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審決分類 審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65B
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  B65B
審判 一部無効 1項2号公然実施  B65B
審判 一部無効 2項進歩性  B65B
管理番号 1321471
審判番号 無効2014-800203  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-12-08 
確定日 2016-09-23 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4583824号発明「包装装置の成形機を支承する組立体」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4583824号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第4583824号の請求項1ないし5、9、11ないし16に係る発明についての特許を無効とする。 特許第4583824号の請求項6ないし8、10、17ないし19に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その19分の7を請求人の負担とし、19分の12を被請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
平成16年 7月 7日 出願(特願2004-200436号) (パリ条約による優先権主張 2003年 7月 8日 オーストラリア連邦(AU))
平成22年 9月10日 設定登録(特許第4583824号)
平成26年12月 8日付 無効審判請求書
平成27年 2月 2日付 手続補正書
平成27年 5月 8日付 審判事件答弁書
平成27年 5月 8日付 訂正請求書
平成27年 6月16日付 審理事項通知書(1)
平成27年 7月 1日付 請求人口頭審理陳述要領書(1)
平成27年 7月 1日付 被請求人口頭審理陳述要領書(1)
平成27年 8月 5日付 審理事項通知書(2)
平成27年 8月21日付 請求人口頭審理陳述要領書(2)
平成27年 8月21日付 被請求人口頭審理陳述要領書(2)
平成27年 8月28日 口頭審理
平成27年11月25日付 審決の予告

以下各証拠は、「甲第1号証」を「甲1」のように、口頭審理陳述要領書は、「口頭審理陳述要領書(1)」を「要領書(1)」のように略記する。

第2.訂正請求について
1.訂正請求の内容
被請求人が求めた訂正の内容は、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおりであって、以下のとおりの訂正を求めるものである。
(1)請求項1?10に係る訂正
ア.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における「前記サポート(20)は、前記成形機(14)へ装着される第1の部分(28)と、」を、「前記サポート(20)は、前記成形機(14)へ装着される第1の部分(24)と、」と訂正する。

イ.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1における「前記包装機械(15)に装着するための、前記第1の部分(28)へ装着される第2の部分(23)と、」を、「前記包装機械(15)に装着するための、前記第1の部分(24)へ装着される第2の部分(23)と、」と訂正する。

ウ.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1における「前記第1の部分(28)が、前記第2の部分(23)に装着され、かつ前記第2の部分(23)に対して移動自在であるので、」を、「前記第1の部分(24)が、前記第2の部分(23)に装着され、かつ前記第2の部分(23)に対して移動自在であるので、」と訂正する。

エ.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3における「前記第1の部分(28)は、前記第2の部分(23)に対して直線的に移動自在であるので、」を、「前記第1の部分(24)は、前記第2の部分(23)に対して直線的に移動自在であるので、」と訂正する。

オ.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4における「前記第1の部分(28)は、前記第2の部分(23)により摺動自在に支承される」を、「前記第1の部分(24)は、前記第2の部分(23)により摺動自在に支承される」と訂正する。

カ.訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5における「前記組合せは、前記包装機械(15)が中に位置決めされるキャビネット(11)を備え、」を、「前記組立体は、前記包装機械(15)が中に位置決めされるキャビネット(11)を備え、」と訂正する。

キ.訂正事項7
特許請求の範囲の請求項5における「前記第1の部分(20)は、」を、「前記第1の部分(24)は、」と訂正する。

ク.訂正事項8
特許請求の範囲の請求項5における「前記第1の部分から」を、「前記第1の位置から」と訂正する。

ケ.訂正事項9
特許請求の範囲の請求項5における「前記第2の部分へ」を、「前記第2の位置へ」と訂正する。

(2)請求項11?19に係る訂正
コ.訂正事項10
特許請求の範囲の請求項12における「前記サポート(20)は、前記成形機肩部材(29)が上に取付けられる少なくとも1つの部材(24)を有する第1の部分(28)」を、「前記サポート(20)は、前記成形機肩部材(29)が上に取付けられる少なくとも1つの部材(24)を有する第1の部分(24)」と訂正する。

サ.訂正事項11
特許請求の範囲の請求項12における「および前記第1の部分(28)を受容して、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機肩部材(29)の移動を実現する第2の部分(23)を備える」を、「および前記第1の部分(24)を受容して、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機肩部材(29)の移動を実現する第2の部分(23)を備える」と訂正する。

シ.訂正事項12
特許請求の範囲の請求項13における「前記第1の部分(28)は、前記第2の部分(23)に取付けられて、前記第2の部分に対して水平移動摺動して、」を、「前記第1の部分(24)は、前記第2の部分(23)に取付けられて、前記第2の部分に対して水平移動摺動して、」と訂正する。

ス.訂正事項13
特許請求の範囲の請求項14における「前記部材は前記成形機肩部材が装着される第1の部材(24)であり、」を、「前記少なくとも1つの部材(24)は前記成形機肩部材が装着される第1の部材(24)であり、」と訂正する。

2.訂正請求についての当審の判断
(1)請求項1?10に係る訂正について
ア.訂正事項1は、請求項1における「第1の部分」について、本件特許明細書の段落[0030]の「ロッド24は、成形機サポート20の第1の部分を形成し」との記載及び図1、図2の記載からみて、誤って付与されていたことが明白である符号「(28)」を、正しい符号「(24)」に訂正するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1は、外国語出願書面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ.訂正事項2、3は、請求項1における「第1の部分」について、上記第2の2の(1)アと同様に、誤って付与されていたことが明白である符号「(28)」を、正しい符号「(24)」に訂正するものである。
また、訂正事項2、3は、訂正の目的は適法であり、外国語出願書面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ.訂正事項4は、請求項3における「第1の部分」について、上記第2の2の(1)アと同様に、誤って付与されていたことが明白である符号「(28)」を、正しい符号「(24)」に訂正するものである。
また、訂正事項4は、訂正の目的は適法であり、外国語出願書面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ.訂正事項5は、請求項4における「第1の部分」について、上記第2の2の(1)アと同様に、誤って付与されていたことが明白である符号「(28)」を、正しい符号「(24)」に訂正するものである。
また、訂正事項5は、訂正の目的は適法であり、外国語出願書面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

オ.訂正事項6は、請求項5における「前記組合せ」を、より明瞭な記載とするために「前記組立体」と訂正するものである。
本件は物の発明であり、また、本件において、「組合せ」という語が、複数の部材を組み合わせてなる物(組み立ててなる物)であり、「組立体」と同義のものであることは、本件特許明細書の段落【0001】に「本発明は、包装装置の成形機を支承する組立体に関する。」と記載されていることからみても明らかである。
よって、訂正事項6は、特許請求の範囲の記載の全体を、整合のとれた記載とすることを目的とすることが明らかであり、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項6は、外国語出願書面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

カ.訂正事項7は、請求項5における「第1の部分」について、上記第2の2の(1)アと同様に、誤って付与されていたことが明白である符号「(20)」を、正しい符号「(24)」に訂正するものである。
訂正事項7は、訂正の目的は適法であり、外国語出願書面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

キ.訂正事項8は、以下に示すように、請求項5において、正しくは「前記第1の位置から」とすべきところを、誤って「前記第1の部分から」と記載していたのを、本来の記載である「前記第1の位置から」に訂正するものである。
訂正事項8に関し、本件特許明細書の段落【0033】に「ロッド24がガイド23内で摺動自在であるので、成形機14は、チューブ状袋材料と製品を機械15へ送出する、機械15の上方に位置決めされる第1の位置(図1)と、第1の位置から矢印26の方向に水平に離間する第2の位置(図2)との間に移動自在であり、それにより、成形機14は、開口部13に隣接して位置決めされるか、またはキャビネット11の周辺を超えて位置決めされるので、作業者が、成形機14を整備できるか、または成形機14を取換えさえもできる。」という記載があり、当該記載と特許図面の図1及び2とを併せて見ることにより、当業者であれば、ロッド24、すなわち「第1の部分」が、「第1の位置」から「第2の位置」へ、「アクセス開口部(13)」に向けて移動する構成となっていることを直ちに理解することができる。
よって、訂正事項8は、明白な誤記を正しい記載に訂正するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
また、訂正事項8は、外国語出願書面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ク.訂正事項9は、上記第2の2の(1)キと同様に、請求項5において、正しくは「前記第2の位置から」とすべきところを、誤って「前記第2の部分から」と記載していたのを、正しい記載である「前記第2の位置から」に訂正するものであり、明白な誤記を正しい記載に訂正するものである。
また、訂正事項9は、訂正の目的は適法であり、外国語出願書面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ケ.訂正前の請求項1?10に着目すると、請求項1の記載を請求項2が引用し、請求項2の記載を請求項5及び9が引用し、請求項9の記載を請求項10が引用している。
また、請求項1の記載を請求項3が引用し、請求項3の記載を請求項4及び5が引用している。
また、請求項1の記載を請求項5が引用している。
また、請求項1の記載を請求項6が引用し、請求項6の記載を請求項7が引用し、請求項7の記載を請求項8が引用している。
したがって、訂正前の請求項1?10は特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。

(2)請求項11?19に係る訂正について
ア.訂正事項10、11は、請求項12における「第1の部分」について、上記第2の2の(1)アと同様に、誤って付与されていたことが明白である符号「(28)」を、正しい符号「(24)」に訂正するものである。
また、訂正事項10、11は、訂正の目的は適法であり、外国語出願書面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ.訂正事項12は、請求項13における「第1の部分」について、上記第2の2の(1)アと同様に、誤って付与されていたことが明白である符号「(28)」を、正しい符号「(24)」に訂正するものである。
また、訂正事項12は、訂正の目的は適法であり、外国語出願書面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ.訂正事項13は、以下に示すように、請求項14において、訂正前の「前記部材」を、より明瞭な記載とするために、「前記少なくとも1つの部材(24)」と訂正するものである。
訂正事項13に関し、請求項14が直接的又は間接的に引用する請求項11?13において、「部材」という語が用いられているのは、請求項11及び12の「成形機肩部材(29)」、請求項13の「前記成形機肩部材」、及び請求項12の「少なくとも1つの部材(24)」しかない。このうち、「成形機肩部材」については、「部材」のみで言及されることはなく、常に「成形機肩部材」という語で言及されており、請求項14の「前記部材」が、請求項12の「少なくとも1つの部材(24)」を指していることは、請求項11?14の記載を見るだけで直ちに察知し得るところである。
また、本件特許明細書の段落【0030】に「成形機サポート20は、一対のサポートビーム22、ビーム22へ装着される一対のガイド23、および一対のロッド24を備える。ガイド23それぞれは、ロッド24の対応する1つを摺動自在に支承して、直線状に摺動する水平移動ができるようにする。ロッド24の内側極限部は、リンク25により装着される。リンク25は、矢印26の方向におけるロッドの移動限界を設定する。ロッド24は、成形機サポート20の第1の部分を形成し、またガイド23は第2の部分を形成する。」と記載され、同段落【0031】に「ロッド24の外側極限部に成形機14が取付けられ、その成形機は、成形機ベース28およびベース28上に取付けられる成形機肩部材29を備える。」と記載されており、これらの記載及び特許図面の図1?3等の記載を参照することにより、当業者であれば、第1の部分(24)が、具体的には、一対のロッド(24)という2つの部材を有するものであり、当該一対のロッド(24)の上に成形機肩部材(29)が装着されていることを直ちに理解することができる。
以上のとおりであるから、訂正事項13は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項13は、外国語出願書面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、上記訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、同条第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

エ.訂正前の請求項11?19に着目すると、請求項11の記載を請求項12が引用し、さらに請求項12の記載を請求項13が引用し、さらに請求項13の記載を請求項14が引用し、さらに請求項14の記載を請求項15が引用し、さらに請求項15の記載を請求項16が引用し、さらに請求項16の記載を請求項17が引用し、さらに請求項17の記載を請求項18が引用し、さらに請求項18の記載を請求項19が引用している。
したがって、訂正前の請求項11?19は、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。

(3)まとめ
上記のとおり、訂正請求は適法であるから、上記訂正を認める。
なお、訂正を認めることについて、当事者間に争いはない。(請求人要領書(1)第4頁6-2ア.)

第3.本件発明
訂正された本件特許の請求項1ないし8、10ないし19に係る発明(以下「本件発明1?8、10?19」という。)は、以下に記載された事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
包装機械成形機(14)と、前記成形機(14)を包装機械(15)に対して移動できるように前記成形機(14)を支承するサポート(20)と、を備える、包装装置の成形機を支承する組立体であって、
前記成形機は、前記包装機械(15)へ送出するためにチューブ状袋材料に成形される細長い袋材料が上を通過する成形機肩部材(29)を備え、
前記サポート(20)は、前記成形機(14)へ装着される第1の部分(24)と、前記包装機械(15)に装着するための、前記第1の部分(24)へ装着される第2の部分(23)と、を備えており、
前記第1の部分(24)が、前記第2の部分(23)に装着され、かつ前記第2の部分(23)に対して移動自在であるので、前記成形機(14)は、前記第2の部分(23)に支承され、チューブ状袋材料を前記包装機械(15)へ送出するように前記包装機械(15)と整合する第1の位置と、前記成形機(14)へのアクセスを容易にするように前記第1の位置から離間する第2の位置と、の間で移動自在であり、かつ前記成形機(14)が前記位置の両方において前記第2の部分(23)に支承されていることを特徴とする組立体。
【請求項2】
前記成形機(14)は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動するときに、略水平面で移動する請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記第1の部分(24)は、前記第2の部分(23)に対して直線的に移動自在であるので、前記成形機(14)が前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動自在である請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記第1の部分(24)は、前記第2の部分(23)により摺動自在に支承される請求項3に記載の組立体。
【請求項5】
前記組立体は、前記包装機械(15)が中に位置決めされるキャビネット(11)を備え、また前記キャビネット(11)は、前記成形機(14)へアクセスできるようにアクセス開口部(13)を有し、前記第1の部分(24)は、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する際に前記アクセス開口部(13)へ向けて移動する請求項1?3のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項6】
前記サポート(20)は、前記成形機(14)へ気体を送出するために前記成形機(14)まで延びるダクト系統(30)を備える請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
前記成形機(14)は、前記成形機肩部材まで延びるシュート(27)を備え、そのシュートを通して製品が、チューブ状袋材料内に受容されるように移動して前記成形機により送られる請求項6に記載の組立体。
【請求項8】
前記成形機(14)は、前記サポート(20)の前記ダクト系統(30)と連通するダクト系統(30)を備えるので、前記気体が前記シュート(27)へ送出される請求項7に記載の組立体。
【請求項10】
前記サポート(20)は、前記成形機(14)へ装着される一対の離間するアーム(42)を備え、前記第1の部分は、前記アーム(42)を前記成形機(14)へ装着する回動組立体(44)を備え、また前記第2の部分(23)は、前記アーム(42)へ装着され、かつ前記包装機械(15)に対して固定されるようになっている回動組立体(46)を備えて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機(14)が斜めに移動できるようにする請求項9に記載の組立体。
【請求項11】
アクセス開口部(13)を有するキャビネット(11)と、
前記キャビネット(11)内の包装機械(15)と、
成形機を支承するサポート(20)と、
前記サポート(20)上に支承される成形機肩部材(29)と、を備える組立体であって、
前記サポート(20)は、チューブ状袋材料を前記包装機械(15)へ送出するように前記包装機械(15)と整合する第1の位置と、前記アクセス開口部(13)へ向けて前記第1の位置から離間する第2の位置との間での前記成形機肩部材(29)の移動を実現することを特徴とする組立体。
【請求項12】
前記サポート(20)は、前記成形機肩部材(29)が上に取付けられる少なくとも1つの部材(24)を有する第1の部分(24)、および前記第1の部分(24)を受容して、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機肩部材(29)の移動を実現する第2の部分(23)を備える請求項11に記載の組立体。
【請求項13】
前記第1の部分(24)は、前記第2の部分(23)に取付けられて、前記第2の部分に対して水平移動摺動して、前記成形機肩部材を前記第1の位置と前記第2の位置との間で動かす請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
前記少なくとも1つの部材(24)は前記成形機肩部材が装着される第1の部材(24)であり、
前記成形機肩部材が装着される第2の部材(24)をさらに備える、請求項13に記載の組立体。
【請求項15】
前記成形機肩部材(29)は、複数の前記部材(24)へ着脱自在に装着される請求項14に記載の組立体。
【請求項16】
前記成形機肩部材(29)を前記第1の位置に離脱自在に固定する手段(33)を備える請求項15に記載の組立体。
【請求項17】
前記サポート(20)は、前記成形機肩部材(29)へ気体を送出するダクト系統(30)を備える請求項16に記載の組立体。
【請求項18】
包装される製品を前記成形機肩部材(29)へ送るように前記成形機肩部材(29)まで延びるシュート(27)をさらに備える請求項17に記載の組立体。
【請求項19】
気体を前記シュート(27)まで送出するために、前記サポート(20)の前記ダクト系統(30)から前記シュート(27)まで延びるダクト系統(30)をさらに備える請求項18に記載の組立体。」

