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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1319749
審判番号 不服2015-17797  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-30 
確定日 2016-09-23 
事件の表示 特願2011-216145「情報処理プログラム,情報処理装置,および情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月25日出願公開,特開2013- 77126〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成23年9月30日の出願であって,平成26年11月26日付けの拒絶理由通知に対して平成27年2月2日付けで意見,手続補正がなされたが,平成27年6月23日付けで拒絶査定(同年6月30日謄本送達)がなされ,これに対して同年9月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ,同年12月16日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされたものである。

第2 平成27年9月30日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成27年9月30日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
平成27年9月30日付けの手続補正は,平成27年2月2日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の記載

「 【請求項1】
共有元アプリケーションよりアプリケーション及びデータを指定した共有指示が入力されると,当該共有指示により指定されるアプリケーションに,同共有指示により指定されるデータを処理させる共有部と,所定のデータ形式を指定した検索指示が入力されると,当該所定のデータ形式のデータを処理可能なアプリケーションを検索する検索部と,操作部と,表示部と,記憶部と,コンピュータとを,備えた情報処理装置において実行される情報処理プログラムであって,
画像データを取得する画像データ取得手段と,
複数のデータ形式のうちいずれかを操作部より受け付けるデータ形式受付手段と,
前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段と,
前記検索部により検索されたアプリケーションの一覧を,前記表示部に表示する一覧表示手段と,
前記一覧表示手段により表示されたアプリケーションのいずれか1つを前記操作部より受け付ける,アプリケーション受付手段と,
前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーション及び,前記取得手段により取得された画像データを,前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を,前記共有部へ入力する入力手段と,
前記データ形式受付手段により受け付けられたデータ形式と,前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーションとを対応づけて前記記憶部に記憶する記憶手段として,前記コンピュータを機能させ,
前記入力手段は,前記記憶手段による記憶が行われた以降,再度,前記画像データ取得手段による画像データの取得,及び前記データ形式受付手段によるデータ形式の受け付けが実行されると,再度前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式に対応づけて前記記憶部に記憶されているアプリケーション及び,再度前記画像データ取得手段により取得された画像データを,同じく再度前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を前記共有部に入力することを特徴とする,情報処理プログラム。
【請求項2】
前記入力手段は,
前記記憶部にデータ形式が記憶されている場合,前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式に代えて,記憶されている前記データ形式を指定した共有指示を入力する一方,前記記憶部に共有条件が記憶されていない場合,前記データ形式受付手段により受け付けたデータの形式を指定した共有指示を入力することを特徴とする,請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記記憶手段により対応づけて記憶されたデータ形式とアプリケーションの消去指示を,前記操作部より受け付ける消去指示受付手段と,
前記消去指示受付手段により前記消去指示を受け付けた場合,前記記憶手段により対応づけて記憶されたデータ形式とアプリケーションとを前記記憶部から消去する消去手段として,前記コンピュータを機能させる請求項1又は2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記画像データ取得手段は,前記情報処理装置に接続された画像読取装置から画像データを取得することを特徴とする,請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
画像データのデータ形式を変換する変換手段として,前記処理装置を機能させ,
前記入力手段は,前記変換手段によりデータ形式が変換された画像データを指定した共有指示を前記共有部へ入力することを特徴とする,請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
共有元アプリケーションよりアプリケーション及びデータを指定した共有指示が入力されると,当該共有指示により指定されるアプリケーションに,同共有指示により指定されるデータを処理させる共有部と,所定のデータ形式を指定した検索指示が入力されると,当該所定のデータ形式のデータを処理可能なアプリケーションを検索する検索部と,操作部と,表示部と,記憶部とを,備えた情報処理装置であって,
画像データを取得する画像データ取得手段と,
複数のデータ形式のうちいずれかを操作部より受け付けるデータ形式受付手段と,
前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段と,
前記検索部により検索されたアプリケーションの一覧を,前記表示部に表示する一覧表示手段と,
前記一覧表示手段により表示されたアプリケーションのいずれか1つを前記操作部より受け付ける,アプリケーション受付手段と,
前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーション及び,前記取得手段により取得された画像データを,前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を,前記共有部へ入力する入力手段と,
前記データ形式受付手段により受け付けられたデータ形式と,前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーションとを対応づけて前記記憶部に記憶する記憶手段とを備え,
前記入力手段は,前記記憶手段による記憶が行われた以降,再度,前記取得手段による画像データの取得,及び前記データ形式受付手段によるデータ形式の受け付けが実行されると,再度前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式に対応づけて前記記憶部に記憶されているアプリケーション及び,再度前記取得手段により取得された画像データを,同じく再度前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を前記共有部に入力することを特徴とする,情報処理装置。
【請求項7】
共有元アプリケーションよりアプリケーション及びデータを指定した共有指示が入力されると,当該共有指示により指定されるアプリケーションに,同共有指示により指定されるデータを処理させる共有部と,所定のデータ形式を指定した検索指示が入力されると,
当該所定のデータ形式のデータを処理可能なアプリケーションを検索する検索部と,操作部と,表示部と,記憶部と,コンピュータとを,備えた情報処理装置において実行される情報処理方法であって,
画像データを取得する画像データ取得工程と,
複数のデータ形式のうちいずれかを操作部より受け付けるデータ形式受付工程と,
前記データ形式受付工程により受け付けた前記データ形式を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力工程と,
前記検索部により検索されたアプリケーションの一覧を,前記表示部に表示する一覧表示工程と,
前記一覧表示工程により表示されたアプリケーションのいずれか1つを前記操作部より受け付ける,アプリケーション受付工程と,
前記アプリケーション受付工程により受け付けられたアプリケーション及び,前記取得工程により取得された画像データを,前記データ形式受付工程により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を,前記共有部へ入力する入力工程と,
前記データ形式受付工程により受け付けられたデータ形式と,前記アプリケーション受付工程により受け付けられたアプリケーションとを対応づけて前記記憶部に記憶する記憶工程と,含み
前記入力工程は,前記記憶工程による記憶が行われた以降,再度,前記取得工程による画像データの取得,及び前記データ形式受付工程によるデータ形式の受け付けが実行されると,再度前記データ形式受付工程により受け付けた前記データ形式に対応づけて前記記憶部に記憶されているアプリケーション及び,再度前記取得工程により取得された画像データを,同じく再度前記データ形式受付工程により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を前記共有部に入力することを特徴とする,情報処理方法。」(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)を,

