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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1320191
異議申立番号 異議2015-700156  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-09 
確定日 2016-08-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5714068号発明「ゲーム機、及びそれを利用したカード発行方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5714068号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の一群の請求項〔1乃至3〕、並びに請求項4及び請求項5について、訂正することを認める。 特許第5714068号の請求項1乃至5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5714068号の請求項1乃至5に係る特許についての出願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成24年6月18日(優先日、平成23年7月28日)に特許出願した特願2012-137315号の一部を平成25年8月19日に新たな特許出願としたものであって、平成27年3月20日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人東京総合コンサルティング株式会社、箕浦裕美子及び椎名彊により特許異議の申立てがなされ、平成28年3月11日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年5月16日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。


第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)乃至(3)のとおりである。
(1)請求項1乃至3からなる一群の請求項に係る訂正
請求項1に係る「前記再現手段は、前記変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、当該変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされた前記ゲーム情報記録媒体の前記コードを介して当該ゲーム情報記録媒体の前記ゲーム情報が取得された場合には、当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現する」を「前記再現手段は、前記変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、当該変化後ゲーム情報記録媒体及び当該変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされた前記ゲーム情報記録媒体が併存する状態において前記コードを介して当該ゲーム情報記録媒体の前記ゲーム情報が取得された場合には、前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタが育成し直されるように、当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現する」に訂正する。(以下「訂正事項1」という。下線は審決で付した。以下同じ。)
(2)請求項4に係る訂正
請求項4に係る「前記再現手段を、前記変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、当該変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされた前記ゲーム情報記録媒体の前記コードを介して当該ゲーム情報記録媒体の前記ゲーム情報が取得された場合には、当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現する手段として更に機能させるように構成された」を「前記再現手段を、前記変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、当該変化後ゲーム情報記録媒体及び当該変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされた前記ゲーム情報記録媒体が併存する状態において前記コードを介して当該ゲーム情報記録媒体の前記ゲーム情報が取得された場合には、前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタが育成し直されるように、当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現する手段として更に機能させるように構成された」に訂正する。以下「訂正事項2」という。
(3)請求項5に係る訂正
請求項5に係る「前記再現手段にて、前記変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、当該変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされた前記ゲーム情報記録媒体の前記コードを介して当該ゲーム情報記録媒体の前記ゲーム情報が取得された場合には、当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現する手順を更に実行させる」を「前記再現手段にて、前記変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、当該変化後ゲーム情報記録媒体及び当該変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされた前記ゲーム情報記録媒体が併存する状態において前記コードを介して当該ゲーム情報記録媒体の前記ゲーム情報が取得された場合には、前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタが育成し直されるように、当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現する手順を更に実行させる」に訂正する。以下「訂正事項3」という。

2.訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア.訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の「変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後」における、「変化後ゲーム情報記録媒体」と「変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされたゲーム情報記録媒体」の状態を具体的に限定し、また、ゲーム情報記録媒体のゲーム情報が取得された場合におけるゲーム内に再現されるキャラクタ画像を具体的に限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

イ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
当該訂正事項1に関連する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明には「一方で、キャラクタの育成等、ゲーム結果に納得がいかない場合には、プレイ前のカードを利用して、育成し直すこともできる。」(【0045】)と記載されていることから、「キャラクタを育成し直すように」当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現することは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。
また、前記発明の詳細な説明の記載より、プレイ後に新しいカード、つまり、変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後であってもプレイ前のカード、つまり、ゲーム情報記録媒体が利用できることは明らかである。
したがって、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

エ.一群の請求項についての説明
訂正事項1に係る訂正後の請求項1乃至3に係る発明は、訂正事項1を含む請求項1の記載を請求項2及び請求項3が引用しているものであるから、当該訂正後の請求項1乃至3に係る発明は、特許法第120条の5第4項に定めるところの一群の請求項である。

オ.小括
したがって、請求項1乃至3からなる一群の請求項についての本件訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第4項乃至第6項までの規定に適合するので、当該訂正事項1を認める。

(2)訂正事項2について
訂正前の請求項4は、訂正前の請求項1の「ゲーム機」を、「ゲーム機用のコンピュータプログラム」として、その記載を改めたものであって、その内容は、実質的に訂正前の請求項1と相違しない。
そして、当該訂正事項2は、訂正事項1と実質的に同じ訂正事項であるから、上記(1)と同じ理由により、請求項4についての本件訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項乃至第6項までの規定に適合するので、当該訂正事項2を認める。

(3)訂正事項3について
訂正前の請求項5は、訂正前の請求項1の「ゲーム機」を、「制御方法」として、その記載を改めたものであって、その内容は、実質的に訂正前の請求項1と相違しない。
そして、当該訂正事項3は、訂正事項1と実質的に同じ訂正事項であるから、上記(1)と同じ理由により、請求項5についての本件訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項乃至第6項までの規定に適合するので、当該訂正事項3を認める。

(4)特許異議申立人の意見について
特許異議申立人東京総合コンサルティング株式会社は、本件訂正請求による訂正に対して、サポート要件違反を主張する。また、特許異議申立人箕浦裕美子は、本件訂正請求による訂正に対して、新規事項の追加、独立特許要件違反を主張する。特許異議申立人椎名彊は、本件訂正請求による訂正に対して、新規事項の追加、独立特許要件違反を主張する。
しかし、上記「(1) ウ.」のとおり、本件訂正事項1は、新規事項の追加に該当しないし、本件訂正事項2及び3も同様の理由により、新規事項の追加に該当しない。
また、上記各特許異議申立人による申立ては、全ての請求項に対してなされたものであるから、独立特許要件の判断を要しない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1乃至5について訂正を認める。


