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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1317547
審判番号 不服2015-14769  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-06 
確定日 2016-07-27 
事件の表示 特願2012-168311「COB型混光LED電光盤」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月29日出願公開、特開2013-168626〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年7月30日(パリ条約による優先権主張2012年2月15日、台湾)の出願であって、平成25年12月27日付けで拒絶理由通知が通知され、平成26年3月25日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月31日付けで最後の拒絶理由通知が通知され、同年11月5日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成27年3月31日付けで、平成25年12月27日付けの拒絶理由通知書に記載された理由によって、拒絶査定がなされた。
これに対し、平成27年8月6日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出された。

第2 平成27年8月6日に提出された手続補正書による補正についての却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成27年8月6日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1?6(平成26年11月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?6)を、補正後の特許請求の範囲の請求項1?6と補正するとともに、明細書の発明の詳細な説明を補正するものであり、そのうちの補正前後の請求項1は、それぞれ次のとおりである。

(補正前)
「【請求項1】
基板及び複数のCOB光源体を備えたCOB型混光LED電光盤であって、
前記基板は、設置面を有し、
前記COB光源体は、前記基板の少なくとも1つのLEDチップに接続され、封止部材により被覆されて前記基板の前記設置面に形成され、前記COB光源体中の一部には1種類以上の蛍光粉末が添加され、個別の前記COB光源体から特定のスペクトルを有する光を出射させて、前記COB光源体から合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光を出射させ、
互いに隣接した前記LEDチップの間隔が、前記1つのLEDチップのチップ幅より大きいが20mmより小さく、前記封止部材の前記基板と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、前記封止部材の中央部分が凝集力の作用により前記封止部材の周縁部分より高く突出し、前記COB光源体による放熱を増やすとともに前記複数のCOB光源体それぞれから出射される光を交わらせることによって光を均一に混合させることを特徴とするCOB型混光LED電光盤。」

(補正後)
「【請求項1】
基板及び複数のCOB光源体を備えたCOB型混光LED電光盤であって、
前記基板が、設置面を有し、
前記複数のCOB光源体が前記基板に接続される少なくとも1つのLEDチップが封止部材によって被覆されることにより前記基板の前記設置面でそれぞれ形成され、前記複数のCOB光源体中のいくつかの1種類以上の蛍光粉末が封止部材に添加され、それぞれの前記COB光源体の発光条件として前記LEDチップから発生する光の波長と、前記封止部材の種類と、前記蛍光粉末が添加されるか否かと、前記蛍光粉末の種類との組み合せに基いてそれぞれ決められることによって、前記各COB光源体から特定のスペクトルを有する光を出射させ、前記COB光源体から合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光を出射させ、
前記封止部材がフレームの提供されない状況で形成されることによって、前記封止部材の前記基板と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、前記封止部材の中央部分が凝集力の作用により前記封止部材の周縁部分より高く突出し、互いに隣接した前記LEDチップの間隔を、前記1つのLEDチップのチップ幅より大きくするとともに20mmより小さくして、前記COB光源体による放熱を増やすとともに前記複数のCOB光源体それぞれから出射される異なるスペクトルを有する光を交わらせて光を均一に混合させることによって前記あらかじめ決められたスペクトルを有する光線が得られることを特徴とするCOB型混光LED電光盤。」(審決注:下線は平成27年8月6日に提出された手続補正書に付加されたもの。)

2 本件補正についての検討
(1)補正の目的の適否及び新規事項の追加について
ア 本件補正を整理すると次のとおりである。
[補正事項1]
補正前の請求項1に記載された「前記基板は、設置面を有し」を、「前記基板が、設置面を有し」とすること。
[補正事項2]
補正前の請求項1に記載された「前記COB光源体は、前記基板の少なくとも1つのLEDチップに接続され、封止部材により被覆されて前記基板の前記設置面に形成され、前記COB光源体中の一部には1種類以上の蛍光粉末が添加され」を、「前記複数のCOB光源体が前記基板に接続される少なくとも1つのLEDチップが封止部材によって被覆されることにより前記基板の前記設置面でそれぞれ形成され、前記複数のCOB光源体中のいくつかの1種類以上の蛍光粉末が封止部材に添加され」とすること。
[補正事項3]
補正前の請求項1に記載された「個別の前記COB光源体から特定のスペクトルを有する光を出射させて、」を、「それぞれの前記COB光源体の発光条件として前記LEDチップから発生する光の波長と、前記封止部材の種類と、前記蛍光粉末が添加されるか否かと、前記蛍光粉末の種類との組み合せに基いてそれぞれ決められることによって、前記各COB光源体から特定のスペクトルを有する光を出射させ、」とすること。
[補正事項4]
補正前の請求項1に記載された「互いに隣接した前記LEDチップの間隔が、前記1つのLEDチップのチップ幅より大きいが20mmより小さく、前記封止部材の前記基板と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、前記封止部材の中央部分が凝集力の作用により前記封止部材の周縁部分より高く突出し、前記COB光源体による放熱を増やすとともに前記複数のCOB光源体それぞれから出射される光を交わらせることによって光を均一に混合させる」を、「前記封止部材がフレームの提供されない状況で形成されることによって、前記封止部材の前記基板と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、前記封止部材の中央部分が凝集力の作用により前記封止部材の周縁部分より高く突出し、互いに隣接した前記LEDチップの間隔を、前記1つのLEDチップのチップ幅より大きくするとともに20mmより小さくして、前記COB光源体による放熱を増やすとともに前記複数のCOB光源体それぞれから出射される異なるスペクトルを有する光を交わらせて光を均一に混合させることによって前記あらかじめ決められたスペクトルを有する光線が得られる」とすること。
[補正事項5]
補正前の請求項2?6にそれぞれ記載された「前記蛍光粉末の波長は」、「前記封止部材は」、「前記封止部材の外表面は」、「前記COB光源体は」、「前記COB光源体は」を、それぞれ「前記蛍光粉末の波長が」、「前記封止部材が」、「前記封止部材の外表面が」、「前記COB光源体が」、「前記COB光源体が」とすること。
[補正事項6]
補正前の明細書の段落【0004】、【0006】、【0025】及び【0028】を補正する。

イ 以下、補正事項1?5について検討する。
(ア)補正事項1について
補正事項1は、補正前の請求項1の主語における「は」を「が」と助詞を変更し、明確化したものであるから、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしている。
また、補正事項1が、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすことは明らかである。

(イ)補正事項2について
補正事項2は、補正前の請求項1における「複数のCOB光源体」について、「前記COB光源体は、前記基板の少なくとも1つのLEDチップに接続され、封止部材により被覆されて前記基板の前記設置面に形成され」ることを、「前記複数のCOB光源体が前記基板に接続される少なくとも1つのLEDチップが封止部材によって被覆されることにより前記基板の前記設置面でそれぞれ形成され」と明確化するとともに、補正前の請求項1における「前記COB光源体中の一部には1種類以上の蛍光粉末が添加され」を、「前記複数のCOB光源体中のいくつかの1種類以上の蛍光粉末が封止部材に添加され」と限定を付加して、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定する補正であって、補正前の発明と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしている。

また、補正事項2により追加された構成は、本願の願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。また、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面をまとめて「当初明細書等」という。)に記載されており、補正事項2は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、補正事項2は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしている。

(ウ)補正事項3について
補正事項3は、補正前の請求項1における「個別の前記COB光源体から」を、「前記各COB光源体から」と明確化するとともに、補正前の請求項1における「個別の前記COB光源体から特定のスペクトルを有する光を出射させて、」について、「それぞれの前記COB光源体の発光条件として前記LEDチップから発生する光の波長と、前記封止部材の種類と、前記蛍光粉末が添加されるか否かと、前記蛍光粉末の種類との組み合せに基いてそれぞれ決められることによって、」との限定を付加して、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定する補正であって、補正前の発明と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、補正事項3は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしている。

また、補正事項3により追加された構成は、当初明細書等に記載されており、補正事項3は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、補正事項3は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしている。

(エ)補正事項4について
補正事項4は、補正前の請求項1における「互いに隣接した前記LEDチップの間隔が、前記1つのLEDチップのチップ幅より大きいが20mmより小さく」を、「互いに隣接した前記LEDチップの間隔を、前記1つのLEDチップのチップ幅より大きくするとともに20mmより小さくして」と明確化し、補正前の請求項1における「前記複数のCOB光源体それぞれから出射される光を交わらせることによって光を均一に混合させる」を、「前記複数のCOB光源体それぞれから出射される異なるスペクトルを有する光を交わらせて光を均一に混合させることによって前記あらかじめ決められたスペクトルを有する光線が得られる」と明確化するとともに、補正前の請求項1において、「互いに隣接した前記LEDチップの間隔が、前記1つのLEDチップのチップ幅より大きいが20mmより小さく、前記封止部材の前記基板と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、前記封止部材の中央部分が凝集力の作用により前記封止部材の周縁部分より高く突出し、前記COB光源体による放熱を増やすとともに前記複数のCOB光源体それぞれから出射される光を交わらせることによって光を均一に混合させる」について、「前記封止部材がフレームの提供されない状況で形成されることによって」との限定を付加して、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定する補正であって、補正前の発明と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、補正事項4は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしている。

また、補正事項4により追加された構成は、当初明細書等に記載されており、補正事項4は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、補正事項4は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしている。

(オ)補正事項5について
補正事項5は、補正前の請求項2?6の主語における「は」を「が」と助詞を変更し、明確化したものであるから、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしている。
また、補正事項5が、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすことは明らかである。

(カ)補正事項6について
補正事項6により補正された事項は、当初明細書に記載されており、補正事項6は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、補正事項6は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしている。

(キ)補正の目的の適否及び新規事項の追加の有無についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第5項に規定する要件を満たすものである。
また、補正事項1?6は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たすものである。
そして、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるから、補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。

(2)独立特許要件について
ア 本件補正後の発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)は、上記「1 本件補正の内容」の「(補正後)」の箇所に記載したとおりである。

イ 引用例の記載と引用発明
(ア)引用例1:特開2011-159832号公報
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2011-159832号公報(以下「引用例1」という。)には、「半導体発光装置」(発明の名称)に関して、図1?図12とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付加した。以下同じ。)。

a 「【技術分野】
【0001】
本発明は、各種照明装置等に使用可能であり、多様な色を演色可能な半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光装置は、携帯端末を始めとして、家電等の表示装置、室内用の照明装置等として、広く用いられている。半導体発光装置は、例えば、所定の配線パターンを設けた基板上に、正負一対の電極を設け、その電極上に発光ダイオード素子を接着することにより構成される。また、例えば、シリコーン樹脂等の封止部に蛍光体を含有させて発光ダイオード素子上、または、発光ダイオード素子の周辺に配置することにより、発光ダイオード素子から発光される光の波長を変換し、異なる波長の光を出すことも可能となる(例えば、特許文献1?3)。例えば青色波長領域の光を発する発光ダイオード素子の表面に、青色波長領域の光を黄色波長領域の光に変換する蛍光体を含有する蛍光体含有層を設け、白色光を得る半導体発光装置等が、照明装置として実用化されている。」

b 「【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、半導体発光装置内に配置される発光ダイオード素子を、それぞれ個別に蛍光体含有層によって被覆することにより、例えば照明装置に用いた場合に照射面に色むらが生じず、均一な色度とすること等が可能であることを見出し、本願に至った。本発明の要旨は、以下に存する。
【0007】
(1)配線基板と、該配線基板に実装され、発光波長が360nm?480nmの範囲内である複数の発光ダイオード素子と、該発光ダイオード素子から放射される光の少なくとも一部を波長変換する蛍光体を含有し、該発光ダイオード素子を個別に被覆する複数の蛍光体含有層とを有することを特徴とする、半導体発光装置。
(2)該蛍光体含有層がそれぞれ、…(略)…」