「【請求項1】
共有元アプリケーションよりアプリケーション及びデータを指定した共有指示が入力されると,当該共有指示により指定されるアプリケーションに,同共有指示により指定されるデータを処理させる共有部と,所定のデータ形式を指定した検索指示が入力されると,当該所定のデータ形式のデータを処理可能なアプリケーションを検索する検索部と,操作部と,表示部と,記憶部と,コンピュータとを,備えた情報処理装置において実行される情報処理プログラムであって,
画像データを取得する画像データ取得手段と,
複数のデータ形式のうちいずれかを操作部より受け付けるデータ形式受付手段と,
前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式及び複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段と,
前記検索部により検索されたアプリケーションの一覧を,前記表示部に表示する一覧表示手段と,
前記一覧表示手段により表示されたアプリケーションのいずれか1つを前記操作部より受け付ける,アプリケーション受付手段と,
前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーション及び,前記取得手段により取得された画像データを,前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を,前記共有部へ入力する入力手段と,
前記データ形式受付手段により受け付けられたデータ形式と,前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーションとを対応づけて前記記憶部に記憶する記憶手段として,前記コンピュータを機能させ,
前記入力手段は,前記記憶手段による記憶が行われた以降,再度,前記画像データ取得手段による画像データの取得,及び前記データ形式受付手段によるデータ形式の受け付けが実行されると,再度前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式に対応づけて前記記憶部に記憶されているアプリケーション及び,再度前記画像データ取得手段により取得された画像データを,同じく再度前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を前記共有部に入力することを特徴とする,情報処理プログラム。
【請求項2】
前記入力手段は,
前記記憶部にデータ形式が記憶されている場合,前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式に代えて,記憶されている前記データ形式を指定した共有指示を入力する一方,前記記憶部に共有条件が記憶されていない場合,前記データ形式受付手段により受け付けたデータの形式を指定した共有指示を入力することを特徴とする,請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記記憶手段により対応づけて記憶されたデータ形式とアプリケーションの消去指示を,前記操作部より受け付ける消去指示受付手段と,
前記消去指示受付手段により前記消去指示を受け付けた場合,前記記憶手段により対応づけて記憶されたデータ形式とアプリケーションとを前記記憶部から消去する消去手段として,前記コンピュータを機能させる請求項1又は2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記画像データ取得手段は,前記情報処理装置に接続された画像読取装置から画像データを取得することを特徴とする,請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
画像データのデータ形式を変換する変換手段として,前記処理装置を機能させ,
前記入力手段は,前記変換手段によりデータ形式が変換された画像データを指定した共有指示を前記共有部へ入力することを特徴とする,請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
共有元アプリケーションよりアプリケーション及びデータを指定した共有指示が入力されると,当該共有指示により指定されるアプリケーションに,同共有指示により指定されるデータを処理させる共有部と,所定のデータ形式を指定した検索指示が入力されると,当該所定のデータ形式のデータを処理可能なアプリケーションを検索する検索部と,操作部と,表示部と,記憶部とを,備えた情報処理装置であって,
画像データを取得する画像データ取得手段と,
複数のデータ形式のうちいずれかを操作部より受け付けるデータ形式受付手段と,
前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式及び複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段と,
前記検索部により検索されたアプリケーションの一覧を,前記表示部に表示する一覧表示手段と,
前記一覧表示手段により表示されたアプリケーションのいずれか1つを前記操作部より受け付ける,アプリケーション受付手段と,
前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーション及び,前記取得手段により取得された画像データを,前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を,前記共有部へ入力する入力手段と,
前記データ形式受付手段により受け付けられたデータ形式と,前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーションとを対応づけて前記記憶部に記憶する記憶手段とを備え,
前記入力手段は,前記記憶手段による記憶が行われた以降,再度,前記取得手段による画像データの取得,及び前記データ形式受付手段によるデータ形式の受け付けが実行されると,再度前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式に対応づけて前記記憶部に記憶されているアプリケーション及び,再度前記取得手段により取得された画像データを,同じく再度前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を前記共有部に入力することを特徴とする,情報処理装置。
【請求項7】
共有元アプリケーションよりアプリケーション及びデータを指定した共有指示が入力されると,当該共有指示により指定されるアプリケーションに,同共有指示により指定されるデータを処理させる共有部と,所定のデータ形式を指定した検索指示が入力されると,
当該所定のデータ形式のデータを処理可能なアプリケーションを検索する検索部と,操作部と,表示部と,記憶部と,コンピュータとを,備えた情報処理装置において実行される情報処理方法であって,
画像データを取得する画像データ取得工程と,
複数のデータ形式のうちいずれかを操作部より受け付けるデータ形式受付工程と,
前記データ形式受付工程により受け付けた前記データ形式及び複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力工程と,
前記検索部により検索されたアプリケーションの一覧を,前記表示部に表示する一覧表示工程と,
前記一覧表示工程により表示されたアプリケーションのいずれか1つを前記操作部より受け付ける,アプリケーション受付工程と,
前記アプリケーション受付工程により受け付けられたアプリケーション及び,前記取得工程により取得された画像データを,前記データ形式受付工程により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を,前記共有部へ入力する入力工程と,
前記データ形式受付工程により受け付けられたデータ形式と,前記アプリケーション受付工程により受け付けられたアプリケーションとを対応づけて前記記憶部に記憶する記憶工程と,含み
前記入力工程は,前記記憶工程による記憶が行われた以降,再度,前記取得工程による画像データの取得,及び前記データ形式受付工程によるデータ形式の受け付けが実行されると,再度前記データ形式受付工程により受け付けた前記データ形式に対応づけて前記記憶部に記憶されているアプリケーション及び,再度前記取得工程により取得された画像データを,同じく再度前記データ形式受付工程により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を前記共有部に入力することを特徴とする,情報処理方法。」(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。下線は請求人が補正箇所を示すために付与したものである。)に補正するものである。

そして,本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており,特許法第17条の2第3項の規定に適合している。
また,本件補正は,特別な技術的特徴を変更(シフト補正)をしようとするものではなく,特許法第17条の2第4項の規定に適合している。


2 目的要件
本件補正は,上記「1 補正の内容」に記載したとおり,本件審判請求と同時にする補正であり,特許請求の範囲について補正をしようとするものであるから,本件補正が,特許法第17条の2第5項の規定を満たすものであるか否か,すなわち,本件補正が,特許法第17条の2第5項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであるかについて,以下に検討する。

(1)本件補正は,下記の補正事項1乃至3よりなるものである。
<補正事項1>
補正前の請求項1の「前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段」なる記載を,補正後の請求項1の「前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式及び複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段」なる記載とする補正。

<補正事項2>
補正前の請求項6の「前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段」なる記載を,補正後の請求項6の「前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式及び複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段」なる記載とする補正。

<補正事項3>
補正前の請求項7の「前記データ形式受付工程により受け付けた前記データ形式を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力工程」なる記載を,補正後の請求項7の「前記データ形式受付工程により受け付けた前記データ形式及び複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力工程」なる記載とする補正。

(2)補正事項1乃至3について
補正事項1乃至3は,発明特定事項である「データ形式入力手段」又は「データ形式入力工程」が検索部に入力する「検索指示」に対して「及び複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別」という限定事項を加えるものであるから,発明特定事項の限定を目的とするものであり,本件補正によっても,補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。

したがって,上記補正事項1乃至3は限定的減縮を目的とするものであり,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると言えることから,特許法第17条の2第5項の規定に適合するものである。


3 独立特許要件
以上のように,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とする上記補正事項1乃至3を含むものである。そこで,限定的減縮を目的として補正された補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は,上記平成27年9月30日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲,明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「共有元アプリケーションよりアプリケーション及びデータを指定した共有指示が入力されると,当該共有指示により指定されるアプリケーションに,同共有指示により指定されるデータを処理させる共有部と,所定のデータ形式を指定した検索指示が入力されると,当該所定のデータ形式のデータを処理可能なアプリケーションを検索する検索部と,操作部と,表示部と,記憶部と,コンピュータとを,備えた情報処理装置において実行される情報処理プログラムであって,
画像データを取得する画像データ取得手段と,
複数のデータ形式のうちいずれかを操作部より受け付けるデータ形式受付手段と,
前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式及び複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段と,
前記検索部により検索されたアプリケーションの一覧を,前記表示部に表示する一覧表示手段と,
前記一覧表示手段により表示されたアプリケーションのいずれか1つを前記操作部より受け付ける,アプリケーション受付手段と,
前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーション及び,前記取得手段により取得された画像データを,前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を,前記共有部へ入力する入力手段と,
前記データ形式受付手段により受け付けられたデータ形式と,前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーションとを対応づけて前記記憶部に記憶する記憶手段として,前記コンピュータを機能させ,
前記入力手段は,前記記憶手段による記憶が行われた以降,再度,前記画像データ取得手段による画像データの取得,及び前記データ形式受付手段によるデータ形式の受け付けが実行されると,再度前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式に対応づけて前記記憶部に記憶されているアプリケーション及び,再度前記画像データ取得手段により取得された画像データを,同じく再度前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を前記共有部に入力することを特徴とする,情報処理プログラム。」

(2)引用文献
(2-1)引用文献1に記載されている技術的事項
本願の出願前に既に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成26年11月26日付けの拒絶理由通知において引用された,特開平11-65795号公報(平成11年3月9日出願公開,以下,「引用文献1」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

A 「【課題】 簡単な操作で,他のプログラムで処理されたデータを他のプログラムに受渡して,そのプログラムを起動することができる情報処理と該装置におけるプログラムの起動方法を提供する。
【解決手段】 領域選択手段により,表示画面上に表示されたデータ領域を選択し,その選択されたデータの種類に基づいて,プログラム検索・起動手段43がプログラム管理テーブル44を参照し,そのデータに対して処理を実行するためのプログラムを検索して起動する。また,そのデータに対して実行可能なプログラムが複数存在する場合,プログラム選択ウインドウ46を表示してユーザに選択させ,その選択されたプログラムを実行する。」

B 「【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明の情報処理装置は以下のような構成を備える。即ち,各種データを表示可能な表示ユニットを有する情報処理装置であって,前記表示ユニットに表示されたデータ領域を選択するための選択手段と,データの種類に応じて前記データに対して処理を実行するための複数のプログラムと,前記複数のプログラムのそれぞれと前記データの種類及び前記プログラムの起動方法とを対応付けて記憶する記憶手段と,前記選択手段により選択されたデータの種類を判別する判別手段と,前記判別手段により判別されたデータの種類に対応するプログラムを前記記憶手段を参照して検索する検索手段と,前記検索手段により検索されたプログラムを前記記憶手段に記憶された起動方法に従って起動する起動手段と,を有することを特徴とする。
(中略)
【0024】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]図2は,本発明の実施の形態のコンピュータ装置の構成を示すブロック図であり,外部記憶装置205には本実施の形態に係るプログラム及びその他種々のプログラムファイルとデータファイルが記憶され,それらはCPU202が必要に応じてメモリ204に読み込んで処理する。これらのプログラムは処理結果の表示やユーザ操作のためのメニュー/アイコン等の部品を表示装置201に表示する。ユーザはこの表示された内容を見て,キーボード,マウス等の入力装置203でCPU202で動作しているプログラムに指示することにより必要な操作を行う。」

