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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1321538
審判番号 不服2015-18073  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-02 
確定日 2016-11-07 
事件の表示 特願2014-190519号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月25日出願公開、特開2016- 59636号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年9月18日付けで出願され、平成26年10月29日付けで拒絶理由通知がなされ、平成26年12月2日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成27年2月20日付けで拒絶理由通知がなされ、平成27年4月13日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成27年6月26日付け(発送日:平成27年7月2日)で平成27年4月13日付け手続補正に対する補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされ、これに対して平成27年10月2日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、これに対して平成27年10月26日付けで前置報告がなされたものである。

第2 平成27年10月2日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成27年10月2日付けの手続補正(以下、本件補正という)を却下する。

[理由]

1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1及び請求項2の記載の補正を含む補正であり、そして、特許請求の範囲の請求項2の記載は、
補正前(平成26年12月2日付け手続補正)の
「【請求項2】
複数の図柄が外周に配置された複数の回胴を回転させる図柄表示ゲームで役を決定し、複数の回胴に対応して設けられた停止スイッチが操作されると、対応する回胴を最大時間以内に停止させ、全ての回胴が停止したときに導出された図柄の表示結果に応じて入賞が発生する遊技機において、
前記図柄表示ゲームに関する各種映像演出を行う表示演出装置と、
前記表示演出装置と別個に設けられ、前記複数の回胴を用いた演出中であるか否かを点灯又は消灯することにより表示する演出中表示部と、
前記複数の回胴を回転させる制御及び回転している回胴を停止させる制御を行う制御手段と、
を具備し、
前記図柄表示ゲームを開始してから前記複数の回胴のいずれか一つに図柄の表示結果が導出されるまでの期間において、前記演出中表示部が点灯することにより演出中であることを表示し、前記回胴が演出の為に回転している状態では、前記停止スイッチが操作されると、前記制御手段は対応する回胴を、前記最大時間を超えた時間で仮停止させる制御を行うことがある一方、前記可変表示部による演出を終了して、前記演出中表示部が消灯した状態では、前記制御手段は前記複数の回胴の回転が所定速度になるように制御し、この回転状態で前記停止スイッチが操作されると、対応する回胴を前記最大時間以内に停止させる制御を行うこと、
を特徴とする遊技機。」
から、
補正後(本件補正である平成27年10月2日付け手続補正)の
「【請求項2】
複数の図柄が外周に配置された複数の回胴を回転させる図柄表示ゲームで役を決定し、複数の回胴に対応して設けられた停止スイッチが操作されると、対応する回胴を最大時間以内に停止させ、全ての回胴が停止したときに導出された図柄の表示結果に応じて入賞が発生する遊技機において、
前記図柄表示ゲームに関する各種映像演出を行う表示演出装置と、
前記表示演出装置と別個に設けられ、前記複数の回胴を用いたリール演出中であるか否かを点灯又は消灯することにより表示する演出中表示部と、
前記複数の回胴を回転させる制御及び回転している回胴を停止させる制御を行う制御手段と、
を具備し、
前記図柄表示ゲームを開始してから前記複数の回胴のいずれか一つに図柄の表示結果が導出されるまでの期間において、前記演出中表示部が点灯することによりリール演出中であることを表示し、前記回胴がリール演出の為に回転している状態では、前記停止スイッチが操作されると、前記制御手段は対応する回胴を、前記最大時間を超えた時間で仮停止させる制御を行うことがあり、該仮停止により前記複数の回胴が上下に微動を続ける一方、前記複数の回胴によるリール演出を終了して、前記演出中表示部が消灯した状態では、前記制御手段は前記複数の回胴の回転が所定速度になるように制御し、この回転状態で前記停止スイッチが操作されると、対応する回胴を前記最大時間以内に停止させる制御を行うこと、
を特徴とする遊技機。」

へ補正された(下線は補正箇所を示す)。

2.補正の適否
上記補正事項は、「複数の回胴を用いた演出」を「複数の回胴を用いたリール演出」に、「演出中であることを表示」を「リール演出中であることを表示」に、「回胴が演出の為に」を「回胴がリール演出の為に」に、「可変表示部による演出」の構成を「複数の回胴によるリール演出」に、それぞれ限定するとともに、「対応する回胴を、最大時間を超えた時間で仮停止させる制御」において「該仮停止により前記複数の回胴が上下に微動を続ける」ものに限定したものである。

また、補正後の請求項2に記載された発明は、補正前の請求項2に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する限定的減縮を目的とするものに該当する。

そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
本件補正後の請求項2に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)原査定の拒絶の理由において提示された、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2014-124418号公報(以下、刊行物1という)には以下の記載がある。(下線は合議体が審決にて付した。以下、同じ)

