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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  F02M
管理番号 1322250
異議申立番号 異議2015-700286  
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-12-10 
確定日 2016-09-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5732178号発明「燃料供給装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5732178号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔5、6〕について訂正することを認める。 特許第5732178号の請求項5に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5732178号の請求項5に係る特許についての出願は、平成25年7月26日(優先権主張 平成24年9月12日 日本国)に国際出願され、平成27年4月17日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人郡司要子により特許異議の申立てがされ、平成28年2月15日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年4月15日に意見書が提出され、平成28年4月27日付けで取消理由通知(決定の予告)がされ、その指定期間内である平成28年7月8日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
平成28年7月8日の訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のアないしウのとおりである。なお、下線は、訂正箇所を示すために特許権者が付したものである。

ア 本件訂正請求前の請求項5の下記(ア)の記載を、下記(イ)の記載へと訂正する。
(ア)本件訂正請求前の請求項5
「【請求項5】
燃料タンクに形成された取付孔を通して前記燃料タンク内にフィルター部が収容される燃料供給装置において、
前記フィルター部は、
袋状の濾材と、
前記濾材の内部に設けられた第一中骨および第二中骨と、を有し、
前記第一中骨および前記第二中骨の間には、前記フィルター部を屈曲可能とする易屈曲部が、前記フィルター部における前記取付孔への挿抜方向に沿って形成されており、
前記第一中骨および第二中骨は一体に形成され、
前記易屈曲部は、前記第一中骨および前記第二中骨の間に位置し、前記第一中骨および第二中骨よりも薄肉とされた薄肉部を有している燃料供給装置。」
(イ)本件訂正請求後の請求項5
「【請求項5】
燃料タンクに形成された取付孔を通して前記燃料タンク内にフィルター部が収容される燃料供給装置において、
前記フィルター部は、
接続管が接続される基端部から一方向に離れた位置に先端部が形成され、燃料タンクの取付孔内に先端部側から挿通され、上記一方向はフィルター部の挿抜方向に一致しており、
袋状の濾材と、
前記濾材の内部に設けられた第一中骨および第二中骨と、を有し、
前記第一中骨および前記第二中骨の間には、前記フィルター部を屈曲可能とする易屈曲部が、上記一方向において接続管と重ならない配置で、前記フィルター部における前記取付孔への挿抜方向に沿って形成されており、
前記第一中骨および第二中骨は一体に形成され、
前記易屈曲部は、前記第一中骨および前記第二中骨の間に位置し、前記第一中骨および第二中骨よりも薄肉とされた薄肉部を有している燃料供給装置。」

イ 明細書の段落【0013】の下記(ア)の記載を、下記(イ)の記載へと訂正する。
(ア)本件訂正請求前の明細書の段落【0013】
「【0013】
燃料供給装置は、燃料タンクに形成された取付孔を通して前記燃料タンク内にフィルター部が収容される燃料供給装置において、前記フィルター部は、袋状の濾材と、前記濾材の内部に設けられた第一中骨および第二中骨と、を有し、前記第一中骨および前記第二中骨の間には、前記フィルター部を屈曲可能とする易屈曲部が、前記フィルター部における前記取付孔への挿抜方向に沿って形成されており、前記第一中骨および第二中骨は一体に形成され、前記易屈曲部は、前記第一中骨および前記第二中骨の間に位置し、前記第一中骨および第二中骨よりも薄肉とされた薄肉部を有している。
…(後略)…」
(イ)本件訂正請求後の明細書の段落【0013】
「【0013】
燃料供給装置は、燃料タンクに形成された取付孔を通して前記燃料タンク内にフィルター部が収容される燃料供給装置において、前記フィルター部は、接続管が接続される基端部から一方向に離れた位置に先端部が形成され、燃料タンクの取付孔内に先端部側から挿通され、上記一方向はフィルター部の挿抜方向に一致しており、袋状の濾材と、前記濾材の内部に設けられた第一中骨および第二中骨と、を有し、前記第一中骨および前記第二中骨の間には、前記フィルター部を屈曲可能とする易屈曲部が、上記一方向において接続管と重ならない配置で、前記フィルター部における前記取付孔への挿抜方向に沿って形成されており、前記第一中骨および第二中骨は一体に形成され、前記易屈曲部は、前記第一中骨および前記第二中骨の間に位置し、前記第一中骨および第二中骨よりも薄肉とされた薄肉部を有している。
…(後略)…」

ウ 本件訂正請求前の請求項6の下記(ア)の記載を、下記(イ)の記載へと訂正する。
(ア)本件訂正請求前の請求項6
「【請求項6】
前記燃料タンク内に配置されて前記燃料タンク内の燃料を汲み上げる燃料ポンプと、
前記燃料ポンプを内包するとともに、底部に前記フィルター部が装着される有底筒状のホルダ部と、を有し、
前記ホルダ部には、前記燃料タンク内の液面位置を検出する液面計が取り付けられる支持プレートが配設され、
前記支持プレートは、前記ホルダ部を軸方向から見た平面視で前記フィルター部と重なるとともに、挿抜方向に沿って延在している請求項5に記載の燃料供給装置。」
(イ)本件訂正請求後の請求項6
「【請求項6】
燃料タンクに形成された取付孔を通して前記燃料タンク内にフィルター部が収容される燃料供給装置において、
前記フィルター部は、
袋状の濾材と、
前記濾材の内部に設けられた第一中骨および第二中骨と、を有し、
前記第一中骨および前記第二中骨の間には、前記フィルター部を屈曲可能とする易屈曲部が、前記フィルター部における前記取付孔への挿抜方向に沿って形成されており、
前記第一中骨および第二中骨は一体に形成され、
前記易屈曲部は、前記第一中骨および前記第二中骨の間に位置し、前記第一中骨および第二中骨よりも薄肉とされた薄肉部を有し、
前記燃料タンク内に配置されて前記燃料タンク内の燃料を汲み上げる燃料ポンプと、
前記燃料ポンプを内包するとともに、底部に前記フィルター部が装着される有底筒状のホルダ部と、を有し、
前記ホルダ部には、前記燃料タンク内の液面位置を検出する液面計が取り付けられる支持プレートが配設され、
前記支持プレートは、前記ホルダ部を軸方向から見た平面視で前記フィルター部と重なるとともに、挿抜方向に沿って延在している請求項5に記載の燃料供給装置。」

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アの訂正事項に関連する記載として、特許明細書の発明の詳細な説明には、「…フィルター部28は、接続管38が接続される基端部32から一方向に離れた位置に先端部33が形成され、…」(段落【0027】)、「フィルター部28は、…燃料タンク2の取付孔15内に先端部33側から挿通される。…上記一方向はフィルター部28の挿抜方向に一致している。」(段落【0028】)及び「易屈曲部60は、一方向において接続管38と重ならない一方で、上記第三辺部47と少なくとも一部が重なる位置に配置されている。」(段落【0039】)と記載されており、「フィルター部」が、接続管が接続される基端部から一方向に離れた位置に先端部が形成され、燃料タンクの取付孔内に先端部側から挿通され、上記一方向はフィルター部の挿抜方向に一致しており」、「易屈曲部」が、「上記一方向において接続管と重ならない配置で、」形成されてなる発明は特許明細書に記載されているものと認められる。
上記アの訂正は、特許明細書に記載された事項の範囲内において、フィルター部及び屈曲部を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、上記イの訂正は、上記アの訂正に伴い、明細書の発明の詳細な説明の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
さらに、上記ウの訂正は、請求項間の引用関係の解消を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、これらの訂正は一群の請求項ごとに請求されたものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔5、6〕について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件特許発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項5に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、本件訂正後の特許明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項5に記載された上記2.(1)ア(イ)に示した事項によって特定されるとおりのものである。