C 「【0028】図4は,本発明の実施の形態のコンピュータ装置の基本的な構成を示す機能ブロック図である。
【0029】図4において,41は現在実行しているプログラム,即ち,ユーザが現在使用しているプログラムのプロセスを示している。42は領域選択手段であり,この手段を実行するプログラムは,自身の,或はOSから提供される手段によりユーザによるマウス操作に対応して画面上の領域を選択させ,必要に応じて選択領域中のデータを獲得する。この選択領域から獲得できるデータは,通常はその領域に表示されているビットマップイメージかテキストであるが,プログラム41自身が処理する場合には,そのプログラムが扱っている任意のデータ,例えば編集/表示中のフォーマット付き文字列,図形,或は他の形式のイメージ,その他そのプログラムがその表示領域に関連付けている任意のデータが可能である。この領域選択手段42は,従来のコピー&ペースト操作などで知られているものでもよい。
(中略)
【0038】図6において,実行中のプログラムのプロセス41は,ユーザの操作によって図3(B)のメニュー35を表示する際,まずステップS1で,プログラム検索・起動手段43に領域選択手段42に保持されたデータへのポインタを渡し(T1)メニュー表示を要求する。次にステップS2で,プログラム検索・起動手段43は,T1で渡されたデータへのポインタを記憶するとともにデータの内容を読み出してそのデータ種類を記憶し,プログラム管理テーブル44から,そのデータ種類に対応したエントリを検索し,出現した機能欄の値のリストを返す。
(中略)
【0040】実行中のプログラム41は,得られた機能のリストから図3(B)のメニュー35を作成・表示し,ユーザに選択させる。ステップS3では,この表示されたメニュー35の中から,ユーザが「領域を編集」,「領域を印刷」,「領域を送信」,「領域を保存」のいずれかを選択した場合にはステップS4に進み,プログラム41はプログラム検索・起動手段43に選択された機能名を渡して実行を要求する。
【0041】こうしてステップS4で,その選択されたメニューが実行される。この際,プログラム検索・起動手段43は,メニュー表示の中から選択された項目に基づいて渡された機能名と既に記憶されているデータ種類と機能名から,図5に例示したプログラム管理テーブル44を検索し,対応するエントリを決定する。
【0042】次にステップS5に進み,その得られたエントリのプログラムパス名と起動方法から,記憶されているデータを,その起動方法での記述に従って変換する。即ち,文字列の印刷や編集であるなら,「&saveToTemp($1)」に従って,データを一時ファイルに保存し,次にステップS6で,その一時ファイル名を引数としてプログラムパス名にあるプログラムを起動する。
(中略)
【0047】また更に,図3(B)のメニュー35で,ユーザが「プログラム一覧」を選択した場合は,メニューを表示したプログラムプロセス41は,図6のステップS8からS9に進み,プログラムの一覧の表示を要求する。この場合,プログラム検索・起動手段43は,ステップS4と同様にデータ種類からテーブルを検索し,そのデータ種類に対応したすべてのプログラムの一覧を作成し(S10),図3(B)に示すウインドウ36を表示してユーザに選択させる。
【0048】ここでユーザがいずれかのプログラムを選択すると,ステップS11で,そのプログラムパス名と既に得られているデータ種類からテーブルを検索し,エントリが1つであるなら,そのエントリを用いて,前述のステップS5以下と同様にデータを処理するプログラムを起動する。」

D 「【0059】このためには図4において,実行中のプログラム41は領域選択手段42で選択・保持されているユーザの選択した領域から,複数のデータの種類を抽出すると,それをプログラム検索・起動部43に渡す。
(中略)
【0062】図8は,本実施の形態3のプログラム検索・起動手段43の処理を示すフローチャートである。
【0063】図8におけるステップS31及びS32の処理は,前述した図7のステップS21,S22の処理と同じである。ステップS33では,図7のS23とは異なり,複数のデータ種類を受け取る。そしてステップS34に進み,ステップS32で指示されたプログラム名と複数のデータの各々の組み合わせを用いて,プログラム管理テーブル44を検索する。ここで1つのエントリも見つからなければエラーであるためステップS35からステップS36に進み,エラー処理を実行する。
(中略)
【0065】一方,ステップS37で複数のエントリが見つかった場合はステップS38に進み,指定されたプログラムは複数のデータ種類を処理可能であるため,図9に示すように,それらのデータ種類に対応した選択メニューを表示して,選択されているデータをどう扱うのかをユーザに問い合わせる。こうしてユーザが選択したメニューに基づいて,ユーザが選択したデータ種類に対応したデータを実行中のプログラム41から獲得し,前述の図6のステップS5以降の処理で,そのデータを処理するプログラムを起動する。」

E 「【0109】パラメータ情報保存部306は,起動パラメータ情報を保存する機能をもつ。パラメータ情報の形式は前述の実施の形態4と同一であるが,実体はHD314中の任意の場所に保存される。その形式はアプリケーション・プログラムに依存せず,テキスト形式で統一されている。作成は,例えばアプリケーション・プログラムのインストーラ・プログラムが行うことが可能である。作成後,ユーザのテキスト・エディタによる更新も可能で,この時に設定のデフォルト値や,引数タイプを変更してもよい。
(中略)
【0112】環境情報保存部404は,コンピュータ・システムに予め設定された,環境変数を保存する機能をもつ。プログラム起動情報保存部402は,起動したアプリケーション・プログラムに関して,その起動パス名,そのプロセスID,起動時に最終決定したパラメータ情報(オプションと環境情報の両方を全て含む)を含む情報である。その形式はテキスト形式で,メモり311のシステム管理領域内に保持される。このシステムにより,アプリケーション・プログラムが起動されると,該動作中プログラムに関するエントリが1つ追加され,該プログラム終了と同時にエントリは削除される。
(中略)
【0121】次にステップS55に進み,確定しているアプリケーション・プログラムのパスと,最終決定したパラメータ情報の内,タイプが“opt”で,設定が“on”のものを起動オプションとして,アプリケーション・プログラムを起動する。このようにステップS55においては,確定しているアプリケーション・プログラムのパスと,起動パラメータを用いて,実際にアプリケーション・プログラムが起動されるが,この時,コンピュータのCPU310のシステム・プログラムにより,HD314に記憶されたアプリケーション・プログラムが初めて本体メモリ311にロードされ,実行が開始される。またこの時,プログラム起動情報をプログラム起動情報保存部402に追加する。
(中略)
【0123】また,図19には示していないが,アプリケーション・プログラム終了後,システム・プログラム側のある機能部分が,プログラム起動情報の内容を,プログラム起動情報保存部402より読み込み,それをパラメータ情報保存部306に書き込む,なお,本発明は,複数の機器(例えばホストコンピュータ,インタフェイス機器,リーダ,プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても,一つの機器からなる装置(例えば,複写機,ファクシミリ装置など)に適用してもよい。」

(2-2)引用文献2
本願の出願前に既に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成26年11月26日付けの拒絶理由通知において引用された,特開平4-190421号公報(平成4年7月8日出願公開,以下,「引用文献2」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

F 「同図(b)に示すように,オペレータがアプリケーションを起動するために画面に表示された対象ファイルAまたはBのうち処理しようとする対象ファイル(ここではA)のアイコンAをポインティングデバイスによってクリックして選択すると,ファイル管理部103は選択されたアイコンの示す対象ファイル101のファイルの管理情報とデータタイプAを取り出し,取り出された対象ファイル101のデータタイプAをアプリケーション管理部104に,管理情報をアプリケーション選択起動部105に渡す。そして,アプリケーション管理部104は受は取ったデータタイプAに対応するアプリケーション102の管理情報をアプリケーション選択起動部105に渡す。
この後,アプリケーション選択起動部105は受は取ったアプリケーション102の管理情報から起動するアプリケーションをオペレータに選択させるため,同図(c)に示すように,画面に表示する。
更にこの後,オペレータがアプリケーション選択起動部105によって表示されたアプリケーションから希望するアプリケーションをポインティングデバイスによってクリックして選択すると,アプリケーション選択起動部105は選択されたアプリケーションをファイル管理部103から受は取ったファイル管理情報のファイルに対して起動する。その結果,同図(d)に示すように対象ファイルAの実行状態が画面に表示される。
上記の一実施例においては,画面に表示されたアプリケーション管理テーブル中の複数のアプリケーションからオペレータが選択するように構成しているが,上記アプリケーション選択起動部105を,デフォルトでアプリケーションを起動するよう指示が与えられると,アプリケーション102の管理情報からデフォルトとして指定されているアプリケーションをファイル管理部103から受は取ったファイル管理情報のファイルに対して起動するように構成することは何ら妨げがない。
この場合,上記の一実施例に係るアプリケーション起動方法は,オペレータの選択に従ってアプリケーション選択起動部105が選択されたアプリケーションをファイル管理情報のファイルに対して起動する代わりに,アプリケーション選択起動部1’05がアプリケーション管理部104がら受は取ったアプリケーション群の管理情報からデフォルトとして指定されているアプリケーションを取り-出し,ファイル管理部103から受は取ったファイル管理情報のファイルに対して起動するように変形されることになる。ここで,デフォルトと異なるアプリケーションを起動できるようにするためには,所定のアイコン操作等によって,前述のように他のアプリケーションを選択し得る状態に切り換わるようにすればよい。
上述のように,本実施例のアプリケーション起動装置においては,アプリケーションを起動可能なデータの種別ごとに管理し,アプリケーションを起動する対象となる対象ファイルにそのファイル内のデータの種別を識別するデータタイプを持っており,起動対象の対象ファイルが選ばれるとそのファイルのデータタイプに対して起動可能なアプリケーションを自動又はオペレータの操作により選択させることができる。
また,各データタイプの対象ファイルについて起動可能なアプリケーションを変更,追加,あるいは削除する場合にはそのデータタイプに対応するアプリケーション管理テーブルの内容のみを変更すればよく,各対象ファイルの内容を変更する必要はない。従って,アプリケーションの変更に伴って多数の対象ファイルの変換を行う必要がなく,変換の手間と時間を大幅に削減できることになる。
なお,アプリケーション管理部104がデータタイプごとに起動可能なアプリケーションを管理する方法としてアプリケーション管理テーブルを考えたが,このような方法に限定されるものではなく,例えばアプリケーションのファイル内にそのアプリケーションが起動可能なデータタイプを持ち,対象ファイルが選択された際にそのっどアブリケーションのファイル内のデータタイプを直接検索してアプリケーション管理情報を得るようにしてもよい。また,デフォルトのアプリケーションの指定する方法としてデフォルトアプリケーションを固定とする方法,あるいは前回に起動されたアプリケーションをデフォルトアプリケーションとする方法であってもよい。
さらに本実施例においては画面上にアイコンを表示して対象ファイルに選択する装置を対象としたが,テキストへ-スのアプリケーション起動装置に対しても同様に適用可能であることは明らかである。」(4頁左上3行目?5頁左上11行目)