第3 特許異議の申立てについて
1.本件特許発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1乃至5に係る発明(以下「本件特許発明1」乃至「本件特許発明5」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
キャラクタ画像に対応するキャラクタを定義するゲーム情報及び当該ゲーム情報を示す情報を含むコードが視認可能に印刷されたゲーム情報記録媒体の前記コードを介して前記ゲーム情報を取得してゲームで利用するゲーム機であって、
前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタの前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現することにより、前記ゲーム情報を前記ゲームで利用する再現手段と、
前記再現手段によって再現された前記キャラクタ画像を利用した前記ゲームの結果に応じて前記ゲーム情報が変化した場合に、変化後ゲーム情報及び当該変化後ゲーム情報を示す情報を含む変化後コードが視認可能に印刷される変化後ゲーム情報記録媒体が前記ゲーム情報記録媒体とは別に生成されるように、前記変化後ゲーム情報を提供する変化後情報提供手段と、
を備え、
前記ゲームとして、前記キャラクタを育成する育成ゲームが採用され、
前記ゲーム情報は、前記ゲームで実行され得るオプションの情報を、前記変化後ゲーム情報は前記ゲームの結果に応じて変化した後のオプションの情報を、それぞれ含み、
前記再現手段は、前記変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、当該変化後ゲーム情報記録媒体及び当該変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされた前記ゲーム情報記録媒体が併存する状態において前記コードを介して当該ゲーム情報記録媒体の前記ゲーム情報が取得された場合には、前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタが育成し直されるように、当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現する、ことを特徴とするゲーム機。
【請求項2】
二次元コードを読み取って当該二次元コードに含まれる情報を取得可能な読み取り装置を更に備え、
前記変化後情報提供手段は、前記読み取り装置で読み取り可能なゲーム用二次元コードが前記変化後コードとして前記変化後ゲーム情報記録媒体に印刷されるように前記変化後ゲーム情報を提供する、請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記ゲームの結果に応じた変化として、前記オプションの数の変化が採用され、
前記ゲーム情報記録媒体には、前記オプションを視認可能に表示するためのオプション表示欄が設けられ、
前記オプション表示欄は、前記オプションの数が増加した場合に、増加したオプションを追加するための空欄を含んでいる、請求項1又は2に記載のゲーム機。
【請求項4】
キャラクタ画像に対応するキャラクタを定義するゲーム情報及び当該ゲーム情報を示す情報を含むコードが視認可能に印刷されたゲーム情報記録媒体の前記コードを介して前記ゲーム情報を取得してゲームで利用するゲーム機に組み込まれるコンピュータを、
前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタの前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現することにより、前記ゲーム情報を前記ゲームで利用する再現手段、及び前記再現手段によって再現された前記キャラクタ画像を利用した前記ゲームの結果に応じて前記ゲーム情報が変化した場合に、変化後ゲーム情報及び当該変化後ゲーム情報を示す情報を含む変化後コードが視認可能に印刷される変化後ゲーム情報記録媒体が前記ゲーム情報記録媒体とは別に生成されるように、前記変化後ゲーム情報を提供する変化後情報提供手段として機能させるように構成され、
前記ゲームとして、前記キャラクタを育成する育成ゲームが採用され、
前記ゲーム情報は、前記ゲームで実行され得るオプションの情報を、前記変化後ゲーム情報は前記ゲームの結果に応じて変化した後のオプションの情報を、それぞれ含んでおり、
前記再現手段を、前記変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、当該変化後ゲーム情報記録媒体及び当該変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされた前記ゲーム情報記録媒体が併存する状態において前記コードを介して当該ゲーム情報記録媒体の前記ゲーム情報が取得された場合には、前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタが育成し直されるように、当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現する手段として更に機能させるように構成されたゲーム機用のコンピュータプログラム。
【請求項5】
キャラクタ画像に対応するキャラクタを定義するゲーム情報及び当該ゲーム情報を示す情報を含むコードが視認可能に印刷されたゲーム情報記録媒体の前記コードを介して前記ゲーム情報を取得してゲームで利用するゲーム機に組み込まれるコンピュータに、
前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタの前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現することにより、前記ゲーム情報を前記ゲームで利用する再現手順と、
前記再現手段によって再現された前記キャラクタ画像を利用した前記ゲームの結果に応じて前記ゲーム情報が変化した場合に、変化後ゲーム情報及び当該変化後ゲーム情報を示す情報を含む変化後コードが視認可能に印刷される変化後ゲーム情報記録媒体が前記ゲーム情報記録媒体とは別に生成されるように、前記変化後ゲーム情報を提供する変化後情報提供手順と、
を実行させ、
前記ゲームとして、前記キャラクタを育成する育成ゲームが採用され、
前記ゲーム情報は、前記ゲームで実行され得るオプションの情報を、前記変化後ゲーム情報は前記ゲームの結果に応じて変化した後のオプションの情報を、それぞれ含んでおり、
前記再現手段にて、前記変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、当該変化後ゲーム情報記録媒体及び当該変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされた前記ゲーム情報記録媒体が併存する状態において前記コードを介して当該ゲーム情報記録媒体の前記ゲーム情報が取得された場合には、前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタが育成し直されるように、当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現する手順を更に実行させる、制御方法。」