(2)取消理由の概要
訂正前の請求項5に係る特許に対して平成28年4月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件特許発明は、甲1号証に記載された発明及び甲2号証に記載された技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(3)甲各号証の記載
ア 甲1号証
(ア)甲1号証(特開2012-87727号公報)には、「燃料用フィルター」に関し、図面とともに、次の記載がある。

(a)「【0020】
図1に示されるように、燃料供給装置10は、燃料Fが貯留された燃料タンク11と、該燃料タンク11内に配置されたチャンバ12及びフューエルポンプ13と、該チャンバ12内に配設される燃料用フィルター20とを有している。燃料用フィルター20は、屈曲可能に構成されて燃料Fを濾過するフィルター体21と、フィルター体21に接続される連結部材22とを有している。フィルター体21は、その一端がチャンバ12の底壁を押圧するように屈曲しており、上記連結部材22を介してフューエルポンプ13に接続されている。フューエルポンプ13は、フランジ14によって燃料タンク11に固定された供給用配管15に接続されている。そして燃料供給装置10は、フューエルポンプ13が駆動されることによって、チャンバ12内の燃料Fを燃料用フィルター20で濾過し、供給用配管15を通じて、その濾過された燃料Fを内燃機関16へ供給する。
【0021】
次に、上述した燃料用フィルター20について図2?図6を参照して詳しく説明する。図2(a)は、燃料用フィルターの斜視構造を示す斜視図であって、同図2(a)では、料用フィルターの内部構造を説明するために、燃料用フィルターの一部が切り欠かれた状態を示す。図2(b)は、溶着部における濾材の断面構造を示す断面図である。図3は、フレーム部材の斜視構造を示す斜視図である。図4は、連結部付近における燃料用フィルターの断面構造を示す断面図である。
【0022】
図2(a)に示されるように、燃料用フィルター20は、一つの方向に延びるフィルター体21と、該フィルター体21の長手方向の一端に連結された連結部材22とを有している。フィルター体21は、互いに対向する上側シート部分23a及び下側シート部分23bによって扁平な袋状に形成されるフィルター部材24と、該フィルター部材24内に配設されるフレーム部材25とによって構成される。
【0023】
フィルター部材24は、複数のシート状の合成繊維が積層された1枚の濾材シート23から形成されている。フィルター部材24は、一つの折り目で二重に折り重ねられた上記濾材シート23を有し、該折り目で区画された上側シート部分23aと下側シート部分23bとが互いの縁で溶着されることにより袋状に形成されている。図2(b)に示されるように、本実施形態の濾材シート23は、ポリプロピレン繊維で形成された不織布26aを最内層として有し、油と水とを分離可能な平織りのメッシュ織物27を最外層として有している。これら不織布26aとメッシュ織物27との間には、内側に位置するものほどメッシュのサイズが小さくなるように、不織布26b,26cが積層されている。」(段落【0020】ないし【0023】)

(b)「【0028】
ベースフレーム30は、長手方向の中央よりも連結部35側に、ベースフレーム30の短手方向の全幅にわたる屈曲部分41を有している。屈曲部分41は、ベースフレーム30において、該屈曲部分41以外の部分よりも、隣り合う第1フレーム31の間隔が大きく、且つ隣り合う第2フレーム32n,32fの間隔が大きい部分である。屈曲部分41を構成する各第1フレーム31には、屈曲部として、短手方向に並ぶように、肉厚が薄い薄肉部42が設けられている。すなわち屈曲部分41は、他の部分よりも剛性が低くなるように構成されており、フレーム部材25に外力が作用したときには、該屈曲部分41以外の部分よりも優先的に屈曲される部分である。こうした屈曲部分41が設けられることによって、屈曲部分41が設けられていない構成のフレーム部材に比べて、上記外力に基づくフレーム部材25への機械的な負荷を軽減することができる。」(段落【0028】)

(イ)上記(ア)の(a)及び(b)並びに図1ないし3の記載から、次の事項が分かる。

(c)図1でフランジ14が位置するところには、燃料タンク11は孔を有することが看取される。そして、上記(ア)(a)の段落【0020】の「フューエルポンプ13は、フランジ14によって燃料タンク11に固定された供給用配管15に接続されている。」から、該孔は燃料供給装置10を取り付けるための孔であることが分かり、該孔を通して燃料タンク11内に燃料用フィルター20が収容されることは明らかである。

(d)上記(ア)(a)の段落【0022】及び図2(a)から、甲1号証に記載された燃料供給装置10において、燃料用フィルター20は、袋状に形成されたフィルター部材24と、フィルター部材24内に配設されたフレーム部材25と、を有することが分かる。

(e)上記(d)及び図3の記載から、甲1号証に記載された燃料供給装置10において、フレーム部材25は、長手方向の中央よりも連結部35側に、屈曲部分41を有し、前記屈曲部分41には、他の部分よりも肉厚の薄い薄肉部42が設けられており、フレーム部材25は、連結部35を有する側と有しない側が、屈曲部分41を介して一体に形成されてなることが分かる。

(ウ)上記(ア)及び(イ)並びに図1ないし3の記載から、甲1号証には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「 燃料タンク11に設けられた燃料供給装置10を取り付けるための孔を通して前記燃料タンク11内に燃料用フィルター20が収容される燃料供給装置10において、
燃料用フィルター20は、
袋状に形成されたフィルター部材24と、
フィルター部材24内に配設されたフレーム部材25と、を有し、
フレーム部材25は、長手方向の中央よりも連結部35側に、屈曲部分41を有し、前記屈曲部分41には、他の部分よりも肉厚の薄い薄肉部42が設けられており、
フレーム部材25は、連結部35を有する側と有しない側が、屈曲部分41を介して一体に形成されてなる燃料供給装置10。」