(2-3)周知文献1
本願の出願前に既に頒布又は電気通信回線を通して公衆に利用可能となった文献,坂本俊之,出村成和,渡邊昌之,基礎から学ぶ組み込みAndroid,株式会社シーアンドアール,2011年1月5日,第1版,63頁-65頁(以下,「周知文献1」という)には,以下の技術的事項が記載されている。

G 『コンーネント間の連携を行う「Intent」(中略)
Intentの仕組み
IntentはAndroidアプリケーションのコンポーネント間で処理を受け渡しするほとんどの場面で登場します。Intentで設定される条件には,「ユーザに情報を表示する(ACTION_VIEW)」や「データの中からユーザーに選択させる(ACTION_PICK)」というコンポーネントが行う動作を設定するアクションと,「ランチャーアプリから起動できる(CATEGORY_LAUCHER)」や「ブラウザから起動できる(CATEGORY_BROWSABLE)」などコンポーネントの起動されるシチュエーションを定義するカテゴリがあり,それによってコンポーネントの機能が抽象化されます。
(中略)
◆「明示的Intentの発行」と「暗黙的Intentの発行」
アプリケーション内のコンポーネントを呼び出す際には,どのようなアクションで実行されるべきか,どのカテゴリで実行されるのかなどの条件をIntentに設定し,その条件に合致するコンポーネントを呼び出すことになります。
特定のServiceを呼び出すときなど,目的となるコンポーネントがあらかじめ明確にわかっている場合には,そのコンポーネントのパッケージ名から直接対象を指定するIntentを作成し,利用します。これを「明示的Intentの発行」といいます。
しかし,Activityなどの機能は抽象化されて登録されており,Intentを発行してActivityを起動する際には,そのIntentを受け取って処理するコンポーネントが何であるかあらかじめ知っておく必要はありません。たとえば,あるデータをユーザに編集させたい場合は,単純に「ユーザに編集させたい(ACTION_EDIT)」という目的とそのデータ(MimeTypeとURL)を指定して,その条件に合致するコンポーネントはないか,システムに問い合わせます。このようなIntentの使い方を「暗黙的Intentの発行」と言いますが,これにより呼び出し元のアプリケーションは,どのアプリケーション内のどのコンポーネントがそのリクエストに応じるかを知っておくことなく,目的の結果を得ることができます。』

(2-4)周知文献2
本願の出願前に既に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成26年11月26日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2004-7517号公報(平成16年1月8日出願公開,以下,「周知文献2」という。)には,関連する図面と共に以下の技術的事項が記載されている。

H 「【0039】
次に,ステップS5では,解像度,サイズ,色形式などの画像データを記憶するための条件を設定する。例えば,JPEG,PDF,GIF,BMPといった画像データの形式や,カラー,モノクロの選択,読取解像度なら200dpi,300dpi,600dpi等,サイズならA4,B5,ハガキ等の選択を行う。
(中略)
【0042】
次に,ステップS7において,原稿読取部10により原稿の読み取りが開始される。ステップS8では,ステップS5において設定した条件に基づいて,指定フォーマットで変換し,原稿データを生成する。
(中略)
【0056】
ステップS26では,画像データが最初のページであるので,ステップS5で指定された様式(データ形式,解像度等)に従って画像データを変換し,ScanToPccの書き込み途中のファイルが存在すると言うことを表す特定の名称を付与して外部記憶媒体37に記憶する。ここで最終的なファイル名を付与せずに中間ファイル的な名称を付与するのは,原稿読取部10の読み取るページが終了しているか否かをファイル名から判断するためである。」

(3)引用発明の認定
引用文献1に記載された発明について検討する。
ア 上記Aには「簡単な操作で,他のプログラムで処理されたデータを他のプログラムに受渡して,そのプログラムを起動することができる情報処理(中略)を提供する」と記載され,上記Bには「図2は,本発明の実施の形態のコンピュータ装置の構成を示すブロック図(中略)CPU202が必要に応じてメモリ204に読み込んで処理する。これらのプログラムは処理結果の表示やユーザ操作のためのメニュー/アイコン等の部品を表示装置201に表示(中略)CPU202で動作しているプログラムに指示することにより必要な操作を行う」と記載されていることから,引用文献1の「情報処理を提供する」手段として「CPUで動作しているプログラム」が記載されており,言い換えれば,CPUで構成される「情報処理装置」で動作する「プログラム」が記載されているといえる。そうすると,引用文献1には,
“他のプログラムで処理されたデータを他のプログラムに受渡して,そのプログラムを起動することができる情報処理装置で動作するプログラム”が記載されていると認められる。

イ 上記Cには「実行中のプログラムのプロセス41は,ユーザの操作によって図3(B)のメニュー35を表示する際,まずステップS1で,プログラム検索・起動手段43に領域選択手段42に保持されたデータへのポインタを渡し(T1)メニュー表示を要求する。次にステップS2で,プログラム検索・起動手段43は,T1で渡されたデータへのポインタを記憶するとともにデータの内容を読み出してそのデータ種類を記憶し,プログラム管理デーブル44から,そのデータ種類に対応したエントリを検索し,出現した機能欄の値のリストを返す(中略)実行中のプログラム41は,得られた機能のリストから図3(B)のメニュー35を作成・表示し,ユーザに選択させる。ステップS3では,この表示されたメニュー35の中から,ユーザが「領域を編集」,「領域を印刷」,「領域を送信」,「領域を保存」のいずれかを選択した場合にはステップS4に進み,プログラム41はプログラム検索・起動手段43に選択された機能名を渡して実行を要求する」と記載されていることから,引用文献1には“実行中のプログラムのプロセスがユーザ操作によって領域選択手段に保持されたデータ種類に対応したエントリの中から選択された機能名をプログラム検索起動手段に渡して実行を要求する”ことが記載されているといえる。
上記Cには「こうしてステップS4で,その選択されたメニューが実行される。この際,プログラム検索・起動手段43は,メニュー表示の中から選択された項目に基づいて渡された機能名と既に記憶されているデータ種類と機能名から,図5に例示したプログラム管理テーブル44を検索し,対応するエントリを決定する。(中略)その得られたエントリのプログラムパス名と起動方法から,記憶されているデータを,その起動方法での記述に従って変換する(中略)次にステップS6で,その一時ファイル名を引数としてプログラムパス名にあるプログラムを起動する」と記載されていることから,引用文献1には“選択された項目に基づいて渡された機能名と既に記憶されているデータ種類と機能名から,対応するエントリを決定し,記憶されているデータを得られたエントリの起動方法での記述に従って変換し,プログラムを起動する,プログラム検索起動手段”が記載されているといえる。
以上のことより,引用文献1には,
“実行中のプログラムのプロセスがユーザ操作よって領域選択手段に保持されたデータ種類に対応したエントリの中から選択された機能名をプログラム検索起動手段に渡して実行を要求すると,選択された項目に基づいて渡された機能名と既に記憶されているデータ種類と機能名から,対応するエントリを決定し,記憶されているデータを得られたエントリの起動方法での記述に従って変換し,プログラムを起動する,プログラム検索起動手段”が記載されていると認められる。

ウ 上記Cには「実行中のプログラムのプロセス41は,ユーザの操作によって図3(B)のメニュー35を表示する際,まずステップS1で,プログラム検索・起動手段43に領域選択手段42に保持されたデータへのポインタを渡し(T1)メニュー表示を要求する。次にステップS2で,プログラム検索・起動手段43は,T1で渡されたデータへのポインタを記憶するとともにデータの内容を読み出してそのデータ種類を記憶し,プログラム管理デーブル44から,そのデータ種類に対応したエントリを検索し,出現した機能欄の値のリストを返す」と記載されていることから、プログラム管理テーブルを検索する前に、領域選択手段で保持されたデータの内容を読み出してそのデータ種類を記憶していることから、検索前にデータのデータ種類を判別し記憶し検索していると解せる。そうすると、引用文献1には、
“メニュー表示を要求され,領域選択手段に保持されたデータのデータ種類を記憶し、プログラム管理テーブルから,そのデータ種類に対応したエントリを検索するプログラム検索起動手段”