2.取消理由の概要
訂正前の請求項1乃至5に係る特許に対して平成28年3月11日付けで特許権者に通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)請求項1、2、4及び5に係る発明は刊行物1及び2に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同項に係る特許は、取り消されるべきものである。(以下「取消理由1」という。)
また、請求項3に係る発明は刊行物1乃至3に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同項に係る特許は、取り消されるべきものである。
(2)請求項1、2、4及び5に係る発明は刊行物1及び4に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同項に係る特許は、取り消されるべきものである。(以下「取消理由2」という。)
また、請求項3に係る発明は刊行物1、3及び4に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同項に係る特許は、取り消されるべきものである。

3.刊行物の記載
(1)刊行物1
本件特許の優先日前の平成14年3月5日に頒布された特開2002-65936号公報には、以下の記載がある。
「【請求項2】 イメージコード付き物品のイメージコード情報を読み取るイメージコード読取手段と、
このイメージコード読取手段により読み取られたイメージコード情報により決まるキャラクタをゲームに参加させて当該ゲームを展開するゲーム装置本体と、
このゲーム装置本体でプレーするゲームのキャラクタをイメージにしてプリントするためのデータおよび当該キャラクタの特性データをイメージコードにしてプリントするためのデータを出力するプリント用データ出力手段とを具備してなるゲーム装置。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はイメージコード情報を読み取ってゲーム展開のためのデータを変更したり、新たなキャラクタを加えてゲームを展開させたりすることができるゲーム装置に関する。」
「【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1(a)にはゲーム装置1が示されている。このゲーム装置1はゲーム装置本体2にイメージコード読取手段としてのQRコードリーダ3を着脱可能に装着して構成されている。QRコードリーダ3はイメージコードとしてのQRコードを読み取ってデコードするもので、図2に示すように光学的読取手段としての二次元CCD4を有している。また、QRコードリーダ3は照明用のLED5を備えており、このLED5は読み取り対象部分であるQRコードの印刷部分を照明する。そして、二次元CCD4はLED5の反射光をレンズ6を介して受けて露光し、QRコードのパターンを記憶する。二次元CCD4に記憶されたQRコードのパターンは制御回路7により読み出されてデコードされ、イメージコード情報としてのQRコードのデコードデータはゲーム装置本体2に送られるようになっている。」
「【0013】そして、ゲームカードから読み込まれたゲームプログラムはRAM15に記憶される。そして、CPU12は、記憶手段としてのRAM15、ROM17に記憶されたプログラムに従ってゲームのための演算を行ない、ゲームのキャラクタを含む画像データをVRAM13に出力して液晶表示部9にゲーム用画像を表示するようになっている。」
「【0017】上記カードのうち、新規キャラクタを登録するためのガード23は図1(b)に示されており、新規に登録するキャラクタのイメージ(姿)が上部にプリントされ、そのキャラクタのイメージの下方に、当該キャラクタの特性データを示すQRコードと、特性の一部を数字化して示す数値表示欄とが左右に並べてプリントされている。なお、この実施例では、QRコードに表された特性データには、キャラクタをイメージ化するためのデータが含まれているが、これについては後述する。
【0018】この図1(b)のカードのQRコードを図4(a)に示すが、当該QRコードによって表されるキャラクタの特性データには、同図(b)、(c)および(d)に示すように、レベル、体力、攻撃力および魔力などのデータと、画像表示用のデータと、キャラクタ合成用のデータとが含まれており、図示はしないが、その他にキャラクタの特技を示すデータ、キャラクタが持っているアイテムを示すデータなどが含まれている。」
「【0022】以上により、図1(b)に示すカード23に表示されたキャラクタがゲーム装置本体2に取り込まれて図1(a)に示すようにカード23に表示されているキャラクタと同一のキャラクタがゲーム装置本体2の液晶表示部9に表示されるものである。」
「【0034】さて、或る種のゲームでは、そのゲームの進行に伴ってキャラクタのレベルなどが高くなった場合、そのキャラクタの姿が変化したり、新しい特技やアイテムを獲得したり、新しいストーリーが展開されたりする。このゲーム装置1では、キャラクタ、特技やアイテム、新たなストーリーを展開するためのデータなどを物品、例えばカードにプリントすることができるようになっている。
【0035】そのカードへの印刷の一例を、ゲームに登場したキャラクタを印刷する場合に適用して説明する。なお、このキャラクタのカードへのプリントは、カード23によりゲーム装置本体2に登録した新たなキャラクタがゲーム展開によって成長して姿を変化させた場合、そのキャラクタをカードにプリントしたり、もともと登録されているキャラクタ、当該キャラクタの成長して姿を変えた場合などに適用できる。
【0036】カードへのプリントは、まず、キースイッチ10を操作してカード印刷モードに設定し、キャラクタを選択する。すると、ゲーム装置本体2のCPU12が選択されたキャラクタの特性データを抽出し、当該特性データを、QRコードに変換するためのデータにエンコードしてIrDAI/F回路18から出力する。
【0037】IrDAI/F回路18から出力されたエンコードデータはプリンタに受信される。このプリンタはゲームプログラムに記載されたと同様に、画像表示用データのパラメータに対応したパターンをテーブル化して記憶している。そして、プリンタはゲーム装置本体2から送信されたデコード信号を解析してキャラクタのイメージを作成し、カードにキャラクタのイメージおよびQRコードを印刷する。」
上記【0010】より、「QRコード」と「イメージコード」とは、共通する概念であることが明らかである。また、上記【0034】より、「物品」と「カード」とは、共通する概念である。