イ 甲2号証
(ア)甲2号証(特開2005-170084号公報)には、「燃料タンク用消音装置」に関し、図面とともに、次の記載がある。

(a)「【0019】
図4は、図1等に示すバッフル50を燃料タンク10に挿入する状態を示す説明図である。燃料タンク10は、この実施形態の場合、ブロー成形によって形成された合成樹脂製のタンクからなっている。ただし、本発明は、金属製の燃料タンクにも適用できる。燃料タンク10の上壁には、図示しない燃料ポンプを燃料タンク10内に挿入固定するためのポンプ装着孔(開口部)12と、燃料タンク10の例えば上壁にバッフル50を取付けるための樹脂クリップ14を取付け可能な取付け孔13とが形成されている。
【0020】
樹脂クリップ14は、フランジ状の頭部16と、頭部16の下面中心部から垂直に延びており先端部が先細である軸部18と、軸部18の先端部から所定長さ範囲に形成された複数の環状突部20とを含む。環状突部20は、軸部18の先端方向に向いた先細のテーパ壁と、このテーパ壁に隣接する軸部13に対して垂直な壁部とで構成されている。樹脂クリップ14は、その頭部16の下面を燃料タンク10の上壁に対して加熱溶着あるいは超音波溶着等によって固着され、取付け孔13を塞ぐと共に、燃料タンク10内に突出して固定される。
【0021】
以上説明したバッフル50と、形状規制部材30と、樹脂クリップ14とで、本発明の消音装置が構成されている。
【0022】
この消音装置を燃料タンク10に取付ける際には、図4に示すように、まず、ヒンジ部70を介して第1消音部位52と第2消音部位54とを折曲させて、バッフル50を折り畳んだ状態にする。この状態でバッフル50を手で持って、ポンプ装着孔12を通して燃料タンク10内に入れる。ポンプ装着孔12を通過させるためには、バッフル50と手とが同時に入るようにバッフル50の大きさを設定しなければならないが、バッフル50を上記のように折り畳んだ状態で通過させることができるので、バッフル50の第1消音部位52及び第2消音部位54の短辺方向の長さを、折り畳まない状態で挿入する場合に比べて長くすることができる。」(段落【0019】ないし【0022】)

(イ)上記(ア)並びに図1、2及び4の記載から、甲2号証には、次の技術(以下、「引用技術」という。)が記載されていると認める。
「 燃料タンク用消音装置を燃料タンク10に取付ける際に、燃料タンク10のポンプ挿着孔12への挿入方向に沿って設けられたヒンジ部70で折り畳んだ状態で、ポンプ挿着孔12を通過させるという技術。」

