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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1321900
審判番号 不服2016-4191  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-18 
確定日 2016-12-13 
事件の表示 特願2013-511082「マルチポイント協調伝送を設定する方法、基地局、ユーザ端末及び無線通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月26日国際公開、WO2012/144645、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成24年(2012年)4月23日(パリ条約による優先権主張 2011年4月22日(CN)中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

平成25年10月21日 国内書面
平成26年 7月15日 手続補正書
平成27年 6月10日 拒絶理由通知
平成27年 8月12日 意見書、手続補正書
平成27年12月11日 拒絶査定
平成28年 3月18日 審判請求、手続補正書
平成28年 5月12日 前置報告
平成28年 8月17日 拒絶理由通知
平成28年10月13日 意見書、手続補正書

第2.特許請求の範囲の記載
本願の特許請求の範囲の記載は、平成28年10月13日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載された以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
マルチポイント協調伝送(CoMP)を設定する方法であって、
基地局(eNB)は、無線リソース制御(RRC)シグナリングにより、ユーザ端末(UE)に対して、CoMPをサポートする伝送モード及びCoMP伝送されるUEの情報を通知し、CoMPをサポートする伝送モードが伝送モード10であり、前記伝送モード10に対応する下り制御情報(DCI)フォーマットがDCI format 2Dである、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記DCI format 2Dは、C-RNTIに基づいて、UE specificのサーチスペースに配置されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CoMP伝送されるUEの情報がデータ復調に必要な参照信号に関する情報である請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基地局は、チャネル状態情報(CSI)のフィードバックモードをUEに通知し、 前記UEは、前記伝送モードおよび前記フィードバックモードに基づいて、eNBへCSIをフィードバックする、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
マルチポイント協調伝送(CoMP)の設定に用いられる基地局であっ
て、
無線リソース制御(RRC)シグナリングを介して、ユーザ端末(UE)に対して、CoMPをサポートする伝送モード及びCoMP伝送されるUEの情報を通知し、CoMPをサポートする伝送モードが伝送モード10であり、前記伝送モード10に対応する下り制御情報(DCI)フォーマットがDCI format 2Dである、
ことを特徴とする基地局。
【請求項6】
マルチポイント協調伝送(CoMP)の設定に用いられるユーザ端末で
あって、
無線リソース制御(RRC)シグナリングを介して、基地局から通知される、CoMPをサポートする伝送モード及びCoMP伝送されるUEの情報を受信し、CoMPをサポートする伝送モードが伝送モード10であり、前記伝送モード10に対応する下り制御情報(DCI)フォーマットがDCI format 2Dである、
ことを特徴とするユーザ端末。
【請求項7】
マルチポイント協調伝送(CoMP)を設定する無線通信システムであって、
基地局は、無線リソース制御(RRC)シグナリングを介して、ユーザ端末(UE)に対して、CoMPをサポートする伝送モードおよびCoMP伝送されるUEの情報を通知し、CoMPをサポートする伝送モードが伝送
モード10であり、前記伝送モード10に対応する下り制御情報(DCI)フォーマットがDCI format 2Dであることを特徴とする無線通信システム。」

第3.当審の拒絶理由
1.理由1
平成28年8月17日付けで通知した当審の拒絶理由の理由1は、以下のとおりである。

「理由1
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。



1.請求項2は請求項1を引用するものであるから、請求項2に係る発明
は、「伝送モード9を拡張した、CoMPをサポートする伝送モード」を通知するとともに、「DCI format 2D」が設けられるものであ
る。
発明の詳細な説明には、伝送モード10又は11のときに「DCI format 2D」を使用することは記載されているが、拡張された伝送モード9のときに「DCI format 2D」を使用することは記載されていない。
したがって、請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。

2.請求項3は請求項2を引用するものであるから、請求項3に係る発明
は、「伝送モード9を拡張した、CoMPをサポートする伝送モード」を通知するとともに、「DCI format 2D」が設けられるものであ
る。
したがって、請求項2に係る発明と同様に、請求項3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。」

2.理由1について
平成28年8月17日付けで通知した拒絶理由でいう請求項1-3は、平成28年3月18日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載されたもの
で、その記載は以下のとおりである。(以下、平成28年3月18日付けの手続補正書の記載を「補正前の…」という。)

「 【請求項1】
マルチポイント協調伝送(CoMP)を設定する方法であって、
基地局(eNB)は、無線リソース制御(RRC)シグナリングを介し
て、ユーザ端末(UE)に対して、伝送モード9を拡張した、CoMPをサポートする伝送モードおよびCoMP伝送されるUEの情報を通知する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記CoMPをサポートする伝送モードに対応する下り制御情報(DC
I)フォーマットとしてDCI format 2Dが設けられ、前記DCI format 2Dに前記CoMP伝送されるUEの情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記DCI format 2Dは、C-RNTIに基づいて、UE specificのサーチスペースに配置されることを特徴とする請求項2に記載の方法。」

補正前の請求項1の「伝送モード9を拡張した、CoMPをサポートする伝送モード」は、「第2.特許請求の範囲の記載」の請求項1のとおり「伝送モード10」と補正され、下り制御情報(DCI)フォーマットについ
て、補正前の請求項2に「前記CoMPをサポートする伝送モードに対応する下り制御情報(DCI)フォーマットとしてDCI format 2Dが設けられ」としていたものを、「第2.特許請求の範囲の記載」の請求項1のとおり「前記伝送モード10に対応する下り制御情報(DCI)フォーマットがDCI format 2Dである」と補正された。
また、補正前の請求項3に対応する請求項2は、「第2.特許請求の範囲の記載」のとおり、伝送モードを「伝送モード10」とする請求項1を引用するものとなった。
したがって、上記理由1は解消した。