以上の記載によれば、刊行物1には以下の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。
「イメージコード付きカードのイメージコード情報を読み取るイメージコード読取手段と、このイメージコード読取手段により読み取られたイメージコード情報により決まるキャラクタをゲームに参加させて当該ゲームを展開するゲーム装置本体と、このゲーム装置本体でプレーするゲームのキャラクタをイメージにしてプリントするためのデータおよび当該キャラクタの特性データをイメージコードにしてプリントするためのデータを出力するプリント用データ出力手段とを具備してなるゲーム装置であって、
新規キャラクタを登録するためのカードは、新規に登録するキャラクタのイメージ(姿)が上部にプリントされ、そのキャラクタのイメージの下方に、当該キャラクタの特性データを示すイメージコードと、特性の一部を数字化して示す数値表示欄とが左右に並べてプリントされており、
当該イメージコードにはキャラクタの特性データ、すなわち、レベル、体力、攻撃力および魔力などのデータと、画像表示用のデータと、キャラクタ合成用のデータと、その他にキャラクタの特技を示すデータ、キャラクタが持っているアイテムを示すデータが含まれており、ゲームの進行に伴ってキャラクタのレベルなどが高くなった場合、そのキャラクタの姿が変化したり、新しい特技やアイテムを獲得したり、新しいストーリーが展開されたりするもので、新たなキャラクタがゲーム展開によって成長して姿を変化させた場合、そのキャラクタをカードにプリントしたり、もともと登録されているキャラクタ、当該キャラクタが成長して姿を変えた場合などにもカードへのプリントができるようになっている、ゲーム装置。」

(2)刊行物2
本件特許の優先日前の平成18年12月1日に頒布された「THE INVENTION 発明」5?13頁(「特集 新市場を切り拓くデジタルカードゲーム」)、社団法人 発明協会発行には、以下の記載がある。
「セガはラブandベリーのファンである親子の期待を裏切らないために、類似のゲームを乱発したり、事業から撤退する考えはないという。「ゲームで集めたカードが使えなくなり、ムダになってしまうことだけは絶対に避けたい」と高橋室長は強調する。この点は当初から意識されていたことで、開発陣の間では「ラブandベリー20年構想」と称されている。この構想は、現在ラブandベリーで遊んでいる子どもが将来、母親になったとき、当時のカードが使えて自分の娘とー緒に遊べるようにするというもの。遊び方が変ってしまい、カードが使えなくなることはしたくないのである。」(6頁右欄下から9行?7頁左欄7行)

以上の記載によれば、刊行物2には以下の発明(以下「刊行物2発明」という。)が記載されていると認められる。
「発行済みカードを再利用できるカードゲーム機。」

(3)刊行物3
本件特許の優先日前の平成16年8月19日に頒布された特開2004-229752号公報には、以下の記載がある。
「【請求項1】
キャラクタに関するキャラクタデータを記憶するとともに、その表面に前記キャラクタデータの内容が印刷されたトレーディングカードを用いて行うゲームを提供するゲーム装置であって、
ゲームの進行状況によって前記キャラクタデータが変化したことを受けて、変化後のキャラクタデータを当該トレーディングカードに書き込む更新手段と、
前記変化後のキャラクタデータの内容を当該トレーディングカードの表面に印刷する印刷手段とを備えたことを特徴とするゲーム装置。」
「【0057】
図8は、原キャラクタデータの内容が印刷されたトレーディングカードと、新キャラクタデータの内容が印刷されたトレーディングカードとの一例を模式的に示す図である。
トレーディングカード20aが、原キャラクタデータの内容が印刷されたトレーディングカードであり、トレーディングカード20bが、新キャラクタデータの内容が印刷されたトレーディングカードである。
【0058】
トレーディングカード20bに印刷された新キャラクタデータの能力値である攻撃力、守備力、最大HP(体力)、最大MP(魔力)を示す数値は、トレーディングカード20aに印刷された原キャラクタデータの能力値に比べて高いものとなっている。また、トレーディングカード20bに印刷された新キャラクタデータの「とくぎ」(特殊能力)は、トレーディングカード20aに印刷された原キャラクタデータの特殊能力「剣技A」及び「剣技B」に、「魔法A」並びに「魔法B」が追加されたものとなっている。なお、上記特殊能力は、上記能力値に含まれるものである。さらに、トレーディングカード20bに印刷されたキャラクタの容姿は、トレーディングカード20aに印刷されたキャラクタの容姿が一部変化したものになっている。具体的には、キャラクタが掴持している「斧」が「剣」へと変化し、キャラクタが「兜」を装着している。さらにまた、このトレーディングカードを用いて行ったゲームの回数(ゲーム数)が3回から4回に変更されている。」

