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審決分類 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 H04Q
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04Q
管理番号 1322677
審判番号 不服2015-22406  
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-21 
確定日 2017-01-04 
事件の表示 特願2013-173714「サーバ,情報端末,情報提供方法,プログラム,および制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月 2日出願公開,特開2015- 41985,請求項の数(5)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成25年8月23日の出願であって,平成27年2月20日付けで拒絶理由が通知され,同年4月24日付けで手続補正がされ,同年10月13日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という)がされ,これに対し,同年12月21日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付けで手続補正がされ,その後,当審において平成28年7月7日付けで拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という)が通知され,同年8月23日付けで手続補正がされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明は,平成28年8月23日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものと認められるところ,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は以下のとおりである。

「【請求項1】
機器に対する制御指令を出力可能な1以上の情報端末と通信する通信装置と,
プロセッサと,
前記通信装置を介して前記情報端末から受信した,前記機器に対する制御指令を格納するための記憶装置とを備え,
前記プロセッサは,
前記機器に向けて,前記制御指令を送信し,
前記制御指令に対応する前記機器の状態が前記機器から送信された情報によって特定される当該機器の状態と一致するか否かを判断し,
前記判断の結果を出力するように構成され,
前記判断の結果の出力することは,前記情報端末に前記判断の結果を送信することを含み,
前記制御指令に対応する前記機器の状態が前記機器から送信された情報によって特定される当該機器の状態とが一致しない場合の前記判断の結果は,前記機器が前記制御指令に対応する処理を実行できる状態にあるにも関わらず前者の状態と後者の状態とが一致しないことを示す「状態不一致」と,前記機器が前記制御指令に対応する処理を実行できない処理を実行中であることを示す「失敗」とを含む,サーバ。」

第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
平成27年2月20日付け拒絶理由通知には,以下の理由が記載されている。

「この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1-3,5-6,8-10
・引用文献1-4
・備考

[請求項1について]
引用文献1の段落【0071】-【0074】,【0114】-【0131】などには,家電サーバ装置が,情報端末装置(請求項1の「情報端末」に対応)から,エアコン装置を制御するためのコマンドを取得すること(請求項1の「制御指令」を受信することに対応),家電サーバ装置はエアコン装置に制御用のコマンドを送信すること(請求項1の「機器に向けて,前記制御指令を送信」することに対応),家電サーバ装置がエアコン装置からコマンドに対応した制御の実行に関する情報を取得すること,家電サーバ装置が情報端末装置にコマンドが実行された旨を転送すること(請求項1の「判断の結果」を出力・送信することに対応),情報端末装置において遠隔制御が成功した旨を表示することが記載されている。
また,遠隔制御の技術分野において,被制御装置に対して制御命令を送信する制御装置が,制御指令を保持しておき,制御指令を被制御装置に送信した後に,当該保持している制御指令の内容と,被制御装置から取得した被制御装置の状態を示す情報が一致するか否かを判定し(請求項1の「前記機器への前記制御指令の送信後に,前記制御指令に対応する前記機器の状態が前記機器から送信された情報によって特定される当該機器の状態と一致するか否かを判断」することに対応),判定の結果を表示することは周知技術にすぎず,引用文献2の第2頁?第6頁などに記載されている。

[請求項2-3について](中略)
[請求項5-6,8-10について](中略)

引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2003-111156号公報
2.特開昭63-131693号公報
3.特開2010-028195号公報
4.特開2001-346276号公報」

平成27年10月13日付け拒絶査定の備考欄には,以下の事項が記載されている。

「●理由(特許法第29条第2項)について

・請求項 1-3,5,6,8-12
・引用文献等 1-4
出願人は,平成27年4月24日付けの意見書(以下,「意見書」という)において,
「一方,引用文献1は,コントロールコマンドの送信後にコントロールレスポンスが送信されることを開示しているのみであって,本願請求項1の,制御指令の送信後に送信され,機器の状態を送信することを要求する指令である,状態要求指令を開示していません。」
という旨,主張している。

しかしながら,引用文献1(段落[0034],[0037])には,サーバ装置からエアコン装置に送信されるコマンドには,コントロールコマンドだけではなく,ステータスコマンドもあることが記載され,当該コマンドは,エアコン装置の現状の電源状態や,現在の温度の通知要求のためのコマンドであることが記載されている。また,サーバ装置において,遠隔制御の対象となる機器へ当該機器の状態を送信することを要求する指令である状態要求指令を送信し,当該指令に応じて送信された情報を受信する構成とすることは,常套手段である。してみれば,本願の請求項1に係る発明は,依然として,引用文献1,2に基づき容易に想到できたものである。