エ 上記Bには「図2は,本発明の実施の形態のコンピュータ装置の構成を示すブロック図であり,外部記憶装置205には本実施の形態に係るプログラム及びその他種々のプログラムファイルとデータファイルが記憶され,それらはCPU202が必要に応じてメモリ204に読み込んで処理する。これらのプログラムは処理結果の表示やユーザ操作のためのメニュー/アイコン等の部品を表示装置201に表示する(中略)キーボード,マウス等の入力装置203でCPU202で動作しているプログラムに指示することにより必要な操作を行う」と記載されていることから,引用文献1には,
“キーボード,マウス等の入力装置,処理結果の表示やユーザ操作のためのメニュー/アイコン等の部品を表示する表示装置,プログラムファイルとデータファイルが記憶される外部記憶装置及びCPUが読み込んで処理するメモリ,CPUとから構成されるコンピュータ装置において,CPUで動作するプログラム”が記載されていると認められる。

オ 上記Cには「42は領域選択手段であり,この手段を実行するプログラムは自身の,或はOSから提供される手段によりユーザによるマウス操作に対応して画面上の領域を選択させ,必要に応じて選択領域中のデータを取得する。この選択領域から獲得できるデータは,通常はその領域に表示されているビットマップイメージかテキストである」と記載されていることから、引用文献1には,
“選択領域中のイメージやテキスト等の任意のデータを獲得する領域選択手段”が記載されていると認められる。

カ 上記Bには「前記選択手段より選択されたデータの種類を判別する判別手段」と記載され、上記Cには「領域選択手段に保持されたデータへのポインタを渡し、(中略)データの内容を読み出してそのデータ種類を記憶」と記載されていることから、選択されたデータの種類を判別する判別手段を用いて、選択手段により選択されたデータを読み出して、そのデータ種類を記憶していると解せる。そうすると、引用文献1には,
“選択されたデータの内容を読み出し、そのデータ種類を記憶する手段”が記載されていると認められる。

キ 上記Cには「プログラム検索・起動手段43は,T1で渡されたデータへのポインタを記憶するとともにデータの内容を読み出してそのデータ種類を記憶し,プログラム管理テーブル44から,そのデータ種類に対応したエントリを検索し,出現した機能欄のリストを返す」と記載されていることから,“データの内容を読み出してそのデータ種類を記憶し,そのデータ種類に対応したエントリをプログラム管理テーブルから検索し機能リストを返すプログラム検索起動手段”が記載されているといえる。ここで,「データの内容を読み出してそのデータ種類を記憶し,そのデータ種類に対応したエントリを検索」するときの「そのデータ種類」とは,上記オで検討した「データ種類を記憶する手段」により記憶された「データ種類」といえる。そうすると,引用文献1には,
“前記データ種類を記憶する手段で記憶された前記データ種類に対応したエントリをプログラム管理テーブルから検索し機能リストを返すプログラム検索起動手段”が記載されていると認められる。

ク 上記Cには「実行中プログラム41は,得られた機能のリストから図3(B)のメニュー35を作成・表示し,ユーザに選択させる」と記載されていることから,引用文献1には,
“前記機能リストからメニューを作成表示し,ユーザに選択させる手段”が記載されていると認められる。

ケ 上記Cには「図3(B)のメニュー35で,ユーザが「プログラム一覧」を選択した場合は,メニューを表示したプログラムプロセス41は,図6のステップS8からS9に進み,プログラムの一覧の表示を要求する。この場合,プログラム検索・起動手段43は,ステップS4と同様にデータ種類からテーブルを検索し,そのデータ種類に対応したすべてのプログラムの一覧を作成し(S10),図3(B)に示すウインドウ36を表示してユーザに選択させる」と記載されていることから,引用文献1には,
“ユーザがプログラム一覧を選択した場合,プログラム検索起動手段がデータ種類からテーブルを検索し,そのデータ種類に対応したプログラム一覧を作成しウインドウに表示する手段”が記載されていると認められる。

コ 上記Cには「ここでユーザがいずれかのプログラムを選択すると,ステップS11で,そのプログラムパス名と既に得られているデータ種類からテーブルを検索し,エントリが1つであるなら,そのエントリを用いて,前述のステップS5以下と同様にデータを処理するプログラムを起動する。」と記載され,同じく上記Cには「次にステップS5に進み,その得られたエントリのプログラム名と起動方法から,記憶されているデータを,その起動方法での記述に従って変換する(中略)次にステップS6で,その一時ファイル名を引数としてプログラムパス名にあるプログラムを起動する」と記載されていることから,ユーザが選択したプログラムをプログラムパス名として取得する解せるので,引用文献1には,
“前記プログラム一覧からユーザがプログラムを選択すると,選択されたプログラム(プログラムパス名)を取得する手段と,取得されたプログラム(プログラムパス名)と既に得られているデータ種類からテーブルを検索し,エントリを決定し,決定されたプログラム(プログラムパス名)と起動方法から,記憶されているデータを,その起動方法に従って変換しプログラムを起動するプログラム検索起動手段”が記載されていると認められる。

サ 上記Bには「複数のプログラムと,前記複数のプログラムのそれぞれと前記データの種類及び前記プログラムの起動方法とを対応付けて記憶する記憶手段」と記載されていることから,引用文献1には,
“複数のプログラムと前記データの種類とを対応付けて記憶する記憶手段”が記載されているといえる。
上記Bには「外部記憶装置205には本実施の形態に係るプログラム及びその他種々のプログラムファイルとデータファイルが記憶され,それらはCPU202が必要に応じてメモリ204に読み込んで処理する。」と記載されていることから,外部記憶装置やメモリに記憶し処理するのに“CPUで動作しているプログラムを機能”させていることは明らかである。そうすると,引用文献1には,
“複数のプログラムと前記データの種類とを対応付けて記憶する記憶手段として,CPUで動作しているプログラムを機能させ”ることが記載されていると認められる。

シ 上記Dには「ステップS37で複数のエントリが見つかった場合はステップS38に進み,指定されたプログラムは複数のデータ種類を処理可能であるため,図9に示すように,それらのデータ種類に対応した選択メニューを表示して,選択されているデータをどう扱うのかをユーザに問い合わせる。こうしてユーザが選択したメニューに基づいて,ユーザが選択したデータ種類に対応したデータを実行中のプログラム41から獲得し,前述の図6のステップS5以降の処理で,そのデータを処理するプログラムを起動する」と記載されていることから,複数のエントリが見つたっか場合,言い換えれば,指定されたプログラムが複数のデータ種類を処理可能である場合はユーザに選択させているといえるので,引用文献1には,
“指定されたプログラムが複数のデータ種類を処理可能である場合,データ種類に対応した選択メニューを表示して,選択されているデータをどう扱うのかをユーザに選択させる手段”が記載されていると認められる。

ス 上記Eには「パラメータ情報保存部306は,起動パラメータ情報を保存する機能をもつ」と記載されていることから,引用文献1には,“起動パラメータを保存するパラメータ情報保存部”と“起動パラメータ情報保存部に保存された起動パラメータ”が記載されているといえる。
上記Eには「プログラム起動情報保存部402は,起動したアプリケーション・プログラムに関して,その起動パス名,そのプロセスID,起動時に最終決定したパラメータ情報(オプションと環境情報の両方の全て含む)を含む情報である」が記載されていることから,“起動したアプリケーションプログラムに関して起動時に最終決定したパラメータ情報(オプションと環境情報の両方の全て含む)を保存するプログラム起動情報保存部”が記載されているといえる。上記Eには「アプリケーションプログラム終了後,システム・プログラム側のある機能部分が,プログラム起動情報の内容を,プログラム起動情報保存部402より読み込み,それをパラメータ情報保存部に書き込む」が記載されていることから,“アプリケーションプログラム終了後,プログラム起動情報の内容を,プログラム起動情報保存部よりプログラム情報を読み込み,それをパラメータ保存部に書き込むシステムプログラム”が記載されているといえる。上記Eには「起動パラメータを用いて,実際にアプリケーション・プログラムが起動される」が記載されていることから,“起動パラメータを用いてアプリケーションプログラムを起動する手段”が記載されているといえる。そうすると,引用文献1には,
“起動パラメータを保存するパラメータ情報保存部と,起動したアプリケーションプログラムに関して起動時に最終決定したパラメータ情報(オプションと環境情報の両方を全て含む)を保存するプログラム起動情報保存部と,
アプリケーションプログラム終了後,プログラム起動情報の内容をプログラム起動情報保存部より読み込み,それをパラメータ情報保存部に書き込むシステムプログラムと,パラメータ情報保存部に保存された起動パラメータを用いてアプリケーションプログラムを起動する手段”
が記載されていると認められる。