以上の記載によれば、刊行物3には以下の発明(以下「刊行物3発明」という。)が記載されていると認められる。
「キャラクタに関するキャラクタデータを記憶するとともに、その表面に前記キャラクタデータの内容が印刷されたトレーディングカードを用いて行うゲームを提供するゲーム装置であって、ゲームの進行状況によって前記キャラクタデータが変化したことを受けて、変化後のキャラクタデータを当該トレーディングカードに書き込む更新手段と、前記変化後のキャラクタデータの内容を当該トレーディングカードの表面に印刷する印刷手段とを備え、
トレーディングカードに印刷された新キャラクタデータの能力値である攻撃力、守備力、最大HP(体力)、最大MP(魔力)を示す数値は、トレーディングカードに印刷された原キャラクタデータの能力値に比べて高いものとなって、トレーディングカードに印刷された新キャラクタデータの「とくぎ」(特殊能力)は、トレーディングカードに印刷された原キャラクタデータの特殊能力「剣技A」及び「剣技B」に、「魔法A」並びに「魔法B」が追加されたものとなった、ゲーム装置。」

(4)刊行物4
本件特許の優先日前の平成15年6月17日に頒布された特開2003-169962号公報には、以下の記載がある。
「【請求項1】 プログラムにより動作する情報処理装置からなる電子ゲーム装置であって、
プログラムに基づいて該電子ゲーム装置内で展開される電子ゲームに登場するひとつ以上のキャラクタの各種特性の要素情報の少なくとも一部を、該電子ゲーム装置との間で通信可能なICカードに電子情報として書き込み、かつICカードの電子情報を読み取ることのできる入出力装置を備えるとともに、
該ICカード券面に該キャラクタの図柄・数値情報を含む各種特性の券面印刷をするための印刷手段を内蔵又は接続可能としたことを特徴とする電子ゲーム装置。」
「【0027】請求項6,7に記載した本発明の第6の形態は、合体などにより、新たなICカードを再発行した際、合体させた個々のキャラクタのICカードの電子情報を少なくとも一時的に使用不可とする機能を付与した電子ゲーム装置、あるいは外部情報処理装置である。この処理により、合体後は合体に使用した個々のキャラクタのカードを使用者の選択による分離処理を実施するまでは、少なくとも一時的に電子ゲームに使用することができなくすることが可能となり、ゲームの継続性が高まり、電子ゲーム内で使用できる能力値の高いカードの希少性を維持することが可能となる。」
「【0053】複数のキャラクタの能力値が上昇し、合体可能レベルまで達した場合、複数のキャラクタを合体させて一体の新規の強力なキャラクタを生成することができるとした場合、合体させる各キャラクタの図柄、属性から使用者が選択することによって使用者が好みのキャラクタをデザインすることが可能となる。この場合、券面印刷が実施されていない新たなICカード9(これをICカード9cとする)にICカード入出力装置3を用いてその図柄の要素情報(使用者が合体させる前の個々のキャラクタから選択した図柄の要素情報)や能力値の変更などを電子情報として記憶させる。
【0054】また、ICカード9cの券面には電子情報を記憶させる際、同時に電子ゲーム装置1に内蔵されている印刷装置4によって仮想空間で使用者の選択によって合体生成した新たなキャラクタの図柄、合体によって獲得した能力値(例えば★の数で示す)と合体によって獲得した属性(例えば「水」、「空」、「山」など)を追加印刷する。
【0055】このとき、ゲームの継続性とキャラクタの希少性を確保するために、図7に示されるように、ICカード入出力装置3を用いて合体に使用した複数のキャラクタの(これらをICカード9d,9eとする)を後述するキャラクタ分離が完了されるまでは一時的にICカード電子情報を使用できなくする処置を施すプログラムを外部記憶媒体21に織り込んでおくことも好ましい。
【0056】また、後述の合体後のキャラクタ分離時に完全な形のキャラクタを復元形成させるために、合体時に使用者が採用しなかった、合体前の元のキャラクタ図柄の要素情報や能力値、属性などは券面印刷に表示はしないが、電子情報としてICカード9cにバックアップさせておくことが好ましい。
【0057】使用者の選択により、合体させたキャラクタを再び分離させることも可能である。分離の動作は図8のように行なわれる。電子ゲーム装置1に合体により形成されたキャラクタのICカード9cを挿入し、使用者が入力装置10から分離モードを選択すると、電子ゲーム装置1はそのICカード9cから電子情報を読み取り、そのICカード9cの電子情報を一時使用停止にした後、キャラクタを分離する。合体前のキャラクタのICカード9d,9eに使用禁止の処置が施されている場合は、それらのICカード9d,9eを電子ゲーム装置1に挿入すると、使用禁止の処置が解除され、それらのICカード9d,9eに分離後の電子情報が記憶され、合体中に達成した能力値に準じた進化形態が追加印される。
【0058】分離動作においては、分離によって生成するキャラクタは合体の要素になった元のICカードのキャラクタに復元させることが可能であり、この場合は元のICカード9d,9eに分離後のキャラクタの電子情報を再記憶させることが可能である。」




上記【0055】の「ゲームの継続性とキャラクタの希少性を確保するため」との記載、及び複数のキャラクタを合体させるフローである【図7】に、合体に使用した複数のICカードの電子情報の一時使用停止設定を施すことが示されていること、並びに、ゲーム情報記録媒体のゲーム情報が変化した場合に新たなゲーム情報記録媒体を生成した際には、元のゲーム情報記録媒体は使用不可とすることが、ゲームの分野においては通常採用されてきた行為であることから、刊行物4に記載されたキャラクタ合体フローは、合体に使用した複数のキャラクタのを後述するキャラクタ分離が完了されるまでは一時的にICカード電子情報を使用できなくする処置を施すものと認められる。
また、複数のキャラクタに分離させるフローである【図8】に、合体により形成されたキャラクタ(分離元)のICカードの電子情報の一時使用停止設定が示されていることから、刊行物4に記載されたキャラクタ分離フローは、合体により形成されたICカード9cの電子情報を一時使用停止にするものと認められる。