よって,請求項1-3,5,6,8-12に係る発明は,依然として,当業者が容易に想到し得るものである。」

2 当審による原査定の理由の判断
(1)引用文献の記載事項
ア 引用文献1(特開2003-111156号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0018】実施の形態1.
(1)構成
図1は,実施の形態1であるデジタル家電機器を含む家電制御システムの構成を示す図である。家電制御システムは,建物1a内に設置された構内ネットワーク1と,公衆ネットワーク(インターネット)2上に設置された家電サーバ装置3と,この構内ネットワーク1と公衆ネットワーク2を介して接続されたゲートウェイ装置4と,を有する。なお,家電制御システムは,端末装置を有していても良い。ゲートウェイ装置4は,公衆ネットワーク2と携帯電話網の間のゲートウエイをなす装置であり,携帯端末装置5との間で無線通信を行う基地局6が接続されている。
【0019】構内ネットワーク1は,ホームネットワーク等のローカルネットワークであり,例えば白物家電機器が接続されるネットワークである。この構内ネットワーク1は,物理層として,例えば無線ネットワーク(802.11やBluetooth)で構成される。なお,この構内ネットワーク1は,電灯線やイーサネット(商標)のような有線ネットワークで構成してもよい。この構内ネットワーク1には,無線回線等を介して接続されたルータ装置7と,各中継装置(例えば,別のルータ装置)8a,8bと,エアコン装置9等の各家電機器と,を有する。
【0020】公衆ネットワーク2は,例えば,物理層としてCATVイーサネット(商標)等を用い,上位層のプロトコルとして,TCP/IPプロトコルを用いて通信を行うインターネット等のネットワークからなる。
【0021】ルータ装置7は,公衆ネットワーク2との通信を行う通信I/F部10と,構内ネットワーク1との通信を行う通信I/F部11と,各通信I/F部から送られてきたパケットのルーティングを制御するルーティング制御部12と,を有する。
【0022】ルーティング制御部12は,例えば,通信I/F部10から送られてきたパケットのIPヘッダの宛先IPアドレスと,各家電機器9のIPアドレスとを比較して,宛先IPアドレスと対応する家電機器側へ上記パケットをルーチングする等のパケットルーチング処理を行う。
【0023】中継装置8a,8bは,ルータや交換機,ホームサーバ等を含む。この中継装置8a,8bから,又は中継装置8a,8bを介して外部のネットワークに接続されたサーバ装置から,デジタル家電機器9にコマンドを送ることができるようになっていても良い。
【0024】(A)デジタル家電機器の構成
本実施の形態では,デジタル家電機器のうち,一例として,エアコン装置9の構成について説明する。
【0025】エアコン装置9は,例えば,ルータ装置7と,構内ネットワーク1を通して,IEEE802.11又はBluetooth(商標)等を用いて無線通信を行う。
【0026】エアコン装置9は,TCP/IPプロトコルを実装したネットワークデジタル家電機器である。このエアコン装置9には,構内ネットワーク1内において,固有のIPアドレスが割り当てられている。なお,本実施の形態では,1つのエアコン装置9が構内ネットワーク1に接続されているが,複数の家電機器が接続されている場合,各家電機器には,構内ネットワーク1内で固有のIPアドレスが割り当てられている。このIPアドレスは,IPv4でも,IPv6であってもよいが,構内ネットワーク1で接続されている各家電機器とルータ装置7とでは,同じバージョンのIPアドレスとしている。また,これらのIPアドレスは,グローバルアドレスであり,公衆ネットワーク2等の外部のネットワークに接続されている全ての機器で重複がないように割り当てられている。
【0027】ここでは,エアコン装置9,各家電機器,ルータ装置7,家電サーバ装置3,各制御装置3aに割り振られているIPアドレスは,構内ネットワーク1及び公衆ネットワーク2において,同じバージョンであり,それぞれ,固有のIPアドレスを有している場合について説明する。
【0028】エアコン装置9は,構内ネットワーク1を介して,ルータ装置7と通信を行う通信I/F部20と,エアコン装置設置の室内を所定温度にしたり,所定の送風を行う等の動作を行うエアコン本体部21と,この通信I/F部20を介して,送信されてくるパケットを解析してコマンドを後述するコマンド実行判断部へ送ったり,構内ネットワーク1に送信するパケットを生成したりするパケット処理部22と,赤外線リモコンと通信を行う赤外線通信I/F部23と,この赤外線通信I/F部23を介して送られた赤外線信号を解析して,コマンドを判断する赤外線処理部24と,パケット処理部22から送られたコマンドや,送信元アドレスに基づいて,コマンドを実行するか否かを判断したり,エアコン本体部21に上記コマンドを実行させるエアコン制御部25と,を有する(図2参照)。
【0029】エアコン本体部21は,エアコン装置が設置されている室内の温度を測定する温度センサー(図示せず)と,熱交換機を有する室外機(図示せず)と,所定量,所定温度の送風を行う送風部(図示せず)と,温度センサーにより温度を調べるとともに,後述する制御部により指示されたコマンドに従って,所定の温度等となるように,室外機や送風部等を駆動する駆動部(図示せず)を有する。
【0030】パケット処理部にて処理するパケットはIPパケットであり,例えば,宛先IPアドレス,送信元IPアドレス,コマンド等,が含まれている。
【0031】パケット処理部22は,パケット内の宛先IPアドレスにより,自分宛(エアコン装置9)のパケットと判断したり,パケット内のデータを解析するパケット解析部(図示せず)と,パケットを通信I/F部20へ送ったり,通信I/F部20からパケットを受信したり,送信元アドレスやコマンドをコマンド実行判断部へ送ったり,制御部から送られる応答を受信したりするパケット送受信部(図示せず)と,パケットを生成するパケット生成部(図示せず)と,家電サーバ装置3へ送るデータにセキュリティ処理(暗号化,デジタル署名)を施したり,家電サーバ装置3から送られてくるセキュリティ処理が施されたデータを解読(復号,署名の正当性判断)するセキュリティ処理部26(解読部)を有する。
【0032】なお,セキュリティ処理としては,暗号化の方式として,例えば,公開鍵方式を用いてもよい。また,コマンドを暗号化する際にデジタル署名を付すという処理も行い,デジタル署名の正当性で送信元の認証を行っても良い。これらの処理を利用することで,後述するように,悪意のユーザからのコマンドをエアコン装置9が実行してしまうとか,コマンド送受信の途中における悪意のユーザによるデータの改ざんを防ぐこともできる。この際,IPを利用して暗号,認証を行うIPSecやSSL等を用いてもよい。
