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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1321668
審判番号 不服2015-19417  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-28 
確定日 2016-11-10 
事件の表示 特願2014-4586号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月23日出願公開、特開2015-131032号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成26年1月14日の出願であって,平成27年5月18日付けで拒絶の理由が通知され,同年7月22日に意見書及び手続補正書が提出され,同年8月4日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成27年10月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成27年10月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年10月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は,特許請求の範囲の請求項1の記載を含む補正であり,平成27年7月22日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ,以下のとおりである(下線部は,補正箇所を示す。)。

(補正前:平成27年7月22日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技者が操作を行うことが可能な操作装置と,
前記操作装置に対する操作を検知する操作検知手段と,
所定の演出手段に,遊技者に前記操作装置に対する継続的な操作を促す操作指示演出を行わせる操作指示演出制御手段と,
前記操作指示演出が行われたときであって所定の有効期間内に前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されるとともに当該操作が継続して行われていることが検知されると,所定の演出手段に,前記操作が継続して行われていることを示す演出であって前記操作が継続して行われている期間に応じた継続演出を行わせる継続演出制御手段と,
を備え,
前記操作指示演出制御手段は,前記所定の有効期間が開始される前から前記操作指示演出を行わせ,
前記継続演出制御手段は,
前記所定の有効期間が開始されたタイミングにおいて前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されると,直ちに前記継続演出を行わせることが可能であり,
前記継続演出を行なわせているときに前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されないと,前記継続演出を中断するとともに,前記継続演出を中断しているときであって,前記所定の有効期間内に再び前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されると,前記継続演出を再開することを特徴とする遊技機。」

(補正後:平成27年10月28日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技者が操作を行うことが可能な操作装置と,
前記操作装置に対する操作を検知する操作検知手段と,
所定の演出手段に,遊技者に前記操作装置に対する継続的な操作を促す操作指示演出を行わせる操作指示演出制御手段と,
前記操作指示演出が行われたときであって所定の有効期間内に前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されるとともに当該操作が継続して行われていることが検知されると,所定の演出手段に,前記操作が継続して行われていることを示す演出であって前記操作が継続して行われている期間に応じた継続演出を行わせる継続演出制御手段と,
を備え,
前記操作指示演出は,第1演出と該第1演出の後に行なわれる第2演出とを含んで構成され,
前記操作指示演出制御手段は,前記所定の有効期間が開始される前に前記第2演出が開始されるように前記操作指示演出を行わせ,
前記継続演出制御手段は,
前記所定の有効期間が開始されたタイミングにおいて前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されると,直ちに前記継続演出を行わせることが可能であり,
前記継続演出を行なわせているときに前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されないと,前記継続演出を中断するとともに,前記継続演出を中断しているときであって,前記所定の有効期間内に再び前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されると,前記継続演出を再開することを特徴とする遊技機。」

2 補正の適否
(1)本件補正
本件補正は,特許請求の範囲について,以下に挙げる補正事項を含むものである。

ア 補正前の請求項1における「を備え,前記操作指示演出制御手段は,」という記載を,
「を備え,前記操作指示演出は,第1演出と該第1演出の後に行なわれる第2演出とを含んで構成され,前記操作指示演出制御手段は,」とする補正。

イ 補正前の請求項1における「前記操作指示演出制御手段は,前記所定の有効期間が開始される前から前記操作指示演出を行わせ,」という記載を,
「前記操作指示演出制御手段は,前記所定の有効期間が開始される前に前記第2演出が開始されるように前記操作指示演出を行わせ,」とする補正。

(2)補正の目的要件違反等についての検討
ア 補正事項アについて
補正事項アは,「操作指示演出」に関する構成を具体的に限定する補正であり,かつ,産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので,特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

イ 補正事項イについて
補正事項イは,「操作指示演出制御手段」が行わせる「所定の有効期間が開始される前」の「操作指示演出」の内容を具体的に限定する補正であり,かつ,産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので,特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして,本件補正は新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下,「本願補正発明」という。)は,上記1の「補正の内容」において示したとおりのものである(A?Hは,本願補正発明を分説するために当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 遊技者が操作を行うことが可能な操作装置と,
B 前記操作装置に対する操作を検知する操作検知手段と,
C 所定の演出手段に,遊技者に前記操作装置に対する継続的な操作を促す操作指示演出を行わせる操作指示演出制御手段と,
D 前記操作指示演出が行われたときであって所定の有効期間内に前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されるとともに当該操作が継続して行われていることが検知されると,所定の演出手段に,前記操作が継続して行われていることを示す演出であって前記操作が継続して行われている期間に応じた継続演出を行わせる継続演出制御手段と,
を備え,
E 前記操作指示演出は,第1演出と該第1演出の後に行なわれる第2演出とを含んで構成され,
F 前記操作指示演出制御手段は,前記所定の有効期間が開始される前に前記第2演出が開始されるように前記操作指示演出を行わせ,
G 前記継続演出制御手段は,
前記所定の有効期間が開始されたタイミングにおいて前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されると,直ちに前記継続演出を行わせることが可能であり,
H 前記継続演出を行なわせているときに前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されないと,前記継続演出を中断するとともに,前記継続演出を中断しているときであって,前記所定の有効期間内に再び前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されると,前記継続演出を再開することを特徴とする遊技機。」