c 「【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、近紫外光を放射する発光ダイオード素子を用い、この発光ダイオード素子を、個別に蛍光体含有層により被覆することにより、蛍光体含有層中の蛍光体を効率よく励起することが可能である。また蛍光体含有層から出射する、波長変換後の一次光は指向性が低いため混色が容易であり、半導体発光装置を照明装置等に用いた場合、照射面に色むらが生じにくいものとすることができる。また、本発明の装置構成によれば、各蛍光体含有層中の蛍光体の種類を個別に適宜選択することが可能であり、各蛍光体含有層から出射する一次光の色度を異なるものとすることも可能である。したがって、これらの一次光を利用して様々な色を演色可能な半導体発光装置とすることも可能である。またさらに、蛍光体含有層の塗布面積が小さいため、蛍光体の量を少ないものとすることができ、コストの面からも好ましい。また、発光ダイオード素子を個別に蛍光体含有層が被覆しているため、蛍光体含有層の表面積を大きなものとすることができ、さらに隣接する発光ダイオード素子間で、相互に出射する光を吸収すること等を低減することも可能となるため、光取り出し効率が向上するという効果もある。」

d 「【0012】
図1に示すように、本発明の半導体発光装置10は、配線基板1と、該配線基板1上に実装された複数の発光ダイオード素子2と、該発光ダイオード素子2をそれぞれ個別に被覆する蛍光体含有層3とを有するものである。以下、本発明の半導体発光装置の各構成について説明する。なお、以下の説明において、特に断りがない限り、一次光とは、各蛍光体含有層表面から出射する個々の光を指すものとし、出射光とは、半導体発光装置から出射する光、すなわち各一次光を集めた光を指すものとする。
【0013】
1.蛍光体含有層
本願発明の蛍光体含有層は、後述する発光ダイオード素子から放射される光の少なくとも一部を波長変換する蛍光体を含有し、該発光ダイオード素子を個別に被覆するものである。ここで、個別に被覆する、とは、通常1つの発光ダイオード素子に対して、1つの蛍光体含有層が形成されることをいうが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば2つ以上の発光ダイオード素子が、1つの蛍光体含有層により被覆されている態様も含むものとする。なお、一つの蛍光体含有層により被覆される発光ダイオード素子の数の上限は、通常16であり、好ましくは9、さらに好ましくは4である。
【0014】
また、各蛍光体含有層に含有される蛍光体の種類は適宜選択され、「5.半導体発光装置の構造」の項で詳しく説明するように、各蛍光体含有層から出射する一次光は全て同一の色度を有していてもよく、また異なる色度を有していてもよい。
【0015】
例えば発光ダイオード素子から放射される光の波長が紫外または紫の場合は、蛍光体として赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体を用いることによりRGB(赤色と緑色と青色)の3原色の光を発生させる、または、BY(青色と黄色)、RG(赤色と緑色)などの補色関係にある波長の光に変換することにより、一次光として白色光を得ることができる。また、発光ダイオード素子から放射される光の波長が青色光の場合には、黄色蛍光体によりY(黄色)に波長変換する、または、赤色蛍光体と緑色蛍光体によりRG(赤色と緑色)に波長変換し(目的等に応じて、さらに黄色蛍光体によりY(黄色)に波長変換してもよい)、発光ダイオード素子の青色発光との混色により、一次光として白色光を得ることができる。
また本発明においては、各蛍光体含有層からの一次光を、様々な色温度を有する白色光としてもよいが、例えば、青色光や、赤色光、緑色光等、所望の色としてもよい。
【0016】
このような蛍光体含有層の形状は、本発明の目的及び効果を損なわない限り特に制限はないが、通常、各発光ダイオード素子を封止する形状とされる。例えば図2(a)及び(b)に示すように表面が平坦な形状を有する層状としてもよく、また例えば図3(a)に示すような砲弾型状としてもよく、また例えば図3(b)に示すようなレンズ形状等としてもよい。また、例えば図4に示すように、円柱状もしくは四角柱状としてもよく、図5に示すように、円錐状もしくは四角錐状としてもよい。
【0017】
また、蛍光体含有層は例えば図2(a)及び図3(a)に示すように単層体としてもよく、例えば図2(b)及び図3(b)に示すように積層体としてもよい。
単層体とする場合には、少なくとも1種、あるいは複数種の蛍光体を含有する単一の層とすることができる。蛍光体は単層体中に均一に、あるいは連続した濃度分布を持って含有される。このような単層体(蛍光体含有層)から出射する一次光は、発光ダイオード素子から放射される光を蛍光体が波長変換した光であり、蛍光体による変換後の波長範囲の光となる。また例えば単層体(蛍光体含有層)中に複数種の蛍光体が含有されている場合には、各蛍光体による変換後の光の合成光となる。
…(略)…
【0022】
また、各蛍光体含有層の個々の大きさは、本発明の目的及び効果を損なわない限り特に制限はなく、通常発光ダイオード素子の大きさに応じて適宜選択されるが、中でも投影面積が5mm^(2)以下であることが好ましく、より好ましくは1mm^(2)以下、さらに好ましくは0.25mm^(2)以下である。上記値以下とすることにより、半導体発光装置内に発光ダイオード素子を高集積化することが可能となり、大光束が得られるものとすることができる。なお、本発明でいう蛍光体含有層の投影面積とは、各蛍光体含有層を、半導体発光装置の光取り出し面側から投影した形状の面積をいうこととする。また、蛍光体含有層中に複数の発光ダイオード素子を含む場合は、その数に応じて蛍光体含有層の大きさも大きくすることが好ましい。
【0023】
ここで、蛍光体含有層は、通常、発光ダイオード素子及び配線基板を封止するための封止部材、及び上記発光ダイオード素子から発せられる光の少なくとも一部、もしくは全部を吸収し、任意の波長に波長変換する無機または有機の蛍光体を含有するものとすることができる。またさらに、蛍光体含有層は必要に応じチキソ剤や屈折率調整剤、光拡散剤等を含有していてもよい。
また、各蛍光体含有層間の距離は、隣接する発光ダイオード素子間で、相互に出射する光を吸収すること等を低減する程度離れていることが好ましい。これにより光取り出し効率が向上することが期待される。具体的には、各蛍光体含有層間の隙間は、50μm以上、好ましくは100μm以上、さらに好ましくは200μm以上であることが好ましく、集積化の観点からは1.5mm以下であることが好ましい。」

e 「【0024】
(封止部材)
蛍光体含有層に用いる封止部材は特に限定されず、通常、発光ダイオード素子を覆ってモールディングすることのできる硬化性材料を用いることができる。硬化性材料とは、流体状の材料であって、何らかの硬化処理を施すことにより硬化する材料のことをいう。ここで、流体状とは、例えば液状又はゲル状のことをいう。
【0025】
硬化性材料としては、無機系材料及び有機系材料並びに両者の混合物のいずれを用いることも可能である。
…(略)…
【0026】
一方、有機系材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体例を挙げると、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
…(略)…
【0029】
また、光取り出し効率の面から、封止部材は膜厚1mmでの350nm以上500nm以下の発光波長における光透過率が、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上であり、また通常98%以下である。
【0030】
また封止部材には、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記の無機系材料及び/又は有機系材料などに、更にその他の成分を混合して用いることも可能である。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。」

f 「【0031】
(蛍光体)
本発明の半導体発光装置に用いられる蛍光体としては、後述する発光ダイオード素子から放射される光、すなわち360?480nmの範囲の光の少なくとも一部を波長変換励起することが可能な下記の赤色、黄色、緑色、および青色蛍光体等が挙げられ、これらより選択される1種以上を単独で、または2種以上を任意の組み合わせおよび任意の比率で使用することができる。
…(略)…
【0051】
[蛍光体の粒径]
蛍光体含有層中の蛍光体の粒径は、発光ダイオード素子から放射される光が十分に散乱される粒径であることが好ましい。
蛍光体の粒径は特に制限はないが、中央粒径(D_(50))で、通常0.1μm以上、好ましくは2μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。蛍光体の中央粒径(D_(50))が上記範囲にある場合は、蛍光体含有層において、発光ダイオード素子から放射された光が充分に散乱される。また、発光ダイオード素子から放射された光が充分に蛍光体粒子に吸収されるため、波長変換が高効率に行なわれると共に、蛍光体から発せられる光が全方向に照射される。これにより、複数種類の蛍光体から発せられる光を混色して、蛍光体含有層から所望の色(例えば、白色)の一次光を得ることができると共に、均一な色と照度が得られる。…(略)…
【0060】
[蛍光体含有層の形成方法]
蛍光体含有層を各発光ダイオード素子上に個別に形成する方法としては、目的とする蛍光体含有層の形状や、装置構成等に応じて適宜選択される。形成方法の例として、蛍光体を上記封止部材中に分散させた分散液を作製し、配線基板上に実装された発光ダイオード素子上にパターン上に塗設する方法等が挙げられる。蛍光体含有層が積層体とされる場合には、この塗設を繰り返し行なうこと等により形成可能である。
【0061】
塗設方法の例としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等の印刷法、ディスペンサー等を用いた塗布方法が挙げられる。また例えば、封止部材として感光性樹脂等を用い、全ての発光ダイオード素子を覆うように上記分散液を塗布した後、目的とする領域、すなわち特定の発光ダイオード素子上の感光性樹脂のみを硬化させるようマスク露光してパターニングする方法等も挙げられる。」

g 「【0062】
2.発光ダイオード素子
(発光波長)
発光ダイオード素子としては、通常波長360nm以上480nm以下の範囲の光、すなわち光、すなわち近紫外波長領域から青色領域の光を発するものが用いられる。…(略)…
【0064】
…(略)…。なお、複数の発光ダイオード素子は、半導体発光装置内にランダムに配置していてもよいが、通常規則的に配置することが高集積化及び発光ダイオード素子の制御の観点から好ましい。特に図1(a)に示すように、発光ダイオード素子2をマトリックス状に配置することが好ましい。
【0065】
隣接する発光ダイオード素子間の隙間(発光ダイオード素子の中心間の距離から発光ダイオード素子の一辺の長さを差し引いた距離)は、例えば白色半導体発光装置を光取り出し面側から投影した面を観察した際における発光ダイオード素子の形状が矩形状であり、矩形の長辺の長さが350μmである場合には、0.01mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.03mm以上、さらに好ましくは0.05mm以上であり、特に好ましくは0.15mm以上である。また通常2.0mm以下であり、0.4mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.2mm以下である。なお、配線基板に段差が設けられている場合には、各発光ダイオード素子間の隙間の距離は、立体的距離をいうこととし、配線基板の形状に沿って測定される値とする。下限値以上とすることにより、隣接する発光ダイオード素子どうしが接触することなく、精度よく発光ダイオード素子を配置することが可能である。また下限値以上とすることにより、個々の発光ダイオード素子を被覆する蛍光体含有層の形成も容易となる。また上限値以下とすることにより発光ダイオード素子を高密度に集積することが可能となる。
【0066】
上記間隔は、半導体発光装置を光取り出し面側から投影した面を観察した際における発光ダイオード素子の形状によって適宜選択され、例えば発光ダイオード素子の形状が矩形状である場合には、上記隙間が、矩形の長辺の長さの3%以上であることが好ましく、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上である。また通常500%以下とされ、好ましくは250%以下、さらに好ましくは200%以下である。上記範囲内の隙間を有することにより、白色半導体発光装置から、大光束が得られることが可能となる。
…(略)…
【0076】
本発明の半導体発光装置において、上記発光ダイオード素子と、後述する配線基板との接続方法は特に制限はなく、例えば発光ダイオード素子用基板がSiCやGaNなど導電性材料である場合には、例えば上面の電極を1個とする(シングルワイヤボンディング)構成とすることができる。また発光ダイオード素子用基板をサファイアなどの低屈折率絶縁性材料とする場合には、例えば発光層を上面、発光ダイオード素子用基板を下面とし、後述する配線基板に接着した後、発光層にp、n2個の電極を設けて金線等で基板にボンディングする(ダブルワイヤボンディング)構成、または発光層を下面、発光ダイオード素子用基板側を上面とし、後述する配線基板に接合する(フリップチップ実装)構成等とすることができる。
【0077】
本発明においては上記の構成の中でも、発光ダイオード素子を配線基板に直接、フリップチップ実装する構成が好ましい。これにより省スペース化を図ることができ、発光ダイオード素子を高密度に集積することが可能となる。」

