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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C09K 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C09K |
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管理番号 | 1322552 |
審判番号 | 不服2014-15362 |
総通号数 | 206 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-08-05 |
確定日 | 2016-02-08 |
事件の表示 | 特願2013-550059「液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月21日国際公開、WO2014/125616〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 出願の経緯 本願は、2013年2月15日を国際出願日とする特許出願であって、平成26年8月5日に拒絶査定不服審判の請求と同時に手続補正がされ、それに対して、当審は、平成27年6月4日付けで拒絶理由を通知したところ、同年8月6日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明について 本願に係る発明は、平成27年8月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるとおりのものであって、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下の事項により特定されるものである。 「 【請求項1】 式(i) 【化1】 で表される化合物を含有し、 式(XI-1-2)及び/又は(XI-1-4) 【化2】 【化3】 で表される化合物から選ばれる1種又は2種の化合物を含有し、 式(XIII) 【化4】 (式中、R^(X1)及びR^(X2)はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置換されていても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、 M^(X31)は、 (a)トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置き換えられてもよい)、(b)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。) からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)又は基(b)に含まれる水素原子はそれぞれシアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、 Wは0を表し、X^(31)?X^(36)は水素原子又はフッ素原子を表すが、X^(33)及びX^(34)の組み合わせがともにフッ素原子である。)で表される化合物を含有し、 一般式(XI-1) 【化5】 (式中、R^(X11)及びR^(X21)はそれぞれ独立して、炭素原子数1?5のアルキル基、炭素原子数2?5のアルケニル基、炭素原子数1?5のアルコキシ基又は炭素原子数2?5のアルケニルオキシ基を表すが、式(XI-1-2)及び式(XI-1-4)で表される化合物は除く。)で表される化合物を含有し、該一般式(XI-1)で表される化合物として、式(XI-1-1) 【化6】 で表される化合物を含有し、 一般式(XII-1) 【化7】 (式中、R^(X1)が炭素原子数3又は5のアルキル基であり、R^(X2)が炭素原子数2のアルコキシ基を表す。)で表される化合物を含有し、 一般式(I) 【化8】 (式中、R^(91)からR^(92)はそれぞれ独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表すが、式(i)で表される化合物は除く。)で表される化合物を含有し、該一般式(I)で表される化合物として、式(I-a-1)又は式(I-a-2) 【化9】 【化10】 で表される化合物を含有する誘電率異方性が負の液晶組成物。」 第3 当審の判断 当審は、本願が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない(平成27年6月4日付け拒絶理由通知の理由3に相当。以下、「理由A」という。)から、特許法第49条第4号に該当し、また、本願発明が特許法第29条第2項の規定により特許をすることができないものである(平成27年6月4日付け拒絶理由通知の理由2に相当。以下、「理由B」という。)から、特許法第49条第2号に該当し、拒絶査定を不服とする審判の請求は成り立たないと判断する。 以下、理由A、Bそれぞれについて詳述する。 理由A(特許法36条第6項第1号の規定について) A-1 本願発明の解決しようとする技術課題について 本願明細書の[0002]-[0008]、特に、[0008]より、本願発明が解決しようとする技術課題は、「誘電率異方性、粘度、ネマチック相上限温度、低温でのネマチック相安定性、γ1等の液晶表示素子としての諸特性及び表示素子の焼き付き特性を悪化させること無く、製造時の滴下痕が発生し難く、ODF工程における安定した液晶材料の吐出量を実現する液晶表示素子に適する液晶組成物」に提供にあるといえる。