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審決分類 審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H05B
審判 一部申し立て 2項進歩性  H05B
審判 一部申し立て 4項(134条6項)独立特許用件  H05B
審判 一部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  H05B
管理番号 1319155
異議申立番号 異議2015-700217  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-25 
確定日 2016-05-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5723344号「有機電界発光素子および発光装置」の請求項1、2、4、8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第5723344号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?7〕、8について、訂正することを認める。 特許第5723344号の請求項1、2、4、8に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5723344号の請求項1、2、4及び8に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成24年9月25日に特許出願され、平成27年4月3日に特許の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人特許業務法人プロテックにより特許異議の申立てがなされ、平成28年1月18日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年3月22日に訂正請求がなされたものである。

第2 訂正の適否についての判断
平成28年3月22日になされた訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲について、以下のとおり訂正することを求めるものである。
1 訂正の内容
(1)訂正事項1
特許権者は、本件特許の請求項1に、
「第1電極と、
前記第1電極と対峙して設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機発光層と、
前記第1電極と前記有機発光層との間、および、前記有機発光層と前記第2電極との間、の少なくともいずれかに設けられ、絶縁性を有し、屈折率が1.62以上、1.98以下である凸部と、
を備えた有機電界発光素子。」とあったものを、

「第1電極と、
前記第1電極と対峙して設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機発光層と、
前記第1電極と前記有機発光層との間、および、前記有機発光層と前記第2電極との間、の少なくともいずれかに設けられ、絶縁性を有し、屈折率が1.62以上、1.98以下である凸部と、
前記第1電極の前記有機発光層が設けられる側とは反対側に設けられた光路制御層と、
を備えた有機電界発光素子。」(下線は審決で付した。以下同じ。)と訂正することを請求する。

(2)訂正事項2
特許権者は、特許請求の範囲の請求項6を削除することを請求する。

(3)訂正事項3
特許権者は、本件特許明細書の【0005】に、
「実施形態に係る有機電界発光素子は、第1電極と、前記第1電極と対峙して設けられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機発光層と、前記第1電極と前記有機発光層との間、および、前記有機発光層と前記第2電極との間、の少なくともいずれかに設けられ、絶縁性を有し、屈折率が1.62以上、1.98以下である凸部と、を備えている。」とあったものを、
「実施形態に係る有機電界発光素子は、第1電極と、前記第1電極と対峙して設けられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機発光層と、前記第1電極と前記有機発光層との間、および、前記有機発光層と前記第2電極との間、の少なくともいずれかに設けられ、絶縁性を有し、屈折率が1.62以上、1.98以下である凸部と、前記第1電極の前記有機発光層が設けられる側とは反対側に設けられた光路制御層と、を備えている。」として訂正することを請求する。

(4)訂正事項4
特許権者は、本件特許の請求項8に、
「第1電極と、
前記第1電極と対峙して設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機発光層と、
前記第1電極と前記有機発光層との間、および、前記有機発光層と前記第2電極との間、の少なくともいずれかに設けられ、絶縁性を有し、屈折率が1.62以上、1.98以下である凸部と、
を備えた有機電界発光素子と、
前記有機電界発光素子に電流を印加する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を有する発光装置。」とあったものを、
「第1電極と、
前記第1電極と対峙して設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機発光層と、
前記第1電極と前記有機発光層との間、および、前記有機発光層と前記第2電極との間、の少なくともいずれかに設けられ、絶縁性を有し、屈折率が1.62以上、1.98以下である凸部と、
前記第1電極の前記有機発光層が設けられる側とは反対側に設けられた光路制御層と、
を備えた有機電界発光素子と、
前記有機電界発光素子に電流を印加する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を有する発光装置。」と訂正することを請求する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、本件特許の請求項1において、「前記第1電極の前記有機発光層が設けられる側とは反対側に設けられた光路制御層」を備える限定をするものであり、当該限定に係る訂正事項1は、本件特許の請求項6に記載されていた事項に基づくものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、本件特許の請求項6を削除し、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当しないことは明らかであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、本件特許の明細書の段落【0005】に「前記第1電極の前記有機発光層が設けられる側とは反対側に設けられた光路制御層と、」を加入するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当しないことは明らかであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)訂正事項4
訂正事項4は、本件特許の請求項8において、「前記第1電極の前記有機発光層が設けられる側とは反対側に設けられた光路制御層」を備える限定をするものであり、当該限定に係る訂正事項4は、本件特許の請求項6に記載されていた事項に基づくものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 訂正における一群の請求項の存否
本件特許の請求項2?7は、訂正事項1を含む請求項1の記載を引用するものであるから、請求項1?7は一群の請求項である。また、訂正事項4に係る請求項8は、引用する請求項がない。
したがって、上記訂正事項1?4に係る訂正は、一群の請求項ごとに請求されたものである。