h 「【0093】
5.半導体発光装置の構成
上述したように、本発明の半導体発光装置は、配線基板と、該配線基板に実装された複数の発光ダイオード素子と、これらを個別に被覆する蛍光体含有層を少なくとも有する。各蛍光体含有層から出射する一次光は全て同一の色度を有していてもよく、また異なる色度を有していてもよい。
…(略)…
【0095】
また本発明の第二の実施形態として、出射する一次光の色度が異なる、2種以上の蛍光体含有層を有する半導体発光装置が挙げられる。本実施形態でいう出射する一次光の色度が異なる、とは、通常色度が0.01以上異なることをいう。なお、色度はCIExy色度図で規定される値である。
【0096】
本実施形態においては、半導体発光装置から出射する出射光の色度は、上記各一次光の色度、もしくはこれらの合成光の色度となる。…(略)…
【0098】
したがって、本実施形態によれば、半導体発光装置から出射する出射光の輝度、色温度、及び彩度を任意に調整することが可能となる。なお、上記図7に示した模式図は、本実施形態の一例を説明するために示した図に過ぎず、蛍光体含有層の一次光の色は赤、青、緑に限定されるものではなく、任意の色とすることが可能である。また各色蛍光体含有層の配置も、これらに限定されるものではない。」

i 「【0104】
5.半導体発光装置の光学・電気特性
本発明の半導体発光装置は、全光束が80(lm)以上、好ましくは90(lm)以上、より好ましくは100(lm)以上である。
…(略)…
【0106】
次に、この半導体発光装置を点灯し、その発光スペクトル及び全光束(lm)を測定する。測定されたスペクトルは、通常蛍光体含有層から漏れ出た励起用の発光ダイオード素子からの光(以下、単に「励起光」と記す。)と、蛍光体により波長変換された光が重なって観測される。…(略)…」

j 「【0111】
6.半導体発光装置の用途
本発明の半導体発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能である。本発明の半導体発光装置の用途の具体例として、例えば、従来のハロゲンランプ等の照明ランプの代替としてのランプ、薄型照明などといった種々の照明装置用の光源、および液晶ディスプレイなどの画像表示装置用の光源(バックライトおよびフロントライトなど)が挙げられる。」

k 「【実施例】
【0113】
以下、実施例を示して本発明を更に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
【0114】
[実施例]
(配線基板の作製)
25mm×35mmの窒化アルミニウム基板上に、121個(11個×11個)のパッドパターンがマトリックス状に形成された配線基板を複数準備した。マトリクス状のパッドパターンは、列方向が並列、行方向が直列、すなわち11直列11並列となるように接続した。
該パッドパターンの位置は、発光ダイオード素子の中心間距離が2.0mmになるように調整した。この時の発光ダイオード素子間の隙間距離は1.65mm、発光ダイオード素子の単位面積当たりの個数は、268個/cm^(2)である。
【0115】
(発光ダイオード素子の形成)
発光ダイオード素子(以下、ベアチップ或いはチップと言う)としては、ピーク波長が405nm、半値幅30nmのInGaN半導体を発光層にしたものを用いた。このベアチップの主な仕様は次のとおりであり、以下のようにして作製した。
発光部の構造:InGaN井戸層/GaN障壁層を6ペア積層したMQW構造
転位密度低減化の手法:ファセットLEPS法
ベアチップの外形:350μm×350μm方形
…(略)…
【0119】
ファセット構造を経由して平坦なGaN埋め込み層を成長し、続いて、n型AlGaNクラッド層、InGaN発光層(MQW構造)、p型AlGaNクラッド層、p型GaNコンタクト層を順に形成し、発光波長405nmのLED用エピ基板とし、さらに、n型コンタクト層を表出させるためのエッチング加工、電極形成、350μm×350μmのチップへと素子分離を行い、ベアチップ状態の発光ダイオード素子を得た。
【0120】
上記各配線基板上にバンプボンダーによる、発光ダイオード素子の電極位置相当にスタッドバンプを形成し、そのスタッドバンプ上に発光ダイオード素子を、フリップチップボンダーを用いて実装した。このときの単位面積当たりの個数単位面積当たりの個数単位面積当たりの個数、及び各発光ダイオード素子間の隙間を表2に示す」

l 図1(a)、(b)、図3(a)、(b)は、以下のとおりであり、図1(b)及び図3(a)に示された「蛍光体含有層3」の形状は、いずれも、蛍光体含有層3の配線基板1と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、蛍光体含有層3の中央部分が蛍光体含有層3の周縁部分より高く突出するものであることが、見てとれる。
【図1】


【図3】


(イ)引用発明
a 上記「(ア)b」の段落【0007】の記載、「(ア)c」の段落【0008】の記載、「(ア)d」の段落【0012】?【0013】の記載、及び「(ア)h」の段落【0093】の記載等から、引用例1には、「配線基板1と、該配線基板1上に実装された複数の発光ダイオード素子2と、該発光ダイオード素子2をそれぞれ個別に被覆する蛍光体含有層3とを有する半導体発光装置10であって、1つの蛍光体含有層により被覆される発光ダイオード素子の数は1つ又は2つ以上である」ものが開示されている。

b 上記「(ア)d」の段落【0013】、【0023】の記載から、引用例1には、「蛍光体含有層は、発光ダイオード素子及び配線基板を封止するための封止部材、及び上記発光ダイオード素子から放射される光の少なくとも一部、もしくは全部を吸収し、任意の波長に波長変換する蛍光体を含有する」ものが開示されている。
上記「(ア)c」の段落【0008】の記載、「(ア)d」の【0014】の記載、及び「(ア)h」の【0093】の記載から、引用例1には、「各蛍光体含有層中の蛍光体の種類を個別に適宜選択し、各蛍光体含有層から出射する一次光の色度を異なるものとする」ことが開示されている。
上記「(ア)d」の【0015】の記載、「(ア)f」の【0051】の記載、及び「(ア)i」の【0106】の記載から、引用例1には、「蛍光体の粒径は、中央粒径で、0.1μm以上であり、発光ダイオード素子から放射される光と蛍光体により波長変換された光との混色により、一次光として、例えば、青色光や、赤色光、緑色光等、所望の色を得る」ことが開示されている。
上記「(ア)d」の段落【0017】の記載、及び「(ア)f」の段落【0031】の記載から、引用例1には、「(それぞれの)蛍光体含有層は、1種類以上の蛍光体を含有し、蛍光体含有層から出射する一次光は、蛍光体含有層中に複数種の蛍光体が含有されている場合には、各蛍光体による変換後の光の合成光となる」ものが開示されている。

したがって、引用例1には、
「それぞれの蛍光体含有層は、発光ダイオード素子及び配線基板を封止するための封止部材、及び上記発光ダイオード素子から放射される光の少なくとも一部、もしくは全部を吸収し、任意の波長に波長変換する1種類以上の蛍光体を含有し、
蛍光体含有層から出射する一次光は、蛍光体含有層中に複数種の蛍光体が含有されている場合には、各蛍光体による変換後の光の合成光となり、
各蛍光体含有層中の蛍光体の種類を個別に適宜選択し、各蛍光体含有層から出射する一次光の色度を異なるものとし、
蛍光体の粒径は、中央粒径で、0.1μm以上であり、発光ダイオード素子から放射される光と蛍光体により波長変換された光との混色により、一次光として、例えば、青色光や、赤色光、緑色光等、所望の色を得る」ことが開示されている。

c 上記「(ア)h」の【0096】、【0098】の記載、及び「(ア)i」の【0106】の記載から、「半導体発光装置から出射する出射光の色度は、各一次光の色度、もしくはこれらの合成光の色度となること」が開示されている。

d 上記「(ア)l」から、「蛍光体含有層3」の形状は、蛍光体含有層3の配線基板1と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、蛍光体含有層3の中央部分が蛍光体含有層3の周縁部分より高く突出するものである。

e 上記「(ア)f」の段落【0060】?【0061】の記載から、引用例1には、「蛍光体含有層」を、ディスペンサー等を用いた塗布方法により形成することが開示されているといえる。

f 上記「(ア)g」の段落【0065】の記載から、引用例1には、「隣接する発光ダイオード素子間の隙間」は、発光ダイオード素子の形状が矩形状であり、矩形の長辺の長さが350μmである場合には、0.01mm以上であることが好ましく、特に好ましくは0.15mm以上であり、2.0mm以下であることが開示されている。

g 上記「(ア)g」の段落【0076】?【0077】の記載、及び「(ア)k」の段落【0120】の記載から、引用例1には、発光ダイオード素子と配線基板との接続方法を、フリップ実装とすることが開示されている。

h したがって、図1?図12を参酌してまとめると、引用例1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「配線基板1と、該配線基板1上に実装された複数の発光ダイオード素子2と、該発光ダイオード素子2をそれぞれ個別に被覆する蛍光体含有層3とを有する半導体発光装置10であって、
1つの蛍光体含有層3により被覆される発光ダイオード素子2の数は1つ又は2つ以上であり、
それぞれの蛍光体含有層3は、発光ダイオード素子2及び配線基板1を封止するための封止部材、及び上記発光ダイオード素子2から放射される光の少なくとも一部、もしくは全部を吸収し、任意の波長に波長変換する1種類以上の蛍光体を含有し、
蛍光体含有層3から出射する一次光は、蛍光体含有層3中に複数種の蛍光体が含有されている場合には、各蛍光体による変換後の光の合成光となり、
各蛍光体含有層3中の蛍光体の種類を個別に適宜選択し、各蛍光体含有層3から出射する一次光の色度を異なるものとし、
蛍光体の粒径は、中央粒径で、0.1μm以上であり、
発光ダイオード素子2から放射される光と蛍光体により波長変換された光との混色により、一次光として、例えば、青色光や、赤色光、緑色光等、所望の色を得ることができ、
半導体発光装置10から出射する出射光の色度は、各一次光の色度、もしくはこれらの合成光の色度となり、
蛍光体含有層3の形状は、蛍光体含有層3の配線基板1と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、蛍光体含有層3の中央部分が蛍光体含有層3の周縁部分より高く突出するものであり、
蛍光体含有層3は、ディスペンサー等を用いた塗布方法により形成され、
隣接する発光ダイオード素子2の隙間は、発光ダイオード素子2の形状が矩形状であり、矩形の長辺の長さが350μmである場合には、0.01mm以上であることが好ましく、特に好ましくは0.15mm以上であり、2.0mm以下であり、
発光ダイオード素子2と配線基板1は、フリップ実装で接続された半導体発光装置10。」

ウ 対比
補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「配線基板1」及び「発光ダイオード素子2」は、それぞれ補正発明の「基板」及び「LEDチップ」に相当する。