【0033】エアコン制御部25は,格納部27を有する。
【0034】(格納部)家電機器に対する制御コマンドは,例えば「電源のオン・オフ」や,「冷房・暖房の設定」,「ターゲット温度や湿度の設定」等のいわゆる遠隔制御のためのコマンドや,「状態の監視」等のいわゆる遠隔監視のためのコマンド等に大きく分類できる。
【0035】格納部27には,複数のコマンドについて各々所定の基準に従って分類した各分類情報のうち,いずれかの分類情報と対応づけられた各コマンドと,各制御装置3,3a及び各中継装置8a,8bのうち,デジタル家電機器9が各コマンドをそれぞれ実行する対象の装置について,前記分類情報を考慮して定められた対象装置を示す対象装置情報と,を対応づけた対応データが格納されている。
【0036】先ず,各コマンドについて説明する。各コマンドとしては,以下のものがある。
【0037】(ステータスコマンド)このコマンドは,エアコン装置9の制御の要求ではなく,エアコン装置の状態(ステータス)の通知要求,及びその応答,あるいは通知のためのコマンド,あるいは通知そのものに用いられるコマンドである。例えば,現状の電源の状態や,現在の温度の通知の要求等のコマンドである。
【0038】(コントロールコマンド)このコマンドは,エアコン装置9の制御の要求である。このコントロールコマンドとしては,以下のようなものがある。例えば,エアコン装置に対して,部屋の温度の設定の要求,部屋の湿度の設定の要求,部屋の送風量の設定の要求等がある。
【0039】?【0070】(省略)
【0071】(B)家電サーバ装置
家電サーバ装置3は,補助記憶装置等を有する情報処理装置からなり,各ネットワークに接続された各家電機器の動作を制御したり,携帯端末装置からの要求を処理したりする。
【0072】本実施の形態では,各家電機器のうち,家庭1aのエアコン装置9の動作を制御する場合について説明する。
【0073】この家電サーバ装置3は,公衆ネットワーク(インターネット)2を介して,携帯端末装置5やエアコン装置9と通信を行う通信I/F部31と,携帯端末装置5で機能しているWebブラウザ(例えば,iモードブラウザ)に対して,Webページを作成して送ったり,携帯端末装置5から送られてくるHTTP等のコマンドを解析するWebページ処理部35と,個々のユーザについての情報を保持する顧客D/B32と個々の家電機器についての利用可能なコマンド等の情報を保持する家電機器D/B33と,これらのD/Bに対するアクセス等の制御を行うD/Bエンジン34とを有する(図4)。
【0074】Webページ処理部35は,携帯端末装置5に対して提供するWebページを生成するWebページ生成部36と,携帯端末装置5から送られるHTTPコマンド等を解析するコマンド解析部(図示せず)と,携帯端末装置5へ送る家電Webページを暗号化したり,携帯端末装置5側で暗号化されて送られたコマンドを,復号化する第1セキュリティ処理部37と,を有する。
【0075】顧客D/B32には,例えば,図5に示すように,個々のユーザを識別するための情報であるユーザ名,当該ユーザについての情報であるユーザ情報,このユーザが所有する家電機器の家電ID,家電機器の種別,型番を示す情報,家電機器までの通信方法を示す情報(アクセス),当該家電機器のIPアドレス,家電機器の遠隔制御の可否を示す情報を対応づける対応テーブルが格納されている。
【0076】顧客D/B32をこのような構成にすることにより,ユーザ名,ユーザ情報を検索キーとして,当該ユーザが所有する家電機器の一覧を検索することができる。また,顧客D/B32には,家電サーバ装置3から家電機器までのアクセス方法(アクセス)や,家電機器のIPアドレスやネームについての情報等が各々家電機器の家電IDに対応づけて記録されている。
【0077】なお,顧客D/B32は,図に示す構成に限定されるものではなく,複数のファイルに分散されて格納されており,これらをポインタで対応づけすることで構成するようにしてもよい。
【0078】また,家電機器D/B33には,図6に示すように,個々の家電機器毎に利用可能なコマンドや,その設定パラメータの範囲等が家電機器を識別するための情報に対応づけられて保持されている。
【0079】また,家電サーバ装置3は,パケット処理部40を有する。パケット処理部40は,パケット内の宛先IPアドレスにより,自分宛のパケットと判断したり,パケット内のデータを判断するパケット解析部(図示せず)と,パケットを通信I/F部31へ送ったり,通信I/F部31からパケットを受信するパケット送受信部41と,パケットを生成するパケット生成部(図示せず)と,家電機器へ送るデータにセキュリティ処理(暗号化,デジタル署名)を施したり,家電機器から送られてくるセキュリティ処理が施されたデータを解読(復号,署名の正当性判断)する第2セキュリティ処理部42を有する。
【0080】なお,家電サーバ装置3は,製造ベンダが立ち上げたものでも良いし,そうでなくとも良い。
【0081】また,家電サーバ装置3は,パケット処理部40に対して所定の命令等をしたり,D/Bエンジン34を介して各D/B32,33にアクセスするパケット制御部43を有する。
【0082】本実施の形態では,家庭1a内に1つの構内ネットワークが存在する場合について説明したが,複数の構内ネットワークが存在していてもよい。
【0083】(2)動作
上述のエアコン装置9等の家電機器は,通信I/F部20を介して外部との通信メッセージ等に応じて動作の管理をできるように構成されている。このため,これらの家電機器と家電サーバ装置3を接続し,家電サーバ装置3から提供されるサービスやコマンドを実行できる動作状態であれば,エアコン装置9は,家電サーバ装置3からのコマンドにより制御されることとなる。ここで,構内ネットワーク1に接続される家電機器には,TCP/IPプロトコルが実装されているので,ルータ装置7を介して,インターネット2に接続すれば,エアコン装置9は,家電サーバ装置3と通信を行うことができる。
【0084】また,エアコン装置9に遠隔コマンドを受け付けるプログラムが実装され,エアコン装置9宛にコマンドが送られると,エアコン装置9は,そのコマンドを実行できる状態になる。また,エアコン装置9の格納部27には,上述した対応データが格納されている。
【0085】?【0113】(省略)
【0114】認証処理,鍵の交換が終了すると,ステップS350で,家電サーバ装置3は,温度設定要求25℃というコントロールコマンドを暗号化し,デジタル署名を付してエアコン装置9へ送る。