(2)先願明細書等
原査定の拒絶の理由で引用された,本願の出願の日前の他の特許出願であって,その出願後に出願公開がされた特願2013-210873号(特開2015-73670号公報参照。以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には,「遊技機」に関して次の事項が図面とともに記載されている(下線部は当審で付与した。)。

(1-ア)「【0011】
[第1の実施形態]
まず,図1?図17を参照しつつ,本発明の第1の実施形態に係るパチンコ機10について説明する。」

(1-イ)「【0017】
操作ボタン22は,遊技者により操作される操作手段の一例であって,遊技者の押下操作を受け付ける押しボタンである。そして,操作ボタン22は,操作ボタン22の押下操作の有無に応じて,後述の表示制御装置6に対する入力信号を切り換える操作スイッチ22a(図5参照)を備える。これにより,表示制御装置6では,操作スイッチ22aからの入力信号に応じて操作ボタン22の操作状態(操作あり及び操作なし)を判断することが可能である。なお,操作ボタン22は,後述する各種の演出処理(図14?図16参照)において,遊技者の意思を演出に反映させるために用いられる。また,操作ボタン22は,パチンコ機10の遊技に関するステージ選択,BGM選択,又はキャラ選択などの各種の選択操作にも利用可能である。ところで,本実施形態では,操作スイッチ22aが表示制御装置6に接続されている場合を例に挙げて説明するが,操作スイッチ22aが後述の音声ランプ制御装置5に接続されており,音声ランプ制御装置5が操作スイッチ22aからの入力信号に応じて操作ボタン22の操作状態を判断することも他の実施形態として考えられる。この場合には,操作スイッチ22aの入力信号又は操作ボタン22の操作状態が,音声ランプ制御装置5から表示制御装置6に入力されることになる。
【0018】
なお,操作ボタン22の設置位置は,上皿23の前方に限らず,遊技者が操作可能な位置であれば前面枠11の任意の位置であってよい。また,操作ボタン22は,一つに限らず二つ以上であってもよい。さらに,遊技者による操作の有無を検出するために用いることが可能であれば,操作スイッチ22aは,接点式スイッチに限らず,例えば圧電素子などであってもよい。」

(1-ウ)「【0073】
さらに,MPU61によって行われる表示制御では,操作ボタン22の操作状態を演出に反映させることが可能である。具体的に,MPU61では,図柄表示部341の表示制御を実行するために,表示制御装置6のROM611及びRAM612に設けられた各種の記憶エリア,フラグ,及びカウンタなどが用いられる。」

(1-エ)「【0113】
[表示制御装置6のタイマ割込処理]
ここに,図10は,MPU61によって実行されるタイマ割込処理の手順の一例を示すフローチャートである。MPU61は,前記タイマ割込処理を4msec周期の定期処理として実行する。
【0114】
図10に示すように,MPU61は,タイマ割込処理において,操作検出処理(S1001),検出パターン判定処理(S1002),コマンド判定処理(S1003),単発操作演出処理(S1004),連打操作演出処理(S1005),及び長押し操作演出処理(S1006)を実行する。以下,図11?図16を参照しつつ,これらの処理について説明する。」

