出願番号 特願2013-76160(P2013-76160)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04L)
P 1 8・ 575- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷岡 佳彦  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 新川 圭二
▲高▼橋 真之
発明の名称 高速共用制御チャネルデータを符号化および復号化するための方法及び装置  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
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