しかも、引き続く[0009]には、「上記課題を解決するために、滴下法による液晶表示素子の作製に最適な種々の液晶組成物の構成を検討し、特定の液晶化合物を特定の混合割合で使用することにより液晶表示素子における滴下痕の発生を抑制することができることを見出し本願発明の完成に至った。」と記載されていることから、特に、「製造時の滴下痕が発生し難」くすることを求めるものであることが理解される。 A-2 本願明細書に記載の事項 そこで、滴下痕の発生の抑制に関する記載を中心に、本願明細書に記載の事項を見ていく。(当審注:下線部は、当審が付与した。) (A1) 「[0018] 前述の通り、滴下痕の発生のプロセスは現時点では明らかで無い、しかし、液晶化合物中の不純物と配向膜の相互作用、クロマト現象等が関係している可能性が高い。液晶化合物中の不純物は化合物の製造プロセスに大きな影響を受けるものであるが、化合物の製造方法は、たとえ側鎖の炭素原子数が異なるのみであっても同一とは限らない。すなわち、液晶化合物は精密な製造プロセスによって製造されることから、そのコストは化成品の中では高く、製造効率の向上が強く求められている。そのため、少しでも安い原料を使用するためには、たとえ側鎖の炭素原子数が一つ異なっただけでも全く別種の原料から製造を行った方が効率がよい場合もある。従って、液晶原体の製造プロセスは、各原体ごとに異なっていることがあり、たとえプロセスが同一であっても、原料が異なることは大部分であり、その結果、各原体毎に異なった不純物が混入していることが多い。しかし、滴下痕はきわめて微量の不純物によっても発生する可能性があり、原体の精製のみにより滴下痕の発生を抑制することには限界がある。 [0019] その一方で、汎用されている液晶原体の製造方法は製造プロセス確立後は、各原体毎に一定に定まる傾向がある。分析技術の発展した現在においても、どのような不純物が混入しているかを完全に明らかにすることは容易ではないが、各原体毎に定まった不純物が混入している前提で組成物の設計を行うことが必要となる。本願発明者らは、液晶原体の不純物と滴下痕の関係について検討を行った結果、組成物中に含まれていても滴下痕が発生し難い不純物と、発生し易い不純物があることを経験的に明らかにした。従って、滴下痕の発生を抑えるためには、特定の化合物を特定の混合割合で使用すること重要であり、特に滴下痕の発生がし難い組成物の存在を明らかにしたものである。以下に記載する好ましい実施の態様は、前記の観点から見いだされたものである。」 (A2) 「[0021] ・・ さらに、本発明の液晶組成物は、他の成分として、一般式(L)で表される化合物を1種類または2種類以上含有することもできる。 [0022] [化4] [0023] (式中、R^(L1)及びR^(L2)はそれぞれ独立して炭素原子数1?8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH_(2)-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、 OLは0、1、2又は3を表し、 B^(L1)、B^(L2)及びB^(L3)はそれぞれ独立して (a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH_(2)-又は隣接していない2個以上の-CH_(2)-は-O-に置き換えられてもよい。)及び (b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。) からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子のいずれかひとつで置換されていても良く、 L^(L1)及びL^(L2)はそれぞれ独立して単結合、-CH_(2)CH_(2)-、-(CH_(2))_(4)-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-COO-、-OCO-、-OCF_(2)-、-CF_(2)O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、 OLが2又は3であってL^(L2)が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、OLが2又は3であってB^(L3)が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、ただし、式(i)で表される化合物を除く。) R^(L1)及びR^(L2)は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1?5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1?4(またはそれ以上)のアルコキシ基及び炭素原子数4?5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1?5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1?4(またはそれ以上)のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2?5のアルケニル基が好ましい。 [0024] ・・ [0025] 本発明の液晶組成物において、一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性または揮発性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。」 (A3) 「[0036] ・・ さらに、一般式(I)で表される化合物は、一般式(I-a)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。 [0037] [化7] [0038] (式中、R^(13)およびR^(14)はそれぞれ独立して炭素原子数1?5のアルキル基を表すが、R^(13)およびR^(14)において炭素原子数が3と2のアルキル基を表す組み合わせとなる化合物は除かれる。) 組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。また、本発明の別の実施形態では3種類以上である。 本発明の液晶組成物において、一般式(I-a)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。・・」 (A4) 「[0044] ・・ さらに、一般式(I)で表される化合物は一般式(I-b)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。 [0045] [化11] [0046] (式中、R^(18)はそれぞれ独立して炭素原子数1?5のアルキル基、炭素原子数2?5のアルケニル基又は炭素原子数1?5のアルコキシ基を表す。) 組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。また、本発明の別の実施形態では3種類以上である。 本発明の液晶組成物において、一般式(I-b)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。・・」 (A5) 「[0051] ・・ さらに、一般式(I)で表される化合物は、一般式(I-c)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。 [0052] [化14] [0053] (式中、R^(13)は炭素原子数1?5のアルキル基を表し、R^(15)は炭素原子数1?4のアルコキシ基を表す。) 組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。また、本発明の別の実施形態では3種類以上である。 [0054] 本発明の液晶組成物において、一般式(I-c)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。・・ [0055] ・・ [0056] 好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては2?15%である。あるいは本発明の別の実施形態では4?20%である。また、本発明の別の実施形態では6?25%である。 [0057] 低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。 ・・」 (A6) 「[0064] さらに、一般式(I)で表される化合物は一般式(I-e)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。 [0065] [化18] [0066] (式中、R^(16)およびR^(17)はそれぞれ独立して炭素原子数2?5のアルケニル基を表す。) 組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、1種類から3種類以上組み合わせることが好ましい。一般式(I-e)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて、本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%であることがより好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、最大に含有できる比率としては、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。 ・・」 (A7) 「[0078] さらに、一般式(II)で表される化合物は一般式(II-a)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。 [0079] [化29] [0080] (式中、R^(11)は炭素原子数1?5のアルキル基、炭素原子数2?5のアルケニル基または炭素原子数1?4のアルコキシ基を表し、R^(12)は炭素原子数1?5のアルキル基、炭素原子数4?5のアルケニル基または炭素原子数1?4のアルコキシ基を表す。) 組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類である。 [0081] 本発明の液晶組成物において、一般式(II-a)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。・・ [0082] ・・ [0083] 好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては3?8%である。あるいは本発明の別の実施形態では5?13%である。また、本発明の別の実施形態では7?18%である。さらに、本発明の別の実施形態では11?20%である。さらに、本発明の別の実施形態では13?25%である。さらに、本発明の別の実施形態では15?30%である。 