以上の記載によれば、刊行物4には以下の発明(以下「刊行物4発明」という。)が記載されていると認められる。
「プログラムにより動作する情報処理装置からなる電子ゲーム装置であって、プログラムに基づいて該電子ゲーム装置内で展開される電子ゲームに登場するひとつ以上のキャラクタの各種特性の要素情報の少なくとも一部を、該電子ゲーム装置との間で通信可能なICカードに電子情報として書き込み、かつICカードの電子情報を読み取ることのできる入出力装置を備えるとともに、該ICカード券面に該キャラクタの図柄・数値情報を含む各種特性の券面印刷をするための印刷手段を内蔵又は接続可能とした電子ゲーム装置であって、
複数のキャラクタの能力値が上昇し、合体可能レベルまで達した場合、複数のキャラクタを合体させて一体の新規の強力なキャラクタを生成することができるとした場合、合体させる各キャラクタの図柄、属性から使用者が選択することによって使用者が好みのキャラクタをデザインすることが可能となり、この場合、券面印刷が実施されていない新たなICカード9(これをICカード9cとする)にICカード入出力装置3を用いてその図柄の要素情報(使用者が合体させる前の個々のキャラクタから選択した図柄の要素情報)や能力値の変更などを電子情報として記憶させ、ICカード入出力装置3を用いて合体に使用した複数のキャラクタのを後述するキャラクタ分離が完了されるまでは一時的にICカード電子情報を使用できなくする処置を施すプログラムを外部記憶媒体21に織り込んでおき、
使用者の選択により、合体させたキャラクタを再び分離させることも可能であって、電子ゲーム装置に合体により形成されたキャラクタのICカード9cを挿入し、使用者が入力装置から分離モードを選択すると、電子ゲーム装置はそのICカード9cから電子情報を読み取り、そのICカード9cの電子情報を一時使用停止にした後、キャラクタを分離し、合体前のキャラクタのICカード9d,9eに使用禁止の処置が施されている場合は、それらのICカード9d,9eを電子ゲーム装置に挿入すると、使用禁止の処置が解除され、それらのICカード9d,9eに分離後の電子情報が記憶され、合体中に達成した能力値に準じた進化形態が追加印される、電子ゲーム装置。」

4.対比
本件特許発明1と刊行物1発明とを対比すると、
ア.後者の「キャラクタ」、「キャラクタのイメージ(姿)」、「イメージコード」、「ゲーム装置」及び「キャラクタの特技を示すデータ、キャラクタが持っているアイテムを示すデータ」は、それぞれ、前者の「キャラクタ」、「キャラクタ画像」、「ゲーム情報を示す情報を含むコード」、「ゲーム機」及び「オプションの情報」に相当する。
イ.後者の「キャラクタ」は、イメージコード情報により決まるものであるから、その「イメージコード情報」は、「キャラクタを定義するゲーム情報」といえる。
ウ.後者の「イメージコード付きカード」のイメージコードはプリントされたものであるから、後者の「カード」は、「ゲーム情報を示す情報を含むコードが視認可能に印刷されたゲーム情報記録媒体」といえる。
エ.後者の「ゲーム装置」は、「イメージコード読取手段により読み取られたイメージコード情報により決まるキャラクタをゲームに参加させて当該ゲームを展開する」ものであるから、「ゲーム情報記録媒体のコードを介してゲーム情報を取得してゲームで利用するゲーム機」であって、「ゲーム情報に対応するキャラクタのキャラクタ画像をゲーム内に再現することにより、ゲーム情報をゲームで利用する再現手段」を有するといえる。
オ.後者の「ゲーム装置」は、「ゲームの進行に伴ってキャラクタのレベルなどが高くなった場合、そのキャラクタの姿が変化したり、新しい特技やアイテムを獲得したり、新しいストーリーが展開されたりするもので、新たなキャラクタがゲーム展開によって成長して姿を変化させた場合、そのキャラクタをカードにプリントしたり、もともと登録されているキャラクタ、当該キャラクタが成長して姿を変えた場合などにもカードへのプリントができるようになっている」ものであるから、そのゲーム内容は、「育成ゲーム」といえ、「再現手段によって再現されたキャラクタ画像を利用したゲームの結果に応じてゲーム情報が変化した場合に、変化後ゲーム情報及び当該変化後ゲーム情報を示す情報を含む変化後コードが視認可能に印刷される変化後ゲーム情報記録媒体が生成されるように、前記変化後ゲーム情報を提供する変化後情報提供手段」を有するといえる。