ア 「【0001】
本発明は、回転している複数のリールが停止されたときに表示された図柄の組合せによって遊技の結果が定まるスロットマシンに関する。」

イ 「【0030】
[外観構造の説明]
本発明の実施形態に係るスロットマシン10の外観を図1に示す。図1は、スロットマシン10の正面図であり、同図において、スロットマシン10の筐体の前面部には、フロントパネル20が設けられている。このフロントパネル20の略中央には、表示窓22が形成されており、スロットマシン10の内部に回転自在に設けられている3個のリール40L,40C及び40Rの外周面に印刷された図柄が表示される。リール40L,40C及び40Rは、各回転軸が、水平方向の同一直線上に並ぶように設けられ、各々リング状の形状を有し、その外周面には21個の図柄が等間隔で印刷された帯状のリールテープが貼り付けられている。そして、表示窓22からは、リール40L,40C及び40Rが停止しているときに、各リールに印刷された21個の図柄のうち、各リールの回転方向に沿って連続する3つの図柄が視認可能となっている。すなわち、表示窓22には、3[図柄]×3[リール]=合計9つの図柄が停止表示される。ここで、リール40L,40C及び40Rが停止しているときに表示される連続する3つの図柄のうち、最も上側の停止表示位置を上段U、中央の停止表示位置を中段M、最も下側の停止表示位置を下段Lとする。
【0031】
また、表示窓22には、リール40L,40C及び40Rの各中断Mを横切る1本の入賞ラインLが定められている。この入賞ラインLは、予め定められた複数種類の役(後述する)に対応する図柄組合せが停止表示されたか否かを判定する際の基準となるラインである。すなわち、リール40L,40C及び40Rが停止したときに、入賞ラインLが通過する停止表示位置(各リールの中段M)に停止表示された3つの図柄からなる組合せがいずれかの役に対応していたときに、その役が入賞したことになる。なお、以下では、単に「図柄組合せが停止表示された」と記載されている場合は、その図柄組合せが入賞ラインLに沿って停止表示されたことを意味する。・・・
【0037】
操作パネル部30の正面左側には、スタートスイッチ36が傾動可能に設けられている。スタートスイッチ36は、遊技者がスロットマシン10に規定枚数のメダルを投入すると操作が有効となる。なお、単位遊技で後述する再遊技役が入賞したときは、メダルが投入されなくても、ベット数表示ランプ26a,26b,26cが規定枚数分だけ点灯し、次の単位遊技のための、スタートスイッチ36の操作が有効となる。この状態で遊技者がスタートスイッチ36を傾動操作すると、前述した3つのリール40L,40C及び40Rが一斉に回転を開始する。これにより、リール40L,40C及び40Rの各外周面に印刷された図柄は、表示窓22において上から下へと移動(スクロール)表示される。
【0038】
操作パネル部30の正面中央部には、3つのストップスイッチ37L,37C及び37Rが設けられている。ここで、ストップスイッチ37L,37C及び37Rは、いわゆる自照式の押しボタンスイッチであり、押しボタンの部分が複数色に発光し得る構造になっている。また、左ストップスイッチ37Lは左リール40Lに対応し、中ストップスイッチ37Cは中リール40Cに対応し、右ストップスイッチ37Rは右リール40Rに対応している。ストップスイッチ37L,37C及び37Rは、3つのリール40L,40C及び40Rの回転速度が所定の定常回転速度(例えば、80回転/分。単に定速ともいう。)に達したときに、遊技者による操作が有効となる。ここで、各ストップスイッチの操作が無効になっているときは、各ストップスイッチの押しボタン部分における発光色が赤くなっており、定常回転速度に達して操作が有効になると、押しボタン部分の発光色は青に変化する。
【0039】
そして、遊技者が左ストップスイッチ37Lを押動操作したときには、左リール40Lが停止し、中ストップスイッチ37Cを押動操作したときには、中リール40Cが停止し、右ストップスイッチ37Rを押動操作したときには、右リール40Rが停止する。このとき、3つのリール40L、40C及び40Rの各々は、各リールの外周面に描かれている図柄のうち、連続するいずれか3つの図柄の各中心位置と、表示窓22内の上段U、中段M、および、下段Lの各中央位置とが、一致するように停止制御される。ここで、図柄の中心と、停止表示位置の中央とが一致する位置を定位置といい、スロットマシン10がリールを停止させるときは、リールの各図柄が必ず定位置で停止するようなリール停止制御が行われる。・・・
【0042】
フロントパネル20の上方には、液晶ディスプレイパネルから構成される表示装置70が設けられている。なお、表示装置70は、上述した液晶ディスプレイパネルに限られず、画像情報や文字情報を遊技者が遊技中に視認し得る装置であれば、その他あらゆる画像表示装置を用いることが可能である。この表示装置70は、遊技履歴を表示したり、単位遊技中に表示される演出画像、役抽選の結果を報知するための演出画像、単位遊技の進行(メダル投入→スタートスイッチ36の操作→リールの回転→ストップスイッチ37L,37C,37Rの操作→全リール回転停止)に応じた演出画像等を表示したりすることができる。表示装置70の上方には、リール40L,40C,40Rが停止し、何らかの役が入賞した場合、入賞した役に応じたパターンで点滅する上部演出ランプ72が設けられている。 」