第4.請求人の主張
1.無効理由の要点
請求人が主張する無効理由は、以下のとおりである。
なお、無効理由3は撤回された(審判請求書第16?17頁、請求人要領書(2)第9頁「6-4」)。

無効理由1:本件発明1?19は、甲1発明と同一であるか、同発明に基づいて容易に発明をすることができたものである(甲1に基づく特許法第29条第1項第3号、第2項違反)。
無効理由2:本件発明1?19は、甲2発明と同一であるか、同発明に基づいて容易に発明をすることができたものである(甲2に基づく特許法第29条第1項第3号、第2項違反)。
無効理由4:本件発明1?10、12?19は、発明の詳細な説明に記載されたものではない(特許法第36条第6項第1号違反)。
無効理由5:本件発明5、9?19は、明確ではない(特許法第36条第6項第2号違反)。
無効理由6:本件発明1?19は、甲4発明と同一であるか、同発明に基づいて容易に発明をすることができたものである(甲4に基づく特許法第29条第1項第2号、第2項違反)。

2.証拠
請求人が提出した証拠は、以下のとおりである。
ここで、甲1?甲7は審判請求時に提出され、甲8?甲11はその後提出されたものである。
なお、甲3は撤回され、甲12、甲13は参考資料に変更された(口頭審理調書 【請求人】1及び2)。

甲1 :米国特許第5715656号公報
甲2 :特開平11-198906号公報
甲4-1:Rudolf Masek氏の宣誓供述書
甲4-2:甲4-1(宣誓供述書)に添付された技術書面
甲4-3:甲4-1(宣誓供述書)に添付されたMasek社とAgro CS社との取引の事実を証明する資料
甲4-4:甲4-1(宣誓供述書)に添付されたMasek社とEBA社との取引の事実を証明する資料
甲5-1:特開平7-315334号公報
甲5-2:特開2000-203510号公報
甲5-3:’98 日本包装機械便覧(平成9年9月1日発行)
甲5-4:2001 日本包装機械便覧(平成12年9月26日発行)
甲5-5:2002 日本包装機械便覧(平成13年9月26日発行)
甲6-1:特開2001-55206号公報
甲6-2:米国特許第4620409号公報
甲7 :実公昭58-2724号公報
甲8 :特許技術用語集第2版 類語索引・使用例付、日刊工業新聞社、2004年8月5日発行、第70頁
甲9 :甲1発明の出願人であるTriangle社の製品(Triangle Packageing Machinery)の写真が掲載された雑誌(Cahners Publishing Company,1989年2月.PACKAGING Vol.34,第1頁)
甲10 :包装機取扱説明書 KBF-6000Xシリーズ 第3版(2006年12月15日)、株式会社 川島製作所
甲11 :甲4-2の技術図面(2枚)の右下部分を拡大したもの。

第5.被請求人の主張
1.要点
無効理由1について、本件発明1?19は、いずれも甲1発明と同一ではなく、また、甲1発明及び周知技術に基づいて、当業者が本件特許の優先日前に容易に発明することができたものではないから、本件特許に関し、無効理由1は存在しない。
無効理由2について、本件発明1?19は、いずれも甲2発明と同一ではなく、また、甲2発明及び周知技術に基づいて、当業者が本件特許の優先日前に容易に発明することができたものではないから、本件特許に関し、無効理由2は存在しない。
無効理由4について、本件発明1?10,12?19は、いずれも詳細な説明に記載されているから、本件特許に関し、無効理由4は存在しない。
無効理由5について、本件発明5,9?19は、いずれも明確であるから、本件特許に関し、無効理由5は存在しない。
無効理由6について、本件発明1?19は、いずれも本件特許の優先日前に公然実施されたと請求人が主張する甲4発明と同一ではなく、また、当該公然実施されたと請求人が主張する発明及び周知技術に基づいて、当業者が本件特許の優先日前に容易に発明することができたものではないから、本件特許に関し、無効理由6は存在しない。

2.証拠
被請求人が提出した証拠は、以下のとおりである。

乙1:Masek Packaging Machinery社のホームページの一部のコピー、平成27年3月19日検索、インターネット、アドレス:http://www.sp.masek.cz/en/HBV20C.php

第6.各甲号証の記載事項
1.甲1
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲1には、次の記載がある(日本語訳及び下線は審判請求書第21?25頁の記載による。)。
(ア) 第1欄の第1段落
「This invention relates to a form-fill-seal packaging machine and more particularly to vertical form-fill-seal packaging machine. In a machine of this type, a web of flexible packaging material is guided from the supply roll to a forming shoulder which forms the flexible packaging material into a tube shape. The flexible packaging material flows from the forming shoulder to the forming tube. The product to be packaged is fed into the open upper end of the forming tube and then out its bottom into the tubular shaped package that is being formed. The tubular shaped material is intermittently fed downward and the longitudinal edges of the flexible packaging material are sealed to form a longitudinal tube seam. The tubular shaped package is sealed at package length intervals and cut into individual packages.」
(本発明は、成形充填シール機に関し、より詳細には垂直方向に成形充填シール包装する機械に関する。この種の機械では、可撓性の包装材のウェブが、供給ロールから、可撓性の包装材をチューブ状に成形する成形肩部まで誘導される。可撓性の包装材は、成形肩部から成形管へと流れる。包装すべき製品は、成形管の開放上端部へと送り込まれ、その後、成形管の底部から出て、チューブ状に成形されている包装の中に入る。チューブ状に成形された材料は、逐次下方に送られ、可撓性の包装材の長手方向の縁部が長手方向の管継目を形成するようにシールされる。チューブ状に成形された包装は、包装1単位の長さの間隔でシールされ、個々の包装に切断される。)

(イ) 第2欄の第10段落
「This invention includes a new and novel change parts assembly that includes the forming shoulder and forming tube that can be slid into and out of mounting slots and secured in proper alignment by a hand operated toggle lock mechanism.」
(本発明は、成形肩部と成形管とを含む新規の交換部品組立体を含んでおり、これらは、設置スロットに出入りするようにスライド可能にされると共に、手動で操作されるトグルロック機構によって適切に位置合わせして固定することが可能とされている。)

(ウ) 第5欄の第4段落
「Standard form-fill-seal machines are adaptable to produce packages of various shapes and sizes by changing the forming tube and forming shoulder. The forming shoulder and tube assembly must however be mounted relative to other components of the machine with precision to ensure proper operation. Changing a form-fill-seal machine from one size package to another is, in the conventional machine, a time consuming task that requires a highly skilled machine operator. During the change over, the machine is of course not operating and thus the production from the machine is lost. An aspect of this invention is to provide a change part assembly 200 that can be removed quickly and easily and replaced when it is desired to change the package size being run on the form-fill-seal machine.」
(標準的な成形充填シール機は、成形管及び成形肩部を交換することによって多様な形状及びサイズの包装を成形するように適合させることができる。しかしながら成形肩部及び成形管の組立体は、適切な作動を保証するために機械の他の構成要素に対して正確に設置させる必要がある。成形充填シール機をあるサイズの包装から別のものに交換することは、従来の機械では、高度に熟練した機械操作者を必要とする、時間がかかる作業であった。交換する際、当然のことながら機械は作動しないため、機械による生産量が失われる。本発明の一態様は、成形充填シール機上を流れる包装サイズを変更することが望まれる場合、迅速かつ容易に取り外すことができる交換部品組立体200を提供することである。)

(エ) 第5欄の第5段落
「The change part assembly 200 includes a forming tube mounting plate 202 that has a faceted opening 204 formed therein. The forming tube 206 is secured to the forming tube mounting plate 202 within the facetted opening 204.The product to be sealed in the bags is loaded through the open end 207 of the forming tube 206.・・・The forming shoulder 214 is constructed by welding the shoulder portion 217 (see FIG. 6) to the collar shaped body portion 219 (see FIGS. 1, 4, 6 and 7).・・・A lower plate 208 is connected to forming tube mounting plate 202 by a pair of columns 210. Lower plate 208 has an aperture 209 (see FIG. 6) formed therein that is larger than the forming tube 206. The forming shoulder 214 is secured to a shoulder plate 218 that has a circular aperture 220 formed therein.・・・The shoulder plate 218 is secured to the lower plate 208.・・・the film from which the package is formed is fed to the forming tube 206 from the film roll 625 that is located at the back of the form-feed-seal machine 10 as a flat sheet and is formed into a tubular shape by the forming shoulder 214.」
(交換部品組立体200は、切子面でカットされた開口204が形成された成形管設置プレート202を含む。成形管206は、切子面でカットされた開口204の中で成形管設置プレート202に固定される。袋の中にシールされるべき製品は、成形管206の開放端部207から充填される。・・・成形肩部214は、肩部材217(図6を参照)を環状の本体部分219(図1、図4、図6及び図7を参照)に溶接することによって構築される。・・・下部プレート208が、一対の柱210によって成形管設置プレート202に接続される。下部プレート208は、成形管206より大きな開口部209(図6を参照)を有している。成形肩部214は、円形開口部220が成形された肩部プレート218に固定される。・・・肩部プレート218は、下部プレート208に固定される。・・・包装を形成するフィルムが、平坦なシートとして成形充填シール機10の後方に配置されたフィルムロール625から成形管206へと送られ、成形肩部214によってチューブ状に成形される。)

(オ) 第6欄の第3段落
「The lower plate 208 of the change part assembly 200 is slid into slots 40 that are defined by the parallelogram shaped plates 18 and 19, upper plates 42 secured to the upper edge of plates 18 and 19 and bars 44 that are secured to the inner surfaces of the plates 18 and 19. The lower plate 208 has an upwardly projecting stud 46 on each edge that will slide into the slots 40. The upper plates 42 have notches 48 formed in their leading edges that are dimensioned to receive the studs 46. Toggle lock mechanisms 50, including handles 52 are mounted on the inner surface of each parallelogram shaped plates 18 and 19 below the bars 44. The toggle lock mechanisms 50 include a rod 54 having a flat end that extends through cylindrical openings 55 formed in the bars 44. After, the edges of bottom plate 208 are slid into slots 40 to the point where studs 46 are engaged in the notches 48, the handles 52 are moved to the locked position which causes rods 54 to extend upwardly through cylindrical openings 55 and secure the change part assembly 200 in place in the grooves 40.」
(交換部品組立体200の下部プレート208は、平行四辺形状のプレート18、19と、プレート18、19の上方縁部に固定された上部プレート42と、プレート18、19の内面に固定されたバー44とによって画定されたスロット40内へとスライドさせられる。下部プレート208は、スロット40内にスライドさせられる各縁部において上向きに突出する鋲46を有する。上部プレート42は、各誘導縁部内に形成されたノッチ48であって、鋲46を受けるように寸法が決められたノッチ48を有する。トグルロック機構50は、ハンドル52を含んでおり、バー44の下方において平行四辺形状の各プレート18及び19の内面上に設置される。トグルロック機構50は、平坦な端部を有し、バー44に形成された円筒形の開口55を通って延在するロッド54を含む。その後、底部プレート208の縁部が、鋲46がノッチ48内に係合する地点までスロット40内にスライドさせられ、ハンドル52がロック位置に移動させられ、これによりロッド54を円筒形の開口55を通るように上向きに延出させ、交換部品組立体200をスロット40内の所定の場所に固定させる。)

(カ) 第10欄の第2段落
「The sealing jaw mechanism 100 is Shown in FIGS. 12-20. A cast housing 500 includes bearings for an oscillating shaft 502. The cast housing 500 is secured by nuts and bolts (not shown) to the lower support members 2 and 3 (see FIG. 1).」
(図12-20に、シール掴み具機構100を示す。キャストハウジング500は、下軸502のためのベアリングを含んでいる。キャストハウジング500は、ナット及びボルト(不図示)により、下部支持部材2,3(図1参照)に固定される。)

(キ) 第3欄下段の「BRIEF DESCRIPUTION OF THE DRAWINGS」の欄に、FIG.5が成形充填密封装置の右側面図(right side view of the form -fill-seal machine)である点が記載され、FIG.5及びFIG.8から2本のバー44が同じ高さに配置されていること及び前記2本のバー44は直線状のバーであることが見て取れ、かつ、FIG.1及びFIG.5?6から成形管206が垂直コラム14に平行であることが見て取れる。

以上の記載を、本件発明1に照らし整理すると、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「フィルムをチューブ状の包装に成形するための成形管206及び成形肩部214を備えた交換部品組立体200と、前記交換部品組立体200を、シール掴み具機構100を備えたキャストハウジング500に対して移動できるように、前記交換部品組立体200の下部プレート208を、その内部にスライド可能とされたスロット40と、を備えたものであって、
前記成形肩部214は成形充填包装機械10に固定されたキャストハウジング500に送出するためにチューブ状袋材料に成形される細長い袋材料が上を通過する成形肩部214であり、
前記のものは、前記成形管206及び成形肩部214へ、成形管装着プレート202及び一対の柱210を介して装着される下部プレート208と、
前記キャストハウジング500に装着するための、一対の平行四辺形状のプレート18,19、上部プレート42,及びバー44から構成され、その内部に前記下部プレート208がスライド可能とされたスロット40と、を備えており、
前記下部プレート208が、前記スロット40に装着され、かつスロット40に対して移動自在であるので、前記成形管206及び成形肩部214は、前記スロット40内でスライドされ、チューブ状袋材を前記キャストハウジング500へ送出するように前記キャストハウジング500と整合する所定の場所と、前記所定の場所以外の場所との間でスライド可能であるもの。」

2.甲2
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲2には、次の記載がある。
(ア) 段落0016?0018
「図1に示す態様において、1’はこの出願の発明の1つの要旨の中心を成す縦型製袋充填包装装置であり、ボビン2に巻装されたポリエチレン製等のフィルムシート3がガイドローラー4やダンサーローラー5を経てフォーマー6に送給され、該フォーマー6の内側に同芯的に設けられたシュートパイプ7の外周面に沿って筒状のフィルムシート3’に成形されて当該筒状のフィルムシート3’の両端縁部は縦ヒートシーラー8によりヒートシールされ、又、該縦ヒートシーラー8の側部に設けられた次に詳述するバキューム式の引き下ろし装置9’により所定の間欠制御を介し引き下ろしされ、該シュートパイプ7の上部に設けられた図示しないポテトチップス等の商品をシャッター式のニッパーを介して投入されて該縦ヒートシーラー8の所定位置下部に設けられたカッター内蔵の横ヒートシーラーにより横ヒートシール111をされると共に、所定に切断されて当該商品を充填されたユニット袋として次段の梱包工程へと図示しないコンベヤーを介して移送されるようにされている。
・・・而して、この出願の発明の要旨の1つの縦型製袋充填包装装置1のポイントの1つとなる商品の重量計量機構としての要部は当該図1?図4に示す様に、図示しない装置フレームに設置された一対のブラケット15を介しフォーマー台板16がその各端部に設けられたノッチ16''をロックハンドル14を介し固定され、又、上記ブラケット15,15の内側に立設された一対のサブステー17,17にサブ台板18が渡設され、該サブ台板18にシュートパイプ7の上端部が開口して支持固設吊設されている。
・・・そして、該サブステー17の各基端部に遊装式に設けられたサブブラケット15’を介し、フォーマー6がシュートパイプ7を遊挿した状態で該フォーマー台板16に下側より架設された周公知のロードセル19によってフォーマー6を浮動式に支持し、その重力を計量するようにされると共に、該シュートパイプ7の外側面に筒状に形成される包装としての筒状のフィルムシート3’、及び、投入された商品111’の重量をも計量し、図4に示す様に、該筒状の包装のフィルムシート3’の下端部において、図示しない横ヒートシーラーによる横ヒートシール111に対し、シュートパイプ7の上端開口部から投入されるポテトチップス等の商品111’の重量をも計量するようにされている。」