(4)対比・判断
本件特許発明と引用発明とを対比すると、引用発明は、(フィルターの挿抜方向に一致し、接続管が接続される基端部から先端部に向かう)一方向において、「易屈曲部」が接続管と重ならない配置で形成されているという構成を有していない。
そして、本件特許発明は、前記構成を有することにより、「作業者が基端部32でフィルター部180に入力した操作力が、先端部33側にまで伝達され易くなり、基端部32の屈曲に追従して先端部33を屈曲させることができる。その結果、フィルター部180における一方向全体の幅寸法を容易に減少させることができ、挿抜操作を容易にすることができる」(特許明細書の段落【0061】)という顕著な効果を奏するものであるから、本件特許は引用発明及び引用技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、取消理由によっては、本件請求項5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない、
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
燃料供給装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクから内燃機関に燃料を供給するための車両用の燃料供給装置に関するものである。
本願は、2012年9月12日に日本に出願された特願2012-200667号に基づき優先権を主張し、それらの内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車や四輪車などの車両にあっては、燃料タンクの内部に燃料ポンプが収容される、いわゆるインタンク式の燃料供給装置を用いる場合が多い。一般に、インタンク式の燃料供給装置は、燃料タンクの底面側に設けられたポンプ部で燃料を汲み上げて内燃機関へ圧送するように構成されている。このような燃料供給装置は、ポンプ部の上方に設けられてポンプ部を駆動するモータ部と、ポンプ部の下方に設けられ、ポンプ部内への異物の侵入を阻止するためのサクションフィルターの機能を備えたフィルター部と、を備えている。
フィルター部としては、不織布などの濾材を対向配置して外周縁を溶着することで袋状に形成されたものがあり、これら対向配置された濾材の間には、濾材同士を離間させるための中骨が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-163131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したインタンク式の燃料供給装置にあっては、メンテナンス頻度の低減などの目的で、フィルター部の面積拡大が図られている。そのため、フィルター部の幅寸法が、燃料供給装置を取り付けるために形成された燃料タンクの取付孔の直径よりも大きく形成される場合がある。このようにフィルター部の面積拡大が図られている場合、燃料供給装置を燃料タンクの内部に収容するためには、中骨が内在されたフィルター部を強引に折り曲げて取付孔に挿通する必要がある。
【0005】
しかしながら、燃料タンク内に収容されたフィルター部は、折り曲げられた状態から、その弾性により燃料タンク内で拡がるため、メンテナンスなどで燃料供給装置を燃料タンクの外部に抜出そうとした場合に、フィルター部が取付孔の周縁に引っ掛かってスムーズに燃料タンクの外部に抜出すことができないという課題がある。
【0006】
例えば、フィルター部を燃料タンクから抜出す際に、フィルター部の取付孔に近い基端部側を把持して折り曲げ可能な場合であっても、取付孔から遠いフィルター部の端部側は拡がった状態が維持される。その結果、依然としてフィルター部をスムーズに抜出すことができず、作業者の負担が増加してしまう。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フィルター部の面積拡大を図りつつ、燃料タンクに対してフィルター部を容易に挿抜可能として作業者の負担を軽減することができる燃料供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために本発明は以下の構成を採用する。
本発明の第一の態様によれば、燃料供給装置は、燃料タンクに形成された取付孔を通して前記燃料タンク内にフィルター部が収容される燃料供給装置において、前記フィルター部は、袋状の濾材と、前記濾材の内部に設けられ、互いに分離している第一中骨および第二中骨と、を有し、前記第一中骨および前記第二中骨の間には、前記フィルター部を屈曲可能とする易屈曲部が、前記フィルター部における前記取付孔への挿抜方向に沿って形成した。
このように構成することで、両中骨の間に形成された易屈曲部を起点にしてフィルター部を屈曲させることができるため、燃料タンクに対してフィルター部を挿抜方向に挿抜する際に、フィルター部の挿抜方向と直交する幅方向の寸法を減少させて、フィルター部が燃料タンクに形成された取付孔の周縁に引っ掛かるのを抑制することができる。
また、第一中骨と第二中骨との間に、骨格部材が介在しないため、濾材の有する可撓性を有効利用して易屈曲部を簡単に形成することができる。
【0009】
上記燃料供給装置において、前記フィルター部は、燃料ポンプの吸入部が取り付けられた基端部と、前記基端部に対して挿抜方向で離れた部分に位置する先端部と、を有し、前記基端部が前記易屈曲部で屈曲されると、前記先端部も前記易屈曲部で屈曲されるようにしてもよい。
このように構成することで、燃料タンクからフィルター部を抜出す際に、燃料ポンプの吸入部に取り付けられた基端部からフィルター部を抜出すこととなるが、基端部の易屈曲部でフィルター部を屈曲させるだけで、この基端部の屈曲に追従してフィルター部の先端部側までも屈曲させることができるため、フィルター部の先端部側においても十分に引っ掛かりを抑制することができる。
【0011】
上記燃料供給装置において、前記第一中骨は、前記第二中骨に沿って延在していてもよい。
このように構成することで、易屈曲部においてフィルター部を安定的に屈曲させることが可能になる。
【0012】
上記燃料供給装置において、前記易屈曲部は、前記第一中骨および第二中骨の間に位置し、挿抜方向に沿う軸線周りに前記第一中骨および前記第二中骨を回動可能に連結する可動部を有していてもよい。
このように構成することで、両中骨が回動可能に連結されているため、フィルター部のうち、第二中骨側を第一中骨側に屈曲させると、第二中骨が可動部を起点にして第一中骨側に回動する。この場合、フィルター部のうち、中骨間に位置する部分(易屈曲部)が挿抜方向全体に亘って屈曲され易くなる。そのため、作業者が基端部でフィルター部に入力した操作力が、先端部側にまで伝達され易くなり、基端部の屈曲に追従して先端部を屈曲させることができる。その結果、フィルター部における挿抜方向全体の幅寸法を容易に減少させることができ、挿抜操作を容易にすることができる。
【0013】
燃料供給装置は、燃料タンクに形成された取付孔を通して前記燃料タンク内にフィルター部が収容される燃料供給装置において、前記フィルター部は、接続管が接続される基端部から一方向に離れた位置に先端部が形成され、燃料タンクの取付孔内に先端部側から挿通され、上記一方向はフィルター部の挿抜方向に一致しており、袋状の濾材と、前記濾材の内部に設けられた第一中骨および第二中骨と、を有し、前記第一中骨および前記第二中骨の間には、前記フィルター部を屈曲可能とする易屈曲部が、上記一方向において接続管と重ならない配置で、前記フィルター部における前記取付孔への挿抜方向に沿って形成されており、前記第一中骨および第二中骨は一体に形成され、前記易屈曲部は、前記第一中骨および前記第二中骨の間に位置し、前記第一中骨および第二中骨よりも薄肉とされた薄肉部を有している。
このように構成することで、両中骨の間に形成された易屈曲部を起点にしてフィルター部を屈曲させることができるため、燃料タンクに対してフィルター部を挿抜方向に挿抜する際に、フィルター部の挿抜方向と直交する幅方向の寸法を減少させて、フィルター部が燃料タンクに形成された取付孔の周縁に引っ掛かるのを抑制することができる。
また、各中骨間が薄肉部を介して連結されるため、フィルター部のうち、第二中骨側を第一中骨側に屈曲させると、第二中骨が薄肉部を起点にして第一中骨側に回動する。この場合、フィルター部のうち、中骨間に位置する部分(易屈曲部)が挿抜方向全体に亘って屈曲され易くなる。そのため、作業者が基端部でフィルター部に入力した操作力が、先端部側にまで伝達され易くなり、基端部の屈曲に追従して先端部を屈曲させることができる。その結果、フィルター部における挿抜方向全体の幅寸法を容易に減少させることができ、挿抜操作を容易にすることができる。