セ 上記ア乃至スの検討から引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という)が記載されていると認められる。

「他のプログラムで処理されたデータを他のプログラムに受渡して,そのプログラムを起動する情報処理装置で動作するプログラムであって,
実行中のプログラムのプロセスがユーザ操作によって領域選択手段に保持されたデータ種類に対応したエントリの中から選択された機能名をプログラム検索起動手段に渡して実行を要求すると,選択された項目に基づいて渡された機能名と既に記憶されているデータ種類と機能名から,対応するエントリを決定し,記憶されているデータを得られたエントリの起動方法での記述に従って変換し,プログラムを起動する,プログラム検索起動手段と,
メニュー表示を要求され,領域選択手段に保持されたデータのデータ種類を記憶し、プログラム管理テーブルから,そのデータ種類に対応したエントリを検索するプログラム検索起動手段と,
キーボード,マウス等の入力装置,処理結果の表示やユーザ操作のためのメニュー/アイコン等の部品を表示する表示装置,プログラムファイルとデータファイルが記憶される外部記憶装置及びCPUが読み込んで処理するメモリ,CPUとから構成されるコンピュータ装置において,CPUで動作するプログラムと,
選択領域中のイメージやテキスト等の任意のデータを獲得する領域選択手段と,
選択されたデータの内容を読み出し,そのデータ種類を記憶する手段と,
前記データ種類を記憶する手段で記憶された前記データ種類に対応したエントリをプログラム管理テーブルから検索し機能リストを返すプログラム検索起動手段と,前記機能リストからメニューを作成表示し,ユーザに選択させる手段と,
ユーザがプログラム一覧を選択した場合,プログラム検索起動手段がデータ種類からテーブルを検索し,そのデータ種類に対応してプログラム一覧を作成しウインドウに表示する手段と,
前記プログラム一覧からユーザがプログラムを選択すると,選択されたプログラム(プログラムパス名)を取得する手段と,
前記取得されたプログラム(プログラムパス名)と既に得られているデータ種類からテーブルを検索し,エントリを決定し,決定されたエントリのプログラム(プログラムパス名)と起動方法から,記憶されているデータを,その起動方法に従って変換しプログラムを起動するプログラム検索起動手段と,
複数のプログラムと前記データの種類とを対応付けて記憶する記憶手段として,CPUで動作しているプログラムを機能させ,
指定されたプログラムが複数のデータ種類を処理可能である場合,データ種類に対応した選択メニューを表示して,選択されているデータをどう扱うのかをユーザに選択させる手段と,
起動パラメータを保存するパラメータ情報保存部と,起動したアプリケーションプログラムに関して起動時に最終決定したパラメータ情報(オプションと環境情報の両方を全て含む)を保存するプログラム起動情報保存部と,
アプリケーションプログラム終了後,プログラム起動情報の内容をプログラム起動情報保存部より読み込み,それをパラメータ情報保存部に書き込むシステムプログラムと,パラメータ情報保存部に保存された起動パラメータを用いてアプリケーションプログラムを起動する手段と,
を備えることを特徴とする情報処理装置で動作するプログラム。」

(4)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する

(ア)引用発明の「他のプログラムで処理されたデータを他のプログラムに受渡して,そのプログラムを起動する情報処理装置で動作するプログラム」と本件補正発明の「情報処理装置において実行される情報処理プログラム」とを対比すると,
引用発明の「情報処理装置で動作するプログラム」は「情報処理装置」で実行されることが明らかであり「情報処理プログラム」ともいえ,本件補正発明の「情報処理装置において実行させる情報処理プログラム」に相当する。そうすると,両者に実質的な差異はない。

(イ)引用発明の「実行中のプログラムのプロセスがユーザ操作によって領域選択手段に保持されたデータ種類に対応したエントリの中から選択された機能名をプログラム検索起動手段に渡して実行を要求すると,選択された項目に基づいて渡された機能名と既に記憶されているデータ種類と機能名から,対応するエントリを決定し,記憶されているデータを得られたエントリの起動方法での記述に従って変換し,プログラムを起動する,プログラム検索起動手段」と本件補正発明の「共有元アプリケーションよりアプリケーション及びデータを指定した共有指示が入力されると,当該共有指示により指定されるアプリケーションに,同共有指示により指定されるデータを処理させる共有部」とを対比すると,
引用発明の「実行中のプログラムのプロセルがユーザ操作によって領域選択手段に保持されたデータ種類に対応したエントリの中から選択された機能名をプログラム起動手段に渡して実行を要求」することは,本件補正発明の「共有元アプリケーションよりアプリケーション及びデータを指定した共有指示を(共有部へ)入力」することに相当し,引用発明の「選択された項目に渡された機能名と既に記憶されているデータ種類と機能名から,対応するエントリを決定し,記憶されているデータを得られたエントリの起動方法での記述に従って変換し,プログラマ得を起動する」ことは,本件補正発明の「共有指示により指定されるアプリケーションに,同共有指示により指定されるデータを処理させる」ことに相当し,引用発明の「プログラムを起動する,プログラム検索起動手段」は,プログラムを起動させ,データを処理させているので,本件補正発明の「共有部」に相当する。そうすると,両者に実質的な差異はない。

(ウ)引用発明の「メニュー表示を要求され,領域選択手段に保持されたデータのデータ種類を記憶し、プログラム管理テーブルから,そのデータ種類に対応したエントリを検索するプログラム検索起動手段」と本件補正発明の「所定のデータ形式を指定した検索指示が入力されると,当該所定のデータ形式のデータを処理可能なアプリケーションを検索する検索部」と対比すると,
引用発明の「メニュー表示を要求」が本件補正発明の「検索指示」に対応し、引用発明の「領域選択手段に保持されたデータのデータ種類を記憶」することは,本件補正発明の「所定のデータ形式を指定」することに対応し,引用発明の「そのデータ種類に対応したエントリ」は、データ種類に対応したプログラムのプログラムパス名を含んでいるので、本件補正発明の「所定のデータ形式のデータを処理可能なアプリケーション」に対応する。そうすると、引用発明の「エントリを検索するプログラム検索部」は、本件補正発明の「検索部」に相当する。そうすると,両者に実質的な差異はない。

(エ)引用発明の「キーボード,マウス等の入力装置,処理結果の表示やユーザ操作のためのメニュー/アイコン等の部品を表示する表示装置,プログラムファイルとデータファイルが記憶される外部記憶装置及びCPUが読み込んで処理するメモリ,CPUとから構成されるコンピュータ装置において,CPUで動作するプログラム」と本件補正発明の「操作部と,表示部と,記憶部と,コンピュータとを,備えた情報処理装置において実行される情報処理プログラム」と対比すると,
引用発明の「キーボード,マウス等の入力装置」「処理結果の表示やユーザ操作のためのメニュー/アイコン等の部品を表示する表示装置」「プログラムファイルとデータファイルが記憶される外部記憶装置」及び「CPU」は本件補正発明の「操作部」「表示部」「記憶部」及び「コンピュータ」にそれぞれ相当し,引用発明の「CPUで動作するプログラム」は,CPUで構成される情報処理装置において実行されるといえるので,本件補正発明の「情報処理装置において実行される情報処理プログラム」に相当する。そうすると,両者に実質的な差異はない。

(オ)引用発明の「選択領域中のイメージやテキスト等の任意のデータを獲得する領域選択手段」と本件補正発明の「画像データを取得する画像データ取得手段」とを対比すると,
引用発明の「領域選択手段」は,データを獲得(取得)しているので,本件補正発明の「データ取得手段」に相当し,引用発明の「領域選択手段」は「画像データ」だけでなく「イメージやテキスト等の任意のデータ」を獲得(取得)しているので,後記する点で相違するものの,“データを取得するデータ取得手段”である点で一致している。

(カ)引用発明の「選択されたデータの内容を読み出し,そのデータ種類を判別し記憶する手段」と本件補正発明の「複数のデータ形式のうちいずれかを操作部より受け付けるデータ形式受付手段」とを対比すると,
引用発明の「データ種類」は本件補正発明の「データ形式」に対応し,引用発明の「選択されたデータ」には複数のデータ種類(データ形式)が含まれる場合があることが明らかなので,引用発明の「選択されたデータのデータ種類を判別し記憶」することは,複数のデータ種類(データ形式)のうちいずれかをデータ種類(データ形式)を受け付けているといえるので,引用発明の「データ種類を判別し記憶する手段」は本件補正発明の「データ形式受付手段」に対応する。そうすると,後記する点で相違するものの,
“複数のデータ形式のうちいずれかを受け付けるデータ形式受付手段”という点で一致する。