以上の記載を、本件発明1に照らし整理すると、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
「フィルムを筒状に成形するためのシュートパイプ7及びフォーマー6を、横ヒートシーラを備えた縦型製袋充填包装装置1に対して固定するために、前記シュートパイプ7及びフォーマー6を支持する部材を備える、縦型製袋充填包装装置1のシュートパイプ7及びフォーマー6を支持するものであって、
前記フォーマー6は前記横ヒートシーラに送出するために筒状のフィルムシート3’に形成されるフィルムシート3が上を通過するフォーマー6であり、
前記部材は前記シュートパイプ7及びフォーマー6へ、サブ台板18及び一対のサブステー17を介して装着されるフォーマー台板16と、前記縦型製袋充填包装装置1のフレームに装着するための、前記フォーマー台板16へ装着される一対のブラケット15と、を備えており、
前記フォーマー台板16が、その各端部に設けられたノッチ16”をロックハンドル14を介して固定され、
前記フォーマー台板16が、前記ブラケット15に装着され、前記シュートパイプ7及びフォーマー6は、筒状のフィルムシート3’を前記横ヒートシーラへ送出するように前記横ヒートシーラと整合する位置において前記ブラケット15に支持されているもの。」

3.甲4-1
請求人の提出した2014年6月20日付Rudolf Masek氏の宣誓供述書には次の記載がある。
(ア) 第2頁の第1?14行(和訳は添付された訳文の第1頁第1?12行参照)
「1.Sales to company agro CS a.s.
The apparatus・・・(attachment 1).」
(1.Agro CS社への販売
添付資料1に示す回転式チューブバッファを備えた装置HBV20Cは、顧客であるAgro CS社に販売されました。本装置の販売については、秘密保持契約は存在しません。販売の証拠を下記の3つのパートからなる添付書類2にて提示します。
2-1 2000年7月18日付 販売契約書
2-2 2000年7月19日付 社内指示書533 125 073
2-3 2001年1月19日付 納品報告書

時期
2000年から2001年にかけて、チェコ共和国Vlasim,25839,1135,Havickovaに住所があった会社Ing Rudolf Masek Packaging and processing machineryは、添付の技術図面(添付資料1)に示すような回転式チューブ・バッファを備えた縦型製袋充填包装装置HBV20Cを製造、納品しました。)

(イ) 第3頁の第8?13行(訳文の第2頁第4?10行参照)
「What:
The sales・・・pro vymenu 4 tubusu’)」
(納品物
2000年7月18日付販売契約書の2ページ目の8行目に、「回転式チューブバッファ」と示されています。(添付書類2-1)
添付書類2-2は、の2000年7月19日付社内指示書です。本指示No533 125 073には、組立てられた装置、具体的には、HBV20C(回転式チューブバッファ”Octocny Zasobnik pro vymenu 4 tubusu”)の記載があります。)

(ウ) 第4頁の第1?14行(訳文の第4頁の第1?12行参照)
「2.Sales to company EBA s.r.o.
The apparatus・・・(attachment 1).」
(1.EBA社への販売
添付資料1に示す回転式チューブバッファを備えた装置HBV20Cは、顧客であるEBA社に販売されました。本装置の販売については、秘密保持契約は存在しません。販売の証拠を下記の3つのパートからなる添付書類3にて提示します。
3-1 2002年6月18日付 販売契約書
3-2 2002年6月19日付 社内指示書233 025 017
3-3 2002年10月1日付 製品受入証書書

時期
2002年、チェコ共和国Vlasim25839 Havickova1135住所があった会社Ing Rudolf Masek Packaging and processing machinery会社は、添付の技術図面(添付資料1)に示すような回転式チューブ・バッファを備えた縦型製袋充填包装装置HBV20Cを製造し、納品しました。)

(エ) 第5頁の第9?16行(訳文の第5頁の第4?10行参照)
「What:
The sales・・・’1ks Zasobnik tubusu’)」
(納品物
2002年6月18日の販売契約書には、装置HBV20Cが販売されたことが示されています。本装置は、サイズの異なる4つの形成チューブの回転式チューブバッファを備えています。(添付書類2-1、2ページ目5行目)
添付書類3-2は、Ing. Rudolf Masek Packaging and processing machineryの、2002年6月19日付社内指示書です。本指示書No233 025 017には、組立てられた装置について記載があります。具体的には、HBV20C(回転式チューブバッファ”1ks Zasobnik tubusu”)の記載があります。)

(オ) 第6頁の第2?4行(訳文の第6頁の第2?4行参照)
「In the following better reference:」
(以下に、販売された装置HBV20Cについて説明します。以下の供述は、添付の販売情報と技術図面を参照しております。より明確に参照できるよう、技術図面に引用符号を挿入しています。)

4.甲5-1
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲5-1には、次の記載がある。
(ア) 段落0016
「このように構成された本発明に係る充填包装機は外面の所要部が開閉可能になっているので、運転上必要な操作が容易に行なえかつ外観を整えるとともに機内を清潔に保つことができる。上半部の四方には全て窓を有する開閉扉52、53、54、55が上方へ跳ね上げられるように取り付けてあり、下半部の壁面側56…は着脱可能である。57は操作盤、58は充填されたパック状包装製品取り出し用コンベアを示す。」

5.甲6-1
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲6-1には、次の記載がある。
(ア) 段落0022
「このように構成された本発明に係る充填包装機は外面の所要部が開閉可能になっているので、運転上必要な操作が容易に行なえかつ外観を整えるとともに機内を清潔に保つことができる。上半部の四方には全て窓を有する開閉扉52、53、54、55が上方へ跳ね上げられるように取り付けてあり、下半部の壁面側56…は着脱可能である。57は操作盤、58は充填されたパック状包装製品取り出し用コンベアを示す。」

(イ) 段落0027
「以上の構成に加えて、この製袋包装機1においては、上記チューブ部材13の前面側の内側に、その上部14から下部15の下端部にわたって上下に長い板材21を張り付けて、該板材21とチューブ部材13の前面部との間に上下に延びる空間を形成することにより、袋状とされた包材内の空気を不活性ガスで置換するための置換ガス通路20が設けられている。」

6.甲6-2
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲6-2には、次の記載がある(日本語訳は当審が付した。)
(ア) 第6欄第51?63行
「The system includes a compressed air source 62 connected to an air passage 64 extending into and down through the hollow mandrel 14 (see FIG. 1). The air passage 64 splits into two air delivery passageways 66, 66' directing air into two cushion chambers 68, 68' (see FIGS. 3 and 4). The chambers 68, 68' position the air cushions opposite the film advancing belts 26, 26', respectively. The air directed in this manner serves to lift the film tube T away from the mandrel 14 into engagement with the moving engaging surfaces of the film advancing belts 26, 26' (shown exaggerated in FIGS. 3 and 4). Air may be pulsed to the chambers for improved lifting action, if desired.」
(システムは分岐して中空マンドレル14に降下する空気通路64につながる圧縮空気源62を含む(FIG.1参照)。空気通路64は2つの干渉チャンバー68,68’に向かう2つの空気送付通路66,66’に分岐する(FIG.3,FIG.4参照)。チャンバー68,68’はフィルム進行ベルト26,26‘に空気クッションをそれぞれ対向させる。このように方向付けられた空気はフィルムチューブをマンドレル14の拘束と移動するフィルム進行ベルト26,26’の拘束面の下でTで表すように浮かせる(FIG.3とFIG.4で誇張して示されている)。望むなら、空気をチャンバーにパルス状に付加して、浮きを改善させることができる。)

第7.当審の判断
1 無効理由1について
1-1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明の「成形肩部214」、「成形管206及び成形肩部214を備えた交換部品組立体200」、「成形充填包装機械10」、「下部プレート208」、「スロット40」、「「下部プレート208」と「スロット40」」、「所定の場所」は、各々、本件発明1の「成形機肩部材」、「成形機」、「包装装置」、「第1の部分」、「第2の部分」、「サポート」、「第1の位置」に相当する。
また、本件発明1の「包装機械」とは、「包装機械は、成形機を採用して、細長い形に切られた袋材料を、包装される製品が中に送出されるチューブ状形状の袋材料に変形する。チューブ状袋材料は、ほぼ縦方向と横方向に封止され、ついで横方向に切断されて製品の個別の袋を成形する」(本件特許明細書段落【0002】、下線は当審にて付与。)もので、「その包装機械15は、成形機14からチューブ状袋材料を受容し、製品を回分して、個別の袋を形成する。」(同段落【0028】)であるから、甲1発明の「シール掴み具機構100を備えたキャストハウジング500」は、本件発明1の「包装機械」に相当する。
してみると、本件発明1と甲1発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「包装機械成形機と、前記成形機を包装機械に対して移動できるように前記成形機を支承するサポートと、を備える、包装装置の成形機を支承する組立体であって、
前記成形機は、前記包装機械へ送出するためにチューブ状袋材料に成形される細長い袋材料が上を通過する成形機肩部材を備え、
前記サポートは、前記成形機へ装着される第1の部分と、前記包装機械に装着するための、前記第1の部分へ装着される第2の部分と、を備えており、
前記第1の部分が、前記第2の部分に装着され、かつ前記第2の部分に対して移動自在であるので、前記成形機は、チューブ状袋材料を前記包装機械へ送出するように前記包装機械と整合する第1の位置で前記第2の部分に支承される組立体。」

[相違点]
本件発明1においては、「成形機」は、「第1の位置と、成形機へのアクセスを容易にするように前記第1の位置から離間する第2の位置と、の間で移動自在であり」、かつ「前記位置の両方において第2の部分に支承されている」のに対し、甲1発明においては、「前記下部プレート208が、前記スロット40に装着され、かつスロット40に対して移動自在であるので、前記成形管206及び成形肩部214は、前記スロット40内でスライドされ、チューブ状袋材を前記キャストハウジング500へ送出するように前記キャストハウジング500と整合する所定の場所(第1の位置)と、前記所定の場所以外の場所との間でスライド可能である」点

(2)判断
(2-1) 本件特許明細書において、「成形機へのアクセスが容易」か否かは、成形機や包装機械がキャビネット(装置の外装ケース)の内部に設けられることを前提に、成形機がドアからキャビネットの内側に離間しているので、その取外しと交換が難しくかつ時間がかかる旨が説明されている。(以下の<記載事項>のア?ウを参照)
しかしながら、本件発明1は、成形機や包装機械がキャビネット(装置の外装ケース)の内部に設けられていることを発明特定事項(要件)としていない。
したがって、本件発明1における「第2の位置」は、「第1の位置から離間する」位置で、「成形機」の「取外し」や「交換」が可能な位置であると解すべきである。
一方、甲1発明における「所定の場所以外の場所」は、「スロット40内でスライドされる」、「成形管206及び成形肩部214」を備えた「交換部品組立体200」が、「チューブ状袋材を前記キャストハウジング500へ送出するように前記キャストハウジング500と整合する」場所である「所定の場所(第1の位置)」から離間する場所であって、前記「交換部品組立体200」の取外しや交換が可能である場所であることは、明らかである。
そして、甲1発明において、前記「交換部品組立体200」は、「スロット40内でスライドされる」ものであるから、「所定の場所(第1の位置)」と「所定の場所以外の場所」の双方で「スロット40」(第2の部分)によって支えられる、すなわち、支承されることも明らかである。
してみると、上記[相違点]は、単なる表現上の相違であって、実質的な相違点ではないから、本件発明1は、甲1に記載された発明である。

<記載事項>
ア.「【0003】
成形機は、ドアが設けられるキャビネット内に一般に位置決めされる。成形機は、整備および他の要件のために取外しと交換が必要になることが多い。そのようにするために、作業者は、キャビネット内に入り、成形機を、その「サドル」台から吊り上げて、それから取外すことが多い。」
イ.「【0005】
成形機を取外しかつ切離す上述の方法は、成形機がドアからキャビネットの内側に離間しているので、難しくかつ時間がかかる。」
ウ.「【0033】
ロッド24がガイド23内で摺動自在であるので、成形機14は、チューブ状袋材料と製品を機械15へ送出する、機械15の上方に位置決めされる第1の位置(図1)と、第1の位置から矢印26の方向に水平に離間する第2の位置(図2)との間に移動自在であり、それにより、成形機14は、開口部13に隣接して位置決めされるか、またはキャビネット11の周辺を超えて位置決めされるので、作業者が、成形機14を整備できるか、または成形機14を取換えさえもできる。」

(2-2) 仮に、本件発明1における「第2の位置」が、「「第1の位置から離間する」位置で、「成形機」の「取外し」や「交換」が可能な位置」というだけではなく、成形機や包装機械がキャビネット(装置の外装ケース)の内部に設けられることを暗黙の前提とするものであり、「第1の位置から離間する」位置で、「成形機」の「取外し」や「交換」が「容易でかつ時間のかからない」位置であるとして、検討をすすめる。
機械装置の設計を行う際に、その機械装置を構成する各部品等の清掃、整備、調整、交換等、その機械の保守(メンテナンス)等の作業を容易かつ時間がかからないように、前記各部品等の配置や取り付け構造を設計することは技術常識であり、保守等の作業を容易かつ時間がかからないようにするために、機械装置の外郭や筐体(キャビネット)の内部に配置される各部品等を前記筐体の外部に露出し得るようにスライドさせる機構(レール等)を設けることは、包装機械を含む様々な技術分野において本件特許の優先日前に周知の技術である(例示が必要であれば、以下の<周知例>欄を参照)。
一方、上記「(2-1)」で述べたとおり、甲1発明において、「所定の場所以外の場所」は、「所定の場所(第1の位置)」から離間する場所であって、前記「交換部品組立体200」の取外しや交換が可能である場所であること、および、「交換部品組立体200」は「所定の場所(第1の位置)」と「所定の場所以外の場所」の双方で「スロット40」(第2の部分)によって支承されること、が明らかである。
そして、前記「交換部品組立体200」を有する甲1発明においても、その保守等の作業を容易かつ時間がかからないようにすることは、当業者が当然考慮すべき事項である。
してみると、甲1発明において、「交換部品組立体200」の保守等の作業を容易かつ時間がかからないようにするために、「第2の位置」を「第1の位置から離間する」位置で、「成形機」の「取外し」や「交換」が「容易でかつ時間のかからない」位置とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことというべきである。
また、本件発明1が奏する作用効果は、甲1発明及び上記技術常識や周知技術から、当業者が普通に予測し得る程度のものにすぎない。
したがって、上記技術常識や周知技術の存在を踏まえると、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

<周知例>
ア.特開2006-298495号公報(特に、【要約】、段落【0006】、【0045】、【図1】?【図4】を参照)
イ.特開平10-147319号公報(特に、【要約】、段落【0004】、【0020】、【0023】、【図5】を参照)
ウ.特開平9-169303号公報(特に、【要約】、【請求項1】、【請求項2】、段落【0003】、【0029】、【0030】、【図4】を参照)
エ.実願平2-12531号(実開平3-102401号)のマイクロフィルム(特に、明細書の「実用新案登録請求の範囲」、第2頁第14行?第3頁第2行、第6頁第18行?第7頁第8行、第8頁第19行?第9頁第3行、第1図を参照)
オ.特開平2-309475号公報(特に、第6頁左下欄第6行?第9行、第7図を参照)
カ.特開平1-291030号公報(特に、スライド板32に関する記載を参照)
キ.特開平1-112271号公報(特に、作業ケース23に関する記載を参照)
ク.特開平1-105274号公報(公報の記載全体を参照)