【0115】具体的には,以下のとおりである。例えば,ユーザXが家電サーバ装置3を遠隔操作するなどの方法で,エアコン装置9の温度設定要求25℃の旨のコマンド情報やユーザ情報を入力する。家電サーバ装置3のパケット制御部43は,D/Bエンジン34,顧客D/B32を介して,ユーザ情報に対応する家電機器IDを取得する。そして,パケット制御部43は,家電機器D/B33,D/Bエンジン34を介して,この家電機器にエアコン装置9があるか否か判断する。エアコン装置(型番ABC-123)があるので,パケット制御部43は,D/Bエンジン34,家電機器D/B33を介して,利用可能なコマンドを取得する。パケット制御部43は,この利用可能なコマンドに,上記コマンド情報(温度25℃の温度設定要求)に対応するものがあるか否かを判断する。
【0116】図6に示すように,温度設定要求というコマンドはあるので,パケット制御部43は,パケット処理部40のパケット生成部に温度設定要求25℃という旨の情報,宛先アドレス(エアコン装置9のIPアドレス),送信元アドレス(家電サーバ装置3のIPアドレス)を送る。また,上記コマンドを第2セキュリティ処理部42へ送る。
【0117】第2セキュリティ処理部42は,上記コマンドを暗号化しデジタル署名を付して,パケット生成部へ送る。パケット生成部は,送られたアドレスや暗号化されたコマンドから,パケットを生成し,このパケットは,パケット送受信部41,通信I/F部31,公衆ネットワーク2,ルータ装置7,構内ネットワーク1を介してエアコン装置9へ送られる。
【0118】ステップS360では,このパケットは,通信I/F部20,パケット送受信部を介して,パケット解析部へ送られる。パケット解析部は,暗号化されているコマンド,デジタル署名をセキュリティ処理部26へ送る。そして,セキュリティ処理部26は署名の正当性を判断したら,その旨をコマンド実行判断部28へ送る。また,セキュリティ処理部26は暗号化されたコマンドを復号化し,コマンド実行判断部28へ送る。
【0119】ステップS370では,コマンド実行判断部28は,制御部29を介して格納部27から対応データを読み出す。実行判断部28は,対応データから,受信コマンドと対応する対象装置(家電サーバ装置3)である情報と,デジタル署名により認証された送信元の装置である情報と,を比較し,一致するか否かを判断する。本ケースの場合,実行判断部28は,一致すると判断する。コマンド実行判断部28は,コマンドの実行を判断し,その旨を制御部29へ伝える。制御部29は,温度設定25℃というコマンドを駆動部へ送る。駆動部は,エアコン本体部21を駆動させて室温が25℃になるようにさせる。
【0120】ステップ380では,セキュリティ処理部26は,温度設定25℃を実行した旨を示す情報を暗号化し,デジタル署名を付す。そして,これらの情報は,パケット生成部に送られ,パケット生成部は,送信元アドレス(エアコン装置9のIPアドレス),宛先アドレス(家電サーバ装置3のIPアドレス),暗号化された情報,デジタル署名,からパケットを生成する。このパケットは,パケット送受信部,通信I/F部20,構内ネットワーク1,ルータ装置7,公衆ネットワーク2を介して,家電サーバ装置3へ送られる。
【0121】家電サーバ装置3で,デジタル署名の正当性,復号化の処理が行われれば,エアコン装置9でコマンドの実行がなされたことがわかる。
【0122】(携帯端末装置5を含めた家電制御システムの動作について)図9を用いて説明する。なお,インターネット上に接続された同一ユーザの(予め許可された)端末装置を用いても同じ動作ができる。
【0123】図8の各ステップと同じ動作については,同一符号を付してその説明を省略する。
【0124】ユーザが遠隔制御サービスの利用を指示すると,携帯端末装置5は,家電サーバ装置3に対するログイン処理を実行する(S400)。このログイン処理では,携帯端末装置5が認証情報を家電サーバ装置3に送信する。認証情報が正当なものであると確認すると,家電サーバ装置3は,携帯端末装置5との間で例えば,SSL等による暗号化通信のための鍵交換を行う。
【0125】鍵の交換が終了すると,携帯端末装置5のWebブラウザは,Webページ処理部35に対して,エアコン装置9の遠隔制御を指示するためのデータ(家電制御ページ)の送信を要求する(S410)。
【0126】このような要求に対して,Webページ処理部35は,対応するユーザがエアコン装置9を所有しているか,そのエアコン装置9に遠隔制御機能があるか等,D/Bエンジン34を介してD/B32,33を検索し,ユーザがエアコン装置9を所有している場合,Webページ処理部35は例えば,コマンドを入力する入力欄又はコマンドの選択入力等が定義されたデータを家電制御ページのデータとして,携帯端末装置5のWebブラウザに供給する(S420)。
【0127】このようなデータが供給されると,該Webブラウザは表示部5aにデータに応じた画像を表示させる。この画像中では,例えば,温度設定要求に対して,設定する温度の入力を促す表示が含まれており,この画像に対して,ユーザが例えば,入力部5bに設けられた2と5のキーを押して,設定温度を25℃とすることを要求すると(S430),エアコン装置9の設定温度を25℃とする旨のメッセージが生成され,上記メッセージを暗号化して家電サーバ装置3宛に送信する(S440)。
【0128】このような温度設定要求を受信すると,DBエンジン34は,顧客D/B32の対応テーブルからユーザのエアコン装置9までのアクセス方法(図5中のアクセス),アドレス等の情報を取得する。パケット処理部40のセキュリティ処理部42は,取得したアクセス方法によりエアコン装置9との間で,認証,鍵の交換処理を実行する(S450)。
【0129】その後,ステップS350からS380の動作が行われる。
【0130】そして,家電サーバ装置3がコマンドが実行された旨を携帯端末装置5へ転送し(S460),表示部5aによって,遠隔制御が成功した旨が表示される(S470)。
【0131】なお,本実施の形態の家電制御システムでは,危険を伴うコマンドを受け付けるデジタル家電機器として,エアコン装置9について説明したが,もちろん,これに限定されるわけではない。例えば,デジタル家電機器として,風呂の水の温度制御を行う風呂装置,構内の玄関の鍵の開閉の管理をを行う玄関管理装置,ガスの元栓の開閉を管理するガスの元栓管理装置,構内の窓の開閉を管理する窓開閉管理装置,音響機器の音量を管理する音量管理装置等がある。これらの装置についても,本実施の形態のエアコン装置9の構成,動作が同様に適用できる。」(4頁6欄?12頁21欄)