(イ)a 本願の明細書の段落【0003】には、「COB(Chip On Board)はその一例である。COBとは、配線工程及び封止工程を回路基板(PCB)へ直接行う製造工程である」と記載されている。
また、引用発明において、「半導体発光装置10」は、「配線基板1と、該配線基板1上に実装された複数の発光ダイオード素子2と、該発光ダイオード素子2をそれぞれ個別に被覆する蛍光体含有層3とを有する」ものであり、「発光ダイオード素子2と配線基板1は、フリップ実装で接続された」ものであり、「半導体発光装置10から出射する出射光の色度は、各一次光の色度、もしくはこれらの合成光の色度とな」るものである。
したがって、引用発明の「『発光ダイオード素子2』及び『該発光ダイオード素子2をそれぞれ個別に被覆する蛍光体含有層3』」、「半導体発光装置10」は、それぞれ補正発明の「COB光源体」、「COB型混光LED電光盤」に相当する。
よって、補正発明と引用発明とは、「基板及び複数のCOB光源体を備えたCOB型混光LED電光盤」である点で一致する。

b 補正発明の「前記基板が、設置面を有し、前記複数のCOB光源体が前記基板に接続される少なくとも1つのLEDチップが封止部材によって被覆されることにより前記基板の前記設置面でそれぞれ形成され」を、引用発明と対比する。

c 引用発明において、「複数の発光ダイオード素子2」は、「該配線基板1上に実装された」ものであるから、「発光ダイオード素子2」が「該配線基板1」に接続されるものであることは明らかである。

d また、引用発明において、「1つの蛍光体含有層3により被覆される発光ダイオード素子2の数は1つ又は2つ以上であり」、「『それぞれの蛍光体含有層3』は、『発光ダイオード素子2及び配線基板1を封止するための封止部材』を含有」するものである。
したがって、引用発明において、「少なくとも1つの発光ダイオード素子2」が封止部材によって被覆されるものであるといえる。

e また、引用発明において、「複数の発光ダイオード素子2」は、「該配線基板1上に実装された」ものであり、「蛍光体含有層3」は、「該発光ダイオード素子2をそれぞれ個別に被覆する」ものであり、「それぞれの蛍光体含有層3」は、「『発光ダイオード素子2及び配線基板1を封止するための封止部材』を含有」するものである。
したがって、引用発明において、「『発光ダイオード素子2』及び『蛍光体含有層3』」は、「『複数の発光ダイオード素子2』が実装される『配線基板1』の面」でそれぞれ形成されるものであるといえる。
よって、当該「『複数の発光ダイオード素子2』が実装される『配線基板1』の面」は、補正発明の「設置面」に相当する。

f 以上から、補正発明と引用発明とは、「前記基板が、設置面を有し、前記複数のCOB光源体が前記基板に接続される少なくとも1つのLEDチップが封止部材によって被覆されることにより前記基板の前記設置面でそれぞれ形成され」るものである点で一致する。

(ウ)a 次に、補正発明の「前記複数のCOB光源体中のいくつかの1種類以上の蛍光粉末が封止部材に添加され」を、引用発明と対比する。

b 上記「(1)イ」の[補正事項2]に記載したように、当該構成は、平成27年8月6日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに提出された手続補正書により補正されたものであり、審判請求書において、請求人は、「請求項1に対する補正」の根拠として、本願明細書の段落[0004]、[0014]、[0022]、[0025]、[0030]を挙げている。これらの段落のうち、「蛍光粉末」について記載されているのは段落【0022】のみであり、当該段落には、「いくつかの1種類以上の蛍光粉末」については記載されていない。
そこで、本願の発明の詳細な説明を参酌すると、【課題を解決するための手段】の欄の段落【0008】には、「前記COB光源体中の一部又は全部には、1種類以上の蛍光粉末が添加されることが好ましい。」と、【発明を実施するための形態】の欄の段落【0021】には、「個別のCOB光源体2中には、1種類又は多種類の蛍光体22を選択的に添加してもよい。」と記載されている。

以上から、補正発明の上記「前記複数のCOB光源体中のいくつかの1種類以上の蛍光粉末が封止部材に添加され」は、「前記複数のCOB光源体中のいくつかには、1種類以上の蛍光粉末が封止部材に添加され」のことであると解釈して、以下では検討する。

c 引用発明の「蛍光体」は、「粒径は、中央粒径で、0.1μm以上であり」、さらに、技術常識も勘案すると、補正発明の「蛍光粉末」に相当するといえる。
また、引用発明において、「『それぞれの蛍光体含有層3』は、『発光ダイオード素子2及び配線基板1を封止するための封止部材、及び』『1種類以上の蛍光体を含有』」する。
したがって、補正発明と引用発明とは、「前記複数のCOB光源体中に、1種類以上の蛍光粉末が封止部材に添加され」るものである点で一致する。

(エ)a 補正発明の「それぞれの前記COB光源体の発光条件として前記LEDチップから発生する光の波長と、前記封止部材の種類と、前記蛍光粉末が添加されるか否かと、前記蛍光粉末の種類との組み合せに基いてそれぞれ決められることによって、前記各COB光源体から特定のスペクトルを有する光を出射させ、前記COB光源体から合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光を出射させ」を、引用発明と対比する。

b ここにおいて、補正発明の「COB型混光LED電光盤」は、「複数のCOB光源体を備えた」ものであるところ、「前記COB光源体から合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光を出射させ」における「前記COB光源体」について、本願の発明の詳細な説明を参酌すると、請求人が補正の根拠として挙げた段落【0022】には、「個別のCOB光源体2の発光条件は、LEDチップ20、封止部材21及び蛍光粉末22の組み合わせにより決められ、特定のスペクトルを有する光を出射し、複数のCOB光源体2から出射された光を組み合わせて2種類以上のスペクトルを得てもよい。」と記載されている。

したがって、以下では、補正発明の上記「前記COB光源体から合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光を出射させ」は、「前記(複数の)COB光源体から出射された光を組み合わせて合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光を出射させ」のことであると解釈して(以下「解釈1」という。)、先ず検討し、次に、「前記(各)COB光源体から合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光を出射させ」のことであると解釈して(以下「解釈2」という。)、検討する。

c 「解釈1」の場合について検討するに際し、先ず、補正発明において、「『前記各COB光源体』から出射させる『光』」について検討する。

引用発明において、半導体発光装置10は、「該発光ダイオード素子2をそれぞれ個別に被覆する蛍光体含有層3とを有する」ものであり、「1つの蛍光体含有層3により被覆される発光ダイオード素子2の数は1つ又は2つ以上であり、それぞれの蛍光体含有層3は、発光ダイオード素子2及び配線基板1を封止するための封止部材、及び上記発光ダイオード素子2から放射される光の少なくとも一部、もしくは全部を吸収し、任意の波長に波長変換する1種類以上の蛍光体を含有し、蛍光体含有層3から出射する一次光は、蛍光体含有層3中に複数種の蛍光体が含有されている場合には、各蛍光体による変換後の光の合成光となり、各蛍光体含有層3中の蛍光体の種類を個別に適宜選択し、各蛍光体含有層3から出射する一次光の色度を異なるものとし」、「発光ダイオード素子2から放射される光と蛍光体により波長変換された光との混色により、一次光として、例えば、青色光や、赤色光、緑色光等、所望の色を得ることができ」、「半導体発光装置10から出射する出射光の色度は、各一次光の色度、若しくはこれらの合成光の色度とな」るものである。

ここにおいて、発光ダイオード素子2から放射される光と、封止部材の種類と、蛍光体の種類の組み合せが異なるものであるならば、蛍光体含有層3から出射する一次光のスペクトルが異なるものとなることは当然であるから、引用発明において、当該「一次光」が、発光ダイオード素子2から放射される光と、封止部材の種類と、蛍光体の種類との組み合せに基づく、「特定のスペクトル」を有する光となることは明らかである。

d また、引用発明において、「一次光として、例えば、青色光や、赤色光、緑色光等、所望の色を得ることができ」、「半導体発光装置10から出射する出射光の色度は、各一次光の色度、若しくはこれらの合成光の色度とな」るものである。
ここにおいて、当該技術の分野における技術常識を勘案すると、「青色光や、赤色光、緑色光」は、それぞれ「特定のスペクトルを有する光」であり、「『例えば、青色光や、赤色光、緑色光等』の『合成光』」が、「合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光」となることは明らかである。

e 一方、上記(イ)で検討したように、引用発明において、「半導体発光装置10」は、「配線基板1と、該配線基板1上に実装された複数の発光ダイオード素子2と、該発光ダイオード素子2をそれぞれ個別に被覆する蛍光体含有層3とを有する」ものであり、引用発明の「『発光ダイオード素子2』及び『該発光ダイオード素子2をそれぞれ個別に被覆する蛍光体含有層3』」は、補正発明の「COB光源体」に相当する。
したがって、引用発明において、「各蛍光体含有層3から出射する一次光」は、補正発明の「『前記各COB光源体』から出射させる『光』」に対応する。

f 以上から、「解釈1」とした場合における補正発明と、引用発明とは、「それぞれの前記COB光源体の発光条件として前記LEDチップから発生する光の波長と、前記封止部材の種類と、前記蛍光粉末の種類との組み合せに基いてそれぞれ決められることによって、前記各COB光源体から特定のスペクトルを有する光を出射させ、前記(複数の)COB光源体から(出射された光を組み合わせて)合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光を出射させ」る点で一致する。

g 次に、「解釈2」とした場合について検討する。
引用発明において、「『それぞれの蛍光体含有層3』は、『1種類以上の蛍光体を含有し』」、「蛍光体含有層3から出射する一次光は、蛍光体含有層3中に複数種の蛍光体が含有されている場合には、各蛍光体による変換後の光の合成光となり」、「『発光ダイオード素子2から放射される光と蛍光体により波長変換された光との混色により、一次光として』、『所望の色を得ることができ』」るものである。
ここにおいて、当該技術の分野における技術常識を勘案すると、「蛍光体含有層3中に複数種の蛍光体が含有されている場合」の各一次光、及び「発光ダイオード素子2から放射される光と蛍光体により波長変換された光との混色」は、いずれも、「合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光」となることは明らかである。

h 「解釈1」についての上記「c」、「e」における検討、及び上記「g」における検討から、「解釈2」とした場合においても、補正発明と引用発明とは、「それぞれの前記COB光源体の発光条件として前記LEDチップから発生する光の波長と、前記封止部材の種類と、前記蛍光粉末の種類との組み合せに基いてそれぞれ決められることによって、前記各COB光源体から特定のスペクトルを有する光を出射させ、前記COB光源体から合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光を出射させ」る点で一致する。

(オ)a 補正発明の「前記封止部材がフレームの提供されない状況で形成されることによって、前記封止部材の前記基板と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、前記封止部材の中央部分が凝集力の作用により前記封止部材の周縁部分より高く突出し」を、引用発明と対比する。

b 補正発明において、「前記封止部材がフレームの提供されない状況で形成される」について、本願の発明の詳細な説明(審決注:「本件補正」により補正されている。)を参酌すると、「フレーム」に関連した記載が見出されるのは、段落【0004】、【0025】、【0028】のみであり、次のように記載されている。

「【0004】
しかし、従来のCOB型LED電光盤では、LEDチップの外周にサイドフレーム(封止部材フレーム)を設置し、1度に回路基板上の取り囲まれたエリア内の全てのLEDチップを1つの封止部材により被覆して1つの平面型封止部材を形成しなければならなかった。…(略)…」
「【0025】
上述したように、COB光源体2の光取り出し角度を光色に応じて調整することができる上、1つの封止部材であるために平面の光取り出し角度が制限を受ける問題は存在しない。封止部材21の弧度は、凝集力を利用して形成されるため、COB光源体2の構造は、封止部材フレームが必要なく簡素である。…(略)…」
「【0028】
その後、配線層13(又はソルダーマスク層14)上に薄膜15を形成する(ステップ130)。さらに詳細には薄膜15の厚さは、数ミリメートルの厚さを有する封止部材フレームと異なり、0.005?0.lmmである。…(略)…」