4 独立特許要件
特許異議の申立てがされていない請求項3、5及び7に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

5 むすび
したがって、上記訂正請求による訂正事項1?4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項?第7項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?7〕、8について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1、2、4及び8に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明4」及び「本件発明8」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1、2、4及び8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極と対峙して設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機発光層と、
前記第1電極と前記有機発光層との間、および、前記有機発光層と前記第2電極との間、の少なくともいずれかに設けられ、絶縁性を有し、屈折率が1.62以上、1.98以下である凸部と、
前記第1電極の前記有機発光層が設けられる側とは反対側に設けられた光路制御層と、
を備えた有機電界発光素子。」
「【請求項2】
前記凸部は、前記第2電極側に向かうにつれ、前記第1電極が伸びる方向に平行な方向の断面積が漸減する形態を有する請求項1記載の有機電界発光素子。」
「【請求項4】
前記凸部の屈折率をn、前記有機発光層の屈折率をn1とした場合、以下の式を満足する請求項1?3のいずれか1つに記載の有機電界発光素子。
n_(1)×0.9≦n≦n_(1)×1.1」
「【請求項8】
第1電極と、
前記第1電極と対峙して設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機発光層と、
前記第1電極と前記有機発光層との間、および、前記有機発光層と前記第2電極との間、の少なくともいずれかに設けられ、絶縁性を有し、屈折率が1.62以上、1.98以下である凸部と、
を備えた有機電界発光素子と、
前記有機電界発光素子に電流を印加する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を有する発光装置。」

2 取消理由の概要
請求項1、2、4及び8に係る特許に対して平成28年1月18日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
本件特許の請求項1、2、4及び8に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2、4及び8に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。


引用例1.特表2005-534146号公報(甲第1号証)
引用例2.特開2009-44117号公報(甲第2号証)

3 当審の判断
本件発明1、2、4及び8は、特許異議の申立てがされなかった訂正前の請求項6の発明特定事項を含むものであり、特許異議申立人に意見書を提出する機会を与えるまでもなく、特許異議申立の理由及び証拠によっては、請求項1、2、4及び8に係る発明についての特許を取り消すことはできない。

4 むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、2、4及び8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2、4及び8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極と対峙して設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機発光層と、
前記第1電極と前記有機発光層との間、および、前記有機発光層と前記第2電極との間、の少なくともいずれかに設けられ、絶縁性を有し、屈折率が1.62以上、1.98以下である凸部と、
前記第1電極の前記有機発光層が設けられる側とは反対側に設けられた光路制御層と、
を備えた有機電界発光素子。
【請求項2】
前記凸部は、前記第2電極側に向かうにつれ、前記第1電極が伸びる方向に平行な方向の断面積が漸減する形態を有する請求項1記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記凸部の前記第1電極側の面の最大長さをL_(MAX)、前記凸部の高さをHとした場合、以下の式を満足する請求項1または2に記載の有機電界発光素子。
1.4≦L_(MAX)/H≦4.2
【請求項4】
前記凸部の屈折率をn、前記有機発光層の屈折率をn_(1)とした場合、以下の式を満足する請求項1?3のいずれか1つに記載の有機電界発光素子。
n_(1)×0.9≦n≦n_(1)×1.1
【請求項5】
前記凸部は、相互に離間して複数設けられている請求項1?4のいずれか1つに記載の有機電界発光素子。
【請求項6】(削除)
【請求項7】
前記光路制御層の屈折率をn_(2)、前記有機発光層の屈折率をn_(1)とした場合、以下の式を満足する請求項1?5のいずれか1つに記載の有機電界発光素子。
n_(1)×0.9≦n_(2)≦n_(1)×1.1
【請求項8】
第1電極と、
前記第1電極と対峙して設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた有機発光層と、
前記第1電極と前記有機発光層との間、および、前記有機発光層と前記第2電極との間、の少なくともいずれかに設けられ、絶縁性を有し、屈折率が1.62以上、1.98以下である凸部と、
前記第1電極の前記有機発光層が設けられる側とは反対側に設けられた光路制御層と、を備えた有機電界発光素子と、
前記有機電界発光素子に電流を印加する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を有する発光装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-05-17 
出願番号 特願2012-211420(P2012-211420)
審決分類 P 1 652・ 853- YAA (H05B)
P 1 652・ 121- YAA (H05B)
P 1 652・ 856- YAA (H05B)
P 1 652・ 851- YAA (H05B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川村 大輔  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 鉄 豊郎
藤原 敬士
登録日 2015-04-03 
登録番号 特許第5723344号(P5723344)
権利者 株式会社東芝
発明の名称 有機電界発光素子および発光装置  
代理人 小崎 純一  
代理人 日向寺 雅彦  
代理人 市川 浩  
代理人 市川 浩  
代理人 日向寺 雅彦  
代理人 小崎 純一  

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