ウ 「【0050】
[制御回路の説明]
次に、図3に示す機能ブロック図を参照して、スロットマシン10の制御を行う制御回路について説明する。スロットマシン10の制御回路は、主制御回路100と副制御回路200とによって構成されており、主制御回路100は、スロットマシン10における単位遊技の制御を行い、副制御回路200は、主制御回路100から送信された情報に基づいてスロットマシン10で行われる演出の制御を行っている。・・・
【0051】
<主制御回路の機能ブロック>
次に、主制御回路100の機能ブロックについて説明する。主制御回路100は、役抽選手段110と、リール制御手段120と、擬似遊技演出手段130と、入賞判定手段140と、入賞処理手段150と、貯留手段160と、外部信号出力手段170と、を含んでいる。なお、以下に説明する各手段の機能は、主制御回路100を構成するROMに記憶された制御プログラムを、CPUによって実行することで実現されるものとする。
【0052】
<役抽選手段の説明>
役抽選手段110は、遊技者によるスタートスイッチ36の操作に応じて、主制御回路100が有する乱数発生器によって発生された擬似乱数をサンプリングし、当該サンプリングした擬似乱数に基づいて、予め定められた役のうちいずれか1つまたは複数の役を当選した役(当選役)とするか否かを定めるものである。スロットマシン10では、予め定められている役として、図4に示す様に、MB役、再遊技役、小役1、小役2、小役3a?3fの10種類があり、各々の役には、図4に示すように各図柄組合せが対応付けられている。そして、図1に示した入賞ラインLに沿って停止表示された図柄組合せが、役抽選によって当選役に定められた役の図柄合せと一致すると、その役が入賞したことになる。なお、小役2の図柄組合せにおいて、中リールおよび右リールの図柄が「ANY」と示されているのは、任意の図柄でよいことを意味している。すなわち小役2は、左リール40Lの「スイカ」図柄が中段Mに停止すれば、中リール40Cおよび右リール40Rが回転中であっても入賞が確定することになる。」

エ 「【0060】
<リール制御手段の説明>
図3に戻り、リール制御手段120は、リール40L,40C,40Rの回転駆動に関する制御を行う。すなわち、遊技者によってスタートスイッチ36が操作されると、モータ駆動回路44によってステッピングモータ42L,42C,42Rの回転を開始させる。そして、リール40L,40C,40Rの回転速度を加速していき、毎分80回転の回転速度に達すると定速回転に移行し、ストップスイッチ37L,37C,37Rの操作が有効な状態にする。
【0061】
リール停止制御手段122は、ストップスイッチ37L,37C,37Rの操作が有効になった後、遊技者によっていずれかのストップスイッチが操作されると、操作されたストップスイッチに対応するリールの停止制御を行う。停止制御は、通常遊技中と、MB遊技中とで異なる。通常遊技中は、操作されたストップスイッチに対応するリールの回転を190ミリ秒以内に停止させる制御を行う。したがって、定速回転速度が約80回転/分であり、1つのリールに配置された図柄数が21個であるため、リール停止制御手段122は、ストップスイッチが操作された時のリール位置から、最大で約5.32図柄分だけ移動するまでの間に、リールを停止させることになる。ここで、前述したように、図柄の停止位置のばらつきを無くすため、リール上の図柄が定位置で停止表示されるように、リールを停止させなくてはならないという制約がある。このため、直ちにリールを停止させたい場合でも、ストップスイッチの操作タイミングによっては、ほぼ1図柄分、リールを回動させなくてはならない場合が生じ得る。したがって、この分のマージンを考慮すると、ストップスイッチが操作されてから、最大で4図柄分リールが回動するまでの間が、停止制御可能範囲(すなわち、滑りコマ数が4)となる。」

オ 「【0183】
<擬似遊技演出が行われないとき>
まず、図17(a)に示す様に、擬似遊技演出が行われないときは、規定枚数のメダルが投入された後、スタートスイッチ36が操作されると(図10のステップS40,YES)、役抽選処理および擬似遊技演出処理(図10のステップS44,S48)を経た後、単位遊技におけるリール回転制御(図10のステップS54)が行われて、各リールが一斉に回転を開始する。このとき、ストップスイッチ37L,37C,37Rは操作受付状態になっていないため(ボタン部分が)赤く発光している。そして、各リールの回転速度が定速(約80回転/分)に達すると、各ストップスイッチは操作受付状態となり、発光色が赤から青に変化する。
【0184】
そして、この状態で左ストップスイッチ37Lが第1停止操作されると(図10のステップS58,YES)、左ストップスイッチ37Lの発光色が青から赤へ変化し、役抽選の結果に従って、左リール40Lの停止制御(図10のステップS62)が行われ、190ミリ秒以内にその回転が停止する。以下、中ストップスイッチ37Cが第2停止操作され、右ストップスイッチ37Rが第3停止操作されるごとに(図10のステップS58,YES)、それぞれストップスイッチの発光色が青から赤へ変化すると共に、対応するリールについて、左リール37Lと同様の停止制御(図10のステップS62)が行われる。これにより、すべてのリールが停止すると(図10のステップS66,YES)、入賞判定が行われ(図10のステップS68)、小役が入賞したときは(図10のステップS74,YES)、払い出し処理が行われた後(図10のステップS76)、1回の単位遊技が終了する(図10のステップS84)。」