【0014】
上記燃料供給装置において、前記燃料タンク内に配置されて前記燃料タンク内の燃料を汲み上げる燃料ポンプと、前記燃料ポンプを内包するとともに、底部に前記フィルター部が装着される有底筒状のホルダ部と、を有し、前記ホルダ部には、前記燃料タンク内の液面位置を検出する液面計が取り付けられる支持プレートが配設され、前記支持プレートは、前記ホルダ部を軸方向から見た平面視で前記フィルター部と重なるとともに、挿抜方向に沿って延在していてもよい。
このように構成することで、例えば燃料タンクに燃料供給装置を取り付ける際、燃料タンクの取付孔内に支持プレートを挿入するのと同時に、フィルター部を取付孔内に挿入できる。しかも、上述したようにフィルター部を易屈曲部で屈曲させた状態で、支持プレートとともにフィルター部を取付孔内に挿入することで、燃料供給装置の組付性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
上記した燃料供給装置によれば、フィルター部の面積拡大を図りつつ、フィルター部を燃料タンクに対して容易に挿抜可能として作業者の負担を軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態における燃料供給装置の斜視図である。
【図2】上記燃料供給装置が備えるフィルター部の平面図である。
【図3】図2のA-A線に沿う断面図である。
【図4】上記フィルター部の基端部を燃料タンクから抜出した状態を示す斜視図である。
【図5】上記濾材を屈曲させた状態を示す斜視図である。
【図6】実施形態の他の構成を示す燃料供給装置であって、図1のB-B線に相当する断面図である。
【図7】実施形態の他の構成を示すフィルター部の平面図である。
【図8】実施形態の他の構成を示すフィルター部の斜視図である。
【図9】図8のC-C線に沿う断面図である。
【図10】図8のD-D線に沿う断面図である。
【図11】実施形態の他の構成を示すフィルター部の斜視図である。
【図12】図11のE-E線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この実施形態における燃料供給装置1を示している。
同図に示すように、燃料供給装置1は、例えば、自動車や自動二輪車などの燃料タンク2内に、燃料に浸漬されて配置され、燃料タンク2内の燃料を汲み上げて不図示の内燃機関に圧送する。
燃料供給装置1は、燃料ポンプ3、および燃料タンク2の上壁2aに固定され燃料ポンプ3を支持するホルダ部4により構成される燃料ポンプユニット30と、この燃料ポンプユニット30の吸入側(図1における下側)に配設されて所謂サクションフィルターとして機能するフィルター部28と、を備えている。
【0018】
燃料ポンプ3は、フィルター部28側に配設されたポンプ部Pと、ポンプ部P上に取り付けられたモータ部Mと、を有している。ポンプ部Pには、例えば、インペラを有する非容積型の再生式ポンプが用いられ、モータ部Mによって駆動するように構成されている。モータ部Mには、例えば、ブラシ付きの直流モータが使用されている。
ポンプ部Pの下部には吸入管7が設けられ、ここから燃料ポンプ3内に燃料が汲み上げられる。また、モータ部Mの上部には吐出口8が設けられており、ここからモータ部M内を通った燃料が燃料ポンプ3の外側へと圧送される。
【0019】
ホルダ部4は、燃料タンク2の上壁2aに固定されるフランジユニット9と、フランジユニット9の燃料タンク2の内側に設けられ燃料ポンプ3を内包するアッパーカップ10と、このアッパーカップ10に取り付けられ、燃料ポンプ3の下部を覆いつつ、燃料ポンプ3を支持する有底筒状のロワーカップ20と、を備えている。
フランジユニット9は、樹脂製の略円板状のユニット本体11を有している。ユニット本体11は、燃料タンク2の上壁2aに形成された取付孔15に外側(上側)から挿入され、上壁2aに取り付けられている。したがって、フランジユニット9の上面は、燃料タンク2の外部に露出した状態になる。
【0020】
フランジユニット9には、燃料ポンプ3と吐出口8を介して連通する燃料取り出し管12が設けられている。すなわち、燃料は吐出口8から燃料取り出し管12を介して内燃機関へと圧送される。
なお、フランジユニット9には、燃料取り出し管12の先端と吐出口8との間に、例えば、チェックバルブやプレッシャレギュレータが設けられており、所定の燃圧を確保できるように構成されている。
【0021】
さらに、フランジユニット9の上面には、コネクタCが設けられている。このコネクタCには、外部電源に接続された外部コネクタ(図示せず)が嵌着される。フランジユニット9のコネクタCは、燃料ポンプ3のモータ部Mと電気的に接続され、これによってモータ部Mが駆動する。
また、ユニット本体11の内面側には、中央の大部分に下方に向かって開口する凹部(図示せず)が形成されており、ここにアッパーカップ10が固定されている。
【0022】
アッパーカップ10は、樹脂などによって燃料ポンプ3の外周面を覆う筒状のカップ本体14を有し、カップ本体14の下端に形成された開口部14a側からロワーカップ20を挿入できるように構成されている。カップ本体14の周壁14bは、フランジユニット9から燃料ポンプ3の軸方向略中央に至るまで延出している。
【0023】
また、カップ本体14には、開口部14aの周縁から軸方向下方に向かって延出する係合片17が4箇所周方向に等間隔で形成されている。この係合片17は、先端が拡径する方向に向かって弾性変形可能に形成され、ロワーカップ20にスナップフィットすることで、ロワーカップ20の軸方向、および周方向の位置決めを行うように構成されている。
係合片17には、ロワーカップ20に形成されている係合凸部18に係合する係合孔19が形成されている。
【0024】
燃料ポンプ3の吸入側に配設されたロワーカップ20は、樹脂などで形成されている。ロワーカップ20の周壁20aの外径は、アッパーカップ10(カップ本体14)の周壁14bの内径よりも僅かに小さく形成されている。
【0025】
ロワーカップ20の周壁20aには、アッパーカップ10に形成された係合片17の係合孔19に対応する位置に、この係合孔19に係合可能な係合凸部18が形成されている。係合凸部18にアッパーカップ10の係合片17がスナップフィットすることによって、アッパーカップ10、およびロワーカップ20が一体化される。これらアッパーカップ10とロワーカップ20とによって、燃料ポンプ3が支持されている。
【0026】
ロワーカップ20のエンド部(底部)20bには、燃料ポンプ3の吸入管7を挿通する貫通孔(図示せず)が形成され、ここから吸入管7が軸方向下方に向かって突出している。
また、ロワーカップ20のエンド部20bには、吸入管7が挿通される上記貫通孔の径方向外側に、この貫通孔を中心にして一対の係合部51,51が点対称位置に突設されている。これら係合部51,51はロワーカップ20とフィルター部28とを着脱可能に係合するために、フィルター部28の係合爪42と共に係合手段を構成するものである。
【0027】
図2は、フィルター部28の平面図、図3は、フィルター部28の断面図である。
図1から図3に示すように、フィルター部28は、燃料タンク2内に収容されている。フィルター部28は、例えば、向かい合わせに配置された不織布等の外周縁を溶着することで袋状に形成された濾材36を備えている。この濾材36には、その上面側に、濾材36の内部と吸入管7とを接続するための接続管38が接続されている。フィルター部28は、接続管38が接続される基端部32から一方向に離れた位置に先端部33が形成され、基端部32よりも先端部33の方が幅広に形成されている。
【0028】
なお、本実施形態のフィルター部28は、図2に示すように、平面視で長方形状に形成され、燃料タンク2の取付孔15内に先端部33側から挿通される。したがって、本実施形態では、上記一方向はフィルター部28の挿抜方向に一致している。そして、上記挿抜方向のうち、基端部32から先端部33に向かう方向が、フィルター部28における取付孔15への挿入方向N1、先端部33から基端部32に向かう方向が、フィルター部28における取付孔15からの抜去方向N2に設定されている。
【0029】
フィルター部28は、平面視において、上記一方向に直交する幅方向の一方側(図2の紙面左側)に、先端部33から基端部32まで連続した略一直線状の第一辺部44を有している。また、フィルター部28は、幅方向の他方側(図2の紙面右側)に、先端部33において第一辺部44と略平行に形成される第二辺部45と、第二辺部45の基端部32側に形成され内側に向かって傾斜する傾斜辺部46と、基端部32に形成されて傾斜辺部46よりも傾斜角度が緩やかに形成された第三辺部47と、をそれぞれ備えている。