低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。 ・・」 (A8) 「[0096] さらに、一般式(III)で表される化合物は一般式(III-a)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。 [0097] [化39] [0098] (式中、R^(11)は炭素原子数1?5のアルキル基、炭素原子数2?5のアルケニル基または炭素原子数1?4のアルコキシ基を表し、R^(12)は炭素原子数1?5のアルキル基、炭素原子数4?5のアルケニル基または炭素原子数1?4のアルコキシ基を表す。) 組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類以上である。 [0099] 本発明の液晶組成物において、一般式(III-a)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。・・ [0100] ・・ [0101] 好ましい含有量の範囲は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの実施形態としては3?15%である。あるいは本発明の別の実施形態では5?15%である。さらに、本発明の別の実施形態では12?25%である。さらに、本発明の別の実施形態では15?30%である。さらに、本発明の別の実施形態では20?35%である。 [0102] 高い複屈折率を得る場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、高いTniを重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。 ・・」 (A9) 「[0110] さらに、一般式(IV)で表される化合物は、例えば一般式(IV-a)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。 [0111] [化44] [0112] (R^(25)は炭素原子数1?5のアルキル基を表し、R^(24)は炭素原子数1?5のアルキル基表す。) 組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類以上である。 【0113】 本発明の液晶組成物において、一般式(IV-a)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。・・」 (A10) 「[0126] さらに、一般式(IV)で表される化合物は、例えば一般式(IV-c)で表される化合物群から選ばれる化合物であっても良い。 [0127] [化51] [0128] (R^(23)は炭素原子数2?5のアルケニル基を表し、R^(24)は炭素原子数1?5のアルキル基を表す。) 組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類以上である。 [0129] 本発明の液晶組成物において、一般式(IV-c)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。・・」 (A11) 「[0388] ・・ 滴下痕 : 液晶表示装置の滴下痕の評価は、全面黒表示した場合における白く浮かび上がる滴下痕を目視にて以下の4段階評価で行った。 [0389] ◎残像無し(非常に良いレベル) ○残像ごく僅かに有るも許容できるレベル(良いレベル) △残像有り許容できないレベル(良くないレベル) ×残像有りかなり劣悪(悪いレベル) ・・」 (A12) 「[0393] (比較例1及び2、実施例1?3) 次に示す組成を有する液晶組成物(LC-A?B、LC-1?3)を調製し、その物性値を測定した。この結果を次の表に示す。 [0394] それぞれの液晶組成物を用いて、図1に示すVA液晶表示素子を作製した。この液晶表示素子は、アクティブ素子として逆スタガード型の薄膜トランジスターを有している。液晶組成物の注入は、滴下法にて行い、焼き付き、滴下痕、プロセス適合性及び低温での溶解性の評価を行った。 [0395] 尚、含有量の左側の記号は、上記化合物の略号の記載である。 [0396] [表1] [0397] 比較例1の液晶組成物LC-Aは、式(i)の化合物を含有するが、式(XI-1-2)及び式(XI-1-4)の化合物は含有していない。比較例2の液晶組成物LC-Bは、式(XI-1-2)及び式(XI-1-4)の化合物は含有するが、式(i)の化合物は含有していない。 実施例1?3の液晶組成物LC-1?3は、比較例1の液晶組成物と比較して、粘度η及び回転粘性γ1が低く、各種パネル評価性能、プロセス適合性、また、低温での溶解性において優れていることが分かる。 (実施例4?8) 次に示す組成を有する液晶組成物(LC-4?8)を調製し、その物性値を測定した。また、液晶表示素子により、焼き付き、滴下痕、プロセス適合性及び低温での溶解性の評価を行った。その結果を以下に示す。 [0398] [表2] [0399] 実施例4?8の液晶組成物LC-4?8において、粘度η及び回転粘性γ1が低く、各種パネル評価性能、プロセス適合性、また、低温での溶解性において優れていることが分かる。」 A-3 検討 まず、発明の詳細な説明のうち、[実施例]について検討する。 本願請求項1に記載された全ての特定事項を具備する「実施例3」は、同例の液晶組成物の「滴下痕」及び「プロセス適合性」につき、「比較例2」と同様に「△」評価、すなわち「残像有り許容できないレベル(良くないレベル)」及び「変化が有り許容できないレベル(斑発生により歩留まりが悪化。