ここで,引用文献1の「WEBページ処理部35」と「前記パケット処理部40」をまとめて「処理部」と称することは任意である。
そうすると,引用文献1には,「家電サーバ装置3」について,特に図9の家電制御システムの遠隔制御動作を示すシーケンス図に関連して,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「エアコン装置9に対するコマンドを出力可能な携帯端末装置5と通信を行う通信I/F部31と,
処理部と,
を備え,
前記通信I/F部31を介して前記携帯端末装置5から前記エアコン装置9に対するコマンドを受信し(図9のS440),
前記処理部は,
前記コマンドを生成し前記エアコン装置9へ送り(図9のS350),
前記エアコン装置9から,前記コマンドを実行した旨を示す情報が送られ(同S380),
前記コマンドが実行された旨を前記携帯端末装置5へ転送する(同S460)ように構成された,
家電サーバ装置3。」

イ 引用文献2(特開昭63-131693号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

「不一致表示部17aは,制御実行指令記憶部7eに記憶された制御実行ビットと機器状態記憶部15bに記憶された子局側の当該機器の状態表示ビットとの一致,不一致を判定して表示する。」(6頁右上欄4?8行)

そうすると,引用文献2には,次の技術事項(以下,「技術事項1」という。)が記載されていると認める。
「機器の制御指令を記憶し,前記機器の状態と前記制御指令との一致,不一致を判定すること。」

ウ 引用文献3(特開2010-028195号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0016】また,本発明における端末とは,録画再生装置,テレビ,デジタルビデオカメラ,オーディオシステムといった家庭用AV(オーディオビデオ)機器,AV機器のみならず,照明,空調などの動作を自動制御する家電制御サーバ,パーソナルコンピュータ,宅内サーバ装置など様々な機器が該当する。これらの端末は,自身保持するリソース及び自身が制御しているリソースを管理するリソース管理装置である。」(7頁)
「【0061】(2)リソース競合提示手段3004
リソース競合提示手段3004は,液晶ディスプレイ,スピーカなどを含んで構成されており,リソースの予約に競合が生じていることを画像又は音声により利用者に報知する手段である。
具体的には,リソース競合提示手段3004は,リソース競合検知手段3002から,競合が発生している旨の通知,既存のリソース予約に関する情報及び利用者により新たに入力された指示内容を受け取る。」(15頁)
「【0067】なお,上記の例では,既存の予約情報がサービス提供者によるサービス提供のためのリソース予約を示しており,利用者により入力された指示が,利用者自身による録画予約であるとしたが,既存の予約情報も利用者により指示された処理に対応している場合,リソース競合検知手段3002から既存の予約情報に含まれるユーザ名を受け取り,受け取ったユーザ名を画面に表示する。
【0068】もしくは,両ユーザ名を表示し,何れの指示を優先するかを利用者に選択させてもよいし,あらかじめ,各ユーザの優先順位を登録しておき,優先順位の高いユーザによる指示を優先するとしても良い。この場合,リソース競合通知手段3009への通知は行わない。
また,リソースの予約が競合した場合に,利用者による選択を受け付ける代わりに,端末3000が直接使用するケース及びネットワーク経由で使用するケースにそれぞれに優先度をつけておき,優先度に従って,競合の解消を図っても良い。」(16頁)

そうすると,引用文献3には,次の技術事項(以下,「技術事項2」という。)が記載されていると認める。
「複数のユーザからの指示が競合した場合に,ユーザに対して競合が起きていることを報知すると共に,競合相手のユーザ名を表示すること。」

エ 引用文献4(特開2001-346276号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0049】(実施の形態4)次に,上記優先度が,機器間の交渉により決定される例として,本発明の実施の形態4による前記モデルケースの解決手順を,図4を用いて説明する。
【0050】図4は本発明の実施の形態2による競合解消装置を用いたシステム構成の一例を示すブロック図である。図中,401はリモコン受信部,402はネットワークインターフェースa,403は優先度判定部,404は制御部a,405は制御対象機器,406は表示部a,407はネットワーク2105側の機器のインターフェースb,408は前記ネットワーク2105側の機器の制御部b,409はネットワーク側の機器の表示部b,410はネットワーク2105側の機器の入力用インターフェースb,である。
【0051】リモコン受信部401はリモコンからの入力を受け,優先度判定部403へ入力を引き渡す手段である。ネットワークインターフェース402はネットワークからの入力と出力とを制御し,優先度判定部403へ入力を引き渡す手段である。優先度判定部403はリモコン受信部401またはネットワークインターフェースa402からの入力を受けると,それを元にリモコンとネットワーク経由の制御入力のどちらを優先させるかを判断する手段である。制御部404aは制御対象機器405の制御を行う手段である。制御対象機器405はリモコン受信部401とネットワークインターフェース402aからの制御を受ける対象機器である。ネットワークインターフェースb407は,ネットワークインターフェース402へ制御命令を送る手段である。制御部b408は前記ネットワーク側の機器の制御を行う手段である。表示部409は競合が起こった際にネットワークインターフェース402に制御入力を送った使用者に対して,制御入力に競合が発生した旨を伝え,使用しつづけるか,他の制御入力に対象機器の制御を譲るか,を問い合わせるための手段である。入力インタフェース410は,ネットワーク側の機器の表示部409で表示された問いかけに対するユーザの回答を受け付けるための手段である。
【0052】以上のような構成を有する本実施の形態による競合解消装置の動作を,前記モデルケースの解決手順を例として,チャートである図14を参照して説明する。
【0053】動作の前提条件として,リモコン2102が使用中であり,その後TV2103からの制御命令が,ネットワークインターフェースa402を介して優先度判定部403にあったとする(ステップ1401)。
【0054】優先度判定部403は,リモコン受信部401に制御入力を送った使用者側の機器であるコンポ2101と,ネットワークインターフェースa402に制御入力を送った使用者側の機器であるTV2103に対して,それぞれ制御入力に競合が発生した旨を表示部407,表示部410を用いて伝え,使用しつづけるか,他の制御入力に対象機器の制御を譲るか,を問い合わせる(ステップ1402)。TV2103の使用者である親と,コンポ2101の使用者である子供はこの問い合わせに対して回答を,それぞれリモコンを用いて入力する。今回は親が使用する,子供が譲る,と回答したとする。」(7頁11?12欄)

そうすると,引用文献4には,次の技術事項(以下,「技術事項3」という。)が記載されていると認める。
「制御対象機器に対する制御入力に競合が発生した場合にその旨を表示が表示され,ユーザは,表示に基づいて,使用し続けるか,他の制御入力に譲るかを判断すること。」