(2-3)これに関し、被請求人は、特に本件発明1における「支承」の意味について、おおむね以下の主張をしている。

<「支承」の意味についての被請求人の主張>(被請求人要領書(2)第5頁(3-3)参照)
ア.本件発明1の「前記位置の両方において第2の部分に支承されている」に関して、本件特許明細書には、「成形機サポート20」の「第1の部分」である「ロッド24」に「成形機14」が取り付けられ、「成形機サポート20」の「第2の部分」である「ガイド23」のそれぞれは、「ロッド24の対応する1つを摺動自在に支承して」いるので、第2の位置において、「成形機14を整備できるか、または成形機14を取換えさえもできる」ことが記載されている。
イ.本件発明1の「支承」が、答弁書の7-3-1(2-3)に記載したように、成形機が所期の動作を支障なく行える程度に、又は、成形機に対して所期の作業を支障なく行える程度に、しっかりと安定的に支えることを意味するものであること、換言すれば、甲1発明において、請求人が「第2の位置」と主張する位置での成形機のように、成形機に対して作業を行うことが設計上想定されていない不安定な態様でとどめ置かれることが、本件発明1の「支承され」ることに相当するものではないことは、本件特許明細書の記載から当業者が当然に把握できる事項である。

しかしながら、上記主張のアに関し、本件特許明細書の段落【0033】の「成形機14は、開口部13に隣接して位置決めされるか、またはキャビネット11の周辺を超えて位置決めされるので、作業者が、成形機14を整備できるか、または成形機14を取換えさえもできる。」との記載は、成形機14が、「開口部13に隣接した位置」または「キャビネット11の周辺を超えた位置」という第2の位置に位置決めされるので、「作業者が、成形機14を整備できるか、または成形機14を取換えさえもできる。」こと、すなわち、第2の位置におかれることの効果を述べているにすぎないから、この記載を根拠に、「支承」が、「成形機に対して所期の作業(整備、交換等)を支障なく行える程度に、しっかりと安定的に支える」ことを意味するとまではいえない。
よって、本件発明1における「支承」とは、単に「支える」程度の意味と解するのが相当であり、請求人の「甲1において、通過するにすぎない位置は、本件発明の第2の位置ではない」との主張は、本件特許明細書の記載に基づく主張とはいえず、その根拠がないといわざるを得ない。
一方、上記(2-1)で述べたように、甲1発明において、「交換部品組立体200」は、「所定の場所(第1の位置)」と「所定の場所以外の場所」の双方で「スロット40」(第2の部分)によって支えられる、すなわち、支承されることが明らかである。
したがって、被請求人の上記主張は失当であり、上記(2-1)及び(2-2)の判断をなんら左右するものではない。

1-2 本件発明2について
本件発明2は、発明特定事項として、本件発明1における、「成形機」の「第1の位置と第2の位置との間」の「移動」を、「略水平面で移動」と限定するものである。
しかし、甲1には、同じ高さに設けられた2本のバー44が記載されており(上記第5.1.(キ)参照)、下部プレート208は、このバー44の上をスライドすることにより、「成形管206及び成形肩部214」は、第1の位置と第2の位置との間で移動する時に略水面上で移動するものと認められる。
ゆえに、上記発明特定事項は甲1に記載された事項にすぎない。
したがって、本件発明2は、甲1に記載された発明であり、また、甲1発明、上記甲1に記載された事項及び上記「1-1」の「(2-2)」で示した技術常識や周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

1-3 本件発明3について
本件発明3は、発明特定事項として、本件発明1における、「第1の部分」と「第2の部分」について「第1の部分は、第2の部分に対して直線的に移動自在であるので、成形機が前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動自在である」と限定するものである。
しかし、甲1には、スロット40(第2の部分)を形成する2本のバー44が直線状であることが記載され(上記第5.1.(キ)参照)、この上を下部プレート208(第1の部分)が直線的に移動自在であることにより、「成形管206及び成形肩部214」は、第1の位置と第2の位置との間で移動自在であるものと認められる。
ゆえに、上記発明特定事項は甲1に記載された事項にすぎない。
したがって、本件発明3は、甲1に記載された発明であり、また、甲1発明、甲1に記載された事項及び上記「1-1」の「(2-2)」で示した技術常識や周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

1-4 本件発明4について
本件発明4は、発明特定事項として、本件発明3における、「第1の部分」と「第2の部分」について「第1の部分は、第2の部分により摺動自在に支承される」と限定するものである。
しかし、甲1発明は、「下部プレート208(第1の部分)が、スロット40(第2の部分)に装着され、かつスロット40に対して移動自在」であり、「成形管206及び成形肩部214」は、「前記スロット40内でスライドされ」、「所定の場所」と、「前記所定の場所以外の場所との間でスライド可能」に支承されるものである。
したがって、本件発明4は、甲1に記載された発明であり、また、甲1発明、甲1に記載された事項及び上記「1-1」の「(2-2)」で示した技術常識や周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

1-5 本件発明5について
本件発明5は、発明特定事項として、本件発明1の「包装装置の成形機を支承する組立体」に「組立体は、包装機械が中に位置決めされるキャビネットを備え、また前記キャビネットは、成形機へアクセスできるようにアクセス開口部を有」する点を付加し、「第1の部分は、第1の位置から第2の位置へ移動する際にアクセス開口部へ向けて移動する」点を限定するものである。
(1)対比
本件発明5と甲1発明を対比すると、両者は、上記「1-1 本件発明1について」の「(1)対比」欄に記載した[相違点]に加え、次の点で相違する。

[相違点1]
本件発明5は、包装装置の成形機を支承する「組立体が、包装機械が中に位置決めされるキャビネットを備え、また前記キャビネットは、成形機へアクセスできるようにアクセス開口部を有」し、「第1の部分は、第1の位置から第2の位置へ移動する際にアクセス開口部へ向けて移動する」のに対し、甲1発明は、そのような構成を有するものではない点。

(2)判断
[相違点]についての判断は、上記「1-1 本件発明1について」の「(2)判断」欄に記載した(2-2)の判断と同様である。
次に、上記[相違点1]について検討すると、成形機を含む組立体においてキャビネットを設けることは周知技術であり(甲第5-1の図12?13及び開閉扉52?55を備える上半部及び着脱可能な壁面側56を備える下半部、甲5-2の図1及びケーシング9、甲5-3の第243頁、第245頁、第289頁に示された写真、甲5-4の第217頁、第221頁に示された写真、甲5-5の第209頁、第210頁、第243頁に示された写真、甲9の最下部中央に「For infomation circle 7」と記された頁の右下の写真参照)、また、甲5-1には、キャビネットの外面の所要部に、内部にアクセス可能な開閉扉を設ける点が記載されている(上記第6.4.参照)。
また、一般に、機械装置を覆う筐体(キャビネット)を設けるか否かは、機械装置の作業者の安全性等を考慮して当業者が適宜決定し得たことにすぎない。
してみると、甲1発明において、包装機械(シール掴み具機構100を備えたキャストハウジング500)が中に位置決めされ、成形機(成形管206及び成形肩部214を備えた交換部品組立体200)へアクセスできるようにアクセス開口部を有するキャビネットを備えることは、当業者が容易に想到し得たことというべきである。
そして、上記キャビネットを備える際に、甲1発明における第1の部分(下部プレート208)が、第1の位置(所定の場所)から第2の位置(所定の場所以外の場所)へ移動する際にアクセス開口部へ向けて移動するような配置とすることは、当然のことである。

被請求人は、甲1発明にはあえてキャビネットを設ける動機付けがなく、甲1発明には外部から操作を必要とする部材を配しているから、阻害要件があると主張している(答弁書第19頁(2)参照)。
しかしながら、甲1発明においても作業者の安全性等を考慮すべきことは当然であるから、キャビネットを設ける動機付けはあると言うべきである。
また、キャビネットを設けても、開口や、扉等を設けることにより、キャビネット内にある部材等を外部から操作できるようにする程度のことは、当業者が適宜なし得ることにすぎないから、甲1発明には、キャビネットを設けることに阻害要因があるとまではいえない。

そして、本件発明5が、甲1及び甲5-1に記載された事項から当業者が予測できない格別な効果を奏するものとは認められない。

以上より、本件発明5は、甲1発明、上記「1-1」の「(2-2)」で示した技術常識や周知技術、甲5-1記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

1-6 本件発明6
本件発明6は、発明特定事項として、本件発明1の「サポート」について「成形機へ気体を送出するために前記成形機まで延びるダクト系統を備える」と限定するものである。
(1)対比
本件発明6と甲1発明を対比すると、両者は、上記「1-1 本件発明1について」の「(1)対比」欄に記載した[相違点]に加え、次の点で相違する。

[相違点2]
本件発明6は、「サポート」は「成形機へ気体を送出するために前記成形機まで延びるダクト系統を備える」のに対し、甲1発明の「「下部プレート208」と「スロット40」」(サポート)は、そのような構成を有するものではない点。

(2)判断
[相違点]についての判断は、上記「1-1」の「(2)判断」欄に記載した[相違点]の判断と同様である。
次に、上記[相違点2]について検討すると、甲6-1には、フォーマ10を構成するチューブ部材13の前面側の内側に置換ガス通路20を設けること(上記第6.5.参照)が、また、甲6-2には外周をチューブが通過するマンドレル14内に伸びる空気通路64が設けられている構成が開示されているにすぎず(上記第6.6.参照)、サポートに、成形機へ気体を送出するために、前記成形機まで延びるダクト系統を備える点についての記載や示唆は認められない。
また、甲1?2、甲4-1?5-5、甲7?11をみても、この点についての記載も示唆も見当たらない。

この点について、請求人は、甲6-1、甲6-2からみると、サポートに、成形機へ気体を送出するために前記成形機まで延びるダクト系統を備えることは、当業者が適宜なし得る設計的事項であると主張する(審判請求書第30頁第10?13行参照)。
しかし、そもそも甲1はダクト系統を備えておらず、上記のように、甲6-1、甲6-2には、取外し可能な成形機を支持する支持構造にダクト系統を備える点が記載されているわけではない。
したがって、甲1のサポート(下部プレート208及びスロット40)に成形機を気体を送出するためにダクト系統を備えることが設計的事項であるとはいえない。
よって、請求人の前記主張は失当である。

したがって、本件発明6の上記[相違点2]にかかる構成を当業者が容易に想到し得たとはいえない。
また、本件発明6は上記構成によって、前記本件特許明細書に記載された「成形機に気体供給ラインが設けられる場合に作業者は、成形機へ装着された導管を切離して成形機を取外さなければならない。…成形機を取外しかつ切離す上述の方法は、成形機がドアからキャビネットの内側に離間しているので、難しくかつ時間がかかる。」(段落【0004】?【0005】参照)という課題を解決して、「気体供給ラインの成形機14への自動接続と自動切離し」(段落【0040】参照)をし得るという格別な効果を奏するものである。
よって、本件発明6は、甲1?2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

1-7 本件発明7について
本件発明7は、発明特定事項として、本件発明6の「成形機」について「成形機は、前記成形機肩部材まで延びるシュートを備え、そのシュートを通して製品が、チューブ状袋材料内に受容されるように移動して前記成形機により送られる」点を限定するものである。
しかし、上記「1-6」に記載したように、本件発明6が甲1?2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものではないから、本件発明6の構成を全て含み、さらに上記「成形機は、前記成形機肩部材まで延びるシュートを備え、そのシュートを通して製品が、チューブ状袋材料内に受容されるように移動して前記成形機により送られる」点を限定した本件発明7が、甲1?2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。

1-8 本件発明8について
本件発明8は、発明特定事項として、本件発明7の「成形機」について「成形機は、前記サポートの前記ダクト系統と連通するダクト系統を備えるので、前記気体が前記シュートへ送出される」点を限定するものである。
しかし、上記「1-7」に記載したように、本件発明7が甲1?2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものではないから、本件発明7の構成を全て含み、さらに上記「成形機は、前記サポートの前記ダクト系統と連通するダクト系統を備えるので、前記気体が前記シュートへ送出される」点を限定した本件発明8が、甲1?2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。

1-9 請求項9について
請求項9の記載は、「前記第1の部分(44)は、前記第2の部分(46)に対して斜めに移動自在である請求項2に記載の組立体。」である。
しかしながら、後述する「4.無効理由5について」の(2)で述べるように、上記請求項9の記載では、特許を受けようとする発明が明確でない。
したがって、上記請求項9に記載されたものについての進歩性は判断しない。

1-10 本件発明10について
本件発明10は、発明特定事項として、本件発明9の「サポート」について「サポートは、前記成形機へ装着される一対の離間するアームを備え、前記第1の部分は、前記アームを前記成形機へ装着する回動組立体を備え、また前記第2の部分は、前記アームへ装着され、かつ前記包装機械に対して固定されるようになっている回動組立体を備えて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機が斜めに移動できるようにする」点を限定するものである。
請求項10は請求項9を引用するものであるが、後述の理由により(4.(3)参照)明確である。

(1)対比
本件発明10と甲1発明を対比すると、両者は、「1-1」で検討した[相違点」、「1-2」で検討した「成形機は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動するときに、略水平面で移動する」点に加え、次の点で相違する。

[相違点3]
本件発明10は、「サポートは、前記成形機へ装着される一対の離間するアームを備え、前記第1の部分は、前記アームを前記成形機へ装着する回動組立体を備え、また前記第2の部分は、前記アームへ装着され、かつ前記包装機械に対して固定されるようになっている回動組立体を備えて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機が斜めに移動できるようにする」のに対し、甲1発明ではそのような構成を有するものではない点。

(2)判断
[相違点]についての判断は、上記「1-1」に記載した[相違点]の判断、「成形機は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動するときに、略水平面で移動する」点についての判断は上記「1-2」で述べたことと同様である。
次に、上記[相違点3]について検討すると、甲1には、「サポートは、前記成形機へ装着される一対の離間するアームを備え、前記第1の部分は、前記アームを前記成形機へ装着する回動組立体を備え、また前記第2の部分は、前記アームへ装着され、かつ前記包装機械に対して固定されるようになっている回動組立体を備えて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機が斜めに移動できるようにする」点についての記載や示唆は認められない。
また、甲2、甲4-1?11をみても、この点についての記載も示唆も見当たらない。

この点について、請求人は、「第1の部分を第2の部分に対してどの方向に移動自在とするかは、当業者が適宜なし得る設計事項である。そして、包装装置の成形機を支承する組立体を、第2の部分に対して第1の部分を移動自在とする方向に応じた構成とすることについても、当業者が適宜なし得る設計事項であるといえる。」と主張している(審判請求書第31頁第26?30行参照)。
しかし、「成形機へ装着される一対の離間するアームを備え、第1の部分は、前記アームを前記成形機へ装着する回動組立体を備え、前記第2の部分は、前記アームへ装着され、かつ前記包装機械に対して固定されるようになっている回動組立体を備え」ることが、当業者が通常想到し得る「包装装置の成形機を支承する組立体を、第2の部分に対して第1の部分を移動自在とする方向に応じた構成」であるとする根拠はなく、前記請求人の主張は妥当でない。

よって、本件発明10は、甲1?2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

1-11 本件発明11について
(1)対比
本件発明11と甲1発明を対比する。
甲1発明の「成形肩部214」、「成形管206及び成形肩部214を備えた交換部品組立体200」、「成形充填包装機械10」、「「下部プレート208」及び「スロット40」」、「所定の場所」は、各々、本件発明11の「成形機肩部材」、「成形機」、「包装機械」、「サポート」、「第1の位置」に相当する。
また、本件発明11の「包装機械」とは、「包装機械は、成形機を採用して、細長い形に切られた袋材料を、包装される製品が中に送出されるチューブ状形状の袋材料に変形する。チューブ状袋材料は、ほぼ縦方向と横方向に封止され、ついで横方向に切断されて製品の個別の袋を成形する」(本件特許明細書段落【0002】、下線は当審にて付与。)もので、「その包装機械15は、成形機14からチューブ状袋材料を受容し、製品を回分して、個別の袋を形成する。」(同段落【0028】)であるから、甲1発明の「シール掴み具機構100を備えたキャストハウジング500」は、本件発明11の「包装機械」に相当する。
してみると、本件発明11と甲1発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点2]
「包装機械と、
成形機を支承するサポートと、
前記サポート上に支承される成形機肩部材と、を備える組立体であって、
前記サポートは、チューブ状袋材料を前記包装機械へ送出するように前記包装機械と整合する第1の位置と、前記第1の位置から離間する第2の位置との間での前記成形機肩部材の移動を実現することを特徴とする組立体。」