さらに、フィルター部28は、先端部33側で第一辺部44と第二辺部45とを接続する第四辺部48と、基端部32側で第一辺部44と第三辺部47とを接続する第五辺部49と、をそれぞれ有している。ここで、フィルター部28の基端部32の幅寸法L1は、例えば、燃料タンク2の取付孔15の内径と同等に形成され、第三辺部47が傾斜していることで燃料タンク2の取付孔15からフィルター部28の基端部32をスムーズに外部へ抜出せるようになっている。
【0030】
濾材36の内部には、フィルター部28の骨格部材である中骨53が設けられており、この中骨53によって対向する濾材36同士が離間されている。さらに、上記中骨53は、対向する濾材36のうち一方の濾材36に溶着や接着などによって位置決め固定されている。このように向かい合う濾材36同士が離間した状態に保持されていることで、上記溶着時に濾材36同士が溶着部37以外の箇所で溶着してしまうのを防止できる。さらに、中骨53が一方の濾材36にのみ位置決め固定されているので、濾過面積の低下を最小限に抑えることが可能となっている。
【0031】
接続管38の内径は、吸入管7の外径よりも僅かに大きく形成されている。接続管38の端部の外周面には、点対称位置に一対の係合爪42,42が形成されている。これら係合爪42,42は、上記係合部51,51に対して係合可能に構成されている。係合爪42,42が係合部51,51に係合されることで、接続管38に対する吸入管7の挿抜方向への変位が規制され、接続管38と吸入管7とが連通する。つまり、吸入管7と濾材36の内部とが接続管38を介して連通する。これら吸入管7と接続管38とによって燃料ポンプ3の吸入部が構成されている。
【0032】
ここで、この実施形態における係合手段は、係合部51,51と係合爪42,42とが軸方向で重ならない位置で吸入管7を接続管38に対して挿入して吸入管7と接続管38とを所定方向に相対的に回動させることで、係合部51,51に係合爪42,42が係合される。なお、吸入管7の端部には、図示しないOリングが設けられ、吸入管7と接続管38との隙間における燃料の漏出が防止されている。
【0033】
接続管38には、濾材36側の基部外周に、フランジ部38aが形成されている。このフランジ部38aは、接続管38よりも大径な円環状に形成されている。このフランジ部38aの軸線が、接続管38の軸線に対して傾斜している。そして、フランジ部38aには、その全周にわたって濾材36の貫通孔22周縁が溶着などにより接合されて固定されている。ここで、フランジ部38aの軸線が接続管38の軸線に対して傾斜しているのは、燃料供給装置1が燃料タンク2に取り付けられた状態で、フィルター部28が燃料タンク2の上壁2aと対向する下壁(図示せず)に沿って配置されるようにするためである。
【0034】
中骨53は、濾材36の内部で一方向に沿って延びる第一中骨53aと第二中骨53bとを備えている。第一中骨53aは、上述したフランジ部38aの外周面からフランジ部38aの径方向外側の一方向に向かって延びて形成されている。第二中骨53bは、第一中骨53aと同一の方向(上記一方向)に向かって延びるとともに、第一中骨53aに対してフィルター部28の幅方向で分離されている。
【0035】
第一中骨53aは、一方向に沿って延びる一本の略棒状の主骨部53a1と、この主骨部53a1と一体形成されてフィルター部28の幅方向に延びる複数本、より具体的には3本の略棒状の副骨部53a2と、を備えている。副骨部53a2は、一方向に沿って略等間隔に配置され、副骨部53a2の長さ方向の中央部よりも僅かにフィルター部28の幅方向外側の位置で主骨部53a1と交差している。
【0036】
第二中骨53bは、上記主骨部53a1と同様に略棒状に形成され、上記第一中骨53a、より具体的には第一中骨53aの主骨部53a1と略平行に並んで配置されている(すなわち、第一中骨53aの主骨部53a1は、第二中骨53bに沿って延在している)。また、この第二中骨53bは、上述した第二辺部45に沿って配置されている。なお、フランジ部38aには、第二中骨53bの基端部53b1に向かって延びる所定長さの第三中骨53cが一体的に形成されている。この第三中骨53cによって、フランジ部38aと第二中骨53bとの間における濾材36同士の溶着を防止することが可能となっている。
【0037】
図3を参照し、第一中骨53aの主骨部53a1は、その下部に、長さ方向に所定間隔で凹部54が形成され、凹凸状を呈している。また、図示を省略するが、第一中骨53aの副骨部53a2の下部および第二中骨53bの下部も同様な凹凸状に形成されている。主骨部53a1と副骨部53a2との交差箇所や、第一中骨53aおよび第二中骨53bの端部においては、強度を確保するべく凹凸状の凸側が配置されるように構成されている。そして、上述した凹部54を形成していることで、中骨53と濾材36との接触面積を減少させて有効な濾過面積を増加させると共に、軽量化を図ることが可能となっている。
【0038】
第一中骨53aと第二中骨53bとは硬質な樹脂などにより形成されている。これによりフィルター部28は、第一中骨53aと第二中骨53bとが配置されている部分において屈曲困難となっている。一方で、フィルター部28は、第一中骨53aと第二中骨53bとの間の何ら骨格部材が配置されていない部分(図2中、破線で示すエリア)は、剛体部が配置されていない。したがって、フィルター部28のうち、第一中骨53aと第二中骨53bとの間に位置する部分は、濾材36の可撓性によって容易に屈曲可能な、易屈曲部60とされている。本実施形態において、易屈曲部60は、フィルター部28の一方向に沿う全体に亘って直線状に形成されている。
【0039】
易屈曲部60は、一方向において接続管38と重ならない一方で、上記第三辺部47と少なくとも一部が重なる位置に配置されている。
つまり、易屈曲部60を挟んで接続管38側に第一中骨53aが配置され、接続管38とは反対側に第二中骨53bが配置されている。なお、易屈曲部60として、第一中骨53aと第二中骨53bとの間に、一方向に向かって延びる直線的な折り目を追加形成するように構成してもよい。
【0040】
次に、上記燃料供給装置1のフィルター部28を燃料タンク2から抜出す際の作用について、図面を参照しながら説明する。
まず、燃料タンク2から燃料ポンプ3を取り外す。具体的には、燃料タンク2の上壁2aに固定されたフランジユニット9を上壁2aから取り外し、取付孔15を通して燃料ポンプユニット30を燃料タンク2の外部に抜出す(一方向のうち、抜去方向N2)。
【0041】
上記燃料ポンプユニット30を燃料タンク2の外部に抜出す際、フィルター部28の基端部32までは、取付孔15の内径よりも小さいため、スムーズに燃料タンク2の外部に抜出すことができる。
図4に示すように、その後、作業者は、フィルター部28の基端部32を易屈曲部60で屈曲させる。より具体的には、フィルター部28の易屈曲部60よりも幅方向外側の部分である第二中骨53bが設けられている側を、第一中骨53aが設けられている側に対して垂直となる方向に屈曲させる。すると、第二中骨53b側の濾材36と、第二中骨53bとを介して作業者の操作力がフィルター部28の先端部33側にまで伝達されて、図5に示すように燃料タンク2の内部に配置されているフィルター部28の先端部33が基端部32の屈曲に追従して、基端部32と同様に屈曲される。この屈曲によりフィルター部28の幅寸法が取付孔15の内径よりも小さくなる。
【0042】
したがって、上述した実施形態の燃料供給装置1によれば、フィルター部28を易屈曲部60で中骨53に沿って屈曲させることができる。このため、燃料タンク2に対してフィルター部28を中骨53の延びる方向に挿抜する際に、フィルター部28の挿抜方向と直交する幅方向の寸法を減少させて、フィルター部28が燃料タンク2に形成された取付孔15の周縁に引っ掛かるのを抑制することができる。その結果、フィルター部28の面積拡大を図った場合であっても、燃料タンク2に対して容易に挿抜可能とすることができる。
【0043】
さらに、燃料タンク2からフィルター部28を抜出す際に、接続管38に取り付けられた基端部32からフィルター部28を抜去方向N2に沿って抜出すこととなる。この場合、基端部32の易屈曲部60でフィルター部28を屈曲させるだけで、この基端部32の屈曲に追従してフィルター部28の先端部33側までも屈曲させることができるため、フィルター部28の先端部33側においても十分に取付孔15に対する引っ掛かりを抑制することができる。
【0044】
また、易屈曲部60がフィルター部28の一方向全体にわたって形成されているため、易屈曲部60を介して、第一中骨53aが設けられた側のフィルター部28に対して、第二中骨53bが設けられた側のフィルター部28を屈曲させる際に、基端部32側への屈曲操作による入力を、第二中骨53bを介してフィルター部28の先端部33側に効率よく伝達することができる。その結果、上記屈曲によってフィルター部28の幅寸法を容易に減少させることができる。