(2)対比
本願発明と引用発明とを対比する。

a 引用発明の「家電サーバ装置3」,「エアコン装置9」及び「携帯端末装置5」は,それぞれ本願発明の「サーバ」,「機器」及び「通信装置」に相当し,引用発明の「エアコン装置9に対するコマンド」は,本願発明の「機器に対する制御指令」に相当する。
そうすると,引用発明の「エアコン装置9に対するコマンドを出力可能な携帯端末装置5と通信を行う通信I/F部31」は,本願発明の「機器に対する制御指令を出力可能な1以上の情報端末と通信する通信装置」に相当する。

b 引用発明の「処理部」は,以下の相違点は別として,本願発明の「プロセッサ」に相当する。

c 引用発明の「前記通信I/F部31を介して前記携帯端末装置5から前記エアコン装置9に対するコマンドを受信し」と,本願発明の「前記通信装置を介して前記情報端末から受信した,前記機器に対する制御指令を格納するための記憶装置」は,「前記機器に対する制御指令を,前記通信装置を介して前記情報端末から受信し」の点で共通する。

d 上記bに関連し,引用発明の「前記コマンドを生成し前記エアコン装置9へ送り」は,本願発明の「前記機器に向けて,前記制御指令を送信し」に相当する。
引用発明の「前記エアコン装置9から,前記コマンドを実行した旨を示す情報が送られ」と,本願発明の「前記制御指令に対応する前記機器の状態が前記機器から送信された情報によって特定される当該機器の状態と一致するか否かを判断し」は,「前記制御指令に対する前記機器に関する情報を受信し」の点で共通する。
引用発明の「前記コマンドが実行された旨を示す情報を前記携帯端末装置5へ転送するように構成され」と本願発明の「前記判断の結果を出力するように構成され」は,「所定の情報を出力するように構成され」の点で共通する。

e 上記dに関連し,引用発明の「前記コマンドが実行された旨を示す情報を前記携帯端末装置5へ転送する」ことと本願発明の「前記判断の結果の出力することは,前記情報端末に前記判断の結果を送信することを含み」は,「所定の情報を出力することは,前記情報端末に所定の情報を送信することを含む」点で共通する。

以上より,本願発明と引用発明は,以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「機器に対する制御指令を出力可能な1以上の情報端末と通信する通信装置と,
プロセッサとを備え,
前記通信装置を介して前記情報端末から受信した,前記機器に対する制御指令を格納するための記憶装置とを備え,
前記機器に対する制御指令を,前記通信装置を介して前記情報端末から受信し,
前記プロセッサは,
前記機器に向けて,前記制御指令を送信し,
前記制御指令に対する前記機器に関する情報を受信し,
前記判断の結果を出力するように構成され,
所定の情報を出力することは,前記情報端末に所定の情報を送信することを含む,
サーバ。」

(相違点1)
一致点である「前記機器に対する制御指令」について,本願発明では,「前記機器に対する制御指令を格納するための記憶部」を有するのに対し,引用発明は,そのような「記憶部」を有することが不明である点。

(相違点2)
一致点である「プロセッサ」に関し,本願発明では,「前記制御指令に対応する前記機器の状態が前記機器から送信された情報によって特定される当該機器の状態と一致するか否かを判断し,前記判断の結果を出力するように構成され」,それに加えて,「前記制御指令に対応する前記機器の状態が前記機器から送信された情報によって特定される当該機器の状態とが一致しない場合の前記判断の結果は,前記機器が前記制御指令に対応する処理を実行できる状態にあるにも関わらず前者の状態と後者の状態とが一致しないことを示す「状態不一致」と,前記機器が前記制御指令に対応する処理を実行できない処理を実行中であることを示す「失敗」とを含む」のに対し,引用発明では,「前記エアコン装置9から,前記コマンドを実行した旨を示す情報が送られ,前記コマンドが実行された旨を示す情報を前記携帯端末装置5へ転送するように構成されている点。

(相違点3)
前記相違点2に関連して,本願発明では,「前記判断の結果の出力することは,前記情報端末に前記判断の結果を送信することを含」むのに対し,引用発明では,携帯端末装置5に「判断の結果」を送信することが記載されていない点。

(3)判断
事案に鑑み,まず相違点2について検討する。
引用文献1(【0037】)には,ステータスコマンドにより,エアコン装置の状態(ステータス)の通知要求,及びその応答がなされることが記載されている。
また,引用文献2には,「機器の制御指令を記憶し,前記機器の状態と前記制御指令との一致,不一致を判定すること。」(上記(1)の技術事項1)が記載されている。
そうすると,引用発明において,エアコン装置がコマンドを実行した旨を示す情報を送ることに代えて,遠隔制御に関する技術事項1を勘案して,エアコン装置の状態と,前記エアコン装置に対するコマンドに対応する状態とを比較して,エアコン装置がコマンドを実行したことを判断することまでは当業者が容易に想到することができたものといえる。
しかしながら,判断の結果として,前記相違点2に係る「前記制御指令に対応する前記機器の状態が前記機器から送信された情報によって特定される当該機器の状態とが一致しない場合の前記判断の結果は,前記機器が前記制御指令に対応する処理を実行できる状態にあるにも関わらず前者の状態と後者の状態とが一致しないことを示す「状態不一致」と,前記機器が前記制御指令に対応する処理を実行できない処理を実行中であることを示す「失敗」とを含む」ことまでは,引用文献1及び2に記載も示唆もされておらず,当業者といえども容易に発明をすることができたとはいえない。
そして,この点は,上記(1)の技術事項2及び3を参酌しても,充足できないことは明らかである。

(4)小括
したがって,本願発明は,上記相違点1及び3について検討するまでもなく,当業者が引用発明及び技術事項1ないし3に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
本願の請求項2ないし5に係る発明は,本願発明とは発明の対象が異なるものの,前記相違点2に係る本願発明の構成と共通の構成を有することから,本願発明と同様に,当業者が引用文献1に記載された発明及び技術事項1ないし3に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
よって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願の日前の特許出願であって,その出願後に出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書,特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり,しかも,この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく,またこの出願の時において,その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので,特許法第29条の2の規定により,特許を受けることができない。


・請求項1,3,5,6,8-12
・先願1:特願2013-94500号(特開2014-216942号公報)

2 当審拒絶理由の判断
(1)先願発明
上記先願1の願書に最初に添付された明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「先願明細書等」という。)には,以下の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,遠隔操作システム,コントローラ,遠隔操作方法及びプログラムに関する。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムでは,ユーザ側装置と遠隔地側装置が一対一で通信することが想定されている。このため,複数のユーザ側装置から遠隔地側装置を操作する場合や,複数の遠隔地側装置を操作する場合等に,遠隔操作に関する通信を一括して管理することが困難であった。したがって,ユーザによる操作結果の確認を可能としつつ,遠隔操作により機器を確実に動作させることが困難となるおそれがあった。
【0005】
本発明は,上記の事情に鑑みてなされたもので,ユーザによる操作結果の確認を可能としつつ,遠隔操作による機器の動作が確実に行われるようにすることを目的とする。」