(1-オ)「【0197】
[長押し操作演出処理:S1006] ここに,図16は,前記長押し操作演出処理の手順の一例を示すフローチャートである。前記長押し操作演出処理では,前記長押し操作演出を図柄表示部341に表示させるための処理を実行する。なお,表示制御装置6のROM611には,長押し操作演出において図柄表示部341に表示される長押し操作予告画像,長押し操作開始画像,長押し操作演出画像,長押し操作結果画像,及び演出終了画像などの画像がそれぞれ一種類又は複数種類記憶されている。
・・・
【0201】
<ステップS1604?S1605>
ステップS1604では,前記長押し操作演出の種類に対応する前記操作ボタン22の操作目的又は操作方法などを伝えるための長押し操作予告画像が既に図柄表示部341に表示されているか否かを判断する。ここで,前記長押し操作予告画像が表示されていない場合は(S1604:Yes),続くステップS1605において,前記長押し操作演出の種類に対応する前記長押し操作予告画像を図柄表示部341に表示させる。例えば,前記長押し操作予告画像として,「ボタンを長押ししてパワーをためろ」のようなミッションを伝えるメッセージが表示される。なお,前記長押し操作予告画像に代えて,又は前記長押し操作予告画像と共に,操作ボタン22の操作目的又は操作方法がスピーカ26を用いて音声で通知されることも考えられる。一方,前記長押し操作予告画像が既に表示されている場合は(S1604:No),処理が前記ステップS1605をスキップしてステップS1606に移行する。
・・・
【0203】
<ステップS1607>
ステップS1607では,操作ボタン22の操作開始タイミングが到来したことを通知するための長押し操作開始画像を図柄表示部341に表示させる。このように,パチンコ機10では,操作ボタン22の操作目的や操作方法を通知した後に時間差を設けて操作ボタン22の操作開始指示を通知する処理が実行される。ここに,係る処理を実行するときの表示制御装置6が操作通知手段の一例である。例えば,前記長押し操作開始画像として,「スタート!」又は「Ready Go!」のようなメッセージが表示される。なお,前記長押し操作開始画像が,さらに複数段階に分けられていることも考えられる。例えば,前記長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示されることが考えられる。なお,前記長押し操作開始画像に代えて,又は前記長押し操作開始画像と共に,操作ボタン22の操作開始指示がスピーカ26を用いて音声で通知されることも考えられる。
【0204】
<ステップS1608>
そして,ステップS1608では,操作ボタン22の操作の受付を開始するため,受付開始フラグ612nをオンにする。これにより,次に当該長押し操作演出処理が実行される場合には,前記ステップS1603において処理がステップS1611に移行することになる。なお,受付開始フラグ612nは,後述のステップS1619でオフとなる。
【0205】
<ステップS1609?S1610>
ステップS1609では,前記ステップS1607における操作開始指示の通知時点で遊技者による操作ボタン22の操作が継続しているか否かを判断する。即ち,ステップS1609では,前記操作開始指示の通知前後に亘って操作ボタン22が操作されているか否かが判断される。具体的には,第1パターンフラグ612dがオンであるか否かに応じて,操作ボタン22が既に操作されているか否かを判断する。パチンコ機10では,前述したように操作ボタン22の操作開始タイミングの到来よりも前にその操作ボタン22の操作方法などを遊技者に通知するために,「ボタンを長押ししてパワーをためろ」のような前記長押し操作告知画像が表示されることがある。この場合,遊技者が,前記長押し操作告知画像が表示された時点で操作ボタン22の操作を開始してしまうおそれがある。但し,前記長押し操作告知画像が表示されても前記長押し操作開始画像が表示されるまでの間は,受付開始フラグ612nがオンになっておらず,操作ボタン22の操作の受付が開始していない。そのため,前記長押し操作告知画像が表示されてから前記長押し操作開始画像が表示されるまでの間に遊技者が操作ボタン22の操作を開始し,その状態が前記長押し操作開始画像の表示後も継続している場合には,操作ボタン22の操作の受付開始後に(S1603:Yes),操作スイッチ22aの入力信号が「OFF」,「ON」,「ON」にならないため(S1614:No),その操作ボタン22の操作が演出に反映されない。これに対し,パチンコ機10では,前記長押し操作開始画像が表示される前から遊技者による操作ボタン22の操作が開始されている場合にもその操作を演出に反映させるために,前記ステップS1609において前記長押し操作開始画像の表示時点における操作ボタン22の操作の継続の有無が判断される。ここで,操作ボタン22の操作が継続している場合は(S1609:Yes),処理がステップS1610に移行し,長押しカウンタ612kを1つ加算して,当該長押し操作演出処理を終了させる。また,操作ボタン22がまだ操作されていない場合は(S1609:No),そのまま当該長押し操作演出処理を終了させる。
・・・
【0209】
<ステップS1613>
ステップS1613では,操作ボタン22の操作が終了したか否かを判断する。具体的には,前記第3パターンフラグ612fがオンである場合に,操作ボタン22が操作状態から非操作状態に変化し,操作ボタン22の操作が終了したと判断する。即ち,前記ステップS1613は,遊技者が操作ボタン22の押下をやめたことを検出するための処理である。ここで,操作ボタン22の操作が終了した場合は(S1613:Yes),当該長押し操作演出処理は終了する。一方,操作ボタン22の操作が終了していない場合は(S1613のNo側),即ち操作ボタン22の操作が継続している場合は,処理がステップS1615に移行する。
・・・
【0211】
<ステップS1615>
ステップS1615では,長押しカウンタ612kを1ずつ加算する。これにより,長押しカウンタ612kには,長押し操作演出における操作有効期間内の操作時間に対応するカウンタ値が記憶されることになる。
【0212】
<ステップS1616>
そして,ステップS1616では,長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像を図柄表示部341に表示させる。具体的に,ROM611には,長押しカウンタ612kの値の増加に伴って内容が変化する複数の長押し操作演出画像が記憶されており,ステップS1616では,長押しカウンタ612kの値に対応する前記長押し操作演出画像が読み出されて表示される。例えば,前記長押し操作演出が,操作ボタン22の長押し操作に応じてパワーゲージのパワー量が増加する演出である場合には,そのパワー量が徐々に増加する画像が図柄表示部341に表示される。」

