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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C04B 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C04B 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C04B |
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管理番号 | 1319154 |
異議申立番号 | 異議2015-700176 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-11-12 |
確定日 | 2016-05-30 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5718858号「高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物の骨材最大粒径調整方法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5718858号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。 特許第5718858号の請求項1、2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第5718858号の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成17年11月2日に特許出願された特願2005-319200号の一部を平成24年5月28日に新たな特許出願としたものであって、平成27年3月27日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人により特許異議の申立てがなされ、平成28年1月22日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年3月23日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のア?カのとおりである。 ア 請求項1に係る「骨材の最大粒径を0.3?2.5mmに調整して」を「骨材の最大粒径を0.3?2.5mmに調整し、流動実験を行って」に訂正する。 イ 請求項1に係る「骨材の最大粒径を1.2?5mmに調整して」を「骨材の最大粒径を1.2?5mmに調整し、流動実験を行って」に訂正する。 ウ 請求項1に係る「骨材の最大粒径を0.15?2.5mmに調整して」を「骨材の最大粒径を0.15?2.5mmに調整し、流動実験を行って」に訂正する。 エ 請求項1に係る「骨材の最大粒径を0.6?5mmに調整して」を「骨材の最大粒径を0.6?5mmに調整し、流動実験を行って」に訂正する。 オ 請求項2に係る「密度7?10g/cm^(3)である場合、骨材の最大粒径を10?20mに調整して」を「密度7?10g/cm^(3)である場合、骨材の最大粒径を10?20mに調整し、流動実験を行って」に訂正する。 カ 請求項2に係る「密度0.9?2.6g/cm^(3)である場合、骨材の最大粒径を10?20mに調整して」を「密度0.9?2.6g/cm^(3)である場合、骨材の最大粒径を10?20mに調整し、流動実験を行って」に訂正する。 (2)検討 上記ア?カの訂正事項に共通する「流動実験を行って」に関連する記載として、特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0028】には、「各セメント系材料の混練物について以下のように流動実験を行い、繊維の分散維持性を調べた。」と記載され、セメント系材料を混練した後に請求項1及び2に(A)として規定された方法により繊維減少率を求めることが記載されている。 よって、使用する短繊維に応じて骨材の最大粒径を特定範囲に調整して混練し、流動実験を行って繊維減少率を特定の数値範囲とする発明は、特許明細書に記載されているものと認められる。 このため、上記ア?カの訂正で「流動実験を行って」という事項を加入することにより、それぞれのセメント材料に応じた特定の数値範囲の繊維減少率は、流動実験を行って得られたものに限定されたものといえる。 とすると、上記ア?カの訂正は、特許明細書に記載された事項の範囲内において「繊維減少率」を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1及び2について訂正を認める。 3 特許異議の申立てについて (1)本件発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1及び2に係る発明は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものである。 (2)取消理由の概要 訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して、平成28年1月22日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 ア 請求項1及び2に係る特許は、「骨材の最大粒径」と「繊維減少率」の関係が、解釈(i)?(iii)の3通りに解釈できて不明確であるので、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。 イ 上記アの取消理由に関連し、「骨材の最大粒径」と「繊維減少率」の関係が解釈(i)の場合には、請求項1に係る発明は特許法第29条1項3号に該当するという取消理由があり、解釈(ii)の場合には、請求項1及び2に係る特許は、同法第36条4項1号に規定する要件を満たしていないという取消理由がある。なお、解釈(iii)の場合には特段の取消理由はない。 (3)判断 本件訂正で「流動実験を行って」という事項が該当箇所に加入されたので、「骨材の最大粒径」の調整の後に、請求項1及び2の(A)で特定する「繊維減少率」の測定を行うことが明確になった。すなわち、上記取消理由通知で言及した解釈(iii)のとおり解釈されることが明確になった。 したがって、特許法第36条6項2号に関する上記(2)アの取消理由は本件訂正により解消し、他に特段の取消理由はないものとなった。 また、特許異議申立人に対し、本件訂正の内容を通知し、必要なら意見書を提出するよう求めたが、意見書の提出はなかった。 4 むすび 以上のとおりであるから、上記取消理由によっては請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 水、セメント、骨材、混和剤および短繊維を混合することにより、短繊維が分散混合されたモルタルフロー200mm以上の自己充填性モルタル混練物を得るに際し、 使用する繊維が平均繊維長5?25mm、密度7?10g/cm^(3)である場合、骨材の最大粒径を0.3?2.5mmに調整し、流動実験を行って下記(A)に従う繊維減少率が0.64以上2.42以下である混練物とし、 使用する繊維が平均繊維長25超え?70mm、密度7?10g/cm^(3)である場合、骨材の最大粒径を1.2?5mmに調整し、流動実験を行って下記(A)に従う繊維減少率が2.31以上7.18以下である混練物とし、 使用する繊維が平均繊維長5?25mm、密度0.9?2.6g/cm^(3)である場合、骨材の最大粒径を0.15?2.5mmに調整し、流動実験を行って下記(A)に従う繊維減少率が0.00以上1.54以下である混練物とし、 使用する繊維が平均繊維長25超え?70mm、密度0.9?2.6g/cm^(3)である場合、骨材の最大粒径を0.6?5mmに調整し、流動実験を行って下記(A)に従う繊維減少率が0.46以上1.85以下である混練物とする、 繊維の種類に応じて骨材の最大粒径を調整する方法。 (A)図1に示す形状および内のり寸法を有する木製の型枠を水平に置き、開口部3を閉じた状態で混練物を筒枠1の上部から流し込み、筒枠1を上端まで混練物で満たした後、直ちに仕切り板4を引き上げて開口部3を全開にし、混練物が流動枠2の終端まで到達して流動が終わったら、図2に示すとおり流動枠2の終端から300mm位置に仕切り板6を差し込み、仕切り板6より終端側の領域に到達している混練物を全量回収するとともに、仕切り板4で開口部3を閉じ、筒枠1の内部に残った混練物を全量回収し、それぞれの回収サンプルの質量を測定した後、繊維を洗い出し、各サンプル中に含まれる繊維の質量を測定し、繊維の配合値を単位量(kg/m^(3))に換算し、単位量の値を下記[1]式に代入して「繊維減少率(%)」を定める。 繊維減少率=(X_(1)-X_(2))/X_(0)×100 ……[1] ここで、X_(0)は当該混練物における繊維の初期配合値(kg/m^(3))、X_(1)は筒枠1中に残った混練物サンプルにおける繊維配合値(kg/m^(3))、X_(2)は流動枠終端300mm以内から回収した混練物サンプルにおける繊維配合値(kg/m^(3))である。 【請求項2】 水、セメント、骨材、石灰石微粉末、混和剤および短繊維を混合することにより、短繊維が分散混合されたスランプフロー500mm以上の自己充填性コンクリート混練物を得るに際し、 使用する繊維が平均繊維長25超え?70mm、密度7?10g/cm^(3)である場合、骨材の最大粒径を10?20mmに調整し、流動実験を行って下記(A)に従う繊維減少率が1.28以上4.10以下である混練物とし、 使用する繊維が平均繊維長25超え?70mm、密度0.9?2.6g/cm^(3)である場合、骨材の最大粒径を10?20mmに調整し、流動実験を行って下記(A)に従う繊維減少率が0.31以上1.54以下である混練物とする、 繊維の種類に応じて骨材の最大粒径を調整する方法。 (A)図1に示す形状および内のり寸法を有する木製の型枠を水平に置き、開口部3を閉じた状態で混練物を筒枠1の上部から流し込み、筒枠1を上端まで混練物で満たした後、直ちに仕切り板4を引き上げて開口部3を全開にし、混練物が流動枠2の終端まで到達して流動が終わったら、図2に示すとおり流動枠2の終端から300mm位置に仕切り板6を差し込み、仕切り板6より終端側の領域に到達している混練物を全量回収するとともに、仕切り板4で開口部3を閉じ、筒枠1の内部に残った混練物を全量回収し、それぞれの回収サンプルの質量を測定した後、繊維を洗い出し、各サンプル中に含まれる繊維の質量を測定し、繊維の配合値を単位量(kg/m^(3))に換算し、単位量の値を下記[1]式に代入して「繊維減少率(%)」を定める。 繊維減少率=(X_(1)-X_(2))/X_(0)×100 ……[1] ここで、X_(0)は当該混練物における繊維の初期配合値(kg/m^(3))、X_(1)は筒枠1中に残った混練物サンプルにおける繊維配合値(kg/m^(3))、X_(2)は流動枠終端300mm以内から回収した混練物サンプルにおける繊維配合値(kg/m^(3))である。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2016-05-19 |
出願番号 | 特願2012-121378(P2012-121378) |
審決分類 |
P
1
651・
536-
YAA
(C04B)
P 1 651・ 113- YAA (C04B) P 1 651・ 537- YAA (C04B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小川 武 |
特許庁審判長 |
新居田 知生 |
特許庁審判官 |
真々田 忠博 萩原 周治 |
登録日 | 2015-03-27 |
登録番号 | 特許第5718858号(P5718858) |
権利者 | デンカ 株式会社 鹿島建設株式会社 |
発明の名称 | 高流動繊維補強モルタルまたはコンクリート混練物の骨材最大粒径調整方法 |
代理人 | 小松 高 |
代理人 | 小松 高 |
代理人 | 小松 高 |