ウ 「【発明の効果】
【0007】
本発明によれば,遠隔操作に関する通信がサーバを介して行われる。また,電気機器の状態がユーザに対して表示される。これにより,ユーザによる操作結果の確認を可能としつつ,遠隔操作による機器の動作が確実に行われるようにすることができる。」

エ 「【0010】
実施の形態1.
本実施の形態に係る遠隔操作システム100は,住宅内の機器を住宅外から操作するためのシステムである。遠隔操作システム100は,図1に示されるように,住居10に設置された複数の電気機器11,12,13,センサ19,及びコントローラ30と,サーバ50と,操作端末60と,を有している。」

オ 「【0022】
コントローラ30は,例えば,電気機器11?13を統括して制御するHEMS(Home Energy Management System)コントローラである。また,コントローラ30は,宅内ネットワーク20と広域ネットワーク40との間におけるホームゲートウェイサーバとして機能する。コントローラ30は,図3に示されるように,制御部31,第1通信部32,第2通信部33,及び記憶部34を有している。
【0023】
制御部31は,例えばCPU及びRAM等から構成される。制御部31は,第1通信部32,第2通信部33,及び記憶部34に信号線を介して接続されている。制御部31は
,記憶部34に記憶されているプログラムを実行することにより,後述の処理を実行して,コントローラ30の各構成要素を制御する。
【0024】
第1通信部32は,宅内ネットワーク20を介して通信するための通信インタフェース等から構成される。第1通信部32は,宅内ネットワーク20から取得した情報を制御部31へ通知し,制御部31から通知された情報を宅内ネットワーク20へ出力する。
【0025】
第2通信部33は,広域ネットワーク40を介して通信するための通信インタフェース等から構成される。第2通信部33は,広域ネットワーク40から取得した情報を制御部31へ通知し,制御部31から通知された情報を広域ネットワーク40へ出力する。
【0026】
記憶部34は,不揮発性メモリを含んで構成される。記憶部34は,制御部31によって実行されるプログラムの他に,制御部31による処理に用いられる種々のデータを記憶している。そして,記憶部34は,制御部31が利用するデータを制御部31へ供給し,制御部31から供給されたデータを記憶する。
【0027】
図1に戻り,サーバ50は,例えば,コントローラ30を含む複数のHEMSコントローラを管理するクラウドサーバである。また,サーバ50は,広域ネットワーク40を介して遠隔操作を試みる操作端末60の認証サーバとなる。さらに,本実施形態に係るサーバ50は,ウェブサーバとして機能し,所定の要求(HTTPSリクエスト)に対して応答することにより,コントローラ30及び操作端末60と通信する。」

カ 「【0082】
続いて,コントローラ30によって実行されるコントローラ処理について,図14を用いて説明する。このコントローラ処理は,コントローラ30の電源が投入されることにより開始する。
【0083】
図14に示されるように,コントローラ30の制御部31は,まず,サーバ50と同期する(ステップS301)。具体的には,制御部31は,サーバ50に対してデータの同期を要求して,サーバ50からの応答を受信することにより,サーバ50と同期する。
【0084】
次に,制御部31は,ステップS301の同期により,サーバ50から操作内容を受信したか否かを判定する(ステップS302)。操作内容を受信していないと判定された場合(ステップS302;No),制御部31は,ステップS307へ処理を移行する。
【0085】
一方,操作内容を受信したと判定された場合(ステップS302;Yes),制御部31は,操作内容に基づいて電気機器11を制御するための制御信号を生成して,電気機器11へ送信する(ステップS303)。この制御信号は,宅内ネットワーク20において操作内容を伝送する信号となる。
【0086】
次に,制御部31は,電気機器11からの応答を受信したか否かを判定する(ステップS304)。この応答は,ステップS303にて送信された制御信号に対して,電気機器11の状態に関わらず,電気機器11によってなされる応答である。
【0087】
応答を受信していないと判定された場合(ステップS304;No),制御部31は,サーバ50と同期することにより,電気機器11との間における通信障害をサーバ50へ通知する(ステップS305)。この通信障害を示す信号がサーバ50によって操作端末60へ伝送されると,図15に示されるように,通信状況領域A2には,アイコンI30とアイコンI11とを結ぶ線が切断されていることが図形で示される。また,通信障害の内容を説明するボックスB21が表示される。
【0088】
一方,応答を受信したと判定された場合(ステップS304;Yes),制御部31は,サーバ50と同期することにより,電気機器11からの応答をサーバ50へ送信する(
ステップS306)。これにより,操作内容が電気機器11まで届いたことが,サーバ50及び操作端末60へ伝えられることとなる。
【0089】
次に,制御部31は,電気機器11から状態の変化が通知されたか否かを判定する(ステップS307)。具体的には,制御部31は,電気機器11の状態が変化して,変化後の状態が通知されたか否かを判定する。状態の変化が通知されたと判定された場合(ステップS307;Yes),制御部31は,ステップS311へ処理を移行する。
【0090】
一方,状態の変化が通知されていないと判定された場合(ステップS307;No),制御部31は,電気機器11に状態を要求する(ステップS308)。具体的には,制御部31は,電気機器11の現在の状態を通知するように,電気機器11に要求する。
【0091】
次に,制御部31は,電気機器11からの応答があるか否かを判定する(ステップS309)。この応答は,ステップS308における要求に対して電気機器11によってなされる応答である。
【0092】
応答がないと判定された場合(ステップS309;No),制御部31は,サーバ50と同期することにより,電気機器11との間における通信障害をサーバ50へ通知する(ステップS310)。その後,制御部31は,ステップS301以降の処理を繰り返す。
【0093】
一方,応答があると判定された場合(ステップS309;Yes),制御部31は,状態信号を生成して,サーバ50へ送信する(ステップS311)。具体的には,制御部31は,広域ネットワーク40に適した形式の状態信号を生成して,サーバ50と同期することにより状態信号をサーバ50へ送信する。
【0094】
次に,制御部31は,制御信号を電気機器11へ最後に送信してから所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS312)。所定の時間は,例えば1分間である。なお,制御信号が未だ送信されていない場合には,所定時間が経過したと判定される。所定時間が経過したと判定された場合(ステップS312;Yes),制御部31は,ステップS301以降の処理を繰り返す。
【0095】
一方,所定時間が経過していないと判定された場合(ステップS312;No),制御部31は,電気機器11の状態が,操作内容に従った状態であるか否かを判定する(ステップS313)。具体的には,制御部31は,電気機器11の状態が,最後に送信した制御信号による制御に従った状態であるか否かを判定する。
【0096】
操作内容に従った状態ではないと判定された場合(ステップS313;No),制御部31は,サーバ50と同期することにより,電気機器11が操作内容に従っていない状態にあることをサーバ50へ通知する(ステップS314)。その後,制御部31は,ステップS301以降の処理を繰り返す。
【0097】
一方,操作内容に従った状態であると判定された場合(ステップS313;Yes),制御部31は,サーバ50と同期することにより,電気機器11が操作内容に従った状態にあることをサーバ50へ通知する(ステップS315)。その後,制御部31は,ステップS301以降の処理を繰り返す。
【0098】
図14に示されるコントローラ処理が繰り返されることにより,ステップS307又はステップS308と,ステップS311とが定期的に実行される。これにより,状態信号が定期的に生成されて,サーバ50へ送信される。状態信号が生成される周期は,例えば2分間である。」