(1-カ)
図16には,以下の長押し操作演出処理の手順が図示されている。
ア S1605で長押し操作予告画像を表示した後,S1606で予告継続時間が経過したと判断すると(S1606:Yes),S1607で長押し操作開始画像を表示し,S1608で受付を開始し,S1609で受付を開始したとき操作継続中であれば(S1609:Yes),S1610で長押しカウンタを加算し,ENDに移行する。
イ S1608で受付を開始してENDまで移行した場合,次のSTARTからの処理のS1603で受付開始済(S1603:Yes)と判断され,S1611で操作有効期間内(S1611:Yes)であれば,S1612に移行する。
ウ S1612で長押しカウンタ>0でなく(S1612:No),S1614で操作開始(S1614:Yes)であるか,S1612で長押しカウンタ>0であり(S1612:Yes),S1613で操作終了でなければ(S1613:No),S1615で長押しカウンタを加算し,S1616で長押し操作演出画像を表示する。
エ S1615で長押しカウンタを加算し,S1616で長押し操作演出画像を表示した場合の次回以降のSTARTからの処理において,S1613で操作終了であれば(S1613:Yes),S1615の長押しカウンタを加算する処理,S1616の長押し操作演出画像を表示する処理に移行せず,ENDに移行する。
オ S1615,S1616に移行しなかった場合のその後の次回以降のSTARTからの処理において,S1611で操作有効期間内(S1611:Yes)であり,S1613で操作終了でなければ(S1613:No),S1615で長押しカウンタを加算し,S1616で長押し操作演出画像を表示する。

上記記載事項から,以下のことがいえる(認定)。
なお,(1-d)?(1-h)は,構成D?Hに対応した事項を示している。
(1-d) 段落【0113】には「図10は,・・・タイマ割込処理・・・。MPU61は,前記タイマ割込処理を4msec周期の定期処理として実行」と,段落【0114】には「図10に示すように,MPU61は,・・・長押し操作演出処理(S1006)を実行する。」と,段落【0197】には「[長押し操作演出処理:S1006] ここに,図16は,前記長押し操作演出処理」と記載されている。これらのことから,図10のS1006と同じ図16の長押し操作演出処理は,4msec周期で実行されるといえる。
また,上記(1-カ)のア?ウから,図16には,S1607で長押し操作開始画像を表示し,S1611で操作有効期間内(S1611:Yes)であると,S1614で操作開始(S1614:Yes)であるか,S1613で操作終了でなければ(S1613:No),S1615で長押しカウンタを加算し,S1616で長押し操作演出画像を表示する点が図示されているといえる。
そして,図16の具体的な処理として,段落【0203】には「S1607・・・長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示される」と,段落【0209】には「ステップS1613・・・(S1613のNo側),即ち操作ボタン22の操作が継続している場合」と,段落【0211】には「S1615では,長押しカウンタ612kを1ずつ加算する。これにより,長押しカウンタ612kには,長押し操作演出における操作有効期間内の操作時間に対応するカウンタ値が記憶」と段落【0212】には「S1616・・・長押しカウンタ612kの値の増加に伴って内容が変化する複数の長押し操作演出画像」,「長押しカウンタ612kの値に対応する前記長押し操作演出画像が読み出されて表示される。」と記載されている。
加えて,段落【0018】には「操作ボタン22は,一つに限らず二つ以上であってもよい。さらに,遊技者による操作の有無を検出するために用いることが可能であれば,操作スイッチ22aは,接点式スイッチに限らず,例えば圧電素子などであってもよい。」と記載されているから,S1614での操作開始,S1613での操作終了は,操作スイッチ22aによって操作ボタン22の操作の有無を検出することにより行われるといえる。
さらに,段落【0073】には「MPU61では,図柄表示部341の表示制御を実行する」と記載されている。

以上のことから,段落【0018】,【0073】,【0113】?【0114】,【0197】,【0203】,【0209】,【0211】?【0212】,図10,16には,長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示されるとき(S1607)であって,操作ボタン22の操作有効期間内(S1611:Yes)に操作スイッチ22aによって操作ボタン22の操作の有無を検出するとともに,操作ボタン22の操作が継続している(S1613:No)ことを検出すると,操作有効期間内の操作時間に対応して長押しカウンタ612kを加算し(S1615),長押しカウンタ612kの値に対応すると共に,長押しカウンタ612kの値の増加に伴って,内容が変化する長押し操作演出画像を表示する(S1616)表示制御を実行するMPU61が図示及び記載されているといえる。