(キ)引用発明の「前記データ種類を記憶する手段で記憶された前記データ種類に対応したエントリをプログラム管理テーブルから検索し機能リストを返すプログラム検索管理手段と,前記機能リストからメニューを作成表示し,ユーザに選択させる手段」と本件補正発明の「前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式及び複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段」とを対比すると,
引用発明の「前記データ種類を記憶する手段で記憶された前記データ種類」は,本件補正発明の「前記データ形式受付手段より受け付けた前記データ形式」に相当し,引用発明の「プログラム管理テーブルから検索」することは,本件補正発明の「検索指示を、前記検索部に入力する」ことに相当する。
また、引用発明の「前記データ種類に対応したエントリを出現し得られた機能リスト」は,複数の処理の種別の中から予め指定された処理の種別を機能リストにしているといえるので,本件補正発明の「複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別」に相当し,引用発明の「メニューを作成表示し,ユーザに選択させる手段」は,選択された項目に基づいてプログラム管理テーブルを検索するプログラム検索起動手段の入力となることから,本件補正発明の「処理の種別を指定した検索指示を,前記検索部に入力するデータ形式入力手段」に相当する。そうすると,後記する点で相違するものの,
“前記アプリケーション受付手段により受け付けた前記データ形式又は複数の処理の種別のうち予め指定された処理を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段”という点で一致する。

(ク)引用発明の「ユーザがプログラム一覧を選択した場合,プログラム検索起動手段がデータ種類からテーブルを検索し,そのデータ種類に対応したプログラム一覧を作成しウインドウに表示する手段」と本件補正発明の「前記検索部により検索されたアプリケーションの一覧を,前記表示部に表示する一覧表示手段」とを対比すると,
引用発明の「プログラム検索起動手段がデータ種類からテーブルを検索しデータ種類に対応したプログラム一覧」は,検索部より検索されたアプリケーション一覧といえるので,本件補正発明の「前記検索部より検索されたアプリケーションの一覧」に相当する。引用発明の「プログラム一覧を作成しウインドウに表示する手段」は本件補正発明の「表示部に表示する一覧表示手段」に相当する。そうすると,両者に実質的な差異は無い。

(ケ)引用発明の「前記プログラム一覧からユーザがプログラムを選択すると,選択されたプログラム(プログラムパス名)を取得する手段」と本件補正発明の「前記一覧表示手段により表示されたアプリケーションのいずれか1つを前記操作部より受け付ける,アプリケーション受付手段」とを対比すると,
引用発明の「前記プログラム一覧」は本件補正発明の「前記一覧表示手段により表示されたアプリケーション」に相当し,引用発明の「ユーザがプログラムを選択すると,選択されたプログラムのプログラムパス名を取得する」ことは,ユーザが操作部より行うことが明らかであるので,本件補正発明の「表示されたアプリケーションのいずれか1つを操作部より受け付ける」ことに相当し,引用発明の「選択されたプログラム(プログラムパス名)を取得する手段」は,本件補正発明の「アプリケーション受付手段」に相当する。そうすると,両者に実質的な差異は無い。

(コ)引用発明の「前記取得されたプログラム(プログラムパス名)と既に得られているデータ種類からテーブルを検索し,エントリーを決定し,決定されたエントリのプログラム(プログラムパス名)と起動方法から,記憶されているデータを,その起動方法の記述に従って変換しプログラムを起動するプログラム検索起動手段」と本件補正発明の「前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーション及び,前記取得手段により取得された画像データを,前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を,前記共有部へ入力する入力手段」とを対比すると,
引用発明の「前記選択されたプログラム(プログラムパス名)」は,本件補正発明の「前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーション」に相当し,引用発明の「既に得られているデータ種類」は前記取得手段により取得されたデータ形式といえるので,引用発明の「プログラムを起動するプログラム検索起動手段」は本件補正発明の「指定した共有指示を共有部に入力する入力手段」に相当する。そうすると,後記する点で相違するものの,
“前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーション及び,前記取得手段により取得されたデータを指定した共有指示を,前記共有部に入力する入力手段”という点で一致する。

(サ)引用発明の「複数のプログラムと前記データの種類とを対応付けて記憶する記憶手段として,CPUで動作しているプログラムを機能させ」と本件補正発明の「前記データ形式受付手段により受け付けられたデータ形式と,前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーションとを対応づけて前記記憶部に記憶する記憶手段として,前記コンピュータを機能させ」とを対比すると,
引用発明の「データの種類」「データの種類に応じて前記データに対して処理を実行するための複数のプログラム」「CPUで動作しているプログラムを機能させ」は本件補正発明の「データ形式」「アプリケーション」「コンピュータに機能させ」にそれぞれ相当し,引用発明の「記憶する記憶手段」は「記憶部」に記憶していることは明らかである。そうすると,後記する点で相違するものの,
“データ形式とアプリケーションとを対応づけて前記記憶部に記憶する記憶手段として,コンピュータに機能させ”という点で一致する。

(シ)上記(ア)乃至(サ)の検討により,以下の点で一致し,以下の点で相違する。

<一致点>
共有元アプリケーションよりアプリケーション及びデータを指定した共有指示が入力されると,当該共有指示により指定されるアプリケーションに,同共有指示により指定されるデータを処理させる共有部と,所定のデータ形式を指定した検索指示が入力されると,当該所定のデータ形式のデータを処理可能なアプリケーションを検索する検索部と,操作部と,表示部と,記憶部と,コンピュータとを,備えた情報処理装置において実行される情報処理プログラムであって,
データを取得するデータ取得手段と,
複数のデータ形式のうちいずれかを受け付けるデータ形式受付手段と,
前記アプリケーション受付手段により受け付けた前記データ形式又は複数の処理の種別のうち予め指定された処理を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段と,
前記検索部により検索されたアプリケーションの一覧を,前記表示部に表示する一覧表示手段と,
前記一覧表示手段により表示されたアプリケーションのいずれか1つを前記操作部より受け付ける,アプリケーション受付手段と,
前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーション及び,前記取得手段により取得されたデータを指定した共有指示を,前記共有部へ入力する入力手段と,
データ形式とアプリケーションとを対応づけて前記記憶部に記憶する記憶手段として,前記コンピュータを機能させること,
を特徴とする,情報処理プログラム。

<相違点1>
“データ取得手段”において,本件補正発明では取得するデータを「画像データ」に特定し「画像データ取得手段」としているのに対して,引用発明では取得するデータを「イメージやテキスト等のプログラムが扱っている任意のデータ」としているもののそのように特定されていない点。

<相違点2>
“データ形式受付手段”について,本件補正発明では「操作部により」「複数のデータ形式のうちいずれかを受け付ける」のに対して,引用発明ではその点が特定されていない点。

<相違点3>
“データ形式入力手段”において,検索部に入力する“検索指示”について,本件補正発明では「データ形式受付手段により受け付けたデータ形式及び複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別」を指定しているのに対して,引用発明では「データ形式受付手段により受け付けたデータ形式」又は「複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別」を指定した検索指示としているものの,そのように特定されていない点。

<相違点4>
“入力手段”において,共有指示で指定されるデータが,本件補正発明では「取得された画像データをデータ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データ」であるのに対して,引用発明ではそのように特定されていない点。

<相違点5>
“データ形式とアプリケーションとを対応づけて記憶部に記憶させる記憶手段”において,本件補正発明では「データ形式受付手段により受け付けられたデータ形式と,前記アプリケーション手段により受け付けられたアプリケーションとを対応づけて前記記憶部に記憶する記憶手段」と特定され,対応づけて記憶部に記憶する「データ形式」と「アプリケーション」の「受付手段」を特定し「データ形式受付手段より受け付けられたデータ形式」と「アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーション」としているのに対して,引用発明では“データ形式とアプリケーションとを対応づけて記憶部に記憶”しているもののそのように特定されていない点。

<相違点6>
本件補正発明では「前記入力手段は,前記記憶手段による記憶が行われた以降,再度,前記画像データ取得手段による画像データの取得,及び前記データ形式受付手段によるデータ形式の受け付けが実行されると,再度前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式に対応づけて前記記憶部に記憶されているアプリケーション及び,再度前記画像データ取得手段により取得された画像データを,同じく再度前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を前記共有部に入力」しているのに対して,引用発明では「アプリケーションプログラム終了後,プログラム起動情報の内容をプログラム起動情報保存部より読み込み,それをパラメータ情報保存部に書き込むシステムプログラムと,パラメータ情報保存部に保存された起動パラメータを用いてアプリケーションプログラムを起動する手段」が記載されているものの引用発明ではそのように特定されていない点。

(5)当審の判断
上記相違点1乃至6について検討する。

(5-1)相違点1について
引用発明の「イメージやテキスト等のプログラムが扱っている任意のデータ」を画像データ(イメージ)のみに特定し,データ取得手段を画像データ取得手段とすることに格別の困難性がない。
よって,相違点1は格別なものではない。

(5-2)相違点2について
引用発明の「選択されたデータを読み出し,そのデータ種類を記憶する手段」は,データ種類がいずれかひとつに判別できる態様であり,いずれかひとつに判別できな場合、例えば、指定されたプログラムが複数のデータ種類を処理可能である場合、引用発明においても「データ種類に対応した選択メニューを表示して,選択されているデータをどう扱うのかをユーザに選択させる手段」を備えており,ユーザに選択させる手段のような操作部を備えて,データ種類のいずれかを受け付けるようにすることは当業者が適宜なし得ることである。
よって,相違点2は格別のものではない。