以上から、補正発明における「フレーム」は「封止部材フレーム」のことであり、「前記封止部材がフレームの提供されない状況で形成される」とは、「前記封止部材が、LEDチップの外周に、数ミリメートルの厚さを有するサイドフレーム(封止部材フレーム)の設置されない状況で形成される」ことであると解釈して、以下では検討する。

c 引用発明において、「『それぞれの蛍光体含有層3』は、『封止部材』と『蛍光体』を含有し」、「蛍光体含有層3の形状は、蛍光体含有層3の配線基板1と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、蛍光体含有層3の中央部分が蛍光体含有層3の周縁部分より高く突出するものであり」、上記(ウ)で検討したとおり、引用発明においても、蛍光体含有層3は、封止部材に蛍光体が添加されたものであるから、当該「蛍光体含有層3の形状」は「『封止部材』の形状」と等しくなることは明らかである。
したがって、補正発明と引用発明とは、「前記封止部材が形成されることによって、前記封止部材の前記基板と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、前記封止部材の中央部分が前記封止部材の周縁部分より高く突出し」たものである点で一致する。

(カ)a 補正発明の「互いに隣接した前記LEDチップの間隔を、前記1つのLEDチップのチップ幅より大きくするとともに20mmより小さくして、前記COB光源体による放熱を増やすとともに前記複数のCOB光源体それぞれから出射される異なるスペクトルを有する光を交わらせて光を均一に混合させることによって前記あらかじめ決められたスペクトルを有する光線が得られる」を、引用発明と対比する。

b 先ず、上記「前記あらかじめ決められたスペクトルを有する光線」について検討する。
補正発明には、「あらかじめ決められたスペクトル」について、前記されていない。
一方、補正発明は、「それぞれの前記COB光源体の発光条件として前記LEDチップから発生する光の波長と、前記封止部材の種類と、前記蛍光粉末が添加されるか否かと、前記蛍光粉末の種類との組み合せに基いてそれぞれ決められることによって、前記各COB光源体から特定のスペクトルを有する光を出射させ、前記COB光源体から合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光を出射させ」るものである。

さらに、上記(エ)の「a、b」における検討も勘案して、当該「前記あらかじめ決められたスペクトルを有する光線」とは、上記「解釈1」の「『それぞれの前記COB光源体の発光条件として』『それぞれ決められることによって』、『前記(複数の)COB光源体』から出射された光を組み合わせて『出射させ』る『合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光』」のこと、又は、上記「解釈2」の「『それぞれの前記COB光源体の発光条件として』『それぞれ決められることによって』、『前記(各)COB光源体』から『出射させ』る『合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光』」のことであると解釈し、以下では検討する。

c 引用発明において、「各蛍光体含有層3中の蛍光体の種類を個別に適宜選択し、各蛍光体含有層3から出射する一次光の色度を異なるものとし」、「発光ダイオード素子2から放射される光と蛍光体により波長変換された光との混色により、一次光として、例えば、青色光や、赤色光、緑色光等、所望の色を得ることができ」、「半導体発光装置10から出射する出射光の色度は、各一次光の色度、もしくはこれらの合成光の色度となり」、「隣接する発光ダイオード素子2の隙間は、発光ダイオード素子2の形状が矩形状であり、矩形の長辺の長さが350μmである場合には、0.01mm以上であることが好ましく、特に好ましくは0.15mm以上であり、2.0mm以下」である。

先ず、上記のように引用発明において、「蛍光体の種類を個別に適宜選択」し、「一次光として」、「所望の色を得る」ことから、引用発明の半導体発光装置10は、「あらかじめ決められたスペクトルを有する光線が得られる」ものであるといえる。
次に、「『半導体発光装置10から出射する出射光の色度』は、蛍光体含有層3から出射する各一次光の『合成光の色度』」となるから、いいかえると、半導体発光装置10は、蛍光体含有層3から出射する各一次光を交わらせて光を混合させることによって光線が得られるものであることは明らかである。
さらに、引用発明において、「隣接する発光ダイオード素子2の隙間」は、補正発明の「互いに隣接した前記LEDチップの間隔」に相当し、引用発明は、当該間隔を所定の数値範囲とするものである。

以上から、引用発明は、「互いに隣接した前記LEDチップの間隔を、所定の数値範囲として、蛍光体含有層3から出射する各一次光を交わらせて光を混合させることによって予め決められたスペクトルを有する光線が得られるものであるといえる。

したがって、補正発明と引用発明は、「互いに隣接した前記LEDチップの間隔を、所定の数値範囲として、前記複数のCOB光源体それぞれから出射される異なるスペクトルを有する光を交わらせて光を混合させることによって前記あらかじめ決められたスペクトルを有する光線が得られる」ものである点で一致する。

(キ)以上をまとめると、補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「基板及び複数のCOB光源体を備えたCOB型混光LED電光盤であって、
前記基板が、設置面を有し、
前記複数のCOB光源体が前記基板に接続される少なくとも1つのLEDチップが封止部材によって被覆されることにより前記基板の前記設置面でそれぞれ形成され、前記複数のCOB光源体中に、1種類以上の蛍光粉末が封止部材に添加され、それぞれの前記COB光源体の発光条件として前記LEDチップから発生する光の波長と、前記封止部材の種類と、前記蛍光粉末の種類との組み合せに基いてそれぞれ決められることによって、前記各COB光源体から特定のスペクトルを有する光を出射させ、前記COB光源体から合計2種類以上の異なるスペクトルを有する光を出射させ、
前記封止部材が形成されることによって、前記封止部材の前記基板と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、前記封止部材の中央部分が前記封止部材の周縁部分より高く突出し、互いに隣接した前記LEDチップの間隔を、所定の数値範囲として、前記複数のCOB光源体それぞれから出射される異なるスペクトルを有する光を交わらせて光を混合させることによって前記あらかじめ決められたスペクトルを有する光線が得られるCOB型混光LED電光盤。」

<相違点1>
蛍光粉末の添加について、補正発明では「前記複数のCOB光源体中のいくつか」には、添加されるのに対し、引用発明では、「『『発光ダイオード素子2』及び『発光ダイオード素子2をそれぞれ個別に被覆する蛍光体含有層3』』(COB光源体)中のいくつか」に蛍光体が添加されるとは、特定されていない点。

<相違点2>
「前記COB光源体」から「光を出射させ」ることについて、補正発明では、「前記COB光源体の発光条件として『前記LEDチップから発生する光の波長と、前記封止部材の種類と、前記蛍光粉末が添加されるか否かと、前記蛍光粉末の種類』との組み合せに基づいてそれぞれ決められることによって」するのに対し、引用発明では、それぞれの蛍光体含有層3から出射する一次光は、「発光ダイオード素子2から発生する光の波長と、封止部材の種類と、蛍光体の種類」との組み合せに基づくものといえるものの、「蛍光体が添加されるか否か」に基づくものではない点。

<相違点3>
封止部材について、補正発明では、「前記封止部材がフレームの提供されない状況で形成されることによって、前記封止部材の前記基板と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、前記封止部材の中央部分が凝集力の作用により前記封止部材の周縁部分より高く突出し」たものであるのに対し、引用発明では、「蛍光体含有層3の形状は、蛍光体含有層3の配線基板1と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、蛍光体含有層3の中央部分が蛍光体含有層3の周縁部分より高く突出するものであり、蛍光体含有層3は、ディスペンサー等を用いた塗布方法により形成され」るものの、「蛍光体含有層3が含有する『封止部材』が『フレームの提供されない状況』で形成される」こと、及び、上記「突出」について 、「凝集力の作用」によることは、特定されていない点。

<相違点4>
補正発明では、「互いに隣接した前記LEDチップの間隔を、前記1つのLEDチップのチップ幅より大きくするとともに20mmより小さくして、前記COB光源体による放熱を増やすとともに前記複数のCOB光源体それぞれから出射される異なるスペクトルを有する光を交わらせて光を均一に混合させることによって前記あらかじめ決められたスペクトルを有する光線が得られる」のに対し、引用発明では、「隣接する発光ダイオード素子2の隙間」(互いに隣接した前記LEDチップの間隔)は、「発光ダイオード素子2の形状が矩形状であり、矩形の長辺の長さが350μmである場合には、0.01mm以上であることが好ましく、特に好ましくは0.15mm以上であり、2.0mm以下」であるものの、当該隙間を、補正発明のように「前記1つのLEDチップのチップ幅より大きくするとともに20mmより小さく」との特定はなされておらず、且つ、引用発明では、「半導体発光装置10から出射する出射光の色度は、各一次光の色度、若しくはこれらの合成光の色度」となるものの、補正発明のように「前記COB光源体による放熱を増やすとともに前記複数のCOB光源体それぞれから出射される異なるスペクトルを有する光を交わらせて光を均一に混合させる」との特定はなされていない点。

エ 判断
上記相違点1?相違点4について検討する。
(ア)相違点1及び相違点2について
相違点1及び相違点2は関連するものであるから、まとめて検討する。

a 先ず、相違点1について検討する。
引用発明において、半導体発光装置10は、「複数の発光ダイオード素子2と、該発光ダイオード素子2をそれぞれ個別に被覆する蛍光体含有層3」を有するものであるから、「『発光ダイオード素子2』及び『発光ダイオード素子2をそれぞれ個別に被覆する蛍光体含有層3』」(COB光源体)は、個別に当該蛍光体含有層3で被覆されたものであるといえる。
また、引用発明において、「『それぞれの蛍光体層3』は、『上記発光ダイオード素子2から放射される光の少なくとも一部、もしくは全部を吸収し」、「任意の波長に波長変換する1種類以上の蛍光体を含有し、蛍光体含有層3から出射する一次光は、蛍光体含有層3中に複数種の蛍光体が含有されている場合には、各蛍光体による変換後の光の合成光となり、各蛍光体含有層3中の蛍光体の種類を個別に適宜選択し、各蛍光体含有層3から出射する一次光の色度を異なるものとし」、「発光ダイオード素子2から放射される光と蛍光体により波長変換された光との混色により、一次光として、例えば、青色光や、赤色光、緑色光等、所望の色を得ることができ」、「半導体発光装置10から出射する出射光の色度は、各一次光の色度、もしくはこれらの合成光の色度とな」るものであるところ、「蛍光体含有層3中のいくつか」には、蛍光体が添加されたものとすることで、一次光の色度を異なるものとし、一次光として、所望の色を得ることができることは明らかである。
したがって、引用発明において、「蛍光体含有層3」を、「蛍光体含有層3中のいくつか」には、蛍光体が添加されたものとする、すなわち、補正発明のように「前記複数のCOB光源体中のいくつかの1種類以上の蛍光粉末が封止部材に添加され」たものとすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。

b 次に、相違点2について検討する。
基板と、基板上に実装されたLEDチップと、LEDチップを被覆する封止部材とを有する基板実装型の発光装置において、封止部材を、蛍光体を含むものとすることで、LEDチップから放射される光の一部を変換させて、当該変換させた光とLEDチップから放射される光とを組み合わせ発光させるか、あるいは、封止部材を、蛍光体を含まないものとすることで、LEDチップの発光色で発光するようにするかを決めることによって、出射光の色を異なるものとすることは周知技術(以下、「周知技術1」という。)であり、例えば、以下の周知例1、2に記載されている。
引用発明は、基板と、基板上に実装されたLEDチップと、LEDチップを被覆する封止部材とを有する基板実装型の発光装置であって、「発光ダイオード素子2から放射される光と蛍光体により波長変換された光との混色により、一次光として」、「所望の色を得ることができ」るものであるから、引用発明において、上記周知技術1に基づき、封止部材に、蛍光体を含むものとするか否かを、さらに、「所望の色を得る」ための条件に追加することは当業者であれば適宜なし得たことである。

c 以上から、引用発明において、周知技術1に基づき、相違点1及び相違点2に係る補正発明の構成を採用することは当業者が容易になし得たことである。

(a)周知例1:特開2007-299787号公報
「【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子が基板の実装面上に搭載される発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光素子を基板に直接的に実装したチップオンボード(COB)の発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の発光装置では、発光素子として複数のLEDチップが用いられ、基板上に層状の封止樹脂が形成される。これにより、各LEDチップが封止樹脂により一括して封止されるようになっている。」