(1-e) 上記(1-カ)のアから,図16には,S1605で長押し操作予告画像を表示した後,S1606で予告継続時間が経過したと判断すると(S1606:Yes),S1607で長押し操作開始画像を表示する点が図示されているといえる。
また,図16の具体的な処理として,段落【0201】には「S1605・・・長押し操作予告画像を図柄表示部341に表示・・・長押し操作予告画像として,「ボタンを長押ししてパワーをためろ」のような」と,段落【0203】には「S1607・・・長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示される」と記載されている。
以上のことから,段落【0201】,【0203】,図16には,「ボタンを長押ししてパワーをためろ」のような長押し操作予告画像を表示させた後(S1605),長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示され(S1607)る点が図示及び記載されているといえる。

(1-f) 上記(1-カ)のアから,図16には,S1607で長押し操作開始画像を表示し,S1608で受付を開始する点が図示されているといえる。
また,図16の具体的な処理として,段落【0203】には,上記(1-e)と同じ記載があると共に,段落【0204】には「S1608では,操作ボタン22の操作の受付を開始する」と記載されている。
そして,段落【0073】には「MPU61では,図柄表示部341の表示制御を実行する」と記載されている。
以上のことから,段落【0073】,【0203】?【0204】,図16には,MPU61は,長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示され(S1607),操作ボタン22の操作の受付を開始(S1608)する点が図示及び記載されているといえる。

(1-g) 上記(1-カ)のアから,図16には,S1608で受付を開始し,受付を開始したとき操作継続中であれば(S1609:Yes),S1610で長押しカウンタを加算する点が記載されている。
また,図16の具体的な処理として,段落【0204】には,上記(1-f)と同じ記載があると共に,段落【0205】には「前記長押し操作開始画像が表示される前から遊技者による操作ボタン22の操作が開始されている場合にもその操作を演出に反映させるために,前記ステップS1609において・・・操作ボタン22の操作が継続している場合は(S1609:Yes),処理がステップS1610に移行し,長押しカウンタ612kを1つ加算して」と記載されている。
そして,段落【0073】には,上記(1-f)と同じ記載がある。
以上のことから,段落【0073】,【0204】?【0205】,図16には,MPU61は,長押し操作開始画像が表示される前から操作ボタン22の操作が開始されている場合にもその操作を演出に反映させるために,操作ボタン22の操作の受付を開始したとき,操作ボタン22の操作が継続している場合は(S1609:Yes),長押しカウンタ612kを1つ加算し(S1610)ている点が図示及び記載されているといえる。

(1-h) 上記(1-カ)のエ?オから,図16には,S1615で長押しカウンタを加算し,S1616で長押し操作演出画像を表示した場合の次回以降のSTARTからの処理において,S1613で操作終了であれば(S1613:Yes),S1615の長押しカウンタを加算する処理,S1616の長押し操作演出画像を表示する処理に移行せず,S1615,S1616に移行しなかった場合のその後の次回以降のSTARTからの処理において,S1611で操作有効期間内(S1611:Yes)であると,S1613で操作終了でなければ(S1613:No),S1615で長押しカウンタを加算し,S1616で長押し操作演出画像の表示をする点が図示されているといえる。
また,図16の具体的な処理として,段落【0212】には「S1616は,長押しカウンタ612kの値に対応する前記長押し操作演出画像が読み出されて表示される。」と,段落【0209】には「S1613・・・遊技者が操作ボタン22の押下をやめたことを検出する・・・(S1613:Yes),」と,段落【0211】には「S1615では,長押しカウンタ612kを1ずつ加算」と,段落【0209】には「ステップS1613・・・(S1613のNo側),即ち操作ボタン22の操作が継続している場合」と記載されている。
それに,上記(1-d)で検討したように,図16の長押し操作演出処理は,4msec周期で実行される。
加えて,段落【0011】には「[第1の実施形態]・・・パチンコ機10」と記載されている。
以上のことから,段落【0011】,【0209】,【0211】?【0212】,図16には,長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像が表示された(S1616)後,遊技者が操作ボタン22の押下をやめたことを検出する(S1613:Yes)と,長押しカウンタ612kを1ずつ加算する処理(S1615),長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像が表示される処理(S1616)に移行せず,その後,操作ボタン22の操作有効期間内であり(S1611:Yes),操作ボタン22の操作が継続していると(S1613:No),長押しカウンタ612kを1ずつ加算し(S1615),長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像を表示させる(S1616)パチンコ機10が図示及び記載されているといえる。

