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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60L 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60L 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60L 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60L 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60L |
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管理番号 | 1321521 |
審判番号 | 不服2014-17034 |
総通号数 | 205 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-08-11 |
確定日 | 2016-11-07 |
事件の表示 | 特願2013- 78257「回生機能を有する車両のバッテリー充電方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月10日出願公開、特開2013-212046〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、 平成23年12月18日に出願した特願2011-276552号の一部を平成25年4月4日に新たな出願としたものであって、 平成26年4月11日付けで拒絶査定がなされ(発送日:平成26年5月13日)、 これに対し、平成26年8月11日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 一方、当審において、平成27年6月8日付けで拒絶理由を通知し(発送日:平成27年6月30日)、 これに対し、平成27年8月22日付けで手続補正書が提出され、平成27年9月29日付けで意見書が提出され、 当審において、平成28年1月19日付けで最後の拒絶理由を通知し(発送日:平成28年2月9日)、 これに対し、平成28年3月18日付けで意見書及び手続補正書が提出されたところである。 第2.平成28年3月18日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成28年3月18日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由I] 1.補正の内容 (1)本件補正前の特許請求の範囲は、以下のとおりである。 「【請求項1】 回生機能を有する車両のバッテリー充電方法において、 前記車両は、燃料タンクとは別の車載タンクを備え、かつ前記車両は回生電力蓄積のためのバッテリーを備え、 出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際に、 前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させ、 前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して前記車両の車重を元に戻した後、目的地に向かって前記車両を走行させることを特徴とする前記方法。」(平成27年8月22日付けの手続補正書参照。) (2)これに対し、本件補正により、特許請求の範囲は、以下のように補正された。 「【請求項1】 回生機能を有する車両のバッテリー充電方法において、 前記車両は、燃料タンクとは別の車載タンクを備え、かつ前記車両は回生電力蓄積のためのバッテリーを備え、 出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際に、 前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させ、 前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて排水して前記車両の車重を元に戻すことを特徴とする前記方法。」 2.目的要件について 本件補正が、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。 (1)特許法第17条の2第5項第2号について ア.特許法第17条の2第5項第2号の「特許請求の範囲の減縮」は、第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られる。 イ.本件補正は、本件補正前の「前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して」との記載の「廃棄」を「排水」に変更して、「前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて排水して」とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含むものである。 補正事項1により、C地点における車載タンクに注入された水の処理に関し、本件補正前は「廃棄」していたものが、本件補正後は「排水」するものとなっている。本件補正後の「排水」には、水を不用として捨て去る「廃棄」を含むとともに、水を捨て去らずに特定の用途に利用することも含まれるが、この水を捨て去らずに特定の用途に利用することは、一般的に水を不用として捨て去る「廃棄」といえるものでない。 そうすると、本件補正後の「排水」には、本件補正前の水を不用として捨て去る「廃棄」に加え、水を特定の用途に利用することも含まれ、補正事項1は、特許請求の範囲を拡張するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとは認められない。 ウ.本件補正は、本件補正前の「目的地に向かって前記車両を走行させる」との記載を削除する補正(以下、「補正事項2」という。)を含むものである。 本件補正前の請求項1は、「前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して前記車両の車重を元に戻した後、目的地に向かって前記車両を走行させる」との記載があり、「車両の車重を元に戻した後」、「C地点」から「目的地に向かって前記車両を走行」させるものである。 一方、本件補正後の請求項1は、「目的地に向かって前記車両を走行させる」との記載がなく、「車両の車重を元に戻す」だけである。 そうすると、本件補正前の請求項1は、C地点から目的地に向かって車両を走行させていたものが、本件補正後の請求項1には、このような特定事項がなく、他に目的地に向かって車両を走行させる旨の記載もないので、補正事項2は、特許請求の範囲を拡張するものであり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとは認められない。 (2)特許法第17条の2第5項第4号について ア.特許法第17条の2第5項第4号の「明りょうでない記載の釈明」は、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限られる。 審判請求人は、平成28年3月18日付け意見書に、 「(2) 理由Aにつきましては、廃棄を『排水』に訂正しましたので、かかる拒絶理由は解消したものと思料します。該補正は、明りょうでない記載の釈明に相当します。 (3) 理由Bにつきましては、『目的地に向かって前記車両を走行させる』という記載を削除しましたので、かかる拒絶理由は解消したものと思料します。該補正は、明りょうでない記載の釈明に相当します。なお付言すれば、目的地に向かって車両を走行させるという動作は、バッテリーの充電方法には寄与しません。」 と記載しており、本件補正が理由A.及び理由B.に示す事項についてする「明りょうでない記載の釈明」である旨を主張しているので検討する。 イ.当審において、平成28年1月19日付けで通知した拒絶理由の理由A.は、本願が特許法第36条第4項第1号、第36条第6項第1号、第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとして、その概要は、 「請求項1には『前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して』と記載されているが、当該記載の『廃棄』の定義が不明である。すなわち、請求人は、平成27年9月29日提出の意見書において、発明の詳細な説明の段落0012の『…注入した水を全て廃棄して車重を元に戻す事により…』に支持されている旨主張しているが、段落0012に続く段落0013?0014等には、もっぱら、車載タンクに対する水の排水(『排水』、『排出』)について記載されており、これらの記載や発明の目的等を考慮すると、請求項1において、この排水された水がどのような状態になることを『廃棄』と定義するのか(排水された水は何の用途にも用いられることのないものなのか否か、本人は廃棄したつもりでも、他人が当該行為を有効な行為(廃棄ではない)とする場合は廃棄となるのか否か、また、本人が廃棄ではない排水をしたつもりでも、他人が当該行為を廃棄とする場合は廃棄となるのか否か。)が発明の詳細な説明を参照しても不明である。」 であり、「廃棄」とは広辞苑によれば「不用として捨て去ること。」であるが、本件補正前の「廃棄」は、「排水された水がどのような状態になることを『廃棄』と定義するのか」が不明りょうである点を指摘しているものである。 しかしながら、補正事項1は、「排水された水がどのような状態になることを『廃棄』と定義するのか」を明らかにするものではなく、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに該当しないから、特許法第17条の2第5項第4号の「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものとは認められない。 ウ.当審において、平成28年1月19日付けで通知した拒絶理由の理由B.は、本願が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないとするものであり、「明りょうでない記載」を指摘するものではないが、一応、補正事項2が「明りょうでない記載の釈明」に該当するか検討する。 