カ 「【0186】
<擬似遊技演出が行われるとき>
次に、図17(b)に示す様に、例えば、遷移パターン2の擬似遊技演出A(PD=2)が行われる場合は、単位遊技においてスタートスイッチ36が操作されると(図10のステップS40,YES)、役抽選(図10のステップS44)が行われた後、擬似遊技演出処理(図10のステップS48)が行われる。そして、抽出された乱数RNDの値(図11のステップS102)が「1」であったとすると、擬似遊技演出番号PDが「2」に更新され(図11のステップS112,YES→S114)、擬似遊技演出制御処理(図11のステップS124)が開始される。
【0187】
これにより、まず全リールの回転が開始され(図12のステップS132→S134,YES)、各リールの回転速度が約90回転/分に到達すると、一定の回転速度となって、ストップスイッチ37L,37C,37Rの操作の受付状態になり、発光色が赤から紫へ変化する。この状態でまず中ストップスイッチ37Cが操作されると(図12のステップS136,YES→S142,NO→図13のステップS200,YES)、中ストップスイッチ37Cの発光色が紫から赤に変化し、中リール40Cにおける図柄番号「0」の「ブランク」図柄が入賞ラインL上に停止表示される(図13のステップS202)。また、この状態で中リール40Cが小刻みに上下動し(以下、揺れ変動という)、中リール40Cが完全には停止していないことを遊技者に知らせる。
【0188】
次いで、左ストップスイッチ37Lが第2停止操作されると(図13のステップS204,YES→S210,YES)、左ストップスイッチ37Lの発光色が紫から赤に変化して、左リール40Lにおける図柄番号「0」の「ベル」図柄が入賞ラインL上に停止表示される(図13のステップS212)。さらに、右ストップスイッチ37Rが第3停止操作されると(図13のステップS214,YES)、右ストップスイッチ37Rの発光色が紫から赤に変化して、右リール40Rにおける図柄番号「0」の「ベル」図柄が入賞ラインL上に停止表示される(図13のステップS218)。なお、左リール40Lおよび右リール40Rが停止したときは、中リール40Cと同様、揺れ変動が行われる。
【0189】
そして、擬似遊技演出番号PDが「2」から「4」(擬似遊技演出B)に更新され(図13のステップS228,YES→S230)、ベットスイッチ34,35およびスタートスイッチ36の操作を経て(図12のステップS182,YES→S188,YES)、全リールが再び回転させられる(図12のステップS192,NO→S132)。このとき、擬似遊技演出番号PDが「4」であるため(図12のステップS134,NO)、図15の処理へ移行する。
【0190】
そして、各リールの回転速度が約90回転/分に達して、ストップスイッチ37L,37C,37Rの発光色が赤から紫へ変化し、左ストップスイッチ37Lが第1停止操作されると(図15のステップS288,YES)、左ストップスイッチ37Lの発光色が紫から赤に変化するとともに、左リール40Lにおける図柄番号「9」の「赤セブン」図柄が、揺れ変動を伴って入賞ラインL上に停止表示される(図15のステップS290,YES→S292)。また、第1停止操作(x=1)が行われたため、再びストップスイッチが操作されたか否かを判断して(図15のステップS296,NO→S298→S282)、次に右ストップスイッチ37Rが第2操作されると(図15のステップS288,NO→S300,NO→S308,NO)、右ストップスイッチ37Rの発光色が紫から赤に変化するとともに、右リール40Rにおける図柄番号「9」の「赤セブン」図柄が、揺れ変動を伴って入賞ラインL上に停止表示される(図15のステップS310,YES→S312)。
【0191】
また、第2停止操作(x=2)が行われたため、再びストップスイッチが操作されたか否かを判断して(図15のステップS296,NO→S298→S282)、次に中ストップスイッチ37Rが第3操作されると(図15のステップS288,NO→S300,YES)、中ストップスイッチ37Cの発光色が紫から赤に変化するとともに、中リール40Cにおける図柄番号「9」の「赤セブン」図柄が、揺れ変動を伴って入賞ラインL上に停止表示される(図15のステップS302,YES→S304)。なお、中ストップスイッチ37Cに対する操作は第3停止操作(x=3)であるため、図12のステップS178へ移行して、擬似遊技演出番号PDを「0」に更新する。」

キ 「【0192】
そして、ベットスイッチ34,35およびスタートスイッチ36の操作が行われると(図12のステップS182,YES→S188,YES)、擬似遊技演出番号PDが「0」であることから、クリア処理が行われ(図12のステップS192,YES→S194)、擬似遊技演出制御処理が終了する。このクリア処理によって、各リールの揺れ変動が停止し、単位遊技を再開する際に、各リールの回転を開始するまでの遅延時間がランダムに決定される(ランダム遅延)。そして、主制御回路100から副制御回路200へ擬似遊技演出終了コマンドが送信され(図11のステップS126)、図10のステップS54におけるリール回転制御が行われる。このとき、図12におけるステップS194のクリア処理において決定された各リールの遅延時間が経過してから、それぞれのリールが回転を開始する。
【0193】
そして、全てのリールが定速に達すると、各ストップスイッチ37L,37C,37Rの発光色が赤から青へ変化し、ストップスイッチの操作受付状態となる。以下は、図17(a)を参照して説明したように、操作されたストップスイッチに対応するリールの停止制御を行い、全リールが停止すると入賞判定を行い、その結果に応じてメダルを払い出し、1回の単位遊技を終了する。」

ク 「【0205】
(5)擬似遊技演出中におけるリール停止制御について
上述した擬似遊技演出処理では、操作順序に応じて停止表示される図柄組合せが変化する場合(擬似遊技演出BまたはC)があるが、常に同じ図柄組合せが停止表示されるようにしても良い。また、擬似遊技演出中は、滑りコマ数が必ず4コマを超えるようにリールを停止させることで、遊技者に単位遊技とは異なる状態にあることが分かるようにしてもよい。」