上記(1-ア)?(1-カ)の記載事項,上記(1-d)?(1-h)の認定事項から,先願明細書等には次の発明(以下,「先願発明」という。)が記載されていると認められる(a?hは,本願補正発明を分説するために当審で付与した。)。
「a 遊技者により操作される操作ボタン22と(段落【0017】),

b 遊技者による操作ボタン22の操作の有無を検出する操作スイッチ22a(段落【0018】),

c 図柄表示部341に,「ボタンを長押ししてパワーをためろ」のような長押し操作予告画像と,長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示される表示制御を実行するMPU61と(段落【0073】,【0201】,【0203】),

d 長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示されるとき(S1607)であって,操作ボタン22の操作有効期間内(S1611:Yes)に操作スイッチ22aによって操作ボタン22の操作の有無を検出するとともに,操作ボタン22の操作が継続している(S1613:No)ことを検出すると,操作有効期間内の操作時間に対応して長押しカウンタ612kを加算し(S1615),長押しカウンタ612kの値に対応すると共に,長押しカウンタ612kの値の増加に伴って,内容が変化する長押し操作演出画像を表示する(S1616)表示制御を実行するMPU61(認定事項(1-d)),

e 「ボタンを長押ししてパワーをためろ」のような長押し操作予告画像を表示させた後(S1605),長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示され(S1607)(認定事項(1-e)),

f MPU61は,長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示され(S1607),操作ボタン22の操作の受付を開始(S1608)し(認定事項(1-f)),

g MPU61は,長押し操作開始画像が表示される前から操作ボタン22の操作が開始されている場合にもその操作を演出に反映させるために,操作ボタン22の操作の受付を開始したとき,操作ボタン22の操作が継続している場合は(S1609:Yes),長押しカウンタ612kを1つ加算し(S1610)(認定事項(1-g)),

h 長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像が表示された(S1616)後,遊技者が操作ボタン22の押下をやめたことを検出する(S1613:Yes)と,長押しカウンタ612kを1ずつ加算する処理(S1615),長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像が表示される処理(S1616)に移行せず,その後,操作ボタン22の操作有効期間内であり(S1611:Yes),操作ボタン22の操作が継続していると(S1613:No),長押しカウンタ612kを1ずつ加算し(S1615),長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像を表示させる(S1616)パチンコ機10(認定事項(1-h))。」

(3)対比
本願補正発明と先願発明とを対比する。

(a) 先願発明の「操作ボタン22」は,本願補正発明の「操作装置」に相当する。
このことから,先願発明の「遊技者により操作される操作ボタン22」は,本願補正発明の「遊技者が操作を行うことが可能な操作装置」に相当する。

(b) 先願発明の「操作スイッチ22a」は,本願補正発明の「操作検知手段」に相当する。
このことから,先願発明の「遊技者による操作ボタン22の操作の有無を検出する操作スイッチ22a」は,本願補正発明の「前記操作装置に対する操作を検知する操作検知手段」に相当する。

(c) 先願発明の「図柄表示部341」は,本願補正発明の「所定の演出手段」に相当する。
また,先願発明の「「ボタンを長押ししてパワーをためろ」のような長押し操作予告画像」及び「長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示」は,本願補正発明の「遊技者に前記操作装置に対する継続的な操作を促す操作指示演出」に相当する。
以上のことから,先願発明の「図柄表示部341に,「ボタンを長押ししてパワーをためろ」のような長押し操作予告画像と,長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示される表示制御を実行するMPU61」は,本願補正発明の「所定の演出手段に,遊技者に前記操作装置に対する継続的な操作を促す操作指示演出を行わせる操作指示演出制御手段」に相当する機能を有している。

(d) 先願発明の「長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示されるとき(S1607)」,「操作ボタン22の操作有効期間内(S1611:Yes)」,「操作の有無を検出」及び「操作が継続している(S1613:No)ことを検出」は,それぞれ,本願補正発明の「操作指示演出が行われたとき」,「所定の有効期間内」,「操作が行われたことが検知」及び「操作が継続して行われていることが検知」に相当する。
また,先願発明の「操作有効期間内の操作時間に対応して長押しカウンタ612kを加算し(S1615),長押しカウンタ612kの値に対応すると共に,長押しカウンタ612kの値の増加に伴って,内容が変化する長押し操作演出画像」は,本願補正発明の「前記操作が継続して行われていることを示す演出であって前記操作が継続して行われている期間に応じた継続演出」に相当する。
以上のことから,先願発明の「長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示されるとき(S1607)であって,操作ボタン22の操作有効期間内(S1611:Yes)に操作スイッチ22aによって操作ボタン22の操作の有無を検出するとともに,操作ボタン22の操作が継続している(S1613:No)ことを検出すると,操作有効期間内の操作時間に対応して長押しカウンタ612kを加算し(S1615),長押しカウンタ612kの値に対応すると共に,長押しカウンタ612kの値の増加に伴って,内容が変化する長押し操作演出画像を表示する(S1616)表示制御を実行するMPU61」は,本願補正発明の「前記操作指示演出が行われたときであって所定の有効期間内に前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されるとともに当該操作が継続して行われていることが検知されると,所定の演出手段に,前記操作が継続して行われていることを示す演出であって前記操作が継続して行われている期間に応じた継続演出を行わせる継続演出制御手段」に相当する機能を有している。