補正事項2は、本件補正前の「目的地に向かって前記車両を走行させる」との記載を削除するものである。 ここで、補正事項2が「明りょうでない記載の釈明」に該当するためには、「目的地に向かって前記車両を走行させる」との記載が明りょうでない記載であり、それを削除することによってその記載の本来の意味内容が明らかになるものであることを要する。 しかしながら、「目的地に向かって前記車両を走行させる」との記載は、その記載自体の意味は明りょうであって、当該記載を除くことが、特許請求の範囲について明りょうでない記載をその記載本来の意味内容を明らかにするものであるとはいえず、むしろ、「目的地に向かって前記車両を走行させる」との記載を削除すると、本件補正前の請求項1は、車両の車重を元に戻した後、C地点から目的地に向かって前記車両を走行させていたものが、本件補正後の請求項1は、車両の車重を元に戻すだけのものとなっており、本件補正前の請求項1と本件補正後の請求項1とでは、その実質に相違が生じるものである。 よって、「目的地に向かって前記車両を走行させる」との記載を削除することを内容とする補正事項2は、「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものとは認められない。 エ.また、本件補正が、請求項の削除及び誤記の訂正を目的としたものでないことも明らかである。 3.むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものでもあるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 [理由II] 上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないが、仮に本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 1.特許法第36条第4項第1号について (1)発明の詳細な説明には、以下の事項が記載されている。 「回生ブレーキとは通常は駆動力として用いている電動機(モーター)を発電機として作動させ、運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで制動をかける電機ブレーキの一手法である。発電時の回転抵抗を制動力としてとして利用するもので、電動機を動力とするエレベータ、鉄道車両、自動車等に広く用いられている。再生可能エネルギーへの転換が求められている昨今、とりわけ自動車において電気自動車並びにハイブリッドカーの開発が進められ、これらの車両はいずれも回生機能を用いる事により燃費の向上を図っている。これにより減速時にアクセルペダルを離した際に、タイヤの回転によって電気を起こす機能が働く。ガソリン車の場合、減速時の運動エネルギー(タイヤの回転力)は、ブレーキングなど熱として失われるだけであったことと比べると回生機能により電気エネルギーとして回収出来る事は画期的である。」(段落0002) 「さらに、ブレーキペダルを踏んだとき、油圧ブレーキよりも回生の作動を優先させる事で最大限のエネルギーを回収する装置として回生協調ブレーキが考案された(例えば特許文献1参照)。車両、バッテリー、モーターの状態に応じて、回生による制動と油圧ブレーキによる制動の割合が最適に調整され、更なる燃費の向上が可能となった。」(段落0003) 「本発明の目的は、車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させるバッテリー充電方法を提供することにある。」(段落0005) 「請求項1に記載の発明は、回生機能を有する車両のバッテリー充電方法において、前記車両は、燃料タンクとは別の車載タンクを備え、かつ前記車両は回生電力蓄積のためのバッテリーを備え、出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際に、前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させ、前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて排水して前記車両の車重を元に戻すことを特徴とする前記方法である。」(段落0006) 「本発明の上記構成によれば、車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させるバッテリー充電方法が提供される。」(段落0007) 「本発明の車両は、非使用時には折畳まれていて、流体注入により膨らむ構造を有する車載タンクを備えている。該車載タンクは、流体の注入によって車重を増加させる機能を有する。車載タンクは、少なくとも一箇所の流体注入口を備えている。車載タンクは、車内の任意の場所に設置する事ができるが、例えば、トランクや運転席以外の座席の足元や座席の下などが挙げられる。車載タンクに十分な流体を注入すると、車量が増加し、回生ブレーキからより多くの電気エネルギーを回収する事が可能となる。理論上、車重以外が同じ条件の場合、車載タンクに流体を注入する事により車重が倍になった場合においては回生ブレーキから回収出来る電気エネルギーも倍になる。」(段落0009) 「次に本発明の車両の使用方法について説明する。まず、従来技術について説明する。図3は、車載タンクを備えていない従来の車両の使用方法を説明する図である。図3において、従来の車両101は、出発時に110Ahの電力量がバッテリーに充電されているものとする。車両101は出発地点の漁港A(A地点)から峠B(B地点)を経由して目的地の漁港C(C地点)に向かう。A地点とC地点の標高は同じものとする。A地点からB地点は上り坂が続くのでアクセルペダルを踏み続けるためバッテリーが電気の供給を続けモーターを回転させるため、バッテリーの電気は消費されるだけである。この際に消費された電力量を仮に100Ahとする。この時点でバッテリー電力量は10Ahになる(110-100=10Ah)。B地点に到達した後、C地点に向かう。このルートはひたすら下りが続くためアクセルペダルを離すとともに必要に応じブレーキペダルを踏むのでモーターが発電しバッテリーに充電される。この際のエネルギー変換は運動エネルギーから電気エネルギーへの変換である。運動エネルギーの一部は摩擦などにより熱エネルギーへ変換されるため100%電気エネルギーに変換することは不可能である。従ってこの際に充電された電力量は100Ahに達する事は出来ない。仮に70Ahとする。この時点でバッテリー電力量は80Ahになる(10+70=80Ah)。従って、C地点において新たに充電しないことには再びB地点を経由してA地点に戻る事はできない(80-100=-20Ah)。」(段落0011)、 「次に、本発明の車両の使用方法について説明する。図2は本発明の車両の使用方法を説明するための図である。本発明によれば、前述の図3と同じルートを辿りC地点に達した場合でも、C地点において新たに充電することなく再びB地点を経由してA地点に戻る事が可能となる。図2(a)は漁港A(A地点)から峠B(B地点)を経由して目的地の漁港C(C地点)に向かう往路を、図2(b)は漁港C(C地点)から峠B(B地点)を経由して目的地の漁港A(A地点)に帰る復路の走行を説明している。図2(a)の往路において、出発時に110Ahの電力量がバッテリーに充電されている車両2は出発地点の漁港A(A地点)から峠B(B地点)を経由して目的地の漁港C(C地点)に向かう。A地点とC地点の標高は同じものとする。A地点からB地点は上り坂が続くのでアクセルペダルを踏み続けるためバッテリーが電気の供給を続けモーターを回転させるため、バッテリーの電気は消費されるだけである。この際に消費された電力量を仮に100Ahとする。この時点でバッテリー電力量は10Ahになる(110-100=10Ah)。ここまでは前述の図3と同じである。B地点では車載タンクに水を注入し、車重を概ね2倍としたうえで(実際には車重を2倍にするのは困難であるが、説明を簡易にするためこの2倍を例にして説明する。本発明において、水の注入により通常、車重は1.05?1.5倍に増加されるのがよい。)、B地点からC地点に向かう。このルートはひたすら下りが続くためアクセルペダルを離すとともに必要に応じブレーキペダルを踏むのでモーターが発電しバッテリーに充電される。この際に充電された電力量は、車重が概ね2倍になったため発電量も前述の図3の場合の倍の140Ahとなる(70×2=140Ah)。この時点でバッテリー電力量は150Ahになる(10+140=150Ah)。従って、C地点においてB地点で注入した水を全て廃棄して車重を元に戻す事により、図2(b)に示すとおり、新たに充電せずに再びB地点を経由してA地点に戻る事が可能となる(150-100=50Ah)。」(段落0012)、 「なお、本発明の実施にあたっては、車両を通行させる道路にもある程度の条件が求められる。通行する道路に高低差があることが必要条件となるほか、該高低差がある道路の高い位置において水が得られるのが好ましい。即ち、峠の最高地点付近において大量の水が存在するとともに自由に得られることが好条件となる。具体的にこの条件を満たす場所としては、例えば、日本国内で言えば、国道1号線の箱根峠越えに際しての芦ノ湖、国道120号線の金精峠越えに際しての菅沼若しくは湯の湖ならびに赤城白樺ラインの赤城山山頂付近の大沼の水を利用する事が挙げられる。」(段落0015) (2)本願補正発明は、発明の詳細な説明に「本発明の上記構成によれば、車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させるバッテリー充電方法が提供される。」(段落0007)との記載があり、その「上記構成」が「回生機能を有する車両のバッテリー充電方法において、前記車両は、燃料タンクとは別の車載タンクを備え、かつ前記車両は回生電力蓄積のためのバッテリーを備え、出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際に、前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させ、前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて排水して前記車両の車重を元に戻すことを特徴とする前記方法」(段落0006)、すわなち、本願補正発明の構成であるから、本願補正発明の構成により「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させる」との課題を解決できるものである。 