ケ 「【0216】
(10)その他の制御について
図17(b)に示した擬似遊技演出中の状態では、ストップスイッチの操作受付状態になると、ストップスイッチが通常の単位遊技中と異なる色(紫色)で発光していたが、これと同様に、擬似遊技演出中に各種の役に対応する図柄組合せが停止表示されたときは、通常の単位遊技中にそれらと同じ図柄組合せが停止表示されたときと同じ演出(例えば、筐体に設けられた演出用ランプおよびリールバックランプの点滅パターンや発光色、入賞時やメダル投入時の演出音など)を行ってもよいが、異なる態様で演出を行うようにしてもよい。また、擬似遊技演出が行われている間のみ点灯する専用のランプなどを設けたり、擬似遊技演出中が行われている間だけ流れる特別なBGMを発生させたりしてもよい。」

コ 上記アの【0001】の「本発明は、回転している複数のリールが停止されたときに表示された図柄の組合せによって遊技の結果が定まるスロットマシンに関する」との記載、上記イの【0030】の「スロットマシン10の内部に回転自在に設けられている3個のリール40L,40C及び40Rの外周面に印刷された図柄が表示される。」との記載、【0030】の「各リールに印刷された21個の図柄」との記載、【0037】の「遊技者がスタートスイッチ36を傾動操作すると、前述した3つのリール40L,40C及び40Rが一斉に回転を開始する」との記載、上記ウの【0050】の「スロットマシン10の制御回路は主制御回路100・・・によって構成されており」の記載、【0051】の「主制御回路100は、役抽選手段110と、リール制御手段120と、・・・を含んでいる」との記載、【0052】の「役抽選手段110は、遊技者によるスタートスイッチ36の操作に応じて、・・・、予め定められた役のうちいずれか1つまたは複数の役を当選した役(当選役)とするか否かを定めるものである」との記載から、
「回転している複数のリールが停止されたとき表示された図柄の組み合わせによって遊技の結果が定まるスロットマシン10」は「遊技者がスタートスイッチ36を傾動操作すると21種類の図柄が外周面に印刷されたリール40L,40C及び40Rが回転し、役抽選手段110により、スタートスイッチ36の操作に応じて予め定められた役のうちいずれか1つまたは複数の役を当選した役とするか否かを定めるものであ」ることがいえる。

また、上記イの【0038】の「左ストップスイッチ37Lは左リール40Lに対応し、中ストップスイッチ37Cは中リール40Cに対応し、右ストップスイッチ37Rは右リール40Rに対応している。ストップスイッチ37L,37C及び37Rは、3つのリール40L,40C及び40Rの回転速度が所定の定常回転速度・・・に達したときに、遊技者による操作が有効となる」との記載、【0039】の「遊技者が左ストップスイッチ37Lを押動操作したときには、左リール40Lが停止し、中ストップスイッチ37Cを押動操作したときには、中リール40Cが停止し、右ストップスイッチ37Rを押動操作したときには、右リール40Rが停止する」との記載、【0031】の「リール40L,40C及び40Rが停止したときに、入賞ラインLが通過する停止表示位置(各リールの中段M)に停止表示された3つの図柄からなる組合せがいずれかの役に対応していたときに、その役が入賞したことになる。」との記載、上記エの【0061】の「通常遊技中は、操作されたストップスイッチに対応するリールの回転を190ミリ秒以内に停止させる制御を行う」との記載から、
「リール40L,40C及び40Rの回転速度が所定の定常回転速度に達したときにストップスイッチ37L,37C,37Rの遊技者による操作が有効となり、遊技者がストップスイッチ37L,37C,37Rを押動操作した時には、通常遊技中は、操作されたストップスイッチに対応するリールの回転を190ミリ秒以内に停止させる制御を行ってリール40L,40C及び40Rが停止し、停止した時に入賞ラインLが通過する停止表示位置に停止表示された3つの図柄からなる組み合わせが何れかの役に対応していた時にその役が入賞したことになる」ことがいえる。

サ 上記イの【0030】の「スロットマシン10の筐体の前面部には、フロントパネル20が設けられている」との記載、【0042】の「フロントパネル20の上方には、・・・表示装置70が設けられている。・・・この表示装置70は、・・・、単位遊技中に表示される演出画像、役抽選の結果を報知するための演出画像、単位遊技の進行・・・に応じた演出画像等を表示したりすることができる。」との記載から、
「スロットマシン10は単位遊技中に表示される演出画像、役抽選の結果を報知するための演出画像、単位遊技の進行に応じた演出画像等を表示する表示装置70を備える」ことが、
上記ケの【0216】の「擬似遊技演出が行われている間のみ点灯する専用のランプなどを設け」との記載から、スロットマシン10は表示装置70とは別個に設けられ、擬似遊技演出が行われている間のみ点灯する専用のランプを備えることが、
上記エの【0060】の「リール制御手段120は、リール40L,40C,40Rの回転駆動に関する制御を行う。」との記載、【0061】の「リール停止制御手段122は、ストップスイッチ37L,37C,37Rの操作が有効になった後、遊技者によっていずれかのストップスイッチが操作されると、操作されたストップスイッチに対応するリールの停止制御を行う。」との記載、図3において「リール制御手段」と記載された長方形120の中に「リール停止制御手段」と記載された長方形122が示されていることから、
スロットマシン10は「単位遊技中に表示される演出画像、役抽選の結果を報知するための演出画像、単位遊技の進行に応じた演出画像等を表示する表示装置70と、
表示装置70とは別個に設けられ、擬似遊技演出が行われている間のみ点灯する専用のランプと、
リール40L,40C,40Rの回転駆動に関する制御を行うリール制御手段120と、リール制御手段120含まれ、リールの停止制御を行うリール停止制御手段122と、を備えること」がいえる。