【0045】
さらに、第一中骨53aと第二中骨53bとの間に、骨格部材が介在しないため、濾材36の有する可撓性を有効利用して易屈曲部60を簡単に形成することができる。
また、第一中骨53aと前記第二中骨53bとが平行に並んで配置されることで、易屈曲部60においてフィルター部28を安定的に屈曲させることが可能になる。
【0046】
さらに、易屈曲部60が、易屈曲部60の延びる方向で接続管38と重ならない位置に配置されていることで、フィルター部28を易屈曲部60で屈曲させた場合に、接続管38と濾材36との接合部分に掛かる負担が増加するのを防止することができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、フィルター部28を燃料タンク2から抜出す際の作用について説明したが、燃料供給装置1を燃料タンク2に取り付ける際も上記と同様の方法により行うことができる。
すなわち、上記と同様の方法によりフィルター部28の基端部32を易屈曲部60で屈曲させる。この状態で燃料タンク2の取付孔15内に、フィルター部28を先端部33側から挿入する(一方向のうち挿入方向N1)。そして、フィルター部28が燃料タンク2内に収容された後、燃料タンク2の上壁2aに燃料供給装置1のフランジユニット9を取り付ける。これにより、燃料供給装置1の取付作業が完了する。
なお、濾材36(フィルター部28)は可撓性を有しているため、燃料タンク2内に進入して、作業者の手から離れると、自然に復元することになる。
【0048】
なお、本発明の実施形態は上述した各構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
上述した実施形態におけるフィルター部28は、接続管38に対して図2の紙面右側にフィルター部28の易屈曲部60および第二中骨53bが配置されていたが、紙面左側にフィルター部28の易屈曲部60および第二中骨53bを設けるようにしても良い。上述した実施形態のように、接続管38に対して図2の紙面右側にフィルター部28の易屈曲部60および第二中骨53bを配置した場合、図5に示すように親指が上方となるようにして右手で燃料ポンプユニット30を握り、その際に中指や薬指によってフィルター部28の屈曲操作を行い易い形状となっている。これに対して、接続管38を図2の紙面左側にフィルター部28の易屈曲部60および第二中骨53bを配置した場合は、上記図5とは反対に、左手による作業を容易に行うことが可能となる。
また、上述した実施形態では、濾材36が溶着されることで、袋状のフィルター部28を構成している場合について説明したが、これに限られない。例えば、袋状の濾材36を用いてもよい。
【0049】
また、図6に示すように、燃料供給装置1が燃料タンク2内の燃料の残量を検出するセンダゲージ(不図示)を有する構成であっても構わない。具体的に、図6に示す燃料供給装置1は、ロワーカップ20(ホルダ部4)の周壁20aにおいて、エンド部20b側に、径方向外側に突出する支持プレート71が一体成形されている。この支持プレート71の先端には、ゲージ取り付け板72が軸方向に沿うように一体成形されている。このゲージ取り付け板71に、センダゲージが設けられる。センダゲージは、燃料タンク2内の燃料の残量、すなわち、液面位置を検出する液面計であって、ボックス状に形成されたゲージ本体と、このゲージ本体に対して回動自在に設けられた揺動アームと、揺動アームの先端に設けられ液面に浮遊可能なフロートなどを備えている。
【0050】
そして、図6の例では、支持プレート71が、上述したフィルター部28と軸方向から見た平面視で重なる位置に配置されている。この場合、支持プレート71は、フィルター部28(易屈曲部60)の延在方向、すなわち上述した一方向に沿って延在している。
この構成によれば、例えば燃料タンク2に燃料供給装置1を取り付ける際、燃料タンク2の取付孔15内に支持プレート71を挿入するのと同時に、フィルター部28を取付孔15内に挿入できる。しかも、上述したようにフィルター部28を易屈曲部60で屈曲させた状態で、支持プレート71とともにフィルター部28を取付孔15内に挿入することで、燃料供給装置1の組付性を向上させることができる。
【0051】
また、上述した第一中骨53aおよび第二中骨53bの形状は一例であって、第一中骨53aおよび第二中骨53bの形状は、全体的にフィルター部28の基端部32から先端部33に向かう一方向に延びていればよい。すなわち、第一中骨53aおよび第二中骨53bの間に位置する易屈曲部60を起点にしてフィルター部28を屈曲させることで、フィルター部28の幅方向に沿う長さが屈曲前に比べて縮小される構成であれば、第一中骨53aおよび第二中骨53bの形状は適宜設計変更が可能である。
例えば、図7に示す易屈曲部100のように、一方向に対して傾斜していてもよい。具体的に、図7に示す第一中骨101は、一方向に沿って延びる主骨部102と、主骨部102に一体形成されるとともに、一方向に沿って間隔をあけて配置された複数の副骨部103a?103cと、を有している。各副骨部103a?103bは、基端部32側に位置する副骨部103aから先端部33側に位置する副骨部103cに向かうに従い、幅方向の長さが漸次縮小している。そのため、副骨部103aから副骨部103cにかけて、主骨部102に対する幅方向の内側への突出量が漸次縮小している。
【0052】
第二中骨105は、一方向に沿って延びる主骨部106と、主骨部106に一体形成されるとともに、一方向に間隔をあけて配置された複数の副骨部107a,107bと、を有している。副骨部107a,107bは、主骨部106のうち、上記第一中骨101の副骨部103b,103cと対向する位置に各別に配置され、第一中骨101に向けてフィルター部110の幅方向に沿って延在している。また、各副骨部107a,107bのうち、先端部33側に位置する副骨部107bは、基端部32側に位置する副骨部107aに比べて幅方向に沿う長さが長くなっている。
したがって、フィルター部110のうち、各中骨101,105間に位置する骨格部材が配置されていない部分は、一方向に対して傾斜するとともに、フィルター部28の一方向全体に亘る易屈曲部100を構成している。
【0053】
なお、上述した実施形態においては、フィルター部28の基端部32の幅寸法L1が、先端部33の幅寸法に比べて小さい構成について説明したが、これに限らず、図7に示すように、基端部32及び先端部33の幅寸法を同等に形成してもよい。
また、上述した図7に示す構成では、各中骨101,105の副骨部103a?103c及び副骨部107a,107b同士がフィルター部110の幅方向で対向する構成としたが、これに限らず、各副骨部103a?103c及び副骨部107a,107b同士が一方向に沿って互い違いに配置されていてもよい。
【0054】
さらに、上述した実施形態においては、第一中骨53aと第二中骨53bとの間に何ら骨格部材が配置されない場合について説明したが、両中骨53a,53b間に剛体部が配置されておらず、易屈曲部60を起点にフィルター部28を容易に屈曲可能であればよい。例えば、第一中骨53aと第二中骨53bとをヒンジや薄肉部など、容易に屈曲可能な部材を介して接続するようにしてもよい。
具体的に、図8?図10に示す易屈曲部150は、第一中骨151および第二中骨152の間に位置し、一方向を軸線として第一中骨151および第二中骨152を回動可能に連結する可動部153を有している。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
第一中骨151には、副骨部53a2のうち、幅方向の内側端部から第二中骨152に向けて突出する突出部154が形成されている。そして、これら各突出部154には、各突出部154を架け渡すように一方向に沿って延びる軸部155が形成されている。軸部155は、一方向に沿って主骨部53a1と平行に延在するとともに、主骨部53a1と同等の長さに形成されている。
【0056】
第二中骨152は、一方向に沿って延びる主骨部156と、主骨部156に一体形成されるとともに、一方向に間隔をあけて配置された複数(図8の例では、3本)の副骨部157と、を有している。各副骨部157は、主骨部156のうち、上記第一中骨151の副骨部53a2と幅方向で対向しない位置から、幅方向に沿う第一中骨151に向けて互いに平行に延在している。すなわち、各中骨151,152の副骨部53a2及び副骨部157同士は一方向に沿って互い違いに配置されている。