「【0025】
図1から図4は本発明の一実施形態を示すもので、図1は発光装置の概略外観斜視図である。
【0026】
図1に示すように、発光装置1は、実装面にソルダーレジスト層2aが配置され実装面上に素子搭載部と素子非搭載部を有する基板2と、この基板2の実装面上の素子搭載部に搭載される複数のLEDチップ3と、基板2の実装面上の非素子搭載部を被覆する被覆板4と、を備えている。この発光装置1は、LEDチップ3の電極部と基板2上の配線部2bとがワイヤ3aにより直接接続されるチップオンボード(COB)の構成をとっている。各LEDチップ3は基板2から突出するレンズ部5により覆われており、被覆板4にはレンズ部5を挿通する挿通孔6が形成されている。この発光装置1は、ディスプレイ装置のバックライト光源として用いられる。
…(略)…
【0028】
図2は発光装置の概略断面図である。
各LEDチップ3は、例えば窒化ガリウム系の発光層を有し、青色に発光する。図2に示すように、各LEDチップ3は、ダイボンド材3bを介して基板2の配線部2bに実装される。ダイボンド材3bとしては、例えば、シリコン系樹脂、脂環式エポキシ樹脂、共晶はんだ等が用いられる。例えば、ダイボンド材3bとしてAu-Snの共晶はんだを用いる場合、LEDチップ3の下面にAu等のような共晶はんだに対して濡れ性の高い金属を予め蒸着しておくことが好ましい。各LEDチップ3は、黄色蛍光体が含まれるシリコン系、エポキシ系等の封止部材7により封止されている。黄色蛍光体としては、例えば、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)系、BOS(Barium ortho-Silicate)系等の蛍光体が用いられる。黄色蛍光体により各LEDチップ3から放射される光の一部が黄色に変換され、青色と黄色を組み合わせた結果、白色にて発光するようになっている。この封止部材7の表面が半球状のレンズ部5をなしている。」

「【0039】
尚、前記実施形態においては、各LEDチップ3がCOBにて基板2に実装されるものを示したが、例えば各LEDチップ3が基板2にフリップチップ実装されるものであってもよく、要は発光素子が直接的に基板2に実装されるものであればよい。
【0040】
また、前記実施形態においては、発光素子として青色光のLEDチップ3を用いたものを示したが、発光素子として例えば、赤色光、緑色光、紫外光等のLEDチップを用いてもよい。また、封止部材7の材質についても任意であり、例えば、封止樹脂7を蛍光体を含まない透明樹脂とし、LEDチップ3の発光色で発光装置1が発光するようにしてもよい。
【0041】
また、例えば、封止樹脂7を透明樹脂とするとともに、青色、赤色及び緑色のLEDチップ3を混在させることにより、全体として白色に発光させるようにしてもよい。さらに、例えば、紫外線のLEDチップを用い、封止樹脂7に赤、緑及び青の蛍光体を含ませることによって、全体として白色に発光させるようにしてもよい。」

(b)周知例2:特開2004-253651号公報
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオード(Light-Emitting Diode:以下「LED」という。)から放射される光を蛍光体で吸収し、異なる波長の光に波長変換して放射させる発光装置に関し、特に、光度を大にすることのできる発光装置に関する。」

「【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る発光装置を示す。この発光装置1は、金属材料によって形成されるリードフレーム2Aおよび2Cと、リードフレーム2Aの先端に形成されてLEDチップ3を収容する基台部であるカップ2Bと、LEDチップ3に光透過性の接着剤層4によって接着される透明構造部5と、透明構造部5をカップ2Bの底面に固定するAgペースト6と、LEDチップ3の各電極とリードフレーム2Aおよび2Cとを電気的に接続するボンディングワイヤ7と、カップ2Bに充填されてLEDチップ3および透明構造部5を封止する透光性樹脂部8と、リードフレーム2A、2C、およびボンディングワイヤ7を一体的にモールドする透明エポキシ樹脂部9とを有する。
…(略)…
【0021】
…(略)…このLEDチップ3は、電極形成面の反対側に形成されるサファイア基板側から主として光を出射するフリップチップ接合用LEDであり、このサファイア基板に接着剤層4によって透明構造部5が接着されている。
…(略)…
【0024】
透光性樹脂部8は、エポキシ樹脂からなり、黄色蛍光体としてCe:YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)を含有している。なお、透光性樹脂はエポキシ樹脂に限定されず、固化後に透明となるシリコン樹脂を用いても良い。
…(略)…
【0030】
図示しない駆動部は、…(略)…。透明構造部5は、入射した光の一部を内部で反射させて側面部分およびLEDチップ3との接着面に近い上面部分から放射させる。透明構造部5から放射された光の一部は、透光性樹脂部8の蛍光体に照射される。蛍光体は、光の照射に基づいて励起されることにより波長550?580nmの励起光を放射する。この励起光と透明構造部5から放射された光とが混合されることによって白色光が得られる。白色光は、カップ2Bの反射面2aで反射されて図1に示す紙面上方向に放射される。」

「【0058】
上記した各実施の形態では、リードフレーム実装型の発光装置1について説明したが、基板実装型の発光装置にも適用可能である。また、透光性樹脂部8に蛍光体を含まず、透明エポキシ樹脂部9に蛍光体を含むタイプの発光装置や、透光性樹脂部8および透明エポキシ樹脂部9に蛍光体を含まないタイプの発光装置に適用することも可能である。また、LEDチップ3についても青色以外に、赤色、緑色の可視光を放射するものであっても良く、更には紫外光を放射するものであっても良い。また、蛍光体についても放射される光に応じて励起される蛍光体を用いることができる。」

(イ)相違点3について
a 引用発明において、「蛍光体含有層3の形状は、蛍光体含有層3の配線基板1と接触されていない外表面の部分が外部雰囲気と直接接触し、蛍光体含有層3の中央部分が蛍光体含有層3の周縁部分より高く突出するものであり、蛍光体含有層3は、ディスペンサー等を用いた塗布方法により形成され」るものである。

b 一般に、LEDチップ又はICチップ等の半導体チップと、半導体チップを被覆する封止部材とを有する半導体装置において、中央部分が周縁部分より高く突出する形状の封止部材を形成する場合に、ディスペンサーを用いてポッティングにより形成すると、このような形状の封止部材を「凝集力の作用」により形成することができることは、周知技術(以下、「周知技術2」という。)であり、例えば、下記周知例3?8に記載されている(「凝集力の作用」については、特に周知例8の段落【0010】を参照のこと。)。

c さらに、下記周知例3?5には、封止部材を形成する際に、数ミリメートルの厚さを有するような堰き止め部材が不要である旨が記載されており、「フレームの提供されない状況」で形成するものであるといえる。
しかも、下記周知例3?7に記載の技術は、いずれも、封止部材が、「LEDチップの外周に、数ミリメートルの厚さを有するサイドフレーム(接着剤フレーム)の設置されない状況で形成される」ものであり、上記「ウ 対比」(オ)の「b」における検討を勘案すると、当該これらの技術は、いずれも、補正発明の「前記封止部材がフレームの提供されない状況で形成される」との構成を備えるものといえる。

d さらに、下記周知例6には、基板上にディスペンサー方式を用いて複数の蛍光体樹脂部を形成する工程において、基板上の位置に応じて、蛍光体樹脂部の大きさまたは蛍光体樹脂部の蛍光体濃度を異なるものとすることが可能であることが開示されており、下記周知例7には、基板上に配置された複数の単位光源を有し、単位光源はLED素子を光学樹脂レンズにより覆った照明装置において、光学樹脂レンズの高さLが異なる複数種類の単位光源をポッティングにより形成することが開示されている。
したがって、周知例6、7に記載の技術は、いずれも、各蛍光体樹脂部又は各単位光源から異なるスペクトルを有する光が出射されるものであることは明らかである。

e 引用発明は、LEDチップと、LEDチップを被覆する封止部材とを有する半導体発光装置であって、「蛍光体含有層3」の形状及びその形成方法(「ディスペンサー等を用いた塗布方法」)が、上記周知技術2のものと同様であり、且つ、「各蛍光体含有層3から出射する一次光の色度を異なる」もので、下記周知例6、7に記載の技術と同様であることは明らかであるから、引用発明において、「封止部材」について、上記周知技術2を採用すること、すなわち、「前記封止部材がフレームの提供されない状況で形成される」ものとし、且つ「凝集力の作用」により、「蛍光体含有層3の形状」を封止部材の周縁部分より高く突出したものとすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

f なお、審判請求書の「(2)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項に規定する要件を満たしていない件について」の<本願発明技術的特徴(c)と、特開2005-117028号公報及び特開2011-204397号公報との比較>において、請求人は、「特開2011-204397号公報」(下記周知例7)では、「フレームとして撥水領域14を使います。…本願発明のような効果を達成できないということになります。」と主張している。

一方、本願の明細書の段落【0028】?【0029】には、本願発明のCOB型混光電光盤の製造方法の説明において、少なくとも1つの貫通孔151を有し、厚さが、0.005?0.01mmである「薄膜15」を形成し、各貫通孔151中にLEDチップ20をそれぞれ設置した後、全てのLEDチップ20を封止部材21により被覆する旨が記載されている。
他方、下記周知例7の段落【0015】には、「この基板11上にはLED素子12を囲むように例えば円環状の撥水領域14が設けられている。」と記載されており、段落【0019】には、「撥水領域14内に樹脂材料をポッティングする」と記載されている。

また、「フレーム」については、上記「ウ 対比」(オ)の「b」で検討したとおり、補正発明における「フレーム」は「封止部材フレーム」のことであり、「前記封止部材がフレームの提供されない状況で形成される」とは、「前記封止部材が、LEDチップの外周に、数ミリメートルの厚さを有するサイドフレーム(封止部材フレーム)の設置されない状況で形成される」ことであると解釈すると、下記周知例7で使う「撥水領域14」を、補正発明における「フレーム」に対応する部材であるとはいうことはできない。

(a)周知例3:特開2008-182186号公報
「技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)チップ等の半導体発光素子を発光させて照明をする照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば縦横に列をなして二次元配列された複数のLEDチップを電気的に接続して、これらのチップを発光させて、面状光源として用いる照明装置が知られている。そして、光源がLEDチップである照明装置では、LEDチップが発した熱を外部に放出するために金属ベースプリント基板が用いられている。このプリント基板は、アルミニウム等の金属板上に絶縁層を積層するとともに、この絶縁層上に導体パターンを設けて形成され、LEDチップは、絶縁層上にフリップチップ実装又はワイヤボンディングによって実装されている(例えば、特許文献1参照。)。」