3.理由2
平成28年8月17日付けで通知した当審の拒絶理由の理由2の概要は、本願の請求項1、4-8(平成28年3月18日付けの手続補正書)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

引用例1.Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Generic Configuration of DL CoMP Modes,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #58,R1-093349,2009年8月28日

引用例2.Panasonic,DCI format design for new transmission schemes,3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #60,R1-101250,2010年2月26日

4.引用発明
引用例1には、以下の記載がある。
「3. Procedure for Downlink Transmission Mode Selection
This section provides an outline procedure to support transmission mode selection, as shown in Figure 1.
First, the UE's supported transmission mode capabilities, including supported downlink CoMP modes, must be known to the serving eNB by the usual RRC capability signalling. Before the UE begins to perform any CoMP measurements, the serving eNB would send to the UE a CoMP configuration, which includes the CoMP measurement set and also the CoMP transmission mode(s) for which reporting is required. By configuring reporting based on multiple CoMP modes, the eNB can receive feedback to enable it to determine the most appropriate scheme to use for downlink transmissions.
The UE will perform the measurements and send feedback to the eNB based on the configured CoMP transmission mode(s). The serving eNB will coordinate with some or all of the other eNBs in the measurement set the selection of the CoMP transmission mode from those configured for reporting, as well as the resource allocation for transmission. Subsequently, the serving eNB may request the UE to perform and feedback the CSI measurement of other transmission modes in order to facilitate switching between modes. 」
また、図1の記載は以下のとおりである。



Figure 1: Procedure for downlink CoMP transmission mode

したがって、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

マルチポイント協調伝送(CoMP)を設定する方法であって、
基地局(eNB)は、ユーザ端末(UE)に対して、CoMPをサポートする伝送モード及びパラメータを通知する、
ことを特徴とする方法。

5.対比
本願の請求項1-7に係る発明は、平成28年10月13日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるものであり、その記載は「第2.特許請求の範囲の記載」のとおりである。
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と、引用発明とを対比する。
本願発明の「CoMP伝送されるUEの情報」と、引用発明の「パラメータ」とは、UEに対して通知する情報である点で、共通するものである。
したがって、両者は次の点で一致する。

マルチポイント協調伝送(CoMP)を設定する方法であって、
基地局(eNB)は、ユーザ端末(UE)に対して、CoMPをサポートする伝送モード及び情報を通知する、
ことを特徴とする方法。

また、次の点で相違する。

相違点1
本願発明は、「CoMPをサポートする伝送モードが伝送モード10であり、前記伝送モード10に対応する下り制御情報(DCI)フォーマットがDCI format 2Dである」とするのに対して、引用発明では、伝送モードについて具体的な特定がなく、それに対応する下り制御情報(DCI)フォーマットについても特定がない点。

相違点2
本願発明は無線リソース制御(RRC)シグナリングを介して情報を通知するのに対して、引用発明では、そのような特定がされていない点。

相違点3
UEに対して通知する情報が、本願発明はCoMP伝送されるUEの情報であるのに対して、引用発明ではパラメータを通知するが、それが、どのようなものか特定がない点。

6.相違点の判断
上記引用例2には、CoMPにおいてDMRSに基づく伝送を行うことが記載されており(4. DCI format design for new DL transmission schemes)、下り制御情報(DCI)フォーマットについての記載もあるが、CoMPをサポートする伝送モードが伝送モード10であること、及びその伝送モード10に対応する下り制御情報(DCI)フォーマットがDCI format 2Dであることは、記載も示唆もされていないから、引用発明に引用例2に記載された発明を適用しても、引用発明において、相違点1を本願発明のようにすることはできない。
したがって、相違点2及び3について検討するまでもなく、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
本願の請求項2-4は、請求項1を引用するものであり、請求項5-7
も、「伝送モード10」及び「DCI format 2D」について、本願発明と同様の特定があるから、それらの請求項も本願発明と同様に、引用例1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

7.むすび(当審の拒絶理由について)
以上のとおり、平成28年8月17日付けで通知した当審の拒絶理由は、いずれも補正によって解消した。

第4.原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は、本願の各請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

引用文献等1.Panasonic,DCI format design for new transmission schemes[online],3GPP TSG-RAN WG1#60 R1-101250,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_60/Docs/R1-101250.zip>,2010年2月16日

引用文献等2.3GPP,TS 36.213 V10.1.0 (2011-03),Physical layer procedures (Release 10),2011年3月30日,Page.23-27,URL,http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.213/36213-a10.zip

引用文献等3.3GPP,TS 36.331 V10.1.0 (2011-03),Radio Resource Control (RRC); Protocol specification (Release 10),2011年3月30日,page.160-161,URL,http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.331/36331-a10.zip

引用文献等4.3GPP,TS 36.212 V10.1.0 (2011-03),Multiplexing and channel coding (Release 10),2011年3月30日,Page.55-71,URL,http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.212/36212-a10.zip

引用文献等5.国際公開第2011/043328号

上記引用文献1-5には、CoMPをサポートする伝送モードが伝送モード10であること、及びその伝送モード10に対応する下り制御情報(DCI)フォーマットがDCI format 2Dであることは、記載も示唆もされていないから、本願の各請求項に係る発明は、上記引用文献1-5に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできな
い。

第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1-7に係る発明は、引用文献等1-5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-11-28 
出願番号 特願2013-511082(P2013-511082)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
P 1 8・ 537- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 古市 徹土居 仁士吉村 真治▲郎▼  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 水野 恵雄
加藤 恵一
発明の名称 マルチポイント協調伝送を設定する方法、基地局、ユーザ端末及び無線通信システム  
代理人 青木 宏義  
代理人 天田 昌行  
代理人 守屋 芳隆  

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