一方、本願補正発明の「車両」は、発明の詳細な説明の「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車」(段落0005,0007)との記載から、「ハイブリッドカーや電気自動車」が想定され、その「ハイブリッドカーや電気自動車」の制動は、発明の詳細な説明の「さらに、ブレーキペダルを踏んだとき、油圧ブレーキよりも回生の作動を優先させる事で最大限のエネルギーを回収する装置として回生協調ブレーキが考案された(例えば特許文献1参照)。車両、バッテリー、モーターの状態に応じて、回生による制動と油圧ブレーキによる制動の割合が最適に調整され、更なる燃費の向上が可能となった。」(段落0003)との記載から、車両、バッテリー、モーターの状態に応じて、回生ブレーキだけでなく油圧ブレーキも使用されるものである。一般に、回生ブレーキだけでなく油圧ブレーキも使用される「ハイブリッドカーや電気自動車」は、制動時に回生ブレーキによって発生する電力が発電機の容量を超える場合には、発電機の保護のために、回生ブレーキでなく油圧ブレーキを用いるようになり、回生ブレーキによる電力は発生しなくなるものである。 そして、発明の詳細な説明には、発電機の構成がどこにも記載されておらず、発電機の容量等も不明であるから、本願補正発明の走行経路として段落0015に例示される公道を「ハイブリッドカーや電気自動車」が走行すると、制動時に回生ブレーキによって発生する電力が発電機の容量を超え、回生ブレーキでなく油圧ブレーキを用いる場合が考えられ、特に発電機の容量が小さければ、回生ブレーキによって発生する電力が発電機の容量をすぐに超えてしまい、車両の車重を増加させても、油圧ブレーキを用いる割合が増えるのみで、回生ブレーキによって発生する電力は増加せず、発明の詳細な説明の上記記載事項及びその他の記載をみても、どのようにして本願補正発明の構成により「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させる」ことができるのか不明である。 (3)「ハイブリッドカーや電気自動車」は、下りの続く道路を走行するとき、運転方法(安全に運転するために車速を下げる、目的地に早く到着するために車速を上げる等)によって、制動に必要なエネルギー、すなわち、回生ブレーキから回収できる電気エネルギーは変化するものである。特に、車速を下げて走行すると回生ブレーキから回収できる電気エネルギーは減少する。例えば、車重M、車速Vで走行する車両を制動するのに必要なエネルギー(1/2×M×V×V)と、車重を2倍の2M、車速を半分のV/2として走行する車両を制動するのに必要なエネルギー(1/2×2M×V/2×V/2=1/4×M×V×V)とを比較すると、前者よりも車重を2倍にした後者の方が、制動に必要なエネルギーは減少し、回生ブレーキから回収できる電気エネルギーも減少する。 一方、発明の詳細な説明には、車重を増加させた車両が「B地点」から「C地点」に向かう下りの続くルートを走行するときの運転方法として、段落0012に「アクセルペダルを離すとともに必要に応じブレーキペダルを踏む」ことのみが記載されており、また、車両は段落0015に例示される公道を走行することが記載されており、このような公道の道路状況として渋滞が発生することはよく知られており、さらに、車重が増加すると、車両の挙動を制御することが難しくなることから、車速を下げて走行することが考えられ、そうすると、「ハイブリッドカーや電気自動車」は、車両の車重を増加させても、下りの続く道路を車速を下げて走行することとなり、回生ブレーキから回収できる電気エネルギーは増加せず、発明の詳細な説明の上記記載事項及びその他の記載をみても、どのようにして本願補正発明の構成により「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させる」ことができるのか不明である。 したがって、発明の詳細な説明の記載は、本願補正発明(本願補正発明の構成により「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させる」との課題を解決できる発明)について、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 2.特許法第36条第6項第1号について (1)本件補正後の請求項1に「回生機能を有する車両のバッテリー充電方法」、「前記車両は回生電力蓄積のためのバッテリー」との記載があり、「回生機能」によって発電した回生電力をバッテリーに蓄積するものであるが、その「回生機能」の構成は具体的に特定されていないから、回生ブレーキを用いない「回生機能」も含まれるものとなる。 しかし、発明の詳細な説明及び図面には、回生ブレーキによって発電する旨の記載はあっても、回生ブレーキを用いない「回生機能」によって発電する旨は記載も示唆もなく、出願時の技術常識に照らしても、本件補正前の請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 (2)本願補正発明の「車両」は、発明の詳細な説明に「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車」(段落0005,0007)との記載があり、本件補正後の請求項1に「回生機能を有する車両」及び「前記車両は、燃料タンクとは別の車載タンクを備え、かつ前記車両は回生電力蓄積のためのバッテリーを備え」との記載があるものの、「回生機能」の具体的構成、「回生電力蓄積のためのバッテリー」の容量及び車両が備える発電機について特定されていないから、一般的な「ハイブリッドカーや電気自動車」を含むものとなる。また、本件補正後の請求項1は、「B地点」と「C地点」との距離を特定していないから、本願補正発明の「B地点」と「C地点」との距離はどのような距離であってもよいこととなる。 一般的な「ハイブリッドカーや電気自動車」において、下りが続くルートを所定距離走行すると、「回生電力蓄積のためのバッテリー」は満充電に近い状態となり、「回生電力蓄積のためのバッテリー」を保護するためにその充電が制限され、回生ブレーキによって発生する電力は「回生電力蓄積のためのバッテリー」に充電されなくなる。この場合、車両の車重を増加させても、所定距離の走行時点で「回生電力蓄積のためのバッテリー」は満充電に近い状態であり、回生ブレーキによって発生する電力は「回生電力蓄積のためのバッテリー」に充電されなくなるから、回生ブレーキによってバッテリーに充電される電力量(回生ブレーキによってバッテリーに充電される電力を積算したもの)は増加しない。 そして、本願補正発明は、「B地点」と「C地点」との距離が上記所定距離(「回生電力蓄積のためのバッテリー」が満充電に近い状態となり回生ブレーキによって発生する電力が「回生電力蓄積のためのバッテリー」に充電されなくなる距離)以上であるものでもよく、車両の車重を増加させても、回生ブレーキによってバッテリーに充電される電力量は増加しないものとなる。 そうすると、本願補正発明は、「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させる」(段落0005,0007)との課題を解決できるものではないから、本件補正後の請求項1において、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することになる。 (3)本件補正後の請求項1に「前記B地点よりも標高の低いC地点」との記載があり、「B地点」より「C地点」が相対的に標高が低いことを特定しているが、「B地点」と「C地点」との標高差の絶対値を特定していないから、「B地点」より「C地点」が1cmでも低ければよいことになる。「B地点」より「C地点」が1cmしか低くなくても、車両の車重を増加させると「回生機能」によって「バッテリー」に充電される電力量が増加するのか、すなわち、「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させる」との課題を解決できるのか、明細書を参照しても不明である。 (4)本件補正後の請求項1は、「B地点」と「C地点」との間にある地点の標高を特定していないから、「B地点」と「C地点」との間に「B地点」よりも標高の高い地点があるものでもよいことになる。「B地点」と「C地点」との間に「B地点」よりも標高の高い地点があっても、車両の車重を増加させると「回生機能」によって「バッテリー」に充電される電力量が増加するのか、すなわち、「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させる」との課題を解決できるのか、明細書を参照しても不明である。 (5)本件補正後の請求項1に「前記車両の車重を増加させ」との記載があるが、車重の増加量は特定されていないから、車両の車重を1.001倍に増加させるものであってもよいことになる。車両の車重を1.001倍に増加させる場合でも、「回生機能」によって「バッテリー」に充電される電力量が増加するのか、すなわち、「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させる」との課題を解決できるのか、明細書を参照しても不明である。 (6)本件補正後の請求項1は、車両が備える発電機に関する特定がなく、発電機の容量等も不明であるから、本願補正発明は、制動時に回生ブレーキによって発生する電力が発電機の容量を超え、回生ブレーキでなく油圧ブレーキを用いるものでもよく、特に発電機の容量が小さければ、回生ブレーキによって発生する電力が発電機の容量をすぐに超えてしまい、車両の車重を増加させても、油圧ブレーキを用いる割合が増えるのみで、回生ブレーキによって発生する電力は増加せず、「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させる」との課題を解決できるものではない(上記「[理由II]1.(2)」参照。)。 (7)本件補正後の請求項1は、「B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際」の運転方法に関する特定がないから、本願補正発明は、「B地点」から「C地点」に車速を下げて走行させるものであってもよく、車両の車重を増加させても、下りの続く道路を車速を下げて走行することとなり、回生ブレーキから回収できる電気エネルギーは増加せず、「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させる」との課題を解決できるものではない(上記「[理由II]1.(3)」参照。)。 したがって、本願補正発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件補正後の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.特許法第36条第6項第2号について (1)本件補正後の請求項1には、「回生機能」との記載があり、その「回生機能」には、回生ブレーキを用いない「回生機能」が含まれるが、本件補正後の請求項1において、どのようにして回生ブレーキを用いない「回生機能」によって発電するのか、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても不明であり、本願補正発明を把握することができない。 (2)本件補正後の請求項1は、「回生電力蓄積のためのバッテリー」の容量を特定していないから、「回生電力蓄積のためのバッテリー」はどのような容量であってもよく、また、本件補正後の請求項1は、「B地点」と「C地点」との距離を特定していないから、「B地点」と「C地点」との距離が、「回生電力蓄積のためのバッテリー」が満充電に近い状態となり「回生機能」によって発生する電力が「回生電力蓄積のためのバッテリー」に充電されなくなる距離以上であるものでもよいこととなる。本件補正後の請求項1において、「B地点」と「C地点」との距離が、「回生電力蓄積のためのバッテリー」が満充電に近い状態となり「回生機能」によって発生する電力が「回生電力蓄積のためのバッテリー」に充電されなくなる距離以上であっても、「出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際に、前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させ、前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて排水して前記車両の車重を元に戻すこと」で、どのようにして「回生機能」によって「回生電力蓄積のためのバッテリー」に充電される電力量が増加するのか、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても不明であり、本願補正発明を把握することができない。 (3)本件補正後の請求項1には、「前記B地点よりも標高の低いC地点」との記載があり、「B地点」より「C地点」が相対的に標高が低いことを特定しているが、「B地点」と「C地点」との標高差の絶対値を特定していないから、「B地点」より「C地点」が1cmでも低ければよいことになる。本件補正後の請求項1において、「B地点」より「C地点」が1cmしか低くなくても、車両の車重を増加させると「回生機能」によって「回生電力蓄積のためのバッテリー」に充電される電力量が増加するのか、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても不明であり、本願補正発明を把握することができない。 (4)本件補正後の請求項1は、「B地点」と「C地点」との間にある地点の標高を特定していないから、「B地点」と「C地点」との間に「B地点」よりも標高の高い地点があるものでもよいことになる。本件補正後の請求項1において、「B地点」と「C地点」との間に「B地点」よりも標高の高い地点があっても、車両の車重を増加させると「回生機能」によって「回生電力蓄積のためのバッテリー」に充電される電力量が増加するのか、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても不明であり、本願補正発明を把握することができない。 (5)本件補正後の請求項1には、「前記車両の車重を増加させ」との記載があるが、車重の増加量は特定されていないから、車両の車重を1.001倍に増加させるものであってもよいことになる。本件補正後の請求項1において、車両の車重を1.001倍に増加させる場合でも、「回生機能」によって「回生電力蓄積のためのバッテリー」に充電される電力量が増加するのか、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても不明であり、本願補正発明を把握することができない。 (6)本件補正後の請求項1は、車両が備える発電機に関する特定がなく、発電機の容量等も不明であるから、制動時に「回生機能」によって発生する電力が発電機の容量を超え、油圧ブレーキを用いるものであってもよいことになる。本件補正後の請求項1において、特に発電機の容量が小さければ、制動時に「回生機能」によって発生する電力が発電機の容量をすぐに超えてしまい、車両の車重を増加させても、油圧ブレーキを用いる割合が増えるのみであり、どのようにして「回生機能」によって「回生電力蓄積のためのバッテリー」に充電される電力量が増加するのか、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても不明であり、本願補正発明を把握することができない(上記「[理由II]1.(2)」参照。)。 (7)本件補正後の請求項1は、「B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際」の運転方法に関する特定がないから、「B地点」から「C地点」に車速を下げて走行させるものであってもよいことになる。本件補正後の請求項1において、「B地点」から「C地点」に車速を下げて走行させても、車両の車重を増加させると「回生機能」によって「回生電力蓄積のためのバッテリー」に充電される電力量が増加するのか、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても不明であり、本願補正発明を把握することができない(上記「[理由II]1.(3)」参照。)。 したがって、本願補正発明は明確ではないから、本件補正後の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.特許法第29条第2項について (1)引用例 ア.当審の平成27年6月8日付けで通知した拒絶理由に引用された国際公開第2006/062106号(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 「本発明のタンクを、添付の図面を用いて説明する。図1は、本発明のタンク12を搭載した輸送車両14の構成例を示す側面図であり、図2は、図1の輸送車両14の上面図であり、そして図3は、図1の輸送車両14の背面図である。図1から図3に示す輸送車両14は、タンク12を搭載したトレーラー14aとトレーラー14aの牽引車14bとが組合わされた構成を有している。 図1から図3に示す本発明のタンク12は、上部に空間部を残して輸送対象の液体11が収容された前後方向に長いタンクであって、そして上記の空間部に膨張状態の浮き袋13が配置された構成を有している。 輸送対象物である液体11の例としては、ガソリン、潤滑油、界面活性剤、牛乳、アルコール、および水(例、ミネラルウォーターや温泉水)などが挙げられる。また、輸送 対象物は粉体であってもよくその代表例としては樹脂材料製のペレットが挙げられる。」(段落0012?0014) 「本発明のタンクは、タンクローリーに搭載されるタンクとして用いることもできる。また本発明のタンクは、貨車に搭載することもできる。本発明のタンクが搭載されたタンクローリーや貨車(輸送車両)もまた、輸送中のタンク内での液体等の片寄りの発生が抑制されているために、液体等を安全に輸送することができる。特に、本発明のタンクが搭載された貨車の複数台を連結した場合には、これらの貨車を発車あるいは停車させる際に優れた制動性が得られる。」(段落0026) 上記記載及び図面を参照すると、「輸送車両14」は、「タンク12を搭載し」、その「タンク12」は「輸送対象の液体11が収容され」、その「輸送対象物である液体11」は「ミネラルウォーターや温泉水」であるから、ミネラルウォータ又は温泉水を収容するタンク12を備えた輸送車両14であるといえる。 上記記載及び図面を参照すると、「タンクが搭載されたタンクローリーや貨車(輸送車両)」は「液体等を安全に輸送することができる」ものであるから、タンクが搭載された輸送車両を液体等の輸送に使用する、輸送車両の使用方法であるといえる。 上記記載事項からみて、引用例1には、次の発明が記載されている(以下、この発明を「引用発明」という。)。 「ミネラルウォータ又は温泉水を収容するタンクを備えた輸送車両を、ミネラルウォータ又は温泉水の輸送に使用する、輸送車両の使用方法。」 イ.当審の平成27年6月8日付けで通知した拒絶理由に引用された特開2011-162084号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 「実施の形態1. 図1は、この発明の実施の形態1におけるハイブリッド車両1及び車両制御装置2を示すブロック図である。ハイブリッド車両1は、車体の中にガソリン、軽油等の燃料によって駆動される内燃機関のエンジン10と、電力によって回転する交流モータ等のモータ(電動機)11とを有し、車両用の動力源として併用して使用する。更に、図示しないドラムブレーキ、ディスクブレーキ等の制動装置を配設する。またこれらは、乗用車、バス、トラック等の車両に配置することができる。」(段落0010) 「バッテリ15は充電制御部14により発電された電力の蓄電手段であり、また制動時に発生するモータ11からの回生電流を蓄電する。また、バッテリ15は充電と放電とを繰り返すことができる二次電池であり、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等が一般的であるが、電気自動車等に使用される高性能鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池等であってもよい。」(段落0015) 図1には、ハイブリッド車両1は、モータ11に電力を供給するバッテリ15を備える構成が図示されている。 