シ 上記カの【0186】の「擬似遊技演出が行われる場合は、単位遊技においてスタートスイッチ36が操作され、役抽選が行われた後、擬似遊技演出処理が行われ」の記載、【0187】の「全リールの回転が開始され、中ストップスイッチ37Cが操作されると中リール40Cにおける図柄番号「0」の「ブランク」図柄が入賞ラインL上に停止表示され、この状態で中リール40Cが小刻みに上下動し(以下、揺れ変動という)」の記載、【0188】の「次いで、左ストップスイッチ37Lが第2停止操作されると左リール40Lにおける図柄番号「0」の「ベル」図柄が入賞ラインL上に停止表示され、右ストップスイッチ37Rが第3停止操作されると右リール40Rにおける図柄番号「0」の「ベル」図柄が入賞ラインL上に停止表示され、左リール40Lおよび右リール40Rが停止したときは、中リール40Cと同様、揺れ変動が行われる。」との記載、及び上記クの【0205】の「擬似遊技演出中は滑りコマが必ず4コマを超えるようにリールを停止させるようにすることで、遊技者に単位遊技とは異なる状態にあることが分かるようにしてもよい」との記載から、
「擬似遊技演出が行われる場合は、単位遊技においてスタートスイッチ36が操作され、役抽選が行われた後、擬似遊技演出処理が行われ、全リールの回転が開始され、ストップスイッチ37L,37C,37Rが操作されると、リール40L,40C,40Rにおける図柄が入賞ラインL上に停止表示され、小刻みに上下動し、擬似遊技演出中は滑りコマが必ず4コマを超えるようにリールを停止させるようにすることで、遊技者に単位遊技とは異なる状態にあることが分かるように」すること、がいえる。

ス 上記キの【0192】の「クリア処理が行われ、・・・擬似遊技演出制御処理が終了する。このクリア処理によって、各リールの揺れ変動が停止し、・・・リール回転制御が行われ」との記載、【0193】の「全てのリールが定速に達すると、・・・ストップスイッチの操作受付状態となる。・・・図17(a)を参照して説明したように、操作されたストップスイッチに対応するリールの停止制御を行い、」との記載、上記オの【0183】の「図17(a)に示す様に、擬似遊技演出が行われないときは単位遊技におけるリール回転制御・・・が行われて、各リールが一斉に回転を開始する。・・・各リールの回転速度が定速(約80回転/分)に達すると、各ストップスイッチは操作受付状態となり、」との記載、【0184】の「この状態で左ストップスイッチ37Lが第1停止操作されると・・・左リール40Lの停止制御(図10のステップS62)が行われ、190ミリ秒以内にその回転が停止する。以下、中ストップスイッチ37Cが第2停止操作され、右ストップスイッチ37Rが第3停止操作されるごとに・・・、対応するリールについて、左リール37Lと同様の停止制御・・・が行われる」との記載から、
「クリア処理が行われ、擬似遊技演出制御処理が終了し、各リールの揺れ変動が停止すると、リールの回転制御が行われ、それぞれのリールが回転を開始してから全てのリールが定速に達すると、ストップスイッチの操作受付状態となり、ストップスイッチ37L,37C,37Rが停止操作されると、リール40L,40C,40Rの停止制御が行われ、190ミリ秒以内にその回転が停止する」ことがいえる。

上記ア?ケの記載事項及び上記コ?スの認定事項から、刊行物1には、

「回転している複数のリールが停止されたとき表示された図柄の組み合わせによって遊技の結果が定まるスロットマシン10であり、遊技者がスタートスイッチ36を傾動操作すると21種類の図柄が外周面に印刷されたリール40L,40C及び40Rが回転し、役抽選手段110により、スタートスイッチ36の操作に応じて予め定められた役のうちいずれか1つまたは複数の役を当選した役とするか否かを定めるものであり、リール40L,40C及び40Rの回転速度が所定の定常回転速度に達したときに、遊技者がストップスイッチ37L,37C,37Rの遊技者による操作が有効となり、ストップスイッチ37L,37C,37Rを押動操作した時には、通常遊技中は、操作されたストップスイッチに対応するリールの回転を190ミリ秒以内に停止させる制御を行ってリール40L,40C及び40Rが停止し、停止した時に入賞ラインLが通過する停止表示位置に停止表示された3つの図柄からなる組み合わせが何れかの役に対応していた時にその役が入賞したことになるスロットマシン10において、
単位遊技中に表示される演出画像、役抽選の結果を報知するための演出画像、単位遊技の進行に応じた演出画像等を表示する表示装置70と、
表示装置70とは別個に設けられ、擬似遊技演出が行われている間のみ点灯する専用のランプと、
リール40L,40C,40Rの回転駆動に関する制御を行うリール制御手段120と、リール制御手段120に含まれリールの停止制御を行うリール停止制御手段122と、
を備え、
擬似遊技演出が行われる場合は、単位遊技においてスタートスイッチ36が操作され、役抽選が行われた後、擬似遊技演出処理が行われ、全リールの回転が開始され、ストップスイッチ37L,37C,37Rが操作されるとリール40L,40C,40Rにおける図柄が入賞ラインL上に停止表示され、小刻みに上下動し(以下、揺れ変動という)、擬似遊技演出中は滑りコマが必ず4コマを超えるようにリールを停止させるようにすることで、遊技者に単位遊技とは異なる状態にあることが分かるようにし、
クリア処理が行われ、擬似遊技演出制御処理が終了し、各リールの揺れ変動が停止すると、リールの回転制御が行われ、それぞれのリールが回転を開始してから全てのリールが定速に達すると、ストップスイッチの操作受付状態となり、ストップスイッチ37L,37C,37Rが停止操作されると、リール40L,40C,40Rの停止制御が行われ、190ミリ秒以内にその回転が停止する、
スロットマシン10。」