[相違点4]
本件発明11は、「アクセス開口部を有するキャビネット」を備え、包装機械がキャビネット内にあり、「サポートは、チューブ状袋材料を前記包装機械へ送出するように前記包装機械と整合する第1の位置と、前記アクセス開口部へ向けて前記第1の位置から離間する第2の位置との間での前記成形機肩部材の移動を実現する」のに対し、甲1発明は、キャビネットを備えておらず、「成形管206及び成形肩部214を備えた交換部品組立体200は、前記スロット40内でスライドされ、チューブ状袋材を前記キャストハウジング500へ送出するように前記キャストハウジング500と整合する所定の場所(第1の位置)と、前記所定の場所以外の場所との間でスライド可能である」ものの「アクセス開口部へ向けて第1の位置から離間する第2の位置との間での成形機肩部材の移動を実現する」とはされていない点。

(2)判断
上記「1-5」の「(2)判断」の欄で述べたことと同様に、甲1発明において、包装機械(シール掴み具機構100を備えたキャストハウジング500)が中に位置決めされ、成形機(成形管206及び成形肩部214を備えた交換部品組立体200)へアクセスできるようにアクセス開口部を有するキャビネットを備えることは、当業者が容易に想到し得たことというべきである。
そして、上記キャビネットを備える際に、甲1発明において、サポートを構成する部材(下部プレート208)が、第1の位置(所定の場所)から第2の位置(所定の場所以外の場所)へ移動する際にアクセス開口部へ向けて移動するような配置とすることは、当然のことである。

被請求人は「甲1発明は、少なくとも、「第2の位置」において、成形機がサポートに支承されていない、すなわち、成形機がサポートにより、成形機に対して所期の作業を支障なく行える程度に、しっかりと安定的に支える構成とはなっていない。」として、本件発明11は、「成形機を支承するサポート」及び「前記サポート上に支承される成形機肩部材」を備えるものであるのに対して、甲1発明は、そのような構成を備えていない点で相違すると主張している(答弁書第25頁「(4)甲1発明が構成要件[11C]及び[11D]を備えていないこと」参照)。
しかしながら、上記「1-1」の「(2-3)」で述べたことと同様に、本件発明11における「支承」とは、単に「支える」程度の意味と解するのが相当であり、請求人の上記主張は、本件特許明細書の記載に基づく主張とはいえず、その根拠がないといわざるを得ない。
一方、上記「1-1」の「(2-1)」で述べたように、甲1発明において、「成形管206及び成形肩部214を備えた交換部品組立体200」(成形機)は、「所定の場所(第1の位置)」と「所定の場所以外の場所」の双方で「スロット40」(第2の部分)によって支えられる、すなわち、支承されることが明らかである。
したがって、被請求人の上記主張は失当であり、上記判断をなんら左右するものではない。

以上より、本件発明11は、甲1発明、上記「1-1」の「(2-2)」で示した技術常識や周知技術、甲5-1記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

1-12 本件発明12について
本件発明12は、発明特定事項として、本件発明11の「サポート」について「サポートは、成形機肩部材が上に取付けられる少なくとも1つの部材を有する第1の部分、および第1の部分を受容して、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機肩部材の移動を実現する第2の部分を備える」と限定するものである。
本件発明12と甲1発明を対比すると、甲1発明の「下部プレート208」、「スロット40」は、それぞれ、本件発明12の「成形機肩部材が上に取付けられる少なくとも1つの部材を有する第1の部分」、「第1の部分を受容」する「第2の部分」に相当する。
ゆえに、本件発明12と甲1発明とは、上記[相違点4]でのみ相違し、その余の点では一致する。
そして、[相違点4]についての判断は、上記「1-11」の「(2)判断」で述べたとおりである。
したがって、本件発明12は、甲1発明、上記「1-1」の「(2-2)」で示した技術常識や周知技術、甲5-1記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

1-13 本件発明13について
本件発明13は、発明特定事項として、本件発明12の「第1の部分」について「第1の部分は、第2の部分に取付けられて、前記第2の部分に対して水平移動摺動」すると限定するものである。
しかし、上記「1-2」及び「1-4」で検討したように、甲1には、同じ高さに設けられた2本のバー44が記載されており、下部プレート208は、このバー44の上をスライドすることにより、「成形管206及び成形肩部214」は、第1の位置と第2の位置との間で移動する時に略水面上で移動するものと認められ、また、甲1発明は、「下部プレート208(第1の部分)が、スロット40(第2の部分)に装着され、かつスロット40に対して移動自在」であり、「成形管206及び成形肩部214」は、「前記スロット40内でスライドされ」るものである。
したがって、本件発明13は、甲1発明、甲1記載事項、上記「1-1」の「(2-2)」で示した技術常識や周知技術、甲5-1記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

1-14 本件発明14について
本件発明14は、発明特定事項として、本件発明13の「少なくとも1つの部材」について「少なくとも1つの部材は成形機肩部材が装着される第1の部材であり、前記成形機肩部材が装着される第2の部材をさらに備える」と限定するものである。
そこで、本件発明14と甲1発明を対比すると、上記[相違点4]の他に、次の点で相違する。
[相違点5]
本件発明14では、成形機肩部材が第1の部材と第2の部材に装着されるのに対して、甲1発明では「成形肩部214」が単一の部材である「下部プレート208」に装着されている点。

[相違点4]についての判断は上記「1-11」の「(2)判断」に記載されたとおりである。
[相違点5]について検討する。
ある部材を複数の部材からなる集合体で構成するか、単一の部材で構成するかは、製造のし易さやコスト等を考慮して、当業者が適宜決定し得る設計的な事項である。
よって、甲1発明における「下部プレート208」を、2つの部材からなる集合体として構成し、「成形肩部214」を前記2つの部材(第1の部材と第2の部材)に装着する構造とすることは、当業者が必要に応じてなし得たことというべきである。

したがって、本件発明14は、甲1発明、甲1記載事項、上記「1-1」の「(2-2)」で示した技術常識や周知技術、甲5-1記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

1-15 本件発明15について
本件発明15は、発明特定事項として、本件発明14の「成形機肩部材」について「成形機肩部材は、複数の前記部材へ着脱自在に装着される」と限定するものである。
この発明特定事項について検討する。
成形機を固定するためにの接続手段としてボルト、ピン等の取外し可能な手段を選択することは当業が適宜なし得た設計的な事項にすぎず、これらの手段を用いて成形機肩部材の着脱自在な固定を実現することは当業者にとって何ら創意工夫を必要とするものではない。
したがって、本件発明15は、甲1発明、甲1記載事項、上記「1-1」の「(2-2)」で示した技術常識や周知技術、甲5-1記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

1-16 本件発明16について
本件発明16は、発明特定事項として、本件発明15の「成形機肩部材」について「成形機肩部材を第1の位置に離脱自在に固定する手段を備える」と限定するものである。
この発明特定事項について検討する。
甲1には、成形機を第1の位置に固定手段(トグルロック機構50)で着脱自在に固定する点が記載されている(上記第5.1.(オ)参照)。
したがって、本件発明16は、甲1発明、甲1記載事項、上記「1-1」の「(2-2)」で示した技術常識や周知技術、甲5-1記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

1-17 本件発明17について
本件発明17は、発明特定事項として、本件発明16の「サポート」について「サポートは、成形機肩部材へ気体を送出するダクト系統を備える」と限定するものである。
当該本件発明17で限定される事項について検討すると、既に、上記「1-6」で検討したように、甲6-1又は甲6-2には、サポートに、成形機へ気体を送出するために、前記成形機まで延びるダクト系統を備える点についての記載や示唆は認められない。
また、甲1?2、甲4-1?5-5、甲7?11をみても、この点についての記載も示唆も見当たらない。
したがって、本件発明17は、甲1?2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

1-18 本件発明18について
本件発明18は、発明特定事項として、本件発明17の「組立体」について「包装される製品を成形機肩部材へ送るように前記成形機肩部材まで延びるシュートをさらに備える」点を限定するものである。
しかし、上記「1-17」で述べたように、本件発明17が甲1?2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易になしえたものとはいえないから、本件発明17の構成を全て含み、さらに上記「包装される製品を前記成形機肩部材へ送るように前記成形機肩部材まで延びるシュートをさらに備える」点を限定した本件発明18が、甲1?2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。

1-19 本件発明19について
本件発明19は、発明特定事項として、本件発明18の「組立体」について「気体をシュートまで送出するために、サポートのダクト系統から前記シュートまで延びるダクト系統をさらに備える」点を限定するものである。
しかし、上記「1-18」で述べたように、本件発明18が甲1?2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易になしえたものとはいえないから、本件発明18の構成を全て含み、さらに上記「気体をシュートまで送出するために、サポートのダクト系統から前記シュートまで延びるダクト系統をさらに備える」点を限定した本件発明7が、甲1?2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。

1-20 小括
以上より、本件発明1?4は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
また、本件発明1?5、11?16は、甲1発明、甲1記載事項、上記「1-1」の「(2-2)」で示した技術常識や周知技術、甲5-1記載事項に基づいて本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明1?5、11?16は無効理由1により、無効とするべきものである。

一方、本件発明6?8、本件発明10、本件発明17?19は、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1?2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
したがって、本件発明6?8、本件発明10、本件発明17?19は、無効理由1により、無効とすることはできない。

2.無効理由2について
2-1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
甲2発明の「フォーマー6」、「シュートパイプ7及びフォーマー6」、「横ヒートシーラ」、「縦型製袋充填包装装置」、「筒状のフィルムシート3’」、「フィルムシート3」、「フォーマー台板16」、「ブラケット15」、「支持」、「整合する位置」は、各々、本件発明1の「成形機肩部材」、「成形機」、「包装機械」、「包装装置」、「チューブ状袋材料」、「細長い袋材料」、「第1の部分」、「第2の部分」、「支承」、「第1の位置」に相当する。
してみると、本件発明1と甲2発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
{一致点1}’
「包装機械成形機と、前記成形機を包装機械に対して移動できるように前記成形機を支承するサポートと、を備える、包装装置の成形機を支承する組立体であって、
前記成形機は、前記包装機械へ送出するためにチューブ状袋材料に成形される細長い袋材料が上を通過する成形機肩部材を備え、
前記サポートは、前記成形機へ装着される第1の部分と、
前記包装機械に装着するための、前記第1の部分へ装着される第2の部分と、を備えており、
前記第1の部分が、前記第2の部分に装着され、前記成形機は、前記第2の部分に支承され、チューブ状袋材料を前記包装機械へ送出するように前記包装機械と整合する第1の位置において前記第2の部分に支承されている組立体。」

{相違点1}’
本件発明1においては、「成形機」は、「第1の位置と、成形機へのアクセスを容易にするように前記第1の位置から離間する第2の位置と、の間で移動自在であり」、かつ「前記位置の両方において第2の部分に支承されている」のに対し、甲2発明においては、このような構成を有していない点。

(2)判断
上記 {相違点1}’ について検討すると、甲2には、シュートパイプ7及びフォーマー6(成形機)を装着したフォーマー台板16(第1の部分)をブラケット15に支承したまま第1の位置から第2の位置に移動させる点が記載されておらず、また、示唆されているとも認められない。
これに対して、請求人は、甲2発明において、「第2の位置」とは、「フォーマ台板16の一方の端部が前方に回動させられた位置」であるとし(審判請求書第38頁第1?3行参照)、甲10の第22頁に甲2発明と同様のフォーマの取付構成を備えた包装機の円筒及びフォーマ(本件発明の「成形機」に相当)」を取り外す際の動作が説明されており、甲2発明において、「フォーマー台板16の一方の端部が前方に回動させられた位置」がフォーマー台板16の取り外しの際に通常想定される位置であることは、甲2の図面に開示された装置構成から読み取れる客観的な事項であると主張している(請求人要領書(2)第8頁「6-3」イ参照)。
しかし、甲10は、本件特許の優先日後に頒布された刊行物であり、それ以前に、そこに記載されている成形機の取り外し方法が周知の技術であったことの根拠とすることはできず、甲2の図面に開示された装置構成を参酌しても、甲2発明において、「フォーマー台板16の一方の端部が前方に回動させられた位置」がフォーマー台板16の取り外しの際に通常想定される位置であるとは認めることはできない。よって、請求人の主張は妥当でない。
また、本件発明1は、上記[相違点1}’に係る構成により、「包装装置の成形機を取り外すのが難しく時間がかかるという従来技術の課題を解決した」という格別な効果を奏するものと認める(本件特許明細書段落【0002】?【0006】参照)。
さらに、甲4-1?11をみても、この点についての記載も示唆も見当たらない。
したがって、本件発明1は、甲2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2-2 本件発明2?10について
上記「2-1.」で検討したように、本件発明1が甲2発明から当業者が容易になしえたものではないから、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付した本件発明2?8、10が、甲2発明から当業者が容易になし得たものとはいえない。
なお、訂正後の請求項9に記載されたものについての新規性進歩性は、上記「1-9」で述べたことと同様の理由により、判断しない。

2-3 本件発明11について
(1)対比
本件発明11と甲2発明を対比する。
甲2発明の「フォーマー6」、「シュートパイプ7及びフォーマー6」、「横ヒートシーラ」、「縦型製袋充填包装装置」、「筒状のフィルムシート3’」、「フィルムシート3」、「フォーマー台板16」及び「ブラケット15」、「支持」、「整合する位置」は、各々、本件発明11の「成形機肩部材」、「成形機」、「包装機械」、「包装装置」、「チューブ状袋材料」、「細長い袋材料」、「サポート」、「支承」、「第1の位置」に相当する。
また、甲2発明の「フォーマー台板16が、ブラケット15に装着され、シートパイプ7及びフォーマー6は、筒状のフィルムシート3’を横ヒートシーラへ送出するように前記横ヒートシーラと整合する位置において前記ブラケット15に支持されている」と、本件発明11の「サポートは、チューブ状袋材料を包装機械へ送出するように前記包装機械と整合する第1の位置と、前記アクセス開口部へ向けて前記第1の位置から離間する第2の位置との間での前記成形機肩部材の移動を実現する」とは「サポートは、チューブ状袋材料を包装機械へ送出するように前記包装機械と整合する第1の位置に前記成形機肩部材を支持する」限りにおいて一致する。
してみると、本件発明11と甲2発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
{一致点2}’
「包装機械と、
成形機を支承するサポートと、
前記サポート上に支承される成形機肩部材と、を備える組立体であって、
前記サポートは、チューブ状袋材料を前記包装機械へ送出するように前記包装機械と整合する第1の位置に前記成形機肩部材を支承する組立体。」

{相違点2}’
本件発明11においては、「サポートは、チューブ状袋材料を包装機械へ送出するように前記包装機械と整合する第1の位置と、前記第1の位置から離間する第2の位置との間での前記成形機肩部材の移動を実現する」のに対し、甲2発明においては、このような構成を有していない点。

{相違点3}’
本件発明11は「アクセス開口部を有するキャビネット」を有し、包装機械が前記「キャビネット」内に有り、「第2の位置」が前記「アクセス開口部へ向けて前記第1の位置から離間する」のに対して、甲2発明においては、このような構成を有していない点。

(2)判断
上記 {相違点2}’ について検討すると、甲2には、フォーマー6(成形機肩部材)をフォーマー台板16及びブラケット15(サポート)が第1の位置から第2の位置に移動させる点が記載されておらず、また、示唆されているとも認められない。
また、本件発明11は、上記{相違点2}’[相違点3}’に係る構成により、「包装装置の成形機を取り外すのが難しく時間がかかるという従来技術の課題を解決した」という格別な効果を奏するものと認める(本件特許明細書段落【0002】?【0006】参照)。
さらに、甲4-1?11をみても、この点についての記載も示唆も見当たらない。
したがって、本件発明11は、上記{相違点3}’について検討するまでもなく、甲2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2-4 本件発明12?19について
上記「2-3.」で検討したように、本件発明11が甲2発明から当業者が容易になしえたものではないから、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付した本件発明12?19が、甲2発明から当業者が容易になし得たものとはいえない。