上記記載及び図面を参照すると、「ハイブリッド車両1」は、「車体の中にガソリン、軽油等の燃料によって駆動される内燃機関のエンジン10」と「電力によって回転する交流モータ等のモータ(電動機)11とを有し」、「これらは、乗用車、バス、トラック等の車両に配置することができ」るものであるから、ガソリン、軽油等の燃料によって駆動される内燃機関のエンジン10と、電力によって回転するモータ11と、を備えるトラックであるハイブリッド車両1といえる。 上記記載及び図面を参照すると、「バッテリ15」は、「制動時に発生するモータ11からの回生電流を蓄電する」ものである。 上記記載事項からみて、引用例2には、 「ガソリン、軽油等の燃料によって駆動される内燃機関のエンジンと、電力によって回転するモータと、モータに電力を供給するバッテリと、を備え、バッテリは、制動時に発生するモータからの回生電流を蓄電する、トラックであるハイブリッド車両。」が記載されている。 ウ.当審の平成27年6月8日付けで通知した拒絶理由に引用された特開2009-132270号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 「1は、ハイブリッド式電気自動車であり、トラック等の車両の前方に内燃機関(エンジン)2や電動機としてのモータ4などの駆動源が設置され、後輪9が駆動される。エンジン2の出力側にクラッチ3が設置され、更にクラッチ3の出力側にモータ4が設置されている。その更に出力側には自動変速機5が設けられている。自動変速機5へは、エンジン2とモータ4のいずれか一方又は両方からの駆動力が、車両の走行状態やドライバーの操作状態に応じて選択的に伝達される。」(段落0020) 「一方、ドライバーが図示しないアクセルペダルを踏まずに、惰性走行したり、またブレーキペダルを踏んで減速している際には、モータ4により回生電力が発生し、これにより電力がインバータ10を介してバッテリー11に蓄積されると共に、この回生電力による減速が車両に作用する。さらにクラッチ3が係合され、エンジン2によるエンジンブレーキも作用させる場合もあり、その際には、エンジン2とモータ4とにより強力な減速を得ることができる。」(段落0024) 図1には、ハイブリッド式電気自動車1は、モータ4に電力を供給するバッテリー11を備える構成が図示されている。 上記記載及び図面を参照すると、「ハイブリッド式電気自動車」「1」は、「トラック等の車両の前方に内燃機関(エンジン)2や電動機としてのモータ4などの駆動源が設置され」るものであるから、内燃機関2とモータ4を備えるトラックであるハイブリッド式電気自動車1といえる。 上記記載及び図面を参照すると、「減速している際には、モータ4により回生電力が発生し、これにより電力がインバータ10を介してバッテリー11に蓄積されると共に、この回生電力による減速が車両に作用する」から、バッテリー11は、減速している際にモータ4により発生した回生電力を蓄積するものといえる。 上記記載事項からみて、引用例3には、 「内燃機関と、モータと、モータに電力を供給するバッテリーと、を備え、バッテリー11は、減速している際にモータにより発生した回生電力を蓄積する、トラックであるハイブリッド式電気自動車。」が記載されている。 エ.本願出願前に頒布された刊行物である特開2008-79435号公報には、以下の事項が記載されている。 「また、排気ガス規制が行われるようになったことにともない、トラックやバスなど輸送業界における大型車両にも、バッテリによる電気自動車や燃料電池を利用する燃料電池自動車の他、燃料効率が高いディーゼルエンジンを発電機と組合せて利用することで、排気ガス量を低減するディーゼルハイブリッド電気自動車が提案され始めている。」(段落0005) 「都市部においては、発進と停止が頻繁に繰り返されるため、内燃機関では燃費が悪く、排気ガス量も増加する傾向にある。したがってこのような場合は、電気自動車や燃料電池自動車が好まれる傾向にある。電力を動力源として利用すると、走行距離にほぼ比例して電力が消費される。 したがって、輸送用トラック等、一度に長距離を走行する場合、頻繁に充電を行う必要が生じる。しかし、充電するための設備や燃料電池の燃料を供給する設備がまだ十分に整備されていない。また、充電にも時間がかかるため、可動効率が低下する。このような場合、ディーゼルエンジンと蓄電池を併用するディーゼルハイブリッド電気自動車であれば、燃料の入手も容易であり、排気ガスの排出量を抑えることができるとともにエネルギー効率も高い。」(段落0006,0007) オ.本願出願前に頒布された刊行物である特開2007-203782号公報には、以下の事項が記載されている。 「ところで、従来の車両において、ハイブリッド車は乗用車仕様の中型車両や小型車両にのみ採用されている傾向にあり、特にトラックやトレーラー、バス等の大型車両に採用されていない状況にある。 この結果、トラックやトレーラー、バス等の大型車両からなるハイブリッド車の登場が切望されている。」(段落0006) (2)対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「輸送車両」、「ミネラルウォータ又は温泉水を収容するタンク」は、それぞれ本願補正発明の「車両」、「燃料タンクとは別の車載タンク」に相当する。 引用発明の「輸送車両の使用方法」と、本願補正発明の「回生機能を有する車両のバッテリー充電方法」とは、「車両の使用方法」である点で一致している。 引用発明の「ミネラルウォータ又は温泉水を収容するタンクを備えた輸送車両を、ミネラルウォータ又は温泉水の輸送に使用する」ことは、「タンク」に「ミネラルウォータ又は温泉水を収容」して、「ミネラルウォータ又は温泉水の輸送」することであるから、本願補正発明の「出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際に、 前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させ、 前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて排水して前記車両の車重を元に戻すこと」とは、「車載タンクに水を注入し、車両を走行させて水を運ぶ」点で一致している。 以上を踏まえると、本願補正発明と引用発明とは、 「車両は、燃料タンクとは別の車載タンクを備え、 前記車載タンクに水を注入し、車両を走行させて水を運ぶ、車両の使用方法。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 車両に関し、本願補正発明は「回生機能を有する」ものであるのに対して、引用発明は「回生機能を有する」ものではない点。 [相違点2] 車両に関し、本願補正発明は「回生電力蓄積のためのバッテリー」を備えるものであるのに対して、引用発明は「回生電力蓄積のためのバッテリー」を備えるものではない点。 [相違点3] 本願補正発明は、「回生機能を有する車両」を使用して、「出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際に、 前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させ、 前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて排水して前記車両の車重を元に戻す」構成を有しているのに対して、引用発明は、そのような特定がない点。 [相違点4] 本願補正発明は、「車両のバッテリー充電方法」であるのに対して、引用発明は、「輸送車両の使用方法」である点。 (3)判断 ア.相違点1?3について ミネラルウォータ又は温泉水の採取地として標高の高い場所(例えば、ミネラルウォータの採取地として標高数百m程度の山梨県北杜市、温泉水の採取地として標高数百m程度の群馬県みなかみ町)が知られており、また、それらの需要地が採取地より標高の低い場所(例えば、標高数十m程度の東京23区)に多く存在することも知られている。したがって、ミネラルウォータ又は温泉水を標高の高い場所から標高の低い場所まで輸送することは一般によく行われていることであって、引用発明の「ミネラルウォータ又は温泉水の輸送」をそのような輸送とすることは普通に想定されることである。ここで、標高の高い採取地は「B地点」に、標高の低い需要地は「C地点」に対応する。そうすると、引用発明の「ミネラルウォータ又は温泉水の輸送」は、「B地点」から「C地点」にミネラルウォータ又は温泉水を輸送するものとなり、ミネラルウォータ又は温泉水をタンクに収容するために、「B地点」に輸送車両を走行させ、「B地点」でタンクにミネラルウォータ又は温泉水を収容し(輸送車両の車重が増加することは自明)、前記「B地点」よりも標高の低い「C地点」に輸送車両を走行させ、前記「C地点」で前記タンクからミネラルウォータ又は温泉水を排出(排水)することになる。 そして、輸送車両において、回生機能及び回生電力蓄積のためのバッテリーを備えるものは、引用例2及び3の何れにも記載されているように周知であり、引用発明の「輸送車両」においても、回生機能及び回生電力蓄積のためのバッテリーを備えるものが、排気ガス抑制及び燃費向上の観点から望ましいことは、例えば、前記特開2008-79435号公報(上記「(1)エ.」参照。)、前記特開2007-203782号公報(上記「(1)オ.」参照。)に記載されているとおりである。 そうすると、引用発明の「ミネラルウォータ又は温泉水の輸送に使用する」「輸送車両」を、回生機能及び回生電力蓄積のためのバッテリーを備えるものとすること、換言すれば、回生機能及び回生電力蓄積のためのバッテリーを備える輸送車両を使用して、ミネラルウォータ又は温泉水を輸送することは、当業者が適宜なし得たことである。 よって、引用発明を相違点1乃至3の構成とすることは当業者が適宜なし得たことである。 イ.相違点4について 上記「ア.」で検討したように、引用発明を相違点1乃至3の構成とすることは当業者が適宜なし得たことであり、そのような構成を有する「輸送車両の使用方法」は、輸送車両のバッテリーを充電するものであるから、輸送車両のバッテリー充電方法といえる。 そうすると、相違点4は実質的な相違点ではない。