(e) 先願発明の「「ボタンを長押ししてパワーをためろ」のような長押し操作予告画像」及び「長押し操作開始画像として「Ready」が表示」は,それぞれ,本願補正発明の「第1演出」及び「第2演出」に相当する。
以上のことから,先願発明は「「ボタンを長押ししてパワーをためろ」のような長押し操作予告画像を表示させた後(S1605),長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示され(S1607)」るから,本願補正発明の「前記操作指示演出は,第1演出と該第1演出の後に行なわれる第2演出とを含んで構成され」に相当する構成を有しているといえる。

(f) 先願発明は「長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示され(S1607),操作ボタン22の操作の受付を開始(S1608)」するが,操作ボタン22の操作の受付を開始するタイミングが,「Ready」が表示された時か,「Go!」が表示された時か不明である。
しかしながら,「Go!」という表示が開始タイミングを示すことは技術常識であるから,操作ボタン22の操作の受付を開始するタイミングを,「Go!」が表示された時であると解釈することができる。
そうすると,先願発明において,「Ready」(第2演出)は,操作ボタン22の操作の受付を開始する前(所定の有効期間が開始される前)に表示されているといえる。
以上のことから,先願発明は「MPU61は,長押し操作開始画像として「Ready」が表示され,その後に「Go!」が表示され(S1607),操作ボタン22の操作の受付を開始(S1608)し」ているから,本願補正発明の「前記操作指示演出制御手段は,前記所定の有効期間が開始される前に前記第2演出が開始されるように前記操作指示演出を行わせ」に相当する機能を有しているといえる。

(g) 先願発明は「MPU61は,長押し操作開始画像が表示される前から操作ボタン22の操作が開始されている場合にもその操作を演出に反映させるために,操作ボタン22の操作の受付を開始したとき,操作ボタン22の操作が継続している場合は(S1609:Yes),長押しカウンタ612kを1つ加算し(S1610)」ているから,本願補正発明の「前記継続演出制御手段は,前記所定の有効期間が開始されたタイミングにおいて前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されると,直ちに前記継続演出を行わせることが可能であり」に相当する機能を有している。

(h) 先願発明の「パチンコ機10」は,本願補正発明の「遊技機」に相当する。
また,先願発明は「長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像が表示された(S1616)後,遊技者が操作ボタン22の押下をやめたことを検出する(S1613:Yes)と,長押しカウンタ612kを1ずつ加算する処理(S1615),長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像が表示される処理(S1616)に移行」しないから,本願補正発明の「前記継続演出を行なわせているときに前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されないと,前記継続演出を中断するとともに」に相当する構成を有しているといえる。
そして,先願発明は「その後,操作ボタン22の操作有効期間内であり(S1611:Yes),操作ボタン22の操作が継続していると(S1613:No),長押しカウンタ612kを1ずつ加算し(S1615),長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像を表示させる(S1616)」から,本願補正発明の「前記継続演出を中断しているときであって,前記所定の有効期間内に再び前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されると,前記継続演出を再開する」に相当する構成を有しているといえる。
以上のことから,先願発明の「長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像が表示された(S1616)後,遊技者が操作ボタン22の押下をやめたことを検出する(S1613:Yes)と,長押しカウンタ612kを1ずつ加算する処理(S1615),長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像が表示される処理(S1616)に移行せず,その後,操作ボタン22の操作有効期間内であり(S1611:Yes),操作ボタン22の操作が継続していると(S1613:No),長押しカウンタ612kを1ずつ加算し(S1615),長押しカウンタ612kの値に対応する長押し操作演出画像を表示させる(S1616)パチンコ機10」は,本願補正発明の「前記継続演出を行なわせているときに前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されないと,前記継続演出を中断するとともに,前記継続演出を中断しているときであって,前記所定の有効期間内に再び前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されると,前記継続演出を再開することを特徴とする遊技機」に相当する構成を有しているといえる。

上記(a)?(h)から,本願補正発明と先願発明とは,
[一致点]
「A 遊技者が操作を行うことが可能な操作装置と,
B 前記操作装置に対する操作を検知する操作検知手段と,
C 所定の演出手段に,遊技者に前記操作装置に対する継続的な操作を促す操作指示演出を行わせる操作指示演出制御手段と,
D 前記操作指示演出が行われたときであって所定の有効期間内に前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されるとともに当該操作が継続して行われていることが検知されると,所定の演出手段に,前記操作が継続して行われていることを示す演出であって前記操作が継続して行われている期間に応じた継続演出を行わせる継続演出制御手段と,
を備え,
E 前記操作指示演出は,第1演出と該第1演出の後に行なわれる第2演出とを含んで構成され,
F 前記操作指示演出制御手段は,前記所定の有効期間が開始される前に前記第2演出が開始されるように前記操作指示演出を行わせ,
G 前記継続演出制御手段は,
前記所定の有効期間が開始されたタイミングにおいて前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されると,直ちに前記継続演出を行わせることが可能であり,
H 前記継続演出を行なわせているときに前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されないと,前記継続演出を中断するとともに,前記継続演出を中断しているときであって,前記所定の有効期間内に再び前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されると,前記継続演出を再開することを特徴とする遊技機。」
である点で一致し,両者の間に相違点はない。