2-5 小括
以上より、本件発明1?8、10?19は、甲2に記載された発明ではなく、また、甲2、甲4-1?11に記載された発明に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
したがって、本件発明1?8、10?19は、無効理由2により、無効とすることはできない。

3.無効理由4について
請求人は、「請求項1、12、15、16に係る各特許発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。したがって、請求項1、12、15、16の少なくとも1つを引用する請求項2?10、13、14、17?19に係る各特許発明も、発明の詳細な説明に記載されたものではない。」(審判請求書第61頁末行から第62頁第4行参照)と主張していた。
その後、被請求人による訂正請求を認めた上で、上記主張のうち、審判請求書における無効理由4の(8-1)イ(請求項1に関するもの)及び(8-3)(請求項15、16に関するもの)は、この訂正請求によっても解消されていない旨を主張している(請求人要領書(1)第4頁6-2のイ参照)。
以下、これらの主張について検討する。
(1)請求項1について
ア.審判請求書における無効理由4の(8-1)アについて
請求人は、訂正前の請求項1の「前記サポート(20)は、前記成形機(14)へ装着される第1の部分(28)と、・・・を備えており」なる記載(以下、「記載A」という。)は、発明の詳細な説明に記載されたものではないと主張していた。
しかしながら、上記記載Aは、「前記サポート(20)は、前記成形機(14)へ装着される第1の部分(24)と、・・・を備えており」と訂正されたことにより、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとなった。
イ.審判請求書における無効理由4の(8-1)イについて
請求人は、訂正後の請求項1の「前記サポート(20)は、・・・前記包装機械(15)に装着するための、前記第1の部分(24)へ装着される第2の部分(23)と、を備えており」なる記載(以下、「記載B」という。)について、「前記包装機械(15)に装着するための」との記載は、「第2の部分(23)」を修飾する記載であると解されるところ、本件特許明細書の段落【0030】、図1及び図2の記載からみて、「ガイド23は、サポートビーム22を介してエンクロージャ17に装着されており、包装機械(15)には装着されていない」から、上記記載Bは、発明の詳細な説明に記載されたものではない旨を主張している。(審判請求書第59頁(8-1)のイ、及び請求人要領書(1)第4頁6-2のイ参照)
しかしながら、上記記載Bでは、「第2の部分(23)」が「包装機械(15)」に直接装着されると規定されているわけではない。
そして、請求人も述べているように、本件特許明細書の段落【0030】、図1及び図2の記載からみて、「ガイド23」は、「サポートビーム22を介してエンクロージャ17に装着され」ることが把握され、このことによって、「ガイド23」は、結果的に、「包装機械(15)」に対して装着されるものであることが明らかである。
したがって、上記記載Bは、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものである。
ウ.審判請求書における無効理由4の(8-1)ウについて
請求人は、訂正前の請求項1の「前記第1の部分(28)が、前記第2の部分(23)に装着され、かつ前記第2の部分(23)に対して移動自在であるので」なる記載(以下、「記載C」という。)は、発明の詳細な説明に記載されたものではないと主張していた。
しかしながら、上記記載Cは、「前記第1の部分(24)が、前記第2の部分(23)に装着され、かつ前記第2の部分(23)に対して移動自在であるので」と訂正されたことにより、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとなった。

(2)請求項12について(審判請求書における無効理由4の(8-2)について)
請求人は、訂正前の請求項12の「前記サポート(20)は、前記成形機肩部材(29)が上に取付けられる少なくとも1つの部材(24)を有する第1の部分(28)、および前記第1の部分(28)を受容して、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機肩部材(29)の移動を実現する第2の部分(23)を備える請求項11に記載の組立体」なる記載(以下、「記載D」という。)は、発明の詳細な説明に記載されたものではないと主張していた。
しかしながら、上記記載Dは、「前記サポート(20)は、前記成形機肩部材(29)が上に取付けられる少なくとも1つの部材(24)を有する第1の部分(24)、および前記第1の部分(24)を受容して、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機肩部材(29)の移動を実現する第2の部分(23)を備える請求項11に記載の組立体」と訂正されたことにより、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとなった。

(3)請求項15、16について(審判請求書における無効理由4の(8-3)について)
請求人は、訂正後の請求項15の「前記成形機肩部材(29)は、複数の前記部材(24)へ着脱自在に装着される」なる記載(以下、「記載E」という。)、及び訂正後の請求項16の「前記成形機肩部材(29)を前記第1の位置に離脱自在に固定する手段(33)」なる記載(以下、「記載F」という。)について、成形機肩部材29自体を、当該成形機肩部材29が装着される部材に対して着脱自在に装着すること、及び離脱自在に装着することについては、発明の詳細な説明に記載されていない旨を主張している。(審判請求書第61頁(8-3)、及び請求人要領書(1)第4頁6-2のイ参照)
しかしながら、上記記載E、及び上記記載Fでは、「成形機肩部材(29)」自体が、当該「成形機肩部材(29)が装着される部材に対して、着脱自在に直接装着され、離脱自在に直接装着されると規定されているわけではない。
一方、本件特許明細書の段落【0037】の「成形機ベース28は、ベース28内に形成される窪み39の手段により、ロッド24の極限部へ着脱自在に装着され、その窪み39が、ロッド24上に取付けられる突出し部40を受容する(ロッドの極限部に隣接して)。したがって、成形機14が第2の位置(開口部13に隣接して)にあるとき、作業者は、ロッド24上に取付けられた位置から成形機14を吊り上げ、ついで成形機を取換するか、または整備のために成形機を取外すことができる。成形機14を、それがロッド24上に取付けられるとき、機械15上方の第1の位置まで動かすことができる。」なる記載から、「成形機ベース28は、ロッド24(「複数の前記部材(24)」)に着脱自在に装着されるようになっている」ことが把握され、また、段落【0035】の「成形機14を第1の位置に固定するために、固定器具33が設けられる。係合位置にある器具33は、成形機14を包装機械15の上方に固定する。しかしながら器具33は、第2の位置へ移動できるように成形機14を離脱するように作動する。」なる記載から、「成形機14を第1の位置に離脱自在に固定する固定器具33を備えている」ことが把握される。
そして、成形機ベース28及び成形機肩部材29が成形機14の一部をなすものであり、かつ、成形機肩部材29が成形機ベース28に取り付けられていることは、例えば本件特許明細書の段落【0031】の「その成形機は、成形機ベース28およびベース28上に取付けられる成形機肩部材29を備える。」の記載及び図2等の記載から明らかである。
したがって、上記記載E、及び上記記載Fは、ともに本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものである。

(4)小括
以上のとおり、請求項1、12、15、16係る各特許発明は、いずれも、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであり、「請求項1、12、15、16の少なくとも1つを引用する請求項2?10、13、14、17?19に係る各特許発明も、発明の詳細な説明に記載されたものではない」という請求人の主張は、その前提を欠くことになったため、失当である。
したがって、無効理由4によっては、本件特許を無効とすることはできない。

4.無効理由5について
請求人は「請求項5、9?11、14の各特許発明は、明確ではない。したがって、請求項5、9?11、14の少なくとも1つを引用する請求項12,13,15?19に係る各特許発明も、明確ではない。」と主張していた(審判請求書第63頁下から3行目?第64頁第1行参照)。
その後、被請求人による訂正請求を認めた上で、上記主張のうち、審判請求書における無効理由5の(9-2)(請求項9に関するもの)、(9-3)(請求項10に関するもの)、(9-4)(請求項11に関するもの)、及び(9-5)(請求項14に関するもの)は、この訂正請求によっても解消されていない旨を主張している(請求人要領書(1)第4頁6-2のイ参照)。
以下、これらの主張について検討する。

(1)請求項5について(審判請求書における無効理由5の(9-1)について)
請求人は、訂正前の請求項5における「組合せ」なる記載(以下、「記載G」という。)は、請求項5が引用する請求項1?3に記載されていないため、記載Gが何を示すのかが明確でなく、また、「前記第1の部分(20)は、前記第1の部分から前記第2の部分へ移動する」なる記載(以下、「記載H」という。)は日本語として意味不明であると主張していた。
しかしながら、上記記載Gは、「組立体」と訂正され、上記記載Hは、「前記第1の部分(20)は、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する」と訂正されたことにより、請求項5の記載により特許を受けようとする発明は明確となった。

(2)請求項9について(審判請求書における無効理由5の(9-2)について)
請求項9の記載は、「前記第1の部分(44)は、前記第2の部分(46)に対して斜めに移動自在である請求項2に記載の組立体。」である。
請求項9における「前記第1の部分」及び「前記第2の部分」が、各々請求項1の「第1の部分」及び「第2の部分」を指すことは明らかであるから、この点により不明確であるとはいえない。
一方、請求項9における「斜めに移動」という記載は、移動の態様(移動時の軌道)がどのようなもの(例えば、一般的に「第1の部分が第2の部分に対して直線的に移動するもの」)を含むのか明確でない。
これに対して、以下の<無効理由5の(9-2)についての被請求人の主張>は、単に、前後方向及び横方向のいずれとも平行でない方向が「斜め」という方向であることを述べたにすぎない。
しかし、「第1の部分(44)」の斜めの移動の態様(移動時の軌道)が規定されるのは、例えば、本件特許明細書の段落【0041】、【0042】の記載を踏まえると、請求項9に、「サポートは、成形機へ装着される一対の離間するアームを備え、第1の部分は、前記アームを前記成形機へ装着する回動組立体(44)を備え、また第2の部分は、前記アームへ装着され、かつ包装機械に対して固定されるようになっている回動組立体(46)を備え」ることが記載されることにより(前記第1の部分の移動が、回動組立体(44)及び回動組立体(46)の軸の回りのアームの回動で規定されることとなるため)、特定される事項であり、本件特許明細書の記載を参照しても、任意に(例えば、直線的な軌道で)「斜めに移動」する方法が明らかとは認められない。
したがって、上記請求項9の記載では、特許を受けようとする発明が明確でない。

<無効理由5の(9-2)についての被請求人の主張>(答弁書第48頁7-7-2、被請求人要領書(2)第13頁(4-1)参照)
本件特許明細書の段落【0041】及び【0046】の記載から、本件明細書においては、成形機におけるエンクロージャが設置されている側と反対側を「前」、前後方向と直交する方向を「横」と呼んでいることが明らかである。
そして、上記段落【0041】の記載及び図5、6等を併せて見れば、請求項9に記載の「斜めに移動自在」とは、前後方向及び横方向のいずれとも平行でない方向に移動自在であることを指すことが明らかである。

(3)請求項10について(審判請求書における無効理由5の(9-3)について)
請求人は、請求項10における「斜めに移動できる」との記載では、移動の態様(方向等)が明確でないと主張している。
しかしながら、請求項10には、「前記サポート(20)は、前記成形機(14)へ装着される一対の離間するアーム(42)を備え、前記第1の部分は、前記アーム(42)を前記成形機(14)へ装着する回動組立体(44)を備え、また前記第2の部分(23)は、前記アーム(42)へ装着され、かつ前記包装機械(15)に対して固定されるようになっている回動組立体(46)を備えて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機(14)が斜めに移動できるようにする」と記載されている。
そして、この記載における「斜めに移動できる」とは、本件特許明細書の段落【0041】、【0042】、【0046】、【0047】に記載された事項を参酌すると、「第1の部分」の移動が、回動組立体(44)及び回動組立体(46)の軸のアームの回動で規定されるものであることを意味することが明らかである。
そして、このことは、請求項9では不明確であった「斜めに移動」を明確にするものである。
したがって、請求項10の記載により特許を受けようとする発明は明確である。

(4)請求項11について(審判請求書における無効理由5の(9-4)について)
請求人は、請求項11の「成形機を支承するサポート(20)と、前記サポート(20)上に支承される成形機肩部材(29)」との記載(以下、「記載I」という。)では、成形機、成形機肩部材(29)、及びサポート(20)の各構成間の関係を明確に理解することができないと主張している。
しかしながら、上記記載Iは、「成形機を支承するサポート(20)」が存在し、当該「成形機を支承するサポート(20)」上に、「成形機」の一部である「成形機肩部材(29)」も支承されていることを意味することが、文言上明らかであり、その具体例が、本件特許明細書の段落【0030】、【0031】、及び図2等に記載されていることを踏まえると、当業者であれば成形機、成形機肩部材(29)、及びサポート(20)の各構成間の関係を明確に理解し得るというべきである。
したがって、請求項11の記載により特許を受けようとする発明は明確である。

(5)請求項14について(審判請求書における無効理由5の(9-5)について)
請求人は、訂正前の請求項14における「前記部材」なる記載(以下、「記載J」という。)では、当該「部材」が何を示すものであるか明確でないと主張していた。
しかしながら、上記記載Jは、「少なくとも一つの部材(24)」と訂正されたことにより、「部材」が、請求項12の「少なくとも一つの部材(24)」を指すことが明確となった。
また、請求人は、請求項14の「第2の部材(24)をさらに備える」との記載により、「第2の部材」が「第1の部材」とは異なる部材であるとする一方で「第1の部材」及び「第2の部材」に同一の図面番号(24)を付しているため明確でないとも主張している。
しかしながら、請求項14における「前記少なくとも1つの部材(24)は前記成形機肩部材が装着される第1の部材(24)であり、前記成形機肩部材が装着される第2の部材(24)をさらに備える」とは、本件特許明細書の段落【0030】及び図2の記載を参酌すると、「少なくとも1つの部材(24)」が、成形機肩部材が装着される「第1の部材(24)」(例えば、一対のロッド24のうちの一方)に加えて、「第2の部材(24)」(例えば、一対のロッド24のうちの他方)を備えているという意味であることは明らかである。
したがって、請求項14の記載により特許を受けようとする発明は明確である。

(6)小括
以上のとおり、請求項5、10、11、14の記載により特許を受けようとする発明は明確であり、「請求項5、10、11、14の少なくとも1つを引用する請求項12、13、15?19に係る各特許発明も、明確でない。」という請求人の主張は、その前提を欠くことになったため、失当である。
したがって、請求項5、10、11、14の記載及び請求項5、10、11、14の少なくとも1つを引用する請求項12、13、15?19の記載は、無効理由5を有しない。
一方、請求項9の記載では、特許を受けようとする発明が明確でない。

5.無効理由6について
請求人が主張する無効理由6は、本件発明1?19が、本件特許の優先日前にチェコ共和国、スロバキア共和国において公然実施された発明と同一又は当該発明から当業者が容易に発明することができたというものである。
そして、その根拠として、
(1)甲4-1:2014年6月20日付Rudolf Masek氏の宣誓供述書
(2)甲4-2:上記宣誓供述書に添付された写真及び技術書面
(3)甲4-3:上記宣誓供述書に添付されたMasek社とAgro CS社との取引を証する資料
(4)甲4-4:上記宣誓供述書に添付されたMasek社とEBA社との取引を証する資料
が提示され、回転式式チューブバッファを備えた装置HBV 20Cは、本件優先日前にチェコ共和国、スロバキア共和国において公然実施された装置であると主張している(審判請求書第64頁「(10-1)」、ア?ウ参照)。

5-1 甲4-2に記載された装置が、本件優先日前にチェコ共和国、スロバキア共和国において公然実施されたかについて
甲4-1の供述書において、Masek氏は添付資料1(甲4-2)に示す、回転式チューブバッファを備えた装置を販売したと供述している(上記第5.3.(ア)、(ウ)参照)。
しかしながら、甲4-1の供述書は、第三者(例えば、公証人)の立ち会いの下で作成されたものではないから、その供述内容は、客観性が担保されたものとはいえない。
また、甲4-1の供述内容は、その客観性を担保する手続き(例えば、Masek氏の証人尋問等)を経たものでもない。
さらに、甲4-2の写真及び技術図面は、いつどこで誰が何の目的で作成したものであるかも不明である。
そして、甲4-2に記載された装置がAgro CS社とEBA社に販売されたことを裏付ける他の客観的証拠も存在しない(口頭審理調書【請求人】7.参照)。
以上を踏まえると、甲4-1の供述内容のみから、甲4-2に記載された装置がAgro CS社とEBA社に販売されたことが明らかな事実であるとはいえない。
したがって、甲4-2に記載された装置が、本件優先日前にチェコ共和国、スロバキア共和国において公然実施されたとすることはできない。