良くないレベル)」であるから、請求項1に記載された全ての特定事項を具備することにより、上記技術課題を解決することができると認識することができるものとは認められない。 〔なお、仮に、本願請求項1における「式(I-a-1)又は式(I-a-2)で表される化合物」なる記載が「どちらか一方のみを含み他方を含まない」ことを意味し、もって「実施例3」〔式(I-a-1)及び式(I-a-2)で表される化合物の併用〕を除外したとしても、下記に示す2点により、残りの実施形態が全て上記技術課題を解決することができるとは認められない。 1.「一般式(I)」で表される化合物には、「1?10-CyCy-1?10」(両端の数値はいずれもアルキル基の炭素原子数を表す。)が含まれるところ、このうち、「3-CyCy-4」〔式(I-a-1)〕と「3-CyCy-5」〔式(I-a-2)〕の併用を排除する技術的根拠(作用機序)が、上記のとおり本願明細書の発明の詳細な説明には記載ないし示唆されていないから、「式(I-a-1)」及び「式(I-a-2)」で表される化合物の一方と「一般式(I)」で表される化合物の範囲内の別の化合物との併用の中に、「式(I-a-1)」及び「式(I-a-2)」で表される化合物の併用と同様に排除されるものがあることを否定できない。 2.本願発明の実施例の液晶組成物は、任意成分も含め、10を超える多数の成分からなり、その組合せや配合量も実施例ごとに異なることから、何が「滴下痕」及び「プロセス適合性」を悪化させる要因なのか、これらの結果を比較するだけでは客観的に判断することができない(例えば、式(i)で表される化合物の含有量をみると、実施例3のみが10質量%であるのに対し、他の実施例では20質量%以上と、2倍以上の開きがあり、この違いにより作用効果に差異が生じた可能性も否定できない。) したがって、「式(I-a-1)又は式(I-a-2)で表される化合物」が「どちらか一方のみを含み他方を含まない」ものであるとすることの技術的根拠を見出すことができない。〕 次に、発明の詳細な説明のうち、[実施例]以外の記載について検討すると、上記(A1)には、「各原体毎に定まった不純物が混入している前提で組成物の設計を行うことが必要」、「組成物中に含まれていても滴下痕が発生し難い不純物と、発生し易い不純物がある」、「特定の化合物を特定の混合割合で使用すること重要」と記載されていることから、「滴下痕が発生し難い不純物が混入している化合物」と「滴下痕が発生し易い不純物が混入している化合物」とを認識し、「特定の化合物」(これが、「滴下痕が発生し難い不純物が混入している化合物」のみを指すのか不明である。)を「特定の混合割合」で用いることが重要とされている。 しかしながら、本願発明では、「式(i)で表される化合物」、「式(XI-1-2)及び/又は(XI-1-4)で表される化合物」、「式(XIII)で表される化合物」、「式(XI-1-1)で表される化合物」、「一般式(XII-1)で表される化合物」、「式(I-a-1)又は式(I-a-2)で表される化合物」を含有することが特定されているところ、当該化合物のそれぞれと「滴下痕が発生し難い不純物が混入している化合物」、「滴下痕が発生し易い不純物が混入している化合物」との対応関係が不明確であり、また、これらの混合割合が特定されていないから、上記(A1)の記載に基づいて、本願発明が全範囲にわたり、上記課題を解決しうると理解することはできない。 また、上記(A2)ないし(A10)にも、滴下痕の発生の抑制には、特定の構造式を満たす化合物の含有量(混合割合)が重要であることが記載されているところ、本願発明は各化合物の含有量(混合割合)を特定するものではないので、本願発明が全範囲にわたり、上記課題を解決しうると理解することはできない。 さらに、本願請求項1に記載された全ての特定事項を具備することにより、上記課題、特に滴下痕の発生抑制なる課題を解決できるであろうと当業者が認識することができる当業者の技術常識が、本願出願時に存したものとも認められない。 以上を総合すると、本願明細書の発明の詳細な説明の記載では、たとえ当業者の技術常識に照らしたとしても、本願請求項1に記載された特定事項を具備する全ての場合において、上記課題を解決できるであろうと当業者が認識することができるように記載したものとはいえないから、本願発明は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものではない(知的財産高等裁判所平成17年(行ケ)10042号判決参照)。 A-4 まとめ 以上のとおりであるから、本願請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものではなく、同法同条同項(柱書)の規定を満たしていない。 理由B(特許法第29条第2項の規定について) B-1 本願出願前の配布された刊行物 ・特表2013-503952号公報(平成27年6月4日付け拒絶理由通知の引用例2。以下、「引用例」という。) B-2 引用例に記載の事項 (B1) 「【0265】 以下の例は、本発明を限定することなく説明する。しかしながら、それらは、当業者に対して、好ましく用いられる化合物、それらのそれぞれの濃度およびそれらの互いの組み合わせの好ましい混合の考え方を示す。加えて、例は、どのような特性および特性の組み合わせが入手可能であるかを例示する。 【0266】 下の表においては、以下の略称を使用する: (n、m、z:それぞれ互いに独立に、1、2、3、4、5または6) 【0267】 【表1】 【0268】 【表2】 」 (B2) 「【0300】 <例5> 以下のネマチックLCホスト混合物H5を配合する。 