したがって、両者は、
「キャラクタ画像に対応するキャラクタを定義するゲーム情報及び当該ゲーム情報を示す情報を含むコードが視認可能に印刷されたゲーム情報記録媒体の前記コードを介して前記ゲーム情報を取得してゲームで利用するゲーム機であって、
前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタの前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現することにより、前記ゲーム情報を前記ゲームで利用する再現手段と、
前記再現手段によって再現された前記キャラクタ画像を利用した前記ゲームの結果に応じて前記ゲーム情報が変化した場合に、変化後ゲーム情報及び当該変化後ゲーム情報を示す情報を含む変化後コードが視認可能に印刷される変化後ゲーム情報記録媒体が生成されるように、前記変化後ゲーム情報を提供する変化後情報提供手段と、
を備え、
前記ゲームとして、前記キャラクタを育成する育成ゲームが採用され、
前記ゲーム情報は、前記ゲームで実行され得るオプションの情報を、前記変化後ゲーム情報は前記ゲームの結果に応じて変化した後のオプションの情報を、それぞれ含む、
ゲーム機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本件特許発明1が、「変化後ゲーム情報記録媒体がゲーム情報記録媒体とは別に生成され」、「再現手段は、変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、変化後ゲーム情報記録媒体及び変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされたゲーム情報記録媒体が併存する状態においてコードを介してゲーム情報記録媒体のゲーム情報が取得された場合には、ゲーム情報に対応するキャラクタが育成し直されるように、ゲーム情報に対応するキャラクタ画像をゲーム内に再現する」ものであるのに対して、刊行物1発明は、その点につき、明らかでない点。

5.判断
(1)取消理由1について
上記相違点1について以下検討する。
刊行物2発明は、「発行済みカードを再利用できるカードゲーム機」であるが、上記相違点1に係る本件特許発明1の「変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされたゲーム情報記録媒体」に相当する事項を備えていないから、上記相違点1に係る本件特許発明1で特定される「変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、変化後ゲーム情報記録媒体及び変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされたゲーム情報記録媒体が併存する状態」が生じ得ない。
そして、上記相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項とする根拠もない。
しかも、本件特許発明1は、上記相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項を具備することにより、特許明細書に記載の「ゲームの再プレイに対する動機づけができるので、プレイ回数の増加を促すことができる。」(段落【0045】)という作用効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明1は、刊行物1発明及び刊行物2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
なお、刊行物3を含む原審で提示されたいずれの引用文献並びに特許異議申立人が提示したいずれの証拠及び参考資料を見ても、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項は記載されていない。

本件特許発明2及び3は、本件特許発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件特許発明2及び3は、刊行物1発明及び刊行物2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
本件特許発明4は、本件特許発明1の「ゲーム機」を、「ゲーム機用のコンピュータプログラム」としたものであって、実質的に本件特許発明1と相違しない。また、本件特許発明5は、本件特許発明1の「ゲーム機」を、「制御方法」としたものであって、実質的に本件特許発明1と相違しない。そうすると、上記と同様の理由により、本件特許発明2及び3は、刊行物1発明及び刊行物2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(2)取消理由2について
上記相違点1について以下検討する。
刊行物4発明の「キャラクタの図柄」、「キャラクタ」、「各種特性の要素情報」、「券面印刷」、「ICカード」、「合体により形成されたキャラクタのICカード9c」及び「電子ゲーム装置」は、それぞれ、本件特許発明1の「キャラクタ画像」、「キャラクタ」、「ゲーム情報」、「視認可能に印刷」、「ゲーム情報記録媒体」、「変化後ゲーム情報記録媒体」及び「ゲーム機」に相当する。
しかし、刊行物4発明の「分離モード」は、「ICカード9cの電子情報を一時使用停止にした後、キャラクタを分離し、合体前のキャラクタのICカード9d,9eに使用禁止の処置が施されている場合は、それらのICカード9d,9eを電子ゲーム装置に挿入すると、使用禁止の処置が解除され、それらのICカード9d,9eに分離後の電子情報が記憶され、合体中に達成した能力値に準じた進化形態が追加印される」ものであって、ICカード9cは使用停止状態でなければ、ICカード9d,9eは使用することができないから、刊行物4発明は、上記相違点1に係る本件特許発明1の「変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、変化後ゲーム情報記録媒体及び変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされたゲーム情報記録媒体が併存する状態」は生じ得ない。
そして、上記相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項とする根拠もない。
しかも、本件特許発明1は、上記相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項を具備することにより、特許明細書に記載の「ゲームの再プレイに対する動機づけができるので、プレイ回数の増加を促すことができる。」(段落【0045】)という作用効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明1は、刊行物1発明及び刊行物4発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
なお、刊行物3を含む原審で提示されたいずれの引用文献並びに特許異議申立人が提示したいずれの証拠及び参考資料を見ても、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項は記載されていない。

本件特許発明2及び3は、本件特許発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件特許発明2及び3は、刊行物1発明及び刊行物2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
本件特許発明4は、本件特許発明1の「ゲーム機」を、「ゲーム機用のコンピュータプログラム」としたものであって、実質的に本件特許発明1と相違しない。また、本件特許発明5は、本件特許発明1の「ゲーム機」を、「制御方法」としたものであって、実質的に本件特許発明1と相違しない。そうすると、上記と同様の理由により、本件特許発明2及び3は、刊行物1発明及び刊行物2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