被請求人は甲4-1?甲4-4に表示された「HBV 20C」という型番だけでは、装置の構造が特定できず、仮に、「HBV 20C」という型番の装置がAgro CS社とEBA社に販売されたという事実が存在したとしても、それをもって、甲4-1のMasek氏の供述とおり、甲4-2に示された写真又は技術図面に記載された構成の装置の売買等がなされた事実が存在したということはできず、さらに、甲4-2の写真と技術図面にも相互に矛盾した点がみてとれると主張している(答弁書第53頁「(3-2)」参照)。
これに対して、請求人は、甲4-1?甲4-4は、「HBV 20C」という型番が共通している点のみではなく、販売契約書、供述、写真、図面の全体が販売の事実を証明すると述べる(口頭審理調書【請求人】8.参照)とともに、甲4-2の写真に示される時期(2001年)と、技術図面に記載された作成日付及び甲4-3、甲4-4に記載された日付が近接していることをもって、「製品名称は多くの製品の中から特定の製品を識別するために付される名称であるから、極めて近接した期間において複数の異なる製品に対して同一の製品名称を付すと考えるのは不合理である。」と主張している(請求人要領書(2)第10頁「(a)」、第11頁「b」参照)。
しかし、一般に機械製品名や型番が同じであっても、製品のグレードの違いやオプションの選択、販売後の改良や顧客ごとのカスタマイズで製品の構造が変わり得ることが常識であるから、請求人の上記主張はにわかには採用しがたい。
さらに、請求人は、甲4-2の技術図面に「tube supply buffer」を示す「ZASOBNIK TUBUSU」の文字が記載され、甲4-3には、販売品目として「Otocny zasobnik pro vymenu 4 tubusu」が、甲4-4には、販売品目として「zasobnik tubusu」が記載されていることも主張している(請求人要領書(2)第11頁「b」参照)。
しかし、「tube supply buffer」という部品名称は、チューブの供給に関する部品に対し一般的に用いられ得る名称であると解され、全く同じ構造の部品を意味するとは必ずしもいえないから、この主張もにわかには採用しがたい。

5-2 甲4-2に記載された装置の構成について
請求人は、甲4-2に記載された装置について「具体的には、回転式チューブバッファ(28)が回転動作を行うことにより、フォーマ(14)が据え付けられたメンバー(24)が長方形のフレームの開放部分に対向する位置に移動させられる。続いて、フォーマ(14)が長方形のフレームの開放部分に押し出されることにより、フォーマ(14)は「第1の位置」に至る。フォーマ(14)の押し出し作業は、例えば作業者の手によって行われる。」(請求人要領書(1)第15頁「6-4-4-2」の「イ」参照)と説明している。
しかしながら、甲4-2及び甲4-1の「3.回転式チューブバッファを備えた装置HBV 20Cの技術的詳細」の欄(第6?7頁)には、「フォーマ14の押し出し作業」をどのように行い、フォーマ14は第1の位置で包装機15とどのように整合するのかが説明されておらず、請求人要領書(2)の第13頁の「エ」での説明を参照してもなお、第1の位置に至る際のフォーマ14の移動経路やフォーマ14と包装機15の整合の詳細を正確に把握することができない。
したがって、甲4-2及び甲4-1からは、甲4-2に記載された装置の構成を正確に把握することはできない。

5-3 甲4-2に記載された装置の発明から本件発明を当業者が容易になし得たかについて
仮に、甲4-2に記載された装置がAgro CS社とEBA社に販売されたものであり、請求人が主張するように、甲4-1のMasek氏の供述書の記載、及び甲4-2の技術図面の記載から、フォーマ(14)を第1の位置に装着するための作業及びその間のフォーマ(14)の移動経路が明らかである(請求人要領書(2)第13頁下から13行?末行、第14頁「参考図」参照)としても、以下に述べるとおり、本件発明1?8、10?19は、甲4-2に記載された装置の発明(以下「甲4発明」という。)と同一であるとはいえず、また、同装置の発明に基づき当業者が容易に発明し得たものともいえない。

請求人の主張を最大限に善解し、甲4発明を次のとおり仮定する。
[甲4発明]
「フォーマ14と前記フォーマ14を包装機15に対して移動できるように前記フォーマ14を支承するサポート20と、を備える、包装装置のフォーマ14を支承する組立体であって、
フォーマ14は、包装機15へ送り出すために、筒状に形成される細長い包材が上を通過するフォーマショルダー29を備え、
前記サポート20は、前記フォーマ14へ装着される回転式チューブバッファ28と、前記回転式チューブバッファ28へ装着される第2の部分23と、を備えており、
回転式チューブバッファ28が回転動作を行うことにより、フォーマ14が据え付けられたメンバ-24が包装機15のフレームの開放部分に対向する位置に移動され、続いて、フォーマ14が前記フレームの開放部に押し出されることにより、フォーマ14は第1の位置に至る組立体。」

(1)本件発明1と甲4発明との対比、一致点、相違点
本件発明1と甲4発明との対比すると、甲4発明の「フォーマ14」、「包装機15」、「回転式チューブバッファ28」、「第2の部分23」は、各々、本件発明1の「包装機械成形機」、「包装機械」、「第1の部分」、「第2の部分」に相当する。
また、甲4発明の「サポート20は、前記フォーマ14へ装着される回転式チューブバッファ28と、前記回転式チューブバッファ28へ装着される第2の部分23と、を備えており、
回転式チューブバッファ28が回転動作を行うことにより、フォーマ14が据え付けられたメンバ-24が包装機15のフレームの開放部分に対向する位置に移動され、続いて、フォーマ14が前記フレームの開放部に押し出されることにより、フォーマ14は第1の位置に至る」ことと、本件発明1の「サポートは、成形機へ装着される第1の部分と、包装機械に装着するための、前記第1の部分へ装着される第2の部分と、を備えており、
前記第1の部分が、前記第2の部分に装着され、かつ前記第2の部分に対して移動自在であるので、前記成形機は、前記第2の部分に支承され、チューブ状袋材料を前記包装機械へ送出するように前記包装機械と整合する第1の位置と、前記成形機へのアクセスを容易にするように前記第1の位置から離間する第2の位置と、の間で移動自在であり、かつ前記成形機が前記位置の両方において前記第2の部分に支承されている」こととは、「サポートは、成形機へ装着される第1の部分と、包装機械に装着するための、前記第1の部分へ装着される第2の部分と、を備え」る限りにおいて一致する。
してみると、本件発明1と甲4発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
{一致点1}”
「包装機械成形機と、前記成形機を包装機械に対して移動できるように前記成形機を支承するサポートと、を備える、包装装置の成形機を支承する組立体であって、
前記成形機は、前記包装機械へ送出するためにチューブ状袋材料に成形される細長い袋材料が上を通過する成形機肩部材を備え、
前記サポートは、前記成形機へ装着される第1の部分と、
前記包装機械に装着するための、前記第1の部分へ装着される第2の部分と、を備え
前記サポートは、前記成形機へ装着される第1の部分と、前記包装機械に装着するための、前記第1の部分へ装着される第2の部分と、を備えた組立体。」

{相違点1}”
本件発明1においては、「第1の部分が、第2の部分に装着され、かつ前記第2の部分に対して移動自在であるので、成形機は、前記第2の部分に支承され、チューブ状袋材料を包装機械へ送出するように前記包装機械と整合する第1の位置と、前記成形機へのアクセスを容易にするように前記第1の位置から離間する第2の位置と、の間で移動自在であり、かつ前記成形機が前記位置の両方において前記第2の部分に支承されている」のに対して、甲4発明では、「第1の部分が移動する(回転動作を行う)ことにより、成形機が包装機15のフレームの開放部分に対向する位置に移動され、包装機15のフレームの開放部分に対向する位置に移動され、続いて、成形機が前記フレームの開放部に押し出されることにより、成形機は第1の位置に至る」ものである点。

上記{相違点1}”について検討する。
甲4発明では、第1の部分((回転式チューブバッファ208)が移動することにより、成形機(フォーマ14)が包装機械(包装機15)のフレームの開放部分に対向する位置に移動され、続いて、成形機が、例えば作業者の手によって、前記フレームの開放部に押し出されることにより、成形機は第1の位置に至るとされている。
ここで、成形機が第1の位置で、包装機械と整合する(装着される)際には、成形機は、第1の部分から押し出され分離されるものと解されるから、成形機は、第1の位置において、第2の部分(第2の部分23)に支承されるものとはいえない。
ゆえに、上記{相違点1}”は、単なる表現上の差異等ではなく、実質的な相違点である。
そして、甲1?2、甲5-1?11によって、上記{相違点1}”に係る本件発明1の構成が容易に想到し得たものということもできない。
したがって、本件発明1は甲4発明と同一又は甲4発明に基づき当業者が容易に発明することができたものではない。

(2)本件発明2?10について
上記「(1)」で検討したように、本件発明1は甲4発明に基づき当業者が容易に発明することができたものではないから、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付した本件発明2?8、10は、甲4発明に基づき当業者が容易に発明し得たものとはいえない。
なお、訂正後の請求項9に記載されたものについての新規性進歩性は、上記「1-9」で述べたことと同様の理由により、判断しない。

(3)本件発明11について
本件発明11と甲4発明との対比すると、甲4発明の「フォーマー14」、「フォーマショルダー29」、「包装機15」、「回転式チューブバッファ28」及び「第2の部分23」は、各々、本件発明11の「包装機械成形機」、「成形機肩部材」、「包装機械」、「サポート」に相当する。
してみると、本件発明11と甲4発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
{一致点2}”
「成形機を支承するサポートと、
前記サポート上に支承される成形機肩部材と、を備える組立体」

{相違点2}”
本件発明11は「サポートは、チューブ状袋材料を包装機械へ送出するように前記包装機械と整合する第1の位置と、前記第1の位置から離間する第2の位置との間での成形機肩部材の移動を実現する」のに対して、甲4発明では、「サポートの第1の部分が移動する(回転動作を行う)ことにより、成形機が包装機15のフレームの開放部分に対向する位置に移動され、包装機15のフレームの開放部分に対向する位置に移動され、続いて、成形機が前記フレームの開放部に押し出されることにより、成形機は第1の位置に至る」ものである点。

{相違点3}”
本件発明11は「アクセス開口部を有するキャビネット」を有し、包装機械が前記「キャビネット」内に有り、「第2の位置」が前記「アクセス開口部へ向けて前記第1の位置から離間する」のに対して、甲4発明では、このようなことが特定されていない点。

まず、上記{相違点2}”について検討する。
甲4発明では、第1の部分((回転式チューブバッファ208)が移動することにより、成形機(フォーマ14)が包装機械(包装機15)のフレームの開放部分に対向する位置に移動され、続いて、成形機が、例えば作業者の手によって、前記フレームの開放部に押し出されることにより、成形機は第1の位置に至るとされている。
そして、上記「成形機が、例えば作業者の手によって、前記フレームの開放部に押し出されることにより、成形機は第1の位置に至る」際には、サポート(サポート20)が何ら関与していないことが明らかである。
すなわち、甲4発明は、「サポート」が「第1の位置と第2の位置との間での成形機肩部材の移動を実現する」ものではない。
ゆえに、上記{相違点2}”は、単なる表現上の差異等ではなく、実質的な相違点である。
そして、甲1?2、甲5-1?11によって、上記{相違点2}”に係る本件発明1の構成が容易に想到し得たものということもできない。
したがって、本件発明11は、上記{相違点3}”について検討するまでもなく、甲4発明と同一又は甲4発明に基づき当業者が容易に発明することができたものではない。

(4)本件発明12?19について
上記「(3)」で検討したように、本件発明11は甲4発明に基づき当業者が容易に発明することができたものではないから、本件発明11の構成を全て含み、さらに限定を付した本件発明12?19は、甲4発明に基づき当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

5-4 小括
以上により、甲4-2に記載された装置が、本件優先日前にチェコ共和国、スロバキア共和国において公然実施されたとすることはできない。
また、仮に、甲4-2に記載された装置が、本件優先日前にチェコ共和国、スロバキア共和国において公然実施されたとしても、甲4-2及び甲4-1からは、甲4-2に記載された装置の構成を正確に把握するとはできない。
さらに、甲4-2に記載された装置の構成が把握できたと仮定しても、本件発明1?8、10?19は、甲4発明と同一又は甲4発明に基づき当業者が容易に発明することができたものではない。
したがって、本件発明1?8、10?19は、無効理由6により、無効とすることはできない。