仮に,上記(f)において,「Ready」(第2演出)が,操作ボタン22の操作の受付を開始する前(所定の有効期間が開始される前)に表示されているとまでいえないとしても,操作の有効期間が開始される前に演出が開始されるようにすることは,特開2004-313648号公報(表示ボタン77の押下が有効となるタイミングを,メッセージ表示後の所定時間(例えば,3秒)経過後とし,メッセージを「ボタンを押せ!」等の表示ボタン77の押下を促すものとしたが記載されている。段落【0064】,【0131】等参照。),特開2013-146285号公報(演出ボタンの操作が有効であることを事前に報知する点,操作を促す操作報知が有効期間の事前に開始する点,操作有効期間T1の開始タイミングt11よりも操作報知実行開始タイミングt21の方が早い構成とした点が記載されている。段落【0140】,【0145】,【0148】。図20(B)等参照。)にも記載されているように周知技術である。
このことから,先願発明において,「Ready」(第2演出)が,操作ボタン22の操作の受付を開始する前(所定の有効期間が開始される前)に表示されることは,前記周知技術を考慮すれば実質的に記載されているということができる。したがって,本願補正発明と先願発明との間に相違点はない。

よって,本願補正発明は先願発明と同一であり,しかも,本願補正発明の発明者がそ先願発明の発明者と同一ではなく,また本願の出願の時において,その出願人が上記先願の出願人と同一でもないので,本願補正発明は特許法第29条の2の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

請求人は,平成28年3月1日付け上申書において,「(2)すなわち,本願発明に関し,先願発明との相違を明確にするように,却下された補正書の文中の「前記操作指示演出は,第1演出と該第1演出の後に行なわれる第2演出とを含んで構成され,前記操作指示演出制御手段は,前記所定の有効期間が開始される前に前記第2演出が開始されるように前記操作指示演出を行わせ,」の記載に関し,出願当初の明細書の段落[0116]に記載されているように,第1演出を「案内演出」とし,第2演出を「スタート演出」と明瞭にするように,補正したいです。」と主張している。
しかしながら,先願発明の「ボタンを長押ししてパワーをためろ」のような長押し操作予告画像」及び「長押し操作開始画像として「Ready」が表示」は,補正案の発明の「案内演出」及び「スタート演出」に相当するといえるから,請求人の主張を採用することはできない。

4 むすび
以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正(平成27年10月28日付けの手続補正)は上記第2のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成27年7月22日付け手続補正書により補正された,上記第2 1で前述した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
遊技者が操作を行うことが可能な操作装置と,
前記操作装置に対する操作を検知する操作検知手段と,
所定の演出手段に,遊技者に前記操作装置に対する継続的な操作を促す操作指示演出を行わせる操作指示演出制御手段と,
前記操作指示演出が行われたときであって所定の有効期間内に前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されるとともに当該操作が継続して行われていることが検知されると,所定の演出手段に,前記操作が継続して行われていることを示す演出であって前記操作が継続して行われている期間に応じた継続演出を行わせる継続演出制御手段と,
を備え,
前記操作指示演出制御手段は,前記所定の有効期間が開始される前から前記操作指示演出を行わせ,
前記継続演出制御手段は,
前記所定の有効期間が開始されたタイミングにおいて前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されると,直ちに前記継続演出を行わせることが可能であり,
前記継続演出を行なわせているときに前記操作検知手段によって前記操作が行われていることが検知されないと,前記継続演出を中断するとともに,前記継続演出を中断しているときであって,前記所定の有効期間内に再び前記操作検知手段によって前記操作が行われたことが検知されると,前記継続演出を再開することを特徴とする遊技機。」

2 先願発明
先願明細書等及び先願発明は,上記第2 3(2)に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は,上記第2 3で検討した本願補正発明から,「前記操作指示演出は,第1演出と該第1演出の後に行なわれる第2演出とを含んで構成され,」との限定,及び「開始される前から」を「開始される前に前記第2演出が開始されるように」とする限定を付加した部分を削除したものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が,上記第2 3(3)に記載したとおり,先願発明と同一であるから,本願発明も,同様の理由により,先願発明と同一である。

4 むすび
以上のとおりであるから,本願発明は,特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-09-06 
結審通知日 2016-09-13 
審決日 2016-09-26 
出願番号 特願2014-4586(P2014-4586)
審決分類 P 1 8・ 161- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋山 斉昭  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 加舎 理紅子
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 江間 路子  
代理人 上田 千織  
代理人 飯田 昭夫  
代理人 安藤 敏之  

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