という発明(以下、刊行物1記載の発明という)が開示されていると認める。

(2)本件補正発明と刊行物1記載の発明との対比

本件補正発明と刊行物1記載の発明とを対比する。

(ア)刊行物1記載の発明における「21種類の図柄が外周面に印刷されたリール40L,40C及び40Rが回転し」、「回転している複数のリールが停止されたとき表示された図柄の組み合わせによって遊技の結果が定まる」こと、「役抽選手段110により、スタートスイッチ36の操作に応じて予め定められた役のうちいずれか1つまたは複数の役を当選した役とするか否かを定めるものであり」は、本件補正発明の「複数の図柄が外周に配置された複数の回胴を回転させる」「図柄表示ゲーム」「で役を決定し」に相当する。

(イ)刊行物1記載の発明における「190ミリ秒」とは、ストップスイッチを操作してからリールの回転を停止させるための最大時間ということができるから、「ストップスイッチ37L,37C,37Rを押動操作した時には、通常遊技中は、操作されたストップスイッチに対応するリールの回転を190ミリ秒以内に停止させる制御を行ってリール40L,40C及び40Rが停止し」「停止した時に入賞ラインLが通過する停止表示位置に停止表示された3つの図柄からなる組み合わせが何れかの役に対応していた時にその役が入賞したことになるスロットマシン10」は、本件補正発明における「複数の回胴に対応して設けられた停止スイッチが操作されると、対応する回胴を最大時間以内に停止させ」「全ての回胴が停止したときに導出された図柄の表示結果に応じて入賞が発生する遊技機」に相当する。

(ウ)刊行物1記載の発明における「単位遊技中に表示される演出画像、役抽選の結果を報知するための演出画像、単位遊技の進行に応じた演出画像等を表示する表示装置70」は本件補正発明の「図柄表示ゲームに関する各種映像演出を行う表示演出装置」に相当する。

(エ)刊行物1記載の発明における「表示装置70とは別個に設けられ、擬似遊技演出が行われている間のみ点灯する専用のランプ」について、擬似遊技演出が行われる場合は、リール40L,40C,40Rにおける図柄が入賞ラインL上に停止表示され小刻みに上下動し、擬似遊技演出中は滑りコマが必ず4コマを超えるようにリールを停止させるようにすることで、遊技者に単位遊技とは異なる状態にあることが分かるようにすることから、擬似遊技演出とは複数のリールを用いたリール演出であると言うことができ、当該ランプはリール演出中にのみ点灯するものといえる。
また、スタートスイッチ36が操作され、役抽選が行われた後、擬似遊技演出処理が行われることから、当該は、図柄変動ゲームが開始してから点灯するものであるといえる。
そうすると、当該「専用のランプ」は、本件補正発明の「前記表示演出装置と別個に設けられ、前記複数の回胴を用いたリール演出中であるか否かを点灯又は消灯することにより表示する演出中表示部」であり、「図柄表示ゲームを開始してから複数の回胴のいずれか一つに図柄の表示結果が導出されるまでの期間に、前記演出中表示部が点灯することによりリール演出中であることを表示」するものに相当する。

(オ)刊行物1記載の発明における「リール40L,40C,40Rの回転駆動に関する制御を行うリール制御手段120と、リール制御手段120に含まれリールの停止制御を行うリール停止制御手段122」について、リール停止制御手段122はリール制御手段120に含まれることから、刊行物1記載の発明における「リール制御手段」は「リールの回転駆動に関する制御とリールの回転を停止させる制御を行う」ということができるから、本願補正発明の「複数の回動を回転させる制御及び回転している回胴を停止させる制御手段」に相当する。

(カ)刊行物1記載の発明における「擬似遊技演出中には滑りコマが必ず4コマを超えるようにリールを停止させる」ことについて、刊行物1の【0061】の「通常遊技中は、操作されたストップスイッチに対応するリールの回転を190ミリ秒以内に停止させる制御を行う」、「定速回転速度が約80回転/分であり、1つのリールに配置された図柄数が21個であるため、リール停止制御手段122は、ストップスイッチが操作された時のリール位置から、最大で約5.32図柄分だけ移動するまでの間に、リールを停止させることになる。」 、「直ちにリールを停止させたい場合でも、ストップスイッチの操作タイミングによっては、ほぼ1図柄分、リールを回動させなくてはならない場合が生じ得る。したがって、この分のマージンを考慮すると、ストップスイッチが操作されてから、最大で4図柄分リールが回動するまでの間が、停止制御可能範囲(すなわち、滑りコマ数が4)となる。」という記載があることから、通常遊技中はストップスイッチが操作されてから190ミリ秒以内に最大4コマまでリールが回動することができることがいえる。
すなわち、「擬似遊技演出中は滑りコマが必ず4コマを超えるようにリールを停止させる」ということは、「擬似遊技演出中はストップスイッチが操作されてから必ず190ミリ秒を超えてリールを停止させる」ものといえる。
また、上記(イ)より、刊行物1記載の発明における「190ミリ秒」とは、ストップスイッチを操作してからリールの回転を停止させるための最大時間といえる。
以上のことから、刊行物1記載の発明における「擬似遊技演出処理が行われ、全リールの回転が開始され」「ストップスイッチ37L,37C,37Rが操作されるとリール40L,40C,40Rにおける図柄が入賞ラインL上に停止表示され小刻みに上下動し(以下、揺れ変動という)、擬似遊技演出中は滑りコマが必ず4コマを超えるようにリールを停止させるようにする」ことは、本件補正発明の「回胴がリール演出の為に回転している状態」「前記停止スイッチが操作されると、前記制御手段は対応する回胴を、前記最大時間を超えた時間で仮停止させる制御を行うことがあり、該仮停止により前記複数の回胴が上下に微動を続ける」ことに相当する。