第7.むすび
以上のとおり、本件発明1?5、本件発明11?16は、無効理由1により特許を受けることができないものであり、無効とすべきものである。
また、本件発明9は、無効理由5により特許を受けることができないものであり、無効とすべきものである。
一方、本件発明6?8、本件発明10、本件発明17?19についての特許は、請求人の主張する無効理由及び証拠によっては無効とすることはできない。
審判費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、その19分の7を請求人の負担とし、19分の12を被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
包装装置の成形機を支承する組立体
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置の成形機を支承する組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
包装機械は、成形機を採用して、細長い形に切られた袋材料を、包装される製品が中に送出されるチューブ状形状の袋材料に変形する。チューブ状袋材料は、ほぼ縦方向と横方向に封止され、ついで横方向に切断されて製品の個別の袋を成形する。
【0003】
成形機は、ドアが設けられるキャビネット内に一般に位置決めされる。成形機は、整備および他の要件のために取外しと交換が必要になることが多い。そのようにするために、作業者は、キャビネット内に入り、成形機を、その「サドル」台から吊り上げて、それから取外すことが多い。
【0004】
成形機に気体供給ラインが設けられる場合に作業者は、成形機へ装着された導管を切離して成形機を取外さなければならない。
【0005】
成形機を取外しかつ切離す上述の方法は、成形機がドアからキャビネットの内側に離間しているので、難しくかつ時間がかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述の欠点を克服するか、またはほぼ改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
包装機械成形機と、および成形機を包装機械に関して移動できるように成形機を支承する成形機用サポートとを備える組合せがここに開示され、上述の成形機は、
包装機械へ送出するためにチューブ状袋材料に成形される細長い袋材料が上を通過する成形機肩部材を備え、
上述のサポートは、
成形機へ装着される第1の部分、および
包装機械に関して固定される第2の部分を備えるサポートにおいて、
上述の第1の部分が、上述の第2の部分に関して移動自在であるので、成形機は、チューブ状袋材料を包装機械へ送出するように包装機械と整合する第1の位置と、成形機へのアクセスを容易にするように第1の位置から離間する第2の位置との間で移動自在である。
【0008】
好ましくは上述の成形機は、その第1と第2の位置の間で移動するときに、ほぼ水平面で移動する。
【0009】
好ましくは上述の第1の部分は、上述の第2の部分に関して斜めに移動自在である。
【0010】
好ましくは上述のサポートは、成形機へ装着される一対の離間するアームを備え、上述の第1の部分は、アームを成形機へ装着する回動組立体を備え、また上述の第2の部分は、アームへ装着され、かつ包装機械に関して固定されるようになっている回動組立体を備えて、第1と第2の位置間で成形機が斜めに移動できるようにする。
【0011】
好ましくは上述の第1の部分は、上述の第2の部分に関して直線的に移動自在であるので、成形機が上述の第1の位置と上述の第2の位置との間で移動自在である。
【0012】
好ましくは上述の第1の部分は、上述の第2の部分により摺動自在に支承される。
【0013】
好ましくは上述の組合せは、前記包装機械が中に位置決めされるキャビネットを備え、また上述のキャビネットは、成形機へアクセスできるようにアクセス開口部を有し、第1の部分は、上述の第1の部分から上述の第2の部分へ移動する際にアクセス開口部へ向けて移動する。
【0014】
好ましくは上述のサポートは、成形機へ気体を送出するために成形機まで延びるダクト系統を備える。
【0015】
好ましくは上述の成形機は、成形機肩部材まで延びるシュートを備え、そのシュートを通して製品が、チューブ状袋材料内に受容されるように移動して成形機により送られる。
【0016】
好ましくは上述の成形機は、上述のサポートのダクト系統と連通するダクト系統を備えるので、上述の気体が前記シュートへ送出される。
【0017】
アクセス開口部を有するキャビネットと、
キャビネット内の包装機械と、および
上述の成形機サポート上に支承される成形機肩部材とを備える組合せがここに開示され、成形機サポートは、チューブ状袋材料を包装機械へ送出するように包装機械と整合する第1の位置と、上述のアクセス開口部へ向けて第1の位置から離間する第2の位置との間での上述の成形機の移動を実現する。
【0018】
好ましくは上述のサポートは、肩部材が上に取付けられる少なくとも1つの部材を有する第1の部分、および前記第1の部分を受容して、第1と第2の位置間で上述の肩部材の移動を実現する第2の部分を備える。
【0019】
好ましくは上述の第1の部分は、上述の第2の部分に取付けられて、上述の第2の部分に関して水平移動摺動して、肩部材を第1と第2の位置間で動かす。
【0020】
好ましくは肩部材が取付けられる一対のサポート部材がある。
【0021】
好ましくは上述の肩部材は、部材または複数の部材へ着脱自在に装着される。
【0022】
好ましくは上述の組合せは、肩部材を前記第1の位置に離脱自在に固定する手段を備える。
【0023】
好ましくは上述のサポートは、気体を上述の肩部材へ送出するダクト系統を備える。
【0024】
好ましくは上述の組合せは、包装される製品を肩部材へ送るように上述の肩部材まで延びるシュートを備える。
【0025】
好ましくは上述の組合せは、上述のサポートのダクト系統から、気体を上述のシュートまで送出する上述のシュートまで延びるダクト系統を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の好ましい形態を、添付図面を参照して一例としてここで説明する。
【0027】
添付図面の図1乃至4において、包装装置10が概略示される。装置10には、ドア12を有するキャビネット11が備えられ、そのドアは、開閉位置間でアクセス開口部13に関して移動自在である。開放位置において開口部13は、整備目的、および特に成形機14の整備のためのアクセスを形成する。
【0028】
成形機14の下方に包装機械15が位置決めされ、その包装機械15は、成形機14からチューブ状袋材料を受容し、製品を回分して、個別の袋を形成する。キャビネット11と機械15に隣接して、作業者スクリーン16および関連する制御装置が設けられる。エンクロージャ17内には機械15用の電子制御装置が取付けられ、および関連するウエブ供給装置18が設けられる。装置18は、細長い袋材料のロール19を受容し、その細長い片を成形機14へ送出する。その細長い片は、チューブ状形状に成形されて、機械15へ送出される。
【0029】
成形機14が成形機サポート20により支承され、そのサポート20は、ダクト21を備え、そのダクトに気体の供給ラインが接続される。その気体が、成形機14へ、最終的にはチューブ状袋材料へ送出されるので、その気体は、機械15により生成された包装内に含まれる。
【0030】
成形機サポート20は、一対のサポートビーム22、ビーム22へ装着される一対のガイド23、および一対のロッド24を備える。ガイド23それぞれは、ロッド24の対応する1つを摺動自在に支承して、直線状に摺動する水平移動ができるようにする。ロッド24の内側極限部は、リンク25により装着される。リンク25は、矢印26の方向におけるロッドの移動限界を設定する。ロッド24は、成形機サポート20の第1の部分を形成し、またガイド23は第2の部分を形成する。
【0031】
ロッド24の外側極限部に成形機14が取付けられ、その成形機は、成形機ベース28およびベース28上に取付けられる成形機肩部材29を備える。製品シュート27が、肩部材29まで延びる。肩部材29は、装置18から細長い袋材料を受容して、その袋材料をチューブ状形状に成形し機械15へ送出する。
【0032】
ベース28にはダクト系統30が備えられ、そのダクト系統は、ダクト21の一方または両方から気体を受容するように、かつ気体をシュート27の上端部へ送出するようになっている。
【0033】
ロッド24がガイド23内で摺動自在であるので、成形機14は、チューブ状袋材料と製品を機械15へ送出する、機械15の上方に位置決めされる第1の位置(図1)と、第1の位置から矢印26の方向に水平に離間する第2の位置(図2)との間に移動自在であり、それにより、成形機14は、開口部13に隣接して位置決めされるか、またはキャビネット11の周辺を超えて位置決めされるので、作業者が、成形機14を整備できるか、または成形機14を取換えさえもできる。
【0034】
ダクト21のそれぞれがソケット31で終端し、ソケット31は、ベース28へ装着される雄カップリング32を受容する。第1の位置において雄カップリング32は、ソケット31内で係合して、ダクト21をダクト系統30へ封止的に接続する。
【0035】
成形機14を第1の位置に固定するために、固定器具33が設けられる。係合位置にある器具33は、成形機14を包装機械15の上方に固定する。しかしながら器具33は、第2の位置へ移動できるように成形機14を離脱するように作動する。
【0036】
器具33は、ガイド23上に回動自在に取付けられるアーム34を備える。アーム34には、その極限部に隣接するピン35が備えられ、そのピン35は、ベース28内のスロット36内で係合自在である。アーム34へハンドル37も装着され、そのハンドルを作業者が掴んでピン35をスロット36と別のスロット38との間で動かし、スロット38はガイド23内に形成される。したがって、図4に示される位置において、スロット36内に位置決めされているピン35は、成形機14を第1の位置に保持する。しかしながら作業者は、ピンをスロット36からスロット38へ動かすことにより、移動のために成形機14を離脱できる。
【0037】
成形機ベース28は、ベース28内に形成される窪み39の手段により、ロッド24の極限部へ着脱自在に装着され、その窪み39が、ロッド24上に取付けられる突出し部40を受容する(ロッドの極限部に隣接して)。したがって、成形機14が第2の位置(開口部13に隣接して)にあるとき、作業者は、ロッド24上に取付けられた位置から成形機14を吊り上げ、ついで成形機を取換するか、または整備のために成形機を取外すことができる。成形機14を、それがロッド24上に取付けられるとき、機械15上方の第1の位置まで動かすことができる。
【0038】
ダクト30には、別個のダクト部分を備えることができ、それらの部分は、肩部材29の別個の位置まで延びる。
【0039】
上述の好ましい実施例は幾つかの利点を有し、その利点には、機械15と成形機14の整備目的のために、成形機14の容易な操作が含まれる。成形機14を開口部30に隣接して位置決めすることにより、作業者は、キャビネット11中に深く入る必要がない。その上さらに成形機14が、ロッド24から容易に取外される。
【0040】
別の利点は、気体供給ラインの成形機14への自動接続と自動切離しである。
【0041】
添付図面の図5と6において、包装装置10の変更態様が概略示される。この実施例において成形機14が、成形機サポート47により支承され、そのサポートは、成形機14がチューブ状袋材料を機械15へ送出する第1の位置(図5)と、成形機14が、成形機14へのアクセスを容易するように横方向に変位される第2の位置(図6)との間で斜め移動ができるように成形機14を支承する。この実施例においてキャビネット11は、図1に図示されるように前部アクセス開口部13を有するか、または代わりに、図1のドア12のようなドアにより閉止される側部アクセス開口部41を有することができる。
【0042】
サポート47は一対のアーム42を備える。好ましくはアーム42は、平行な関係で配置され、かつエンクロージャ17から一般に水平に延びる。より好ましくはアーム42は、同一の長さのものであろう。サポート47には、一対の回動組立体44の形態において第1の部分43が備えられ、それらの組立体は、一般に垂直の軸の回りにアーム42が相対的に回動移動するのを実現する。標準的には、回動組立体44は、アーム42とベース28を通して延びる単なるシャフトであろう。サポート47には、回動組立体46の形態における第2の部分45が備えられ、それらの組立体は、アーム42とエンクロージャ17へ装着されて、一般に垂直の軸の回りにエンクロージャ17に関してアーム42が回動移動するのを実現する。標準的には、回動組立体46は、それぞれのアーム42とエンクロージャ17との間を延びる単なる垂直シャフトであろう。組立体44と46は、一般に垂直回動軸を形成するであろう。
【0043】
サポート47は、チューブ状袋材料を機械15へ送出するように機械15の上方へ位置決めされる第1の位置と、開口部13のようなものであるがキャビネット11の側部上にある、成形機14へのアクセスを容易にする横方向に変位された(第2の)位置との間において成形機14の斜め移動を実現する。標準的には、成形機14は、一般に水平な平面を通して移動するであろう。
【0044】
上述の実施例におけるように成形機14には、シュート27の内部へ気体を送出するダクト系統30が備えられるので、気体は、成形される包装の内部へ送出される。
【0045】
一例として、包装機械15は、米国特許第4663917号の機械でもよい。
【0046】
図7において、図5と6の装置10の変更態様が概略示される。この実施例において成形機サポート50は、成形機14がチューブ状袋材料を機械15へ送出する第1の位置と、成形機14が、上述のように成形機14へのアクセスを容易にするように横方向に変位される第2の位置との間で斜め移動ができるように成形機14を支承する。またこの実施例においてキャビネット11は、図1に図示されるように前部アクセス開口部13を有するか、または代わりに、図1のドア12のようなドアにより閉止される側部アクセス開口部51を有することができる。
【0047】
サポート50には、一対のアーム52が備えられ、それらのアームは、成形機14から回動組立体53まで先細になるように配置される。回動組立体53は、一般に垂直の軸54の回りに成形機14が回動移動するのを実現する。この実施例において成形機14には、シュート27の内部へ気体を送出するダクト系統30が備えられるので、気体は、成形される包装の内部へ送出される。また成形機14は、一般に水平の平面を通して移動する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】包装装置の概略側面図である。
【図2】図1の装置に採用される成形機と成形機サポートの概略ポット平面図である。
【図3】図2の成形機と成形機サポートの概略端面図である。
【図4】図2と3の成形機と成形機サポートに採用されるクランプ機構の概略側面図である。
【図5】別の包装装置の概略等角図である。
【図6】図5の包装装置の概略等角図である。
【図7】別の包装装置の概略等角図である。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装機械成形機(14)と、前記成形機(14)を包装機械(15)に対して移動できるように前記成形機(14)を支承するサポート(20)と、を備える、包装装置の成形機を支承する組立体であって、
前記成形機は、前記包装機械(15)へ送出するためにチューブ状袋材料に成形される細長い袋材料が上を通過する成形機肩部材(29)を備え、
前記サポート(20)は、前記成形機(14)へ装着される第1の部分(24)と、前記包装機械(15)に装着するための、前記第1の部分(24)へ装着される第2の部分(23)と、を備えており、
前記第1の部分(24)が、前記第2の部分(23)に装着され、かつ前記第2の部分(23)に対して移動自在であるので、前記成形機(14)は、前記第2の部分(23)に支承され、チューブ状袋材料を前記包装機械(15)へ送出するように前記包装機械(15)と整合する第1の位置と、前記成形機(14)へのアクセスを容易にするように前記第1の位置から離間する第2の位置と、の間で移動自在であり、かつ前記成形機(14)が前記位置の両方において前記第2の部分(23)に支承されていることを特徴とする組立体。
【請求項2】
前記成形機(14)は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動するときに、略水平面で移動する請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記第1の部分(24)は、前記第2の部分(23)に対して直線的に移動自在であるので、前記成形機(14)が前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動自在である請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記第1の部分(24)は、前記第2の部分(23)により摺動自在に支承される請求項3に記載の組立体。
【請求項5】
前記組立体は、前記包装機械(15)が中に位置決めされるキャビネット(11)を備え、また前記キャビネット(11)は、前記成形機(14)へアクセスできるようにアクセス開口部(13)を有し、前記第1の部分(24)は、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する際に前記アクセス開口部(13)へ向けて移動する請求項1?3のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項6】
前記サポート(20)は、前記成形機(14)へ気体を送出するために前記成形機(14)まで延びるダクト系統(30)を備える請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
前記成形機(14)は、前記成形機肩部材まで延びるシュート(27)を備え、そのシュートを通して製品が、チューブ状袋材料内に受容されるように移動して前記成形機により送られる請求項6に記載の組立体。
【請求項8】
前記成形機(14)は、前記サポート(20)の前記ダクト系統(30)と連通するダクト系統(30)を備えるので、前記気体が前記シュート(27)へ送出される請求項7に記載の組立体。
【請求項9】
前記第1の部分(44)は、前記第2の部分(46)に対して斜めに移動自在である請求項2に記載の組立体。
【請求項10】
前記サポート(20)は、前記成形機(14)へ装着される一対の離間するアーム(42)を備え、前記第1の部分は、前記アーム(42)を前記成形機(14)へ装着する回動組立体(44)を備え、また前記第2の部分(23)は、前記アーム(42)へ装着され、かつ前記包装機械(15)に対して固定されるようになっている回動組立体(46)を備えて、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機(14)が斜めに移動できるようにする請求項9に記載の組立体。
【請求項11】
アクセス開口部(13)を有するキャビネット(11)と、
前記キャビネット(11)内の包装機械(15)と、
成形機を支承するサポート(20)と、
前記サポート(20)上に支承される成形機肩部材(29)と、を備える組立体であって、
前記サポート(20)は、チューブ状袋材料を前記包装機械(15)へ送出するように前記包装機械(15)と整合する第1の位置と、前記アクセス開口部(13)へ向けて前記第1の位置から離間する第2の位置との間での前記成形機肩部材(29)の移動を実現することを特徴とする組立体。
【請求項12】
前記サポート(20)は、前記成形機肩部材(29)が上に取付けられる少なくとも1つの部材(24)を有する第1の部分(24)、および前記第1の部分(24)を受容して、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記成形機肩部材(29)の移動を実現する第2の部分(23)を備える請求項11に記載の組立体。
【請求項13】
前記第1の部分(24)は、前記第2の部分(23)に取付けられて、前記第2の部分に対して水平移動摺動して、前記成形機肩部材を前記第1の位置と前記第2の位置との間で動かす請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
前記少なくとも1つの部材(24)は前記成形機肩部材が装着される第1の部材(24)であり、
前記成形機肩部材が装着される第2の部材(24)をさらに備える、請求項13に記載の組立体。
【請求項15】
前記成形機肩部材(29)は、複数の前記部材(24)へ着脱自在に装着される請求項14に記載の組立体。
【請求項16】
前記成形機肩部材(29)を前記第1の位置に離脱自在に固定する手段(33)を備える請求項15に記載の組立体。
【請求項17】
前記サポート(20)は、前記成形機肩部材(29)へ気体を送出するダクト系統(30)を備える請求項16に記載の組立体。
【請求項18】
包装される製品を前記成形機肩部材(29)へ送るように前記成形機肩部材(29)まで延びるシュート(27)をさらに備える請求項17に記載の組立体。
【請求項19】
気体を前記シュート(27)まで送出するために、前記サポート(20)の前記ダクト系統(30)から前記シュート(27)まで延びるダクト系統(30)をさらに備える請求項18に記載の組立体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-04-28 
結審通知日 2016-05-06 
審決日 2016-05-17 
出願番号 特願2004-200436(P2004-200436)
審決分類 P 1 122・ 537- ZDA (B65B)
P 1 122・ 121- ZDA (B65B)
P 1 122・ 113- ZDA (B65B)
P 1 122・ 112- ZDA (B65B)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 山村 秀政  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 渡邊 真
熊倉 強
登録日 2010-09-10 
登録番号 特許第4583824号(P4583824)
発明の名称 包装装置の成形機を支承する組立体  
代理人 花坂 達也  
代理人 岡▲崎▼ 大志  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 濱田 百合子  
代理人 吉村 雅人  
代理人 濱田 百合子  
代理人 阿部 寛  
代理人 花坂 達也  
代理人 柴山 健一  
代理人 北島 健次  
代理人 北島 健次  

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