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明、引用例2、引用例3及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)小括 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5.むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、「第2.[理由I]1.(1)」に本件補正前の請求項1(平成27年8月22日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2.当審の最後の拒絶理由 (1)当審において、平成28年1月19日付けで通知した最後の拒絶理由の概要は以下のとおりである。 「A.本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号、第36条第6項第1号、第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 請求項1には『前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して』と記載されているが、当該記載の『廃棄』の定義が不明である。すなわち、請求人は、平成27年9月29日提出の意見書において、発明の詳細な説明の段落0012の『…注入した水を全て廃棄して車重を元に戻す事により…』に支持されている旨主張しているが、段落0012に続く段落0013?0014等には、もっぱら、車載タンクに対する水の排水(『排水』、『排出』)について記載されており、これらの記載や発明の目的等を考慮すると、請求項1において、この排水された水がどのような状態になることを『廃棄』と定義するのか(排水された水は何の用途にも用いられることのないものなのか否か、本人は廃棄したつもりでも、他人が当該行為を有効な行為(廃棄ではない)とする場合は廃棄となるのか否か、また、本人が廃棄ではない排水をしたつもりでも、他人が当該行為を廃棄とする場合は廃棄となるのか否か。)が発明の詳細な説明を参照しても不明である。 B.平成27年8月21日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 1.平成27年8月21日付けの手続補正により、特許請求の範囲の、 『【請求項1】 回生機能を有する車両のバッテリー充電方法において、 前記車両は、燃料タンクとは別の車載タンクを備え、かつ前記車両は回生電力蓄積のためのバッテリーを備え、 出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低い目的地C地点に車両を走行させる際に、 前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させることを特徴とする前記方法。』は、 『【請求項1】 回生機能を有する車両のバッテリー充電方法において、 前記車両は、燃料タンクとは別の車載タンクを備え、かつ前記車両は回生電力蓄積のためのバッテリーを備え、 出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際に、 前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させ、 前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して前記車両の車重を元に戻した後、目的地に向かって前記車両を走行させることを特徴とする前記方法。』 (当審にて、補正箇所に下線を付した。以下に付す下線も同じ。) と補正された。 また、上記手続補正により、明細書の、 『【0006】 請求項1に記載の発明は、回生機能を有する車両のバッテリー充電方法において、 前記車両は、燃料タンクとは別の車載タンクを備え、かつ前記車両は回生電力蓄積のためのバッテリーを備え、 出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低い目的地C地点に車両を走行させる際に、 前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させることを特徴とする前記方法である。』は、 『【0006】 請求項1に記載の発明は、回生機能を有する車両のバッテリー充電方法において、前記車両は、燃料タンクとは別の車載タンクを備え、かつ前記車両は回生電力蓄積のためのバッテリーを備え、出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際に、前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させ、前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して前記車両の車重を元に戻した後、目的地に向かって前記車両を走行させることを特徴とする前記方法である。』 と補正された。 2.請求人は、平成27年9月29日提出の意見書において、 『(3) 上記請求項1の補正事項は、出願当初の明細書段落0012の『従って、C地点において B地点で注入した水を全て廃棄して車重を元に戻す事により、図2(b)に示すとおり、新たに充電せずに再びB地点を経由してA地点に戻ることが可能となる』という記載に支持されているか、該記載から自明なものであると思料いたします。また発明の詳細な説明の欄の補正事項は、補正された請求項との整合を目的とするものであり、新規事項の追加はないものと思料いたします。』と主張している。 3.願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下『当初明細書等』という。)には、回生機能を有する車両のバッテリー充電方法(段落0011の記載では『車両の使用方法』。)に関し、以下の事項が記載されている。 『【0011】 次に本発明の車両の使用方法について説明する。 まず、従来技術について説明する。 図3は、車載タンクを備えていない従来の車両の使用方法を説明する図である。………車両101は出発地点の漁港A(A地点)から峠B(B地点)を経由して目的地の漁港C(C地点)に向かう。A地点とC地点の標高は同じものとする。A地点からB地点は上り坂が続く………B地点に到達した後、C地点に向かう。このルートはひたすら下りが続く………従って、C地点において新たに充電しないことには再びB地点を経由してA地点に戻る事はできない(80-100=-20Ah)。 【0012】 次に、本発明の車両の使用方法について説明する。 図2は本発明の車両の使用方法を説明するための図である。本発明によれば、前述の図3と同じルートを辿りC地点に達した場合でも、C地点において新たに充電することなく再びB地点を経由してA地点に戻る事が可能となる。 図2(a)は漁港A(A地点)から峠B(B地点)を経由して目的地の漁港C(C地点)に向かう往路を、図2(b)は漁港C(C地点)から峠B(B地点)を経由して目的地の漁港A(A地点)に帰る復路の走行を説明している。図2(a)の往路において、出発時に110Ahの電力量がバッテリーに充電されている車両2は出発地点の漁港A(A地点)から峠B(B地点)を経由して目的地の漁港C(C地点)に向かう。A地点とC地点の標高は同じものとする。A地点からB地点は上り坂が続く………B地点からC地点に向かう。このルートはひたすら下りが続く………従って、C地点においてB地点で注入した水を全て廃棄して車重を元に戻す事により、図2(b)に示すとおり、新たに充電せずに再びB地点を経由してA地点に戻る事が可能となる(150-100=50Ah)。 ……… 【0015】 なお、本発明の実施にあたっては、車両を通行させる道路にもある程度の条件が求められる。通行する道路に高低差があることが必要条件となるほか、該高低差がある道路の高い位置において水が得られるのが好ましい。即ち、峠の最高地点付近において大量の水が存在するとともに自由に得られることが好条件となる。具体的にこの条件を満たす場所としては、例えば、日本国内で言えば、国道1号線の箱根峠越えに際しての芦ノ湖、国道120号線の金精峠越えに際しての菅沼若しくは湯の湖ならびに赤城白樺ラインの赤城山山頂付近の大沼の水を利用する事が挙げられる。』 4.上記手続補正により、請求項1に、『前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して前記車両の車重を元に戻した後、目的地に向かって前記車両を走行させる』ことを追加する補正がなされた。当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否かを検討する。 (1)請求項1には、『目的地』の標高と『B地点』及び『C地点』の標高との関係が特定されていないから、請求項1に係る発明における『目的地』には、その『目的地』の標高が、『B地点』(出発地)の標高より高いものも、『C地点』(車載タンクに注入された水をすべて廃棄する地点)の標高より低いものも含まれる。 一方、当初明細書等の記載事項は、上記3.のとおりであり、回生機能を有する車両のバッテリー充電方法における、車載タンクに注入された水をすべて廃棄して車両の車重を元に戻した後に向かう目的地は、『A地点』が記載されているのみであり、その『A地点』(目的地)の標高は、『C地点』の標高と同じであり、また、『B地点』(出発地)が『A地点』(目的地)から上り坂を走行して到達する地点であるから、『A地点』(目的地)の標高は、『B地点』(出発地)の標高より低いものと認められる。 また、当初明細書等には、『A地点』(目的地)の標高が『B地点』(出発地)の標高より高い場合、及び、『A地点』(目的地)の標高が『C地点』の標高より低い場合の、回生機能を有する車両のバッテリー充電方法(段落0011の記載では『車両の使用方法』。)は記載されていない。 さらに、当初明細書等には、『A地点』(目的地)の標高と、『B地点』(出発地)及び『C地点』の標高との関係を無限定なものまで拡張することを示唆するような記載はない。 そうすると、当初明細書等には、『目的地』の標高と『B地点』及び『C地点』の標高との関係について規定されていないものは記載されておらず、したがって、請求項1の『前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して前記車両の車重を元に戻した後、目的地に向かって前記車両を走行させる』ことは、当初明細書等に記載されているとはいえず、また、当初明細書等の記載からみて自明な事項であるとも認められない。 (2)請求項1には、『C地点』から『目的地』に向かって車両が走行する道路がどのような道路であるのかが特定されていないから、請求項1に係る発明における『前記C地点で…した後、目的地に向かって前記車両を走行させる』ことには、『C地点』から『目的地』に向かって上り坂や下り坂がない道路を車両が走行することも含まれる。 一方、当初明細書等の記載事項は、上記3.のとおりであり、『C地点』と『A地点』(目的地)との間には、『B地点』すなわち峠があり、『C地点』から『A地点』(目的地)に向かって車両が走行する道路には、『C地点』から『B地点』に続く上り坂、及び、『B地点』から『A地点』(目的地)に続く下り坂があるものと認められる。 また、当初明細書等には、『C地点』と『A地点』(目的地)との間に峠がない場合の、回生機能を有する車両のバッテリー充電方法は記載されていないし、『C地点』から『A地点』(目的地)に向かって車両が走行する道路がどのような道路でもよいことを示唆するような記載もない。 そうすると、当初明細書等には、『C地点』から『目的地』に向かって車両が走行する道路がどのような道路でもよいものは記載されておらず、したがって、請求項1の『前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して前記車両の車重を元に戻した後、目的地に向かって前記車両を走行させる』ことは、当初明細書等に記載されているとはいえず、また、当初明細書等の記載からみて自明な事項であるとも認められない。 (3)よって、請求項1の『回生機能を有する車両のバッテリー充電方法』に『前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して前記車両の車重を元に戻した後、目的地に向かって前記車両を走行させる』ことを追加する上記手続補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。 5.また、上記手続補正による明細書の段落0006に対する補正についても同様である。」 (「平成27年8月21日付け」は「平成27年8月22日付け」の誤記。) (2)理由A.に対する当審の判断 本件補正前の請求項1及び発明の詳細な説明の記載は、審判請求書、平成27年9月29日付けの意見書、平成28年3月18日付けの意見書を参照しても、平成28年1月19日付けの拒絶理由の理由A.に示したとおり、本願発明において、排水された水がどのような状態になることを「廃棄」と定義するのかが不明である。 審判請求人は、平成28年3月18日付けの意見書において「(2) 理由Aにつきましては、廃棄を『排水』に訂正しましたので、かかる拒絶理由は解消したものと思料します。該補正は、明りょうでない記載の釈明に相当します。」と主張するが、平成28年3月18日付けの手続補正は、上記「第2.[理由I]2.(2)イ.」に記載したとおり、「排水された水がどのような状態になることを『廃棄』と定義するのか」を明らかにするものではなく、また、当該補正は却下されたので、当該補正に基づく当該主張は採用することができない。 したがって、本願発明は明確ではないから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 (3)理由B.に対する当審の判断 平成27年8月22日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項は、審判請求書、平成27年9月29日付けの意見書、平成28年3月18日付けの意見書を参照しても、平成28年1月19日付けの拒絶理由の理由B.に示したとおり、当初明細書等に、「目的地」の標高と「B地点」及び「C地点」の標高との関係が任意のものは記載されておらず、かつ、「C地点」から「目的地」に向かって車両が走行する経路がどのような経路でもよいものは記載されていないから、「前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して前記車両の車重を元に戻した後、目的地に向かって前記車両を走行させる」ことは、当初明細書等に記載されているとはいえず、また、当初明細書等の記載からみて自明な事項であるとも認められないから、平成27年8月22日付けの手続補正により「前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して前記車両の車重を元に戻した後、目的地に向かって前記車両を走行させる」とする補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。 審判請求人は、平成28年3月18日付けの意見書において「(3) 理由Bにつきましては、『目的地に向かって前記車両を走行させる』という記載を削除しましたので、かかる拒絶理由は解消したものと思料します。該補正は、明りょうでない記載の釈明に相当します。なお付言すれば、目的地に向かって車両を走行させるという動作は、バッテリーの充電方法には寄与しません。」と主張するが、平成28年3月18日付けの手続補正は却下されたので、当該補正に基づく当該主張は採用することができない。 したがって、平成27年8月22日付けでした手続補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 3.平成27年6月8日付けの拒絶理由について 最後の拒絶理由通知は、最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するものであり、最初の拒絶理由が解消していることを意味するものではない。 そこで、平成27年6月8日付けの拒絶理由について検討する。 (1)当審において、平成27年6月8日付けで通知した拒絶理由の概要は以下のとおりである。 「理由1 本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。 理由2 本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由1について 本願発明の車両として、ハイブリッドカーや電気自動車が想定されている(段落0005、0007等参照)。 ハイブリッドカーや電気自動車が山頂から麓まで坂道を下るとき、車重にかかわらず、同じ時間をかけて同じ速度で走行させることが一般的である(公道には制限速度があり、また、車重が増加した場合に、車重が軽い場合よりも高速で坂道を走行させることは危険であり、一般的に行われることではない。)。 ここで、ハイブリッドカーや電気自動車に備えられている発電機による発電量は、発電機のシャフトの回転速度と回転継続時間、すなわち、車速と走行時間によって定まることが技術常識である(ハイブリッドカーや電気自動車が備える発電機又はバッテリーが許容できる電流値には制限がある。)。 そうすると、同じ坂道を下る際の発電量は、車重にかかわらず同一になると考えられ、発明の詳細な説明で主張されているように車重によって発電量が増加することは想定できず、主張されているような効果を奏するためには発電機の発電量に関する開示が不足していることは明らかである。 したがって、本願の発明の詳細な説明は請求項1に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されておらず、また、請求項1において発電機の発電量に関する特定が不足していることが明らかであるから請求項1に係る発明は不明確である。 ●理由2について ・請求項1 ・引用文献1-3 ・備考 引用文献1には、水(ミネラルウォータ又は温泉水)を収容する車載タンク(タンク12)を備えた車両(輸送車両14)が示されている(段落0012-0014、0026、図1等参照)。 ここで、ミネラルウォータ、温泉水の採取地として標高の高い場所(例えば、ミネラルウォータの採取地として標高数百m程度の山梨県北杜市、温泉水の採取地として標高数百m程度の群馬県みなかみ町)が知られており、また、それらの需要地が採取地より標高の低い場所(例えば、標高数十m程度の東京23区)に多く存在することも知られている。したがって、ミネラルウォータ又は温泉水を標高の高い場所から標高の低い場所まで輸送することは一般によく行われていることであって、引用文献1に記載の車両をそのような用途で使用することは普通に想定されることである。 また、車両(輸送車両も含む)に回生電力蓄積のためのバッテリーを設けることは、例えば引用文献2(段落0010、0015等参照)、引用文献3(段落0020、0024等参照)に記載されているように周知の技術であり、引用文献1に記載の車両にあっても、回生電力を利用することは燃費向上につながり望ましいことと言えるので、引用文献1に記載の車両のバッテリーに回生電力を蓄積すること(もしくは、車両を回生電力を蓄積するバッテリーを備えるハイブリッド車とすること)は、当業者が容易になし得ることである。 そして、引用文献1に記載の車両をバッテリーに回生電力を蓄積するものとして上記よく行われている用法で使用すると本願発明のバッテリー充電方法となることは自明である。 したがって、引用文献1に示された車両に、引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて回生電力蓄積のためのバッテリーを設け、目的地より標高の高い場所で当該車両の車載タンクに水を注入し車重を増加させることは、当業者が容易になし得たことである。 そうすると、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1-3に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 また、ハイブリッド車両(例えば引用文献2に記載された車両であって、回生電力蓄積のためのバッテリーを有するもの)にて、高地の湧水地に赴き、当地で湧水を汲み、容器(タンク)に入れて持ち帰ることは一般によく行われていることであるが、この行為が本願発明のバッテリー充電方法となることは明らかである。 そうすると、本願の請求項1に係る発明は、引用文献2に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 引 用 文 献 等 一 覧 1.国際公開第2006/062106号 2.特開2011-162084号公報 3.