(5-3)相違点3について
周知文献1(上記G参照)には「Activityなどの機能は抽象化されて登録されており,intentを発行してActivityを起動する際には,そのIntentを受け取って処理するコンポーネントが何であるかあらかじめ知っておく必要はありません。たとえば,あるデータをユーザに編集させたい場合は,単純に「ユーザに編集させたい(ACTION_EDIT)」という目的とそのデータ(MimeTypeとURL)を指定して,その条件に合致するコンポーネントはないか,システムに問い合わせます。このようなIntentの使い方を「暗黙的Intentの発行」と言いますが,これにより呼び出し元のアプリケーションは,どのアプリケーション内のどのコンポーネントがそのリクエストに応じるかを知っておくことなく,目的の結果を得ることができます」と記載されているように,条件に合致するコンポーネントを検索する指示として,データ形式(MimeType)及び予め指定された処理の種別(ACTION_EDIT)を指定した検索指示(条件に合致するものが無いかシステムに問い合わせ)することは周知技術に過ぎない。
すなわち,引用発明の「データ形式受付手段により受け付けたデータ形式」や「複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別」を指定することを,本件補正発明のように「データ形式受付手段により受け付けたデータ形式及び複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別」を指定して検索指示をすることは当業者が適宜なし得ることである。
よって,相違点3は格別なものではない。

(5-4)相違点4について
周知文献2(上記H参照)に「ステップS5では,解像度,サイズ,色形式などの画像データを記憶するための条件を設定する。例えば,JPEG,PDF,GIF,BMPといった画像データの形式(中略)の選択を行う(中略)ステップS7において,原稿読取部10により原稿の読み取りが開始される。ステップS8では,ステップS5において設定した条件に基づいて,指定フォーマットで変換し,原稿データを生成する(中略)ステップS5で指定された様式(データ形式,解像度等)に従って画像データを変換し(中略)外部記憶媒体37に記憶する」と記載されているように,取得されたデータ(原稿の読み取りデータ)を受け付けたデータ形式(条件として設定した画像データの形式)へ変換することで得られる画像データを共有(外部記憶媒体に記憶)させることは周知技術に過ぎない。
すなわち,引用発明の「記憶されているデータを,その起動方法の記述に従って変換するプログラム検索起動手段」を用いて本件補正発明のように「取得された画像データ」を「データ形式受付手段により受け付けられたでーた形式」へ変換することや「変換することで得られた画像データ」を共有させることは当業者が適宜なし得ることである。
よって,相違点4は格別なものではない。

(5-5)相違点5について
引用発明の「起動したアプリケーションプログラムに関して起動時に最終決定したパラメータ情報(オプションと環境情報の両方を全て含む)を保存するプログラム起動情報保存部」,起動したアプリケーションプログラムに関して,起動時に最終決定したオプションや環境情報等のパラメータ情報を保存させており,「データ形式(データの種類)」と「アプリケーション(データの種類に応じて前記データに対して処理を実行するための複数のプログラム)」とを対応づけて記憶するのに,アプリケーションプログラムで最終決定したパラメータとして,受付手段から入力されたものを記憶させることは当業者が適宜なし得ることである。
すなわち,本件補正発明のように対応づけて記憶部に記憶する「データ形式」と「アプリケーション」の「受付手段」を特定し「データ形式受付手段より受け付けられたデータ形式」と「アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーション」とすることに格別の困難性が認められない。
よって,相違点5は格別なものではない。

(5-6)相違点6について
引用文献2(上記F参照)には,「アプリケーション選択起動部105は受け取ったアプリケーション102の管理情報から起動するアプリケーションをオペレータに選択させる(中略)アプリケーション選択起動部105を,デフォルトでアプリケーションを起動するよう指示が与えられると,アプリケーション102の管理情報からデフォルトとして指定されているアプリケーションをファイル管理部103から受け取ったファイル管理情報のファイルに対して起動するように構成する(中略)前回起動されたアプリケーションをデフォルトアプリケーションとする方法であってもよい。」と記載されているように,処理対象ファイルのデータタイプに対応するアプリケーションの管理情報がデフォルトとして指定されているアプリケーションがあれば,当該アプリケーションを起動させ,そうでなければアプリケーションの管理情報から起動するアプリケーションをオペレータに選択させる技術において,前回起動されたアプリケーションをデフォルトのアプリケーションとすることは周知技術に過ぎない。
また,引用発明には「起動パラメータを保存するパラメータ情報保存部と,起動したアプリケーションプログラムに関して起動時に最終決定したパラメータ情報(オプションと環境情報の両方を全て含む)を保存するプログラム起動情報保存部と,アプリケーションプログラム終了後,プログラム起動情報の内容をプログラム起動情報保存部より読み込み,それをパラメータ情報保存部に書き込むシステムプログラムと,パラメータ情報保存部に保存された起動パラメータを用いてアプリケーションプログラムを起動する手段」が記載されていることから,アプリケーションプログラムが終了後に,起動時に最終確定したパラメータ情報を起動パラメータとして保存して,当該起動パラメータを用いてアプリケーションプログラムを起動すると解せるので,「再度」アプリケーションプログラムが起動される場合,前回最終決定されたパラメータ情報による起動パラメータにより「再度同じく」起動されることが示唆されている。
してみれば,所定のデータ形式に対応するアプリケーションが起動されたことを「記憶」しておき,次回に処理を行う際に,所定のデータ形式に対応するアプリケーションが起動されたことの「記憶」があれば,当該アプリケーションをデフォルトのアプリケーションとし「再度」の一連の処理を行わせることは,当業者の通常の創作能力の発揮によって容易になし得ることである。
すなわち,本件補正発明の「入力手段」が,前記記憶手段による記憶が行われた以降,「再度」,前記画像データ取得手段による画像データの取得,及び前記データ形式受付手段によるデータ形式の受け付けが実行されると,「再度」前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式に対応づけて前記記憶部に記憶されているアプリケーション及び,「再度」前記画像データ取得手段により取得された画像データを,「同じく再度」前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を前記共有部に入力する「再度」の一連の処理を行うことも当業者が適宜なし得ることに過ぎない。
よって,相違点6は格別なものではない。

(6)小括
上記で検討したごとく,相違点1乃至6に係る構成は当業者が容易に想到し得たものであり,そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本件補正発明は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定のむすび
上記「3 独立特許要件」で指摘したとおり,補正後の請求項1に記載された発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから,本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について

1 本願発明
平成27年9月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,補正後の請求項1に対応する補正前の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成27年2月2日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。

「共有元アプリケーションよりアプリケーション及びデータを指定した共有指示が入力されると,当該共有指示により指定されるアプリケーションに,同共有指示により指定されるデータを処理させる共有部と,所定のデータ形式を指定した検索指示が入力されると,当該所定のデータ形式のデータを処理可能なアプリケーションを検索する検索部と,操作部と,表示部と,記憶部と,コンピュータとを,備えた情報処理装置において実行される情報処理プログラムであって,
画像データを取得する画像データ取得手段と,
複数のデータ形式のうちいずれかを操作部より受け付けるデータ形式受付手段と,
前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式を指定した検索指示を,前記検索部に入力する,データ形式入力手段と,
前記検索部により検索されたアプリケーションの一覧を,前記表示部に表示する一覧表示手段と,
前記一覧表示手段により表示されたアプリケーションのいずれか1つを前記操作部より受け付ける,アプリケーション受付手段と,
前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーション及び,前記取得手段により取得された画像データを,前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を,前記共有部へ入力する入力手段と,
前記データ形式受付手段により受け付けられたデータ形式と,前記アプリケーション受付手段により受け付けられたアプリケーションとを対応づけて前記記憶部に記憶する記憶手段として,前記コンピュータを機能させ,
前記入力手段は,前記記憶手段による記憶が行われた以降,再度,前記画像データ取得手段による画像データの取得,及び前記データ形式受付手段によるデータ形式の受け付けが実行されると,再度前記データ形式受付手段により受け付けた前記データ形式に対応づけて前記記憶部に記憶されているアプリケーション及び,再度前記画像データ取得手段により取得された画像データを,同じく再度前記データ形式受付手段により受け付けたデータ形式へ変換することで得られる画像データを指定した共有指示を前記共有部に入力することを特徴とする,情報処理プログラム。」

2 引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された,引用発明は,前記「第2 平成27年9月30日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(3)引用発明の認定」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は,前記「第2 平成27年9月30日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」で検討した本件補正発明の発明特定事項である「データ形式入力手段」が検索部に入力する検索指示について,「及び複数の処理の種別のうち予め指定された処理の種別」の限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が,前記「第2 平成27年9月30日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(2)引用文献」乃至「(5)当審の判断」に記載したとおり,引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,上記特定の限定を省いた本願発明も同様の理由により,引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-07-22 
結審通知日 2016-07-26 
審決日 2016-08-09 
出願番号 特願2011-216145(P2011-216145)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂庭 剛史  
特許庁審判長 石井 茂和
特許庁審判官 辻本 泰隆
高木 進
発明の名称 情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法  

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