そして、各副骨部157のうち、幅方向の内側端部には、上記軸部155に係合するフック部158が形成されている。各フック部158は、軸部155のうち、幅方向でフック部158に対向する部分にそれぞれ係止され、各中骨151,152同士を軸部155周りに回動可能に連結している。すなわち、上記軸部155及びフック部158により、可動部153を構成している。
【0057】
この構成によれば、第二中骨152が軸部155周りに回動可能に連結されているため、フィルター部160のうち、第二中骨152側を第一中骨151側に屈曲させると、第二中骨152が可動部153を起点にして第一中骨151側に回動する。この場合、フィルター部160のうち、中骨151,152間に位置する部分が一方向全体に亘って屈曲され易くなる。そのため、作業者が基端部32でフィルター部160に入力した操作力が、先端部33側にまで伝達され易くなり、基端部32の屈曲に追従して先端部33を屈曲させることができる。その結果、フィルター部160における一方向全体の幅寸法を容易に減少させることができ、挿抜操作を容易にすることができる。
なお、上記の例では、第一中骨151側に軸部155、第二中骨152側にフック部158を形成した場合について説明したが、これとは逆に第一中骨151側にフック部、第二中骨152側に軸部を形成する等、各中骨151,152が回動可能に連結されていればよい。
【0058】
また、図11、図12に示す中骨174は、第一中骨171および第二中骨172と、これら両中骨171,172間に位置し、両者を回動可能に連結する薄肉部(易屈曲部)173と、が一体形成されている。
【0059】
具体的に、第一中骨171は、上述した実施形態と同様に、主骨部53a1および副骨部53a2を有している。
一方、第二中骨172は、一方向に沿って延びる主骨部176と、主骨部176に一体形成されるとともに、一方向に間隔をあけて配置された複数(図11の例では、3本)の副骨部177と、を有している。各副骨部177は、主骨部175のうち、上記第一中骨171の副骨部53a2と幅方向で対向する位置から、幅方向に沿う第一中骨171に向けて互いに平行に延在している。
【0060】
薄肉部173は、各中骨171,172よりも薄肉に形成されるとともに、各中骨171,172のうち、各副骨部53a2および副骨部177における幅方向の内側端部同士を各別に連結している。各薄肉部173は、各副骨部53a2および副骨部177間のうち、幅方向の同位置に形成されており、各中骨171,172間において、一方向に間隔をあけて直線状に配設されている。
【0061】
この構成によれば、各中骨171,172間が薄肉部173を介して連結されているため、フィルター部180のうち、第二中骨172側を第一中骨171側に屈曲させると、第二中骨172が薄肉部173を起点にして第一中骨171側に回動する。この場合、フィルター部180のうち、中骨171,172間に位置する部分が一方向全体にわたって屈曲され易くなる。そのため、作業者が基端部32でフィルター部180に入力した操作力が、先端部33側にまで伝達され易くなり、基端部32の屈曲に追従して先端部33を屈曲させることができる。その結果、フィルター部180における一方向全体の幅寸法を容易に減少させることができ、挿抜操作を容易にすることができる。
【0062】
さらに、図1?図5に示すフィルター部28において、易屈曲部60よりも第一中骨53a側の部分の幅寸法と比較して、易屈曲部60よりも第二中骨53b側の部分の幅寸法が狭い場合を一例にして説明したが、フィルター部28は上記形状に限られず、屈曲時に取付孔15を挿通可能な形状であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
上記した燃料供給装置によれば、フィルター部の面積拡大を図りつつ、フィルター部を燃料タンクに対して容易に挿抜可能として作業者の負担を軽減することが可能になる。
【符号の説明】
【0064】
2 燃料タンク
3 燃料ポンプ
4 ホルダ部
15 取付孔
20 ロワーカップ
20b エンド部(底部)
28,110,160,180 フィルター部
36 濾材
38 接続管(吸入部)
53 中骨
53a,101,151,171 第一中骨
53b,105,152,172 第二中骨
60,100,150 易屈曲部
71 支持プレート
153 可動部
173 薄肉部(易屈曲部)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクに形成された取付孔を通して前記燃料タンク内にフィルター部が収容される燃料供給装置において、
前記フィルター部は、
袋状の濾材と、
前記濾材の内部に設けられ、互いに分離している第一中骨および第二中骨と、を有し、
前記第一中骨および前記第二中骨の間には、前記フィルター部を屈曲可能とする易屈曲部が、前記フィルター部における前記取付孔への挿抜方向に沿って形成されている燃料供給装置。
【請求項2】
前記フィルター部は、
燃料ポンプの吸入部が取り付けられた基端部と、
前記基端部に対して挿抜方向で離れた部分に位置する先端部と、を有し、
前記基端部が前記易屈曲部で屈曲されると、前記先端部も前記易屈曲部で屈曲される請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記第一中骨は、前記第二中骨に沿って延在している請求項1または請求項2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記易屈曲部は、前記第一中骨および第二中骨の間に位置し、挿抜方向に沿う軸線周りに前記第一中骨および前記第二中骨を回動可能に連結する可動部を有している請求項1から請求項3の何れか1項に記載の燃料供給装置。
【請求項5】
燃料タンクに形成された取付孔を通して前記燃料タンク内にフィルター部が収容される燃料供給装置において、
前記フィルター部は、
接続管が接続される基端部から一方向に離れた位置に先端部が形成され、燃料タンクの取付孔内に先端部側から挿通され、上記一方向はフィルター部の挿抜方向に一致しており、
袋状の濾材と、
前記濾材の内部に設けられた第一中骨および第二中骨と、を有し、
前記第一中骨および前記第二中骨の間には、前記フィルター部を屈曲可能とする易屈曲部が、上記一方向において接続管と重ならない配置で、前記フィルター部における前記取付孔への挿抜方向に沿って形成されており、
前記第一中骨および第二中骨は一体に形成され、
前記易屈曲部は、前記第一中骨および前記第二中骨の間に位置し、前記第一中骨および第二中骨よりも薄肉とされた薄肉部を有している燃料供給装置。
【請求項6】
燃料タンクに形成された取付孔を通して前記燃料タンク内にフィルター部が収容される燃料供給装置において、
前記フィルター部は、
袋状の濾材と、
前記濾材の内部に設けられた第一中骨および第二中骨と、を有し、
前記第一中骨および前記第二中骨の間には、前記フィルター部を屈曲可能とする易屈曲部が、前記フィルター部における前記取付孔への挿抜方向に沿って形成されており、
前記第一中骨および第二中骨は一体に形成され、
前記易屈曲部は、前記第一中骨および前記第二中骨の間に位置し、前記第一中骨および第二中骨よりも薄肉とされた薄肉部を有し、
前記燃料タンク内に配置されて前記燃料タンク内の燃料を汲み上げる燃料ポンプと、
前記燃料ポンプを内包するとともに、底部に前記フィルター部が装着される有底筒状のホルダ部と、を有し、
前記ホルダ部には、前記燃料タンク内の液面位置を検出する液面計が取り付けられる支持プレートが配設され、
前記支持プレートは、前記ホルダ部を軸方向から見た平面視で前記フィルター部と重なるとともに、挿抜方向に沿って延在している燃料供給装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-08-30 
出願番号 特願2014-535421(P2014-535421)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (F02M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 赤間 充  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 中村 達之
梶本 直樹
登録日 2015-04-17 
登録番号 特許第5732178号(P5732178)
権利者 株式会社ミツバ
発明の名称 燃料供給装置  
代理人 鈴木 三義  
代理人 志賀 正武  
代理人 旦 武尚  
代理人 鈴木 三義  
代理人 志賀 正武  
代理人 鈴木 慎吾  
代理人 鈴木 慎吾  

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