【0301】 【表19】 混合物は、第2のサブ群(誘電的に中性または負)より選択され、pが0である式Iの化合物PYP-2-4を含有する。」 (B3) 「【0302】 <例6> 以下のネマチックLCホスト混合物H6を配合する。 【0303】 【表20】 混合物は、第1のサブ群(誘電的に正)より選択され、pが1である式Iの化合物PPGU-3-Fと、第2のサブ群(誘電的に中性または負)より選択され、pが0である式Iの化合物PYP-2-3とを含有する。」 B-3 引用例に記載の発明 上記(B2)より、引用例には、 「CCH-23、CY-3-O4、PYP-2-4、CY-3-O2、CCY-4-O2、CCH-34を含有するΔεが-3.3の混合物。」(以下、「引用例記載の発明1」という。)が記載されていると認められる。 上記(B3)より、引用例には、 「CCH-23、CY-3-O4、PYP-2-3、CY-5-O2、CCY-3-O2、CCH-34を含有するΔεが-5.0の混合物。」(以下、「引用例記載の発明2」という。)が記載されていると認められる。 B-4 対比・判断 ア 引用例記載の発明1を主発明とした場合 ○引用例記載の発明1の「CCH-23」は、本願発明の「式(i)で表される化合物」に相当する。 ○引用例記載の発明1の「CY-3-O4」は、本願発明の「式(XI-1-2)で表される化合物」に相当する。 ○引用例記載の発明1の「PYP-2-4」は、本願発明の「式(XIII)で表される化合物」(但し、R^(X1)が炭素原子数2のアルキル基、Wが0、X^(31)、X^(32)、X^(35)、X^(36)が水素原子、X^(33),X^(34)がフッ素原子、R^(X2)が炭素原子数4のアルキル基を表す。)に相当する。 ○引用例記載の発明1の「CY-3-O2」は、本願発明の「式(XI-1-1)で表される化合物」に相当する。 ○引用例記載の発明1の「CCH-34」は、本願発明の「式(I-a-1)で表される化合物」に相当する。 ○引用例記載の発明1の「Δεが-3.3の混合物」は、本願発明の「誘電率異方性が負の液晶組成物」に相当する。 上記より、本願発明と引用例記載の発明1とは、 「式(i)で表される化合物を含有し、式(XI-1-2)で表される化合物を含有し、式(XIII)(但し、R^(X1)が炭素原子数2のアルキル基、Wが0、X^(31)、X^(32)、X^(35)、X^(36)が水素原子、X^(33),X^(34)がフッ素原子、R^(X2)が炭素原子数4のアルキル基を表す。)で表される化合物を含有し、式(XI-1-1)で表される化合物を含有し、式(I-a-1)で表される化合物を含有する誘電率異方性が負の液晶組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 本願発明では、「一般式(XII-1) (式中、R^(X1)が炭素原子数3又は5のアルキル基であり、R^(X2)が炭素原子数2のアルコキシ基を表す。)で表される化合物」を必須成分とするのに対し、引用例記載の発明1では、「CCY-4-O2」を含有する点。 以下、上記相違点1について検討する。 上記(B1)には、「CCY-4-O2」を包含する類に含まれる化合物として、 (n、m:それぞれ互いに独立に、1、2、3、4、5または6)の化合物が選択し得ることが記載されている。 すなわち、引用例記載の発明1の「CCY-4-O2」は、「CCY-n-Om」のn=4、m=2に相当する化合物であるところ、当該化合物とともに、「CCY-n-Om」のn=3、m=2や「CCY-n-Om」のn=5、m=2も選択可能であると示されていることが分かる。そして、選択可能とされている類似構造の化合物を単に置換する程度のことは、当業者であれば、容易になし得ることでしかない。 次に、本願発明において、一般式(XII-1)で表される化合物の中でも、特に、「R^(X1)が炭素原子数3のアルキル基であり、R^(X2)が炭素原子数2のアルキル基」又は「R^(X1)が炭素原子数5のアルキル基であり、R^(X2)が炭素原子数2のアルキル基」である場合に、顕著な効果を奏するかについて見ていくと、本願明細書には、 「[0292] 一般式(XII)で表される化合物は更に一般式(XII-1)及び一般式(XII-2)で表される化合物が好ましい。 [0293] [化119] [0294] (式中、R^(X1)は一般式(X)におけるR^(X1)と同じ意味を表し、R^(X2)は一般式(X)におけるR^(X2)と同じ意味を表す。) 一般式(XII-1)で表される化合物は具体的には次に記載する式(XII-1-1)?(XII-1-6) [0295] [化120] [0296] で表される化合物が好ましいが、式(XII-1-1)?式(XII-1-4)で表される化合物がより好ましく、式(XII-1-1)?式(XII-1-3)で表される化合物が更に好ましく、式(XII-1-1)及び式(XII-1-3)で表される化合物が特に好ましい。 ・・」 と記載されており、「式(XII-1-3)で表される化合物」は、「式(XXII-1-4)で表される化合物」や「式(XXII-1-7)で表される化合物」よりも好適であることが示されているところ、「式(XII-1-3)で表される化合物」が引用例記載の発明1の「CCY-4-O2」に相当し、一方、「式(XXII-1-4)で表される化合物」及び「式(XXII-1-7)で表される化合物」がそれぞれ本願発明の「 (式中、R^(X1)が炭素原子数3又は5のアルキル基であり、R^(X2)が炭素原子数2のアルコキシ基を表す。)