(キ)上記(エ)より、刊行物1記載の発明において、リール演出が行われている間のみ点灯する専用のランプは、リール演出中ではない状態では消灯していることが、上記(オ)より、刊行物1記載の発明におけるリールの回転制御や停止制御はリール制御手段120により行われることが、それぞれいえるから、この点を踏まえると、刊行物1記載の発明における「クリア処理が行われ、擬似遊技演出制御処理が終了し、各リールの揺れ変動が停止する」、「リールの回転制御が行われ、それぞれのリールが回転を開始してから全てのリールが定速に達する」、「ストップスイッチ37L,37C,37Rが停止操作されると、リール40L,40C,40Rの停止制御が行われ、190ミリ秒以内にその回転が停止する」ことは、本件補正発明における「複数の回胴によるリール演出を終了して、前記演出中表示部が消灯した状態」「前記制御手段は前記複数の回胴の回転が所定速度になるように制御し」「この回転状態で前記停止スイッチが操作されると、対応する回胴を前記最大時間以内に停止させる制御を行う」ことに相当する。

以上のことから、本件補正発明と刊行物1記載の発明は一致し、相違点はない。また、仮に存在していたとしても、本件補正発明は、刊行物1記載の発明に基づき当業者が容易になしえたものである。

(3)小括

したがって、本件補正発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるか、刊行物1記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび

よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1,2に係る発明は、平成26年12月2日付けの手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項により特定されるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という)は、上記第2の1.において記載した次のとおりのものである。

「【請求項2】
複数の図柄が外周に配置された複数の回胴を回転させる図柄表示ゲームで役を決定し、複数の回胴に対応して設けられた停止スイッチが操作されると、対応する回胴を最大時間以内に停止させ、全ての回胴が停止したときに導出された図柄の表示結果に応じて入賞が発生する遊技機において、
前記図柄表示ゲームに関する各種映像演出を行う表示演出装置と、
前記表示演出装置と別個に設けられ、前記複数の回胴を用いた演出中であるか否かを点灯又は消灯することにより表示する演出中表示部と、
前記複数の回胴を回転させる制御及び回転している回胴を停止させる制御を行う制御手段と、
を具備し、
前記図柄表示ゲームを開始してから前記複数の回胴のいずれか一つに図柄の表示結果が導出されるまでの期間において、前記演出中表示部が点灯することにより演出中であることを表示し、前記回胴が演出の為に回転している状態では、前記停止スイッチが操作されると、前記制御手段は対応する回胴を、前記最大時間を超えた時間で仮停止させる制御を行うことがある一方、前記可変表示部による演出を終了して、前記演出中表示部が消灯した状態では、前記制御手段は前記複数の回胴の回転が所定速度になるように制御し、この回転状態で前記停止スイッチが操作されると、対応する回胴を前記最大時間以内に停止させる制御を行うこと、
を特徴とする遊技機。」

2.拒絶理由通知の概要
平成27年2月20日付け拒絶理由通知は、本願発明は、上記刊行物1である特開2014-124418号公報に示された発明であるから特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない、もしくは、上記刊行物1記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

3.刊行物1及び刊行物1記載の発明
刊行物1記載の発明の認定は前記「第2 平成27年10月2日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3.独立特許要件」に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、前記「第2 平成27年10月2日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3.独立特許要件」で検討した本件補正発明から、「複数の回胴を用いた演出」を「複数の回胴を用いたリール演出」にする限定、「演出中であることを表示」を「リール演出中であることを表示」にする限定、「回胴が演出の為に」を「回胴がリール演出の為に」にする限定、「可変表示部による演出」を「複数の回胴によるリール演出」にする限定、を削除するとともに、「対応する回胴を、最大時間を超えた時間で仮停止させる制御」において「該仮停止により前記複数の回胴が上下に微動を続ける」との限定を削除したものである。

そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに他の限定を付加したものに相当する本件補正発明が,前記第2の3.に記載したとおり,刊行物1記載の発明であるか、刊行物1記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も同様の理由により,刊行物1記載の発明であるか、刊行物1記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物1記載の発明であるか、刊行物1記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第1号第3号の規定または特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-09-09 
結審通知日 2016-09-12 
審決日 2016-09-27 
出願番号 特願2014-190519(P2014-190519)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 右田 純生井海田 隆  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 川崎 優
山崎 仁之
発明の名称 遊技機  

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