「【0088】
図8?図11は本発明の第4実施形態を示している。この第4実施形態は、以下説明する事項以外は、図示されない事項を含めて第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0089】
第4実施形態では電気絶縁性のレジスト層25が付加されている。レジスト層25は、例えば酸化アルミニウム等の白色粉末が混入された合成樹脂からなる。この白色レジスト層25の光反射率は80%以上であり、又、レジスト層25の厚みは例えば略0.1mmである。
【0090】
レジスト層25は、光反射層4で覆われた導体8及び絶縁層5上に積層されているとともに、複数つまり素子取付け部3と同数の開口25aを有している。このレジスト層25の導体8に積層された積層部位と絶縁層5に積層された積層部位とは一体に連続している。これとともに、前記両積層部位の絶縁層5からの高さ位置は図10と図11との比較から分かるように光反射層10が積層された導体8の厚み分に応じて異なっている。
…(略)…
【0092】
開口25a内に配置された半導体発光素子11、一対のボンディングワイヤ17、これらボンディングワイヤ17と接続された導体8の端部は、開口25a毎に設けられた封止部材22で封止されている。封止部材22は、図示しないディスペンサーから未硬化の封止部材を開口25a毎に滴下(ポッティング)して供給され、滴下後に略半球状に盛り上がった形状を呈して硬化して設けられたものである。なお、第4実施形態において図8に示したリフレクタ20は省略してもよい。以上説明した事項以外は第1実施形態と同じである。」

(b)周知例4:国際公開第2009/145298号
「[0106](実施の形態7)
図23A、図23Bおよび図23Cは、この発明の実施の形態7における発光装置を示す図である。図23Aは平面図であり、図23Bは、図23A中のB-B´線上に沿った断面図であり、図23Cは、図23A中のC-C´線上に沿った断面図である。
[0107] 図23A、図23Bおよび図23Cを参照して、本実施の形態における発光装置510は、基板21と、基板21の主表面22の中央部にダイボンディングされた4個のLED素子26と、これらのLED素子26を被覆する蛍光体層31と、蛍光体層31を半球ドーム状の形状にて被覆する透明樹脂層41とを備える。…(略)…
[0110] 以下、発光装置の製造方法について説明する。図24Aは、この発明の実施の形態7における発光装置の製造方法の工程を示す断面図である。図24Bは、この発明の実施の形態7における発光装置の製造方法の変形例の工程を示す断面図である。
…(略)…
[0113] 次に、LED素子26を蛍光体層31で被覆する。まず、主表面22のLED素子26がダイボンディングされた側の面に、堰き止め部材としてのダムシート401を張り付ける。ダムシート401には、LED素子26を収容可能な貫通孔が形成されている。ダムシート401は、LED素子26がその貫通孔に没入するように基板21に張り付けられる部材であり、後述する蛍光粒子入りの樹脂33を貫通孔に注入する時に、樹脂33が主表面22に流出して拡がらないように堰き止める部材である。次に、蛍光粒子入りの樹脂33を、貫通孔を満たすように注入する。…(略)…
[0114] 蛍光粒子入りの樹脂33は、シリコーン樹脂などの透明樹脂に蛍光粒子36を分散させたものである。…(略)…
[0128] 続いて、発光装置510の変形例について説明する。図25A、図25Bおよび図25Cは、図23A、図23Bおよび図23C中の発光装置の変形例を示す図である。図25Aは平面図であり、図25Bは、図25A中のB-B´線上に沿った断面図であり、図25Cは、図25A中のC-C´線上に沿った断面図である。
[0129] 図25A、図25Bおよび図25Cを参照して、本変形例における発光装置520においては、主表面22の中央部に4つのLED素子26が配置されている。4つのLED素子26は、各LED素子の長手方向が互いに向い合うように一列に、略等間隔にダイボンディングされている。発光装置520は、上記以外の構成については、発光装置510と同等の構成を備える。このような構成によれば、LED素子26とワイヤー27の配列とが一方向であって、ダイボンディングやワイヤボンディングが容易である。
…(略)…
[0131] なお、蛍光体層31の形成方法の変形例として、図24B中に示すように、蛍光粒子入りの樹脂33を、主表面22にダイボンディングされたLED素子26にポッティングして被覆し、チクソ性により蛍光体層31の形状を維持しつつ硬化させる方法がある。この方法によると、蛍光体層31が幾らか主表面22に拡がるものの、ダムシート401が不要であるため、製造工程が簡便である。

(c)周知例5:特開2009-105153号公報
「【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1、2は、本発明の発光素子パッケージ用基板の一例を示す断面図であり、発光素子を実装してパッケージ化した状態を示している。
【0021】
本発明の一例の発光素子パッケージ用基板は、図1に示すように、熱伝導性フィラー1b,1cを含む樹脂1aから構成された絶縁層1と、絶縁層1の内部に配置される当該金属肉厚部2を有する金属層21と、を備え、金属肉厚部2の頂部に熱伝導性マスク部22が設けられている。そして、絶縁層1の実装側面に発光素子4が設置され、また、絶縁層1の実装側面に表面電極部3が設けられている。
…(略)…
【0050】
本発明の発光素子パッケージ用基板は、図1、2に示すように、単数の発光素子を実装するタイプでも、また複数の発光素子を実装するタイプでもよい。特に後者の場合、表面電極部3の間を配線する配線パターンを有することが好ましい。
【0051】
また、発光素子パッケージ用基板は、例えば、図2に示すように、発光素子パッケージ用基板の金属肉厚部2の上方の金属層21に発光素子4を実装し、封止樹脂7により発光素子4が封止されて使用される。
【0052】
つまり、発光素子パッケージは、熱伝導性フィラー1b,1cを含む樹脂1aから構成された絶縁層1と、発光素子4の実装位置の下方に形成された金属肉厚部2を設けた金属層21と、絶縁層1の実装側面に形成された表面電極部3とを備える発光素子パッケージ用基板と、金属肉厚部2の上方に実装した発光素子4と、その発光素子4を封止する封止樹脂7とを備えている。
【0053】
実装する発光素子4としては、LEDチップ、半導体レーザチップ等が挙げられる。LEDチップでは、上面に両電極が存在するフェイスアップ型の他、裏面の電極により、カソードタイプ、アノードタイプ、フェイスダウン型(フリップチップタイプ)などがある。本発明では、フェイスアップ型を用いることが、放熱性の点から優れている。
…(略)…
【0056】
本実施形態の発光素子パッケージは、封止樹脂7をポッティングする際の堰部6を設けた例を示すが、堰部6を省略することも可能である。堰部6を形成する方法としては、環状部材を接着する方法、ディスペンサーで紫外線硬化樹脂等を立体的に環状に塗布して硬化させる方法など、が挙げられる。
【0057】
ポッティングに用いる樹脂としては、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂等が好適に使用できる。封止樹脂7のポッティングは、凸レンズの機能を付与する観点から上面を凸状に形成するのが好ましいが、上面を平面状や凹状に形成してもよい。ポッティングした封止樹脂7の上面形状は、使用する材料の粘度、塗布方法、塗布表面との親和性などで制御することができる。」

(d)周知例6:特開2005-117028号公報
「【0031】
(実施形態1)
まず、図10および図11を参照しながら、本実施形態に係るLED照明光源100について説明する。
【0032】
図10は、LED照明光源100の構成を模式的に示している。LED照明光源100は、基板11と、基板11上に二次元的に配列された複数のLED素子10と、複数のLED素子10に電気的に接続された配線回路20とを備えている。
【0033】
複数のLED素子10は、2次元的に密に配列されたLED素子の群(クラスタ)を形成している。LED素子の群(以下、「LED素子群」と称する。)に含まれる個々のLED素子10は、大きく2つのグループに分けられる。クラスタの外周部に位置するLED素子10aは第1のグループを形成し、クラスタの内周部に位置するLED素子10bは第2のグループを形成している。
…(略)…
【0036】
図11は、本実施形態におけるLED素子10の断面構成を模式的に示している。図11に示すように、LED素子10は、ベアチップLED12と、ベアチップLED12を覆う蛍光体樹脂部13とから構成されている。蛍光体樹脂部13は、ベアチップLED12から出射された光を当該光の波長よりも長い波長の光に変換する蛍光体(蛍光物質)と、蛍光体を分散させる樹脂とから構成されている。ベアチップLED12は、基板11に実装されており、そして、基板11には、図10に示す配線パターン21、22が形成されている。
【0037】
ベアチップLED12は、波長380nmから780nmの可視領域の範囲内にピーク波長を有する光を出射するLED素子である。蛍光体樹脂部13中に分散されている蛍光体は、波長380nから780nmの可視領域の範囲内で、ベアチップLED12のピーク波長とは異なるピーク波長を有する光を出射する蛍光体である。本実施形態におけるベアチップLED12は、青色の光を出射する青色LED素子であり、蛍光体樹脂部13に含有されている蛍光体は、黄色の光に変換する黄色蛍光体である。両者の光によって白色の光が形成される。」

「【0074】
以下、図23から図27を参照しながら蛍光体樹脂部13の製造方法を説明する。
…(略)…
【0079】
図27は、ディスペンサー方式を用いて複数の蛍光体樹脂部13を形成する工程を示している。この方式では、樹脂ペースト60を噴射する注射器59を備えたディスペンサー58を用いて、基板11上に配列されたLED素子12に対して所定量の樹脂ペースト6を噴射することによって蛍光体樹脂部13を形成する。蛍光体樹脂部13aに比べて蛍光体樹脂部13bの噴射量を多くすると、蛍光体樹脂部13bの大きさを大きくすることができるので、外周部に位置する蛍光体樹脂部13の体積を大きくすることも可能である。また、外周部に位置する蛍光体樹脂部13の蛍光体濃度を高くすることも可能である。
…(略)…
【0081】
上記の実施形態1および2では、1つの蛍光体樹脂部13内に1つのベアチップLED12を配置しているが、必ずしも1つのベアチップLED12に限らず、1つの蛍光体樹脂部13内に2つ又はそれ以上のベアチップLED12を配置してもよい。図28(a)および(b)は、1つの蛍光体樹脂部13内に、ベアチップLED12A、12Bを配置した構成を示している。ベアチップLED12A、12Bは、同一波長領域の光を発するLED素子であってもよいし、異なる波長領域の光を発するベアチップLEDであってもよい。例えば、ベアチップLED12Aを青色LEDとし、ベアチップLED12Bを赤色LEDとすることも可能である。この場合、蛍光体樹脂部13に覆われている2以上のベアチップLED12(12A、12B)は、波長380nmから780nmの可視領域の範囲内のピーク波長(例えば、波長380?470nm(これが1種類だけなら460nm)のピーク波長、波長610?650nm(これが1種類だけなら620nm)のピーク波長)を持つことになる。青色LED素子12Aおよび赤色LED素子12Bの両方のLED素子を用いた場合には、赤に対する演色性に優れた白色LED照明光源を構築することができる。さらに説明すると、青色LED素子と黄色蛍光体との組み合わせのときには、白色を生成することができるものの、赤成分が足りない白色となってしまい、赤に対する演色性が劣る白色LED照明光源となってしまう。そこで、青色LED素子12Aに赤色LED素子12Bを加えると、赤に対する演色性にも優れたものになり、一般照明用として更に適したLED照明光源を実現することができる。」

(e)周知例7:特開2011-204397号公報
「【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による照明装置は、基板上に複数の単位光源を有するものであり、その単位光源は、基板上に設けられた、1または複数の発光素子と、基板上の発光素子を囲む位置に設けられた撥水領域と、撥水領域に底面の大きさが規定されると共に1または複数の発光素子を覆う光学樹脂レンズとを有する。複数の単位光源には光学樹脂レンズの形状あるいは大きさが互いに異なる、少なくとも2種類の単位光源が含まれている。
【0009】
この照明装置では、光学樹脂レンズの形状あるいは大きさが互いに異なる少なくとも2種類の単位光源が含まれているため、単位光源を所定のパターンに配置することによって所望の配光を得ることが可能となる。」