特開2009-132270号公報」 (2)理由1に対する当審の判断 (2-1)特許法第36条第4項第1号について 発明の詳細な説明の記載は、平成27年6月8日付けの拒絶理由の理由1に示したとおり、ハイブリッドカーや電気自動車に公道の坂道を走行させること、また、ハイブリッドカーや電気自動車が備える発電機又はバッテリーが許容できる電流値には制限があることを考慮すると、発明の詳細な説明で主張されているように車重によって発電量が増加することは想定できず(上記「第2.[理由II]1.」の「(2)」及び「(3)」も参照。)、主張されているような効果を奏するためには発電機の発電量に関する開示が不足していることは明らかである。 したがって、発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 (2-2)特許法第36条第6項第1号について 本件補正前の請求項1は、平成27年6月8日付けの拒絶理由の理由1に示したとおり、発電機の発電量に関する特定が不足しており(上記「第2.[理由II]2.」の「(1)」乃至「(7)」も参照。)、発明の詳細な説明で主張されているように車重によって発電量が増加することは想定できず、「車両、とくにハイブリッドカーや電気自動車の回生機能をより効率的に機能させる」との課題を解決できるものではない。 したがって、本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (2-3)特許法第36条第6項第2号について 本件補正前の請求項1は、平成27年6月8日付けの拒絶理由の理由1に示したとおり、発電機の発電量に関する特定が不足しており(上記「第2.[理由II]3.」の「(1)」乃至「(7)」も参照。)、本件補正前の請求項1において、どのようにして車重によって発電量が増加するのか、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても不明であり、本願発明を把握することができない。 したがって、本願発明は明確ではないから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (3)理由2に対する当審の判断 (3-1)引用例 平成27年6月8日付けの拒絶理由の理由2に引用された引用例1、引用例2、引用例3及び、その記載事項は、上記「第2.[理由II]4.(1)」に記載したとおりである。 (3-2)対比 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「輸送車両」、「ミネラルウォータ又は温泉水を収容するタンク」は、それぞれ本願発明の「車両」、「燃料タンクとは別の車載タンク」に相当する。 引用発明の「輸送車両の使用方法」と、本願発明の「回生機能を有する車両のバッテリー充電方法」とは、「車両の使用方法」である点で一致している。 引用発明の「ミネラルウォータ又は温泉水を収容するタンクを備えた輸送車両を、ミネラルウォータ又は温泉水の輸送に使用する」ことは、「タンク」に「ミネラルウォータ又は温泉水を収容」して、「ミネラルウォータ又は温泉水の輸送」することであるから、本願発明の「出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際に、前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させ、前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して前記車両の車重を元に戻した後、目的地に向かって前記車両を走行させること」とは、「車載タンクに水を注入し、車両を走行させて水を運ぶ」点で一致している。 そうすると、本願発明と引用発明とは、 「車両は、燃料タンクとは別の車載タンクを備え、 前記車載タンクに水を注入し、車両を走行させて水を運ぶ、車両の使用方法。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 本願発明の「車両」は、「回生機能を有する」ものであるのに対して、引用発明の「輸送車両」は、「回生機能を有する」ものではない点。 [相違点2] 本願発明の「車両」は、「回生電力蓄積のためのバッテリー」を備えるものであるのに対して、引用発明の「輸送車両」は、「回生電力蓄積のためのバッテリー」を備えるものではない点。 [相違点3] 本願発明は、「回生機能を有する車両」を使用して、「出発地B地点と、前記B地点よりも標高の低いC地点に車両を走行させる際に、前記B地点で前記車載タンクに水を注入し、前記車両の車重を増加させ、前記C地点で前記車載タンクに注入された水をすべて廃棄して前記車両の車重を元に戻した後、目的地に向かって前記車両を走行させる」構成を有しているのに対して、引用発明は、そのような特定がない点。 [相違点4] 本願発明は、「車両のバッテリー充電方法」であるのに対して、引用発明は、「輸送車両の使用方法」である点。 (3-3)判断 ア.相違点1?3 ミネラルウォータ又は温泉水の採取地として標高の高い場所(例えば、ミネラルウォータの採取地として標高数百m程度の山梨県北杜市、温泉水の採取地として標高数百m程度の群馬県みなかみ町)が知られており、また、それらの需要地が採取地より標高の低い場所(例えば、標高数十m程度の東京23区)に多く存在することも知られている。したがって、ミネラルウォータ又は温泉水を標高の高い場所から標高の低い場所まで輸送することは一般によく行われていることであって、引用発明の「ミネラルウォータ又は温泉水の輸送」をそのような輸送とすることは普通に想定されることである。ここで、標高の高い採取地は「B地点」に、標高の低い需要地は「C地点」に対応する。そうすると、引用発明の「ミネラルウォータ又は温泉水の輸送」は、「B地点」から「C地点」にミネラルウォータ又は温泉水を輸送するものとなり、ミネラルウォータ又は温泉水をタンクに収容するために、「B地点」に輸送車両を走行させ、「B地点」でタンクにミネラルウォータ又は温泉水を収容し(輸送車両の車重が増加することは自明)、前記「B地点」よりも標高の低い「C地点」に輸送車両を走行させ、前記「C地点」で前記タンクからミネラルウォータ又は温泉水を排出することになる。 ミネラルウォータ又は温泉水の輸送において、輸送されたミネラルウォータ又は温泉水は、その品質等に問題があって、利用できないことが明らかとなったとき、廃棄処分、すなわち、不用として捨て去られることが普通である。引用発明の「ミネラルウォータ又は温泉水の輸送」においても、輸送されたミネラルウォータ又は温泉水を廃棄処分する場合があることは十分考えられることであり、その場合、タンクからミネラルウォータ又は温泉水を排出することは、ミネラルウォータ又は温泉水を廃棄することということができる。 また、輸送車両を輸送に使用する場合、輸送対象物を輸送目的地に輸送し終えた後、さらに別の輸送を行うため、あるいは運転手の交代や車両の整備のために、別の地点へ向かって輸送車両を走行させることは一般によく行われていることである。引用発明の「輸送車両の使用方法」においても、ミネラルウォータ又は温泉水を輸送し終えた後、別の地点へ向かって輸送車両を走行させることは普通に想定されることである。 そして、輸送車両において、回生機能及び回生電力蓄積のためのバッテリーを備えるものは、引用例2及び3の何れにも記載されているように周知であり、引用発明の「輸送車両」においても、回生機能及び回生電力蓄積のためのバッテリーを備えるものが、排気ガス抑制及び燃費向上の観点から望ましいことは、例えば、前記特開2008-79435号公報(上記「第2.[理由II]4.(1)エ.」参照。)、前記特開2007-203782号公報(上記「第2.[理由II]4.(1)オ.」参照。)に記載されているとおりである。 そうすると、引用発明の「ミネラルウォータ又は温泉水の輸送に使用する」「輸送車両」を、回生機能及び回生電力蓄積のためのバッテリーを備えるものとすること、換言すれば、回生機能及び回生電力蓄積のためのバッテリーを備える輸送車両を使用して、ミネラルウォータ又は温泉水を輸送することは、当業者が適宜なし得たことである。 よって、引用発明を相違点1乃至3の構成とすることは当業者が適宜なし得たことである。 イ.相違点4について 上記「ア.」で検討したように、引用発明を相違点1乃至3の構成とすることは当業者が適宜なし得たことであり、そのような構成を有する「輸送車両の使用方法」は、輸送車両のバッテリーを充電するものであるから、輸送車両のバッテリー充電方法といえる。 そうすると、相違点4は実質的な相違点ではない。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明、引用例2、引用例3及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3-4)小括 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 4.むすび 発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、平成27年8月22日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の記載は、第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、平成27年8月22日付けでした補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-07-22 |
結審通知日 | 2016-08-16 |
審決日 | 2016-08-29 |
出願番号 | 特願2013-78257(P2013-78257) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(B60L)
P 1 8・ 121- WZ (B60L) P 1 8・ 572- WZ (B60L) P 1 8・ 574- WZ (B60L) P 1 8・ 536- WZ (B60L) P 1 8・ 55- WZ (B60L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 上野 力 |
特許庁審判長 |
堀川 一郎 |
特許庁審判官 |
前田 浩 中川 真一 |
発明の名称 | 回生機能を有する車両のバッテリー充電方法 |