6.むすび
以上のとおりであるから、取消理由によっては、本件特許発明1乃至5を取り消すことはできない。
また、他に本件特許発明1乃至5を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャラクタ画像に対応するキャラクタを定義するゲーム情報及び当該ゲーム情報を示す情報を含むコードが視認可能に印刷されたゲーム情報記録媒体の前記コードを介して前記ゲーム情報を取得してゲームで利用するゲーム機であって、
前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタの前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現することにより、前記ゲーム情報を前記ゲームで利用する再現手段と、
前記再現手段によって再現された前記キャラクタ画像を利用した前記ゲームの結果に応じて前記ゲーム情報が変化した場合に、変化後ゲーム情報及び当該変化後ゲーム情報を示す情報を含む変化後コードが視認可能に印刷される変化後ゲーム情報記録媒体が前記ゲーム情報記録媒体とは別に生成されるように、前記変化後ゲーム情報を提供する変化後情報提供手段と、
を備え、
前記ゲームとして、前記キャラクタを育成する育成ゲームが採用され、
前記ゲーム情報は、前記ゲームで実行され得るオプションの情報を、前記変化後ゲーム情報は前記ゲームの結果に応じて変化した後のオプションの情報を、それぞれ含み、
前記再現手段は、前記変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、前記変化後ゲーム情報記録媒体及び当該変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされた前記ゲーム情報記録媒体が併存する状態において前記コードを介して当該ゲーム情報記録媒体の前記ゲーム情報が取得された場合には、前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタが育成し直されるように、当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現する、ことを特徴とするゲーム機。
【請求項2】
二次元コードを読み取って当該二次元コードに含まれる情報を取得可能な読み取り装置を更に備え、
前記変化後情報提供手段は、前記読み取り装置で読み取り可能なゲーム用二次元コードが前記変化後コードとして前記変化後ゲーム情報記録媒体に印刷されるように前記変化後ゲーム情報を提供する、請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記ゲームの結果に応じた変化として、前記オプションの数の変化が採用され、
前記ゲーム情報記録媒体には、前記オプションを視認可能に表示するためのオプション表示欄が設けられ、
前記オプション表示欄は、前記オプションの数が増加した場合に、増加したオプションを追加するための空欄を含んでいる、請求項1又は2に記載のゲーム機。
【請求項4】
キャラクタ画像に対応するキャラクタを定義するゲーム情報及び当該ゲーム情報を示す情報を含むコードが視認可能に印刷されたゲーム情報記録媒体の前記コードを介して前記ゲーム情報を取得してゲームで利用するゲーム機に組み込まれるコンピュータを、
前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタの前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現することにより、前記ゲーム情報を前記ゲームで利用する再現手段、及び前記再現手段によって再現された前記キャラクタ画像を利用した前記ゲームの結果に応じて前記ゲーム情報が変化した場合に、変化後ゲーム情報及び当該変化後ゲーム情報を示す情報を含む変化後コードが視認可能に印刷される変化後ゲーム情報記録媒体が前記ゲーム情報記録媒体とは別に生成されるように、前記変化後ゲーム情報を提供する変化後情報提供手段として機能させるように構成され、
前記ゲームとして、前記キャラクタを育成する育成ゲームが採用され、
前記ゲーム情報は、前記ゲームで実行され得るオプションの情報を、前記変化後ゲーム情報は前記ゲームの結果に応じて変化した後のオプションの情報を、それぞれ含んでおり、
前記再現手段を、前記変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、前記変化後ゲーム情報記録媒体及び当該変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされた前記ゲーム情報記録媒体が併存する状態において前記コードを介して当該ゲーム情報記録媒体の前記ゲーム情報が取得された場合には、前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタが育成し直されるように、当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現する手段として更に機能させるように構成されたゲーム機用のコンピュータプログラム。
【請求項5】
キャラクタ画像に対応するキャラクタを定義するゲーム情報及び当該ゲーム情報を示す情報を含むコードが視認可能に印刷されたゲーム情報記録媒体の前記コードを介して前記ゲーム情報を取得してゲームで利用するゲーム機に組み込まれるコンピュータに、
前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタの前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現することにより、前記ゲーム情報を前記ゲームで利用する再現手順と、
前記再現手段によって再現された前記キャラクタ画像を利用した前記ゲームの結果に応じて前記ゲーム情報が変化した場合に、変化後ゲーム情報及び当該変化後ゲーム情報を示す情報を含む変化後コードが視認可能に印刷される変化後ゲーム情報記録媒体が前記ゲーム情報記録媒体とは別に生成されるように、前記変化後ゲーム情報を提供する変化後情報提供手順と、
を実行させ、
前記ゲームとして、前記キャラクタを育成する育成ゲームが採用され、
前記ゲーム情報は、前記ゲームで実行され得るオプションの情報を、前記変化後ゲーム情報は前記ゲームの結果に応じて変化した後のオプションの情報を、それぞれ含んでおり、
前記再現手段にて、前記変化後ゲーム情報記録媒体が生成された後においても、前記変化後ゲーム情報記録媒体及び当該変化後ゲーム情報記録媒体の生成の基礎とされた前記ゲーム情報記録媒体が併存する状態において前記コードを介して当該ゲーム情報記録媒体の前記ゲーム情報が取得された場合には、前記ゲーム情報に対応する前記キャラクタが育成し直されるように、当該ゲーム情報に対応する前記キャラクタ画像を前記ゲーム内に再現する手順を更に実行させる、制御方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-07-22 
出願番号 特願2013-169884(P2013-169884)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 植田 泰輝  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 吉村 尚
藤本 義仁
登録日 2015-03-20 
登録番号 特許第5714068号(P5714068)
権利者 株式会社コナミデジタルエンタテインメント
発明の名称 ゲーム機、及びそれを利用したカード発行方法  
代理人 山本 晃司  
代理人 小田原 敬一  
代理人 佐々木 まどか  
代理人 川澄 茂  
代理人 川澄 茂  
代理人 小田原 敬一  
代理人 山本 晃司  
代理人 佐々木 まどか  

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