上記アないしカの記載及び図面の記載からみて,「ホームゲートウェイサーバとして機能するコントローラ30」に関する以下に掲げる発明(以下,「先願発明」という。)が記載されていると認める。

「電気機器(11)に対する操作内容を出力可能な1以上の操作端末(60)と通信する第2通信部(33)と,
制御部(31)と,
前記制御部による処理に用いられる種々のデータを記憶する記憶部(34)とを備え,
前記制御部は,
前記電気機器に向けて,前記操作端末の前記操作内容から生成した制御信号を送信し(図14のS302,S303),
前記電気機器から受信した前記電気機器の状態が前記情報端末の前記制御信号によって特定される当該電気機器の状態と一致するか否かを判断し(図14のS313),
前記判断の結果を前記操作端末に送信する(図14のS314,S315)ように構成されている,ホームゲートウェイサーバ。」

(2)対比・判断
本願発明と先願発明とを対比する。

a 先願発明の「電気機器(11)」,「操作端末(60)」及び「ホームゲートウェイサーバ」は,それぞれ本願発明の「機器」,「情報端末」及び「サーバ」に相当する。
先願発明の「電気機器(11)に対する操作内容」は,電気機器に対する操作指令の内容といえるから,本願発明の「機器に対する制御指令」に相当する。
そうすると,先願発明の「電気機器(11)に対する操作内容を出力可能な1以上の操作端末(60)と通信する第2通信部(33)」は,本願発明の「機器に対する制御指令を出力可能な1以上の情報端末と通信する通信装置」に相当する。

b 先願発明の「制御部(31)」は,本願発明の「プロセッサ」に相当する。

c 上記aより,先願発明の「前記制御部による処理に用いられる種々のデータを記憶する記憶部(34)」は,本願発明の「前記通信装置を介して前記情報端末から受信した,前記機器に対する制御指令を格納するための記憶装置」に相当する。

d 上記bの「プロセッサ」について,
先願発明の「前記電気機器に向けて,前記操作端末の前記操作内容から生成した制御信号を送信し」は,本願発明の「前記機器に向けて,前記制御指令を送信し」に相当し,
先願発明の「前記電気機器から受信した前記電気機器の状態が前記情報端末の前記制御信号によって特定される当該電気機器の状態と一致するか否かを判断し」は,本願発明の「前記制御指令に対応する前記機器の状態が前記機器から送信された情報によって特定される当該機器の状態と一致するか否かを判断し」に相当し,
先願発明の「前記判断の結果を前記操作端末に送信するように構成されている」は,本願発明の「前記判断の結果を出力するように構成され,前記判断の結果の出力することは,前記情報端末に前記判断の結果を送信することを含み」に相当する。

そうすると,本願発明と先願発明は,以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「機器に対する制御指令を出力可能な1以上の情報端末と通信する通信装置と,
プロセッサと,
前記通信装置を介して前記情報端末から受信した,前記機器に対する制御指令を格納するための記憶装置とを備え,
前記プロセッサは,
前記機器に向けて,前記制御指令を送信し,
前記制御指令に対応する前記機器の状態が前記機器から送信された情報によって特定される当該機器の状態と一致するか否かを判断し,
前記判断の結果を出力するように構成され,
前記判断の結果の出力することは,前記情報端末に前記判断の結果を送信することを含む,サーバ。」

(相違点)
一致点である「判断の結果」について,本願発明では,「前記制御指令に対応する前記機器の状態が前記機器から送信された情報によって特定される当該機器の状態とが一致しない場合の前記判断の結果は,前記機器が前記制御指令に対応する処理を実行できる状態にあるにも関わらず前者の状態と後者の状態とが一致しないことを示す「状態不一致」と,前記機器が前記制御指令に対応する処理を実行できない処理を実行中であることを示す「失敗」とを含む」とされているのに対し,先願発明にはこの点が特定されていない点。

そして,上記相違点に係る構成により,本願発明は,機器が制御指令に対応する処理を実行できない処理を実行中であることを把握することができるという顕著な効果を奏することが明らかであるから,当該構成は,課題解決のための具体化手段における微差とまではいえない。
よって,本願発明と先願発明を同一であるとすることはできない。

(3)小括
したがって,本願発明は,先願発明と同一であるとはいえなくなった。
本願の請求項2ないし5に係る発明についても,本願発明とは発明の対象が異なるものの,前記相違点に係る本願発明の構成と共通の構成を有することから,本願発明と同様に,先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえなくなった。

そうすると,もはや,当審で通知した拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。

第5 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-12-12 
出願番号 特願2013-173714(P2013-173714)
審決分類 P 1 8・ 161- WY (H04Q)
P 1 8・ 121- WY (H04Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 相澤 祐介西巻 正臣中木 努  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 中野 浩昌
林 毅
発明の名称 サーバ、情報端末、情報提供方法、プログラム、および制御システム  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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