「【0013】
[第1の実施の形態]
(1-1)単位光源
図1は本発明の第1の実施の形態に係る照明装置1を表すものである。この照明装置1は、基板11上に複数の単位光源10を所定のパターンで配置して構成されている。図2はこの単位光源10の基本形状を表したものである。照明装置1はこの単位光源10のレンズ形状(あるいは大きさ)を種々変更して所望の配光を得るものである。
【0014】
単位光源10は、基板11に配置したチップ状の発光素子、例えば発光ダイオード(以下,LED素子という)12を光学樹脂レンズ13(第1光学樹脂レンズ)によりドーム状に覆ったものである。なお、発光素子としてはLED以外の他の点光源、面光源などを用いることができる。
【0015】
基板11は、例えばシリコン基板であるが、その他、合成石英、ガラス材料やプラスチック材料等の絶縁性材料により形成されたものでもよい。この基板11上にはLED素子12を囲むように例えば円環状の撥水領域14が設けられている。また、この基板11には複数のLED素子12を駆動するための駆動回路(図示せず)が設けられている。
…(略)…
【0018】
光学樹脂レンズ13は、LED素子12を保護すると共に、LED素子12から発せられた光Liの取り出し効率を向上させるためのものである。更に、この光学樹脂レンズ13を所定の形状(あるいは大きさ)に調整することによって後述するようにLED素子12、更には照明装置全体の配光が制御される。この光学樹脂レンズ13は、例えばシリコンあるいはアクリルなどの透明樹脂により構成されたものであり、LED素子12の天面(発光面)全体を覆うように形成されている。
【0019】
光学樹脂レンズ13は、図2では、LED素子12の全体を覆うような例えば、略半球状をなしている。すなわち光学樹脂レンズ13は底面が基板11上のX-Y平面上に形成され、Z方向に盛り上がったドーム型となっている。また、光学樹脂レンズ13はその頭頂部13aとLED素子12の発光中心軸とが同じ軸(中心軸C)上に並ぶように形成されている。このような形状の光学樹脂レンズ13は、基板11上の撥水領域14をLED素子12の発光中心軸と同一中心を有する円環状とすることにより形成される。すなわち、この撥水領域14内に樹脂材料をポッティングすると、樹脂材料は表面張力により撥水領域14の内側に堆積する。この堆積した樹脂材料を例えば加熱して硬化させることによって、図2に示したドーム型の光学樹脂レンズ13を形成することができる。
【0020】
光学樹脂レンズ13の直上(Z方向)に沿った高さをLとすると、光学樹脂レンズ13は底面の直径が同じであれば、この高さLを増加させることによってLED素子12のZ軸方向の配光強度は高くなる。一方、光学樹脂レンズ13の高さLを減少させることによってLED素子12のZ軸方向の配光強度は抑えられる。」

「【0032】
(1-4)製造方法
図6は上記照明装置1,2の製造工程のうち光学樹脂レンズ13の形成過程を表したものである。前述のように光学樹脂レンズ13はLED素子12を覆うドーム状に形成されている。本実施の形態では、金型を用いることなく、樹脂材料のポッティングにより光学樹脂レンズ13を形成する。
【0033】
まず、予めLED素子12の駆動回路が形成された基板11に複数のLED素子12を所望のパターンに配置する。次いで、このLED素子12が配置された基板11の表面にLED素子12を囲むように撥水領域14を形成する。撥水領域14は幅が例えば1mm、内径が例えば3mmの円環状とする。次に、撥水領域14の内側に樹脂材料、例えばシリコン樹脂などをポッティングする。適量の樹脂材料をポッティングし、例えば温度150℃で6時間加熱することにより樹脂材料を硬化させることにより、中心付近が盛り上がったドーム状の光学樹脂レンズ13を形成することができる。
【0034】
この光学樹脂レンズ13の形状や大きさは、樹脂材料をポッティングする際のポッティング装置200の動作を制御することによって種々調整することができる。例えば、樹脂材料を射出させつつ、ポッティング装置200および基板11を鉛直方向に移動させることで、樹脂材料をZ方向に伸縮させることができる。具体的には、矢印(A)の方向に加速度が加われば樹脂材料が延伸され、Z方向に伸びた光学樹脂レンズ13が形成される。一方、矢印(B)の方向に加速度が加われば、樹脂材料が圧縮され、Z方向に縮んだ光学樹脂レンズ13が形成される。また、樹脂材料をポッティングしたのち、基板11を逆さま(天地が反転)にすることにより重力を利用して樹脂材料を延伸してもよい。このように、樹脂材料のポッティングにより光学樹脂レンズ13を形成することにより、光学樹脂レンズ13の高さLを容易に調整することができる。
【0035】
以上のように基板11上に配置した複数のLED素子12上にそれぞれ所定の量の樹脂材料をポッティングして光学樹脂レンズ13を形成することにより、光学樹脂レンズ13の高さの異なる複数種類の単位光源10を備えた照明装置1,2が完成する。」

(f)周知例8:特開2009-267272号公報
「【0003】
図3には、樹脂封止をする半導体中空パッケージの一構成例(下記特許文献1)が示されており、この例では、図3(A)に示されるように、ICチップ1を複数個搭載した基板2上に、このICチップ1を取り囲むように粘稠な接着剤を塗布してダム3を形成し、このダム3に、基板2と略同寸法のガラス板4を載せ、これを硬化させる。その後、ガラス板4、接着剤(3)、基板2を同時に切断することで、図3(B)に示されるように、ICチップ1が封止された撮像素子パッケージ5を得るようになっている。」

「【0010】
本発明の構成によれば、実装基板組立て工程にて、リードフレーム等の基板上に複数個のICチップ等の半導体素子が接着され、この半導体素子上の電極と基板上の電極が、金属細線を用いたワイヤボンディングと呼ばれる手法にて電気的な接続が行われた後、樹脂製塊形成工程では、上記半導体素子の表面(上面)に、流動性及び粘性を持ったシリコーン等の樹脂材料がエアーディスペンス法等により滴下され、ゲル状に固化させた樹脂製塊が形成される。即ち、この滴下される樹脂材料は、チクソ性が高く、かつ硬化性を持ちながらその硬化物は弾性があり、有機溶剤に可溶な流動性のある液状のものが使用される。そして、半導体素子表面に滴下された樹脂材料は、その凝集力によって、半導体素子表面上に円球状又は半球状に保持され、その後の熱硬化によって、半固形の弾性を持ったゲル状に固まることになる。
【0011】
次のモールド成形工程では、例えばトランスファー成形法が用いられ、樹脂製塊の上面が金型内面に接触する状態で、半導体実装基板をモールド樹脂成形用の金型にセットし、この金型に設けられたゲートからキャビティ内へ成形用樹脂が注入される。このとき、半導体素子表面上に配置されているゲル状の樹脂製塊は、金型内面と接触し弾性変形した状態となり、この状態でキャビティ内への樹脂注入が完了する。この樹脂注入が完了した後、金型の上下部を離型することにより、モールド成形された半導体実装基板が金型から取り出される。この樹脂成形された半導体実装基板では、半導体素子上の樹脂製塊が表面へ露出した状態となっている。」

(ウ)相違点4について
a 先ず、補正発明の「互いに隣接した前記LEDチップの間隔を、前記1つのLEDチップのチップ幅より大きくするとともに20mmより小さく」することについて検討する。
引用発明において、発光ダイオード素子2の「矩形の長辺の長さ」「350μm」は補正発明の「前記1つのLEDチップのチップ幅」に対応し、引用発明の「隣接する発光ダイオード素子2の隙間」は、「0.01mm以上であることが好ましく、特に好ましくは0.15mm以上であり、2.0mm以下」であるから、当該隙間の数値範囲は「発光ダイオード素子2の『矩形の長辺の長さ』『350μm』より大きく20mmより小さ」い範囲と重なる。

b また、配線基板と、配線基板上に実装された複数の発光ダイオード素子と、該発光ダイオード素子をそれぞれ個別に被覆する封止部材とを有する半導体発光装置において、「隣接する発光ダイオード素子の隙間」の距離をどのような数値範囲とするかは、当該半導体発光装置の用途や構造(例えば、放熱のための部材や構造の利用等。)、発光ダイオード素子のサイズ(発熱量)、放熱性の許容の程度に応じ、且つ、隣接する発光ダイオード素子どうしが接触することなく精度よく配置することが可能となり、高密度に集積可能となるようにすべく、当業者が適宜選択し得る設計的事項である。

c 次に、補正発明の「互いに隣接した前記LEDチップの間隔を、前記1つのLEDチップのチップ幅より大きくするとともに20mmより小さくして、前記COB光源体による放熱を増やすとともに前記複数のCOB光源体それぞれから出射される異なるスペクトルを有する光を交わらせて光を均一に混合させることによって前記あらかじめ決められたスペクトルを有する光線が得られる」とすることにおいて、「『互いに隣接した前記LEDチップの間隔』を、『前記1つのLEDチップのチップ幅より大きく』して、『前記COB光源体による放熱を増やす』」こと、及び「『互いに隣接した前記LEDチップの間隔』を、『20mmより小さくして』、『前記複数のCOB光源体それぞれから出射される異なるスペクトルを有する光を交わらせて光を均一に混合させること』」について検討する。
本願の明細書及び図面を精査しても、補正発明において、「互いに隣接した前記LEDチップの間隔」を「前記1つのLEDチップのチップ幅より大きくするとともに20mmより小さく」したことにより格別の効果が生じているとは認められないから、「前記1つのLEDチップのチップ幅より大きくするとともに20mmより小さく」という範囲に臨界的意義は認められず、格別の技術的意義を見出すこともできない。

また、引用発明において、「隣接する発光ダイオードの隙間」の距離を大きくすると放熱を増やすことができ、当該隙間の距離を小さくすると光が均一に混合されやすくなることは、技術常識から明らかである。

したがって、引用発明において、補正発明のように「隣接する発光ダイオード素子の隙間」の距離を、発光ダイオード素子のチップ幅より大きくするとともに20mmより小さくして、前記COB光源体による放熱を増やすとともに前記複数のCOB光源体それぞれから出射される異なるスペクトルを有する光を交わらせて光を均一に混合させることによって前記あらかじめ決められたスペクトルを有する光線が得られる」ものとすることは、当業者が適宜になし得たことである。

(エ)判断についてのまとめ
以上検討したとおり、引用発明において、周知技術1、2に基づき、相違点1?相違点4に係る補正発明の構成、それぞれを採用することは、いずれも当業者が容易になし得たことである。
そして、補正発明によって当業者が予期し得ない格別の効果が奏されるとは認められず、上記相違点1?相違点4を総合判断しても、補正発明は当業者が容易に発明をすることができたものというほかない。
よって、補正発明は、当業者が、引用例1に記載された発明及び周知技術1、2に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

オ 独立特許要件についてのまとめ
以上のとおり、補正発明が特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しない。

3 補正却下の決定についてのむすび
以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?6に係る発明は、平成26年11月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2[理由]1 本件補正の内容」の(補正前)に記載したとおりのものである。

第4 引用例の記載と引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2011-159832号公報(引用例1、再掲)には、「半導体発光装置」(発明の名称)に関して、図1?図12とともに上記「第2 2(2)イ(ア)引用例1」に記載した事項が記載されており、引用例1には上記「第2 2(2)イ(イ)引用発明」に記載したとおりの引用発明が記載されている。

第5 対比・判断
本願発明は、上記「第2 2 本件補正についての検討」で検討した補正発明における限定事項を省いたものである。
そうすると、上記「第2 2 本件補正についての検討」において検討したとおり、補正発明は、当業者が、引用例1に記載された発明及び周知技術1、2に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が、引用例1に記載された発明及び周知技術1、2に基づいて、容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-29 
結審通知日 2016-03-01 
審決日 2016-03-15 
出願番号 特願2012-168311(P2012-168311)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 三寛  
特許庁審判長 小松 徹三
特許庁審判官 近藤 幸浩
恩田 春香
発明の名称 COB型混光LED電光盤  
代理人 特許業務法人梶・須原特許事務所  
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