で表される化合物」であるから、本願発明は、本願明細書の記載によれば、引用例記載の発明1で用いられている化合物よりも好ましくないと認識されている化合物を選択した実施形態に限定されたものであるといえるから、結局、本願発明は、引用発明と相違点1に係る構成において有利な効果の差異が生じるものではない。 イ 引用例記載の発明2を主発明とした場合 ○引用例記載の発明1の「CCH-23」は、本願発明の「式(i)で表される化合物」に相当する。 ○引用例記載の発明1の「CY-3-O4」は、本願発明の「式(XI-1-2)で表される化合物」に相当する。 ○引用例記載の発明1の「PYP-2-3」(但し、R^(X1)が炭素原子数2のアルキル基、Wが0、X^(31)、X^(32)、X^(35)、X^(36)が水素原子、X^(33),X^(34)がフッ素原子、R^(X2)が炭素原子数3のアルキル基を表す。)は、本願発明の「式(XIII)で表される化合物」に相当する。 ○引用例記載の発明1の「CCY-3-O2」は、本願発明の「一般式(XII-1)で表される化合物」(但し、R^(X1)が炭素原子数3のアルキル基、R^(X2)が炭素原子数2のアルコキシ基を表す。)に相当する。 ○引用例記載の発明1の「CCH-34」は、本願発明の「式(I-a-1)で表される化合物」に相当する。 ○引用例記載の発明1の「Δεが-5.0の混合物」は、本願発明の「誘電率異方性が負の液晶組成物」に相当する。 上記より、本願発明と引用例記載の発明2とは、 「式(i)で表される化合物を含有し、式(XI-1-2)で表される化合物を含有し、式(XIII)(但し、R^(X1)が炭素原子数2のアルキル基、Wが0、X^(31)、X^(32)、X^(35)、X^(36)が水素原子、X^(33),X^(34)がフッ素原子、R^(X2)が炭素原子数2のアルキル基を表す。)で表される化合物を含有し、一般式(XII-1)(但し、R^(X1)が炭素原子数3のアルキル基、R^(X2)が炭素原子数2のアルコキシ基を表す。)で表される化合物を含有し、式(I-a-1)で表される化合物を含有する誘電率異方性が負の液晶組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2> 本願発明では、「式(XI-1-1) で表される化合物」を必須成分とするのに対し、引用例記載の発明1では、「CY-5-O2」を含有する点。 以下、上記相違点2について検討する。 上記(B1)には、「CY-5-O2」を包含する類に含まれる化合物として、 (n、m:それぞれ互いに独立に、1、2、3、4、5または6)の化合物が選択し得ることが記載されている。 すなわち、引用例記載の発明1の「CY-5-O2」は、「CCY-n-Om」のn=5、m=2に相当する化合物であるところ、当該化合物とともに、「CY-n-Om」のn=3、m=2も選択可能であると示されていることが分かる。そして、選択可能とされている類似構造の化合物を単に置換する程度のことは、当業者であれば、容易になし得ることでしかない。 次に、本願発明において、一般式(XI-1)で表される化合物の中でも、特に、「R^(X1)が炭素原子数3のアルキル基であり、R^(X2)が炭素原子数2のアルキル基」である場合に、顕著な効果を奏するかについて見ていくと、本願明細書には、 「[0277] 一般式(XI)で表される化合物は具体的には次に記載する式(XI-1-1)?式(XI-2-4) [0278] [化114] [0279] ・・ [0280] で表される化合物が好ましいが、式(XI-1-1)、式(XI-1-3)・・で表される化合物がより好ましく、式(XI-1-1)、式(XI-1-3)・・で表される化合物が特に好ましく、より具体的に述べると本願発明の液晶組成物に要求される屈折率異方性Δnの値が比較的低い場合(概ね0.100未満)は式(XI-1-1)及び式(XI-1-3)で表される化合物が最も好まし・・い。 ・・」 と記載されており、「式(XI-1-3)で表される化合物」が「式(XI-1-1)で表される化合物」と同様に最も好ましいとされているが、「式(XI-1-3)で表される化合物」が引用例記載の発明2の「CY-5-O2」に相当するから、結局、本願発明は、引用例記載の発明2と相違点2に係る構成において有利な効果の差異が生じるものでない。 B-5 まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用例記載された発明1、2に基いて当業者であれば容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 結語 したがって、本願は、他の理由を検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-12-03 |
結審通知日 | 2015-12-08 |
審決日 | 2015-12-21 |
出願番号 | 特願2013-550059(P2013-550059) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(C09K)
P 1 8・ 537- WZ (C09K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 仁科 努 |
特許庁審判長 |
豊永 茂弘 |
特許庁審判官 |
岩田 行剛 橋本 栄和 |
発明の名称 | 液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子 |
代理人 | 河野 通洋 |